JP4020678B2 - 内面溝付伝熱管及びその製造方法 - Google Patents

内面溝付伝熱管及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、空調機器や冷凍機器等に好適に用いられる内面溝付伝熱管と、その製造方法に係り、特に、良好な管内凝縮熱伝達率を確保しつつ、拡管性の向上が効果的に図られてなる内面溝付伝熱管と、それを有利に製造し得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、エアコン等に代表される空調機器や冷凍機器等における蒸発器や凝縮器等の熱交換器に組み込まれる伝熱管の一種として、管内面に、多数の溝が、管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びるように形成されてなる、所謂、内面溝付伝熱管が、知られている。そして、近年では、かかる内面溝付伝熱管において、螺旋溝の深さや幅、条数、リード角、或いは螺旋溝間に形成されるフィンの高さや厚さ、頂角等の最適化による熱伝達率の向上、ひいてはそれが組み込まれる熱交換器の熱交換効率の向上が図られており、特開平7−12483号公報等を始めとした各種の公報等において、それら螺旋溝やフィンの最適設計に関する様々な提案が、為されている。しかしながら、単に、螺旋溝やフィンを設計変更するだけで、内面溝付伝熱管の伝熱性能を高めるには限度があり、内面溝付伝熱管の更なる高性能化を図ることは困難であったのである。
【0003】
かかる状況下、特開平3−234302号公報や特開平8−303905号公報には、管内面に、管軸方向に螺旋状に延びる多数の主溝と、そのような多数の主溝に対して交差して延びる多数の副溝が形成されてなる内面溝付伝熱管が、それぞれ開示されている。
【0004】
すなわち、前者の公報においては、主溝の開口幅が断続的に狭められてなる管状部が、主溝の長手方向に、所定の間隔をおいて多数形成されるように、副溝を主溝に交差して設けた内面溝付伝熱管が、明らかにされており、そして、そこでは、このような内面溝付伝熱管を蒸発器における蒸発管として使用した場合に、管状部内で、沸騰核となる気泡が容易に発生せしめられて、蒸発が促進され、それによって、伝熱媒体の気化効率が高められ得ることが記載されている。また、後者の公報には、主溝が、副溝との交差部分を間に挟んで管軸方向にずらされて(オフセットされて)形成された内面溝付伝熱管が開示されており、このような内面溝付伝熱管を凝縮器における凝縮管として用いた場合に、凝縮して液体となった伝熱媒体と、未だ凝縮せずに気体の状態で残存する伝熱媒体とにて形成される濃度境界層が、主溝と副溝との交差部分で確実に更新せしめられて、濃度の拡散抵抗が低減され、以て高い凝縮性能が発揮され得ることが、記載されているのである。
【0005】
ところが、本発明者等の研究によれば、上記二つの公報に開示された2種類の内面溝付伝熱管のうち、特開平3−234302号公報に開示された内面溝付伝熱管においては、螺旋溝のみが管内面に多数形成されてなる従来の内面溝付伝熱管よりも優れた凝縮性能を得ることが困難であり、また、特開平8−303905号公報に開示の内面溝付伝熱管にあっては、主溝と副溝との交差部分における乱流促進効果をより一層高めるようにしたものであるため、管内での伝熱媒体の流動抵抗が著しく増大せしめられ、それによって、多数の螺旋溝のみを有する従来の内面溝付伝熱管に比べて、圧力損失が不可避的に大きくなってしまうことが、判明したのである。
【0006】
このため、本発明者等は、先に、特願2000−187154号(特開2002−5588号公報)において、管内面に螺旋溝のみが多数形成されてなる従来の内面溝付伝熱管に比べて、圧力損失が有利に低減され得ると共に、凝縮性能が効果的に高められ得る内面溝付伝熱管として、管内面に、管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びる第一の溝が多数形成されると共に、該第一の溝に対して交差しつつ、管軸方向に連続して延びる第二の溝が形成されてなる内面溝付伝熱管にして、前記第一の溝が、管軸に対して10〜30°の捩じれ角を有して形成されている一方、前記第二の溝が、管軸に対して20°以下の捩じれ角と、該第一の管周方向におけるピッチに対して1.3〜8倍の溝幅とをもって、管1周当たり1〜6条形成されていることを特徴とする内面溝付伝熱管を、明らかにしたのである。
【0007】
しかしながら、かかる先に提案の内面溝付伝熱管にあっては、第一の溝と第二の溝の交差部分での乱流促進作用が期待され得ることに加えて、第二の溝が、第一の溝の周方向におけるピッチ、更に言えば、該ピッチにて規定される第一の溝の幅に比して、充分に大きな溝幅を有して構成されているところから、そのような広幅の第二の溝が伝熱媒体の凝縮液の排液溝としての役割を果たし、それによって凝縮液が第二の溝に沿って効率的に排除され得るという特徴があり、以て、凝縮性能が効率的に高められ得たり、圧力損失が有利に低減され得る等という特徴を発揮してはいるものの、充分に大きな溝幅を有する第二の溝が存在することによって、そのような伝熱管をプレートフィンに組み付けるに際して、それらの間の密着性に少なからぬ問題を生じることが明らかとなったのである。
【0008】
すなわち、クロスフィンチューブ形等の熱交換器を得るために、プレートフィンの組付け孔に伝熱管を挿通せしめて、それらの組付けを行うに際しては、一般に、それら伝熱管とプレートフィンとの密着を図るために、伝熱管の内部に、外径が伝熱管の内径よりも若干大きなプラグを挿入して、かかる伝熱管を拡管することからなる機械拡管手法が採用されることとなるが、そのような機械拡管に際しては、伝熱管内面に形成された溝間に位置する山部、換言すればフィンが存在する場合において、プラグが、伝熱管内面に存在するフィンを介して、伝熱管の径を均等に押し広げ、プレートフィンと均等に密着させるようにすることが必要となるのである。しかしながら、先に提案の内面溝付伝熱管の如く、管内面に部分的に広い溝が存在する場合にあっては、その部分は、プラグと接すべきフィンがないために、伝熱管を押し広げる力が伝わらず、そのために、フィンの存在する部分と比べて、拡管作用を充分に発揮し得ず、その結果、プレートフィンとの間の密着性が不十分となるのであり、それが、また、熱交換器性能の低下を招く要因の一つともなっているのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、螺旋状の第一の溝に対して広幅の第二の溝が交差するように形成されてなる内面溝付伝熱管において、その機械拡管による組付けに際して、その組付け性、ひいてはプレートフィン等の組付け対象物に対する密着性を高めることの出来る内面溝付伝熱管を提供することにあり、また、本発明にあっては、そのような内面溝付伝熱管を有利に製造する方法を提供することをも、その課題とするものである。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、管内面に、管軸方向に向って螺旋状に連続して延びる第一の溝が多数形成されると共に、該第一の溝に対して交差しつつ、管軸方向に連続して延びる第二の溝が、該第一の溝の管周方向におけるピッチよりも大なる溝幅において且つ2〜6条/管周の割合において形成されてなり、それら第一及び第二の溝に沿ってそれぞれ伝熱媒体が流れるように構成される一方、それらの溝の交差部分において、それぞれの溝に沿って流れる伝熱媒体が衝突せしめられるようにした内面溝付伝熱管にして、前記第二の溝内に、それぞれ独立した多数の突起が、該第二の溝に交差する、前記第一の溝間に形成される山部の延長線上に且つ該山部からは分離した形態においてそれぞれ位置するように、設けられていると共に、それら多数の突起が、該第二の溝内において、管軸方向に1列若しくは2列に配列されて、1条若しくは2条の不連続な突条形態を呈していることを特徴とする内面溝付伝熱管を、その要旨とするものである。
【0011】
従って、このような本発明に従う内面溝付伝熱管にあっては、その管軸方向に螺旋状に延びる第一の溝に対して、広幅の第二の溝が交差して延びるように形成されていても、そのような第二の溝内には、それぞれ独立した多数の突起が設けられて、管軸方向に配列せしめられているところから、そのような内面溝付伝熱管の組付けに際して、プラグを用いた機械拡管を実施しても、第二の溝の形成部位におけるプラグによる拡管力は、多数の突起を通じて管壁部位に効果的に伝達され得て、有効な拡管が行われることとなるのであり、その結果、プレートフィン等の組付け対象物との間の密着性が効果的に高められ、以て熱交換器性能の低下を招く等の問題の発生が有利に回避され得ることとなるのである。
