JP3811909B2 - 伝熱管およびそれを用いた熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍・空調装置に用いられる熱交換器と、その熱交換器の蒸発管および凝縮管として主に使用される伝熱管とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばハイドロクロロフルオロカーボン類であるHCFC−22などの冷媒を作動流体とする従来の冷凍・空調装置の熱交換器に用いられる伝熱管としては、管内周面に複数の突条が螺旋状に形成された螺旋溝付管、または、管内周面に螺旋方向が異なる2つの突条が2つ組み合わされて螺旋状に複数形成された溝付管(以下、ダブル溝付管という)などがある。
【0003】
図8は冷凍・空調装置に用いられる熱交換器の模式図、図9は熱交換器に用いられている従来の伝熱管の斜視図、その斜視図のC−C1展開図および斜視図D部分の拡大断面図である。図において、11はほぼ中間点においてU字状に折り曲げられた(折り曲げ部11c)螺旋溝付管11aまたはダブル溝付管11bである伝熱管、12は縦に所定間隔をおいて平行に複数枚配列されたフィンで、伝熱管11はフィン12に対して垂直にかつ隣接して設置され、各フィン12を貫通している。13は隣接する伝熱管11の端部を結合するU字型ベンドで、伝熱管11、フィン12およびベンド13によって熱交換器1が構成されている。そして、冷媒は伝熱管11およびベンド13の内部を流れてフィン12間を流れる空気との間で熱交換し、伝熱管11内においては冷媒の蒸発あるいは凝縮の相変化が起こる。
【0004】
また、伝熱管11である螺旋溝付管11aは、図9(b),(c)に示すように、その管内周面に複数の突条14が管軸方向に対して螺旋状に多数形成されており、伝熱管11であるダブル溝付管11bは、図9(d),(e)に示すように、管内周面に螺旋方向が異なる2つの突条16が2つ組み合わされて管内周全体でほぼW字状になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成されている。そして、螺旋溝付管11aおよびダブル溝付管11bは、造管および溶接加工を経て形成され、図9(b),(d)に示すように、造管加工前の平板状の伝熱面(造管加工後の管内周面)において溝加工を施した後、伝熱面の両端部18a,18bを溶接して平板状から管状に造管する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の熱交換器1においては、その伝熱管11である螺旋溝付管11aまたはダブル溝付管11b内を流れる冷媒とフィン12間を流れる空気との間で熱交換されるとき、蒸発熱および凝縮熱が発生するが、これらの熱の伝達率は大きければ大きいほど螺旋溝付管11aまたはダブル溝付管11bである伝熱管11の伝熱性能が高くなることになる。
【0006】
図10および図11は螺旋溝付管11aとダブル溝付管11bの平均蒸発熱伝達率および平均凝縮熱伝達率を示す線図で、曲線aが螺旋溝付管11a、曲線bがダブル溝付管11bを示している。図10,11から明らかなように、螺旋溝付管11aは、質量速度の大きな高流量域あるいは質量速度の小さな低流量域のいずれでも蒸発熱伝達率および凝縮熱伝達率がダブル溝付管11bに比べて低くなっており、螺旋溝付管11aとダブル溝付管11bとではダブル溝付管11bを伝熱管11として用いることが好ましいことがわかる。しかしながら、ダブル溝付管11bは、質量速度の大きな高流量域では螺旋溝付管11aよりも大きな熱伝達率を示すものの、質量速度の小さな低流量域では螺旋溝付管11aとほぼ等しい熱伝達率まで低下してしまう。この傾向は単一冷媒や混合冷媒に関わらず同様である。なお、図11においてダブル溝付管11bの凝縮熱伝達率が低流量域においても螺旋溝付管11aより大きな値を示すのは、図9(c),(e)に示すように、この場合のダブル溝付管11bの突条16が螺旋溝付管11aの突条14に比べて凝縮に有利な高くて細い形状であるためである。
【0007】
つまり、ダブル溝付管11bにおいては、図9(d),(e)に示すように、高流量域では突条16間の溝部17に沿って流れる冷媒の液膜の速度が速いため、隣接する螺旋方向が異なる溝部17a,17bとの交差部17cで液膜同志が衝突して伝熱促進に寄与する乱れが発生するが、低流量域では液膜の速度が遅くなりこのような液膜の衝突効果が小さくなるため、熱伝達率が低下してしまうという問題があった。また、螺旋溝付管11aにおいては、図9(b),(c)に示すように、突条14間の溝部15で螺旋溝付管11aの底部の液膜を頂部へ引き上げようとする毛細管力が生じ、これが伝熱を促進する。すなわち、冷媒の蒸発では毛細管力によって引き上げられた冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大して熱伝達率が促進され、凝縮では毛細管力によって引き上げられた冷媒の液膜で埋もれない突条14の先端部14aで非常に高い凝縮熱伝達率が得られる。しかしながら、ダブル溝付管11bにおいては隣接する螺旋方向が異なる溝部17a,17bとの交差部17cで溝幅G2が他の部分より大きくなるため、この交差部17cで毛細管力が非常に小さくなり、高い熱伝達率を示す領域が減少して熱伝達率が低下してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、全流量域に渡って高い熱伝達率が得られる伝熱性能の向上した伝熱管およびそれを用いた熱交換器を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成し、突条を、山頂角が10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成した先端部と、管内周面と突条側面とのなす角が30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成した軸部とにより構成したものである。
