JP3812397B2 - シート状物の製造方法および磁気記録媒体 - Google Patents

シート状物の製造方法および磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製膜されたシート状物の製造方法に関し、特に良好な巻き取り姿のシート状物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製膜されたシート状物は、通常、不要なシート状物幅方向端部のエッジ部分を刃を用いて切断(エッジトリミング)し除去した後に、巻き取りロールにロール状に巻き取られる(以下、ロール状に巻き取られたシート状物を「巻き取りシート」と言う)。製膜されたシート状物は、その幅方向に固定的な厚みの分布が存在するため、巻き取り後のスリット工程において、しわが発生するという課題があった。そのため、従来、シート状物巻き取りロールを、シート状物走行方向に対して直角方向に揺動させながらシート状物をスリットし製品ロールとする方法(例えば、特開2001−63881号公報)により、製品ロールの硬度を均一化させ、しわの発生を抑制していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法によれば、特に広幅で薄物のシート状物では、スリット工程の前の巻き取り段階で、幅方向に発生する固定的な厚み分布に起因する製品ロール表層での硬度ムラによるしわが発生しやすくなり、スリット後の製品ロールにも前記しわの影響が出るという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、広幅で薄物のシート状物においても、スリット工程の前の巻き取り段階で発生するしわ、すなわち、シート状物の幅方向に発生する固定的な厚み分布に起因する製品ロール表層での硬度ムラによるしわの発生を抑制し得るシート状物の製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、上記の製造方法で得られたシート状物を用いてなる磁気記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記課題は、次のようにして達成することができる。
【0008】
発明のシート状物の製造方法は、シート状物をエッジトリミングし巻き取る工程において、トリミングロールの両端表面に設けられたトリミング溝の中でエッジトリミングするとともに、エッジトリミングする刃、トリミングロールおよびシート状物巻き取りロールを、該シート状物の走行方向に対して直角方向に、5mm以上200mm以下の振幅で揺動させながら巻き取るに際し、シート状物の走行方向に対して垂直方向に設置した光源から光をシート状物に発し、シート状物を介して光源と反対側に設置したCCDカメラに照射させることにより、シート状物に存在する異物やピンホールの表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置を検出し、欠点発生時間と巻き取り開始時間から、揺動により走行方向に対して直角方向に移動した距離、及び走行方向の位置を特定することで、前記表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報を記憶媒体に記憶することを特徴とするシート状物の製造方法である。
【0009】
すなわち、シート状物の破れを回避する手段として、トリミングロールのトリミング溝の中でシート状物をエッジトリミングしながら巻き取り、またシート状物上に存在する表面欠点の正確な位置情報を提供し、後工程で少なくとも一面に磁性層を形成し記録磁気媒体とするに際し、異物やピンホールの表面欠点の位置を特定する製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のシート状物の製造方法の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。ここで開示する方法は本発明の一実施態様に関わる溶液製膜シート状物の巻取り方法に関するものである。
【0011】
図1は、本発明のシート状物の製造方法を説明するための概略図(斜視図)であり、ここでは、主にエッジトリミングする刃とこれと同期して揺動する溝を備えたトリミングロールの構成が示されている。
【0012】
また図2は、本発明のシート状物の製造方法で用いられるエッジトリミング装置の概略図(斜視図)であり、主にトリミングロールが揺動する箇所を示している。
【0013】
図1において、製膜されたシート状物1は、トリミングロール2の両端表面に設けられたトリミング溝5にセットされた刃3によりシート状物1のエッジ部6が切断、除去され、シート状物巻き取りロール4に巻取られて巻き取りシート状物10を得る。前記トリミングロール2にはトリミング溝5が設けられており、図2において、トリミング溝5にセットされた刃3は、このトリミング溝5の中でシート状物1を切り、製品部(巻き取りシート状物10)とエッジ部6を分離する。トリミングロール2は、ベアリングにて支持されこのベアリングを固定するハウジング7は、フレームに対し自由に横移動できるようにリニアウエイ8にて支持されている。また、エッジトリミング用のトリミング溝5にセットされた刃3は、トリミングロール2と同期できるようにトリミングロール2を支持するハウジング7に固定されている。これによりトリミング溝5にセットされた刃3は、トリミング溝5の中で常に適正な位置を保つことができる。このトリミングロール2は、シリンダー9により周期的に揺動し、これと同期して、トリミング溝5にセットされた刃3も揺動する。
