JP2017525723A - アルカノールアミド合成のための改善されたプロセス - Google Patents

アルカノールアミド合成のための改善されたプロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、「熟成」時間が低減され、最終生成物中のジエタノールアミドのエステルに対する比が増加する、アルカノールアミド類を製造するプロセスに関する。低減した量のDEAおよびBHEPを含有するアルカノールアミドを含む添加剤組成物がさらに提供される。

Description

本発明は、一般的に、アルカノールアミド合成のための改善されたプロセスに関する。
液体炭化水素燃料を燃焼するエンジンは、自動車、輸送、船舶、発電、およびコンプレッサを含む、広範な用途で使用されている。かかるエンジンは多くの場合、相対的に非効率的であり、著しい量の汚染ガスおよび粒子を排出し得る。これは、建物密集地域、例えば、結果として生じる汚染が著しい数の人々に影響する都市で、こうしたエンジンが使用されるときに特に懸念されるが、他の状況においても重大な懸念事項である。
液体炭化水素燃料は、典型的に、燃焼の効率を向上させ、汚染物質レベルを低減させ、燃料の燃焼特性を改変し、エンジンの清浄性(すなわち、分散剤および洗浄剤の使用による)を維持するためのいくつかの添加剤を含む。
摩擦レベルを低減させるか、または別様にエンジン効率を向上させることができる添加剤は、燃料経済性を向上させることができるため、特別な関心の対象である。燃料経済性が少しでも向上すれば、世界規模で多大な影響を及ぼすことになると言えば十分であろう。
アルカノールアミド系摩擦調整剤は、燃料添加剤として、または潤滑油添加剤として、著しい有用性をもたらすことが特定されている化学物質の一群である。アルカノールアミド類は、脂肪酸類および/またはそれらのエステル類とジエタノールアミン(DEA)との反応から形成される。しかしながら、アルカノールアミド類の既存の製造方法、そしてそれによって形成される副生成物には重大な問題がある。反応プロセス全体にわたって副生成物が生じる傾向があることが分かっている。この反応の過程で形成される特に厄介な不純物は、ビス−ヒドロキシエチルピペラジン(BHEP)である。これは、組成物が燃料添加剤として使用されると、BHEPが燃料注入口を塞ぐか、またはエンジン内に他の望ましくない蓄積物を生じさせる場合があるという点で、重大な影響を有する。
さらに、アルカノールアミド類の製造には、著しいレベルの未反応の脂肪酸類および/またはエステル類ならびにDEAが最終生成物中に残るという問題が存在する。アミン類がフッ化炭素系エラストマーシールを破壊し得ることは、十分に立証されている。これに関して、未反応DEAの量を低減させることができれば、エンジン効率における便益を実現することができる。
以下の反応スキームは、ジエタノールアミドを製造するための典型的な合成手順である。

この手順は、高温、すなわち150℃で、脂肪酸メチルエステルをジエタノールアミンと反応させることを伴う。この手順の欠点は、生成物がジエタノールアミドとエステルアミンとの間で平衡であることである。長期の反応が、生成物の大部分が所望の生成物であるジエタノールアミドである状態まで、反応を推進することはない。むしろ、平衡状態は、好ましくないレベルで相対的に未変化のままである。エステルアミンは有害な問題を引き起こし、加水分解および非活性種の形成に対して不安定かつ易変性である。その一方で、約4〜7%のジエタノールアミンが生成物中に残る。これは、腐食および他の有害な問題を引き起こし得る。
工業規模での生成では、長期の反応時間後、すなわち5時間後であっても、ジエタノールアミドとエステルアミンとの比が依然として不満足であることが判明している。これは、およそ2の低いアミド対エステルIR比に反映されている。DEA含有率を約1.5%のレベルまで低減させつつ、生成物を3.8のアミド対エステル比まで平衡させるには、典型的に、室温でさらに3か月の「熟成」(“aging”)が必要である。
本明細書において、ジエタノールアミド合成のための「熟成」プロセスを、数か月から数日間に素早く短縮させることができるプロセスを報告する。このジエタノールアミド生成物は、低減した残存ジエタノールアミン含有量を有し、この生成物は、有害な問題がより少ないという追加の便益を有する。
一般的に、以下の特許文献は、提案される本発明の要素を教示しているが、これらのいずれも、低減した量のDEAおよびBHEPを含有し、かつ最終生成物中のジエタノールアミド対エステル比が増加しているアルカノールアミドを生成することはできない。
米国特許出願公開US2008/0072477は、ガソリングレード燃料および液体炭化水素燃料のための燃料添加剤としての、ならびに脂肪酸およびジエタノールアミンを含有する摩擦調整添加剤としての、特定の濃度のビス−ヒドロキシエチルピペラジンを含有するアルカノールアミド組成物を開示している。ジエタノールアミンの添加速度および他の反応パラメータを制御することは、ビス−ヒドロキシエチルピペラジンの形成の低減に寄与する。
米国特許US4,085,126は、脂肪酸のアルコキシル化、続いてアルカノールアミンとのエステル交換によって調製される、脂肪アルカノール−アミド洗浄剤組成物を開示している。
WO2009/050256は、多置換アルカノールアミン誘導体を含有する燃料添加剤の形成を支持する反応条件下で、カルボン酸化合物をアルカノールアミンと反応させることによって得られる、添加剤パッケージのための燃料添加剤を開示している。
米国特許出願公開US2005/0107623は、自動車産業における燃料のための摩擦調整剤としてのヒドロキシアルキルアミドの生成を開示し、一次および二次アルカノールアミンを、場合により触媒の存在下および金属シリケートの存在下で、エステルと反応させることを伴う。
米国特許出願公開US2005/0097813は、アルカノールアミンおよびエステルならびに/または脂肪性天然材料からのヒドロキシアルキルアミド組成物の純化の方法を教示し、非極性溶媒を添加すること、抽出温度まで加熱すること、塩水溶液を添加すること、および有機相を分離させることを伴う。
米国特許US4,729,769は、脂肪酸エステルとヒドロキシヒドロカルビルアミンとの洗浄剤添加剤反応生成物を含有するモーター燃料組成物を開示している。JP−H08−198830(特開平8−198830号)は、ジエタノールアミンを脂肪酸もしくはそのエステルまたはグリセリドと反応させ、逆浸透に供することによる、低いジエタノールアミン含有量を有する脂肪酸ジエタノールアミド型界面活性剤の調製を教示している。
米国特許出願公開US2010/0132253は、摩擦調整量のアルカノールアミドを用いた、内燃エンジン内の摩擦調整をもたらすのに有用な燃料添加剤を教示し、この添加剤は、添加剤中にエステル類を含まないか、またはアミド類対エステル類の特定のモル比を含まない。
したがって、「熟成」時間が低減され、最終生成物中のジエタノールアミド対エステル比が増加することが、アルカノールアミド類を製造するプロセスにとって望ましい。さらに、低減した量のDEAおよびBHEPを含有し、液体炭化水素燃料添加剤または潤滑油添加剤として使用するのに好適である、アルカノールアミドを含む添加剤組成物を提供することが望ましい。
本発明の一実施形態によると、組成物を熟成させるための方法が提供され、本方法は、
a)混合物を提供するステップであって、
この混合物が、
i.脂肪アルキルエステルとアルカノールアミンとのアミド反応生成物、および
ii.脂肪アルキルエステルとアルカノールアミンとのエステル反応生成物を含むステップ、ならびに、
b)(a)からの混合物を、アミド反応生成物のエステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む。
また、組成物を熟成させるための方法も提供され、本方法は、
(a)脂肪酸アルキルエステル、アルカノールアミン、および脂肪酸アルキルエステルとアルカノールアミンとの反応生成物を含む、反応混合物を提供するステップであって、該反応生成物が、
i.アミド反応生成物、および
ii.エステル反応生成物を含むステップ、ならびに、
(b)(a)からの混合物を、アミド反応生成物のエステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む。
定義:
以下の用語は、本明細書全体にわたって使用され、別段の記載がない限り、以下の意味を有するものとする。
「主要量」(“a major amount”)の基油という用語は、基油の量が、潤滑油組成物の少なくとも40重量%であることを指す。一部の実施形態では、「主要量」の基油とは、潤滑油組成物の50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、または90重量%超の量の基油を指す。
BHEPという用語は、「ビス−ヒドロキシエチルピペラジン」を指す。
DEAという用語は、「ジエタノールアミン」を指す。
A/E比(アミド対エステル比)という用語は、最終生成物中のアルカノールアミドのエステルに対する比を指す。
以下の説明において、本明細書に開示される数値はすべて、「約」(“about”)または「およそ」(“approximate”)という語がそれと関連して使用されているかどうかに関わらず、近似値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または時として10〜20パーセント異なってもよい。
図1は、70℃、80℃、90℃、100℃、および110℃における実施例2の熟成、ならびにこれらの様々な温度が様々な時間間隔でアミド/エステル比に及ぼす作用を示す。 図2は、70℃、80℃、90℃、100℃、および110℃における実施例2の熟成、ならびにこれらの様々な温度が様々な時間間隔でピペラジン(BHEP)含有量に及ぼす作用を示す。
発明の詳細な説明
一般的に、組成物を熟成させるための方法が本明細書に提供され、本方法は、
(a)混合物を提供するステップであって、
この混合物が、
i.脂肪アルキルエステルとアルカノールアミンとのアミド反応生成物、および
