JP3809718B2 - 赤外線検知素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照射赤外線による発熱を熱起電力を介して検出するメンブレン構造の赤外線検知素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
メンブレン構造の赤外線検知素子として、例えば特開平8−88376号公報に開示されたものが知られている。この赤外線検知素子では、図4に示すように基板201に凹部201Aを形成し、凹部201Aを覆うようにメンブレンMBを設けている。メンブレンMBには4つの孔202が開口され、メンブレンMBは孔202の間に形成された4つの梁203により支持されている。梁203にはそれぞれn型ポリシリコン配線204およびp型ポリシリコン配線205が形成され、これらを互いに接続することにより、4対の熱電対を直列接続してなるサーモパイルが形成される。メンブレンMBの中央部分には赤外線を吸収する吸収層206が設けられ、吸収層206の温度上昇によってサーモパイルに熱起電力が生ずるように構成されている。
【0003】
図4に示すようなメンブレン構造を採るのは、吸収層206で発生する熱がすぐに基板201に逃げないようにして、サーモパイルの温接点と冷接点との温度差を拡大し、サーモパイルの熱起電力を大きくすることにより赤外線の検知感度を高めるためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなメンブレン構造を採用することにより、吸収層206で発生する熱が基板201に伝わりにくくすることができるが、さらに熱の伝達を抑制するためには梁を介しての熱伝導を抑制する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、メンブレン構造を採る赤外線検知素子の検知感度を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
実施の形態を示す図1および図2に対応づけて説明すると、請求項1に記載の発明の赤外線検知素子は、凹部1Aが形成された基板1と、凹部1Aを覆うメンブレンMBと、メンブレンMBの中央部分に形成された赤外線吸収部7と、メンブレンMBと基板1との間に架け渡され、メンブレンMBを支持する複数の梁16A〜16Dと、2つの物質11、12を電気的に接合してなる複数の熱電対とを備え、複数の熱電対は直列に電気的に接合しており、複数の梁16A〜16Dのうちすべての梁が、熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質11のみを複数並列して配置された梁16A、16Bと、熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質11とは異なる物質12のみを複数並列して配置された梁16C、16Dとであることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の赤外線検知素子において、前記赤外線検知素子は4つの梁16A〜16Dを有し、4つの梁のうちの2つの梁16A、16Bには熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質11のみを複数並列して配置し、さらに4つの梁のうちの他の2つの梁16C、16Dには前記熱電対を構成する2つの物質のうちの前記一の物質とは異なる物質12のみを複数並列して配置することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の赤外線検知素子において、熱電対を構成する2つの物質としてp型ポリシリコン12およびn型ポリシリコン11を用いるものである。
【0007】
【発明の効果】
請求項1〜3に記載の発明によれば、複数の梁のすべての梁には熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質のみを配置するので、熱電対を構成する物質を複数並列して配置した梁の幅を縮小することにより梁の断面積を小さくして赤外線の検知感度を向上することができる。また、請求項1〜3に記載の発明によれば、複数の梁のうちの全ての梁に、一の物質を複数並列して配置したので、熱電対を複数直列接続することにより赤外線の検知感度を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
以下、図1および図2を用いて、本発明による赤外線検知素子の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の赤外線素子を、例えば、1つの基板上にマトリクス状に多数配列することにより、被写体から放射される赤外線を捉えて被写体を2次元的な像として撮像することができる。