【0014】
本発明においては、シート状物をエッジトリミングし巻き取る工程において、トリミングロールの両端表面に設けられたトリミング溝の中でエッジトリミングするとともに、エッジトリミングする刃、トリミングロールおよびシート状物巻き取りロールの全てを、該シート状物の走行方向に対して直角方向に揺動させながら巻き取るものである。ここで、該シート状物の走行方向とは、図1においてシート状物1がトリミングロール2からシート状物巻き取りロール4に走行される方向を意味する。また、該シート状物の走行方向に対して直角方向とは、前記走行方向に対して90°の角度であることがより好ましいが、振幅に大きく影響を及ぼさない85°〜95°の範囲内の角度であれば差し支えは無い。
【0015】
この際、本発明においてシート状物の欠点は、図3に示すように、オンラインで下部の光源を上部のCCDカメラに照射される光量の変化により検出される。図3は、本発明で用いられる表面欠点検出機構を示す概略工程図であり、図4は、そこで得られた表面欠点位置情報を読み込む機構を示す工程図である。
【0016】
図3において、シート状物10の走行方向に対して垂直方向に設置した光源11から光をシート状物10に発し、シート状物10を介して光源11と反対側に設置したCCDカメラ12に照射させることにより、シート状物10に存在する異物やピンホールの表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置を検出し、欠点発生時間と巻き取り開始時間から、揺動により走行方向に対して直角方向に移動した距離、及び走行方向の位置を特定することで、前記表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報を記憶媒体(図示せず)に記憶する。
このようにして記憶された
本発明では、表面欠点位置の情報を記憶した記憶媒体から、表面欠点位置の情報を出力、もしくは通信を通じて特定できる。すなわち、上記のようにして記憶された表面欠点位置情報は、図4の流れに従い、揺動周期、振幅、CCDカメラから巻き取り機(巻き取りシート状物)までの距離、シート状物巻き取り速度等を、あらかじめ記憶媒体に入力しておくことで、巻き取り開始時間と欠点発生時間から、走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報を記憶でき、記憶された情報を出力または通信手段を利用することで欠点位置の情報を特定することができるのである。
【0017】
本発明におけるシート状物は、溶液製膜法により好適に製造することができる。そこでまず、溶液製膜法によるシート状物製造工程の一実施態様について説明する。本発明の一実施態様に関わる溶液製膜シート製造装置において、まず押し出し機に原料としてポリマー成分(溶液)が投入され、押し出し機から押し出されたポリマー溶液は、次にギアポンプ、フィルタを経て口金から薄膜状に吐出される。吐出されたポリマー溶液は、本発明の実施態様では、支持体としての周回されるエンドレスベルト上に流延され、オーブン内で加熱、乾燥されて、脱溶媒化される。続いて、得られた薄膜は、冷却装置で冷却成形され、必要に応じてシート状物のパス方向に延伸される。冷却装置は、本発明の好適な実施態様では水冷式の装置からなっている。製膜成形されたシート状物はテンターに導かれ、乾燥されるとともに、必要に応じてシート状物の幅方向に延伸される。
【0018】
本発明に係わる溶液製膜シート状物を形成するポリマー成分は特に限定されないが、芳香族ポリアミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどが好ましく、なかでも芳香族ポリアミドが特に好ましく用いられる。
【0019】
芳香族ポリアミドは、たとえば、酸クロライドとジアミンから得る場合は、Nーメチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成することができる。芳香族ポリアミドのポリマー溶液においては、単量体としては酸クロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副製するが、これを中和する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムあるいは炭酸リチウムなどの無機の中和剤またエチレノキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミンあるいはジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0020】
これらのポリマー溶液はそのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマーをポリマー溶液から一度単離してから、上記の有機溶媒や硫酸などの無機溶媒に再溶解して、製膜原液を調製してもよい。芳香族ポリアミドのポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は0.5以上であることが望ましい。また、その好ましい上限は、3.5程度である。
