JP3812432B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、擬似ニュートラル制御を実施する自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
自動車用の自動変速機は、エンジンの動力をトルクコンバータを介して変速機構の入力軸に伝達し、この変速機構で変速して出力軸に伝達し、駆動軸を回転駆動するようにしている。最も一般的な変速機構は、入力軸と出力軸との間に複数の歯車要素を配列して、入力軸と出力軸との間に変速比の異なる複数の動力伝達経路を構成し、各動力伝達経路中にクラッチやブレーキ等の摩擦係合と開放を選択的に切り替えて、入・出力軸間の動力伝達経路を切り換えて変速比を切り換えるようにしている。
【0003】
ところで、このような自動変速機においては、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジ、S(セカンド)レンジ、L(ロー)レンジ等を選択することができるようになっているが、例えば、シフトレバーによってNレンジからDレンジに切り換えると、アイドリング状態のエンジンの回転がトルクコンバータを介して変速装置に伝達され、アクセルペダルを踏み込まなくても車両が少しずつ前進するクリープ現象が発生する。
【0004】
これに対して、特許第2804229号に開示される技術では、車両を前進させるためのDレンジ、Sレンジ、Lレンジ(以下「前進レンジ」と称する。)が選択され、アクセルペダルが解放され、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ、車速が実質的に“0”であることが検出された場合には、変速装置前進走行時に係合されるフォワードクラッチ、すなわち、ロークラッチを滑らせて擬似的なニュートラル状態を形成する擬似ニュートラル制御に関する技術が知られている。
【0005】
一般的に、この擬似的なニュートラル状態を形成する目的は、ロークラッチの係合状態として係合力を低下させて滑り係合させることで、トルクコンバータの入出力回転速度差を小さくしてトルクロスを低減することである。すなわち、トルクロスを低減することで燃費を低減することを目的としている。
【0006】
ところで、アクセルが踏み込まれて擬似ニュートラル状態から通常の運転モードに復帰する際に、ロークラッチのピストンストロークが大きいとロークラッチ再係合時にエンジンの吹き上がりを生じてしまう。そこで、擬似ニュートラル状態では、ロークラッチのピストンストロークを0にしてロークラッチ再係合時の応答遅れを抑制している。このため、ロークラッチの目標とする係合領域は極めて狭く、したがってロークラッチの係合状態を制御するための油圧制御も当然狭い制御範囲となる。
【0007】
上述の特許第2804229号に開示される擬似ニュートラル制御では、Dレンジによる走行中のエンジンアイドリング運転中において、トルクコンバータの入出力回転速度差がクリープ現象の発生を防止するのに必要な所定値になるように、ロークラッチの油圧サーボに供給される油圧がフィードバック制御され、すべり係合状態が形成されるようにしている。
【0008】
このような擬似的なニュートラル状態においては、例えば、アクセルペダルが踏み込まれ、ロークラッチを再び係合させる際にロークラッチピストンのロスストロークによる係合遅れが発生したりエンジンの空吹きが発生したり、係合ショックが発生したりするのを防止することができる。
【0009】
ところで、このような擬似ニュートラル状態を形成する自動変速機の制御においては、エンジン回転速度がアイドル運転状態になって擬似ニュートラル状態に移行するときには、トルクコンバータの入力側と出力側との回転速度差は、大きな状態である。すなわち、擬似ニュートラル状態に移行するときには、ロークラッチピストンが完全に係合しているために、トルクコンバータの出力側回転速度が0となり、トルクコンバータの入力側と出力側との回転速度差が大きくなる。しかしながら、特許第02804229号の自動変速機の制御装置では、この擬似ニュートラル状態への移行を次のように実施している。ロークラッチピストンが完全に係合した状態から、予めロークラッチが滑り係合する状態となる油圧が設定され、その後、エンジン回転速度Neに対応させて時間Δt毎に設定圧ΔPずつ変更することが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような所定の設定圧ΔPずつクラッチピストンの油圧を変更させる手法では、設定圧が大きい場合には、目標となる係合領域への収束性が悪化し、設定圧が小さい場合には、目標となる係合領域への応答性が悪化する。
【0011】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、擬似ニュートラル状態に移行するときにトルクコンバータの出力側回転速度の応答性と安定性を向上することで擬似ニュートラル状態への移行を速やかに実行することができる自動変速機制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1の発明のように、前記車両が停止状態となり、かつ、エンジンがアイドル運転状態となってから前記擬似ニュートラル状態へと移行する期間において、前記目標差回転速度設定手段は、前記期間の進行状態に応じて前記目標差回転速度の設定方法を変更する目標差回転速度変更手段を備える。
【0013】
これにより、移行期間の進行状態に応じて目標差回転速度を設定方法を変更することができるので、擬似ニュートラル状態への移行を制御の進行状態に応じて応答性と安定性とを両立して精度良く制御することができる。
【0014】
また、請求項2の発明のように、移行期間の進行状態に応じて前記フィードバック制御の制御ゲインを変更するようにすることで、安定性と応答性を両立して擬似ニュートラル状態への移行を滑らかに行うことができる。
【0015】
上述の移行期間については、請求項3の発明のように複数の区間で区切り、それぞれの区間で異なる設定方法にて目標回転速度を演算すると良い。
