JP3199636B2 - 内面溝付伝熱管 - Google Patents

内面溝付伝熱管

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JP3199636B2 JP13619496A JP13619496A JP3199636B2 JP 3199636 B2 JP3199636 B2 JP 3199636B2 JP 13619496 A JP13619496 A JP 13619496A JP 13619496 A JP13619496 A JP 13619496A JP 3199636 B2 JP3199636 B2 JP 3199636B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、冷凍機器や空調機器等に用いら
れる内面溝付伝熱管に係り、特に、伝熱流体の流通方向
に拘らず優れた伝熱性能を発揮し得ると共に、伝熱性能
に対する伝熱流体の流通方向による影響が大幅に低減さ
れ得る内面溝付伝熱管に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来より、冷凍機や空気調和装置等におけ
る蒸発器や凝縮器等の熱交換器にあっては、複数の伝熱
管が、それぞれ所定の方向に配管されて、取り付けられ
ており、それら複数の伝熱管内に流通せしめられる伝熱
流体と各伝熱管の外面に接触せしめられる伝熱流体との
間で、熱交換が行なわれて、該伝熱管内に導かれる伝熱
流体が蒸発乃至は凝縮され得るようになっている。
【0003】そして、一般に、そのような熱交換器に取
り付けられる伝熱管としては、管内面に螺旋溝が形成さ
れてなる、所謂内面螺旋溝付管が採用されている。この
内面螺旋溝付管にあっては、螺旋溝が形成されているこ
とにより、管内を流通せしめられる伝熱流体の接触面
積、即ち伝熱管の伝熱面積が増大せしめられる等して、
管内熱伝達率が高められるようになっているのである
が、それだけでは、蒸発性能や凝縮性能の向上が充分に
図られ得ず、そのために、期待される程の伝熱促進効果
が得られなかった。
【0004】尤も、かかる内面螺旋溝付管においては、
螺旋溝の深さを深くして、隣接する螺旋溝の間に形成さ
れる突条(フィン)の高さを高く(ハイフィン化)した
り、螺旋溝のピッチを狭くして、該突条の幅(厚さ)を
小さく(スリムフィン化)したりすれば、蒸発性能や凝
縮性能が、ある程度は、向上され得ることが知られてい
る。しかしながら、そのようなハイフィン化やスリムフ
ィン化には自ずと加工限界があり、また例え、そのよう
な加工限界を越える範囲での加工が可能であっても、ハ
イフィン化やスリムフィン化が進むにつれて、蒸発性能
や凝縮性能の向上の度合いが著しく鈍化してしまうた
め、そのようなハイフィン化やスリムフィン化によって
伝熱促進効果を大幅に増大せしめることは、到底、望ま
れ得ないのである。
【0005】一方、実開昭57−183487号公報に
は、管軸に対して所定の傾斜角度をもって底部から頂部
に向かって延びる複数の溝が、該管軸を含む管径方向の
一つの仮想面に対して対称となるように、管内面におい
て周方向に連続して形成された、恰も、松葉の如き形状
を呈する溝構造(以下、松葉溝という)を有する内面溝
付伝熱管(以下、内面松葉溝付伝熱管という)が開示さ
れている。また、かかる公報においては、そのような内
面松葉溝付伝熱管が、凝縮器に使用される場合に、管内
面で凝縮した、伝熱流体としての冷媒の液滴が、前記複
数の溝(松葉溝)内を底部側に向かって下向きに流れる
ように配置せしめられることによって、かかる冷媒液
が、それぞれの溝を伝って伝熱管の底部側に速やかに導
かれて、管内面が乾き易くなり、以て凝縮性能が向上せ
しめられる一方、蒸発器に用いられる場合には、冷媒液
が複数の溝内を頂部に向かって上向きに流れるように配
置せしめられることによって、冷媒液が、それぞれの溝
を伝って伝熱管の頂部側に導かれて、該冷媒液の薄膜化
がより有利に図られると共に、管内表面の乾きが抑制さ
れて、充分な有効伝熱面積が確保され、以て蒸発性能が
高められることが明らかにされている。
【0006】ところが、本発明者等の研究によれば、そ
のような内面松葉溝付伝熱管にあっては、従来の内面螺
旋溝付管に比して優れた伝熱促進効果が得られるもの
の、ハイフィン化やスリムフィン化されてなる内面螺旋
溝付管と比べると、伝熱促進効果において、さほど違い
がなく、むしろ場合によっては、それよりも劣ることが
確認されたのであり、それによって、前記公報に開示さ
れる内面松葉溝付伝熱管においても、実用上、充分に満
足し得る程の伝熱促進効果が得られないことが、明らか
となったのである。
【0007】しかも、かかる内面松葉溝付伝熱管におい
ては、前述の如く、蒸発器に用いられる場合には、冷媒
液が松葉溝内を頂部に向かって上向きに流れるように、
また凝縮器に用いられる場合には、冷媒液が松葉溝内を
底部側に向かって下向きに流れる状態で、それぞれ配置
せしめられるようにすることにより、初めて、蒸発性能
と凝縮性能とが共に高められるようになっているところ
から、伝熱性能を向上させる上で、松葉溝内での冷媒
(伝熱流体)の流通方向が制限されるといった欠点を有
していたのである。そして、そのため、蒸発器や凝縮器
等の熱交換器を組み立てる際に、管内の松葉溝の傾斜方
向を一々確認しながら、各伝熱管の組付作業を進めなけ
ればならず、それが、熱交換器の製作性を著しく悪化さ