【0021】
製膜原液には溶解助剤として、無機塩、たとえば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムあるいは硝酸リチウムなどを添加してもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜40重量%程度が好ましい。
【0022】
これら添加剤の添加方法は、予め溶媒中にスラリー化した後に、重合用溶媒または希釈用溶媒として使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方法などがある。
【0023】
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりシート化が行なわれる。溶液製膜法には、乾湿方式、乾式法、湿式法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿法を例にとって説明する。
【0024】
乾湿法でシートを製膜する場合は、製膜原液を口金からニッケル、ステンレス、銅、チタン、ハステロイ、タンタル等の材質からなるドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜層とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させて薄膜が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は、好ましくは室温〜250℃、60分以内の範囲であり、より好ましくは室温〜200℃、15分以内の範囲である。
【0025】
前記乾式工程を終えたシート状物は支持体から剥離されて湿式工程に導入され、ここでシート中に含有されている溶剤や不純物が除去される。この湿式工程で用いられる浴は、一般に水系媒体からなるもので、水の他に有機溶媒や無機塩等を含有していてもよい。しかしながら、一般には水分量は好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上含有されているものであり、また、浴温度は好ましくは20〜70℃で使用される。さらにシート中の不純物を減少させるためには、浴温は好ましくは50℃〜70℃、より好ましくは60℃〜70℃である。また、有機溶剤の浴を設けてこの中を通すことも有効である。
【0026】
湿式工程を出たシートはさらに延伸、乾燥、熱処理が行われてシートとなる。
【0027】
以上のように形成されたシートは、その製膜工程中で延伸が行われるが、延伸倍率は面倍率で0.8〜5.0(面倍率とは、延伸後のシート面積を、延伸前のシート面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.1〜3.0である。また、熱処理後のシートを徐冷することにより寸法変化率を小さくすることができる。
【0028】
本発明において、前記のように溶液製膜されるシート状物を巻き取るに際し、製品に適しない不要なエッジ部6の除去が行われる。シート状物1をシート状物巻取りロール4として巻取るに際し、シート状物巻取りロール4上流に設けたエッジトリミング用の刃3でエッジ部6の除去が行なわれる。トリミングロール2にはトリミング溝5が設けられており、刃3はこのトリミング溝5の中でシート状物1のエッジ部6を切り、製品部とエッジ部6を分離する。トリミング溝5は複数条あってもよく、1条でもよい。このトリミング溝5の幅としては良好な切断性を得る観点から、0.5mm〜5mm程度のものが好ましく、より好ましくは溝幅が0.7mm〜1.3mmのものである。
【0029】
トリミングロール2は、ベアリングにて支持されこのベアリングを固定するハウジング7はフレームに対し自由に横移動できるようリニアウエイ8にて支持されている。また、エッジトリミング用の刃3はトリミングロール2と同期できるようにトリミングロール2を支持するハウジング7に固定されている。これにより刃3はトリミング溝5の中で常に適正な位置を保つことができる。このトリミングロール2はシリンダー9により周期的に揺動し、これと同期して刃3も揺動する。揺動幅は、5mm〜200mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10mm〜120mmであるが、製膜中は固定していても、この範囲内で変動させても良い。また、揺動の周期は、30秒〜30分の範囲が好ましく、より好ましくは10分〜20分であるが、製膜中は固定していても、この範囲内で変動させても良い。
【0030】