【0016】
これにより、区切られた区間毎に適宜目標差回転速度を異なる手法で設定することができるので、応答性と安定性とを両立して精度良く擬似ニュートラル状態への移行を可能にする。
【0017】
さらに、上述の区切られた区間での目標差回転速度の設定手法としては、請求項4の発明のように、所定の関数によって目標差回転速度を設定しても良いし、また、請求項5の発明のように2次関数によって目標差回転速度を設定しても良い。
【0018】
同様に、請求項6の発明では、前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度が、前記目標差回転速度設定手段により設定される目標差回転速度以下となったときに、前回の目標差回転速度から、前記前進用クラッチに加える油圧に大きな変動を与えず、かつ、早期に前記前進用クラッチの係合を進行させる範囲で設定される所定差回転速度を減算して今回の目標差回転速度を設定する。
【0019】
これにより、所定差回転速度は、前記前進用クラッチに加える油圧に大きな変動を与えず、かつ、早期に前記前進用クラッチの係合を進行させる範囲で設定されるため、トルクショックを発生させずに滑らかに擬似ニュートラル状態へ移行させることが可能となる。
【0020】
請求項7の発明では、車両が停止状態となり、かつ、エンジンがアイドル運転状態となってから擬似ニュートラル状態へと移行する期間において、この期間を第1乃至第4の期間にて区間で区切り、目標差回転速度設定手段は、第1の期間においては前記目標差回転速度を徐々に小さくし、第2の期間においては複数次数の関数によって目標差回転速度を設定し、第3の期間と第4の期間とでは、目標差回転速度を擬似ニュートラル状態の最終的な目標差回転速度に設定する。
【0021】
これによって、移行期間の進行状態に応じて目標差回転速度を設定することができるので、擬似ニュートラル状態への移行を応答性と安定性とを両立して精度良く制御することができる。
【0022】
また、この第1乃至第4の移行期間において、請求項8の発明のように第1と第3との期間においては応答性を重視してフィードバック制御の制御ゲインを高いゲインを設定し、第2と第4との期間においては安定性を重視して前記フィードバック制御の制御ゲインを低いゲインに設定する。
【0023】
これにより、区切られた期間毎に適宜目標差回転速度を異なる手法で設定することができるので、応答性と安定性とを両立して制度良く擬似ニュートラル状態への移行を可能にする。
【0024】
【実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
まず、図1及び図2に基づいて自動変速機11の概略構成図を説明する。図2に示すように、エンジン(図示せず)の出力軸には、トルクコンバータ12の入力軸13が連結され、このトルクコンバータ12の出力軸14に、油圧駆動式の変速歯車機構15(変速機構)が連結されている。トルクコンバータ12の内部には、流体継手を構成するポンプインペラ31とタービンライナ32が対向して設けられ、ポンプインペラ31とタービンライナ32との間には、オイルの流れを整流するステータ33が設けられている。ポンプインペラ31は、トルクコンバータ12の入力軸13に連結され、タービンライナ32は、トルクコンバータ12の出力軸14に連結されている。
【0026】
また、トルクコンバータ12には、入力軸13側と出力軸14側との間を係合または切り離しするためのロックアップクラッチ16が設けられている。エンジンからの出力軸としてのクランクシャフト13は、トルクコンバータ12を介してタービンシャフト14に伝達される。タービンシャフト14は変速歯車機構15に伝送され、変速歯車機構15のフロントプラネタリギヤ23,リアプラネタリギヤ22における複数のクラッチと各ブレーキとを切り換えることによって歯車変速機構15の変速比を切り換えるようになっている。一方、リダクションドライブシャフト35は、フロントプラネタリギヤ23のリングギヤおよびリアプラネタリギヤ22のキャリアに連結されている。
【0027】
2つのプラネタリギア22,23における複数の変速段を切り換えるための摩擦係合要素である各クラッチとして、リバースクラッチRC,ハイクラッチHC,ロークラッチLCが設けられ、各ブレーキとして、2&4ブレーキB0,ロー&リバースB1と、ローワンウェイクラッチ34とが設けられている。
【0028】
なお、図3は4速自動変速機のクラッチRC,HC,LC,とブレーキB0,B1の係合の組み合わせを示すもので、○印はその変速段での係合状態(トルク伝達状態)に保持されるクラッチとブレーキを示し、無印は解放状態を示している。また、◎印は、該当する駆動時にのみ係合されていることを示しており、△印は、発進時だけ解放し、所定の車速以上になったときに係合することを示している。例えば、3速から2速にダウンシフトする場合は、3速で係合状態に保持されていた2つのクラッチHC,LCのうち、クラッチHCを解放し、新たにブレーキB0を係合することで2速にダウンシフトする。また、3速から4速にシフトアップする場合には、3速で係合状態に保持されていた2つのクラッチHC,LCのうちの片方のクラッチLCを解放し、その代わりに、ブレーキB0を係合することで、4速にシフトアップする。
【0029】
図1に示すように変速歯車機構15には、エンジン動力で駆動される油圧ポンプ18が設けられ、作動油(オイル)を貯留するオイルパン(図示せず)内には、油圧制御回路17が設けられている。この油圧制御回路17は、ライン圧制御回路19、自動変速制御回路20、ロックアップ制御回路21、手動切換弁26等から構成され、オイルパンから油圧ポンプ18で汲み上げられた作動油がライン圧制御回路19を介して自動変速制御回路20とロックアップ制御回路21に供給される。ライン圧制御回路19には、油圧ポンプ18からの油圧を所定のライン圧に制御するライン圧制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられ、自動変速制御回路20には、変速歯車機構15の各クラッチRC,HC,LCと各ブレーキB0,B1に供給する油圧を制御する複数の変速用の油圧制御弁(図示せず)が設けられている。
