JP3810202B2 - 複機能型給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複機能型給湯装置に関する。
【0002】
例えば、追焚機能付きの1缶2水路型(複機能型)のガス給湯装置は、1つのケーシング内に、共通の熱交換部と共通のバーナを収納することによって形成されている。この熱交換部を給湯系配管と追焚系配管(他系配管)の受熱管が貫いている。給湯系配管は、上記受熱管の他に、この受熱管の両端に連なる給水管と給湯管を有している。給湯管の末端には、給湯栓が設けられている。
【0003】
上記構成の給湯装置では、給湯栓が開いて給湯系配管に水が流れた時に、これを給湯系配管に設けられたフローセンサで検出すると、制御手段がこの検出に応答して、共通バーナでの燃焼を実行し給湯を行う。また、制御手段は、追焚要求を受けた時には、追焚系配管に設けられたポンプを駆動させて風呂の水を循環させるとともに、共通バーナでの燃焼を実行する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記給湯装置において、追焚を単独で実行している時に、給湯系配管の受熱管に滞留している水も共通バーナの燃焼熱を受けて加熱される。この時に、給湯栓が緩められて微少量の水が漏れることがある。この漏れにより、給湯系配管に水の流れが生じるが、この水の流れは微小であるため上記フローセンサでは検出できず、上記給湯制御は実行されない。そのため、上記受熱管で加熱された水が高温の湯となって給湯栓から漏れることになり、ユーザーがこの湯に触れて苦痛を感じることがある。また、給湯系配管を微少量流れる水が燃焼熱の一部を奪うことになり、その分、追焚に提供される燃焼熱が少なくなり、追焚の効率が低下する。
追焚は、受熱管温度を見ながらON−OFF燃焼を繰り返すが、このON−OFF回数が増えることで、電磁開閉弁の耐久上の問題も出てくる。
【0005】
他方、本出願人により開発された公知でない1缶2水路型の追焚機能付き給湯装置では、給水管と給湯管との間に、受熱管と並列をなすバイパス管を接続し、このバイパス管との接続点より上流側の給湯管に流量制御弁を設けるとともに、バイパス管にも流量制御弁を設けており、上記追焚単独実行の最中に、これら流量制御弁を所定開度にして待機させている。この追焚単独実行の際に給湯系配管の受熱管内で加熱された滞留水は、給湯初期に2つの流量制御弁の開度制御によりバイパス管からの水と適度に混合され、これにより給湯初期の出湯湯を適度なものとすることができるようになっている。このような給湯装置でも、給湯栓が緩んで微少漏れがあると、上述したと同様の不都合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1の発明は、複機能型給湯装置において、共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、上記給湯系配管の受熱管のベンド部に設けられた温度センサと、この受熱管の出口端近傍に設けられた温度センサとを含み、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において両温度センサの検出温度の差に基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、複機能型給湯装置において、共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記給湯系配管の受熱管またはその近傍に設けられた温度センサからの検出温度が上昇して第1閾温度を越えた時に燃焼を停止し、この検出温度が低下して第1閾温度より低い第2閾温度を下回った時に燃焼を再開し、これを繰り返すことにより、給湯系配管の受熱管内の水の温度を制御し、さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、上記温度センサを含み、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、この温度センサの検出温度の上昇時の傾きまたは下降時の傾きに基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、複機能型給湯装置において、共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記給湯系配管の受熱管またはその近傍に設けられた温度センサからの検出温度が上昇して第1閾温度を越えた時に燃焼を停止し、この検出温度が低下して第1閾温度より低い第2閾温度を下回った時に燃焼を再開し、これを繰り返すことにより、給湯系配管の受熱管内の水の温度を制御し、さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼を実行している状況において、燃焼時間または燃焼停止時間に基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の複機能型給湯装置において、上記バイパス管の接続点より熱交換部から離れた給湯系配管に上記フローセンサが設けられていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の複機能型給湯装置において、上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記流量制御弁の開度を開度制御範囲の最小限まで減少させるとともに、第2流量制御弁の開度を開度制御範囲の最大限まで増大させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、給湯と追焚の2つの機能を有する1缶2水路型(複機能型)のガス給湯装置を示す。