【0009】
図1は第1の実施の形態の赤外線検知素子の構成要素の配置を示す正面図、図2は図1のII−II線における断面図である。図1において、1はシリコン等からなる基板であり、図2に示す点Tを頂点とし、図2において上方向に向けて断面が拡大する四角錐形状を呈する凹部1Aが形成されている。この凹部1Aは後述するメンブレンMBをシリコン基板1から熱的に分離することにより、センサの感度を高めるためのものであり、図2において基板1の上面に相当する基板主表面((100)面)からの異方性エッチングにより形成される。
【0010】
図2において、MBは凹部1Aを覆うように基板1の主表面に沿って略平板状に形成されたメンブレン(膜)である。図1に示すように、メンブレンMBにはエッチング孔2が4つ開口され、メンブレンMBで仕切られる凹部1Aの内部空間と、図2における上方の外部空間とがエッチング孔2を介して互いに連通している。後述するように、エッチング孔2は、凹部1Aを形成するためのシリコン基板1のエッチング工程において、エッチング液をシリコン基板1に到達させるために用いられる。エッチング孔2が形成されている結果、図1に示すように、メンブレンMBは矩形状の中央部分15と、中央部分15と基板1との間に架け渡され、中央部分15を支持する4本の梁16A〜16Dとから構成される。
【0011】
図1および図2に示すように、メンブレンMBは窒化膜(SiN膜)3、酸化膜(SiO2 膜)4、酸化膜(SiO2 膜)5、保護膜6、吸収膜7、n型ポリシリコン配線11(図1、図2)、p型ポリシリコン配線12(図1)、およびアルミニウム配線13a〜13d(図1、図2)を備える。
【0012】
図2に示すように、メンブレンMBの最下層、すなわち基板1のすぐ上層には窒化膜3がメンブレンMBの全領域にわたり形成されている。また、窒化膜3の上には、図1および図2に示すように梁16Aおよび梁16Bの部分において並列に3本のn型ポリシリコン配線11が、梁16Cおよび梁16Dの部分において並列に3本のp型ポリシリコン配線12がそれぞれ形成されている。
【0013】
図2に示すように、窒化膜3、n型ポリシリコン配線11あるいはp型ポリシリコン配線12の上層には酸化膜4が設けられている。酸化膜4には図1に示す温接点HP、冷接点CPおよび接続部18の部分において電気的な接続を確保するための開口(コンタクトホール)が形成されるとともに、酸化膜4の上からn型ポリシリコン配線11あるいはp型ポリシリコン配線12と接続される6本のアルミニウム配線13aおよび5本のアルミニウム配線13bが形成されている。図1のアルミニウム配線13cはアルミニウム配線13bよりも上層に配置されており、アルミニウム配線13cとアルミニウム配線13bとの間には絶縁層としての酸化膜5が設けられる。
【0014】
アルミニウム配線13aはメンブレンMBの中央部分15において配設され、それぞれn型ポリシリコン配線11とp型ポリシリコン配線12との間を接続している。アルミニウム配線13aとn型ポリシリコン配線11と、およびアルミニウム配線13aとp型ポリシリコン配線12との接点は、それぞれ温接点HPを構成する。
【0015】
一方、アルミニウム配線13bおよび13cはエッチングされずに基板1の主表面が残された凹部1Aよりも外側の領域に配置され、n型ポリシリコン配線11とp型ポリシリコン配線12との間を接続している。アルミニウム配線13bとn型ポリシリコン配線11と、およびアルミニウム配線13bとp型ポリシリコン配線12との接点は、それぞれ冷接点CPを構成する。
【0016】
図1に示すように、それぞれ全部で6本あるn型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12はアルミニウム配線13a〜13cを介して直列に接続され、これにより6対の熱電対を互いに直列接続したサーモパイルが構成される。このように複数の熱電対を直列接続することにより、熱起電力を増大させ、赤外線検知素子の感度を高めることができる。
【0017】
図2に示す保護膜6は、例えばプラズマSiN等からなり、メンブレンMBの全領域に渡って設けられている。さらに、メンブレンMBの中央部分15において吸収層7が保護膜6上に形成されている。吸収層7は、中央部分15に照射された赤外線のエネルギーを効率よく熱に変換できるように、例えば金黒(Au−Black)等の赤外線の吸収率の高い材質からなる。図1に示すように、吸収層7を温接点HPにかかように形成することにより、赤外線の照射によって温接点HPと冷接点CPとの間に温度差を生み出すように構成されている。
【0018】