【0012】
しかも、かかる内面溝付伝熱管においては、螺旋状に延びる第一の溝の周方向におけるピッチ、より具体的には、そのようなピッチにて規定される第一の溝の幅に比して、充分に大きな溝幅において設けられた第二の溝の存在に加えて、該第二の溝内に形成された多数の突起の存在により、第二の溝に沿った伝熱媒体凝縮物の効率的な排除を実現しつつ、かかる第二の溝を凝縮した伝熱媒体の凝縮液の排液溝として作用せしめると共に、管底部から管頂部への伝熱媒体(液)の掻き揚げが効果的に抑制され得ることとなることにより、凝縮熱伝達に有効な第一の溝間に形成される山部(フィン)の先端が液没し難く、それによって、非常に高い凝縮熱伝達率が発揮され得るようになるのである。
【0013】
また、この本発明に従う内面溝付伝熱管にあっては、管軸方向に螺旋状に延びる第一の溝に対して、広幅の第二の溝が交差して延びるように形成されているところから、第一の溝に沿って流動せしめられる伝熱媒体の凝縮液と、第二の溝に沿って流れる伝熱媒体の凝縮液とが、それら第一の溝と第二の溝との交差部分において衝突せしめられて、かかる第一の溝に沿った伝熱媒体の凝縮液のスムーズな流れが撹乱せしめられ、それによって、それら二つの溝の交差部分での乱流促進が効果的に図られ得、更に、そのような第二の溝への伝熱媒体の凝縮液の流れ込みにより、管内の流動抵抗も効果的に低減せしめられ得て、圧力損失の増大を有利に抑制することが可能となるのである。
【0014】
なお、このような本発明に従う内面溝付伝熱管にあっては、有利には、前記第一の溝が、管軸に対して10〜50°の捩じれ角を有して螺旋状に形成されている一方、前記第二の溝が、管軸に対して0〜20°の捩じれ角と、前記第一の溝の管周方向におけるピッチに対して1.3〜5倍の溝幅とをもって、〜6条/管周の割合において形成せしめられ、これによって、より一層、管内圧力損失の増大を防ぎつつ、高い凝縮熱伝達率を得ることが出来るのである。
【0015】
また、本発明に従う内面溝付伝熱管によれば、前記第二の溝内に設けられた突起が、該第二の溝に交差する前記第一の溝間に形成される山部(フィン)の延長線上に位置している構成が採用され、これにより、第一の溝を形成した後、第二の溝を形成する際に、かかる第二の溝の形成部位に位置する第一の溝間の山部を全面的に潰すことなく、その一部を残すことによって、目的とする突起を有利に形成し得るのである。
【0016】
さらに、本発明に従う内面溝付伝熱管の好ましい他の態様によれば、前記第二の溝は、前記第一の溝の深さの50〜120%の深さを有して形成されている。このような構成によれば、より多くの伝熱媒体の凝縮液が第二の溝に沿って流動せしめられることとなり、それによって、第二の溝が伝熱媒体の凝縮液の排液溝としての役割をより一層充分に果たすばかりでなく、第一の溝に沿って流動せしめられる伝熱媒体の凝縮液の第二の溝に沿って流れる伝熱媒体の凝縮液との衝突による撹乱効果が、より有利に高められ得、以て、凝縮性能の向上が更に一層高められ得ることとなるのである。
【0017】
そして、本発明にあっては、前述の如き構造とされた内面溝付伝熱管を製造する方法であって、前記内面溝付伝熱管を与える素管を準備する一方、外周面に、前記第一の溝に対応した形状をもって軸心方向に延びる第一の凸条が多数設けられてなる第一のプラグと、外周面に、前記第二の溝に対応した形状をもって軸心方向に延びる第二の凸条が形成され且つ該第二の凸条の先端面に前記突起を与える凹条が形成されてなる第二のプラグとを、該素管の内孔内において、その長さ方向に沿って直列的に且つ該素管の中心軸回りに回転可能な状態で同軸的に配置し、更に、該素管の周囲において、それら第一及び第二のプラグの配置位置に対応する位置に、第一の転圧部材と第二の転圧部材とを配置して、該素管を該第一のプラグ側から該第二のプラグ側に向かって連続的に移動せしめつつ、該素管を該第一のプラグに対して管外面より該第一の転圧部材にて押圧せしめることにより、該素管の内面に、該第一のプラグの前記第一の凸条にて前記第一の溝を多数形成せしめると共に、それら多数の第一の溝のうち、該素管の周方向に互いに隣り合うものの間に、該第一の溝に沿って、該素管の管軸方向に延びる山部をそれぞれ形成せしめた後、該素管を該第二のプラグに対して管外面より該第二の転圧部材にて押圧せしめることにより、該素管の内面における該多数の第一の溝の間に形成された山部のうち、該素管の移動に伴って該第二のプラグの前記第二の凸条の先端面に接触するものを、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめて、前記第二の溝を形成せしめる一方、該第二の凸条の先端面に形成された前記凹条に対応する前記山部部分を残して、前記突起が形成されるようにしたことを特徴とする内面溝付伝熱管の製造方法をも、その要旨とするものである。
【0018】
このような本発明に従う内面溝付伝熱管の製造方法によれば、連続した1本の素管の内面に、第一の溝と第二の溝とが一挙に形成され、更にそのような第二の溝の形成と同時に、多数の突起も形成され得るところから、目的とする内面溝付伝熱管が、より速やかに且つより低いコストで、極めて有利に製造され得るのである。
【0019】
さらに、本発明にあっては、また、前述の如き構造とされた内面溝付伝熱管を製造する方法であって、前記内面溝付伝熱管を与える帯板状素材を準備する一方、外周面に、前記第一の溝に対応した形状をもって周方向に延びる第一の凸条が多数設けられてなる第一のロールと、外周面に、前記第二の溝に対応した形状をもって周方向に延びる第二の凸条が形成され且つ該第二の凸条の先端面に前記突起を与える凹条が形成されてなる第二のロールとを、該帯板状素材の一方の面上において、その長さ方向に沿って直列的に且つそれぞれ一軸回りに回転可能に配置して、該帯板状素材を該第一のロール側から該第二のロール側に向かって連続的に移動せしめつつ、該第一のロールを、該帯板状素材の一方の面に押圧せしめることにより、かかる一方の面に対して、該第一のロールの前記第一の凸条にて前記第一の溝を多数形成せしめると共に、それら多数の第一の溝のうち、該帯板状素材の長さ方向に互いに隣り合うものの間に、該第一の溝に沿って延びる山部を形成せしめた後、前記第二のロールを、該帯板条素材の一方の面に押圧せしめることにより、かかる一方の面における該多数の第一の溝の間に形成された山部のうち、該帯板状素材の移動に伴って該第二のロールの前記第二の凸条の先端面に接触するものを、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめて、前記第二の溝を形成する一方、該第二の凸条の先端面に形成された前記凹条に対応する前記山部部分を残して、前記突起を形成せしめ、更に、その後、該第一及び第二の溝並びに突起が形成された面を内側にして、該帯板状素材を造管するようにしたことを特徴とする内面溝付伝熱管の製造方法をも、その要旨とするものである。
【0020】
そして、このような本発明に従う内面溝付伝熱管の製造方法によれば、一枚の帯板状素材に対して、溝付け工程と造管工程とからなる一連の工程を行うことによって、目的とする内面溝付伝熱管が、該一枚の帯板状素材から一挙に且つ効率的に製造され得ることとなる。
【0021】
特に、上記した二つの内面溝付伝熱管の製造方法においては、第二の溝が、第一の溝間の山部(フィン)を所定長さにおいて押し潰すことによって形成されることとなることにより、第一の溝との間において溝段差が形成され易く、そしてそのような溝段差が形成されると、凝縮伝熱媒体の撹乱効果も多いに高められるのである。
【0022】
また、本発明は、前述せる如き構造とされた内面溝付伝熱管を用い、それをプレートフィンの組付け孔に挿通せしめた状態下において、かかる伝熱管を機械拡管することにより、該プレートフィンに密着させて、組み付けてなることを特徴とするクロスフィンチューブ形熱交換器をも、その対象とするものであり、これによって、伝熱管とプレートフィンとの密着性が有利に向上せしめられ得て、熱交換器性能に優れたクロスフィンチューブ形熱交換器を実現することが出来るのである。
【0023】