この給湯装置は、一つのケーシングの下部に共通のガスバーナ1(燃焼部)を収納し、上部に共通の熱交換部2を収納することにより、構成されている。ケーシングの底部には、燃焼空気を供給するためのファン(図示しない)が設けられている。上記バーナ1へガスを供給する手段は、ガス管3と、このガス管3に設けられた主電磁開閉弁4と電磁比例弁5とを有している。バーナ1の近傍には点火機構(図示しない)が配置されている。
【0012】
上記熱交換部2は、多数の薄肉のフィンプレート2aを有しており、このフィンプレート2aに、給湯系配管10の受熱管11と追焚系配管20の受熱管21とが貫通している。なお、受熱管11,21は、フィンプレート2aとケーシングを貫通する真直部とこれら真直部をケーシング外で連ねるU字形のベンド部とを有している。
【0013】
上記給湯系配管10について詳述する。上記受熱管11の入口端には、給水管12(熱交換部2の上流側)が接続され、出口端には給湯管13(熱交換部2の下流側)が接続されている。給湯管13の末端には給湯栓14が設けられている。これら給水管12と給湯管13との間には、受熱管11と並列をなす2本のバイパス管15,16が接続されている。図において、バイパス管15と給水管12,給湯管13との接続点を符号P1,P2で表し、バイパス管16と給水管12,給湯管13との接続点を符号P3,P4で表わす。
熱交換部2に近い方のバイパス管15は、弁等を装備せず、接続点P1を通過した水は、所定の割り合い(例えば70:30)で受熱管11とバイパス管15に別れ、接続点P2で再び合流するようになっている。
【0014】
接続点P2,P4間の給湯管13には(すなわち、バイパス管16の接続点P3,P4より熱交換部2に近い給湯系配管10には)、第1の流量制御弁GM1が設けられている。熱交換部15から遠い方のバイパス管16にも、第2の流量制御弁GM2が設けられている。
【0015】
上記流量制御弁GM1,GM2は、ギアモータ駆動式のものであり、環状の弁座を有する弁ケースと、この弁座に対して移動可能な弁体と、この弁体に一端部が固定されたシャフトと、シャフトの他端部に減速ギア列を介して接続されたモータとを有している。上記シャフトは、弁ケースに螺合されている。したがって、モータが回転すると、シャフトが回りながらその軸方向へ移動し、これによって弁体と弁座との間の開度を変えることができるようになっている。なお、上記バイパス側の流量制御弁GM2は弁体にシールリングが設けられていて、全閉位置(開度制御範囲の最小限)で流量をゼロにする封止機能を有するが、流量制御弁GMは全閉位置で完全な封止機能を有さず、非常に微小ではあるが漏れが生じる。
【0016】
上記給湯系配管10には2つのフローセンサFL1,FL2が装備されている。第1のフローセンサFL1は、給水管12において接続点P1,P3間に設けられている。第2のフローセンサFL2は、給湯管13において接続点P4と給湯栓14との間に設けられている。
【0017】
上記給湯系配管10には、4つの温度センサTHIN,THZ,THOUT,THMIXが装備されている。温度センサTHINは、接続点P3より上流側の給水管12に設けられている。温度センサTHZは、受熱管11のベンド部に設けられている。温度センサTHOUTは、受熱管11の出口端近傍(給湯管13において接続点P2より上流側)に設けられている。温度センサTHMIXは、接続点P4の下流側の給湯管13に設けられており、熱交換部2から離れている。
【0018】
次に、上記追焚系配管20について説明する。上記受熱管21の入口端と浴槽6との間には復路管22が接続され、受熱管21の出口端と浴槽6との間には往路管23が接続されている。復路管22には、ポンプ24や温度センサTHHR,流水スイッチ(図示しない)等が設けられている。
【0019】
上記給湯系配管10の給湯管13と、追焚系配管20の復路管22との間には、浴槽6への湯張りのための注湯管30が接続されており、この注湯管30には電磁開閉弁からなる注湯弁31が設けられている。図において注湯管30と給湯管13,復路管22との接続点を符号P5,P6で示す。
【0020】
