JP3809593B2 - シールド掘進機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地中を掘進して断面形状の変化するトンネルを構築できるシールド掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シールド掘進機によって掘削したトンネルの一部の断面を変化させるには、断面を変化させたい区間において開削工事を行ったり、あるいは薬液注入等により地盤改良した後に既設トンネルの一部を撤去して地中にてトンネルの再構築工事を行ったりしていた。また、断面を変化させたい区間だけ外形の異なるシールド掘進機を用いて掘削する場合もある。
しかしながら、開削工事を行うには、少なくとも地上用地の確保が必要になり、コストアップにつながるという問題点がある。また、地中にてトンネルの再構築工事を行う方法の場合には、薬液注入等の補助工事によるコストアップのほか、安全面でも十分に配慮する必要がある。さらに、外形の異なるシールド掘進機を使用する方法の場合には、シールド掘進機の製作費用が追加されるほか、シールド掘進機を発進させるための新たな発進立坑を設置する必要があり、大幅なコストアップにつながるという問題点があった。
そこで、これらの問題点を解決するものとして、シールド掘進機に拡幅機構を備え、トンネルの一部の断面を変化させたいときにシールド掘進機の本体を拡幅させて掘進するという案が、例えば特開平6−146776号公報に開示されている。
【0003】
図6は上記の公報に開示された多連型シールド掘進機の切断平面図、図7は図6に示した多連型シールド掘進機のA−A矢視図、図8は図6に示した多連型シールド掘進機のB−B矢視図である。図6乃至図8に示すように、従来の多連型シールド掘進機は、円形の左右の主カッター51,52と、これらの間の背面側に位置させた円形の副カッター53とを、これらカッター51乃至53の正面形状と対応する形状を輪郭形状としたシールドフレーム55の前面部に、回転駆動可能に取り付けたものであり、左右の主シールド部57,59と中央の副シールド部61の3つのシールド部とから構成されている。
【0004】
そして、シールドフレーム55は、主カッター51,52の軸心と平行な方向に上下位置で3分割されて、両側に配置された主シールドフレーム部55a,55bと中央シールドフレーム部55cの3つのフレーム部から構成されている。さらに、各分割部には左右方向へ一定量スライドし得るスライドガイド機構62をそれぞれ設けて、左右の主シールド部57,59を中央の副シールド部61に対してそれぞれ左右方向へスライド可能に構成している。そしてさらに、上記各主シールド部57,59と副シールド部61との間に、それぞれ左右方向へ配した拡幅ジャッキ63を介装させ、該拡幅ジャッキ63の伸長作動で主シールド部57,59が左右方向へスライドすることによりシールドフレーム55が拡幅できるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した多連型シールド掘進機においては以下に示すような種々の問題点があった。
すなわち、主シールド部57,59全体が左右方向に移動するため、拡幅のための機構が大がかりになる。また、移動する外周長が長いため止水のためのシールが困難となる。
さらに、主シールド部57,59の拡幅に際しては主カッター51,52の側方のコピーカッタによって主シールド部57,59の側方を掘削することになるが、この掘削土砂が邪魔になり、主シールド部57,59の拡幅がスムーズにできないという問題がある。またさらに、主カッター51,52及び副カッター53によって掘削された土砂は、これらカッターの後方に配置された排土機構によってシールド掘進機の機内に取り込まれ、トンネル後方に排出されることになるが、主シールド部57,59全体が左右に移動した場合、排土機構も同様に左右に移動することになると考えられ、排土機構が左右に移動した分だけ、シールド掘進機の中心部分の土砂の取り込みが不十分になる。
また、上記の多連型シールド掘進機においては、主カッター51,52と副カッター53とを平面的に重ね合わせて配置することによって、拡幅した場合でも掘削残しが発生しないように配慮されているが、逆にこの制約があるために、幅方向に大きく拡幅することができないという問題点もあった。
【0006】
本発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、拡幅のための機構が大がかりとならず、また拡幅により止水が困難になるという問題がなく、さらに拡幅した場合に掘削残しの発生することのないシールド掘進機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシールド掘進機は、前端側に掘削機構を有すると共に、少なくとも一側面に凹陥部を有する本体ブロックと、前記凹陥部に収容されて、前記本体ブロックの側面から出没できるように構成されたカッターヘッドを有する副掘削機構と、前記カッターヘッドの後部側に設けられ、前記カッターヘッドの出没方向に拡幅可能に設置されたトンネル構築ブロックとを備えたものである。