【0030】
また、ロックアップ制御回路21には、ロックアップクラッチ16に供給する油圧を制御するロックアップ制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられている。また、ライン圧制御回路19と自動変速制御回路20との間には、シフトレバー25の操作に連動して切り換えられる手動切替弁26が設けられている。シフトレバー25がNレンジまたはPレンジに操作されているときには、自動変速制御回路20の油圧制御弁への通電停止(OFF)された状態になっていても、手動切換弁26によって変速歯車機構15に供給する油圧が変速歯車機構15をニュートラル状態とするように切り換えられる。
【0031】
一方、エンジンには、クランクシャフト13の回転速度Ne(トルクコンバータ12の入力側軸回転速度)を検出する入力側軸回転速度検出手段としてのクランク回転速度センサ27が設けられ、変速歯車機構15には、タービンシャフト14の回転速度Nt(トルクコンバータ12の出力側軸回転速度)を検出する出力側軸回転速度検出手段としてのタービン回転速度センサ28と、変速歯車機構15からのリダクションドライブシャフト35の回転速度Noを検出するリダクション回転速度センサ29が設けられている。
【0032】
これら各種センサの出力信号は、自動変速機電子制御回路(以下「AT−ECU」と表記する)30に入力される。このAT−ECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成される。このAT−ECU30は、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された予め設定した図3の変速パターンに従って変速歯車機構15の変速が行われるように、シフトレバー25の操作位置や運転条件(スロットル開度、車速等)に応じて自動変速制御回路20の各油圧制御弁への通電を制御する。そして、各油圧制御弁に対して通電制御することにより、変速歯車機構15の各クラッチRC,HC,LCと各ブレーキB0,B1の係合/解放を切り換え、動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることで、変速歯車機構15の変速比を切り換える。以下では、クラッチLCへの油圧をメインクラッチ圧、ブレーキB1への油圧をヒルホールド圧、トルクコンバータ12の入力側と出力側の差回転速度、すなわちクランクシャフト13の回転速度Neとタービンシャフト14の回転速度Ntとの差回転速度をスリップ量とそれぞれ称して説明を行う。
【0033】
このように構成される自動変速機において、本実施の形態では擬似ニュートラル状態を形成する。擬似ニュートラル状態は、クラッチLCの再係合時に生ずる応答遅れを防止することと、トルクコンバータ12にてトルクが消費されること、すなわち燃費が悪化することを抑制するという2つのことを目的として、スリップ量を所望の値に制御する。このとき、所望のスリップ量としては、例えば100rpmが設定され、これによってトルクコンバータ12にて消費されるトルクを低減し、エンジンに対する負荷を軽減することで燃費が悪化することを抑制することとともに、クラッチLCのピストンストロークを小さく制御することで応答遅れを防止することを目的としている。
【0034】
ここで、図4のタイムチャートと図5の擬似ニュートラル制御ルーチンを用いて、擬似ニュートラル状態の制御について説明する。擬似ニュートラル制御は、見込み制御と過渡制御と定常制御との3つの制御からなり、この3つの制御についてそれぞれ概要を説明する。まず、図5のフローチャートのステップS100にて、見込み制御の開始条件が成立しているか否かを判定する。見込み制御の開始条件は、図4(a)に示すようにドライバによってブレーキが踏み込まれることによりブレーキ信号がオンされていること、図4(b)に示すように、図示しないスロットルセンサからの信号が0であること、図4(c)に示すように、車速が“0”rpmであること等である。
【0035】
そして、これらの条件が成立すると図5のステップS100が肯定(Yes)されて、ステップS200に進み、見込み制御を実行する。見込み制御は、図4のタイムチャートの時刻T1から時刻T2にて実行される制御であり、図4(f)では、クラッチLCに対するメインクラッチ圧を示している。メインクラッチ圧は、開始(時刻T1)と同時に所定圧力減圧する。そして、その後は所定圧力より十分小さな圧力ずつ徐々に減圧してスリップが発生しない程度の圧力にメインクラッチ圧を制御する。なお、このスリップが発生しない程度の圧力はクラッチLCの係合状態としてスリップが発生しない程度の値であり、この所定圧力は後述する安定制御時の平均メインクラッチ圧に基づいて設定される値である。
【0036】
このようにメインクラッチを制御する理由は、車速が“0”であることが検出されるとともに、速やかにスリップが発生しない係合領域にクラッチLCを制御するのだが、所定圧力を瞬時に急減圧することで油圧が不安定になってしまう。このため、油圧が不安定となることから本実施の形態では上述に示すように、所定圧力を減圧後に徐々に油圧を減圧してスリップが発生しない程度の係合領域に制御している。
【0037】
また、図4(g)に示すヒルホールド圧は、ブレーキB1に対する油圧を示しており、時刻T1にてブレーキB1が解放状態から係合状態となるように油圧を増圧する。このような見込み制御の実行中に過渡・定常制御の実行条件が成立すると、図5のステップS100の見込み制御実行条件が否定(No)されて、ステップS300のに進む。そして、ステップS300では、すでに、過渡・定常制御の開始条件が成立しているので、ここでの判定が肯定(Yes)されてステップS400に進み、過渡・定常制御を実行する。
【0038】