さらに、本発明は、そのようなクロスフィンチューブ形熱交換器を冷凍サイクルの凝縮器又は蒸発器として用いたことを特徴とする冷凍・空調機をも、その要旨とするものであって、これにより、高い熱交換器性能を発揮し得る冷凍・空調機が実現され得るのである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る内面溝付伝熱管とその製造方法の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0025】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する内面溝付伝熱管の一例が、管軸方向に垂直な方向で切断した横断面形態における端面図において示されており、また、図2には、図1の要部を拡大した図が示され、更に、図3には、そのような内面溝付伝熱管を管軸方向に平行に切断して展開した状態が図示されている。なお、図3は、第一及び第二の溝の管軸に対する傾斜形態の理解を容易と為す上において、それら二種類の溝のうち、特に第一の溝が誇張されて示され、それに伴い、第二の溝内に形成される突起も誇張されて示されており、そのために、図3の展開図においては、かかる第一の溝及び突起が、図1に比して、少ない配設条数乃至は配設個数で示されていることが理解されるべきである。
【0026】
そして、それら図1乃至図3からも明らかなように、内面溝付伝熱管10は、全体として、円形横断面を有する中空の直管形状を呈しているのである。なお、この内面溝付伝熱管10は、蒸発管や凝縮管、或いはヒートパイプ本体等として採用され得るものであって、冷媒等の伝熱媒体の流通路を管内部に形成し得るように、円形のほか、楕円形や偏平な長円形等の適当な断面形状を呈する中空管体構造において、構成されるものである。そして、かかる内面溝付伝熱管10においては、その構成材料として、要求される伝熱性能や、採用される伝熱媒体の種類等に応じて、例えば、銅や銅合金、アルミニウム合金等の適当な金属材料が、適宜に用いられることとなる。
【0027】
また、かかる内面溝付伝熱管10にあっては、その外周面が平滑面とされている一方、その内周面には、多数の第一の溝12と複数の第二の溝14とが形成されているのである。
【0028】
より具体的には、多数の第一の溝12は、管軸に対して直角な断面において、何れも、底部に向かうに従って次第に狭幅となる略台形形状とされていると共に、管軸に対して傾斜して、その管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びる形態をもって、設けられている。また、それら第一の溝12は、かかる管軸に対して直角な断面の端面において、32条設けられている。つまり、内面溝付伝熱管10の内面に、第一の溝12が、1周当たり32条形成されているのである。そして、そのような多数の第一の溝12が設けられていることによって、管内面における管周方向に互いに隣り合う第一の溝12同士の間に、突条形態を有するフィン(山部)16が、それぞれ一つづつ形成されている。また、それらのフィン16は、それぞれ各第一の溝12の形状に対応した、先端に向かうに従って次第に狭幅となると共に、その先端が平坦あるいは円弧とされた、略台形形状を呈する管軸直角断面形状を有しており、各第一の溝12に沿って、管軸に対して傾斜して、該管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びる形態をもって、形成されている。
【0029】
一方、複数の第二の溝14も、管軸に対して直角な断面において、それぞれ底部に向かうに従って次第に狭幅となる略台形形状とされていると共に、管軸に対して傾斜して、かかる管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びるように形成されているものの、その底部の幅が、第一の溝のそれぞれのものにおける底部の幅に比して充分に大きくされており、また、管軸に対する傾斜角(管軸に対する捩じれ角=リード角)の大きさが、第一の溝12のそれよりも充分に小さくされている。なお、それら第二の溝14は、ここでは、管軸に対して直角な断面の端面において、4条、つまり1周当たり4条(=4条/管周)となるように設けられている。
【0030】
しかも、それら複数の第二の溝14内には、それぞれ、フィン16と同様な略台形形状を呈する、独立した細長な突起18が、多数形成されていると共に、それら多数の突起18は、第二の溝14内において管軸方向に配列されて、ここでは、1条の不連続な突条形態を呈して、位置せしめられている。また、それら多数の突起18は、ここでは、第二の溝14に対して交差するフィン16の一部によって構成されており、以て、第二の溝14に交差するフィン16の延長線上に位置せしめられてなる形態となっている。
【0031】
すなわち、かくの如き内面溝付伝熱管10においては、管内面に、狭い溝幅を有する多数の第一の溝12と多数のフィン16とが、管周方向に交互に位置し且つ螺旋状形態をもって管軸方向に連続して延びるように形成されていると共に、広い溝幅を有する複数の第二の溝14が、前記第一の溝12に対して交差しつつ、管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びるように形成されており、更に、第二の溝14のそれぞれの溝内には、それぞれ独立した多数の凸条が、管軸方向に配列した形態において、設けられているのであり、以て管内面の限られたスペース内で、伝熱面積が効率的に増大せしめられた内面螺旋溝付伝熱管として構成されているのである。
【0032】
なお、このような内面溝付伝熱管10においては、第一の溝12と第二の溝14の、それぞれの断面形状が、特に限定されるものではなく、伝熱管10の用途や採用される伝熱媒体の種類、管内を流通せしめられる伝熱媒体の質量速度等に応じて適宜に決定されることとなり、例えば、それらの断面形状としては、上述の如き台形形状のほか、V字形状やU字形状、或いは真円や楕円、長円等の円形の一部をなす円弧形状等の形状が採用され得るものである。そして、フィン16の断面形状は、そのような第一の溝12の断面形状に応じて、種々変化することとなることは言うまでもないところである。
【0033】
もっとも、かかる内面溝付伝熱管10において、第一の溝12や第二の溝14の管軸に対する捩じれ角(リード角)は、それぞれ適宜に選定されることとなるが、一般に、第一の溝12の管軸に対する捩じれ角(リード角):αは、10〜50°の範囲内とされていることが望ましい。この第一の溝12の管軸に対する捩じれ角:αが10°未満である場合には、内面溝付伝熱管10を凝縮管として用いた際に、第一の溝12同士の間に形成された前記フィン16の先端における伝熱媒体の気化ガスによる剪断力が小さくなって、伝熱媒体の凝縮液の薄膜化効果が減少し、その結果として、熱伝達率が急激に低下してしまうことになるからである。また、かかる第一の溝12の管軸に対する捩じれ角:αが50°よりも大きくなると、管内面に対する第一の溝12の加工性が悪くなる他、性能面でも、圧力損失の増大が顕著となって、それが、蒸発管として使用した際における伝熱性能に対して悪影響を及ぼす恐れを生じるからである。なお、そのような第一の溝12の管軸に対する捩じれ角:αは、管内面に対する優れた加工性を確保しつつ、より高度な伝熱性能を実現する上において、20〜40°程度とされていることが、より望ましい。
【0034】
また、第二の溝14の管軸に対する捩じれ角:βとしても、それは、適宜に選定されるものの、好ましくは0〜20°とされていることが望ましい。けだし、この第二の溝14の管軸に対する捩じれ角:βが20°よりも大きい場合には、かかる第二の溝14に沿って流動せしめられる伝熱媒体のスムーズな流れが阻害されて、そのような伝熱媒体の管内での流動抵抗が増し、それによって、圧力損失が増大せしめられるようになるからである。従って、かかる第二の溝14の管軸に対する捩じれ角:βが小さい程、換言すれば、第二の溝14が管軸に対して平行に近い程、圧力損失が低く抑えられ得て、特に蒸発管として用いた場合に、優れた蒸発性能を発揮し得ることとなるのであり、この意味において、かかる第二の溝14の管軸に対する捩じれ角:βは、5°以下とされていることが、より望ましいのである。
【0035】