【0008】
また、前記カーターヘッドを円筒形に形成し、該カッターヘッドの端面及び周面にビットを設けたものである。
【0009】
さらに、前記凹陥部に土砂取り込み口を臨ませて設置され、前記副掘削機構によって掘削された土砂を前記本体ブロック内部へ搬送する補助排土機構を設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態の斜視図である。図において、1はシールド掘進機であり、本体ブロック3と該本体ブロック3の後部両側に設けられた2つのトンネル構築ブロック5,7とから構成されている。
本体ブロック3は略矩形状をしており、両側の中央部には凹陥部3a,3bが形成され、また、後部側の両側はトンネル構築ブロック5,7を設置するために幅が狭くなっている。
9は本体ブロック3の前端に設置された主掘削機構、11a,11bは本体ブロック3の凹陥部3a,3bにカッターヘッド110a,110bを収容した状態で本体ブロック3に設置された副掘削機構である。カッタヘッド110a,110bは、円筒形状からなり端面及び円周面に掘削用のビットが設置されており、このカッタヘッド110a,110bを回転して地山を掘削する。
【0011】
図2は図1の平面断面図、図3は図2における矢視A−A断面図である。図2及び図3に基づいて、シールド掘進機1の内部構造を説明する。
図において、15は本体ブロック3の内部にその前端から後端に亘って設置されたスクリュウコンベア等からなる主排土機構、17a,17bは一端側(土砂取り込み口)を本体ブロック3の凹陥部3a,3bに臨ませて、他端側を主排土機構15に連結されたスクリュウコンベア等からなる副排土機構である。副排土機構17a,17bは副掘削機構11a,11bで掘削された土砂を取り込んで主排土機構15まで搬送する。また、主排土機構15は主掘削機構9で掘削された土砂を取り込むと共に、該土砂と副排土機構17a,17bから搬送された土砂を合わせて本体ブロック3の後端側へ搬送する。このように、主排土機構15は自己が取り込んだ土砂と副排土機構17a,17bから搬送される土砂を合わせて搬送するため、副排土機構17a,17bが連結されている部分から土砂搬送能力を増加させる必要があり、図2に示すように、途中から排土管の径を大きくしている。
【0012】
19a,19bはそれぞれカッターヘッド110a,110bを回転駆動させる駆動装置であり、各駆動装置19a,19bに設けられたシャフト21a,21bの先端にカッタヘッド110a,110bが取り付けられ、シャフト21a,21bが本体ブロック3に設けられた軸受部24a,24bに回転可能に支持されている。そして、この軸受部24a,24bには止水用のパッキン26a,26bが設置されている。駆動装置19a,19bはそれぞれ複数のジャッキ23a,23bによって本体ブロック3側に取り付けられており、ジャッキ23a,23bを伸縮させることによって、本体ブロック3の幅方向に移動できるように構成されている。以上説明した駆動装置19a,19b、シャフト21a,21b、カッターヘッド110a,110b、及びジャッキ23a,23bによって副掘削機構11a,11bが構成されている。
25a,25bはそれぞれ一端側をトンネル構築ブロック5,7に、他端側を本体ブロックにそれぞれ固定されて、トンネル構築ブロック5,7を本体ブロック3の幅方向に移動させる拡幅用ジャッキである。
【0013】
図4は本実施の形態のシールド掘進機1の部分斜視図、図5は図4における矢視B−B断面図(但し、図5は図4に示した部分のみならず全体を示している。)であり、カッターヘッド110a,110b及びトンネル構築ブロック5,7を幅方向に移動させた状態を示している。図4及び図5から分かるように、カッターヘッド110a,110bを幅方向に移動した状態では、カッターヘッド110a,110bの内側の端面が本体ブロック3の側面とほぼ面一になるように構成されている。
【0014】
次に、本実施の形態のシールド掘進機1の動作を図1乃至図5に基づいて説明する。上述したシールド掘進機1を用いてトンネルを掘削する場合、通常は、図1に示すようにカッターヘッド110a,110bを本体ブロック3の凹陥部3a,3bに収容した状態で掘進し、トンネル幅を広げる必要がある地区の近くに到達すると、副掘削機構11a,11bを駆動して端面側で地盤を掘削しながら除々にジャッキ23a,23bを駆動して、図5に示すように、カッターヘッド110a,110bを本体ブロック3の外方に移動させる。このとき、副掘削機構11a,11bの駆動によって発生した土砂は副排土機構17a,17bによって本体ブロック3内に取り込まれ、主排土機構15によって本体ブロック3の後端側へ搬送される。このように、副掘削機構11a,11bの駆動によって発生した土砂が、確実に本体ブロック3内に取り込まれるので、カッターヘッド110a,110bの外方への移動の邪魔にならず、カッターヘッド110a,110bをスムーズに移動させることができる。
【0015】