過渡・定常制御の実行条件は、クラッチLCの係合状態としてスリップが発生しない程度の係合領域にて、自動変速回路20による油圧の供給が安定した状態で成立する条件が望ましく、例えば、条件の成立を適合等により予め設定された所定期間を設定しても良い。この過渡・定常制御が、本発明の特徴部分を示している。ここでは、過渡・定常制御の概要についてのみ説明し、本発明の詳細説明については後述する。
【0039】
上述した通り、擬似ニュートラル制御の目的は、スリップ量を例えば100rpmに設定することで、エンジンに対する負荷を軽減して燃費を向上させることと、クラッチLCのピストンストロークを0にすることで再係合時の応答遅れを抑制することとを目的としている。この2つの目的を達成するためには、クラッチC0の係合状態の制御領域としては、極めて狭い制御領域に制御することとなる。そこで、クラッチLCをこの目標となる係合領域に制御するために、時刻T2にて過渡・定常制御が開始される。この過渡・定常制御が開始されると、制御の進行度合いに応じて異なる設定方法にて目標スリップ量を設定する。そして、目標スリップ量と実スリップ量との偏差に基づいて図4(f)のメインクラッチ圧をフィードバック制御することにより応答性と安定性を両立して精度良くクラッチLCの係合状態を制御することができる。そして、目標となる係合状態にクラッチLCの係合状態に到達すると、時刻T3にて、この係合状態を維持すべく定常制御を実行する。なお、前述した通り図4の時刻T3以降に実施する定常制御中の平均メインクラッチ圧を学習することで、見込み制御中のスリップが発生しない程度のメインクラッチ圧を設定している。
【0040】
以上のようにしてスリップ量が100rpmとなるように制御することで、トルクコンバータ12にて消費されるトルクを低減することと、再係合の際の応答遅れを考慮した擬似ニュートラル状態に制御することが可能となる。ちなみに、ドライバによりアクセルペダルが踏み込まれ、運転状態からアイドル状態から走行モードへと移行する際には、図5のステップS500の再係合開始条件が成立することにより、ステップS300が否定(No)される。そして、ステップS400での判定は、肯定(Yes)されるので、ステップS600にてクラッチLCを係合するべくメインクラッチ圧を増圧して再係合制御を実行する。このとき、ステップS100,S300,S500の判定が全て否定(No)されれば、このまま擬似ニュートラル制御ルーチンの処理は実行せずに終了する。
【0041】
本実施の形態は、過渡・定常制御を特徴としており、クラッチLCの係合領域を目標の係合領域に制御する上で、安定性と応答性とを両立してクラッチLCを目標の係合領域へ移行させることを目的とする。以下では、本実施の形態の過渡・定常制御を図6乃至図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、図6のフローチャートは、図5のステップS300の過渡・定常制御開始条件が成立すると起動され、その後エンジンの図示しないクランク軸の回転に同期して所定期間毎に起動されるプログラムである。
【0042】
なお、図5のステップS300の過渡・定常制御開始条件は、例えば、図4のタイムチャートの時刻T1からの所定期間として、例えば2秒が設定され、見込み制御が開始されてから2秒が経過すると開始条件が成立するようになる。この所定期間では、つぎの理由により設定される期間である。まず、見込み制御の開始にてメインクラッチ圧が所定圧減圧されることによりメインクラッチ圧が不安定な状態となる。そして、その後は徐々に圧力を減圧していくのだが、見込み制御の開始後約2秒間でメインクラッチ圧が安定するからである。
【0043】
過渡・定常制御開始条件が成立すると、図6のフローチャートが起動される。このプログラムでは、制御の進行状態に応じてSty_1乃至Sty_4制御を実行する。それぞれの制御では、目標スリップ量の設定方法を異なる手法にて実施する。まず、ステップS410にてスリップ量が変化したか否かが判定される。過渡・定常制御開始時には車速が0rpmであり、リダクション回転速度Noも0rpmである。このため、過渡・定常制御が開始されるときは、クラッチLCが係合しておりタービン回転速度Ntは0である。この状態からスリップ量が変化するかをステップS410では判定する。なお、スリップ量は、クランク回転速度Neとタービン回転速度Ntとの差回転速度であるため、タービン回転速度Ntが変化したか否かを判定しても良い。
【0044】
ステップS410にて、スリップ量、若しくはタービン回転速度Ntが変化していない場合には、ステップS420に進み、所定期間CTM1が経過したか否かが判定される。この所定期間CTM1はタービン回転速度Ntが変化しなくとも、ステップS430の処理へ移行するために設定されるガード値である。ここで、所定期間CTM1が経過していなければステップS430へ進み、Sty_1制御を実行して本ルーチンを終了する。
【0045】
Sty_1制御について図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。このフローチャートは、図6のステップS430の処理が呼び出される毎に起動されるサブルーチンであり、まず、ステップS431にて初期設定が終了したかを判定する。ここで、初期設定とは、ステップS432乃至S434に示す設定処理であり、このルーチンが起動された初回の目標スリップ量tgSLを設定することと、Sty_1制御実行中の制御ゲインP・I・Dを設定すること、そして、後述するフラグFtをリセットすることを示している。
【0046】
まず、ステップS432では、目標スリップ量tgSLに現在の実スリップ量SLを設定し、ステップS433へ進む。ステップS433では、メインクラッチ圧制御としてのPID制御の制御ゲインP・I・Dとして、それぞれP1・I1・D1を設定する。この3つの制御ゲインは、Sty_1制御実行中の制御であることから応答性を考慮して高いゲインが設定される。そして、後述するフラグFtに0を設定して本ルーチンを終了する。一方、ステップS431にて、初期設定が終了したと判定された場合はステップS435へ進む。ステップS435では、目標スリップ量tgSLとして、前回のtgSLから所定値CSL減じた値を設定する。なお、この所定値CSLは、適合等により適宜設定されている値である。以上のように、過渡・定常制御ルーチンが開始されると、Sty_1制御が実施される。この制御では、徐々に目標スリップ量を小さな値に設定するとともに、応答性を重視して高いフィードバックゲインP・I・Dを設定する。