【0010】
また、突条の断面形状を、先端山形状、ほぼ菱形状またはほぼ矢印状としたものである。
【0011】
本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に、複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、熱交換器に設置したときの底部および頂部に突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に設けて2つの突条部を形成し、突条部の一方の螺旋方向を他方の突条部の螺旋方向と異なるようにしたものである。
【0016】
本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に、螺旋方向が異なる2つの突条をこの突条間の溝部の幅が熱交換器に設置したときの底部で最大、頂部で最小になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成したものである。
【0017】
また、管軸方向のあらかじめ設定された間隔毎に突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直または螺旋状に設けて複数の突条部を形成したものである。
【0018】
本発明に係る熱交換器は、フィンおよび伝熱管を備えこの伝熱管内に冷媒を流して外部空気と熱交換する熱交換器において、上述の伝熱管を少なくとも一部に用いたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
図1は本発明の第1の実施形態の一部を示す斜視図、図2はそのB部分の拡大断面図である。図において、2は図8で説明した熱交換器1に用いられる伝熱管で、管内周面に複数の突条3が管軸方向に対して螺旋状に形成されている。また、突条3は、図2に示すように、山頂角θが10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成された先端部3aと、管内周面と突条側面とのなす角αが30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成された軸部3bとから構成され、突条3の高さHは、伝熱管2の管内径Rが7mm〜13mmの範囲内にあるとき0.15mm以上管半径r以内になるように形成されている。そして、伝熱管2は、図8に示すように、そのほぼ中間部においてU字状に折り曲げられ(折り曲げ部2a)、フィン12に対して垂直にかつ隣接して設置されて各フィン12を貫通し、隣接する伝熱管2の端部をベンド13によって結合させて熱交換器1を構成する。
【0020】
このように構成した熱交換器1において、伝熱管2およびベンド13の内部に冷媒を流すと、その冷媒とフィン12間を流れる空気との間で熱交換が行われ、伝熱管2内においては冷媒の凝縮および蒸発の相変化が起こる。そして、冷媒の凝縮では、突条3の先端部3aで凝縮した冷媒が先端部3aから流れ落ち、軸部3bを伝って突条3間の溝部4に流れ込む。この時、軸部3bの側面と管内周面とのなす角αが30度〜90度の範囲内であるため、冷媒は溝部4内に容易に流れ込み、突条3の先端部3aが冷媒の液膜に埋もれない状態が維持されて、冷媒と伝熱管2の外部空気とが熱交換される。また、冷媒の蒸発では、凝縮の場合と同様に冷媒が先端部3aから流れ落ち、軸部3bを伝って突条3間の溝部4に流れ込む。この時、軸部3bの側面と管内周面とのなす角αが30度〜90度の範囲内であるため、図9に示した従来の伝熱管11の突条14,16の場合と比較して突条3間の溝部4内に冷媒が保持されやすくなり、沸騰が促進されるとともに冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大し、冷媒は蒸発しつつ冷媒と伝熱管2の外部空気との間で熱交換される。
【0021】
このように、伝熱管2の突条3の先端部3aをその山頂角θが10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成し、突条3の軸部3bをその側面と管内周面とのなす角αが30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成したので、熱交換時において伝熱管2での冷媒の凝縮では、突条3の先端部3aで凝縮した冷媒は先端部3aから流れ落ちて突条3間の溝部4内に容易に流れ込み、先端部3aが冷媒の液膜に埋もれない状態が維持されて常に高い凝縮熱伝達率が得られ、伝熱性能を向上させることができる。また、冷媒の蒸発では、冷媒が突条3間の溝部4内で保持されて沸騰が促進されるとともに、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積を増大させることができ、伝熱性能が向上した伝熱管2を得ることができる。