そして、カッターヘッド110a,110bを突出させた状態で、主掘削機構9及び副掘削機構11a,11bによって地盤を掘削しながら掘進し、本体ブロック3の後部に設置されたトンネル構築ブロック5,7を拡幅できる地点まで進んだところで、拡幅用ジャッキ25a,25bを所定量だけ伸長させて、図4に示すように、トンネル構築ブロック5,7を拡幅させる。
【0016】
以後は図4に示したようにカッターヘッド110a,110bを突出させると共に、トンネル構築ブロック5,7を拡幅させた状態で掘進し、必要に応じて、ジャッキ23a,23b及び拡幅用ジャッキ25a,25bを伸縮させることによって断面形状の異なるトンネルを連続して構築できる。
【0017】
以上説明したように、本実施の形態においては、カッターヘッド110a,110bのみを外方に移動するだけで断面幅の広い掘削が可能となり、従来例で示したような主シールド全体を拡幅させるものに比べると、極めて簡易な構造で拡幅ができる。
また、カッターヘッド110a,110bの幅(円筒の高さ)を大きくするだけで、掘削残しを生ずることなく大きく拡幅させることができる。
【0018】
さらに、トンネル構築部5,7が独立した構造になっていて、この部分だけを移動させるので、従来例のようにシールドフレーム全体に一体型のパッキンを設置しなければならないものに比べると、パッキンの設置が容易になり、且つ止水性も良くなる。
【0019】
また、カッターヘッド110a,110bを円筒形状とし、端面及び周面に掘削用のビットを設けたので、カッターヘッド110a,110bを外方に移動する際に、コピーカッタ等の補助的な手段を用いることなく、副掘削機構11a,11b自体を駆動させればよく、効率のよい拡幅動作ができる。
【0020】
なお、上記の実施の形態においては、カッターヘッド110a,110bを幅方向に移動させるための駆動装置として拡幅用ジャッキ25a,25bを例に挙げて説明したが、これ以外の既存の駆動装置を利用できることはいうまでもない。
【0021】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明においては、前端側に掘削機構を有する本体ブロックの凹陥部にカッターヘッドを本体ブロックの外方に出没可能に設置すると共に、前記カッターヘッドの出没方向に拡幅可能なトンネル構築ブロックを備えたので、カッターヘッドとトンネル構築ブロックを各別に移動させることができ、本体部全体を拡幅させるものに比較して拡幅のための構造が大がかりにならない。また、拡幅に伴う止水のためのシールはトンネル構築ブロックについてのみ考慮すれば足り、主シールド部全体が拡幅する従来例に比較して簡易な構成でよい。
【0022】
また、副掘削機構のカーターヘッドを円筒形に形成し、該カッターヘッドの端面及び周面にビットを設けたので、カッターヘッドを外方に移動する際に、コピーカッタ等の補助的な手段を用いることなく、副掘削機構を駆動させればよく、効率のよい拡幅動作ができる。
【0023】
さらに、副掘削機構によって掘削された土砂を前記本体ブロック内部へ搬送する補助排土機構を設けたので、副掘削機構の駆動によって発生した土砂を、確実に本体ブロック内に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の斜視図である。
【図2】 図1の平面断面図である。
【図3】 図2の矢視A−A断面図である。
【図4】 本発明の一実施の形態の動作を説明する説明図である。
【図5】 図4の矢視B−B断面図である。
【図6】 従来の多連型シールド掘進機の切断平面図である。
【図7】 図6に示した多連型シールド掘進機のA−A矢視図である。
【図8】 図6に示した多連型シールド掘進機のB−B矢視図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機
3 本体ブロック
3a,3b 凹陥部
5,7 トンネル構築ブロック
9 主掘削機構
11a,11b 副掘削機構
15 主排土機構
17a,17b 副排土機構
23a,23b ジャッキ
25a,25b 拡幅用ジャッキ
110a,110b カッターヘッド

Claims (3)

  1. 前端側に掘削機構を有すると共に、少なくとも一側面に凹陥部を有する本体ブロックと、
    前記凹陥部に収容されて、前記本体ブロックの側面から出没できるように構成されたカッターヘッドを有する副掘削機構と、
    前記カッターヘッドの後部側に設けられ、前記カッターヘッドの出没方向に拡幅可能に設置されたトンネル構築ブロックとを備えたことを特徴とするシールド掘進機。
  2. 前記カッターヘッドを円筒形に形成し、該カッターヘッドの端面及び周面にビットを設けたことを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
  3. 前記凹陥部に土砂取り込み口を臨ませて設置され、前記副掘削機構によって掘削された土砂を前記本体ブロック内部へ搬送する補助排土機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のシールド掘進機。
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