これを巻き取る前にはシート状物1上に存在する表面欠点を、図3に示すように下部の光源11を上部のCCDカメラ12に照射される光量の変化により検出され、その位置情報は欠点発生時間と巻き取り開始時間から、揺動により走行方向に対して直角方向に移動した距離、及び走行方向の位置を特定することで、走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報を揺動幅、周期等によらず正確に記憶でき、記憶された情報を出力、または通信手段を利用することで欠点位置の情報を特定できるものとしている。ここで光源11としては、蛍光燈や紫外線光などがあるが、CCDカメラ12で光量変化が認識できるものであればその種類は問わない。欠点情報の記憶は記憶媒体に行えば良く、この記憶媒体には半導体記憶媒体、磁気記憶媒体等によればよく、光学的、電子的、磁気的であるとを問わず、コンピュータで読みとることができるものであれば種類は問わない。出力とは、紙にプリンター印字等をするものであればよく、通信とは電話回線、ケーブル、光ファイバー等を介してデータを配信できるものであればよいが、その種類は問わない。
【0031】
このようにして得られた巻き取りシート状物10は、巻き取りシート状物段階でのしわの発生が抑制され、また、シート破れも回避できるため、品質の安定した一定の生産量を確保することが可能となる。更に、スリット工程でユーザーの要求する幅、長さの製品ロールとするが、これらを加味して欠点情報として出力等を行うことで製品ロール中に存在する異物やピンホールの表面欠点の正確な位置情報が得られるため、後工程で少なくとも一面に磁性層を形成し記録磁気媒体とするに際し表面欠点位置の特定が容易になり、大幅な歩留まり向上が期待できる。
【0032】
本発明のシート状物は、磁気記録媒体用途に好適に用いることができる。磁気記録媒体とするには、該シート状物の表面に磁性体粉末を含んだ高分子バインダ−を塗布する方法、あるいはコバルト等の磁性金属を減圧下で蒸着する方法等によって磁性層を施し、必要に応じ適宜表面処理などを施した後に所定の幅のテープ状に裁断し、カセット等に組み込み製品とする。このようにして得られたテ−プは、コンピュ−タメモリ−用のデジタルデ−タストレ−ジ用途に特に好適である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明のシート状物の製造方法を説明する。
【0034】
(実施例1)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相当する4,4−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに99モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、重合前に45nm径のコロイダルシリカを、ポリマ当たり0.2wt%になるように添加して、2時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、固有粘度2.6、溶液粘度3500ポイズ(30℃)の芳香族ポリアミド溶液を得た。このポリマ溶液を1μmカットのフィルターを通した後、口金からステンレス製のエンドレスベルト上にL/B=1.5mmでキャストした後、140℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を有するシートをベルトから連続的に剥離した。次に、60℃の水槽内へシートを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩などを抽出した。さらに250℃のテンタ−で30秒間水分の乾燥と熱処理を行って厚み3.6μmの芳香族ポリアミドシートを得た。この間にシート長手方向と幅方向に各々1.15倍、1.45倍延伸を行なった。
【0035】
このようして得られた芳香族ポリアミドシート状物を、溝幅1mmのトリミング溝を持ったトリミングロールを用い、トリミング溝にセットした刃を使用してシート状物のエッジ部を切断した。トリミングロールは、振幅100mm、周期5分で固定し、エッジトリミングする刃、トリミングロール、シート状物巻き取りロールの全てをシート状物の走行方向に対して90°の角度で揺動させた結果、シート状物は破れることなくエッジ部を除去することができ、巻き姿が良好な幅(ここで言う幅とは、シート状物の走行方向に対して直角方向を指す)2150mm、長さ(ここで言う長さとは、シート状物の走行方向を指す)8500mの巻き取りシート状物を得た。この際に、シート状物の走行方向に対して垂直方向に設置した光源から紫外線光をシート状物に発し、シート状物を介して光源と反対側に設置したCCDカメラに照射させ、シート状物に存在する異物やピンホールの表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置を検出し、欠点発生時間と巻き取り開始時間から、揺動により走行方向に対して直角方向に移動した距離、及び走行方向の位置を特定することで、前記表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報をコンピュータに設置したハードディスクに記憶させた。このようして得られた巻き取りシート状物の中心を2本の製品ロールにスリットする境界上にセットし、表層部分から幅1000mm、長さ7500mの製品ロールを2本採取したところ、ハードディスクから、表面欠点位置の情報をプリンターに出力した結果から得られた表面欠点位置は、実際位置に対して幅方向で1mm、長さ方向で2mの誤差であった。