せていたのである。
【0008】そこで、このような冷媒の如き伝熱流体の
流通方向による伝熱性能の制限の解消を図った内面溝付
伝熱管として、本発明者等は、先に、特願平8−430
04号として、前述の如き構造を有する松葉溝の複数が
管内面に形成されてなる伝熱管において、管内最大直径
に対して、各松葉溝の溝深さを、特定の範囲内におい
て、従来よりも深くなるように構成した内面溝付伝熱管
を、明らかにした。そして、そのような内面溝付伝熱管
にあっては、松葉溝の深さを従来よりも深くなるような
構成を採用しているところから、伝熱管に対する溝付け
加工の加工性を損なうことなく、伝熱性能が大幅に向上
され得て、伝熱流体の流通方向に拘らず伝熱性能が向上
せしめられ得るのである。
【0009】しかしながら、本発明者等が更に検討を加
えたところ、そのような内面松葉溝付伝熱管にあって
も、蒸発時には、伝熱流体の流通方向に拘らず、優れた
伝熱性能が発揮されるものの、凝縮時には、伝熱流体の
流通方向によって伝熱性能の改善効果が充分でないこと
が明らかとなった。また、この内面溝付伝熱管にあって
は、伝熱流体の流通方向によって、発揮される伝熱性能
の差が大きくなり易く、そのような伝熱管を熱交換器に
取り付ける際には、方向性を考慮しないと、所定の伝熱
性能を発揮させるための伝熱流体の流量のコントロール
が、困難となり易いという問題も内在することが明らか
となった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、かかる事情を背景にして為されたものであって、そ
の解決課題とするところは、伝熱流体の流通方向に拘ら
ず、優れた伝熱性能を発揮し得ると共に、蒸発伝熱性能
及び凝縮伝熱性能に対する伝熱流体の流通方向による影
響を大幅に削減し得る内面溝付伝熱管を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そして、本発明者等は、
そのような課題を解決するために種々の検討を重ねた結
果、前述の如き、松葉溝の溝深さが特定の深さとされる
内面溝付伝熱管において、管周方向において互い違い
に、管軸に対して互いに異なる方向に傾斜する溝の少な
くとも4本が形成される、換言すれば複数の松葉溝が管
周方向に配置されてなる形態で形成されることにより、
伝熱流体の流通方向に拘らず、優れた蒸発伝熱性能及び
凝縮伝熱性能が発揮され得、また、伝熱性能に対する伝
熱流体の流通方向の影響が大幅に低減され得ることを見
出したのである。
【0012】 すなわち、本発明は、かかる知見に基づ
いて完成されたものであって、その特徴とするところ
は、管内面に、4本〜10本の範囲の偶数本の、管軸方
向に延びる仮想境界線を有し、該仮想境界線のそれぞれ
からそれを挟んだ両隣りの仮想境界線に向かって、多数
の溝が、管軸に対して所定の角度を為して傾斜せる形態
において、周方向に連続して形成され、且つ該仮想境界
線を挟んでそれぞれ形成される両側の溝が、該仮想境界
線を間にして互いに逆方向に傾斜していると共に、それ
ら溝の溝深さ:dの2倍と管内最大直径:Dとの比率:
2d/Dが0.0580.087となるように構成さ
れている一方、前記溝の管周方向におけるピッチが0.
35〜0.50mmの範囲内とされ、更に、該溝の前記
管軸に対する傾斜角度が5〜45°の範囲内とされ、且
つ隣接する溝間の部分が、10〜35°の範囲内の頂角
を有する突条として、形成されている内面溝付伝熱管に
ある。
【0013】要するに、本発明に従う内面溝付伝熱管に
あっては、管内面において管軸方向に延びる、管周方向
に所定間隔を隔てて位置する4本以上の仮想境界線のそ
れぞれから、それを挟んだ両隣りの仮想境界線に向かっ
て、多数の溝が、管軸に対して所定の角度を為して傾斜
せる形態において形成され、且つ前記仮想境界線を挟ん
でそれぞれ形成される両側の溝が、該仮想境界線を間に
して互いに逆方向に傾斜するようにされているところか
ら、伝熱流体の流通方向に拘らず、伝熱流体と溝との相
互作用を同程度のものと為し得て、伝熱性能に対する伝
熱流体の流通方向の影響が著しく低減され得るのであ
る。
【0014】より詳細には、本発明に従う内面溝付伝熱
管にあっては、前述の如き溝形態、即ち実開昭57−1
83487号公報に示される如き松葉溝形状の、互いに
逆の傾斜形態の二つの溝からなる組合せが管周方向にお
いて複数配置されてなる溝形態が採用されているところ
から、伝熱流体が集中し易い仮想境界線部分と伝熱流体
が分散し易い仮想境界線部分とが、管周方向において交
互に、複数配列されることとなり、以て、そのように伝
熱流体が集中し易い部分と伝熱流体が分散しやすい部分
とが、管周方向において複数設けられていることによ
り、蒸発伝熱性能及び凝縮伝熱性能が共に効果的に向上
せしめられ得ることとなるのである。
【0015】すなわち、蒸発時には、伝熱流体が集中し
易い部分では、従来の管内螺旋溝付伝熱管には見られな
いような、伝熱流体、例えば液冷媒同士の衝突が生じ
る。そして、この衝突により、液冷媒の撹乱が促進さ
れ、それに伴って伝熱性能が促進されることとなるので
ある。次いで、衝突後の液冷媒は、衝突エネルギーによ
り飛散して、傾斜溝に沿って頂部方向へ向かう上向きの
流れとなった場合には伝熱管の下面に落下し、また、傾
斜溝に沿って頂部から底部への向かう下向きの流れとな
った場合には気相に巻き上げられることとなる。この際
に、飛散した液冷媒が冷媒蒸気をも撹乱することとな