【0047】
再び図6のフローチャートを用いて過渡・定常制御について説明を行う。前述したステップS410の判定が否定(No)、若しくはステップS420の判定が肯定(Yes)の場合には、ステップS440に進む。すなわち、タービン回転速度Nt、若しくはスリップ量が変化した場合、若しくは所定期間CTM1が経過した場合のいずれか一方の場合には、ステップS440へ進む。ステップS440では、Sty_1制御が終了してから所定期間CTM2が経過したか否かが判定される。この所定期間CTM2については後述するが、ステップS450に示すSty_2制御の処理にて設定される値である。ステップS440の判定では、この判定が初回である場合に所定期間CTM2が経過していないと強制的に判定してステップS450へ進み、Sty_2制御を実行する。このステップでは、図8に示すサブルーチンが呼び出されるとともに実行処理される。
【0048】
まず、この図8のSys_2制御ルーチンが起動されると、ステップS451にてフラグFt=1であるかを判定する。このフローチャートの起動が初回である場合には、図7のフローチャートのステップS434の処理でフラグFtが0に設定されているので、図8のステップS451の判定は否定(No)されてステップS452乃至ステップS453の処理へ進む。ステップS452とステップS453とでは、目標スリップ量tgSLと所定期間CTM2とを演算により求める。この目標スリップ量tgSLと所定期間CTM2との演算方法は、2次関数によって現在の実スリップ量から擬似ニュートラル制御の最終的な目標スリップ量CSLとして、例えば100rpmに到達するまでの各時点での目標スリップ量tgSLと、100rpmに到達するまでの所定期間CTM2とを求めるものである。
【0049】
具体的には、以下に示す2次関数により目標スリップ量tgSLが規定されている。
【0050】
目標スリップ量tgSL=a(t−b)2+c…(1)
この式において、定数aは適合等により決定される値であり、現在のスリップ量から最終的な目標スリップ量に到達するまでの曲線の曲率を決定する。すなわち、定数aが大きいほど、最終的な目標スリップ量に急峻に到達し、定数aが小さいと緩やかに到達することとなる。また、定数cは最終的な目標スリップ量CSLに該当し、定数bは所定期間CTM2に該当する。
【0051】
従って、目標スリップ量tgSLと所定期間CTM2とは、次の2点の関係により求めることができる。一つは、現在のスリップ量であり、(t,tgSL)=(0,現在の実スリップ量SL)である。そして、2つ目として(t,tgSL)=(所定期間CTM2,最終的な目標スリップ量CSL)の関係である。この2つの関係を(1)式に代入することにより目標スリップ量tgSLと所定期間CTM2とを決定することができる。
【0052】
以上のようにして、目標スリップ量tgSLと所定期間CTM2が設定されると、ステップS454へ進み、制御ゲインP・I・DにそれぞれゲインP2・I2・D2とを設定し、ステップS455へ進む。ステップS455では、ステップS452乃至ステップS454の演算を終了したことを示すフラグFtに1をセットしてステップS456へ進む。ステップS456では、現在のスリップ量SLを目標スリップ量tgSLに設定して本ルーチンを終了する。
【0053】
一方、ステップS451でフラグFt=1である場合、すなわちステップS452乃至ステップS456の処理が終了している場合には、ステップS451の判定が肯定(Yes)されて、ステップS457へ進む。ステップS457では、Sty_1制御が終了してからの経過期間を(1)式に代入することにより目標スリップ量tgSLを演算により求める。以上のようにして所定期間CTM2が経過するまでは、本Sty_2制御により、目標スリップ量tgSLが演算される。
【0054】
一方、図6のフローチャートのステップS440にて所定期間CTM2が経過したと判定されると、ステップS460へ進む。ステップS460では、Sty_2制御が終了してから所定期間CTM3が経過したか否かを判定する。ここで、所定期間CTM3が経過していないと判定されるとステップS470へ進みSty_3制御を実行する。この処理では、Sty_3制御として図9に示すサブルーチンが呼び出される。つぎに、Sty_3制御について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
本制御を実行するときには、実スリップ量SLが最終的な目標スリップ量CSLに近づいているため、目標スリップ量tgSLとして最終的な目標スリップ量CSLが設定され、制御ゲインとしては応答性を重視して大きな制御ゲインを設定する。具体的には、ステップS471にて、目標スリップ量tgSLを最終的な目標スリップ量CSLに設定し、ステップS472へ進む。ステップS472では、制御ゲインP・I・Dとして、ゲインP3・I3・D3をそれぞれ設定し本ルーチンを終了する。
【0056】
つぎに、Sty_3制御が終了してから所定期間CTM3が経過した場合について説明する。この場合、図6のフローチャートのステップS460の判定が肯定(Yes)されて、ステップS480へ進む。ステップS480の処理では、Sty_4制御を実行するために図10のサブルーチンを呼び出す。この制御では、実スリップ量SLが最終的な目標スリップ量CSLに追従しているので、目標スリップ量tgSLとして最終的な目標スリップ量CSLが設定され、制御ゲインとしては安定性を重視して小さな制御ゲインを設定する。具体的には、ステップS481にて、目標スリップ量tgSLを最終的な目標スリップ量CSLに設定し、ステップS482へ進む。ステップS482では、制御ゲインP・I・Dとして、ゲインP3・I3・D3をそれぞれ設定し本ルーチンを終了する。
【0057】