さらに、このような内面溝付伝熱管10においては、第二の溝14は、第一の溝12の管周方向におけるピッチ:Pに対して大なる溝幅:Wとして形成されているが、特に、かかるピッチ:Pに対して1.3〜5倍の溝幅:Wとなるように形成されていることが望ましい。けだし、かかる比率(W/P)が1.3よりも小さい場合には、第二の溝14の幅:Wが狭くなりすぎて、伝熱媒体の凝縮液が第二の溝14に沿って排除され難くなり、それによって、第一の溝12同士の間に形成されるフィン16における、凝縮熱伝達に有効に作用されるフィン先端の該凝縮液内への液没が惹起せしめられて、凝縮性能の向上が困難となるばかりでなく、第二の溝14が必要以上に多数形成されることとなって、それら多数の第二の溝14と多数の第一の溝12との交差部分における乱流促進効果が必要以上に高められ、それによって、管内での伝熱媒体の流動抵抗が著しく増大せしめられて、圧力損失が不可避的に増大するようになってしまうからである。また、第二の溝14の幅:Wが、第一の溝12の管周方向におけるピッチ:Pに対して5倍よりも大きな寸法とされる場合にあっては、溝幅:Wが大きくなり過ぎて、第二の溝14の管内面への加工時の加工性が低下することに加えて、有効伝熱面積が減少し、それによって、第一及び第二の溝12,14の形成による伝熱促進効果が低下するようになるからである。
【0036】
つまり、内面溝付伝熱管10の内面に形成される第二の溝14の幅:Wは、該伝熱管10における凝縮性能の向上と圧力損失の低下とを図る上から、特に、第一の溝12の管周方向におけるピッチ:Pに対して、上述の如き比率の範囲内において設定されるのが望ましいのであるが、そのような特性をより効果的に得るためには、かかる第二の溝14の溝幅:Wが2〜4倍程度とされていることが、より望ましいのである。また、内面溝付伝熱管10を一般的な凝縮管や蒸発管として使用する場合、実際には、第一の溝12が0.15〜0.85mm程度のピッチとされる一方、第二の溝14の溝幅:Wは、通常、0.5〜1.5mm程度の範囲内の値とされることとなる。
【0037】
なお、上述の如く、内面溝付伝熱管10にあっては、第二の溝14が、第一の溝12に対して充分に広い幅をもって形成されているところから、かかる第二の溝14の配設に際しては、その配設条数を1周当たり〜6条の範囲において、充分に少なくすることが望ましい。この第二の溝14を7条以上の条数で形成する場合にあっては、前述せる如き溝幅:Wを採用しても、管内面において第一の溝12が形成された部位における有効伝熱面積を充分な大きさにおいて確保することが困難となるからである。また、そのような内面溝付伝熱管10において、第二の溝14の溝幅と管内面における前記有効伝熱面積とを、共に充分に確保して、凝縮性能の向上と圧力損失の低下とをより有効に図るためには、かかる第二の溝14の配設条数が、好ましくは1周当たり2〜4条とされることとなる。一方、第一の溝12の配設条数は、特に限定されるものではなく、過度に多い条数として、加工性の低下を招くことや、著しく少ない条数として、管内面における有効伝熱面積を低下させることがないように、溝ピッチ等に応じて適宜に設定されることとなるのである。
【0038】
なお、このような内面溝付伝熱管10における第一の溝12の深さ:D1 と第二の溝:D2 は、必ずしも特定な値とされるものではないものの、好ましくは、第二の溝14の深さ:D2 が、第一の溝12の深さ:D1 の50%〜120%程度の大きさとされることとが望ましい。何故なら、第二の溝14の深さ:D2 が第一の溝12の深さ:D1 の50%に満たない大きさとされる場合には、第二の溝14に沿って流動せしめられる伝熱媒体の流量が小さくなり過ぎて、第二の溝14が伝熱媒体の凝縮液の排液溝として有効に機能しなくなるばかりでなく、第二の溝14に沿って流動せしめられる伝熱媒体の凝縮液と、第一の溝12に沿って流れる伝熱媒体の凝縮液との衝突による撹乱効果が小さくなり、その結果として、期待されるほどの凝縮性能が得られなくなるからである。また、第二の溝14の深さ:D2 が、第一の溝12の深さ:D1 の120%よりも大きくされる場合には、第二の溝14が深くなり過ぎて、そのような第二の溝14の加工性が悪化すると共に、内面溝付伝熱管10の耐圧強度が著しく低下するようになるからである。
【0039】
そして、かくの如き螺旋状の第一の溝12に対して交差する広幅の第二の溝14が管内面に形成されてなる内面溝付伝熱管10においては、更に、その第二の溝14内に、それぞれ独立した多数の突起18が、設けられているのであるが、そのような多数の突起18は、第二の溝14内において、管軸方向に1列若しくは2列に配列されて、1条若しくは2条の不連続な突条形態を呈しているように形成されているのである。このように、広幅の第二の溝14内に突起18を存在せしめることによって、プラグによる拡管(機械拡管)に際して、その拡管力、換言すれば、管を押し広げる力を管壁(管底)に対して効果的に伝えることが出来るところから、フィン16の存在する部分との間の拡管作用の差異を極力少なくすることが出来るのである。
【0040】
また、かかる第二の溝14内に設けられる多数の突起18は、ここでは、管軸方向に一列に配列せしめられていることによって、そのような突起18の上記した有用な機能を確保しつつ、第二の溝14における、螺旋状の第一の溝12に交差する広幅の溝としての機能をも充分に奏せしめ得るようにされているのであって、これにより、螺旋状に形成された第一の溝12に沿った伝熱媒体のスムーズな流れの撹乱、管底部から管頂部への伝熱媒体の凝縮液の掻き上げ抑制と共に、そのような凝縮した伝熱媒体の排液溝としての効果的な作用に寄与せしめ、凝縮熱伝達に有効なフィン先端を液没し難くして有効な凝縮熱伝達率を実現せしめ、また、管内の流動抵抗を低減し、圧力損失の増大を抑制することにも寄与せしめ得ることとなるのである。
【0041】
なお、この多数の突起18の管軸方向における配列数としては、1列若しくは2列であり、3列以上の突起18の配列は避けなければならない。けだし、第二の溝14が如何に広幅であるとしても、3列以上となるような多数の突起が第二の溝14内に存在すると、それら多数の突起18によって、第二の溝14の溝幅:Wが狭くなったのと同様な状態となり、そのために伝熱媒体の凝縮液が第二の溝14に沿って排除され難くなり、凝縮性能の向上を望み得なくなるほか、管内での伝熱媒体の流動抵抗が著しく増大する等の問題を生じるからである。
【0042】
そして、このような第二の溝14内に設けられる突起18は、一般に、その高さ:Hが、第二の溝14の深さ:D2 の70〜110%となるように構成され、これによって、第二の溝14形成部位における拡管作用が管底部に有効に伝達され得ることとなるのである。なお、そのような突起18の高さ:Hが第二の溝14の溝深さ:D2 の70%よりも低くなると、伝熱管の拡管時において、プラグと接触し難くなって、プレートフィン等の組付け対象物に対する密着性が低下することとなり、また、かかるD2 の110%よりも高くなると、その製造が困難となる等の問題がある。
【0043】
また、かくの如き突起18を第二の溝14内に形成するに際しては、第二の溝14に交差するフィン16を利用し、そのような交差部分に位置するフィン16の一部を残すようにして、第二の溝14を形成するようにすれば、管軸方向に配列した多数の突起18からなる不連続な突条として、第二の溝14内に有利に形成せしめ得るのである。
【0044】
このように、図1〜図3に示される内面溝付伝熱管10にあっては、その内面に、管軸に対する所定の捩じれ角をもって、管軸方向に螺旋状に連続して延びる第一の溝12が多数形成されていると共に、そのような第一の溝12よりも充分に大きな溝幅を有する第二の溝14が、管軸に対する比較的に小さな捩じれ角をもって、それら多数の第一の溝12に交差しつつ、少ない条数において形成されているところから、これまでの内面溝付伝熱管に比して圧力損失が有利に低減され得ると共に、凝縮性能が効果的に高められ得ることとなる他、第二の溝14内には、管軸方向に多数の突起18が配列せしめられて、不連続な突条形態を呈しているところから、機械拡管に際して、その拡管力を、第二の溝14の形成部位においても効果的に管底部に伝達し、以て密着不良等の問題を惹起することなく、効果的に拡管して、プレートフィンの組付け孔等に効果的に取り付けることが出来るのである。
【0045】
そして、このような特徴を有する内面溝付伝熱管10は、従来と同様に、伝熱管としての各種の用途に有利に用いられ得るものであるが、特に、クロスフィンチューブ形熱交換器における伝熱管として好適に用いられ、そこでは、そのような熱交換器を与えるプレートフィンの組付け孔に挿通せしめた状態下において、前記した内面溝付伝熱管10を、従来と同様にして、プラグを用いて機械拡管することにより、プレートフィンに対して高い密着度をもって組み付けられるのである。そして、これにより、熱交換器性能の向上を図ることが出来ることとなったのである。