り、より一層の伝熱促進効果が得られるのである。ま
た、伝熱流体が分散し易い部分では、供給された液冷媒
が薄い膜として環状に形成され易いために、液冷媒の膜
の厚みによる伝熱阻害現象の発生が有利に低減されるこ
ととなる。更に、これらの現象は、冷媒液の流通方向に
沿って、充分に短い周期で繰り返されるところから、従
来の内面螺旋溝付伝熱管と比べて、液冷媒の大きな撹乱
効果が有利に得られて、優れた伝熱性能が発揮され得る
のである。
【0016】一方、凝縮時には、伝熱流体が分散され易
い部分から、伝熱流体の流通方向に沿って下り勾配を有
する傾斜溝によって、凝縮した伝熱流体、例えば液冷媒
を効果的に排除することによって、管内表面への新生面
の露出が促進されることとなり、顕著な伝熱促進作用が
発揮され得るのである。また、排除された液冷媒は、隣
り合う上り勾配を有する溝に沿った液冷媒の流れと衝突
することとなるところから、そのように液冷媒同士の衝
突によって飛沫となった液冷媒が気相をも撹乱すること
となり、凝縮がより一層促進されて、優れた伝熱性能が
発揮され得るのである。
【0017】このように、本発明に従う内面溝付伝熱管
にあっては、伝熱流体の一流通方向において、優れた蒸
発伝熱性能及び凝縮伝熱性能を、それぞれ有効に発揮し
得るのである。しかも、その伝熱流体が集まりやすい部
分と伝熱流体が分散され易い部分とは、伝熱流体の流通
方向を逆にすると、それぞれが入れ代わることとなるの
で、上述の作用は、伝熱流体の流通方向に影響されるこ
とがないのである。
【0018】また、本発明に従う内面溝付伝熱管にあっ
ては、管内最大直径:Dに対する溝深さ:dの2倍の
比:2d/Dが0.05〜0.1の範囲内となるように
形成されて、管内最大直径に対する各傾斜溝の溝深さ
が、特定の範囲内で、従来よりも深くなるように構成さ
れているところから、溝付け加工の加工性を損なうこと
なく、蒸発性能と凝縮性能とが、何れも、効果的に高め
られ得るという長所も有しているのである。
【0019】そして、そのような本発明に従う内面溝付
伝熱管の好ましい態様によれば、前記溝の溝深さ:dの
2倍と前記管内最大直径:Dとの比率:2d/Dは、
0.058〜0.087の範囲内とされることとなる。
そのような構成を有する内面溝付伝熱管においては、そ
の蒸発性能と凝縮性能とが、より一層向上せしめられ得
るのである。
【0020】さらに、本発明に従う内面溝付伝熱管の別
の好ましい態様によれば、前記仮想境界線の本数は、4
〜10の範囲の偶数本とされ、そのような構成を採用す
ることによって、優れた伝熱性能を保ちつつ、より一層
安定な伝熱性能が発揮され得るのである。
【0021】更にまた、本発明に従う内面溝付伝熱管に
おいて、前記溝の管周方向におけるピッチは、有利に
は、0.35〜0.50mmの範囲内とされると共に、
該溝の前記管軸に対する傾斜角度は5〜45°の範囲内
とされ、且つ隣接する溝間の部分は、10〜35°の範
囲内の頂角を有する突条として形成される。これによっ
て、伝熱管の伝熱性能が更に一段と高められ得て、より
一層大きな伝熱促進効果が得られることが期待され得る
のである。
【0022】
【発明の実施の形態】ところで、図1乃至図2には、本
発明に従う構造とされた内面溝付伝熱管の一具体例が示
されている。かかる内面溝付伝熱管10は、全体とし
て、円形断面の直管形状を呈しており、その外周面が平
滑面とされている一方、内周面には、多数の溝12が設
けられている。
【0023】より具体的には、図1からも明らかなよう
に、内周面に設けられる多数の溝12は、断面(管軸に
対して垂直な断面)が底部に向かうに従って狭幅となる
台形形状をもって構成されている。また、図2に示され
る如く、かかる多数の溝12にあっては、4本の仮想境
界線14a、14b、14c、14dにて分割された分
割面16a、16b、16c、16dのそれぞれにおい
て、周方向に連続し、且つ管軸方向に互いに所定間隔を
おいて、隣接する溝12、12間に突条18を形成しつ
つ、設けられていると共に、前記仮想境界線14a、1
4b、14c、14dのそれぞれからそれを挟んだ両隣
の仮想境界線14d及び14b、14a及び14c、1
4b及び14d、14c及び14aに向かって、前記管
軸に対して所定の傾斜角度を為して、形成されている。
更に、前記仮想境界線14a、14b、14c、14d
を挟んだ両側にそれぞれ形成される溝12、12は、該
仮想境界線14a、14b、14c、14dを間にして
互いに逆方向に傾斜しており、この仮想境界線14a、
14b、14c、14d上において、各溝12が突き合
わさる部分では、V字型若しくは逆V字型の折曲点2
0、20、20、20がそれぞれ形成されている。要す
るに、それら多数の溝12は、互いに独立した閉流路形
態を有しており、それぞれの溝12が、内面溝付伝熱管
10の管内面において、周方向に連続し、且つ管軸方向
に対して傾けられて形成され、管周方向に所定間隔を隔
てて位置する4本の仮想境界線14a、14b、14
c、14d上においてV字状に折曲せしめられてなる、
全体として、松葉溝の複数が管周方向において配置され
てなる形態の溝構造をもって、構成されているのであ
る。
【0024】そして、特に、そのような松葉溝構造を有
する溝12が形成されてなる内面溝付伝熱管10にあっ
ては、管内最大直径〔図2(a)において、Dにて示さ
れる寸法〕に対する溝12の溝深さ〔図2(a)におい
て、dにて示される寸法〕の2倍の比:2d/Dが0.