次に、以上のように構成された第1の実施の形態の赤外線検知素子の動作について説明する。図2において上方から吸収層7に赤外線が照射されると、吸収層7の部分(中央部分15)の温度が上昇し、熱伝導によって温接点HPに熱が伝えられ温接点HPの温度を上昇させる。上述のようにメンブレンMBの中央部分15は基板1から中吊りの状態とされているため、基板1への直接的な熱伝導がなく、梁16A〜16Dを介して熱が基板へ伝わっていく。
【0019】
メンブレンMBを構成する各材質の熱伝導度κは、例えばポリシリコンでκ=40(W/m/K)、SiO2 でκ=1.4(W/m/K)、SiNでκ=5(W/m/K)と大きな値をとり、温接点HPの熱はなかなか冷接点CPには伝わらない。その結果、両者には大きな温度差が生じ、ゼーベック効果によって起電力が生じる。サーモパイル全体の熱起電力Sは個々のサーモカップル(熱電対)の起電力の和になり、一般的に次の式で表される。
【数1】
S=n(αp +αn )・Rth ・P ・・・式(1)
【0020】
ここで、nはサーモカップルの対数、αp およびαn はそれぞれp型ポリシリコンおよびn型ポリシリコンのゼーベック係数、Rth はメンブレンMBの合成熱抵抗、Pは入射エネルギーである。式(1)によれば、熱起電力Sは入射エネルギーPに比例するので、この熱起電力Sの大きさを測定することにより、入射赤外線強度を計測することができる。
【0021】
式(1)から明らかなように、赤外線検知素子の感度を向上させるためには合成熱抵抗Rth の値は大きいほうがよく、そのためには梁16A〜16Dの断面積を小さくする必要がある。第1の実施の形態では、梁16A〜16Dのそれぞれにn型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12のうちの1種類のみを配置しているため、1つの梁に熱電対を構成する2種類の物質を配線する場合と比較して、梁の幅を小さくすることができる。したがって、第1の実施の形態では梁16A〜16Dの断面積を小さくすることができ、よって赤外線検知感度を向上させることができる。なお、このような第1の実施の形態の利点については、製造方法との関係でさらに後述する。
【0022】
<製造方法>
次に、図1および図2を用いて、第1の実施の形態の赤外線検知素子の製造方法について説明する。まず、主表面が(100)面である基板1にフォトレジストをパターニングし、パターニングにより形成されたフォトレジストの開口部分にSi+ をイオン注入し、欠陥層を形成する。この欠陥層が形成される領域は、図1の4つのエッチング孔2を四隅に配置するようにして規定される矩形の領域(図1に示す凹部1Aに対応する領域)である。
【0023】
次に、フォトレジストを剥離後、CVD法を用いてSiNを基板1の主表面に堆積し、窒化膜3を形成する。次に、CVD法を用いて窒化膜3上にポリシリコンを成膜した後、n型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12の部分を残す形状にフォトレジストをパターニングし、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてポリシリコン膜をエッチングする。このような工程により、図1のn型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12に相当するパターンのポリシリコン層が形成される。ポリシリコンのエッチング後、フォトレジストを剥離する。
【0024】
次に、図1のn型ポリシリコン配線11の部分に開口を有するようにフォトレジストをパターニングし、そのフォトレジストをマスクとしてイオン注入法によりリンイオンをポリシリコン層にドープする。その後、アニールを行うことでn型ポリシリコンを電気的に活性化させ、n型ポリシリコン配線11を形成する。さらに、リンイオンのドープに際してマスクとして用いたフォトレジストを剥離する。
【0025】
フォトレジストを剥離後、図1のp型ポリシリコン配線12の領域に開口を有するように新たなフォトレジストをパターニングし、そのフォトレジストをマスクとしてイオン注入法によりボロンイオンをポリシリコン層にドープする。その後、アニールを行うことでp型ポリシリコンを電気的に活性化させ、p型ポリシリコン配線12を形成する。さらに、ボロンイオンのドープに際してマスクとして用いたフォトレジストを剥離する。
【0026】