【0022】
ここで、突条3の先端部3aの山頂角θを60度を越えた大きさに形成すると、先端部3aで凝縮した冷媒が突条3間の溝部4内に流れにくくなるため先端部3aにとどまってしまい、先端部3aが冷媒の液膜に埋もれてしまって高い凝縮熱伝達率が得られない。また、突条3の軸部3bの側面と管内周面とのなす角αを90度を越えた大きさに形成すると、溝部4内に冷媒が保持されにくくなり、30度より小さく形成すると、冷媒が溝部4内に流れ込みにくくなるため、毛細管力が小さくなって有効伝熱面積が減少し、高い蒸発熱伝達率が得られない。したがって、山頂角θは10度〜60度の範囲内が好ましく、軸部3bの側面と管内周面とのなす角αは30度〜90度の範囲内が好ましい。
【0023】
なお、上述の実施形態では伝熱管2の突条3を山頂角θが10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成された先端部3aと、側面と管内周面とのなす角αが30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成された軸部3bにより構成し、突条3の断面形状を先端山形状に形成した場合を示したが、図3(a)に示すように、突条3の断面形状がほぼ菱形状になるように形成してもよく、図3(b)に示すように、突条の断面形状がほぼ矢印状になるように形成してもよい。これらの場合も同様の効果を奏する。
【0024】
実施形態2.
図4は本発明の第2の実施形態の一部を示すA−A1展開図およびA−A断面図で、この実施形態は、第1の実施形態の伝熱管2(図1参照)において、管内周面に複数の突条3を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、熱交換器1に設置したときの底部および頂部に突条3が形成されていない平滑部5をあらかじめ設定された幅で管軸方向に設けて2つの突条部6A,6Bを形成し、一方の突条部6Aの螺旋方向を他方の突条部6Bの螺旋方向と異なるように構成したものである。
【0025】
このように構成したこの実施形態においても、第1の実施形態で説明した場合と同様に、熱交換器1に設置された伝熱管2およびベンド13の内部に図4の矢印Xの方向(管軸方向)に冷媒を流すと、冷媒は伝熱管2の底部から頂部に向かって突条3間の溝部4に沿いかつ左右両側に旋回流を形成しながら流れて、フィン12間を流れる空気との間で熱交換が行われ、伝熱管2内においては冷媒の凝縮および蒸発の相変化が起こる。冷媒の凝縮では、突条3の先端部3aで凝縮した冷媒が先端部3aから流れ落ち、軸部3bを伝って突条3間の溝部4に流れ込んで溜まるとともに、平滑部5で多量に保持されて、冷媒と伝熱管2の外部空気とが熱交換される。そして、旋回流によって溝部4に挟まれた冷媒の液膜は頂部に引き上げられて底部の液膜を薄くする。また、冷媒の蒸発では、凝縮の場合と同様に冷媒が先端部3aから流れ落ち、軸部3bを伝って突条3間の溝部4に流れ込んで平滑部5に多量に保持されるとともに、溝部4に挟まれた冷媒の液膜は頂部に引き上げられて底部の液膜を薄くし、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積を増大して冷媒と伝熱管2の外部空気が熱交換される。
【0026】
ところで、伝熱管2の造管工程は、通常、伝熱管2のU字曲げ加工→フィン12への挿入→ベンド13の取り付けの順に行われるため、伝熱管2はそのU字曲げ部2a(図8参照)を中心に底部と頂部が逆転することになる。しかしながら、この実施形態に係る伝熱管2は底部と頂部の2個所に平滑部5を設けているので、底部と頂部が逆転して設置されても常に伝熱管2の底部と頂部には平滑部5が位置し、この平滑部5に多量の冷媒が保持される。
【0027】
このように、管内周面に複数の突条3を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、底部および頂部に平滑部5を管軸方向に設けて2つの突条部6A,6Bを形成し、一方の突条部6Aの螺旋方向を他方の突条部6Bの螺旋方向と異なるように構成したので、底部から頂部に向かう冷媒の旋回流が溝部4に沿って左右両側に形成され、突条3間の溝部4に挟まれた冷媒の液膜が頂部へ引き上げられ易くなる。これにより、冷媒の蒸発では、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大して熱伝達率が促進され、凝縮の場合も底部の液膜が薄くなって突条3の先端部3aの冷媒の液膜により埋もれていない領域が増加し、高い凝縮熱伝達率が得られて伝熱性能を向上することができる。また、凝縮の場合、底部に設けた平滑部5に多量の冷媒が保持されるので、側部では突条3間の溝部4の液膜が薄くなって突条3の先端部3aの液膜により埋もれていない領域が増加し、高い凝縮熱伝達率を得ることができる。
【0028】
実施形態3.