給湯装置は、制御ユニット50(制御手段)とリモートコントローラ60とを備えている。この制御ユニット50は、ガス供給手段の主電磁開閉弁4,電磁比例弁5と、点火機構と、ファンと、流量制御弁GM1,GM2と、ポンプ24と、注湯弁31を制御するものである。この制御ユニット50には、種々の検出手段からの検出信号が入力される。検出手段としては、前述した温度センサTHIN,THZ,THOUT,THMIX,THHRや、フローセンサFL1,FL2,図示しない流水スイッチ等がある。リモートコントローラ60は、運転スイッチ,風呂自動運転スイッチ,追焚スイッチ,温度設定部,表示部(いずれも図示せず)を備えており、これらスイッチのオン,オフ情報,設定温度情報を制御ユニット50に出力し、これら情報を表示部に表示する。
【0021】
上記構成の給湯装置において、制御ユニット50は、運転スイッチオンにより、図2に示す給湯,追焚等の制御を実行するが、この制御を流量制御弁GM1,GM2の制御を交えて説明する。なお、図2において、説明を簡略にするために、湯張り制御を省いている。
制御ユニット50は、まず、フローセンサFL1が閾流量を越える検出流量を検出したか否かを判断する(ステップ101)。給湯栓14を開くと、給水管12,受熱管11,給湯管13の順に水が流れ、この時、給水管12に設けられたフローセンサFL1の検出水量が閾流量以上となる。
【0022】
上記ステップ101で肯定判断した時には、追焚要求フラグがセットされているか否かを判断する(ステップ102)。追焚要求フラグはリモコン60の追い焚きスイッチのオンによってセットされる。また、風呂自動運転スイッチをオンに応答して湯張り制御を実行した後にも、追焚要求フラグがセットされる。なお、上記湯張りでは、注湯弁31を開きバーナ1の燃焼を実行することにより、給水管12からの水が受熱管11を通る際に湯となり、給湯管13を通り、接続点P5を経て注湯管30を通り、さらに追焚系配管20を通って、浴槽6に供給される。
【0023】
上記ステップ102で否定判断した時には、給湯単独制御を実行する(ステップ103)。すなわち、主電磁開閉弁4を開くとともに点火動作を行うことにより、バーナ1での燃焼を開始する。その結果、フィンプレート2aが加熱され、ひいては受熱管11を通る水が加熱され、湯となって給湯栓14から吐出される。
【0024】
上記給湯制御では、フローセンサFL1で検出された流量と、温度センサTHINで検出された入水温度と、リモートコントローラ60で設定された設定温度に基づいてフィードフォワード制御成分を演算し、温度センサTHMIXで検出された出湯温度と上記設定温度に基づいてフィードバック制御成分を演算する。そして、このフィードフォワード制御成分にフィードバック制御成分を加算した制御値に基づいて、電磁比例弁5の開度を制御し、燃焼ガス量を制御する。これにより、出湯温度を設定温度にすることができる。
【0025】
なお、上記給湯制御において、流量制御弁GM1は基本的には全開位置(開度制御範囲の最大限)にあるが、設定温度が高く給湯栓14の開度が大きい場合には、器具の最大能力をオーバーすることがあり、この場合には、出湯温度を設定温度にするために、流量制御弁GM1の開度を小さくして流量を絞ることもある。
上記通常の給湯制御では、流量制御弁GM2は全閉位置にあり、バイパス管16からの水の混合量はゼロであるが、受熱管11の湯は、固定バイパス管15からの水と混合されて出湯されるので、受熱管11内の湯の温度を設定温度より高くした状態で燃焼制御を行うことができる。
【0026】
上記ステップ102で追焚要求有りと判断した時には、給湯と追焚の制御を同時に行う(ステップ104)。この場合、ポンプ24を駆動することにより、浴槽6の水を追焚系配管20内を循環させた状態でバーナ1の燃焼を実行することにより、浴槽6の湯を加熱する。そして、温度センサTHHRで検出された浴槽6の湯温がユーザー設定温度に達した時に、この追焚を終了する(追焚要求フラグをクリアする)。この際、給湯栓14からの出湯温度が設定温度になるように、バーナ1の燃焼を制御する。
上記ステップ101で否定判断した時には、追焚要求があるか否か判断する(ステップ105)。ここで否定判断した時には、給湯,追焚を停止し、またその停止状態を維持する(ステップ106)。すなわち、燃焼を停止し、ポンプ24を停止する。
【0027】
上記ステップ105に肯定判断した時には、追焚単独制御を行う(ステップ107)。すなわち、ポンプ24を駆動し浴槽6の水を追焚系配管20を経て循環させるとともに、バーナ1での燃焼を実行することにより、浴槽6の水を加熱する。追焚終了については上述と同様である。
【0028】
上記追焚単独実行時(他用途単独燃焼時)には、給湯系配管10の受熱管11に水が滞留した状態にあり、この滞留水にもバーナ1の燃焼熱が付与される。このため、受熱管11の滞留水が高温になる。この追焚単独制御では、図3の実線で示すように、受熱管11のUベンド部に設けられた温度センサTHzでの検出温度(すなわち、受熱管11の滞留水温度)が上昇して第1閾温度THz1(75°C)に達した時に燃焼を一旦停止し、検出温度が低下して第2閾温度THz2(70°C)に達した時に燃焼を再開する。なおTHz1>THz2 である。このようなヒステリシス制御により、受熱管11の滞留水の沸騰が防止される。
【0029】