ii.脂肪アルキルエステルとアルカノールアミンとのエステル反応生成物を含むステップ、ならびに
(b)(a)からの混合物を、アミド反応生成物のエステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む。
また、組成物を熟成させるための方法も提供され、本方法は、
(a)脂肪酸アルキルエステル、アルカノールアミン、および脂肪酸アルキルエステルとアルカノールアミンとの反応生成物を含む、反応混合物を提供するステップであって、該反応生成物が、
i.アミド反応生成物、および
ii.エステル反応生成物を含むステップ、ならびに
(b)(a)からの混合物を、アミド反応生成物のエステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む。
一実施形態において、脂肪酸エステルは、C〜約C75、好ましくは約C〜約C24、好ましくは約C〜約C20、好ましくは約C〜約C18、好ましくは約C〜約C18、好ましくはC〜C16、好ましくはC〜C12の脂肪酸エステルである。これらの脂肪酸エステル類は、式RCOOHによって特徴づけることができ、式中、Rは、約7個〜約15個、好ましくは約11個〜約13個、好ましくは約11個の炭素原子を含有する、アルキル炭化水素基である。「アルキル」という用語は、直鎖基、分岐鎖基、および環状基を含む、C〜C74飽和脂肪族基を指す。アルキル基は、様々な不飽和度(すなわち、存在するアルケン類およびアルキン類)を有することができる。アルキル基は、置換基で置換されてもよい。
一般的に、C〜約C75の脂肪酸モノアルコールエステルは、1種以上の脂肪酸類と1種以上のモノアルコール類との反応生成物である。脂肪酸モノアルコールエステル類は、約C〜約C75の脂肪酸モノアルコールエステル類、または約C〜約C24の脂肪酸モノアルコールエステル類、または約C〜約C22の脂肪酸モノアルコールエステル類を含有することができる。当業者であれば容易に理解するであろうが、約C〜約C75の脂肪酸モノアルコールエステル類は、同じであっても、異なる脂肪酸モノアルコールエステル類であってもよい。脂肪酸類は、炭化水素長鎖および末端カルボキシラート基を含有する化合物の一群であり、炭化水素鎖内に二重結合が存在するかどうかに応じて、不飽和化合物または飽和化合物として特徴づけられる。したがって、不飽和脂肪酸は、その炭化水素鎖内に少なくとも1つの二重結合を有し、一方で飽和脂肪酸は、その脂肪酸鎖内に二重結合を有しない。この酸は飽和していることが好ましい。
一実施形態において、脂肪酸モノアルコールエステル類を製造するために使用される脂肪酸は、例えば、牛脂油、豚脂油、パーム油、ヒマシ油、綿実油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、ダイズ豆油、ヒマワリ油、オリーブ油、クジラ油、ニシン油、イワシ油、ヤシ油、パーム核油、ババス油、アブラナ油、ダイズ油などの天然源およびそれらの混合物に由来するものである。
一実施形態において、脂肪酸モノアルコールエステル類を製造するために使用される脂肪酸は、例として、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノレン酸などを含む不飽和脂肪酸、およびそれらの混合物である。一実施形態において、脂肪酸モノアルコールエステルを製造するために使用される脂肪酸は、例として、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などを含む飽和脂肪酸、およびそれらの混合物である。
一実施形態において、脂肪酸モノアルコールエステル類を製造するために使用される脂肪酸は、所望の脂肪酸エステルに応じて異なってよいが、これには、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、デセン酸、ラウリン酸、シス−9−ドデセン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、シス−9−テトラデセン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、シス−9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ヘプタデセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ジヒドロキシステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、シス−9,シス−11−エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、テトラコセン酸など、およびそれらの混合物が含まれ得る。
脂肪酸モノアルコールエステル類を製造するために使用される好適なモノアルコール類には、C〜C20の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノアルコール類、またはC〜C12の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノアルコール類が含まれる。かかるモノアルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、プロパン−2−オール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチル−ヘキサノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、エステルは、例えば、エステルを構成する脂肪酸がヤシ油由来の脂肪酸であり、エステルを構成するモノアルコールがメタノールである、脂肪酸メチルエステルまたは脂肪酸メチルエステル類の混合物であるが、例えば、エステルを構成する脂肪酸がヤシ油由来の脂肪酸であり、エステルを構成するモノアルコールがメタノール、エタノール、プロパノールなどのうちの1種以上である、上述の材料のうちいずれかのモノアルコールエステルまたはその混合物が使用されてもよい。
本発明の方法において使用されるC〜約C75の脂肪酸モノアルコールエステル類は、当該技術分野で知られる方法によって得ることができ、また、例えば、商品名Agnique(例えばAgnique ME 12−18−U)によるCognis Corporationなどの供給源から市販されている。
一実施形態において、用いられ得る脂肪酸エステル類には、グリセリルトリ−ラウラート、グリセリルトリ−ステアラート、グリセリルトリ−パルミタート、グリセリルジ−ラウラート、グリセリルモノ−ステアラート、エチレングリコールジ−ラウラート、ペンタエリスリトールテトラ−ステアラート、ペンタエリスリトールトリ−ラウラート、ソルビトールモノ−パルミタート、ソルビトールペンタ−ステアラート、プロピレングリコールモノ−ステアラートが含まれる。
一実施形態において、アルカノールアミンは、モノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンを含むが、これらに限定されない。例えば、モノアルカノールアミンまたはジアルカノールアミンは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、ジ−イソプロパノールアミン、ブタノールアミンなどを含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、アルカノールアミドは、モノアルカノールアミドおよびジアルカノールアミドを含むが、これらに限定されない。例えば、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドは、エタノールアミド、ジエタノールアミド、プロパノールアミド、イソプロパノールアミド、ジプロパノールアミド、ジ−イソプロパノールアミド、ブタノールアミドなどを含むが、これらに限定されない。
最初のアルカノールアミドを形成するための反応は、所望の生成物を生成するように等量の脂肪酸エステルおよびアミンを加熱することによって引き起こされ得る。反応は、典型的には、反応物質を、約1〜約10時間、好ましくは約4時間にわたって約100℃〜200℃、好ましくは約120℃〜約150℃の温度に維持することによって、引き起こされ得る。この反応は、溶媒不含であっても、溶媒(好ましくは、その中の生成物が使用されることになる最終的な組成物と相溶性の溶媒)内で行われてもよい。
一実施形態において、脂肪酸エステルのモノまたはジアルカノールアミン反応物質に対するモル比は、反応生成物中の遊離したモノまたはジアルカノールアミン反応物質の量を最小限に抑えるように選定される。典型的には、約1:1〜約2:1である、脂肪酸エステルのモノまたはジアルカノールアミン反応物質に対する比、特におよそ等モル比が好ましい。
一実施形態において、アミド反応生成物は、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ドデカンアミドおよびN−(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミドからなる群から選択される。
一実施形態において、熟成温度は、70℃〜100℃、好ましくは70℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、好ましくは75℃〜85℃、好ましくは75℃〜80℃、好ましくは80℃〜85℃、好ましくは80℃である。
一実施形態において、熟成時間は、10〜112時間、好ましくは10〜96時間、好ましくは10〜50時間、好ましくは20〜96時間、好ましくは30〜96時間、好ましくは30〜50時間、好ましくは40〜96時間、好ましくは50〜96時間、好ましくは60〜96時間、好ましくは70〜96時間、好ましくは80〜96時間、好ましくは90〜96時間、好ましくは96時間である。