図5は本発明の第3の実施形態の一部を示すA−A1展開図で、この実施形態は、第1の実施形態のA−A1で展開した伝熱管2において、管内周面に複数の突条3を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、突条3が形成されていない平滑部5をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直に設けて複数の突条部6を形成し、各突条部6を、突条3の先端部3aによって形成された突条先端線の延長線7が隣接する突条部6の突条3間の溝部4に位置するように形成したものである。
【0029】
このように構成したこの実施形態においても、第1の実施形態で説明した場合と同様に、熱交換器1に設置された伝熱管2およびベンド13の内部に図5の矢印Xの方向(管軸方向)に冷媒を流すと、冷媒は突条3間の溝部4に沿って旋回流を形成しながら流れてフィン12間を流れる空気との間で熱交換が行われ、伝熱管2内においては冷媒の凝縮および蒸発の相変化が起こる。この時、突条部6を流れる冷媒は各突条3において伝熱抵抗である温度境界層8を形成する。この温度境界層8は高い熱伝達率を得るために薄くする必要があるが、突条部6の入口6aでは非常に薄くなっているものの突条3に沿って流れるにしたがって連続的に発達して厚くなる(以下、前縁効果という)。そして、1つの突条部6を通過する間に充分発達した冷媒の温度境界層8は平滑部5を経て次の突条部6に流入される。この時、各突条部6は突条先端線の延長線7が隣接する突条部6の突条3間の溝部4に位置するように形成されているので、次の突条部6に流れる冷媒はその入口6a付近で混合して乱れ、各突条3で発達した冷媒の温度境界層8は破壊される。
【0030】
このように、管内周面に複数の突条3を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、平滑部5をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直に設けて複数の突条部6を形成し、各突条部6を突条先端線の延長線7が隣接する突条部6の突条3間の溝部4に位置するように形成しているので、冷媒の蒸発では、冷媒が突条3間の溝部4内に保持され毛細管力が大きくなり、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大して熱伝達率が促進され、凝縮の場合も平滑部5に多量の冷媒が保持されて突条3の先端部3aの冷媒の液膜により埋もれていない領域が増加し、高い凝縮熱伝達率が得られて伝熱性能を向上することができる。また、前縁効果によって各突条3で発達し厚くなった冷媒の温度境界層8は、次の突条部6の入口6a付近で冷媒が混合してその流れに乱れが生じることによって破壊され、次の突条部6では薄くなるため、高い熱伝達率が得られて伝達性能の向上した伝熱管2を得ることができる。
【0031】
なお、上述の実施形態では各突条部6の螺旋方向を同一にした場合を示したが、図6に示すように、各突条部6のうち少なくとも1つの突条部6の螺旋方向を他の突条部と異なるように構成してもよく、さらに平滑部5を省略したものとしてもよい。これらの場合、各突条部6で形成された冷媒の流れが異なるため、次の突条部6の入口6a付近で流れの乱れが生じ、各突条3で形成された温度境界層8が破壊されて熱伝達率の促進を図ることができる。また、図6に示す伝熱管2において、各突条部6を突条先端線の延長線7が隣接する突条部6の突条3間の溝部4に位置するように形成してもよく、この場合も同様の効果を奏する。さらに、平滑部5を管軸方向に対して螺旋状に設けてもよく、この場合も同様に効果を奏する。
【0032】
実施形態4.