【0046】
さらに、そのような内面溝付伝熱管10を用いて得られる熱交換器を、冷凍サイクルの凝縮器又は蒸発器として用いた冷凍・空調機においては、かかる熱交換器の特徴が有利に発揮され得て、冷凍・空調特性において、優れた効果を奏するのである。
【0047】
ところで、このような優れた特徴を発揮する内面溝付伝熱管10は、例えば、公知の転造加工法や圧延加工法等を利用して、製造されることとなる。
【0048】
すなわち、転造加工手法を利用して内面溝付伝熱管10を製造する場合には、例えば、図4に示される如き構造の転造加工装置を用いて、連続する1本の素管20に対して所定の転造加工を施すことによって、目的とする内面溝付伝熱管10を得るのである。
【0049】
具体的には、ここで用いられる転造加工装置は、目的とする内面溝付伝熱管10を与える素管20が、従来と同様にして、管軸方向の一方向(図中、矢印方向)に引き抜き移動せしめられるようになっている。そして、かかる素管20の周囲には、第一の円形ダイス22と管周囲りに回転せしめられる第一の転圧部材24と同様に回転せしめられる第二の転圧部材26と第二の円形ダイス28とが、それぞれ、隣り合うもの同士において所定間隔をあけつつ、該素管20の移動方向の上流側から下流側に向かって、順次、配置せしめられている。なお、それらは、何れも、素管20の外径よりも所定寸法小さな径の内孔を有するリング形状を呈して成っており、しかも、その配置順に従って、内径寸法が徐々に小さくなるように構成されている。また、第一及び第二の転圧部材が、何れも、素管20の周りに配した複数のボールにて構成されていることは、従来と同様である。
【0050】
一方、素管20の内孔内には、タイロッド30にて互いに連結せしめられたフローティングプラグ32と第一の溝付プラグ34と第二の溝付プラグ36とが、素管20の周囲に配された第一の円形ダイス22と第一の転圧部材24と第二の転圧部材26とに対応する位置に、それぞれ管軸回りに自由回転可能な状態で、同軸的に挿入配置されている。そして、それら3つのプラグのうち、フローティングプラグ32は、従来と同様な構造を有しており、素管20の移動方向の下流側の部位が、その上流側の部位よりも小径化せしめられてなる段付き円柱ブロック形状をもって構成されている。
【0051】
また、第一の溝付プラグ34は、図5(a)及び(b)に示される如く、その外周面に、多数の第一の溝形成凸条38が、軸心に対して傾斜しつつ、該軸心方向に連続して延びるように形成されている。そして、この第一の溝形成凸条38は、第一の溝付プラグ34の軸心に対して直角な断面形状が、目的とする内面溝付伝熱管10の内面に形成されるべき第一の溝12の管軸直角断面形状に対応した形状とされていると共に、該軸心に対する捩じれ角の大きさが、該内面溝付伝熱管10の管軸に対する第一の溝12の捩じれ角:αに対応した大きさとされている。
【0052】
一方、第二の溝付プラグ36も、図6(a)及び(b)に示される如く、その外周面に、第二の溝形成凸条40が、軸心に対して平行に或いは所定の角度をもって傾斜しつつ、かかる軸心方向に連続して延びるようにして、目的とする内面溝付伝熱管10の内面に形成されるべき第二の溝14の数と同数だけ、形成されていると共に、そのような第二の溝形成凸条40の先端面には、前記突起18を形成するための凹条42が、第二の溝形成凸条40の延びる方向に設けられている。なお、この第二の溝形成凸条40は、第二の溝付プラグ36の軸心に対して直角な断面形状が、内面溝付伝熱管10における第二の溝14の管軸直角断面形状に対応した形状とされていると共に、該軸心に対する捩じれ角の大きさが、内面溝付伝熱管10の管軸に対する第二の溝14の捩じれ角:βに対応した大きさとされている一方、突起形成凹条42の断面形状も、同様に突起18の管軸直角断面形状に対応した形状とされているのである。
【0053】
そして、実際に、かくの如き構造とされた転造加工装置を用いて、目的とする内面溝付伝熱管10を製造するには、先ず、素管20を、図4に示された矢印の方向に引き抜き移動せしめて、フローティングプラグ32と第一の円形ダイス22との間で、縮径する。次いで、かかる素管20を、第一の溝付プラグ34に対して、管外面より、回転せしめられる第一の転圧部材24にて押圧して、更に所定寸法縮径すると共に、第一の溝付プラグ34を素管20の管軸回りに自由に回転せしめつつ、素管20の内面において、素管20の移動に伴って第一の溝付プラグ34における第一の溝形成凸条38の先端面に接触する部位を、順次、凹陥せしめる。これにより、素管20の内面に、第一の溝付プラグ34の第一の溝形成凸条38に対応した形状と捩じれ角とをもって凹陥する第一の溝12を、管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びるようにして、多数形成し、また、それと同時に、管周方向に互いに隣り合う第一の溝12同士の間に、突条形態を有するフィン16を、第一の溝12に沿って、それぞれ一つずつ形成する。
【0054】
次いで、第一の溝12とフィン16とがそれぞれ多数形成された素管20を、第二の溝付プラグ36に対して、管外面より、回転せしめられる第二の転圧部材26にて押圧して、更にまた縮径すると共に、該第二の溝付プラグ36を素管20の管軸回りに自由に回転せしめつつ、多数のフィン16のうち、素管20の移動に伴って第二の溝付プラグ36における第二の溝形成凸条40の先端面に接触するものを、該凸条40にて、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめる。これにより、第二の溝付プラグ36の溝形成凸条40に対応した形状と捩じれ角とをもって凹陥する第二の溝14を、第一の溝12に対して交差しつつ、管軸方向に向かって螺旋状に連続して延びるようにして、複数形成する。なお、このとき、フィン16の幾つかが、十分に変形されない場合もあるが、第二の溝14の形成により達成される前述する如き効果が、そのようなフィン16によって阻害されることはない。
【0055】
また、かかる溝形成凸条40による第二の溝14の形成に際して、かかる溝形成凸条40の先端面には、前記突起18の高さ:Hに対応した所定深さの凹条42が設けられているところから、第二の溝14形成部位におけるフィン16部分において、突起形成凹条42に対応する部位は、そのような溝形成凸条40による屈曲乃至は潰し変形の作用を受けることがなく、それによって、そのような突起形成凹条42に対応した形状の突起18が、溝形成凸条40にて形成された第二の溝14内に形成されることとなるのである。即ち、図7に示される溝形成パターンの如く、第一の溝付プラグ34によって多数の第一の溝12が形成され、そしてそれら第一の溝12間にフィン16が形成されてなる管内面に対して、第二の溝付プラグ36による転造作用により、それら第一の溝12及びフィン16に交差するように第二の溝14が形成せしめられると同時に、第二の溝付プラグ36の溝形成凸条40の先端面に設けられた突起形成凹条42に対応したフィン16部分が、突起18として、各フィン16の延長線上に位置するようにして、第二の溝14内に形成されることとなるのである。
【0056】
その後、素管20を、必要に応じて、所定の長さに切断し、以て管内面に、管軸に対する所定の捩じれ角をもって、管軸方向に螺旋状に連続して延びる第一の溝12が多数形成されると共に、該第一の溝12よりも十分に大きな溝幅を有する第二の溝14が、管軸に対する比較的に小さな捩じれ角をもって、該多数の第一の溝12に交差しつつ、管軸方向に平行に或いは螺旋状に連続して延びるようにして、少ない条数において形成され、更に、その形成された第二の溝14内には、所定高さをもった突起18が、管軸方向に配列されて、不連続な凸条形態を呈するように配置されてなる、図1乃至図3に示される如き内面溝付伝熱管10が、連続的に製造されることとなる。
【0057】
このように、図4に示されるような転造加工装置を用いた手法によれば、図7に示される内面展開図の一部をモデル的に示す溝形成パターンから、第一及び第二の溝付プラグ34,36によって、連続した1本の素管20の内面に、第一及び第二の溝12,14が一挙に形成され、また第二の溝14の形成と同時に、突起18も形成され得るところから、目的とする内面溝付伝熱管10が、より速やかに、且つより低いコストで、有利に製造され得るのである。