一実施形態において、アルカノールアミドのエステルに対する比(すなわち、アルカノールアミドのエステルアミン反応生成物および脂肪酸アルキルエステルの両方に対する比)は、少なくとも0.1:1.0、少なくとも0.1:1.0〜12:1、少なくとも0.2:1.0〜11:1、少なくとも0.2:1.0〜10:1、少なくとも0.2:1.0〜8:1、少なくとも0.2:1.0〜6:1、少なくとも0.2:1.0〜4:1、または少なくとも0.2:1.0〜2:1である。
一実施形態において、アルカノールアミンの低減率%は、20〜70%、好ましくは25〜65%、好ましくは25〜60%、好ましくは25〜55%、好ましくは25〜50%、好ましくは25〜45%、好ましくは25〜40%、好ましくは25〜30%である。
一実施形態において、アミド反応生成物のエステル反応生成物に対する比は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、または少なくとも400%増加する。
一実施形態において、アルカノールアミンがジエタノールアミンである場合、混合物中に存在する1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの量は、0.4重量%未満、または0.3重量%未満、または0.2重量%未満、または0.1重量%未満に維持される。
多くの事例において、キャリア液中の本発明の潤滑油可溶性添加剤組成物の濃縮物、またはキャリア液中の本発明の液体炭化水素燃料添加剤組成物の濃縮物を形成することが有利となり得る。これらの添加剤濃縮物は、取り扱い、輸送し、最終的に潤滑性基油中にブレンドして完成した潤滑剤を与えるか、または最終的に燃料中にブレンドして完成した燃料を与える、簡便な方法を提供する。
一般的に、本発明の潤滑油可溶性添加剤濃縮物は、それ自体では、完成した潤滑剤もしくは完成した燃料として使用可能でないかまたは適当でない。むしろ、潤滑油可溶性添加剤濃縮物を潤滑剤基油ストックとブレンドして、完成した潤滑剤を提供することができる。キャリア液が本発明の潤滑油可溶性添加剤を容易に可溶化させ、潤滑剤基油ストックまたは燃料中で易溶性である油添加剤濃縮物を提供することが所望される。加えて、キャリア液が、例えば、高い揮発性、高い粘度、およびヘテロ原子などの不純物といった望ましくない特性を、潤滑剤基油ストックに、ひいては最終的に完成した潤滑剤または燃料に一切導入しないことが所望される。したがって本発明は、不活性キャリア流体、および全濃縮物に基づいて2.0重量%〜90重量%の本発明による油溶性添加剤組成物を含む、油溶性添加剤濃縮物組成物をさらに提供する。不活性キャリア流体は、潤滑油であっても、好適な炭化水素溶媒であってもよい。
これらの濃縮物は、通常、約2.0重量%〜約90重量%、好ましくは10重量%〜50重量%の本発明の油溶性添加剤組成物を含有し、加えて、当該技術分野で知られており以下に記載される、1種以上の他の添加剤を含有してもよい。濃縮物の残部は、実質的に不活性なキャリア液または好適な炭化水素溶媒である。
潤滑粘度の油
本明細書に開示される潤滑油組成物は、一般的に、少なくとも1種の潤滑粘度の油を含む。当業者に知られている基油のいずれもが、本明細書に開示される潤滑粘度の油として使用され得る。潤滑油組成物の調製に好適ないくつかの基油が、Mortier et al.,“Chemistry and Technology of Lubricants,”2nd Edition,London,Springer,Chapters 1 and 2(1996)、およびA.Sequeria,Jr.,“Lubricant Base Oil and Wax Processing,”New York,Marcel Decker,Chapter 6,(1994)、およびD.V.Brock,Lubrication Engineering,Vol.43,pages 184−5,(1987)に記載されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、潤滑油組成物中の基油の量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約70〜約99.5重量%であり得る。一部の実施形態では、潤滑油組成物中の基油の量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約75〜約99重量%、約80〜約98.5重量%、または約80〜約98重量%である。
ある特定の実施形態では、基油は、任意の天然もしくは合成の潤滑性基油留分であるか、またはそれを含む。合成油のいくつかの非限定的な例としては、少なくとも1種のアルファ−オレフィン(例えばエチレンなど)の重合からか、または一酸化炭素および水素ガスを使用した炭化水素合成手順(例えばフィッシャートロプシュ法など)から調製される、ポリアルファオレフィン類すなわちPAOなどの油類が挙げられる。ある特定の実施形態では、基油は、1種以上の重質留分を、基油の総重量に基づいて約10重量%未満含む。重質留分とは、100℃で少なくとも約20cStの粘度を有する潤滑油留分を指す。ある特定の実施形態では、重質留分は、100℃で少なくとも約25cStまたは少なくとも約30cStの粘度を有する。さらなる実施形態では、基油中の1種以上の重質留分の量は、基油の総重量に基づいて、約10重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.1重量%未満である。さらなる実施形態では、基油は、重質留分を含まない。
ある特定の実施形態では、潤滑油組成物は、主要量の潤滑粘度の基油を含む。一部の実施形態では、基油は、100℃で約2.5センチストーク(cSt)〜約20cSt、約5センチストーク(cSt)〜約20cSt、約7cSt〜約16cSt、または約9cSt〜約15cStの動粘度を有する。本明細書に開示される基油または潤滑油組成物の動粘度は、参照により本明細書に組み込まれるASTM D445によって測定することができる。
他の実施形態では、基油は、ベースストックもしくはベースストックのブレンドであるか、またはそれを含む。さらなる実施形態では、ベースストックは、蒸留、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、および再精製を含むがこれらに限定されない、様々な異なるプロセスを使用して製造される。一部の実施形態では、ベースストックは、再精製されたストックを含む。さらなる実施形態では、再精製されたストックは、製造、汚染(コンタミネーション)、または以前の使用によって導入された材料を実質的に含まないものとする。
一部の実施形態では、基油は、参照により本明細書に組み込まれるAmerican Petroleum Institute(API)Publication 1509,Fourteen Edition,December 1996(すなわち、API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils)に規定されるグループI〜Vのうちの1種以上におけるベースストックのうちの1種以上を含む。APIガイドラインは、様々な異なるプロセスを使用して製造され得る潤滑剤成分としてベースストックを定義している。グループI、グループII、およびグループIIIのベースストックは、それぞれ特定の範囲の飽和分量、硫黄含有量、および粘度指数を有する鉱物油類である。グループIVのベースストックは、ポリアルファオレフィン類(PAO)である。グループVのベースストックには、グループI、グループII、グループIII、またはグループIVに含まれない他のベースストックすべてが含まれる。
グループI、グループII、およびグループIIIのベースストックに関する飽和分レベル、硫黄レベル、および粘度指数の指標を、以下の表1に列記する。
一部の実施形態では、基油は、グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVのベースストックのうちの1種以上、または、それらの組み合わせを含む。他の実施形態では、基油は、グループII、グループIII、グループIVのベースストックのうちの1種以上、またはそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、基油は、グループII、グループIII、グループIVのベースストックのうちの1種以上、またはそれらの組み合わせを含み、基油は、100℃で約5センチストーク(cSt)〜約20cSt、約7cSt〜約16cSt、または約9cSt〜約15cStの動粘度を有する。
基油は、潤滑粘度の天然油類、潤滑粘度の合成油類、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、基油には、合成ワックスおよびスラックワックスの異性化によって得られるベースストック、ならびに、粗製物の芳香族成分および極性成分を(溶媒抽出することではなく)水素化分解することによって生成される水素化分解生成物ベースストックが含まれる。他の実施形態では、潤滑粘度の基油には、動物油類、植物油類、鉱物油類、石炭または頁岩由来の油類などの天然油類、およびそれらの組み合わせが含まれる。動物油類のいくつかの非限定的な例としては、骨油、ラノリン、魚油、豚脂油、イルカ油、アザラシ油、サメ油、獣脂油、およびクジラ油が挙げられる。植物油類のいくつかの非限定的な例としては、ヒマシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、綿実油、ダイズ豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、大麻油、亜麻仁油、キリ油、オイチシカ油、ホホバ油、およびメドウフォーム油が挙げられる。かかる油類は、部分的に水素化されていても完全に水素化されていてもよい。鉱物油類のいくつかの非限定的な例としては、グループI、グループII、およびグループIIIのベースストック、液体石油類、ならびにパラフィン系、ナフテン系、またはパラフィン系ナフテン系混合型の溶媒処理もしくは酸処理された鉱物油類が挙げられる。一部の実施形態では、鉱物油類は、未希釈または低粘度の鉱物油類である。
