JP3810554B2 - プリンタ−インク吸収材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主には軟質ポリウレタンフォ−ムよりなるプリンタ−インク吸収材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワ−ドプロセッサやコンピュ−タ−が広く採用され、通常はこれらで作成された文書を印刷するためにプリンタ−が使用されている。そして印刷方法もワイヤ−ドット方式やインクリボン方式からレ−ザ−方式やインクジェット方式が広く用いられるようになってきた。この後者のインクジェット方式はレ−ザ−方式に比べて比較的安価であり、これはインクを紙に向って吹き飛ばしてプリントするものであるが、プリンタ−ヘッドにて余分なインクをしぼる必要があり、余分なインクはプリンタ−内にためこまれるが、これが時としては常時少しずつ、或は印刷前や、印刷後のヘッド洗浄時等に流れ出してプリンタ−ヘッド近くを広い範囲で汚してしまうことがある。
【0003】
このため、プリンタ−ヘッドに即して一般にはプリンタ−インク吸収材が敷き詰められており、このプリンタ−インク吸収材は一般にシ−ト形状とされた繊維状の不織布又はパルプ等の紙材を固めたものが用いられ、これを敷き詰められる部位の形状に合わせて切断して用いられている。
【0004】
しかるに、このプリンタ−インク吸収材は、従来は一般には、かなりの厚さのPVAや不織布であるためPVAの場合は温度等の環境による硬度変化が激しく、また不織布の場合には繊維質の毛羽立ちを生じ、加工・切断時やプリンタ−内での使用時に繊維落ちがあるため特に使用時におけるプリンタ−内での悪影響が懸念されている。又、PVA、不織布共に裁断加工した製品の厚み精度が不均一であり、予定した吸収機能を発揮できないケ−スがあり、更には価格も高価なものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記課題を解決するために、特殊な原料配合を用いた親水性の優れたポリウレタンフォームを開発し、該フォームを更に圧縮したものを新しい優れたプリンターインク吸収材として提案した。
しかしながら、この提案では該フォームを圧縮する必要があるため、重量がアップ(密度アップ)し、或は圧縮工程が加わるためにその設備が必要であり、結果としてコストアップなものになってしまい、或はこの工程時における製品のばらつきを生ずる懸念がある等の課題が残されていた。
【0006】
そこで、本発明者等は、更にこの課題を克服すべく鋭意研究・開発に専念した結果、前記圧縮工程をなくすことに成功し本発明に至ったものである。
本発明は以上の課題を解決するものであって、優れた吸収力を有するポリウレタンフォ−ムを主体としたプリンタ−インク吸収材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の以上の課題を解決するためになされたものであって、その要旨は、親水性を有する有機酸金属塩及び/又はその重合体を含むポリオ−ル、イソシアネ−ト、水並びに触媒、整泡剤、その他の助剤を用いて製造した軟質ポリウレタンフォ−ムと、該フォームの少なくとも一表面に吸水性シート材をフレームラミネート法により積層接着させたことを特徴とするとするプリンタ−インク吸収材としたものである。勿論両面でも全表面に接着させることもよい。
【0008】
又、上記該フォーム表面に積層接着させる吸水性シート材としては、厚さの薄い不織布、或いは紙材を固めたものであり、前記吸水性シート材が、厚さが3mm以下、好ましく1mm以下であることを特徴とするものを用いる。
【0009】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は先に本発明者等が開発し提案した上記特殊配合により得られた親水性の優れた軟質ポリフォームを圧縮することなく、該フォームの表面に薄い吸水性シート材をフレームラミネート法により積層接着することにより、最初に先ずは不用なインクを表面の吸水性シート材に素早く吸収させ、引き続きフォームにて更にインクの吸収力を堅持し吸収量を高めようとするものである。
【0010】