【0058】
また、圧延加工手法を利用して内面溝付伝熱管10を製造する場合には、例えば、図8に示される如き構造の加工装置を用いて、連続する1枚の帯板状素材44を長さ方向に移動せしめつつ、該帯板状素材44に対して、所定の圧延加工による溝付け加工や造管加工を施すことにより、目的とする内面溝付伝熱管10を得るようにするのである。
【0059】
より詳細には、ここで用いられる加工装置は、図示しない駆動ロールにより、帯板状素材44を、その長さ方向一方側(図8において矢印にて示される方向)に移動せしめられるようになっている。そして、かかる帯板状素材44の移動方向の最も上流側には、該帯板状素材44を上下に挟むガイドロール46,46が配置され、このガイドロール46,46に案内されて、帯板状素材44が、その移動方向の上流側と下流側とに所定間隔をおいて配置された第一及び第二の二つの圧延ロール48,50に導かれるようになっている。
【0060】
また、図9に示される如く、この二つの圧延ロール48,50のうち、帯板状素材44の移動方向上流側に位置する第一の圧延ロール48は、その外周面に、多数の第一の溝形成凸条52が、軸直角線に対して傾斜しつつ、周方向に連続して延びるように形成されている。そして、この第一の溝形成凸条52は、第一の圧延ロール48の軸心に平行な断面形状が、目的とする内面溝付伝熱管10の内面に形成されるべき第一の溝12の管軸直角断面形状に対応した形状とされていると共に、該軸心に直角な軸直角線に対する捩じれ角の大きさが、内面溝付伝熱管10の管軸に対する第一の溝12の捩じれ角:αに対応した大きさとされているのである。
【0061】
一方、図10に示される如く、帯板状素材44の移動方向下流側に配置された第二の圧延ロール50は、その外周面に、第二の溝形成凸条54が、軸直角方向に或いは軸直角方向に対して傾斜しつつ、周方向に連続して延びるようにして、目的とする内面溝付伝熱管10の内面に形成されるべき第二の溝14の数と同数だけ、形成されていると共に、そのような凸条54の先端面には、突起18を形成するための凹条56が、かかる突起18の高さ:Hに対応する深さにおいて、形成されている。なお、この第二の溝形成凸条54は、第二の圧延ロール50の軸心に平行な断面形状が、前記内面溝付伝熱管10における第二の溝14の管軸直角断面形状に対応した形状とされていると共に、該軸心に直角な軸直角線に対する捩じれ角の大きさが、内面溝付伝熱管10の管軸に対する第二の溝14の捩じれ角:βに対応した大きさとされているのであり、同様に、突起形成凹条55にあっても、それは、突起18の管軸直角断面形状に対応した形状とされているのである。
【0062】
そして、図8に示されるように、それら第一の圧延ロール48と第二の圧延ロール50が、帯板状素材44の一方の面上において、それぞれの下方に配された支持ロール56,56との間で、帯板状素材44を挟み且つ所定の圧力にて押圧せしめた状態で、各々一軸回りに回転可能に配置されているのである。
【0063】
また、帯板状素材44の移動方向における、第一及び第二の圧延ロール48,50の下流側には、帯板状素材44を徐々に管状に成形するための、従来と同様な構造を有する複数対の成形ロール58〜74が、各々対を為すロール同士にて、帯板状素材44を上下方向に挟持せしめた状態で、それぞれ各軸心回りに回転可能に配置せしめられており、更に、それら複数対の成形ロール58〜74の下流側には、従来装置と同様に、該複数対の成形ロール58〜74にて管状に成形された帯板状素材44を更に下流側へと導く一対のシームガイドロール76と、該管状に成形された帯板状素材44の幅方向両端縁部を互いに溶接して、1本の連続した管体となす高周波誘導コイル78と一対のスクイズロール80が、配置されている。
【0064】
そして、かくの如き構造とされた圧延加工装置42を用いて、目的とする内面溝付伝熱管10を製造するには、先ず、帯板状素材44を、図示しない駆動ロールにて、長さ方向の一方側(図8中、矢印方向)に移動せしめて、ガイドロール46,46にて第一の圧延ロール48側に導き、帯板状素材44の移動により軸心回りに回転せしめられる該第一の圧延ロール48にて、該帯板状素材44の一方の面を押圧し、該一方の面において、該帯板状素材44の移動に伴って第一の圧延ロール48における第一の溝形成凸条52に先端面に接触する部位を、順次、凹陥せしめる。これによって、帯板状素材44の一方の面に、第一の圧延ロール48における第一の溝形成凸条52に対応した形状と捩じれ角とをもって凹陥する第一の溝12を、帯板状素材44の長さ方向に連続して延びるように多数形成し、また、それと同時に、帯板状素材44の幅方向に互いに隣り合う第一の溝12同士の間に、突条形態を有するフィン16を、該第一の溝12に沿って、それぞれ一つずつ形成する。
【0065】
次いで、第一の溝12とフィン16とが一方の面にそれぞれ多数形成された帯板状素材44を第二の圧延ロール50側に移動させ、帯板状素材44の移動により軸心回りに回転せしめられる該第二の圧延ロール50にて、該帯板状素材44の一方の面を押圧し、該一方の面に形成された多数のフィン16のうち、帯板状素材44の移動に伴って第二の圧延ロール50における第二の溝形成凸条54の先端面に接触するものを、該凸条54にて、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめる一方、該凸条54の先端面に形成された突起形成凹条55によって、第二の溝14形成部位に存在するフィン16部分の対応する部位の屈曲乃至は潰し変形を抑制乃至は阻止してそのまま残し、突起18として形成せしめるのである。これにより、第二の圧延ロール50の第二の溝形成凸条54に対応した形状と捩じれ角とをもって凹陥する第二の溝14が、第一の溝12に対して交差しつつ、帯板状素材44の長さ方向に連続して延びるように複数形成せしめられると同時に、そのような第二の溝14内に第二の溝形成突条54による屈曲乃至は潰し変形から回避されたフィン16部分が、突起18として不連続な凸条形態において、図7に示される如く配列せしめられるのである。
【0066】
その後、複数対の成形ロール58〜74により、帯板状素材44を、第一及び第二の溝12,14が形成された面を内側にして、管状に成形した後、かかる成形により互いに対向位置せしめられた帯板状素材44の幅方向両端縁部同士を高周波誘導コイル78と一対のスクイズロール80にて高周波誘導溶接し、以て、連続する一本の管体82を成形する。かくして、管内面に、多数の第一の溝12と複数の第二の溝14、更には多数の突起18とが、図1乃至図3に示される如き構造をもって形成されてなる、目的とする内面溝付伝熱管10が、得られるのである。
【0067】
このように、図8に示されるような加工装置を用いた手法によれば、連続した1枚の帯板状素材44に対して、第一及び第二の圧延ロール48,50による溝付け工程と、複数対の成形ロール58〜74と高周波誘導コイル78等による造管工程とからなる一連の工程を行うことによって、目的とする内面溝付伝熱管10が、一挙に且つ効率的に製造され得ることとなるのである。
【0068】
【実施例】
ここにおいて、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施例を示すこととするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0069】
実施例1
先ず、従来から熱交換器用伝熱管を製造するために用いられている銅管を素管として、図4に示される転造加工手法に従って、本発明に係る図1〜図3に示される如き構成の内面溝付伝熱管(10)を製造した。なお、この得られた内面溝付伝熱管(10)の寸法諸元は、以下の通りである。管外径:6.35mm、底肉厚:0.25mm;第一の溝(12)の溝深さ(D1 ):0.24mm、条数:50条/管周、リード角(α):20°、ピッチ(P):0.37mm、フィン(16)の頂角:15°;第二の溝の深さ(D2 ):0.20mm、幅(W):1.0mm、リード角(β):2°、条数:4条/管周;突起(18)の数:1条/溝、高さ(H):0.24mm、総突起数:4条/管周。
【0070】