05〜0.1の範囲内とされているのであり、この点に
おいて、従来の内面松葉溝付管とは、その構成が著しく
異なっており、またそのような構成を有していることに
よって、従来の伝熱管には見られない優れた特徴が有利
に発揮され得るようになっているのである。即ち、かか
る2d/D値が0.05以上となるように規定されてい
ることによって、溝12が、従来の伝熱管に形成される
松葉溝よりも深い溝深さをもって構成され、以て蒸発性
能と凝縮性能とが、何れも効果的に高められ得るように
なっているのであり、また、2d/D値が0.1以下に
制限されていることによって、そのような溝12が、分
割面16a、16b、16c、16dに対して、良好な
加工性をもって、容易に形成され得るようになっている
のである。
【0025】また、本具体例では、仮想境界線14が、
4本であるものが示されているが、この仮想境界線の本
数は、4以上の偶数本であれば何本であっても、何等差
支えない。なお、ここで仮想境界線の本数が偶数本に限
定されているのは、仮想境界線の本数が奇数本である場
合には、分割面の数が奇数となるところから、分割面に
形成される全ての溝12を、管周方向において互いに逆
の傾きとなるように配置することが出来なくなるからで
あり、以て同じ傾斜方向の溝が隣り合う部分において、
伝熱性能の効率が低下するからである。また、かかる仮
想境界線の本数は、4〜10の範囲内の偶数本とされる
ことが好ましい。けだし、仮想境界線の本数が2本の場
合には、伝熱性能に対する伝熱流体の流通方向の影響が
大きくなり易く、熱交換器に対して伝熱管を適切な方向
に組み付けないと、凝縮伝熱性能の改善が不充分となる
からであり、また仮想境界線の本数が12以上の偶数本
である場合には、伝熱性能に対する伝熱流体の流通方向
の影響は無くなるものの、従来の螺旋溝を有する伝熱管
に対する伝熱促進効果が、却って損なわれ易くなるから
である。
【0026】さらに、かかる内面溝付伝熱管10にあっ
ては、特に、2d/D値が0.058〜0.087の範
囲内となるように構成されることが、望ましい。何故な
ら、2d/D値が、そのような特定の範囲内とされてい
ることによって、伝熱性能の向上がより一層図られ得
て、従来の伝熱管よりも優れた伝熱性能が有利に発揮さ
れ得ることとなるからである。なお、図2、更には後述
する図3及び図4においては、溝12の形状を強調する
ために、該溝12が、伝熱管10全体の拡大率よりも大
きな拡大率をもって描かれており、そのために、管内最
大直径に対する溝12の溝深さの比:2d/Dが、それ
らの図面上において、本発明に規定されるよりも大きく
なっていることが理解されるべきである。
【0027】ところで、本具体例では、上述の如き特徴
的な溝構造を有する溝12の断面形状が、台形形状とさ
れていたが、そのような溝12の断面形状は、何等これ
に限定されるものではなく、V字形状等、従来、螺旋溝
構造や松葉溝構造に採用される各種の形状が何れも採用
され得るのである。
【0028】また、かかる溝12の管周方向におけるピ
ッチ(図1において、Pにて示される寸法)も、特に限
定されるものではないものの、0.35〜0.50mm
程度とされていることが望ましい。けだし、かかるピッ
チが0.35mmよりも小さいと、溝12の溝幅(開口
幅)が小さくなり過ぎて、凝縮器に用いられる場合にお
いて、溝12が、伝熱流体たる冷媒の凝縮液によって液
没し易くなり、それによって、凝縮性能の向上が期待さ
れ得なくなるからであり、また、0.50mmよりも大
きなピッチとなると、伝熱管10の管内面における単位
面積当たりの溝12の形成数が少なくなり、多数の溝1
2の形成によって得られる、伝熱流体の管内面に対する
接触面積、即ち伝熱管10の伝熱面積の増大効果が低減
し、以て顕著な蒸発性能の促進が為され得なくなるから
である。
【0029】さらに、かかる溝12の管軸に対する傾斜
角度(図2において、θにて示される角度)は、冷媒液
や冷媒蒸気等の伝熱流体の流速、即ち管内における伝熱
流体の滞留時間等を考慮した上で、適宜に決定されるも
のであるが、ここでは、かかる傾斜角度が、有利には、
5〜45°程度とされる。
【0030】何故なら、前述したように、溝12にあっ
ては、管周方向に連続する状態で、管軸方向に傾けられ
て形成されていると共に、管周方向において、4本の仮
想境界線14a、14b、14c、14d上のそれぞれ
において、V字状に折曲せしめられて、構成されている
ことから、伝熱管10が熱交換器に取り付けられる際
に、かかる溝12における、それら四つの折曲部、即ち
前記四つの折曲点20、20、20、20をそれぞれ有
する部分のうち、該伝熱管10内における伝熱流体の流
通方向前方側に位置する、二つの折曲点20、20部分
において、溝12内を伝って流れる伝熱流体が集中し易
くなる一方、伝熱流体の流通方向後方側に位置する、残
り二つの折曲点20、20部分において、該伝熱流体が
分散し易くなる。そのため、伝熱管10が凝縮器や蒸発
器に用いられる際に、溝12のある分割面16部分を伝
って流れる伝熱流体とそれと隣り合う分割面16を伝っ
て流れる伝熱流体とが、それら伝熱流体が集中し易い溝
12の折曲点20部分において、激しく衝突せしめら
れ、それによって、伝熱流体の攪乱作用が促進されると
共に、伝熱流体が飛散し、その伝熱流体の飛沫によって
伝熱流体の蒸気が攪乱され、以て凝縮性能と蒸発性能と
が、何れも高められ得るようになっている。しかも、そ
のような伝熱性能の向上効果は、伝熱流体同士の衝突に
よる伝熱流体の攪乱作用と、かかる衝突に伴って飛散さ
れる飛沫した伝熱流体による伝熱流体蒸気の攪乱作用と
が、伝熱流体の流通方向に沿って充分に短い周期で繰り
返されることによって、より増大せしめられるようにな
っているのである。
【0031】従って、溝12の管軸に対する傾斜角度
は、上述の如き伝熱流体同士の衝突の周期を充分に短く
為す上で、換言すれば、かかる周期が必要以上に長くな
らないように、その下限値が、5°程度とされているこ
とが望ましいのである。また、かかる傾斜角度が大きく
なる程、伝熱流体同士の衝突の周期は短くなるものの、
傾斜角度が余りに大きいと、溝12内を伝って流れる伝
