JP3812096B2 - 分流器およびこの分流器を用いた冷凍サイクル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍装置や空気調和機などに用いられる冷凍サイクルで冷媒を分配する分流器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍装置や空気調和機などにおいて、冷媒入口に複数の冷媒流路を有する蒸発器の前記複数の冷媒流路のそれぞれの上流側に前記複数例えば2つの冷媒流路のそれぞれに必要な冷媒流量に応じてそれぞれ適切な3.2mm以下例えば1.8mmの内径と適切な長さにしたキャピラリーチューブと呼ばれる円管を用い、前記熱交換器の前記複数の冷媒流路のそれぞれに適切な流量の冷媒を分配する方式が用いられることがある。
【0003】
このとき、前記キャピラリーチューブのさらに上流に用いられる従来の分流器は、冷媒流入管の内断面積が、前記冷媒流入管と上流側の部品例えば膨張弁の出口管とを同じ内径例えば5mmの円管で接続する関係から前記キャピラリーチューブの内断面積の合計の3.5倍以上のものであった。例えば、2つの内径1.8mmのキャピラリーチューブの内断面積の合計は20.4mm2 であるのに対して、内径5mmの冷媒流入管の内断面積は78.5mm2 なので、3.85倍であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、分流器の上流側の冷媒流入管内の冷媒流速と下流側の冷媒流出管であるキャピラリーチューブ内の冷媒流速に大きな差があるため冷媒は分流器内で急激に加速され偏流や乱れが生じ、冷媒をおよそ所定の流量比に分配させることが困難であるという課題を有していた。
【0005】
また、HCFC系冷媒R22の代替冷媒候補であるHFC系冷媒R410Aは、R22に比べて高密度であり冷媒の流動の様子が異なり、R410Aの冷凍サイクルにもR22の冷凍サイクルと同じ分流器を使用すると、冷媒をおよそ所定の流量比に分配させることはさらに困難になるという課題を有していた。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、冷媒を安定した所定の流量比に分配させる分流器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の分流器は、内径3.2mm以下の複数の冷媒流出管と、前記冷媒流出管の内断面積の合計の略1〜3倍の内断面積を有する一つの冷媒流入管とが、前記冷媒流入管の先端開口部と前記複数の冷媒流出管の先端開口部との距離が略5mmとなるように挿入されたものである。
【0008】
上記分流器は、前記冷媒流入管の内断面積を前記複数の冷媒流出管の内断面積の略1倍〜3倍にすることによって、冷媒は分流器内で急激に加速されることがなくなり円滑に流れるので、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出する。すなわち安定した所定の冷媒流量比が得られる。そして、分流器内の空間で冷媒が滞留することがほとんどなく、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明における分流器は、内径3.2mm以下の複数の冷媒流出管と、前記冷媒流出管の内断面積の合計の略1〜3倍の内断面積を有する一つの冷媒流入管とが、前記冷媒流入管の先端開口部と前記複数の冷媒流出管の先端開口部との距離が略5mmとなるように挿入されたものである。そしてこの構成によれば、冷媒は分流器内で急激に
加速されることがなくなり円滑に流れるので、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。そして、分流器内の空間で冷媒が滞留することがほとんどなく、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の分流器において、複数の冷媒流出管の先端開口面が略同一平面上に配置され、さらに複数の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面が冷媒流入管の先端開口部に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されたものである。そしてこの構成によれば、複数の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面は冷媒流入管の先端開口面に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されるので、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の分流器において、冷媒流入管の先端開口面と冷媒流出管の先端開口面とが略平行に向かい合うように配置されたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管が複数の前記冷媒流出管のいずれかに向いていることがないので、冷媒は複数の前記冷媒流出管のいずれかに偏って流れることがなく、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管の全長を90mm以上としたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は90mm以上の長さの冷媒流入管を流れている間に整流され、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管を直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工したものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された前記冷媒流入管を流れている間に遠心力で整流され、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管の分流器への流入直前部に略20mm以上の直線部を設けたものである。そしてこの構成によれば、冷媒が直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された前記冷媒流入管を流れている間に遠心力による新たな偏流を生じても分流器への流入直前部に設けられた略20mm以上の直線部で整流されるので、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の分流器において、複数の冷媒流出管の中心線が一つの平面で平行に並ぶよう分流器に挿入され、冷媒流入管の曲げ加工の方向を前記冷媒流出管の中心線を含む平面に対して直角方向としたものである。そしてこの構成によれば、冷媒が前記冷媒流入管から分流器に流入するときにまだわずかの偏流が残っていてもその偏流方向は前記冷媒流出管の中心線を含む平面に対して直角方向なので、冷媒が複数の前記冷媒流出管のいずれかに偏って流れ出すことはなく、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分流器において、複数の冷媒流出管の分流器への挿入代を略8mm以上としたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流出管を分流器に挿入する際、前記冷媒流出管の傾きが生じにくくほぼ同じ方向に向かせることができるので、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の