また、比較のために、図4に示される如き転造加工手法に従って、第一の溝(12)と第二の溝(14)のみを設けてなり、突起(18)が第二の溝(14)内に設けられていない内面溝付伝熱管(比較伝熱管)を製造した。なお、そのような比較伝熱管の外径、底肉厚、第一の溝(12)や第二の溝(14)の寸法諸元は、上記した本発明伝熱管と同様とした。
【0071】
次いで、この得られた2種の内面溝付伝熱管を用いて、それぞれ、アルミニウムプレートフィンの組付け孔に挿通せしめた後、それぞれの伝熱管内に5.7mmφのプラグを挿入することにより、拡管を行い、アルミニウムプレートフィンに対して各伝熱管を固着せしめて、目的とするクロスフィンチューブ形熱交換器を製造した。そして、その得られた2種の伝熱管に対応する熱交換器について、それぞれ、アルミニウムプレートフィンの組付け孔に対する伝熱管の密着状況を精査したところ、本発明伝熱管を用いた熱交換器おいては、図11(a)に示される如く、伝熱管とプレートフィンとの間の密着性が良好であり、何等の隙間も生じていないことが確認されたが、比較伝熱管を用いた熱交換器にあっては、図11(b)に示される如く、プレートフィンと伝熱管との間に不均一な拡管に基づくところの隙間の存在を認めた。
【0072】
実施例2
第一の溝(12)の多数と第二の溝(14)の複数とが、管軸方向に向かって螺旋状に連続し、且つ互いに交差して延びる形態をもって、管内面に形成されると共に、かかる第二の溝(14)内に、所定条数の突起(18)が管軸方向に不連続に配列せしめられた、下記表1及び表2に示されるような寸法諸元を有して構成されてなる、各種の内面溝付伝熱管を、図4に示される2種の溝付プラグを用いた転造加工手法により製造し、供試管として準備した。また、比較のために、管内面に、第一の溝(12)のみが多数設けられてなる、従来からの内面螺旋溝付伝熱管を、上記と同様な転造加工手法(ただし、一つの溝付プラグのみを使用)により製造し、下記表1に示されるような寸法諸元をもった比較管1〜3として、準備した。
【0073】
なお、これら準備された各種の内面溝付伝熱管(供試管1〜17及び比較管1〜3)は、全て銅材質のものとした。また、下記表1及び表2において、リード角は、第一の溝(12)又は第二の溝(14)の管軸に対する捩じれ角(α又はβ)の大きさを示し、条数は、第一の溝(12)又は第二の溝(14)の管1周あたりの条数、即ち管軸に垂直な断面において、その端面に形成される第一の溝(12)又は第二の溝(14)の数を示している。更に、第二の溝(14)の幅の欄における比率とは、第一の溝(12)のピッチ(P)に対する第二の溝(14)の幅(W)の比率を示している。なお、この準備された各種の伝熱管(供試管1〜17及び比較管1〜3)は、何れも、外形:6.35mm、底肉厚:0.25mm、第一の溝(12)のピッチ(P):0.37mmとされている。
【0074】
【表1】
Figure 0004020678
【0075】
【表2】
Figure 0004020678
【0076】
また、これら得られた内面溝付伝熱管のうち、代表的な伝熱面(管内面)形状パターンを図12及び図13に示すこととする。そこでは、図12の(a),(b)及び(c)には、供試管2,4及び5に係る伝熱面形状パターンがモデル的に示されており、図13の(a),(b)及び(c)には、供試管8,9及び12に係る伝熱面形状パターンがモデル的に示されている。
【0077】
次いで、それら準備された各種の内面溝付伝熱管(供試管及び比較管)と、図14に示される如き、従来より公知の伝熱性能試験装置と、冷媒としてR−410Aとを用い、かかる伝熱性能試験装置の試験セクションに対して、各種伝熱管を単管で組み付けて、図14に示される如き冷媒の流通下で、下記表3に示される試験条件により、凝縮性能試験を、公知の方法に従って実施し、それら各種伝熱管の管内熱伝達率及び管内圧力損失を測定した。なお、試験装置における試験セクションは、内管に供試伝熱管を配置した二重管構造の熱交換器であり、内管内の冷媒は環状部を流れる熱源水と対向流を形成する方向に流れるようになっている。また、冷媒質量速度は、実機での中間能力から定格能力までに相当する100〜300kg/(m2・s)の範囲とした。
【0078】
【表3】
Figure 0004020678
【0079】
かくして得られたエアコン実機の定格能力域に相当する冷媒質量速度:250kg/(m2 ・s)における管内凝縮熱伝達率比と圧力損失比との関係を、図15に示す。なお、そこにおいて、管内凝縮熱伝達率比及び圧力損失比は、それぞれ、比較管1の場合を基準(=1.0)として、供試管1〜17及び比較管2〜3の比率を示している。
【0080】
図15に示される結果から明らかなように、供試管1〜12は、何れも、ベースとした螺旋溝付管である比較管1以上の熱伝達率を示し、圧力損失はベースとした螺旋溝付管である比較管1の場合に比べて最大10%以上低減しており、そのため、圧力損失の低減効果により、蒸発運転時の熱交換器能力にも好影響を及ぼすことは必至であると考えられる。
【0081】
そこにおいて、第一の溝(12)のリード角(α)を変化させた供試管1〜3に関しては、そのようなリード角(α)の増加と共に、熱伝達率及び圧力損失の何れもが増加する傾向を示している。また、第二の溝のリード角(β)を増大せしめてなる供試管13にあっては、ベースとした比較管1の場合よりも高い凝縮熱伝達率を示すものの、そのリード角(β)が比較的小さい供試管4〜6の場合と比べると低いレベルであり、圧力損失に関してはベースとした比較管1よりも高い値を示している。
【0082】
さらに、比較的高性能を示した供試管4に比べて、第二の溝(14)の溝幅(W)を半減させた供試管7及びそのような溝幅(W)を1.5倍とした供試管8については、ベースとした比較管1の場合に比べると高い熱伝達率を示すものの、供試管4に比べると低いレベルにあることが認められる。また、供試管4に比べて、第二の溝(14)の条数を半減させた供試管2の場合においては、供試管4よりも幾らか低い熱伝達率を示すものの、ベースとした比較管1(螺旋溝付管)に比べて明らかに性能が向上しており、且つ圧力損失は明らかに低下している。一方、供試管4に比べて第二の溝(14)の条数を増加した供試管9の場合にあっては、ベースとした螺旋溝付管と同程度まで熱伝達率が低下するものの、圧力損失は明らかに低下していることを認めることが出来る。
【0083】
なお、供試管4,10及び11を比較すると、第二の溝の深さ(D2)の増加と共に熱伝達率が向上し、圧力損失が低下する傾向があり、第二の溝の深さ(D2)が第一の溝の深さ(D1)の50〜120%の範囲内では、第二の溝を付与した効果が十分に得られることが理解される。また、供試管4に比べて突起数を倍増した供試管12の場合にあっては、供試管4よりも幾らか低い熱伝達率を示すものの、ベースとした比較管1(螺旋溝付管)に比べて明らかに性能向上しており、且つ圧力損失は明らかに低下している。一方、供試管4に比べて突起数を3倍増とした供試管17においては、ベースとした螺旋溝付管(比較管1)と同程度まで熱伝達率が低下し、且つ圧力損失は明らかに増加していることが認められる。
【0084】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う内面溝付伝熱管にあっては、管内面において、多数の螺旋状の第一の溝に対して広幅の第二の溝が交差するように設けられてなる内面溝付伝熱管を、熱交換器のプレートフィン等に組み付けるに際して採用される、プラグを用いた機械拡管において惹起される問題、即ちプレートフィン等の組付け対象物に対する伝熱管の密着性が不良となる問題を、何等惹起することがなく、そのため、熱交換器性能の低下等の問題を招くことのない、優れた特徴を発揮するのであり、それ故に、そのような内面溝付伝熱管を用いることにより、優れた特性を有するクロスフィンチューブ形熱交換器、更には、そのような熱交換器を用いた冷凍・空調機を有利に得ることが出来ることとなったのである。
【0085】
そして、そのような本発明に従う内面溝付伝熱管を転造加工法を利用して製造する本発明に係る製造方法によれば、連続した1本の素管の内面に、第一の溝と第二の溝とが一挙に形成され得ると共に、かかる第二の溝の形成と同時に、突起も形成され得るところから、目的とする内面溝付伝熱管が、より速やかに、且つ、より低いコストで、極めて有利に製造され得るのであり、また、本発明に従う圧延加工法を利用した製造方法によれば、1枚の帯板状素材に対して、溝付け工程と造管工程とからなる一連の工程を行うことによって、目的とする内面溝付伝熱管が、1枚の帯板状素材から一挙に且つ効率的に製造され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う内面溝付伝熱管の一例を示す横断面の端面説明図である。