本発明で使用する親水性を有する有機酸金属塩及び/又はその重合体含有ポリオ−ルの金属塩としては、有機酸のカリウム、マグネシウム、スズ、銅、リチウム、銀等が有効であり、好ましくはカリウム、ナトリウムである。そして、該ポリオ−ルは、ポリオ−ル/有機酸金属塩が50/50〜95/5の割合で重合又は混合されたポリオ−ルが好ましい。
【0011】
そして、好ましくは、有機酸金属塩及び/又はその重合体を含有したポリオ−ルが全ポリオ−ル100重量%に対して少なくとも20〜100重量%であり、更に言えば、前記有機酸金属塩がアクリル酸ナトリウムであるプリンタ−インク吸収材を提供するものである。
【0012】
このようにして得られたポリオ−ルは、通常の軟質ポリウレタンフォ−ムの製造に使用されるポリオ−ルとブレンドして使用され、この有機酸金属塩を含有させたポリオ−ルは、全ポリオ−ル100重量%中に少なくとも20〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%以下の範囲で混合使用されるもので、これによって得られたポリウレタンフォ−ムが親水性化されることによりインク吸収性がアップすることになる。尚、有機酸金属塩を含有させたポリオ−ルの量が20重量%以下では目的とするインクの吸収性は得られず、又100重量%以上ではポリウレタンフォ−ムの製造が困難となり好ましくない。
【0013】
上記有機酸金属塩及び/又はその重合体を含有したポリオ−ルを併用する場合のポリオ−ルとしては特に制限はなく、通常軟質ポリウレタンフォ−ムに使用されるポリエ−テルポリオ−ルやポリエステルポリオ−ルが使用できる。
【0014】
又、該ポリオ−ルを使用した場合には、当然のことながら反応性が通常の場合に比べて遅くなり、又、通常の配合処方のポリウレタンフォ−ムより硬度が低くなるが、架橋剤やイソシアネ−トはTDIでもよいが、硬度をアップさせるためにc−MDI等を使用することができる。
【0015】
又、本発明の高吸収性に優れた軟質ポリウレタンフォ−ムを使用する際に、該フォ−ムと接触した時点で該フォ−ム内に存在する溶出物がプリンタ−内面に付着することのないように、できれば反応性の触媒或いは整泡剤を用いることが望ましい。
【0016】
本発明で使用する有機酸金属塩及び/又はその重合体含有のポリオ−ルは、好ましくは、ポリオ−ル/有機酸金属塩が50/50〜95/5であればベ−スポリオ−ルの種類に制限はない。
【0017】
又、アミン触媒としては、通常、軟質ポリウレタンフォ−ム発泡に使用されるアミン触媒が用いられるが、溶出等が問題となる用途には反応性を有するアミン触媒の使用が好ましい。
【0018】
更に、整泡剤についても、通常、軟質ポリウレタンフォ−ム発泡に使用されるシリコン系等の整泡剤が使用されるが、溶出等が問題となる用途には、やはり反応性を有する整泡剤の使用が好ましい。
【0019】
尚、用途により高硬度のものが望まれる場合には架橋剤等を配合することもできることは勿論である。更に、場合によっては(熱)プレス等により熱圧縮を与えてフォ−ムの表面状態を微細化させて毛細管現象を促進させたフォ−ムであってもよく、この圧縮の程度は元のポリウレタンフォ−ムの厚さの5〜80%に圧縮するものである。
【0020】
一方、上記有機酸金属塩及び/又はその重合体含有のポリオ−ルやイソシアネ−ト、そして通常の或いは反応性を有する触媒や整泡剤等を用いて得られたフォ−ムの少なくとも一表面に積層或いは積層接着する吸水性の優れた吸水性シート材としては不織布或いは紙体等が挙げられる。ここで用いられる不織布としては、吸水性の優れたポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、或はこれらと綿等との複合体等が好ましく用いられる。勿論これらの素材に親水性を付与したものでも良い。又、紙体としては吸水性の優れた和紙等が好ましい。
この吸水性シート材はできるだけ薄いものが良く、その厚さが3mm以下、好ましくは1mm以下であることが好ましい。
【0021】
更に、上記親水性を有する軟質ポリウレタンフォームと、該フォームの少なくとも一表面に積層する吸水性シート材を積層接着する場合、本発明の本来の課題をより確実に達成させる、即ち優れたインク吸収体を得るためには両者を接着した方がより効果が大きい。両者を接着する方法としては特に制限はないが、フレームラミネート法、ホットメルト法、接着剤を用いる方法等が好ましく用いられる。