流量比で流出することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管から分流器に流入する冷媒の主流方向および分流器から複数の冷媒流出管に流出する冷媒のそれぞれの主流方向を略鉛直方向としたものである。そしてこの構成によれば、重力による冷媒の偏流がなくなり、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分流器において冷媒としてHFC系冷媒R410Aを用いたものである。そしてこの構成によれば、HCFC系冷媒R22に対して高密度のHFC系冷媒R410Aを用いる場合にも各効果がさらに有効に作用し、冷媒は冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分流器を用いた冷凍サイクルである。そしてこの構成によれば、冷媒は分流器から冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができるので、蒸発器が所定の能力を発揮し、冷凍サイクルが安定した所定の能力を発揮できる。
【0020】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)は本実施例の分流器1に冷媒流入管2および2本の冷媒流出管3を挿入した組立完成状態の正面図、(b)はその平面図、図2(a)は本実施例の分流器1の正面図、(b)はその平面図、図3(a)は本実施例の分流器1に挿入される冷媒流入管2の正面図、(b)はその平面図である。
【0022】
図1乃至図3において、分流器1には1本の冷媒流入管2と2本の内径2mm以下の冷媒流出管3とが挿入され溶接などの方法で固定される。冷媒流入管2はその内断面積が2本の冷媒流出管3の内断面積の合計の略1〜3倍となるものを用いる。2本の冷媒流出管3の先端開口面4は略同一平面上に配置され、さらに2本の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面4が冷媒流入管の先端開口面5に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されている。また冷媒流入管2の先端開口面4と冷媒流出管3の先端開口面5とは略平行に向かい合うように配置されている。
【0023】
冷媒流入管2の全長は90mm以上で、分流器1への流入直前部に長さL1が略20mm以上の直線部6を設け、その上流側に直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工が施されている。2本の冷媒流出管3の中心線は一つの平面で平行に並ぶよう分流器1に挿入され、冷媒流入管2の曲げ加工の方向は2本の冷媒流出管3の中心線を含む平面に対して直角方向となるように分流器1に挿入される。
【0024】
2本の冷媒流出管3の分流器1への挿入代L2が略8mm以上となるよう、例えば冷媒流出管3の所定の位置に環状の突起7を設ける。また、分流器1内部の冷媒流入管2の先端開口部4と2本の冷媒流出管3の先端開口部5との距離L3が略5mmとなるよう、例えば冷媒流入管2の所定の位置に半球状の突起8を設ける。
【0025】
冷媒流入管2から分流器1に流入する冷媒の主流方向および分流器1から2本の冷媒流出管3に流出する冷媒のそれぞれの主流方向は略鉛直方向となるように配置する。
【0026】
また、本発明の分流器はHCFC系冷媒R22に対して用いることができるだけでなく
、R22の代替冷媒候補であるHFC系冷媒R410Aに対しても用いることができる。
【0027】
そしてこの実施例の構成によれば、
(1)分流器1に内径3.2mm以下の2本の冷媒流出管3と、冷媒流出管3の内断面積の合計の略1〜3倍の内断面積を有する一つの冷媒流入管2とが挿入されていることにより、冷媒は分流器1の内部で急激に加速されることがなくなり円滑に流れるので、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0028】
(2)2本の冷媒流出管3の先端開口面5が略同一平面上に配置され、さらに2本の冷媒流出管3のそれぞれの先端開口面5が冷媒流入管2の先端開口面4に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されていることにより、2本の冷媒流出管3のそれぞれの先端開口面5は冷媒流入管2に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されるので、冷媒は冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0029】
(3)冷媒流入管2の先端開口面4と冷媒流出管3の先端開口面5とが略平行に向かい合うように配置されたことにより、冷媒流入管2が2本の冷媒流出管3のいずれかに向いていることがないので、冷媒は2本の前記冷媒流出管のいずれかに偏って流れることがなく、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0030】
(4)冷媒流入管2の全長を90mm以上としたことにより、冷媒流入管3のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は90mm以上の長さの冷媒流入管2を流れている間に整流され、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0031】