【図2】図1における部分拡大説明図である。
【図3】図1に示された内面溝付伝熱管の展開図である。
【図4】本発明に従う内面溝付伝熱管を製造する転造加工装置の一例を示す説明図である。
【図5】図4に示された転造加工装置に装備される第一の溝付プラグの説明図であって、(a)はその正面説明図であり、(b)はその側面説明図である。
【図6】図4に示された転造加工装置に装備される第二の溝付プラグの説明図であって、(a)はその正面説明図であり、(b)はその側面説明図である。
【図7】図4に示される転造加工装置を用いて得られた内面溝付伝熱管の内面展開図の一部における溝形成パターンをモデル的に示す説明図である。
【図8】本発明に従う内面溝付伝熱管を製造する加工装置の一例を示す説明図である。
【図9】図7に示された加工装置に装備される第一の圧延ロールの正面説明図である。
【図10】図7に示された加工装置に装備される第二の圧延ロールの正面説明図である。
【図11】実施例1において機械拡管により各伝熱管をプレートフィンに組み付けてなる形態を示す縦断面拡大写真であって、(a)は本発明伝熱管を用いた場合を、(b)は比較伝熱管を用いた場合を、それぞれ示している。
【図12】実施例2において得られた伝熱面形状パターンをモデル的に示す説明図であって、(a)は供試管2に係る伝熱面形状パターン図、(b)は供試管4の伝熱面形状パターン図、(c)は供試管5に係る伝熱面形状パターン図である。
【図13】実施例2において得られた伝熱面形状パターンをモデル的に示す説明図であって、(a)は供試管8に係る伝熱面形状パターン図、(b)は供試管9に係る伝熱面形状パターン図、(c)は供試管12に係る伝熱面形状パターン図である。
【図14】各種伝熱管の凝縮時の伝熱性能を測定する試験装置における冷媒の流通状態を示す系統図である。
【図15】供試管及び比較管に係る各種伝熱管について、それぞれのものにおける管内熱伝達率と圧力損失の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 内面溝付伝熱管
12 第一の溝
14 第二の溝
16 フィン
18 突起
20 素管
22 円形ダイス
24 第一の転圧部材
26 第二の転圧部材
34 第一の溝付プラグ
36 第二の溝付プラグ
38 第一の溝形成凸条
40 第二の溝形成凸条
44 帯板状素材
48 第一の圧延ロール
50 第二の圧延ロール
52 第一の溝形成凸条
54 第二の溝形成凸条

Claims (8)

  1. 管内面に、管軸方向に向って螺旋状に連続して延びる第一の溝が多数形成されると共に、該第一の溝に対して交差しつつ、管軸方向に連続して延びる第二の溝が、該第一の溝の管周方向におけるピッチよりも大なる溝幅において且つ2〜6条/管周の割合において形成されてなり、それら第一及び第二の溝に沿ってそれぞれ伝熱媒体が流れるように構成される一方、それらの溝の交差部分において、それぞれの溝に沿って流れる伝熱媒体が衝突せしめられるようにした内面溝付伝熱管にして、
    前記第二の溝内に、それぞれ独立した多数の突起が、該第二の溝に交差する、前記第一の溝間に形成される山部の延長線上に且つ該山部からは分離した形態においてそれぞれ位置するように、設けられていると共に、それら多数の突起が、該第二の溝内において、管軸方向に1列若しくは2列に配列されて、1条若しくは2条の不連続な突条形態を呈していることを特徴とする内面溝付伝熱管。
  2. 前記第一の溝が、管軸に対して10〜50°の捩じれ角を有して螺旋状に形成されている一方、前記第二の溝が、管軸に対して0〜20°の捩じれ角と、前記第一の溝の管周方向におけるピッチに対して1.3〜5倍の溝幅とをもって、〜6条/管周の割合において形成されている請求項1に記載の内面溝付伝熱管。
  3. 前記第二の溝内に設けられた突起が、該第二の溝の深さの70〜110%となる高さを有している請求項1または請求項2に記載の内面溝付伝熱管。
  4. 前記第二の溝が、前記第一の溝の深さの50〜120%の深さを有して形成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の内面溝付伝熱管。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の内面溝付伝熱管を製造する方法であって、
    前記内面溝付伝熱管を与える素管を準備する一方、外周面に、前記第一の溝に対応した形状をもって軸心方向に延びる第一の凸条が多数設けられてなる第一のプラグと、外周面に、前記第二の溝に対応した形状をもって軸心方向に延びる第二の凸条が形成され且つ該第二の凸条の先端面に前記突起を与える凹条が形成されてなる第二のプラグとを、該素管の内孔内において、その長さ方向に沿って直列的に且つ該素管の中心軸回りに回転可能な状態で同軸的に配置し、更に、該素管の周囲において、それら第一及び第二のプラグの配置位置に対応する位置に、第一の転圧部材と第二の転圧部材とを配置して、該素管を該第一のプラグ側から該第二のプラグ側に向かって連続的に移動せしめつつ、該素管を該第一のプラグに対して管外面より該第一の転圧部材にて押圧せしめることにより、該素管の内面に、該第一のプラグの前記第一の凸条にて前記第一の溝を多数形成せしめると共に、それら多数の第一の溝のうち、該素管の周方向に互いに隣り合うものの間に、該第一の溝に沿って、該素管の管軸方向に延びる山部をそれぞれ形成せしめた後、該素管を該第二のプラグに対して管外面より該第二の転圧部材にて押圧せしめることにより、該素管の内面における該多数の第一の溝の間に形成された山部のうち、該素管の移動に伴って該第二のプラグの前記第二の凸条の先端面に接触するものを、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめて、前記第二の溝を形成せしめる一方、該第二の凸条の先端面に形成された前記凹条に対応する前記山部部分を残して、前記突起が形成されるようにしたことを特徴とする内面溝付伝熱管の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の内面溝付伝熱管を製造する方法であって、
    前記内面溝付伝熱管を与える帯板状素材を準備する一方、外周面に、前記第一の溝に対応した形状をもって周方向に延びる第一の凸条が多数設けられてなる第一のロールと、外周面に、前記第二の溝に対応した形状をもって周方向に延びる第二の凸条が形成され且つ該第二の凸条の先端面に前記突起を与える凹条が形成されてなる第二のロールとを、該帯板状素材の一方の面上において、その長さ方向に沿って直列的に且つそれぞれ一軸回りに回転可能に配置して、該帯板状素材を該第一のロール側から該第二のロール側に向かって連続的に移動せしめつつ、該第一のロールを、該帯板状素材の一方の面に押圧せしめることにより、かかる一方の面に対して、該第一のロールの前記第一の凸条にて前記第一の溝を多数形成せしめると共に、それら多数の第一の溝のうち、該帯板状素材の長さ方向に互いに隣り合うものの間に、該第一の溝に沿って延びる山部を形成せしめた後、前記第二のロールを、該帯板条素材の一方の面に押圧せしめることにより、かかる一方の面における該多数の第一の溝の間に形成された山部のうち、該帯板状素材の移動に伴って該第二のロールの前記第二の凸条の先端面に接触するものを、順次、屈曲乃至は潰し変形せしめて、前記第二の溝を形成する一方、該第二の凸条の先端面に形成された前記凹条に対応する前記山部部分を残して、前記突起を形成せしめ、更に、その後、該第一及び第二の溝並びに突起が形成された面を内側にして、該帯板状素材を造管するようにしたことを特徴とする内面溝付伝熱管の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の内面溝付伝熱管を、プレートフィンの組付け孔に挿通せしめた状態下において、かかる伝熱管を機械拡管することにより、該プレートフィンに密着させて、組み付けてなることを特徴とするクロスフィンチューブ形熱交換器。
  8. 請求項7に記載の熱交換器を冷凍サイクルの凝縮器又は蒸発器として用いたことを特徴とする冷凍・空調機。
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