図7は本発明の第4の実施形態の一部を示すA−A1展開図で、この実施形態は、第1の実施形態のA−A1で展開した伝熱管2において、管内周面に螺旋方向が異なる2つの突条3A,3Bを突条3間の溝部4の幅G1が熱交換器1に設置したときの底部で最大、頂部で最小になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成し、管軸方向のあらかじめ設定された間隔毎に突条3が形成されていない平滑部5をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直に設けて複数の突条部6を形成したものである。なお、伝熱管2はその造管工程のU字曲げ加工時において、伝熱管2のU字曲げ部2aを中心に底部と頂部が逆転するが、各伝熱管2はベンド13によってそれぞれ結合されたときに底部と頂部は元の位置にもどるため、この伝熱管2を熱交換器1全体に用いることができる。
【0033】
このように構成したこの実施形態においても、第1の実施形態で説明した場合と同様に、熱交換器1に設置された伝熱管2およびベンド13の内部に図7の矢印Xの方向(管軸方向)に冷媒を流すと、冷媒は伝熱管2の底部から頂部に向かって突条3間の溝部4に沿いかつ左右両側に旋回流を形成しながら流れ、フィン12間を流れる空気との間で熱交換が行われる。伝熱管2内においては冷媒の凝縮および蒸発の相変化が起こる。この時、突条3間の溝部4の冷媒の液膜は、その重力と底部から頂部に引き上げる毛細管力とがつり合う高さまで引き上げられる。この毛細管力は溝部4の幅G1が小さいほど大きくなり、底部から頂部に向かうほど大きな毛細管力が生じる。また、各突条3では冷媒の温度境界層8が形成されるが、冷媒は平滑部5と突条部6の入口6a付近で混合して流れが乱れ、発達した冷媒の温度境界層8が破壊される。
【0034】
このように、管内周面に螺旋方向が異なる2つの突条3A,3Bを突条3間の溝部4の幅G1が熱交換器1に設置したときの底部で最大、頂部で最小になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成しているので、毛細管力が頂部に向かうにしたがって大きくなり、冷媒の蒸発では伝熱に寄与する有効伝熱面積が増大して熱伝達率が促進され、冷媒の凝縮でも高い凝縮熱伝達率が得られる突条3の先端部3aの冷媒の液膜により埋もれていない領域が増加して伝熱性能を向上させることができる。また、管軸方向のあらかじめ設定された間隔毎にあらかじめ設定された幅の平滑部5を管軸方向に対して垂直に設けて複数の突条部6を形成しているので、前縁効果によって発達し厚くなった冷媒の温度境界層8は、平滑部5および次の突条部6の入口6a付近で混合された冷媒の流れの乱れによって破壊され、次の突条部6では薄くなるため、高い熱伝達率が得られて伝達性能の向上した伝熱管2を得ることができる。
【0035】
さらに、熱交換器1を蒸発器として用いた場合、乾き度の大きな領域では冷媒の流動状態が環状流または半環状流となり、薄い液膜が管内周面全域に渡って形成されるので大きな熱伝達率が得られるが、乾き度の小さな領域では流動状態が分離流となり易く、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が減少して熱伝達率が低下する。このような場合、特に乾き度の小さな蒸発器の上流部に上述した伝熱管2を適用すると、毛細管力が増大し、伝熱に寄与する有効伝熱面積が増加して熱伝達率の促進が得られる。
【0036】
なお、上述の実施形態では平滑部5を管軸方向に対して垂直に設けた場合を示したが、管軸方向に対して螺旋状に設けてもよく、平滑部5を省略してもよい。これらの場合も同様の効果を奏する。
【0037】
また、上述の第2〜第4の実施形態では伝熱管2の管内周面に設けた突条3を図2に示した形状で構成した場合を示したが、突条3の形状はこれに限定するものではなく、例えば図3(a),(b)に示したものでもよく、また、図9に示した従来の突条14,16としてもよい。これらの場合も同様の効果を奏する。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成し、突条を、山頂角が10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成した先端部と、管内周面と突条側面とのなす角度が30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成した軸部とにより構成し、突条の断面形状を、先端山形状、ほぼ菱形状またはほぼ矢印状としたので、伝熱管内に冷媒を流して外部空気との熱交換が行われると、冷媒の凝縮では突条間の溝部に冷媒が容易に流れ込んで突条の先端部が冷媒の液膜によって埋もれない状態が維持され、常に高い凝縮熱伝達率を得ることができるとともに、冷媒の蒸発では突条間の溝部に冷媒が保持されやすくなって沸騰が促進され、冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大して伝熱性能の向上した伝熱管を得ることができる。
【0039】