上述したように、追焚単独制御中には、給湯系配管10の受熱管11の滞留水の沸騰は防止されるものの非常に高い温度になっている。そのため、後述する給湯の初期には、受熱管11からの湯とバイパス管16からの水を混合(ミキシング)する必要がある。その準備のために、この追焚単独実行時には、流量制御弁GM1,GM2をそれぞれ所定開度、すなわち全開位置(開度制御範囲の最大限)と全閉位置(開度制御範囲の最小限)との間の適度な開度位置で待機させている。この流量制御弁GM1,GM2の待機開度での湯と水の予想混合比は、例えば30:70となっている。
【0030】
上述した追焚単独制御の最中または終了後に、給湯栓14が開かれた時には、水流検出に応答して、直ぐに前述した通常の給湯制御に移行するのではなく、ミキシング制御を実行してから通常の給湯制御に移行する。このミキシング制御では、流量制御弁GM1,GM2の開度を調節して適切な湯水混合比を得、これにより出湯温度を設定温度にする。すなわち、温度センサTHINで検出される入水温度と、温度センサTHOUTで検出される受熱管11の出口温度と、リモートコントローラ60で設定された設定温度に基づいて、接続点P4に向かう給湯管13からの湯とバイパス管16からの水の目標混合比すなわち目標流量比を演算する。そして、上記フローセンサFL1,FL2からの検出流量の比がこの目標流量比になるように、流量制御弁GM1,GM2の開度を制御する。
【0031】
次に、本発明の特徴部について説明する。ユーザーが給湯栓14を完全に閉めきらず、微小量の水が漏れ出ることがある。この場合には、フローセンサFL1の検出流量が閾流量に達せず、制御ユニット50は、通常の給湯制御を実行しない。この状態で、追焚が実行されている場合、すなわち燃焼部2での燃焼がなされている場合には、給湯栓14から湯が漏れる。この湯は通常の給湯制御のように温度制御されておらず、流量制御弁G1,GM2が前述したように待機開度にあるので、高温になってしまう可能性がある。
【0032】
そこで、ステップ107の後、給湯系配管10内に微小流量の水の流れがあったか否か、すなわち給湯栓14からの漏れがあったか否かを判断する(ステップ108)。ここでの水流は、フローセンサFL1で検出可能な閾流量未満を想定している。
【0033】
上記漏れ検出の一例を説明する。上記追焚単独制御時において、温度センサTHZ,THOUTの検出温度を比較する。温度センサTHZは受熱管11の途中のベンド部に設けられており、温度センサTHOUTは受熱管11の出口端近傍に設けられているので、給湯栓14が完全に閉められていて受熱管11内の水流がなければ、両者の検出温度に大きな差は生じない。しかし給湯栓14から微少量の漏れがあり、受熱管11内の水の流れがある場合には、温度センサTHZを通過した水がさらに真直部を通る過程で燃焼熱を受けて温度上昇して、温度センサTHOUTに達する。そのため、温度センサTHOUTの検出温度は、温度センサTHZの検出温度より高くなる。そこで、両者の差(THOUT−THZ)が閾値を超えた時には、漏れ検出と判断するのである。
【0034】
上記給湯栓14からの漏れを検出した時には、流量制御弁GM1を全閉にし、流量制御弁GM2を全開にする(ステップ109)。これにより、受熱管11で燃焼熱を受けた高温湯は、流量制御弁GM1に妨げられて給湯栓14に至らず、バイパス管16を通る低温の水が給湯栓14から漏れ出るようになる。その結果、高温湯の漏出によってユーザーに苦痛を与えるのを防止することができるとともに、追焚時の熱効率を向上させることができる。
【0035】
上記のように流量制御弁GM1が一旦全閉になると、前述した微少流量の検出ができなくなり、次のサイクルのステップ108で否定判断されるが、すでに流量制御弁GM1を全閉にし流量制御弁GM2を全開にしてあるので、差し支えない。
上記説明から明らかなように、温度センサTHHZ,THOUTと制御ユニット50で実行されるステップ108により、微小流量検出手段が構成されている。
【0036】
上記追焚単独制御の際に、給湯栓14が開かれた時には、流量制御弁GM2が全開であるので、給水管12,バイパス管16,給湯管13を経て水を流すことができ、これにより、給湯制御を実行することができる。
また、フローセンサが故障していて閾流量以上の流量を検出できない場合にも、上記温度センサを含む微小流量検出手段で閾流量以上の流量を検出できるので、より一層安全を確保することができる。
【0037】
他の漏れ検出の例として、上記受熱管の温度センサTHzの検出温度の変化の仕方から微少流量の水流を検出してもよい。すなわち、給湯系配管に微少流量の水流がある場合には、検出温度は図3の破線で示すように、漏れがない場合の検出温度(実線で示す)と変化の仕方が異なる。漏れがある場合には、受熱管11のベンド部の温度は、漏れがない場合に比べて上昇の時の傾きが緩くなり、下降の時の傾きが急になる。この温度上昇時の傾きまたは下降時の傾きを比較することにより、漏れ検出をするのである。
また、図3の燃焼時間の比較または燃焼停止時間の比較によって漏れ検出を行ってもよい。すなわち、漏れがある場合には、漏れが無い場合に比べて燃焼時間が長くなり、燃焼停止時間が短くなる。これら時間比較も、受熱管の温度センサTHzの検出温度の変化の仕方に基づく判断の一態様である。