熱流体が伝熱管10の頂部まで導かれ難くなることか
ら、その上限値が、有利には、45°程度とされるので
ある。
【0032】また、前述の如く、本具体例では、多数の
溝12が、管内面における各分割面16a、16b、1
6c、16dにおいて形成される溝12のそれぞれが溝
12の間の仮想境界線14a、14b、14c、14d
に対して対称となる状態において、形成されているが、
溝12の形態は、何等、そのような対称なものに限定さ
れるものではなく、各分割面16a、16b、16c、
16dにおいて、仮想境界線14に対して非対称となる
ように形成されていても良い。即ち、図3(a)或いは
図3(b)に示される如く、管内面の分割面16aと分
割面16bとにおいて、或いは分割面16cと分割面1
6dとにおいて、管軸に対する傾斜角度がそれぞれ異な
らしめられた状態で、多数の溝12を形成することも可
能なのである。これよって、管内面の分割面16aと分
割面16bとにおいて、或いは分割面16cと分割面1
6dとにおいて、溝12を伝って流れる伝熱流体の流速
や該溝12内に形成される液膜の厚さ等に著しい差異が
生ぜしめられて、各分割面16a、16b、16c、1
6dにおいて、仮想境界線14a、14b、14c、1
4dに対して対称的な溝12を形成した場合に比して、
力学的エネルギーのバランスが大きく崩れ、その結果、
伝熱流体、例えば冷媒液及び冷媒蒸気の攪乱作用が一層
促進せしめられて、伝熱性能が更に大きく向上され得る
こととなるのである。
【0033】なお、ここでは、分割面16a或いは分割
面16dにおける溝12の傾斜角度(図3において、θ
1 にて示す角度)が、分割面16b或いは分割面16c
における溝12の傾斜角度(図3において、θ2 にて示
す角度)よりも大きくされているが、その逆となるよう
に構成されていても、何等差支えない。また、ここで
は、分割面16aと分割面16dとにおいて、また分割
面16bと分割面16cとにおいて形成される、溝12
の管軸方向に対する傾斜角度が、それぞれ等しくされて
いるが、分割面16aと分割面16cとにおいて、また
分割面16bと分割面16dとにおいて形成される、溝
12の管軸方向に対する傾斜角度が、それぞれ等しくな
るように形成されていても、何等差支えないのである。
更に、分割面16a、16b、16c、16dのそれぞ
れにおいて形成される溝12の管軸方向に対する傾斜角
度が全て異なるように形成されていてもよい。また、そ
のように、管内面における各分割面16a、16b、1
6c、16dにおいて、溝12の傾斜角度を異ならしめ
る場合にあっては、必ずしも全ての仮想境界線14a、
14b、14c、14dにおいて、溝12の折曲点20
が形成されるように構成しなくてもよい。即ち、溝12
が、仮想境界線14a、14b、14c、14dの何れ
かにおいて、始点と終点とのそれぞれを有する帯状の全
体形状をもって構成することも可能なのである。加え
て、溝12の傾斜角度は、前述の如き理由により、5〜
45°の範囲内とされていることが望ましいが、特に、
溝12が、各分割面16a、16b、16c、16dに
おいて、同一の傾斜角度をもって形成されている場合に
おいては、その傾斜角度が15〜25°程度とされてい
るのが、より適当である。
【0034】さらに、本発明における内面溝付伝熱管1
0にあっては、管軸方向において溝12を形成する間隔
を、分割面毎に変化させてもよい。即ち図4に示される
ように、分割面16b及び分割面16cにおいて形成さ
れる溝12の間隔が、分割面16a及び分割面16dに
形成される溝12の間隔よりも広くても、何等差支えな
いのである。そして、このように一部の分割面(16)
において、溝12が間引かれて形成されることによっ
て、伝熱管内を流通せしめられる伝熱流体の流れが有利
に撹乱されることとなるところから、伝熱性能の向上が
より一層図られ得るのである。
【0035】また、隣接する溝12、12間に形成され
る突条18の頂角(図1において、γにて示される角
度)、即ち、隣接する二つの溝12、12における四つ
の側壁部のうち、互いに隣合う二つの側壁部のなす角の
大きさが、10〜35°の範囲内とされていることが、
望ましい。けだし、かかる頂角の大きさが10°よりも
小さい突条18を形成すること、換言すれば、そのよう
な突条18を間に挟むようにして、多数の溝12を管内
面に溝付け加工することが、極めて困難であるばかりで
なく、例えそれが加工され得ても、複数の伝熱管10を
一体的に組み付けて、熱交換器を組み立てる際の伝熱管
10に対する拡管操作時において、突条18が潰れて、
溝12の深さが小さくなったり、或いは溝12の開口部
が閉塞したりする恐れがあるからである。また、頂角の
大きさが35°よりも大きい場合には、管内面の単位面
積当たりの溝12の形成数が少なくなり、伝熱管10の
伝熱面積が減少すると共に、凝縮時における伝熱流体の
凝縮液の保持容積が小さくなり、それによって、伝熱性
能の向上が望め得なくなるからである。
【0036】さらに、そのような突条18の断面形状
(管軸に対して垂直な断面形状)も、本具体例の如き台
形形状に何等限定されるものではないが、溝12の形状
等により、ある程度規定されることや、突条18の頂部
における液切れ性等を考慮すると、そのような台形形状
や三角形形状とされるのが適当である。
【0037】このように、本発明に従う内面溝付伝熱管
にあっては、各分割面に形成される溝12の形態につ
き、前述した溝深さ(d)、溝リード角(θ)、突条の
頂角(γ)、管軸方向の単位長さにおける溝数、或いは
仮想境界線の間隔等を、それぞれの分割面において変化
させた、様々な形態において形成され得るものであり、
そのような様々な形態の溝構造の具体例の幾つかが図5
に示されている。即ち、かかる図5には、様々な溝構造
を有する、本発明に従う各種内面溝付伝熱管10をそれ
ぞれ展開して、管内面の溝12の形態が模式的に表わさ
れているのである。より詳細には、ここに示される内面
溝付伝熱管は、仮想境界線14の本数が6本のものであ
り、図5(a)には、管周方向において交互に、溝深さ
(d)、溝リード角(θ)、突条の頂角(γ)、管軸方