【0022】
尚、上記フォームと吸水性シート材とを接着させる場合、両者の間に各接着剤が層をなして存在することで、両者の連続したインク吸収効果を該接着層によって妨げることのないようにすることが肝要である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をもって本発明の特徴を更に説明する。
(実施例・1)
ここで示す実施例及び比較例として用いたポリウレタンフォ−ムの配合は表1に示す通りである。
表1の配合処方例で得られたポリウレタンフォ−ムを、100×100×10mmの大きさに切断したものを用いた。尚、フォームと吸水性シート材との接着はホットメルト法によって一体接着した。これはウエッブ上のアミド系ホットメルト(15g/m2 )をフォ−ムと吸水性シ−トとの間に挟み、150℃に加熱して接着した。
【0024】
【表1】
【0025】
各フォ−ム及びこれと吸水性シート材とを接着したものの各物性、吸水性を比較した。これを表2に示す。
尚、試験法は次の通りである。
(1)密度:JIS−K6401に準じる。
(2)硬度:JIS−K6401に準じる。
(3)吸水テスト:
厚み10mm以上のフォ−ムの上にバブルジェットプリンタ−用インク1mlを落とし、完全に吸い込むまでの時間(単位=秒)。
尚、用いられたバブルジェット用インクの成分は、水70部、ジエチレングリコ−ル20部、トリエチレングリコ−ル5部、グリセリン5部であった。
【0026】
【表2】
【0027】
上記実施例に示した本発明のポリウレタンフォ−ム表面に吸水性シート材を接着したものは、通常の配合の比較例に示すポリウレタンフォ−ムよりも短時間で優れた吸水性を示している。
【0028】
【発明の効果】
以上、本発明についてその詳細を述べたが、親水性を有する有機酸金属塩及び/又はその重合体をポリオ−ル中に含んだものを用いることにより軟質ポリウレタンフォ−ムを親水性化し、更に得られたポリウレタンフォ−ムと、該フォームの表面に薄い吸水性シート材を積層接着することにより、本発明者等が先に提案した親水性化ポリウレタンフォームを更に圧縮装置を使用して優れたインク吸収材を得ることで生ずる前記課題をより容易な構造、即ち該親水性化したポリウレタンフォームの少なくとも一表面に薄い吸水性シート材を積層又は積層接着することで前提案に劣らぬ優れたインク吸収材を得ることができたものである。
【0029】
即ち、本発明によれば、均質で精確なインク吸収性の高いポリウレタンフォ−ムを主体としたシ−トが得られるものであり、プリンター内のセット部位の形状は複雑であっても形状に即してこれをカットすることができ、安価なプリンタ−インク吸収材を提供できることとなったものである。 そして、ポリウレタンフォ−ムの一体化シ−トであるため、従来使用していた厚い不織布シ−トのように毛羽立ちの現象がなく、又毛羽等の落ちもなくプリンタの機能に悪影響を与えないという特徴が得られたのである。
Claims (5)
- 親水性を有する有機酸金属塩及び/又はその重合体を含むポリオ−ル、イソシアネ−ト、水並びに触媒、整泡剤、その他の助剤を用いて製造した軟質ポリウレタンフォ−ムと、該フォームの少なくとも一表面に吸水性シート材をフレームラミネート法により積層接着させたことを特徴とするプリンターインク吸収材。
- 有機酸金属塩及び/又はその重合体を含有したポリオ−ルが全ポリオ−ル100重量%に対して少なくとも20〜100重量%である請求項第1項記載のプリンタ−インク吸収材。
- 前記有機酸金属塩がアクリル酸ナトリウムである請求項第1項記載のプリンタ−インク吸収材。
- 前記吸水性シート材が不織布或いは紙体であることを特徴とする請求項1記載のプリンタ−インク吸収材。
- 前記吸水性シート材が、厚さが3mm以下、好ましく1mm以下である請求項第1項乃至第4項記載のプリンタ−インク吸収材。
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1998
- 1998-03-21 JP JP09275898A patent/JP3810554B2/ja not_active Expired - Fee Related
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