本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に、複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、熱交換器に設置したときの底部および頂部に突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に設けて2つの突条部を形成し、突条部の一方の螺旋方向を他方の突条部の螺旋方向と異なるようにしたので、伝熱管内に冷媒を流して外部空気との熱交換が行われると、伝熱管の底部から頂部に向かう旋回流が形成され、突条間の溝部の冷媒の液膜が頂部へ引き上げられやすくなり、冷媒の蒸発では冷媒と管内周面が接する有効伝熱面積が増大して高い熱伝達率が得られ、冷媒の凝縮でも底部の冷媒の液膜が薄くなって伝熱性能の向上した伝熱管を得ることができる。
【0042】
本発明に係る熱交換器用伝熱管は、管内周面に、螺旋方向が異なる2つの突条をこの突条間の溝部の幅が熱交換器に設置したときの底部で最大、頂部で最小になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成したので、伝熱管の頂部に向かうにしたがって毛細管力が大きくなり、冷媒の蒸発では伝熱に寄与する有効伝熱面積が増大して熱伝達率が促進され、冷媒の凝縮でも突条の先端部の冷媒の液膜により埋もれていない領域が増加して伝熱性能を向上させることができる。
【0043】
また、管軸方向のあらかじめ設定された間隔毎に突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直または螺旋状に設けて複数の突条部を形成したので、前縁効果によって各突条で発達し厚くなった冷媒の温度境界層を平滑部および次の突条部の入口付近で混合された冷媒の流れの乱れによって破壊することができ、高い熱伝達率が得られて伝達性能の向上した伝熱管を得ることができる。
【0044】
本発明に係る熱交換器は、フィンおよび伝熱管を備えこの伝熱管内に冷媒を流して外部空気と熱交換する熱交換器において、上述の伝熱管を少なくとも一部に用いたので、全流領域に渡って冷媒側の熱伝達率を高く維持することができ、伝熱性能の向上した熱交換器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の一部を示す斜視図である。
【図2】 図1のB部分の拡大断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態に係る突条の他の変形例の拡大断面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態の一部を示すA−A1展開図およびA−A断面図である。
【図5】 本発明の第3の実施形態の一部を示すA−A1展開図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態の他の変形例の一部を示すA−A1展開図である。
【図7】 本発明の第4の実施形態の一部を示すA−A1展開図である。
【図8】 冷凍・空調装置に用いられる熱交換器の模式図である。
【図9】 熱交換器に用いられている従来の伝熱管の斜視図、その斜視図のC−C1展開図および斜視図D部分の拡大断面図である。
【図10】 従来の螺旋溝付管とダブル溝付管の平均蒸発熱伝達率を示す線図である。
【図11】 従来の螺旋溝付管とダブル溝付管の平均凝縮熱伝達率を示す線図である。
【符号の説明】
1 熱交換器、2 伝熱管、3,3A,3B 突条、3a 先端部、3b 軸部、4 溝部、5 平滑部、6,6A,6B 突条部、7 突条先端線の延長線、12 フィン、13 ベンド、θ 山頂角、α 管内周面と突条側面とのなす角。
Claims (7)
- 管内周面に複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成し、前記突条を、山頂角が10度〜60度の範囲内で断面山形状に形成した先端部と、前記管内周面と突条側面とのなす角が30度〜90度の範囲内で断面矩形状に形成した軸部とにより構成したことを特徴とする熱交換器用伝熱管。
- 突条の断面形状を、先端山形状、ほぼ菱形状またはほぼ矢印状としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換器用伝熱管。
- 管内周面に、複数の突条を管軸方向に対して螺旋状に形成するとともに、熱交換器に設置したときの底部および頂部に前記突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に設けて2つの突条部を形成し、該突条部の一方の螺旋方向を他方の突条部の螺旋方向と異なるようにしたことを特徴とする熱交換器用伝熱管。
- 管内周面に、螺旋方向が異なる2つの突条を該突条間の溝部の幅が熱交換器に設置したときの底部で最大、頂部で最小になるように管軸方向に対して螺旋状に複数形成したことを特徴とする熱交換器用伝熱管。
- 管軸方向のあらかじめ設定された間隔毎に前記突条が形成されていない平滑部をあらかじめ設定された幅で管軸方向に対して垂直または螺旋状に設けて複数の突条部を形成したことを特徴とする請求項4記載の熱交換器用伝熱管。
- 突条を請求項1または2のいずれかに記載の形状に構成したことを特徴とする請求項3,4または5記載の熱交換器用伝熱管。
- フィンおよび伝熱管を備え該伝熱管内に冷媒を流して外部空気と熱交換する熱交換器において、請求項1,2,3,4,5または6のいずれかに記載の伝熱管を少なくとも一部に用いたことを特徴とする熱交換器。
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