向の単位長さにおける溝数が変化せしめられた内面溝付
伝熱管の例が示されている。また、図5(b)には、管
周方向において交互に、溝形成部の幅を変化させた内面
溝付伝熱管10の例が示されている。更に、図5(c)
には、管周方向において二つの分割面毎に、溝深さ
(d)、溝リード角(θ)、突条の頂角(γ)、管軸方
向の単位長さにおける溝数等を変化させた内面溝付伝熱
管10の例が示されている。更にまた、図5(d)に
は、図5(a)に示された内面溝付伝熱管10の管周方
向において交互に、仮想境界線の間隔を変化させた例が
示されている。
【0038】そして、このように溝12を非対称的に形
成することによって、基本的な作用・効果は、前記した
各具体例の内面溝付伝熱管10と変わらないが、以下に
示すような作用、延いては効果が付加される。すなわ
ち、非対称に形成された隣り合う溝に挟まれる仮想境界
線上においては、溝深さ(d)、溝リード角(θ)、突
条の頂角(γ)、管軸方向の単位長さにおける溝数、仮
想境界線の間隔等が、それぞれ異ならしめられていると
ころから、非対称の溝のそれぞれを流れる伝熱流体の流
速、或いは溝12の表面に形成される伝熱流体の液膜の
厚さ等が異なることとなり、溝の形態を対称とした場合
に比べて、力学的なエネルギーのバランスが大きく崩れ
ることとなり、伝熱流体、例えば冷媒液(液相)や冷媒
蒸気(気相)の撹乱効果がより一層促進されて、以て伝
熱性能が更に向上せしめられることとなるのである。
【0039】ところで、前記の如き構造とされた内面溝
付伝熱管10にあっては、その複数本が、従来の内面松
葉溝付伝熱管と同様に、予めプレス成形されたフィンス
トックに対して、並列形態をもって水平に配管された状
態で、拡管装着されて、一体的に組付けられ、それによ
って、凝縮器や蒸発器等の熱交換器が構成されるように
なっているのである。
【0040】なお、本発明に従う内面溝付伝熱管10
は、溝12内での冷媒液や冷媒蒸気等の伝熱流体の流通
方向に関係なく、優れた伝熱性能が発揮され得るもので
あるところから、上記の如くして、本発明に従う内面溝
付伝熱管10の複数本を組み付けて熱交換器を構成する
に際しては、各伝熱管10を、各伝熱管10の溝12内
を伝熱流体たる冷媒液や冷媒蒸気が任意の方向に流れる
ように配置せしめても、換言すれば、各伝熱管10を、
その溝方向を考慮することなしに、無作為に配置して
も、構成される熱交換器において、従来装置よりも優れ
た伝熱性能が有利に発揮され得るのである。従って、本
発明に従う内面溝付伝熱管10を用いれば、優れた伝熱
性能は勿論、良好な製作性を有する熱交換器が有利に得
られることとなり、しかも得られる熱交換器の伝熱性能
は安定したものとなるのである。
【0041】ところで、上述の如き特徴的な溝12を多
数有する内面溝付伝熱管10は、有利には、図6に示さ
れる如き圧延加工・造管装置30を用いて、以下の如く
して作製されることとなる。
【0042】即ち、図6からも明らかなように、先ず、
銅又は銅合金からなる、伝熱管素材としての帯板32
を、圧延加工・造管装置30の入口側に配設された一対
のガイドロール34の間に挟んだ状態で、図示しない駆
動ロールにより、長さ方向の一方向(図6中、矢印方
向)に連続的に移動せしめる。そして、該装置30にお
いて、帯板32の移動方向前方側に配置された圧延ロー
ル36と支持ロール38との間で、該帯板32を挟み、
且つ所定の圧力にて押圧して、圧延加工せしめる。な
お、この圧延ロール36の外周面には、目的とする伝熱
管10の管内面に形成される溝12に対応する突条が多
数形成されている。これによって、かかる圧延ロール3
6による圧延加工時において、帯板32の一方の面上
に、多数の溝12を、目的とする伝熱管10の管内面を
展開した傾斜形態をもって、形成するのである。
【0043】次いで、圧延ロール36よりも、帯板32
の移動方向前方側に配置された9対の成形ロール40、
42、44、46、48、50、52、54、56によ
り、上述の如き構造を有する多数の溝12が形成される
面を内側にして、帯板32を管状に成形した後、一対の
シームガイドロール57、57にて更に前方側に導き、
そしてその後、かかる成形により互いに対向位置せしめ
られた帯板32の幅方向両端縁部同士を高周波誘導コイ
ル58にて高周波誘導溶接し、以て連続する一本の管体
60を成形する。
【0044】さらに、その後、かかる管体60を、一対
のスクイズロール62により、縦断面略真円形状となる
ように、形状を整えた後、必要に応じて、所定の長さに
切断する。かくして、管内面に、前述の如き特徴的な構
成を有する溝12が多数形成されてなる内面溝付伝熱管
10を作製するのである。
【0045】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0046】先ず、前記で説明せるように、多数の溝が
管内面に形成されると共に、下記表1に示されるような
寸法諸元を有して構成され、且つ仮想境界線の本数が4
〜10の範囲の偶数本とされると共に、それら多数の溝
の溝深さ:dと管内最大直径:Dとの比:2d/D値が
本発明において規定される特定の範囲内とされた、本発
明例1〜5の内面溝付伝熱管(内面松葉溝付伝熱管)を
準備した。なお、下記表1及び後述する表2において、
溝ピッチは、管周方向における溝のピッチを、また頂角
は、隣接する溝の間に形成される突条の頂角の大きさ
を、更に傾斜角は、溝の管軸に対する傾斜角度の大きさ
を、それぞれ示す。また、条数は、1周当たりの溝の条
数、即ち、管軸に垂直な断面において、その端面に形成
される溝の数を示す。更に、仮想境界線の本数は、仮想
的に分割された管内面の境界線の本数を示している。
【0047】
【表1】
【0048】次いで、比較のために、それら本発明例1
〜5と略同様な多数の松葉溝が管内面に形成されると共
に、下記表2に示されるような寸法諸元を有して構成さ
れるものの、2d/D値が本発明の範囲外とされた内面
溝付伝熱管(内面松葉溝付管)、或いは前記仮想境界線
の本数が本発明の範囲外とされた内面溝付伝熱管(内面
松葉溝付管)を準備し、それぞれ比較例1、比較例2と
した。また、それとは別に、下記表2に示される寸法諸