以上のようにして、本実施の形態では、過渡・定常制御として制御の進行度合いに応じた目標スリップ量tgSLを設定することで、制御領域としては極めて狭い領域に、応答性と安定性を目的として精度良くクラッチLCを制御することができる。
【0058】
つぎに、図11のフローチャートを用いて、クラッチLCに対するメインクラッチ圧の制御について説明する。本フローチャートは、従来より知られる一般的なフィードバック制御である。このフローチャートは、エンジンの図示しないクランク軸の所定回転に同期して、起動されるプログラムである。このプログラムが起動されると、まず、ステップS701にて、目標スリップ量tgSLを呼び出す。そして、実スリップ量を呼び出し、ステップS703に進む。ステップS703では、図7乃至図10にて設定される制御ゲインP・I・Dを呼び出し、ステップS704へ進む。
【0059】
ステップS704では、ステップS701乃至ステップS703にて呼び出されたそれぞれの値に基づいてメインクラッチ圧Pcl(n)を求める。メインクラッチ圧Pcl(n)は、以下の数式によって示される。
【0060】
Pcl(n)=初期値+P×(tgSL―SL)+I×Σ(tgSL−SL)+D×d/dt(tgSL−tgSL)…(2)
上式において、目標スリップ量はtgSLに、実スリップ量はSLに相当する。また、初期値としては、図4の時刻T2における実スリップ量が設定される。目標スリップ量と実スリップ量との偏差に応じてフィードバック制御を実施し、本ルーチンを終了する。以上のように、本実施の形態における目標スリップ量と制御ゲインの設定とにより、過渡・定常制御においては、制御の進行状態に応じて異なる目標スリップ量の設定方法により目標スリップ量が設定され、また、制御の進行状態に応じて制御ゲインが設定されるので、目標スリップ量と実スリップ量との偏差に基づいて最適なメインクラッチ圧制御を実行することができる。ゆえに、応答性と安定性とを両立してクラッチLCを最終的な目標スリップ量となる係合状態へ精度良く制御することが可能となる。
【0061】
このような本実施の形態の過渡・定常制御について、図13乃至図18のタイムチャートを用いて説明する。まず、図13のタイムチャートでは、過渡・定常制御の実行条件が成立すると図中の時刻t1にてSty_1制御が実行される。このSty_1制御では、目標スリップ量を点線で示すように徐変していくとともに、制御ゲインを応答性を重視した高いゲインを設定する。そして、実スリップ量SLの変化、若しくは所定期間CTM1の経過により図中の時刻t2にてSty_2制御の実行条件が成立する。Sty_2制御では、まず、最初に目標スリップ量tgSLを現在の実スリップ量SLに設定する。そして、その後の目標スリップ量tgSLを2次関数により求める。このとき、現在の実スリップ量SLから最終的な目標スリップ量CSLまでを2次関数として示すことによって、目標スリップ量tgSLが最終的な目標スリップ量CSLに到達するまでの所定期間CTM2が求まる。そして、Sty_2制御の実行中は、目標スリップ量tgSLを求めるために前述の2次関数に演算時の時間を入力し、演算時の目標スリップ量tgSLを求めるとともに、安定性を重視した制御ゲインが設定されている。なお、この目標スリップ量の演算方法は、2次関数に限定されるものではなく、N次の関数によって演算されても良い。
【0062】
所定期間CTM2が終了すると、図中の時刻t3にてSty_3制御の実行条件が成立する。目標スリップ量tgSLは、最終的な目標スリップ量CSLに固定される。このときの制御ゲインは、最終的な目標スリップ量CSLに速やかに追従するように高い制御ゲインが設定される。そして、時刻t4では、Sty_4制御が実行される。この制御では、Sty_3制御と同様に目標スリップ量tgSLが最終的な目標スリップ量CSLに設定される。また、制御ゲインは安定性を考慮して低いゲインが設定される。
【0063】
以上のように、本実施の形態の過渡・定常制御では、制御の進行状態に応じて目標スリップ量tgSLの設定方法を変更することとともに、制御ゲインを切り換えて設定することとで、応答性と安定性を両立して、実スリップ量SLが速やかに最終的な目標スリップ量CSLに追従することができる。すなわち、クラッチLCの係合状態としては、極めて狭い制御領域に応答性と安定性とを両立して精度良く制御することができる。
【0064】
なお、本実施の形態において、Sty_1制御は目標スリップ量tgSLを徐々に小さく設定したが、図14に示すようにSty_1制御の実行条件が成立するとともに目標スリップ量を所定値減算して、その後、目標スリップ量tgSLをその値に固定しても良い。
【0065】
また、上述のようなSty_1制御における目標スリップ量tgSLの演算方法に対して、図15と図16とに示すタイムチャートでは、Sty_2制御における目標スリップ量tgSLの設定を1次関数(直線)にて行った例である。
【0066】
さらに、図17と図18とに示すタイムチャートのように、上述のSty_2制御における目標スリップ量tgSLの演算方法に代えて、Sty_1制御における目標スリップ量tgSLの演算方法では、さらに小さな所定値で目標スリップ量tgSLを減算しても良い。
【0067】
ところで、本実施の形態では、Sty_2制御における目標スリップ量tgSLの演算として、所定期間CTM2を同時に求めた。目標スリップ量tgSLは、この所定期間CTM2に最終的な目標スリップ量CSLに追従するように設定されたが、これに代えて、2次関数による目標スリップ量tgSL演算の際に求められる所定期間CTM2より小さな期間を設定し、設定された期間に最終的な目標スリップ量CSLに追従するように目標スリップ量tgSLを設定しても良い。
【0068】
本実施の形態では、以上のように過渡・定常制御を4つの制御区間として区切りそれぞれの区間で異なる目標スリップ量の演算方法と制御ゲインの設定方法とを提案した。しかしながら、本実施の形態は、4つの制御区間に区切ることに限定されるものではなく、制御の精度やコスト等を考慮して制御区間の区切りや制御ゲインの設定をすれば良い。
【0069】