【0038】
上記実施形態では、上記追焚単独制御における漏れ検出時に、流量制御弁GM1を待機開度から全閉位置にすることにより、受熱管からの湯を遮っている(ただし、本実施形態では封止機能がないので非常に微小ではあるが漏れる)。これにより、本発明効果を最大限発揮することができるが、この流量制御弁GM1は、全閉位置にせずに、待機開度から閉じ方向に制御するだけでも一定の効果が期待できる。
また、上記実施形態では、上記追焚単独制御における漏れ検出時に、流量制御弁GM2を全開にすることにより、たとえ流量制御弁GM1からの非常に微小の漏れがあっても、給湯栓14からの漏れ量においてバイパス管16からの水の量が占める割合を最大限にすることができ、本発明効果を最大限に発揮することができるが、この流量制御弁GM2を全開位置にせず待機開度から開き方向に制御するだけでも一定の効果が期待できる。
【0039】
さらに、上記流量制御弁GM1の待機開度として、全開位置であってもよい。また流量制御弁GM2の待機開度として、全閉位置であってもよい。
【0040】
フローセンサは閾流量例えば2.5リットル/min以上で燃焼を開始するが、機械的な摩擦があり例えば1.0リットル/min以下では、フローセンサの中にある羽根が動かないため、流量を検出できない。本願は、このような場合に特に有効であり例えば2.5〜1.0リットル/minの間で用いてもよいものである。
【0041】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の形態を採用することができる。例えば、固定バイパス管15を省いてもよい。
本発明は、湯張り機能をもたない1缶2水路型の追焚機能付き給湯装置にも適用できる。1缶2水路型において、追焚系配管の代わりに暖房系や、循環給湯系配管を備えたものであってもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3の発明によれば、給湯制御を実行せず他用途燃焼制御を実行している状況において、微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、給湯系配管の第1流量制御弁の開度を減少方向に制御するとともに、バイパス側の第2流量制御弁を開度増大方向に制御することにより、給湯系配管の受熱管で燃焼熱を受けた高温湯が給湯栓から漏れ出る量を抑制でき、バイパス管からの水の割合を増やすことができるので、高温湯の漏出によってユーザーに苦痛を与えるのを抑制することができるとともに、他用途燃焼効率を向上させることができる。また、温度センサでの検出温度情報により微少流量を検出するので、構成が簡単である。
請求項4の発明によれば、給湯系配管の流量制御弁の開度を絞っても、給湯栓を開いた時にバイパス管を経て水を流すことができるので、フローセンサでこれを検出して給湯制御を開始することができる。
請求項5の発明によれば、第1流量制御弁の開度を開度制御範囲の最小限まで減少させ、第2流量制御弁の開度を開度制御範囲の最大限まで増大させることにより、請求項1〜3の効果を最大限発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる1缶2水路型の追焚機能付き給湯装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】給湯系配管の受熱管ベンド部の温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 ガスバーナ(燃焼部)
2 熱交換部
10 給湯系配管
11 受熱管
12 給水管
13 給湯管
16 バイパス管
20 追焚系配管(他系配管)
21 受熱管
50 制御ユニット(制御手段)
GM1,GM2 流量制御弁
THZ,THOUT,THMIX 温度センサ
Claims (5)
- 共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、
上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、
上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、
上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、
上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、
さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、上記給湯系配管の受熱管のベンド部に設けられた温度センサと、この受熱管の出口端近傍に設けられた温度センサとを含み、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において両温度センサの検出温度の差に基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、