元を有して構成されるものの、2d/D値及び仮想境界
線の本数が本発明の範囲外とされた内面溝付伝熱管を準
備し、これを比較例3とした。更に、管内面に螺旋溝が
設けられると共に、下記表2に示される如き寸法諸元を
有して構成された、内面溝付伝熱管(内面螺旋溝付管)
を準備し、これを比較例4とした。
【0049】
【表2】
【0050】次いで、それら準備された9種類の内面溝
付伝熱管(本発明例1〜5及び比較例1〜4)と、図7
に示される如き伝熱性能試験装置と、更に伝熱流体とし
て冷媒のフロン(R22)とを用い、かかる伝熱性能試
験装置のテストセクションに対して、各種伝熱管を、単
管で組み付けて、下記表3に示される如き試験条件によ
り蒸発性能試験及び凝縮性能試験を行なった。なお、伝
熱性能試験装置のテストセクションへの各伝熱管の配置
方向としては、伝熱管に対して伝熱流体がそれぞれ異な
る向きに流通せしめられるような2種類の配置方向を採
用した。また、それら凝縮性能試験と蒸発性能試験とに
おける試験区間長さは、4mとした。更に、冷媒質量速
度には、実機運転条件と略等しい冷媒質量速度として、
200kg/(m2 ・s)、或いは260kg/(m2
・s)の条件を採用した。
【0051】
【表3】 *:ゲージ圧力(1MPa=10.1978kgf/cm2
【0052】そして、前述の如き蒸発性能試験と凝縮性
能試験にて得られた結果から、各冷媒質量速度での、比
較例4の管内熱伝達率に対する本発明例1〜3及び本発
明例5の各管内熱伝達率の比と、比較例2の管内熱伝達
率の比とを、それぞれ算出した。即ち、一般的な寸法諸
元を有する内面螺旋溝付管に対する、仮想境界線の本数
が各々異なる内面松葉溝付伝熱管の、各冷媒質量速度条
件における伝熱促進比を、それぞれ算出して、仮想境界
線の本数との関係を調べた。そして、その結果を、蒸発
時の伝熱促進比については図8に、凝縮時の伝熱促進比
については図9に示した。なお、図8、図9中、○は冷
媒質量速度を200kg/(m2 ・s)とした時の比較
例4に対する伝熱促進比の最大値を、△は冷媒質量速度
を260kg/(m2 ・s)とした時の比較例4に対す
る伝熱促進比の最大値を、●は冷媒質量速度を200k
g/(m2 ・s)とした時の比較例4に対する伝熱促進
比の最小値を、▲は冷媒質量速度を260kg/(m2
・s)とした時の比較例4に対する伝熱促進比の最小値
を示している。
【0053】この図8に示される結果から明らかなよう
に、比較例2の内面溝付伝熱管では蒸発伝熱性能に対す
る伝熱流体の流通方向の影響が大きかったのに対して、
本発明に従う内面溝付伝熱管では伝熱流体の流通方向に
拘らず、安定した蒸発伝熱性能が発揮され得ることが確
認されたのである。即ち、グラフに示される各冷媒質量
速度における伝熱促進比の最大値と最小値との差は、伝
熱性能に対する伝熱流体の流通方向の影響の大きさを示
すものであるが、仮想境界線の本数が2本である比較例
2の内面溝付伝熱管では伝熱促進比の最大値が最も大き
い反面、伝熱促進比の最小値が小さく、伝熱促進比の最
大値と最小値との差が最も大きくなり、蒸発伝熱性能に
対する伝熱流体の流通方向の影響が大きかったのに対し
て、本発明例の内面溝付伝熱管では伝熱促進比の最大値
と最小値が同程度となり、伝熱性能に対する伝熱流体の
流通方向の影響を殆ど無くすことが出来たのである。ま
た、冷媒質量速度を260kg/(m2 ・s)とした場
合には、仮想境界線の本数が4〜6の範囲において、最
大伝熱促進比が減少する反面、最小伝熱促進比が増加す
る傾向が示された。
【0054】一方、凝縮伝熱性能に関しては、図9に示
されるグラフから明らかなように、比較例2の内面溝付
伝熱管では、伝熱促進比の最大値が最も大きくなる反
面、伝熱促進比の最小値が最も小さくなり、伝熱促進比
の最大値と最小値の差が最大、換言すると伝熱性能に対
する伝熱流体の流通方向の影響が最大となるのに対し
て、本発明例1〜3及び本発明例5の内面溝付伝熱管に
あっては、仮想境界線の本数を増加させるに従って、伝
熱促進比の最大値と最小値との差が小さくなり、伝熱性
能に対する伝熱流体の流通方向の影響が小さくなる傾向
が確認された。しかも、冷媒質量速度を260kg/
(m2 ・s)とした場合だけでなく、200kg/(m
2 ・s)とした場合にも、仮想境界線の本数が4〜6の
範囲において、伝熱促進比の最小値が増加することが示
され、本発明に従う内面溝付伝熱管による凝縮伝熱性能
の向上が確認されたのである。
【0055】このように、本発明に従う内面溝付伝熱管
にあっては、蒸発時及び凝縮時の伝熱促進比の最小値が
増加せしめられていると共に、伝熱促進比の最大値と最
小値との差が減少せしめられる、換言すれば伝熱性能に
対する伝熱流体の流通方向の影響が減少せしめられ得る
ことが明らかとされたのである。
【0056】また、比較例2の如き、高い2d/D値を
有する伝熱管にあっては、蒸発伝熱性能が最低となって
も、従来の螺旋溝を有する内面溝付伝熱管(比較例4)
と比べて2倍近い伝熱性能を発揮するものの、凝縮伝熱
性能が最低となると、伝熱性能の向上が殆ど図られ得な
いのであるが、それに対して、本発明例の管内溝付伝熱
管では、蒸発時及び凝縮時、共に、その最低の伝熱性能
が向上せしめられており、特に凝縮性能の最低値が比較
例2のそれを上回っている点は注目すべきである。
【0057】次に、前述の如き蒸発性能試験と凝縮性能
試験にて得られた結果から、各冷媒質量速度での、比較
例4の管内熱伝達率に対する本発明例3及び本発明例4
の各管内熱伝達率の比と、比較例1の管内熱伝達率の比
とを、それぞれ算出した。即ち、一般的な寸法諸元を有
する内面螺旋溝付管に対する、仮想境界線の本数が6本
で、2d/D値がそれぞれ異なる内面松葉溝付伝熱管
の、各冷媒質量速度条件における伝熱促進比を、それぞ
れ算出した。そして、その算出値を基に回帰計算を行な
い、かかる内面松葉溝付伝熱管の内面螺旋溝付管に対す
る、蒸発伝熱促進比及び凝縮伝熱促進比と2d/D値と
の関係を調べた。そして、その結果を、蒸発性能につい
ては図10に、凝縮性能については図11に示した。な
お、図10、図11中、○は冷媒質量速度を200kg