本実施の形態において、流体伝達機構はロックアップクラッチ12に、前進用クラッチはクラッチLCに、入力側軸回転速度検出手段はクランク回転速度センサ27に、出力側軸回転速度検出手段はタービン回転速度センサ28に、差回転速度算出手段はスリップ量を算出する手段に、油圧制御手段は図7乃至図11のフローチャートに、目標差回転速度変更手段は図6のフローチャートに、それぞれ相当し、機能する。
【0070】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、Sty_2制御として、N次関数を用いた演算手法により目標スリップ量tgSLを設定したが、本実施の形態では、異なる手法にてSty_2制御における目標スリップ量tgSLの演算を行う。
【0071】
図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。図12のフローチャートは、第1の実施の形態の過渡・定常制御ルーチンのステップS450の処理が実行される毎に起動されるプログラムである。このプログラムが起動されると、ステップSX451にて、制御ゲインP・I・Dとして、それぞれゲインP5・I6・D6を設定する。このゲインは、安定性を考慮して小さな値となっている。そして、ステップSX452では、目標スリップ量tgSLが実スリップ量SL以下であるかが判定される。すなわち、目標スリップ量tgSLよりも実スリップ量SLのほうが大きい場合は、ステップSX452の判定が否定(No)されて、ステップSX454へ進み、前回の目標スリップ量tgSLを今回の目標スリップ量tgSLとして設定する。
【0072】
一方、実スリップ量SLが目標スリップ量tgSLと同じ値、若しくは、目標スリップ量tgSLよりも小さなな値となったときには、ステップSX452の判定が肯定(Yes)されて、ステップS453へ進む。ステップS453の処理では、前回の目標スリップ量tgSLから所定スリップ量CSL2減算して、今回の目標スリップ量tgSLとして設定する。すなわち、本実施の形態における目標スリップ量tgSLの演算手法は、実スリップ量SLの値よりも常に小さな値となるように設定される。なお、このとき所定スリップ量tgSLは、メインクラッチ圧の変化が、クラッチLCの係合状態(駆動トルク)に大きな影響を与えない範囲で設定されるのが望ましい。これにより、クラッチLCの係合状態として大きな変化が生じることが抑制されるので、応答性と安定性とを両立して、精度良くクラッチLCの係合状態を制御することができる。
【0073】
つぎに、以上説明した本実施の形態の制御を図19と図20とに示すタイムチャートを用いて説明する。図19と図20とでは、第1の実施の形態にて説明したSty_1制御における目標スリップ量tgSLの設定方法が異なる。このことについては、第1の実施の形態において説明したので、詳述は省略する。本実施の形態のSty_2制御では、目標スリップ量tgSLの演算手法として、実スリップ量が目標スリップ量tgSL以下となったなったときに、クラッチLCの係合状態(駆動トルク)に大きな影響を与えない範囲で設定される所定スリップ量CSL2を前回の目標スリップ量tgSLから減算することで今回の目標スリップ量tgSLを演算する。これにより、つねに目標スリップ量tgSLが実スリップ量SLよりも小さな値に設定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成図である。
【図2】本発明の自動変速機構を示す概略図である。
【図3】本発明の変速パターンを示すマップである。
【図4】一般的な擬似ニュートラル制御を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の擬似ニュートラル制御のメインプログラムである。
【図6】本発明の過渡・定常制御を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態におけるSty_1制御を示すプログラムである。
【図8】第1の実施の形態におけるSty_2制御を示すプログラムである。
【図9】第1の実施の形態におけるSty_3制御を示すプログラムである。
【図10】第1の実施の形態におけるSty_4制御を示すプログラムである。
【図11】本発明におけるメインクラッチ圧のフィードバック制御を示すプログラムである。
【図12】第2の実施の形態におけるSty_2制御を示すプログラムである。
【図13】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図14】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図15】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図16】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図17】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図18】第1の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図19】第2の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【図20】第2の実施の形態における過渡・定常制御を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
11…自動変速機、
12…トルクコンバータ、
16…ロックアップクラッチ、
17…油圧制御回路、
18…油圧ポンプ、
19…ライン圧制御回路、
20…自動変速制御回路、
21…ロックアップ制御回路、
26…手動切換弁、
27…エンジン回転速度センサ、
30…AT−ECU、
LC,HC,RC…クラッチ(摩擦係合要素)、
B0,B1…ブレーキ(摩擦係合要素)。
Claims (8)
- 前進走行レンジが選択され、車両が停止状態にあり、かつ、エンジンがアイドル運転状態にあるときに、擬似ニュートラル状態を形成する自動変速機の制御装置において、