一部の実施形態では、潤滑粘度の合成油類には、炭化水素油類およびハロ置換炭化水素油類、例えば、重合オレフィン類および共重合オレフィン類、アルキルベンゼン類、ポリフェニル類、アルキル化ジフェニルエーテル類、アルキル化ジフェニル硫化物類、ならびにそれらの誘導体、類似体、およびそれらの同族体などが含まれる。他の実施形態では、合成油類には、アルキレンオキシドポリマー、それらのインターポリマー、コポリマー、および誘導体が含まれ、末端ヒドロキシル基は、エステル化、エーテル化などによって修飾することができる。さらなる実施形態では、合成油類には、ジカルボン酸類と様々なアルコール類とのエステル類が含まれる。ある特定の実施形態では、合成油類には、C〜C12モノカルボン酸類とポリオール類とから製造されるエステル類およびポリオールエーテル類が含まれる。さらなる実施形態では、合成油類には、トリ−n−ブチルホスファートおよびトリ−イソブチルホスファートなどのトリ−アルキルホスファートエステル油類が含まれる。
一部の実施形態では、潤滑粘度の合成油類には、シリコン系油類(ポリアルキル−シロキサン油、ポリアリール−シロキサン油、ポリアルコキシ−シロキサン油、ポリアリールオキシ−シロキサン油、およびシリケート油類)が含まれる。他の実施形態では、合成油類には、リン含有酸類の液体エステル類、ポリマー性テトラヒドロフラン類、ポリアルファオレフィン類などが含まれる。
ワックスの水素異性化から誘導される基油はまた、単独で使用されても、前述の天然基油および/または合成基油と組み合わせて使用されても、どちらでもよい。かかるワックス異性化油は、天然ワックスもしくは合成ワックスまたはそれらの混合物を水素異性化触媒で水素異性化することによって生成される。
さらなる実施形態では、基油は、ポリ−アルファ−オレフィン(PAO)を含む。一般的に、ポリ−アルファ−オレフィン類は、約2個〜約30個、約4個〜約20個または約6個〜約16個の炭素原子を有するアルファ−オレフィンに由来するものであってよい。好適なポリ−アルファ−オレフィン類の非限定的な例としては、オクテン、デセンに由来するもの、それらの混合物などが挙げられる。こうしたポリ−アルファ−オレフィン類は、100℃で約2〜約15、約3〜約12、または約4〜約8センチストークの粘度を有し得る。一部の例において、ポリ−アルファ−オレフィン類は、鉱物油類などの他の基油と一緒に使用されてもよい。
さらなる実施形態では、基油は、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含み、ポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシル基は、エステル化、エーテル化、アセチル化などで修飾されていてもよい。好適なポリアルキレングリコール類の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピレングリコール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なポリアルキレングリコール誘導体の非限定的な例としては、ポリアルキレングリコール類のエーテル類(例えば、ポリイソプロピレングリコールのメチルエーテル、ポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、ポリアルキレングリコール類のモノカルボン酸エステル類およびポリカルボン酸エステル類、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。一部の例において、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、ポリ−アルファ−オレフィン類および鉱物油類などの他の基油と一緒に使用されてもよい。
さらなる実施形態では、基油は、ジカルボン酸類(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸類、アルケニルコハク酸類、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸類、アルケニルマロン酸類など)と、様々なアルコール類(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステル類のうちのいずれかを含む。これらのエステル類の非限定的な例としては、ジブチルアジパート、ジ(2−エチルヘキシル)セバカート、ジ−n−ヘキシルフマラート、ジオクチルセバカート、ジイソオクチルアゼラート、ジイソデシルアゼラート、ジオクチルフタラート、ジデシルフタラート、ジエイコシルセバカート、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステルなどが挙げられる。
さらなる実施形態では、基油は、フィッシャートロプシュ法によって調製される炭化水素を含む。フィッシャートロプシュ法は、フィッシャートロプシュ触媒を使用して、水素および一酸化炭素を含有するガスから炭化水素を調製する。こうした炭化水素を基油として有用にするために、さらなる処理を必要とする場合がある。例えば、炭化水素は、当業者に知られるプロセスを使用して、脱蝋、水素異性化、および/または水素化分解してもよい。
さらなる実施形態では、基油は、未精製油、精製油、再精製油、またはそれらの混合物を含む。未精製油類は、さらなる純化処理なしで天然源または合成源から直接得られるものである。未精製油類の非限定的な例としては、レトルト作業によって直接得られる頁岩油類、一次蒸留によって直接得られる石油類、およびエステル化プロセスによって直接得られ、さらなる処理なしで使用されるエステル油類が挙げられる。精製油類は未精製油類と類似しているが、前者は、1つ以上の特性を向上させるために1つ以上の純化プロセスによってさらに処理されている点で後者と異なる。溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、濾過、浸出など、多くのかかる純化プロセスが当業者に知られている。再精製油類は、精製油類を得るために使用されるものと同様のプロセスを精製油類に適用することによって得られる。かかる再精製油類は再生油または再処理油としても知られ、多くの場合、使用済みの添加剤および油分解生成物の除去に関するプロセスによってさらに処理される。
追加的な潤滑油添加剤
任意選択で、本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物の任意の望ましい特性を付与するかまたはそれを向上させることができる、少なくとも1種の添加剤または改質剤(以降、「添加剤」と表記する)をさらに含んでもよい。当業者に知られているいずれの添加剤も、本明細書に開示される潤滑油組成物中に使用され得る。いくつかの好適な添加剤が、Mortier et al.,“Chemistry and Technology of Lubricants,”2nd Edition,London,Springer,(1996)、およびLeslie R.Rudnick,“Lubricant Additives:Chemistry and Applications,”New York,Marcel Dekker(2003)に記載されており、これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、添加剤は、抗酸化剤、摩耗防止剤、洗浄剤、錆防止剤、脱乳化剤、摩擦調整剤、多機能添加剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、発泡防止剤、金属不活性剤、分散剤、腐食防止剤、潤滑性向上剤、熱安定性向上剤、防曇添加剤、氷結防止剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。様々な添加剤が知られており、市販されている。これらの添加剤またはそれらの類似化合物は、通常のブレンド手順による本発明の潤滑油組成物の調製に用いられ得る。
抗酸化剤の例としては、アミン類、例えば、ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチル−アミン、N,N−ジ(アルキルフェニル)アミン類、およびアルキル化フェニレン−ジアミン類;フェノール類、例えば、BHT、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2−オクチル−3−プロパン酸)フェノールなどの立体障害アルキルフェノール類など;ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
摩耗防止剤の例としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛類およびジアリールジチオリン酸亜鉛類、例えば、Lubrication Science 4−2 January 1992に掲載されている“Relationship between Chemical Structure and Effectiveness of some Metallic Dialkyl− and Diaryl−dithiophosphates in Different Lubricated Mechanisms”と題したBornらによる論文に記載されているもの(例えば97〜100ページを参照のこと);リン酸アリール類および亜リン酸アリール類、硫黄含有エステル類、リン硫黄(phosphosulfur)化合物、金属または灰不含ジチオカルバミン酸塩類、キサンタート類、アルキル硫化物類など、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
無灰分散剤の代表例としては、アミン類、アルコール類、アミド類、または架橋基を介してポリマー骨格に結合しているエステル極性部分が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の無灰分散剤は、例えば、油溶性塩類、エステル類、アミノ−エステル類、アミド類、イミド類、ならびに長鎖炭化水素置換モノカルボン酸およびジカルボン酸またはそれらの無水物のオキサゾリン類;長鎖炭化水素のチオカルボキシラート誘導体、ポリアミンが直接結合している長鎖脂肪族炭化水素;ならびに、長鎖置換フェノールをホルムアルデヒドおよびポリアルキレンポリアミンと縮合させることにより形成されるマンニッヒ縮合生成物から選択され得る。