/(m2 ・s)とした時の管内熱伝達率の比較例4の管
内熱伝達率に対する伝熱促進比を、△は冷媒質量速度を
260kg/(m2 ・s)とした時の管内熱伝達率の比
較例4の管内熱伝達率に対する伝熱促進比を、それぞれ
示している。
【0058】かかる図10に示される結果から明らかな
ように、蒸発時の伝熱促進比に対する2d/D値の影響
は冷媒質量速度が大きい程、顕著であり、伝熱促進比
は、2d/D値が0.068≦2d/D≦0.07の範
囲において、ピークとなった。従って、蒸発性能のみに
関して言えば、2d/D値がこの範囲の値とされること
が好ましい。一方、凝縮時の伝熱促進比に対する2d/
D値の影響も、図11に示された結果から明らかなよう
に、冷媒質量速度が大きい程、顕著であった。
【0059】そして、この図10及び図11において
は、蒸発時の伝熱促進比が1以上の条件を満足する2d
/D値の範囲は、0.05≦2d/D≦0.087であ
り、凝縮時の伝熱促進比が1以上の条件を満足する2d
/D値の範囲は、0.058≦2d/Dであることか
ら、ここで試験された仮想境界線が6本の管内溝付伝熱
管にあっては、2d/D値の範囲が、0.058≦2d
/D≦0.087の範囲とされることによって、蒸発時
及び凝縮時において伝熱性能が有利に向上せしめられる
ことが確認された。
【0060】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従う内面溝付伝熱管にあっては、仮想境界線によっ
て分割された分割面において形成される溝が、管周方向
において互い違いの傾斜方向を有するように形成されて
いるところから、伝熱流体の流通方向に拘らず、優れた
伝熱性能が発揮され得ると共に、伝熱性能に対する伝熱
流体の流通方向の影響が著しく低減され得るのである。
そして、そのように伝熱性能に対する伝熱流体の流通方
向の影響が著しく低減されることによって、かかる内面
溝付伝熱管を熱交換器に組み付ける際に、特に溝の方向
を考慮しなくても、得られる熱交換器の伝熱性能を安定
なものとすることが容易に出来得るのである。
【0061】また、溝の溝深さ:dの2倍と管内最大直
径:Dとの比率:2d/Dが0.05〜0.1となるよ
うに構成されているところから、従来の伝熱管に比し
て、より優れた伝熱性能が有利に発揮され得、それによ
って、伝熱促進効果が大幅に且つ効果的に増大され得る
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造とされた内面溝付伝熱管の一
例を示す、管軸に垂直な横断面における要部拡大断面説
明図である。
【図2】図1に示される内面溝付伝熱管の縦断面を示す
要部拡大断面説明図であって、(a)は、その左半截図
を、また(b)は、その右半截図を、それぞれ示す。
【図3】本発明に従う内面溝付伝熱管の別の例を示す図
2に対応する図である。
【図4】本発明に従う内面溝付伝熱管の更に別の例を示
す図2に対応する図である。
【図5】本発明に従う内面溝付伝熱管を展開した際に、
管内面上に形成されている溝のパターンを模式的に示す
説明図である。
【図6】図1に示される内面溝付伝熱管を製造するため
の圧延加工・造管装置を概略的に示す説明図である。
【図7】各種伝熱管の伝熱性能を測定する試験装置を概
略的に示す説明図である。
【図8】実施例において得られた、従来の内面螺旋溝付
管に対する本発明に従う内面松葉溝付伝熱管の、所定の
冷媒質量速度条件下での蒸発伝熱促進比と仮想境界線の
本数との関係を示すグラフである。
【図9】実施例において得られた、従来の内面螺旋溝付
管に対する本発明に従う内面松葉溝付伝熱管の、所定の
冷媒質量速度条件下での凝縮伝熱促進比と仮想境界線の
本数との関係を示すグラフである。
【図10】実施例において得られた、従来の内面螺旋溝
付管に対する本発明に従う内面松葉溝付伝熱管の、所定
の冷媒質量速度条件下での蒸発伝熱促進比と2d/D値
との関係を示すグラフである。
【図11】実施例において得られた、従来の内面螺旋溝
付管に対する本発明に従う内面松葉溝付伝熱管の、所定
の冷媒質量速度条件下での凝縮伝熱促進比と2d/D値
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 内面溝付伝熱管 12 溝 14、14a、14b、14c14d 仮想境界線 16、16a、16b、16c、16d 分割面 18 突条 20 折曲点 30 圧延加工・造管装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−158193(JP,A) 特開 平3−13796(JP,A) 特開 昭62−276397(JP,A) 特開 平7−12483(JP,A) 特開 平2−213695(JP,A) 特開 昭62−142995(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 1/00 - 1/42 F25B 39/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管内面に、4本〜10本の範囲の偶数本
    の、管軸方向に延びる仮想境界線を有し、該仮想境界線
    のそれぞれからそれを挟んだ両隣りの仮想境界線に向か
    って、多数の溝が、管軸に対して所定の角度を為して傾
    斜せる形態において、周方向に連続して形成され、且つ
    該仮想境界線を挟んでそれぞれ形成される両側の溝が、
    該仮想境界線を間にして互いに逆方向に傾斜していると
    共に、それら溝の溝深さ:dの2倍と管内最大直径:D
    との比率:2d/Dが0.0580.087となるよ
    うに構成されている一方、前記溝の管周方向におけるピ
    ッチが0.35〜0.50mmの範囲内とされ、更に、
    該溝の前記管軸に対する傾斜角度が5〜45°の範囲内
    とされ、且つ隣接する溝間の部分が、10〜35°の範
    囲内の頂角を有する突条として、形成されていることを
    特徴とする内面溝付伝熱管。
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