エンジンの回転を変速装置に伝達する流体伝達機構と、
前進走行レンジが選択されたときに係合される前進用クラッチと、
油圧の供給によって前記前進用クラッチを係合させるための油圧制御弁と、
前記流体伝達機構の入力側軸回転速度を検出する入力側軸回転速度検出手段と、
前記流体伝達機構の出力側軸回転速度を検出する出力側軸回転速度検出手段と、
前記油圧制御弁を調整することにより前記前進用クラッチへ供給する油圧を制御する油圧制御手段と、
前記入力側軸回転速度検出手段と出力側軸回転速度検出手段とにより検出される各信号の偏差を算出する差回転速度算出手段と、
前記流体伝達機構の入力側軸回転速度と前記流体伝達機構の出力側軸回転速度との目標差回転速度を設定する目標差回転速度設定手段と、
前記車両が停止状態となり、かつ、エンジンがアイドル運転状態となってから前記擬似ニュートラル状態へと移行する期間において、前記目標差回転速度設定手段は、前記期間の進行状態に応じて前記目標差回転速度の設定方法を変更する目標差回転速度変更手段を備え、
前記油圧制御手段は、前記目標差回転速度設定手段が前記目標差回転速度変更手段によって変更された前記目標差回転速度の設定方法に基づいて設定した目標差回転速度と前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度とに基づいて前記前進用クラッチへ供給する油圧を制御することを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 前記油圧制御手段は、前記目標差回転速度設定手段により設定される目標差回転速度と前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度との偏差に基づいて前記前進用クラッチへ供給する油圧をフィードバック制御する手段であり、
前記期間の進行状態に応じて前記フィードバック制御の制御ゲインを変更するフィードバックゲイン変更手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。 - 前記目標差回転速度変更手段は、前記期間を複数の区間で区切り、それぞれの区間で異なる設定方法にて目標回転速度を演算することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記目標差回転速度変更手段は、前記複数の区間で区切られた期間のうち、少なくとも一つの区間では、所定の関数によって目標差回転速度を設定することを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記所定の関数は、2次関数であることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記目標差回転速度変更手段は、前記前記複数の区間で区切られた期間のうち、少なくとも一つの区間では、前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度が、前記目標差回転速度変更手段により設定される目標差回転速度以下となったときに、前回の目標差回転速度から、前記前進用クラッチに加える油圧に大きな変動を与えず、かつ、早期に前記前進用クラッチの係合を進行させる範囲で設定される所定差回転速度を減算して今回の目標差回転速度を設定することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一つに記載の自動変速機の制御装置。
- 前進走行レンジが選択され、車両が停止状態にあり、かつ、エンジンがアイドル運転状態にあるときに、擬似ニュートラル状態を形成する自動変速機の制御装置において、
エンジンの回転を流体を介して変速装置に伝達する流体伝達機構と、
前進走行レンジが選択されたときに係合される前進用クラッチと、
油圧の供給によって前記前進用クラッチを係合させるための油圧制御弁と、
前記流体伝達機構の入力側軸回転速度を検出する入力側軸回転速度検出手段と、
前記流体伝達機構の出力側軸回転速度を検出する出力軸側回転速度検出手段と、
前記油圧制御弁を調整することにより前記前進用クラッチへ供給する油圧を制御する油圧制御手段と、
前記入力側軸回転速度検出手段と出力軸側回転速度検出手段とにより検出される各信号の偏差を算出する差回転速度算出手段と、
前記流体伝達機構の入力側軸回転速度と前記流体伝達機構の出力側軸回転速度との目標差回転速度を設定する目標差回転速度設定手段と、
前記車両が停止状態となり、かつ、エンジンがアイドル運転状態となってから前記擬似ニュートラル状態へと移行する期間において、前記期間を第1乃至第4の期間にて区間で区切り、前記目標差回転速度設定手段は、第1の期間においては前記目標差回転速度を徐々に小さくし、第2の期間においては複数次数の関数によって目標差回転速度を設定し、第3の期間と第4の期間とでは、目標差回転速度を擬似ニュートラル状態の最終的な目標差回転速度に設定する手段であり、
前記油圧制御手段は、前記目標差回転速度変更手段によって変更された目標差回転速度と前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度とに基づいて前記前進用クラッチへ供給する油圧を制御することを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 前記油圧制御手段は、前記目標差回転速度設定手段により設定される目標差回転速度と前記差回転速度算出手段により算出される実差回転速度との偏差に基づいて前記前進用クラッチへ供給する油圧をフィードバック制御する手段であり、
前記第1と第3との期間においては応答性を重視して前記第2と第4との期間にて設定される前記フィードバック制御の制御ゲインよりも高いゲインを設定し、
前記第2と第4との期間においては安定性を重視して前記第1と第3との期間において設定される前記フィードバック制御の制御ゲインよりも低いゲインを設定することを特徴とする請求項7に記載の自動変速機の制御装置。
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