カルボン酸系分散剤は、少なくとも約34個、好ましくは少なくとも約54個の炭素原子を含むカルボン酸系アシル化剤(酸類、無水物類、エステル類など)と、窒素含有化合物(例えばアミン類など)、有機ヒドロキシ化合物(例えば、一価アルコール類および多価アルコール類を含む脂肪族化合物、またはフェノール類およびナフトール類を含む芳香族化合物)、および/または塩基性無機材料との反応生成物である。これらの反応生成物には、イミド類、アミド類、エステル類、および塩類が含まれる。
スクシンイミド分散剤は、カルボン酸系分散剤の一種である。それらは、ヒドロカルビル置換コハク酸系アシル化剤を、有機ヒドロキシ化合物と、または窒素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を含むアミン類と、またはヒドロキシ化合物とアミン類との混合物と反応させることによって生成される。「コハク酸系アシル化剤」という用語は、炭化水素置換コハク酸またはコハク酸生成化合物を指し、後者はこの酸自体を包含する。かかる材料には、典型的に、ヒドロカルビル置換コハク酸類、無水物類、エステル類(半エステル類を含む)、およびハロゲン化物が含まれる。
コハク酸系分散剤は、広範な化学構造を有する。コハク酸系分散剤の一種は、式7によって表すことができる:

式中、各Rは、独立して、ポリオレフィン由来基などのヒドロカルビル基である。典型的には、ヒドロカルビル基は、ポリイソブテニル基などのアルケニル基である。代替的に表現すると、R基は、約40個〜約500個の炭素原子を含有することができ、これらの原子は脂肪族形態で存在してもよい。R10は、アルキレン基、一般にエチレン(C)基であり、pは、1〜11である。スクシンイミド分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,172,892号、同第4,234,435号、および同第6,165,235号に記載されているものが挙げられる。
置換基がそこから誘導されるポリアルケン類は、典型的には、2個〜約16個の炭素原子、通常は2個〜6個の炭素原子の重合可能なオレフィンモノマーのホモポリマーおよびインターポリマーである。コハク酸系アシル化剤と反応してカルボン酸系分散剤組成物を形成するアミン類は、モノアミン類であってもポリアミン類であってもよい。
スクシンイミド分散剤は、通常主にイミド官能基の形態で窒素を含有するためにそのように称されるが、窒素官能基は、アミン類、アミン塩類、アミド類、イミダゾリン類、ならびにそれらの混合物の形態であってもよい。スクシンイミド分散剤を調製するためには、場合により、実質的に不活性な有機液体溶媒/希釈剤の存在下で、1種以上のコハク酸生成化合物および1種以上のアミン類を加熱し、典型的には水を除去する。反応温度は、約80℃から混合物または生成物の分解温度までの範囲とすることができ、これは典型的には約100℃〜約300℃の範囲内である。本発明のスクシンイミド分散剤を調製するための手順のさらなる詳細および例には、例えば、米国特許第3,172,892号、同第3,219,666号、同第3,272,746号、同第4,234,435号、同第6,165,235号、および同第6,440,905号に記載されているものが含まれる。
好適な無灰分散剤には、相対的に高分子量の脂肪族ハロゲン化物とアミン類、好ましくはポリアルキレンポリアミン類との反応生成物である、アミン分散剤も含まれ得る。かかるアミン分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,275,554号、同第3,438,757号、同第3,454,555号、および同第3,565,804号に記載されているものが挙げられる。
好適な無灰分散剤は、「マンニッヒ分散剤」をさらに包含してよく、これは、アルキル基が少なくとも約30個の炭素原子を含有するアルキルフェノール類と、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)およびアミン類(特にポリアルキレンポリアミン類)との反応生成物である。かかる分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,036,003号、同第3,586,629号、同第3,591,598号、および同第3,980,569号に記載されているものが挙げられる。
好適な無灰分散剤はまた、後処理されたスクシンイミド類などの後処理された無灰分散剤であってよく、この後処理プロセスは、例えば、ボラートまたはエチレンカルボナートを伴う後処理プロセス(例えば、米国特許第4,612,132号および同第4,746,446号に開示されている)など、ならびに他の後処理プロセスであってもよい。カルボナート処理されたアルケニルスクシンイミドは、約450〜約3000、好ましくは約900〜約2500、より好ましくは約1300〜約2400、最も好ましくは約2000〜約2400の分子量を有するポリブテン類、ならびにこれらの分子量の混合物から誘導される、ポリブテンスクシンイミドである。
無灰分散剤は、米国特許第5,716,912号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているように、反応性の条件下で、ポリブテンコハク酸誘導体、不飽和酸性試薬とオレフィンとの不飽和酸性試薬コポリマー、およびポリアミンの混合物を反応させることによって調製され得る。
好適な無灰分散剤はまた、デシルメタクリラート、ビニルデシルエーテル、および高分子量オレフィンなどの油可溶化モノマーと、極性置換を含有するモノマーとのインターポリマーである、ポリマー性であってもよい。ポリマー性分散剤の例としては、例えば、米国特許第3,329,658号、同第3,449,250号、および同第3,666,730号に記載されているものが挙げられる。
一般的に、1種以上の無灰分散剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約10重量%の範囲の量で、潤滑油組成物中に存在する。
金属洗浄剤の代表例としては、スルホナート類、アルキルフェナート類、硫化アルキルフェナート類、カルボキシラート類、サリチラート類、ホスホナート類、およびホスフィナート類が挙げられる。市販品は一般的に中性または過塩基性と称される。過塩基性金属洗浄剤は、一般的に、炭化水素、洗浄剤酸、例えばスルホン酸、アルキルフェノール、カルボキシラートなど、金属酸化物または水酸化物(例えば酸化カルシウムまたは水酸化カルシウム)、ならびにキシレン、メタノール、および水などの促進剤の混合物を炭酸化させることによって生成される。例えば、過塩基性カルシウムスルホナートの調製では、炭酸化において、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムは、ガス状の二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムを形成する。スルホン酸は、過剰のCaOまたはCa(OH)で中和されて、スルホン酸塩を形成する。
好適な洗浄剤の他の例としては、ホウ酸化スルホナート類が挙げられる。一般的に、本明細書における使用のためのホウ酸化スルホナートは、当該技術分野で知られるいずれのホウ酸化スルホナートであってもよい。本明細書における使用のためのホウ酸化スルホナートは、約10〜約500の全塩基価(TBN)を有し得る。一実施形態において、ホウ酸化スルホナートは約10〜約100のTBNを有する。一実施形態において、ホウ酸化スルホナートは約100〜約250のTBNを有する。一実施形態において、ホウ酸化スルホナートは約250〜約500のTBNを有する。
ホウ酸化アルカリ土類金属スルホナート類は、例えば、米国特許出願公開第20070123437号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている、当該技術分野で知られる方法によって調製され得る。例えば、ホウ酸化アルカリ土類金属スルホナートは、次の方法:(a)(i)油溶性スルホン酸もしくはアルカリ土類スルホン酸塩またはそれらの混合物のうちの少なくとも1種、(ii)少なくとも1種のアルカリ土類金属源、および(iii)少なくとも1種のホウ素源を、(iv)少なくとも1種の炭化水素溶媒、および(v)ホウ素源に対して0〜10モルパーセント未満の、該ホウ素源以外の過塩基化酸(overbasing acid)の存在下で反応させること、ならびに(b)(a)の反応生成物を、(iv)および反応の水を蒸留するための(iv)の蒸留温度を超える温度まで加熱することで調製される。
金属含有洗浄剤または灰形成洗浄剤は、沈着物の低減または除去のための洗浄剤と、酸中和剤または錆防止剤の両方として機能し、それによって摩耗および腐食を低減させ、エンジン寿命を延長させる。洗浄剤は、一般的に、長い疎水性尾部を有する極性頭部を含む。極性頭部は、酸性有機化合物の金属塩を含む。こうした塩類は、実質的に化学量論量の金属を含有し得、そうである場合、それらは通常、正塩または中性塩として記述され、典型的には、0〜約80の全塩基価すなわちTBN(ASTM D2896によって測定可能)を有するであろう。大量の金属塩基が、過剰の金属化合物(例えば、酸化物または水酸化物)を酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることによって導入され得る。結果として生じる過塩基性洗浄剤は、金属塩基(例えば、カルボナート)ミセルの外層として中和された洗浄剤を含む。かかる過塩基性洗浄剤は、約150以上のTBNを有し得、典型的には、約250〜約450以上のTBNを有する。