上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする複機能型給湯装置。 - 共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、
上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、
上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、
上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、
上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、
上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記給湯系配管の受熱管またはその近傍に設けられた温度センサからの検出温度が上昇して第1閾温度を越えた時に燃焼を停止し、この検出温度が低下して第1閾温度より低い第2閾温度を下回った時に燃焼を再開し、これを繰り返すことにより、給湯系配管の受熱管内の水の温度を制御し、
さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、上記温度センサを含み、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、この温度センサの検出温度の上昇時の傾きまたは下降時の傾 きに基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、
上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする複機能型給湯装置。 - 共通の燃焼部と、この燃焼部からの熱を受ける共通の熱交換部と、この熱交換部を通る給湯系配管および他系配管と、制御手段とを備え、
上記給湯系配管が、上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、受熱管の出口端に接続された給湯管と、これら給水管と給湯管の間に接続されるとともに受熱管と並列をなすバイパス管とを有し、
上記給湯系配管には、閾流量以上の水の流れを検出するフローセンサが設けられ、上記給湯管の末端には給湯栓が設けられ、
上記バイパス管の接続点より熱交換部に近い給湯系配管には第1流量制御弁が設けられ、上記バイパス管には第2流量制御弁が設けられ、
上記制御手段は、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出した時に、燃焼部の燃焼を制御して給湯栓からの出湯温度を設定温度にする給湯制御を実行し、上記フローセンサで閾流量以上の水の流れを検出せずに、他用途燃焼要求を受けた時には、上記給湯制御を実行せずに、燃焼部での燃焼を実行して他系配管を流れる水を加熱するとともに上記第1,第2流量制御弁を所定開度で待機させる他用途燃焼制御を実行し、
上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記給湯系配管の受熱管またはその近傍に設けられた温度センサからの検出温度が上昇して第1閾温度を越えた時に燃焼を停止し、この検出温度が低下して第1閾温度より低い第2閾温度を下回った時に燃焼を再開し、これを繰り返すことにより、給湯系配管の受熱管内の水の温度を制御し、
さらに、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において給湯系配管における上記閾流量未満の微少流量の水の流れを検出できる微少流量検出手段を備え、この微少流量検出手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼を実行している状況において、燃焼時間または燃焼停止時間に基づいて給湯系配管の水の流れを検出し、
上記制御手段は、上記給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記第1流量制御弁を開度減少方向に制御するとともに、第2流量制御弁を開度増大方向に制御することを特徴とする複機能型給湯装置。 - 上記バイパス管の接続点より熱交換部から離れた給湯系配管に上記フローセンサが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複機能型給湯装置。
- 上記制御手段は、給湯制御を実行せずに他用途燃焼制御を実行している状況において、上記微少流量検出手段で給湯系配管の水の流れを検出した時に、上記流量制御弁の開度を開度制御範囲の最小限まで減少させるとともに、第2流量制御弁の開度を開度制御範囲の最大限まで増大させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複機能型給湯装置。
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