このシート状物の製膜時のエンドレスベルトと接しない側の表面に、磁性粉(メタル粉)80重量部、塩ビ系共重合体10重量部、ポリウレタン10重量部、硬化剤5重量部、研磨剤5重量部、トルエン100重量部、メチルエチルケトン100重量部からなる磁性塗料を調整し、グラビアロールで磁性層の厚みが0.5μmとなるように塗布し、硬化した後カレンダー処理を行った。次にこれを4mm幅にスリットし、VTRカセットに組み込みVTRテープとした。このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生器により100%クロマ信号からカラービデオノイズ測定器でクロマS/N(ここで、S/N=20log(Vs/Vn)、Vs:100%振幅のカラー信号レベル、Vn:リファレンス記録電流で記録・再生し、AM復調及びPM復調した100%レベルにおけるノイズの実効値電圧)を測定した。市販テープを基準として評価し、−2dB未満となった箇所の位置を特定し、プリンターに出力したスリット前のシート状物の表面欠点位置の情報と対応させたところ、幅方向で4mm、長さ方向で5mの誤差であり、表面欠点情報の精度は非常に高く歩留まりの向上が確認できた。
結果を表1に示す。
【0036】
(比較例1)
実施例1において、厚み3.6μmの芳香族ポリアミドシートをエッジトリミングする刃、トリミングロール、シート状物巻き取りロールの全てを揺動させることなく巻き取ったところ、巻き取りシート状物の表層部に凹凸が顕れ、シート状物全面にシート走行方向に多数のしわが発生した。結果を表1に示す。
【0037】
(比較例2)
実施例1において、厚み3.6μmの芳香族ポリアミドシートを、表面欠点位置の情報を記憶媒体に記憶させないで実施例1と同様の方法で7500mの製品ロールを2本採取した。この製品ロールを一面に磁性層を形成し記録磁気媒体としたところ、異物に起因するドロップアウトが多発した部分を事後的に選択し除去すること、ピンホールに起因する磁性層が抜けた部分の全てを事後的に抜出して除去することにより、歩留まりが低下した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003812397
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、溶液製膜されたシート状物をエッジトリミングする刃、トリミングロール、シート状物巻き取りロールの全てを揺動しながら巻くことにより、シート状物の幅方向の厚みむら同一位置で積層されることが無くなるため、巻き取りシート状物の巻き姿を良好にできる。また、シート状物の表面欠点位置情報は上記揺動に追従しているため欠点位置情報が特定でき、その後の工程での歩留まりを向上させることができる。更に揺動するロール上に施した溝中でエッジを揺動する事により、シート状物の破れを防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のシート状物の製造工程を説明するための概略図(斜視図)である。
【図2】 図2は、本発明のシート状物の製造方法で用いられるエッジトリミング装置の概略図(斜視図)である。
【図3】 図3は、本発明で用いられる欠点検出機構を示す概略工程図である。
【図4】 図4は、本発明で用いられる欠点位置情報を読み込む機構を示す工程図である。
【符号の説明】
1:シート状物
2:トリミングロール
3:トリミング溝にセットした刃
4:シート状物巻き取りロール
5:トリミングロールに設けた溝
6:シート状物のエッジ
7:トリミングロールを支持するベアリングを固定するハウジング
8:フレームに対し自由に横移動できるリニアウェイ
9:シリンダー
10:巻き取りシート状物
11:光源
12:CCDカメラ

Claims (4)

  1. シート状物をエッジトリミングし巻き取る工程において、トリミングロールの両端表面に設けられたトリミング溝の中でエッジトリミングするとともに、エッジトリミングする刃、トリミングロールおよびシート状物巻き取りロールを、該シート状物の走行方向に対して直角方向に、5mm以上200mm以下の振幅で揺動させながら巻き取るに際し、シート状物の走行方向に対して垂直方向に設置した光源から光をシート状物に発し、シート状物を介して光源と反対側に設置したCCDカメラに照射させることにより、シート状物に存在する異物やピンホールの表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置を検出し、欠点発生時間と巻き取り開始時間から、揺動により走行方向に対して直角方向に移動した距離、及び走行方向の位置を特定することで、前記表面欠点の走行方向に対して直角方向の位置と走行方向の位置の情報を記憶媒体に記憶することを特徴とするシート状物の製造方法。
  2. 表面欠点位置の情報を記憶した記憶媒体から、表面欠点位置の情報を出力、もしくは通信を通じて特定できることを特徴とする請求項記載のシート状物の製造方法。
  3. シート状物が芳香族ポリアミドからなることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のシート状物の製造方法において得られたシート状物の少なくとも一面に磁性層を形成してなる記録磁気媒体。
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