(5)冷媒流入管2を直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工したことにより、冷媒流入管2のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された冷媒流入管2を流れている間に遠心力で整流され、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0032】
(6)冷媒流入管2の分流器1への流入直前部に長さL1が略20mm以上の直線部6を設けたことにより、冷媒が直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された冷媒流入管2を流れている間に遠心力による新たな偏流を生じても分流器1への流入直前部に設けられた長さL1が略20mm以上の直線部6で整流されるので、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0033】
(7)2本の冷媒流出管3の中心線が一つの平面で平行に並ぶよう分流器1に挿入され、冷媒流入管2の曲げ加工の方向を冷媒流出管3の中心線を含む平面に対して直角方向としたことにより、冷媒が冷媒流入管2から分流器1に流入するときにまだわずかの偏流が残っていてもその偏流方向は冷媒流出管3の中心線を含む平面に対して直角方向なので、冷媒が2本の冷媒流出管3のいずれかに偏って流れ出すことはなく、冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0034】
(8)2本の冷媒流出管3の分流器1への挿入代L2を略8mm以上としたことにより、冷媒流出管3を分流器1に挿入する際、冷媒流出管3の傾きが生じにくくほぼ同じ方向に向かせることができ、また冷媒流入管2から2本の冷媒流出管3までのそれぞれの距離をほぼ等しくできるので、冷媒は冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0035】
(9)分流器1の内部の冷媒流入管2の先端開口部4と2本の冷媒流出管3の先端開口
部5との距離L3を略5mmとしたことにより、分流器1の内部の空間で冷媒が滞留することがほとんどなく、冷媒は冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0036】
(10)冷媒流入管2から分流器1に流入する冷媒の主流方向および分流器1から2本の冷媒流出管3に流出する冷媒のそれぞれの主流方向を略鉛直方向としたことにより、重力による冷媒の偏流がなくなり、冷媒は冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0037】
(11)冷凍サイクルにHFC系冷媒R410Aを用いる場合でも本実施例の分流器1を使用したことにより、HCFC系冷媒R22に比べて高密度で流動の様子も異なるであるがHFC系冷媒R410Aを用いる場合にも以上の各効果がさらに有効に作用し、冷媒は冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができる。
【0038】
(12)本実施例の分流器1を用いた冷凍サイクルは、冷媒を分流器1から冷媒流出管3のそれぞれに安定した所定の流量比で流出させることができるので、蒸発器が所定の能力を発揮し、冷凍サイクルが安定した所定の能力を発揮する。
【0039】
なお、上記実施例では、冷媒流出管3の本数を2本として説明したが、3本以上でも同様の効果を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、
請求項1に記載の発明における分流器は、内径3.2mm以下の複数の冷媒流出管と、前記冷媒流出管の内断面積の合計の略1〜3倍の内断面積を有する一つの冷媒流入管とが、前記冷媒流入管の先端開口部と前記複数の冷媒流出管の先端開口部との距離が略5mmとなるように挿入されたものである。そしてこの構成によれば、冷媒は分流器内で急激に加速されることがなくなり円滑に流れるので、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。また、分流器内の空間で冷媒が滞留することがほとんどなく、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0041】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の分流器において、複数の冷媒流出管の先端開口面が略同一平面上に配置され、さらに複数の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面が冷媒流入管の先端開口部に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されたものである。そしてこの構成によれば、複数の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面は冷媒流入管の先端開口面に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置されるので、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0042】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の分流器において、冷媒流入管の先端開口面と冷媒流出管の先端開口面とが略平行に向かい合うように配置されたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管が複数の前記冷媒流出管のいずれかに向いていることがないので、冷媒は複数の前記冷媒流出管のいずれかに偏って流れることがなく、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0043】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管の全長を90mm以上としたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は90mm以上の長さの冷媒流入管を流れている間に整流され、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0044】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管を直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工したものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流入管のさらに上流で冷媒の流れに乱れや偏りがあっても、冷媒は直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された前記冷媒流入管を流れている間に遠心力で整流され、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0045】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管の分流器への流入直前部に略20mm以上の直線部を設けたものである。