以上のようにして、サーモパイルを構成するn型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12を形成した後、メンブレンMB上に酸化膜4を堆積させ、さらに酸化膜4に温接点HPおよび冷接点CPのためのコンタクトホールを形成する。次に、Al-Siをスパッタ法によって酸化膜4上に堆積し、パターニングしてアルミニウム配線13a、13b、温接点HPおよび冷接点CPを形成する。さらに、絶縁膜として機能する酸化膜5をメンブレンMB上に堆積させた後、酸化膜5に接点18のためのコンタクトホールを形成し、その後、アルミニウム配線13cを形成する。次いで、メンブレンMBの全面にPSGやプラズマCVD法によりSiNを堆積して保護層6を形成する。
【0027】
次に、欠陥層の四隅に対応する位置に、各々窒化膜3、酸化膜4、酸化膜5および保護層6を貫通して欠陥層(基板1)に到達する矩形のエッチング孔2を形成する。次に、エッチング孔2を介して異方性エッチング液であるヒドラジンを注入し、シリコン基板1のエッチングを行う。このようなエッチングにより、メンブレンMBの下方に欠陥層の全領域を底面とする四角錐形状の凹部1Aが形成される。このように凹部1Aが四角錐形状となるのは実質的にエッチングが(111)面で停止するためである。なお、基板1の異方性エッチングについては特開平8−88376号公報に開示されているので、詳細説明は省略する。最後に吸収層7である金黒等を保護層6上に蒸着等により成膜し、パターニングする。
【0028】
このように第1の実施の形態では、梁16Aおよび梁16Bにはn型ポリシリコン配線11のみを、梁16Cおよび梁16Dにはp型ポリシリコン配線12のみをそれぞれ配置している。このため、n型ポリシリコン配線11あるいはp型ポリシリコン配線12の間隔を定めるに際して、マスクの位置合わせ精度を考慮する必要がなく、その分配線の間隔を小さくできる。つまり、配線の間隔を決定するのは、n型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12に共通のエッチングマスクを用いたポリシリコンのパターニング精度と、n型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12のそれぞれに別のマスクを用いてリンまたはボロンをドープするドープ工程の精度である。そして、前者の精度はフォトリソグラフィー工程が1回で済むため、単にそのフォトリソグラフィー工程とそれに続くエッチング工程の加工精度により規定されるのに対して、後者の工程では2つのドープ物質のそれぞれについてフォトリソグラフィー工程が必要であるために、後者の精度はドープ工程のそれぞれの精度に加えて2枚のマスクの合わせ精度を加味したものとなる。一般に、マスクの合わせ精度を高精度なものとするのは困難であるため、マスクの合わせ精度が配線の間隔に影響を与えるようなパターン配置の場合には、最終的に配線の間隔を大きく設定せざるを得なくなる。
【0029】
従来の赤外線検知素子では、n型ポリシリコン配線11およびp型ポリシリコン配線12の両者が1つの梁に配置されているため、梁の幅を狭めるためにはn型ポリシリコン配線11とp型ポリシリコン配線12とを接近させる必要があるが(図4(a)参照)、このような配置の場合にはドープ工程におけるマスクの合わせ精度が問題となる。したがって、従来の素子ではマスクの合わせ精度を加味して配線の間隔を設定しなければならない。
【0030】
これに対して、第1の実施の形態では1つの梁にはn型ポリシリコンおよびp型ポリシリコンのうちの1種類のみが配線されている。したがって、ドープ工程におけるマスクの合わせ精度を考慮する必要がなく、ポリシリコンのパターニング精度のみを考慮して配線の間隔を決めることができる。すなわち、リンイオンをドープする際にはp型ポリシリコン配線12の部分をマスクし、かつn型ポリシリコン配線11の部分をマスクしない形状のレジストを得ればよく、ボロンイオンをドープする際にはn型ポリシリコン配線11の部分のみをマスクする形状のレジストを得ればよい。ところが第1の実施の形態では、n型ポリシリコン配線11とp型ポリシリコン配線12とが互いに離れて配置されているため、仮にフォトレジストの合わせ精度が悪くても全く問題がない。このため、配線の間隔を狭めることができ、その分だけ梁16A〜16Dの幅を小さくすることができるから、梁の断面積が抑制される。
【0031】
以上説明したように、第1の実施の形態では1つの梁に対して熱電対を構成する1種類の物質のみを配線するようにしたので、配線の間隔を小さくして梁の幅を狭めることができる。したがって、断面積の減少により梁を熱が伝導しにくくなり、よって赤外線の検知感度を向上させることができる。本実施の形態では、1つの梁に対して、それぞれ3本の配線を配するようにしているが、本数をさらに増加させてもよいし、本数を減少させてもよい。本発明の赤外線検知素子は配線間隔の縮小によって梁の断面積を減少させ、これにより検知感度を向上させるものであるため、一般的には1つの梁に対する配線の数、すなわちサーモパイルの対数が大きな場合に、より大きな効果を奏することができる。