使用され得る洗浄剤としては、油溶性の中性および過塩基性のスルホナート類、フェナート類、硫化フェナート類、チオホスホナート類、サリチラート類、およびナフテナート類、ならびに、金属、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、バリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、およびマグネシウムの他の油溶性カルボキシラート類が挙げられる。最も一般的に使用される金属は、カルシウムおよびマグネシウム(これらは両方とも、潤滑剤中に使用される洗浄剤中に存在してもよい)、ならびにカルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物である。特に好都合な金属洗浄剤は、約20〜約450のTBNを有する中性および過塩基性のカルシウムスルホナート類、約50〜約450のTBNを有する中性および過塩基性のカルシウムフェナート類ならびに硫化フェナート類、ならびに約20〜約450のTBNを有する中性および過塩基性のマグネシウムサリチラートまたはカルシウムサリチラートである。過塩基性か中性か、またはその両方であるかに関わらず、洗浄剤の組み合わせを使用してもよい。
一実施形態において、洗浄剤は、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸の1種以上のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であってよい。好適なヒドロキシ芳香族化合物には、1〜4つ、好ましくは1〜3つのヒドロキシル基を有する、単環式モノヒドロキシおよびポリヒドロキシ芳香族炭化水素が含まれる。好適なヒドロキシ芳香族化合物には、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、クレゾールなどが含まれる。好ましいヒドロキシ芳香族化合物はフェノールである。
アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のアルキル置換部分は、約10個〜約80個の炭素原子を有するアルファオレフィンに由来する。用いられるオレフィン類は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。オレフィンは、直鎖状オレフィン類の混合物、異性化された直鎖状オレフィン類の混合物、分岐鎖状オレフィン類の混合物、部分的に分岐鎖状である直鎖状オレフィン類の混合物、または前述のいずれかの混合物であってもよい。
一実施形態において、使用され得る直鎖状オレフィン類の混合物は、分子1つ当たり約12個〜約30個の炭素原子を有するオレフィン類から選択されるノルマルアルファオレフィン類の混合物である。一実施形態において、ノルマルアルファオレフィン類は、固体触媒または液体触媒のうちの少なくとも1種を使用して異性化される。
別の実施形態では、オレフィン類は、約20個〜約80個の炭素原子を有する分岐鎖状オレフィン性プロピレンオリゴマーまたはその混合物、すなわち、プロピレンの重合に由来する分岐鎖オレフィン類である。オレフィン類はまた、他の官能基、例えばヒドロキシ基、カルボン酸基、ヘテロ原子などで置換されてもよい。一実施形態において、分岐鎖状オレフィン性プロピレンオリゴマーまたはその混合物は、約20個〜約60個の炭素原子を有する。一実施形態において、分岐鎖状オレフィン性プロピレンオリゴマーまたはその混合物は、約20個〜約40個の炭素原子を有する。
一実施形態において、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩中に含有されるアルキル基、例えば、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸洗浄剤のアルカリ土類金属塩のアルキル基などのうち、少なくとも約75モル%(例えば、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、または少なくとも約99モル%)は、C20以上である。別の実施形態では、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸に由来するアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、そのアルキル基は、C20以上のノルマルアルファ−オレフィン類を少なくとも75モル%含有するノルマルアルファ−オレフィン類の残基である。
別の実施形態では、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩中に含有されるアルキル基、例えば、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のアルキル基などのうち、少なくとも約50モル%(例えば、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、または少なくとも約99モル%)は、約C14〜約C18である。
結果として生じるアルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、オルト異性体とパラ異性体との混合物となる。一実施形態において、生成物は、約1〜99%のオルト異性体および99〜1%のパラ異性体を含有する。別の実施形態では、生成物は、約5〜70%のオルト異性体および95〜30%のパラ異性体を含有する。
アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、中性または過塩基性であり得る。一般的に、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸の過塩基性アルカリ金属塩または過塩基性アルカリ土類金属塩は、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のTBNが、塩基源(例えば、石灰)および酸性過塩基化化合物(例えば、二酸化炭素)の添加などのプロセスによって増大されているものである。
過塩基性塩類は、低過塩基性、例えば、約100未満のTBNを有する過塩基性塩であってもよい。一実施形態において、低過塩基性塩のTBNは、約5〜約50であり得る。別の実施形態では、低過塩基性塩のTBNは、約10〜約30であり得る。さらに別の実施形態では、低過塩基性塩のTBNは、約15〜約20であり得る。
過塩基性洗浄剤は、中過塩基性、例えば、約100〜約250のTBNを有する過塩基性塩であってもよい。一実施形態において、中過塩基性塩のTBNは、約100〜約200であり得る。別の実施形態では、中過塩基性塩のTBNは、約125〜約175であり得る。
過塩基性洗浄剤は、高過塩基性、例えば、約250超のTBNを有する過塩基性塩であってもよい。一実施形態において、高過塩基性塩のTBNは、約250〜約450であり得る。
スルホナート類はスルホン酸類から調製することができ、このスルホン酸類は、典型的には、石油の分留から、または芳香族炭化水素のアルキル化によって得られるものなどのアルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化によって得られる。その例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル、またはそれらのハロゲン誘導体をアルキル化することによって得られるものが含まれる。アルキル化は、約3個〜70個超の炭素原子を有するアルキル化剤を用いて、触媒の存在下で行われ得る。アルカリールスルホナート類は、通常、アルキル置換芳香族部分1つ当たり約9個〜約80個以上の炭素原子、好ましくは約16個〜約60個の炭素原子を含有する。
油溶性スルホナート類またはアルカリールスルホン酸類は、酸化物、水酸化物、アルコキシド類、カルボナート類、カルボキシラート、スルフィド類、ヒドロスルフィド類、ナイトラート類、およびボラート類で中和され得る。金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNを考慮して選定されるが、典型的には、化学量論的に必要とされるものの約100〜約220重量%(好ましくは少なくとも約125重量%)の範囲である。
フェノール類および硫化フェノール類の金属塩類は、酸化物または水酸化物などの適切な金属化合物との反応によって調製され、中性または過塩基性の生成物は、当該技術分野で周知の方法によって得ることができる。硫化フェノール類は、フェノールを、硫黄、または硫化水素、硫黄モノハライド、もしくは硫黄ジハライドなどの硫黄含有化合物と反応させて、生成物(これは一般的に2つ以上のフェノールが硫黄含有架橋によって架橋されている化合物の混合物である)を形成することによって、調製され得る。
一般的に、1種以上の洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約10重量%の範囲の量で、潤滑油組成物中に存在する。
錆防止剤の例としては、非イオン性ポリオキシアルキレン剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、およびポリエチレングリコールモノオレアート;ステアリン酸および他の脂肪酸類;ジカルボン酸類;金属石鹸類;脂肪酸アミン塩類;重質スルホン酸の金属塩類;多価アルコールの部分カルボン酸エステル;リン酸エステル類;(短鎖)アルケニルコハク酸類;それらの部分エステル類およびそれらの窒素含有誘導体;合成アルカリールスルホナート類、例えば、金属ジノニルナフタレンスルホナート類など;ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
摩擦調整剤の例としては、アルコキシル化脂肪アミン類;ホウ酸化脂肪エポキシド類;脂肪ホスファイト類、脂肪エポキシド類、脂肪アミン類、ホウ酸化アルコキシル化脂肪アミン類、脂肪酸類の金属塩類、脂肪酸アミド類、グリセロールエステル類、ホウ酸化グリセロールエステル類;および米国特許第6,372,696号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている脂肪イミダゾリン類が挙げられるが、これらに限定されない。
消泡剤の例としては、アルキルメタクリラートのポリマー、ジメチルシリコーンなどのポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