そしてこの構成によれば、冷媒が直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工された前記冷媒流入管を流れている間に遠心力による新たな偏流を生じても分流器への流入直前部に設けられた略20mm以上の直線部で整流されるので、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0046】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の分流器において、複数の冷媒流出管の中心線が一つの平面で平行に並ぶよう分流器に挿入され、冷媒流入管の曲げ加工の方向を前記冷媒流出管の中心線を含む平面に対して直角方向としたものである。そしてこの構成によれば、冷媒が前記冷媒流入管から分流器に流入するときにまだわずかの偏流が残っていてもその偏流方向は前記冷媒流出管の中心線を含む平面に対して直角方向なので、冷媒が複数の前記冷媒流出管のいずれかに偏って流れ出すことはなく、前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0047】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分流器において、複数の冷媒流出管の分流器への挿入代を略8mm以上としたものである。そしてこの構成によれば、前記冷媒流出管を分流器に挿入する際、前記冷媒流出管の傾きが生じにくくほぼ同じ方向に向かせることができ、また冷媒流入管から複数の前記冷媒流出管までのそれぞれの距離をほぼ等しくできるので、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0048】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分流器において、冷媒流入管から分流器に流入する冷媒の主流方向および分流器から複数の冷媒流出管に流出する冷媒のそれぞれの主流方向を略鉛直方向としたものである。そしてこの構成によれば、重力による冷媒の偏流がなくなり、冷媒は前記冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0049】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分流器において冷媒としてHFC系冷媒R410Aを用いたものである。そしてこの構成によれば、HCFC系冷媒R22に対して高密度のHFC系冷媒R410Aを用いる場合にも各効果がさらに有効に作用し、冷媒は冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出するという効果を奏する。
【0050】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分流器を用いた冷凍サイクルである。そしてこの構成によれば、冷媒は分流器から冷媒流出管のそれぞれに安定した所定の流量比で流出することができるので、蒸発器が所定の能力を発揮し、冷凍サイクルが所定の能力を発揮するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の一実施例の分流器の組立完成状態を示す正面図
(b)その平面図
【図2】 (a)本発明の一実施例の分流器の正面図
(b)その平面図
【図3】 (a)本発明の一実施例の分流器に挿入される冷媒流入管の正面図
(b)その平面図
【符号の説明】
1 分流器
2 冷媒流入管
3 冷媒流出管
4 冷媒流入管の先端開口部
5 冷媒流出管の先端開口部
6 冷媒流入管の直線部
R 冷媒流入管の曲げ半径
L1 冷媒流入管の直線部の長さ
L2 冷媒流出管の分流器への挿入代
L3 冷媒流入管の先端開口部と冷媒流出管の先端開口部との距離
Claims (11)
- 内径3.2mm以下の複数の冷媒流出管と、前記冷媒流出管の内断面積の合計の略1〜3倍の内断面積を有する一つの冷媒流入管とが、前記冷媒流入管の先端開口部と前記複数の冷媒流出管の先端開口部との距離が略5mmとなるように挿入された分流器。
- 複数の冷媒流出管の先端開口面が略同一平面上に配置され、さらに複数の前記冷媒流出管のそれぞれの先端開口面が冷媒流入管の先端開口面に対しておよそ同じ距離の位置に並んで配置された請求項1記載の分流器。
- 冷媒流入管の先端開口面と冷媒流出管の先端開口面とが略平行に向かい合うように配置された請求項2記載の分流器。
- 冷媒流入管の全長を90mm以上とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の分流器。
- 冷媒流入管を直径略30mm〜略50mmの半円弧状に折り曲げ加工した請求項1〜4のいずれか1項に記載の分流器。
- 冷媒流入管の分流器への流入直前部に略20mm以上の直線部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の分流器。
- 複数の冷媒流出管の中心線が一つの平面で平行に並ぶよう分流器に挿入され、冷媒流入管の曲げ加工の方向を前記冷媒流出管の中心線を含む平面に対して直角方向とした請求項5記載の分流器。
- 複数の冷媒流出管の分流器への挿入代を略8mm以上とした請求項1〜7のいずれか1項に記載の分流器。
- 冷媒流入管から分流器に流入する冷媒の主流方向および分流器から複数の冷媒流出管に流出する冷媒のそれぞれの主流方向を略鉛直方向とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の分流器。
- 冷媒としてHFC系冷媒R410Aを用いた請求項1〜9のいずれか1項に記載の分流器。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の分流器を用いた冷凍サイクル。
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