【0032】
−第2の実施の形態−
以下、図3を用いて本発明による赤外線検知素子の第2の実施の形態について説明する。
【0033】
図3に示すように、シリコン等からなる基板1には第1の実施の形態と同様の四角錐状の凹部1Aが形成され、凹部1Aを覆うメンブレンMBにはシリコン基板1をエッチングする際のエッチング液を供給するための4つの台形のエッチング孔102が形成されている。エッチング孔102が形成されている結果、メンブレンMBは矩形の中央部分115と、中央部分115を支持する4本の梁116A〜116Dとから構成される。図3に示すように、第1の実施の形態とは異なり、梁116A〜116Dは凹部1Aを指し示す図3の矩形領域の対角線に沿って設けられている。このため、梁116A〜116Dを長くすることができ、梁116A〜116Dの熱抵抗が大きくなるので赤外線検知の高感度化に有利である。
【0034】
第2の実施の形態では、梁116Aおよび梁116Bにはそれぞれ2本のn型ポリシリコン配線111が、梁116Cおよび梁116Dにはそれぞれ2本のp型ポリシリコン配線112が、それぞれ中央部分115の温接点HPと、凹部1Aの外側の冷接点CPとの間に延設されている。
【0035】
中央部分115には温接点HPどうしを結ぶ4本のアルミニウム配線113aが形成されている。また、凹部1Aの外側には冷接点CPどうし、あるいは冷接点CPと接点118とを結ぶアルミニウム配線113bと、接点118どうしを結ぶアルミニウム配線113cとが形成されている。アルミニウム配線113bとアルミニウム配線113cとの間には絶縁層(不図示)が設けられ、互いに絶縁されている。図3に示すように、第2の実施の形態ではn型ポリシリコン配線111およびp型ポリシリコン配線112をアルミニウム配線113a〜113cを介して直列に接続することにより、4対の熱電対を直列接続したサーモパイルが構成されている。また、中央部分115には温接点HPにかかるように赤外線を吸収する吸収層(不図示)が設けられている。
【0036】
第2の実施の形態では、吸収層が形成された中央部分は梁116A〜116Dのみにより支持されている。しかも、梁116A〜116Dにはそれぞれn型ポリシリコン111あるいはp型ポリシリコン112のうちの1種類のみが配置されているので、第1の実施の形態と同様、梁116A〜梁116Dの幅を小さくすることができる。したがって、梁116A〜116Dの断面積を縮小でき、梁を熱が伝わりにくくなるから、第1の実施の形態と同様に赤外線の検知感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の赤外線検知素子の構成を示す図。
【図2】図1のII−II線における断面図。
【図3】第2の実施の形態の赤外線検知素子の構成を示す図。
【図4】従来の赤外線検知素子の構成を示す図であり、(a)は正面から見た図、(b)は(a)のb−b線における断面図。
【符号の説明】
1 基板
1A 凹部
7 吸収層
11 n型ポリシリコン配線
12 p型ポリシリコン配線
16A〜16D 梁
MB メンブレン
Claims (3)
- 凹部が形成された基板と、
前記凹部を覆うメンブレンと、
前記メンブレンの中央部分に形成された赤外線吸収部と、
前記メンブレンと前記基板との間に架け渡され、前記メンブレンを支持する複数の梁と、
2つの物質を電気的に接合してなる複数の熱電対とを備え、
前記複数の熱電対は直列に電気的に接合しており、
前記複数の梁のすべての梁が、前記熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質のみを複数並列して配置された梁と、前記熱電対を構成する2つの物質のうちの前記一の物質とは異なる物質のみを複数並列して配置された梁とであることを特徴とする赤外線検知素子。 - 請求項1に記載の赤外線検知素子において、
前記赤外線検知素子は4つの梁を有し、
前記4つの梁のうちの2つの梁には前記熱電対を構成する2つの物質のうちの一の物質のみを複数並列して配置し、さらに前記4つの梁のうちの他の2つの梁には前記熱電対を構成する2つの物質のうちの前記一の物質とは異なる物質のみを複数並列して配置することを特徴とする赤外線検知素子。 - 前記熱電対を構成する2つの物質としてp型ポリシリコンおよびn型ポリシリコンを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線検知素子。
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