流動点降下剤の例としては、ポリメタクリラート類、アルキルアクリラートポリマー、アルキルメタクリラートポリマー、ジ(テトラ−パラフィンフェノール)フタラート、テトラ−パラフィンフェノールの縮合物、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、流動点降下剤は、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリアルキルスチレンなど、およびそれらの組み合わせを含む。流動点降下剤の量は、約0.01重量%〜約10重量%の間で変えてよい。
脱乳化剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキル−ナフタレンスルホナート類、アルキルベンゼンスルホナート類など)、非イオン性アルコキシル化アルキルフェノール樹脂、アルキレンオキシド類のポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、または、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのブロックコポリマー)、油溶性酸類のエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンエステルなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。脱乳化剤の量は、約0.01重量%〜約10重量%の間で変えてよい。
腐食防止剤の例としては、ドデシルコハク酸の半エステル類またはアミド類、リン酸エステル類、チオホスファート類、アルキルイミダゾリン類、サルコシン類など、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。腐食防止剤の量は、約0.01重量%〜約5重量%の間で変えてよい。
極圧剤の例としては、硫化した動物性または植物性の油脂類、硫化した動物性または植物性の脂肪酸エステル類、リンの三価酸または五価酸の完全エステル化もしくは部分エステル化したエステル類、硫化オレフィン類、ジヒドロカルビルポリスルフィド類、硫化ディールス−アルダー付加物、硫化ジシクロペンタジエン、脂肪酸エステル類と一不飽和オレフィン類との硫化混合物または共硫化(co−sulfurized)混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、およびアルファ−オレフィンの共硫化ブレンド、官能性置換ジヒドロカルビルポリスルフィド類、チア−アルデヒド類、チア−ケトン類、エピチオ化合物、硫黄含有アセタール誘導体、テルペンと非環式オレフィン類との共硫化ブレンド、およびポリスルフィドオレフィン生成物、リン酸エステル類またはチオリン酸エステル類などのアミン塩類、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。極圧剤の量は、約0.01重量%〜約5重量%の間で変えてよい。
前述の添加剤(使用される場合)のそれぞれは、所望の特性を潤滑剤に付与する機能的有効量で使用される。したがって、例えば、添加剤が摩擦調整剤である場合、この摩擦調整剤の機能的有効量は、所望の摩擦調整特性を潤滑剤に付与するのに十分な量であろう。一般的に、これらの添加剤(使用される場合)のそれぞれの濃度は、別段の定めがない限り、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約10重量%、一実施形態では約0.005重量%〜約5重量%、または一実施形態では約0.1重量%〜約2.5重量%の範囲であってよい。さらに、潤滑油組成物中の添加剤の総量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約20重量%、約0.01重量%〜約10重量%、または約0.1重量%〜約5重量%の範囲であってよい。
本発明の潤滑油組成物または燃料添加剤組成物の最終用途は、例えば、鉄道エンジンなどにおけるもの、クロスヘッドディーゼルエンジン内の船舶用シリンダー潤滑剤、クランク室潤滑剤、自動車におけるもの、鋼製ミルなどの重機用の潤滑剤、またはベアリング用のグリースとしてなどであり得る。潤滑油組成物または燃料添加剤組成物が流体であるか固体であるかは、通常は、増粘剤が存在するかどうかによる。典型的な増粘剤には、酢酸ポリ尿素類、ステアリン酸リチウムなどが含まれる。
本発明の方法によって生成される結果として生じるモノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドは、燃料または潤滑剤添加剤としてのその使用により、内燃エンジン、例えば、火花点火エンジンまたは圧縮点火エンジン内の摩擦を減少させるために使用され得る。一実施形態において、本発明の方法によって生成される結果として生じるモノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドは、主要量の液体炭化水素燃料を含有する燃料組成物中に、摩擦調整量または潤滑性有効量で用いられる。燃料は、内燃エンジン炭化水素燃料、例えば、ディーゼル、ガソリン、ジェット燃料など;メタノールもしくはエタノールなどのアルコール性燃料;または前述のいずれかの混合物のいかなるものであってもよい。
燃料がディーゼルである場合、かかる燃料は、一般的に約212°F超で沸騰する。ディーゼル燃料は、大気圧蒸留物もしくは減圧蒸留物、または、任意の割合の直留蒸留物と熱分解蒸留物および/もしくは接触分解蒸留物とのブレンドを含んでもよい。好ましいディーゼル燃料は、少なくとも40、好ましくは45超、より好ましくは50超のセタン価を有する。ディーゼル燃料は、任意のセタン価向上剤の添加前にそのようなセタン価を有し得る。燃料のセタン価は、セタン価向上剤の添加によって上昇させることができる。
燃料がガソリンである場合、それは、直鎖ナフサ、ポリマーガソリン、天然ガソリン、接触分解または熱分解した炭化水素、接触改質ストックなどに由来するものであってよい。ガソリン燃料が典型的に約80°〜450°Fの範囲内で沸騰し、直鎖または分岐鎖パラフィン類、シクロパラフィン類、オレフィン類、芳香族炭化水素、およびこれらの任意の混合物を含有し得ることは、当業者には理解されるであろう。
一般的に、燃料の組成は、重大な事項ではなく、いかなる従来のモーター燃料ベースが本発明の実践に用いられてもよい。
燃料組成物において所望の摩擦調整を達成するために必要である、本発明の方法によって生成される結果として生じるモノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドの適切な濃度は、例えば、使用される燃料の種類、他の添加剤の存在などを含む、様々な要因に左右される。しかしながら、一般的に、燃料組成物中の結果として生じるモノまたはジアルカノールアミドの濃度範囲は、ベース燃料1部当たり、添加剤約10〜約10,000百万分率(ppm)、好ましくは約30〜約5000百万分率である。他の摩擦調整剤が存在する場合、結果として生じるモノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミド添加剤をより少ない量で使用してもよい。
本明細書に記載される、結果として生じるモノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミド添加剤はまた、約150°F〜約400°Fの範囲内で沸騰する不活性安定親油性有機溶媒を使用して、燃料濃縮物として配合されてもよい。一実施形態において、好適な不活性安定親油性有機溶媒には、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはより高沸点の芳香族化合物もしくは芳香族シンナーなどの溶媒が含まれる。炭化水素溶媒と組み合わせた、約3〜8個の炭素原子の脂肪族アルコール類、例えば、イソプロパノール、イソブチルカルビノール、n−ブタノールなども、燃料添加剤との使用に好適である。燃料濃縮物中、添加剤の量は、通常は、約5重量%以上であり、一般的に、約70重量%を超えず、好ましくは約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約25重量%である。
本発明の別の実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、添加剤パッケージまたは濃縮物として提供されてもよく、この中には、添加剤が、実質的に不活性な通常液体の有機希釈剤、例えば、鉱物油、ナフサ、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなどに組み込まれて、添加剤濃縮物を形成している。こうした濃縮物は、通常、かかる希釈剤を約20重量%〜約80重量%含有する。典型的には、100℃で約4〜約8.5cSt、好ましくは100℃で約4〜約6cStの粘度を有する中性油が希釈剤として使用されるが、合成油類、ならびに添加剤および完成した潤滑油と相溶性である他の有機液体を使用することもできる。添加剤パッケージはまた、典型的には、必要量の基油との直接的な組み合わせを容易にするために、上で言及された様々な他の添加剤のうちの1種または複数種を、所望の量および比で含有する。
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提示されるが、ここで記載される具体的な実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。別段の明示がない限り、すべての部および百分率は重量によるものである。すべての数値は近似値である。数値範囲が与えられる場合、記述される範囲外の実施形態が依然として本発明の範囲内に含まれ得ることが理解されるべきである。各実施例において記載される具体的詳細は、本発明の必要な特徴として解釈されるべきでない。
以下の実施例は、例示目的のみを意図するものであり、本発明の範囲をいかようにも限定しない。
実施例1
N,N−ビス(ジアルカノール)アミド類の調製のための一般的手順:
1.0当量の脂肪メチルエステルを、0.9当量のジアルカノールアミンと共に、1気圧で、約4時間、150℃に加熱し、次いで、400mm Hgにて1時間、100℃に保持した。この手順は、一般に、約5%のジアルカノールアミン含有量を有する、手順表に記載されたとおりのN,N−ビス(ジアルカノール)脂肪アミドのアミノエステルに対する比の混合物をもたらす。
実施例2
実施例1の手順に従って、1.0当量のメチルココアート(cocoate)を、0.9当量のジエタノールアミンと共に150℃に加熱する。
実施例3
実施例1の手順に従って、1.0当量のメチルオレアート(oleate)を、0.9当量のジエタノールアミンと共に150℃に加熱する。
実施例4
実施例1の手順に従って、1.0当量のメチルステアラート(stearate)を、0.9当量のジエタノールアミンと共に150℃に加熱する。
実施例5
実施例4をココアートのトリグリセリドから製造した。0.9のDEA:エステルCMR比に達するために、余剰のDEAを添加して、トリグリセリドとさらに反応させた。
実施例6
実施例6は、70℃、80℃、90℃、100℃、および110℃における実施例2の熟成、ならびにこれらの様々な温度が様々な時間間隔でアミド/エステル比に及ぼす作用を示す(図1)。
実施例7
実施例7は、70℃、80℃、90℃、100℃、および110℃における実施例2の熟成、ならびにこれらの様々な温度が様々な時間間隔でピペラジン(BHEP)含有量比に及ぼす作用を示す(図2)。
実施例8
未希釈の実施例2の80℃の熟成の概要:
未希釈(neat)の実施例2は、通常、生成後に約1%のDEA含有量および4超のアミド/エステル比に達するために周囲温度で3〜5か月かかる。生成物を80℃に保持すると、劣化を伴わずにこの熟成期間が3〜4日間に低減する。
メチルココアートから出発する実施例2は、80℃熟成プロセスのベースラインとしての役割を果たす。100時間の時間枠内で、A/E比は増加し、約3.5で安定水準に達し、DEA%は減少し、約1.5%の谷部に達した(表2)。80℃熟成後に結果として生じた生成物は、3〜5か月の室温熟成後のものと匹敵した。
比較例1
比較例1は、室温で149日間にわたる実施例2の熟成を示す。これを、DEA%およびA/E比について同様の値に達するのに約4日間しかかからない実施例8と比較されたい(表3)。
実施例9
実施例9は、80℃における実施例5の熟成を示す。この混合物は80℃に保持され、未希釈の実施例8の熟成と同様のプロセスを経た。A/E比およびDEA%プロファイルもまた、実施例8のものに似ていた。
80℃熟成後の最終生成物は、5のA/E比および約2.35%のDEA%を有した。トリグリセリドで出発した同様の試料(実施例8)(DEA:エステルCMR=0.9)は、生成後、周囲温度で5か月熟成させたものであり、5のA/E比および1%のDEA%を有した。このデータは、驚くべきことに、実施例9において、活性成分を劣化させることなしに、添加された余剰のDEAと過剰のトリグリセリドとの間の反応を加速させる際に、80℃が効果的であることを示す(表4)。
実施例10
実施例10は、80℃における実施例3の熟成を示す。実施例10は、メチルオレアートから製造されている。実施例10はまた、80℃で熟成させ、これは、A/E比の増加およびDEA%の減少に反映されている。実施例10の熟成プロファイル(表5)は実施例8のものと同様であった。80℃熟成ありなし両方の実施例10が、3か月の貯蔵期間の間に周囲温度で熟化し続けた。
実施例11
実施例11は、80℃における実施例4の熟成を示す。実施例11は、メチルステアラートから製造されている。実施例11の80℃熟成プロファイルは、実施例8および10のものと同様であったが、ただし、A/E比が、80℃熟成の開始時および終了時の両方で相対的に低かったことを除く。DEA%は5か月の室温熟成後に約1%まで減少したが、A/E比は、80℃熟成を行った試料と行わなかった試料のいずれについても3に達しなかった(表6)。
実施例12
実施例12は、実施例8、10、および11の熟成プロファイルの比較を示す(表7)。
比較例2
よりアミドに向かって平衡を推進するという観点では高温反応の効果がないことが、以下の例によって実証される。
1.0当量、190グラムのココメチルエステルを、0.9当量、78.96グラムのジエタノールアミンと共に150℃で加熱し、エステルのバンドに対するアミドのバンドのIR比を、長期加熱で2.6に安定化させた。IR比は、いくぶん横ばいになり、さらには低下した(表8)。
熟成プロセスは、室温よりも高く、かつ反応の高温よりも低い温度を使用することによって大幅に改善され得る。こうした温度では、エステルからアミドへのエネルギー障壁に打ち勝つには十分なエネルギーが存在するが、アミドからエステルへのエネルギー障壁に打ち勝つのに十分なエネルギーは存在しない。70〜90℃の温度範囲により、平衡が、室温での熟成プロセスと比較して大幅に速い反応速度論で、一方向(エステルからアミド)にのみ移動することが可能となる。
実施例13
ココメチルエステルとジイソプロパノールアミンとの反応:
1.0当量、10グラムのメチルココアートを、0.9当量、5.26グラムのジエタノールアミンと、150℃で5時間反応させた。熟成結果を室温と80℃とで比較した(表9)。

実施例14
ココメチルエステルとエタノールアミンとの反応:
1.0当量、15グラムのココメチルエステルを、0.9当量、3.6グラムのエタノールアミンと、120℃で5時間反応させ、A/E比2.11の生成物を得た(表10)。



ここに提示した本発明の実施例によって実証されるように、80℃で3〜4日間熟成させた試料は、室温で熟成させたそれらの類似試料よりも高いアミド/エステル比および低いレベルのジアルカノールアミンを含むことが明らかである。
本明細書に開示される実施形態に対して様々な改変がなされ得ることは理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定的と解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。例えば、本発明を運用するための最良の形態として上に記載され、かつ実行される機能は、例示のみを目的とするものである。本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、他の構成および方法が当業者によって実行され得る。さらに、当業者であれば、本明細書に添付される「特許請求の範囲」の範囲および主旨に含まれる他の改変形態を想起するであろう。

Claims (12)

  1. 組成物を熟成させるための方法であって、
    a.混合物を提供するステップであって、
    この混合物が、
    i.脂肪アルキルエステルとアルカノールアミンとのアミド反応生成物、および、
    ii.前記脂肪アルキルエステルと前記アルカノールアミンとのエステル反応生成物を含むステップ、ならびに、
    b.前記(a)からの混合物を、前記アミド反応生成物の前記エステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む方法。
  2. 前記混合物が、アルカノールアミンおよび脂肪アルキルエステルをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルカノールアミンが、モノアルカノールミンまたはジアルカノールアミンである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記アミド反応生成物が、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ドデカンアミド、およびN−(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記混合物中の前記ジアルカノール脂肪アミドの前記アルキルエステルに対する比が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、または少なくとも150%増加する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アミド反応生成物が、C〜C18カルボン酸に由来するものである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記脂肪アルキルエステルが、メチルエステルまたはエチルエステルである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記熟成された生成物に含まれるアルカノールアミドのエステルに対する比が、少なくとも0.1:1.0である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記熟成された生成物に含まれるアルカノールアミドのエステルに対する比が、少なくとも0.1:1.0〜12:1である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記熟成された生成物におけるアルカノールアミンの低減が、20〜70%である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記熟成時間が、10〜96時間である、請求項1に記載の方法。
  12. 組成物を熟成させるための方法であって、
    a.脂肪酸アルキルエステル、アルカノールアミン、および脂肪酸アルキルエステルとアルカノールアミンとの反応生成物を含む、反応混合物を提供するステップであって、
    前記反応生成物が、
    i.アミド反応生成物、および
    ii.エステル反応生成物を含むステップ、ならびに、
    b.ステップ(a)からの混合物を、前記アミド反応生成物の前記エステル反応生成物に対する比を少なくとも5%増加させるのに十分な時間にわたって70℃〜90℃の温度に維持するステップを含む方法。
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