JP3682042B2 - シールド掘削装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、大断面掘削穴から小断面掘削穴に断面変化して連続して掘削するためのシールド掘削装置であり、大断面掘削穴を掘削する掘削機の一部を他の部分から分離して掘進させることにより小断面形状の掘削穴を掘削するシールド掘削装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、大断面掘削穴を掘削し、所定の位置から小断面掘削穴を掘削するためのシールド掘削装置として、偏心多軸により平行リンク運動する略三日月形の本体部カッタヘッドを備えた掘削機と、単軸により回転運動する円形の分割カッタヘッドとを備えた掘削機とを組み合わせた2段式シールド掘削機などが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような2段式掘削機では、本体部カッタヘッドが偏心多軸により平行リンク運動することにより、略三日月形に対応した範囲を掘削するものであるため、円形の分割カッタヘッドで円形の掘削範囲を掘削し、この掘削範囲に隣接する略三日月形の範囲を本体部カッタヘッドで掘削することができ、本体部カッタヘッド及び分割カッタヘッドにより大断面掘削穴を掘削し、本体部カッタヘッドから分割カッタヘッドを分離して掘進させることにより円形の小断面掘削穴を掘削することが可能となっている。
【0004】
しかし、この掘削装置では、本体部カッタヘッドの掘削範囲と分割カッタヘッドの掘削範囲とを隣接させるため、平行リンク運動する本体部カッタヘッドを分割カッタヘッドに当接させることなく、できるだけ近接させなければ、本体部カッタヘッドの掘削範囲と分割カッタヘッドの掘削範囲との間に隙間が生じやすいという欠点を有していた。
【0005】
しかも、本体部カッタヘッドの掘削範囲は略三日月形を平行リンク運動させた範囲であり、略三日月形の両先端部分の掘削範囲もその部分が回転した範囲に限られる。そのため、大断面掘削穴を掘削する際、分割カッタヘッドの掘削範囲の周縁と、本体部カッタヘッドの両先端部の掘削範囲の周縁とを凹凸なく連続させることができず、大断面掘削穴の内壁面に凹凸部分が形成されるという欠点もあった。
【0006】
また、複数のカッタヘッドの掘削範囲の間に隙間が生じにくいとともに、凹凸なく連続する地中掘削機として、偏心多軸により平行リンク運動する本体側カッタヘッドと、偏心多軸により平行リンク運動する分割カッタヘッドとを備え、本体側カッタヘッドと分割カッタヘッドとを一体的に駆動するようにした2段式シールド掘削機も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
このようなシールド掘削機は、本体側カッタヘッドと分割カッタヘッドとが一体的に運動することにより大断面掘削穴を形成することができ、本体側カッタヘッドの掘削範囲と分割カッタヘッドの掘削範囲との間に隙間が生じることがなく、また、両掘削範囲の間が凹凸なく連続して大断面掘削穴の内壁面に凹凸部分を生じにくかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−2078号公報。
【0009】
【特許文献2】
特許3167293号公報。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなシールド掘削機では、本体側カッタヘッドと分割カッタヘッドとを連結部材で連結したり、それぞれの駆動部を同期させることにより、本体側カッタヘッドと分割カッタヘッドとが駆動時に互いに当接しないように一体的に駆動させる必要があるため、掘削装置の構成が複雑になり易く、また、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程への切替作業の際、一部のカッタヘッドから他の一部のカッタヘッドを分離して掘進させるのに著しく手間を要し、作業効率が悪いなどの問題点を有していた。
【0011】
そこで、この発明は、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程への切替作業が容易であるとともに、掘削範囲の間に隙間を生じることなくて大断面掘削穴の内壁面の凹凸の発生を抑えることができるシールド掘削装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の発明は、第1の掘削機及び第2の掘削機により大断面掘削穴を掘削可能であるとともに、前記第1の掘削機と前記第2の掘削機はそれぞれ独立に駆動する駆動部を持ち、前記第1の掘削機から前記第2の掘削機を分離して掘進させることにより小断面掘削穴を掘削可能なシールド掘削装置であって、前記第1の掘削機は偏心多軸にて平行リンク運動し、正面視において凹部を有する第1カッタヘッドを備え、前記第1カッタヘッドの前記凹部の側部が、該凹部を前記小断面掘削穴より広く拡開するように変位可能に構成し、前記第2の掘削機は前記第1カッタヘッドに対して掘進方向の前方又は後方にずれた位置に配設され、偏心多軸にて平行リンク運動するように構成された第2カッタヘッドを備え、前記第1カッタヘッドによる第1掘削範囲と前記第2カッタヘッドによる第2掘削範囲とが、正面視において一部重なるように構成されたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1乃至図7はこの実施の形態を示す。
【0018】
図において、10はこの実施の形態の親子シールド掘削装置であり、第1の掘削機としての親シールド掘削機11と、この親シールド掘削機11と分離可能に結合された第2の掘削機としての子シールド掘削機12とを有している。
【0019】
図1及び図2に示すように、親シールド掘削機11は、大断面掘削穴内に配置される円筒形状の親シールド胴部20と、この親シールド胴部20の掘進方向前側に配置され、正面視で円形の外形を有する親シールド隔壁21と、この親シールド隔壁21より前方に親シールド胴部20と一体に連続した親シールドフード部22とを有している。
【0020】
親シールド隔壁21の掘進方向前方には、正面視において、弧状の凹部23aと該凹部23aより大きい径の弧状の外周部23bとを有する略三日月形状の第1カッタヘッドとしての親カッタヘッド23が配置されている。この親カッタヘッド23は、親シールド隔壁21に固定された親駆動部24と偏心した多数の軸を備える偏心多軸の親クランク機構25とにより平行リンク運動可能となっている。
【0021】
そして、この親カッタヘッド23が平行リンク運動により掘削可能な第1掘削範囲としての親掘削範囲26は、正面視において親シールド胴部20の内側となり、その外周部23bにより掘削される親掘削範囲26の外周縁が親シールド胴部20の周縁となるように構成されている。なお、親シールド隔壁21の下部には、親シールドゲート部28が設けられており、掘削土砂を搬出するための親スクリューコンベヤ29が連結されている。
【0022】
親カッタヘッド23は、枠材23cに地山を掘削するカッタビット23dを多数固定してなり、親クランク機構25が連結されたカッタ本体31と、このカッタ本体31の両側に配置されて凹部23aを形成する一対の側部としてのオーバーカッタ32と、このオーバーカッタ32をカッタ本体31に離接可能に連結したジャッキ33及びスライド部34とを備えている。ジャッキ33及びスライド部34によりオーバーカッタ32を離接することにより、凹部23aの幅を拡開又は収縮することが可能となっている。
【0023】
一方、子シールド掘削機12は、親シールド掘削機11と結合した状態では、図1及び図2に示すように、親シールド隔壁21より小径の円形を有して親シールド隔壁21と略同一平面となるように配置された子シールド隔壁41を備え、また、親シールド隔壁21及び子シールド隔壁41の内部に収容された状態で子シールド隔壁41の周縁に沿って配置された可動シールドフード部42が設けられている。この可動シールドフード部42は、フードストッパ42aにより収容状態で固定されており、フードストッパ42aを取り外すことにより、子シールド隔壁41より掘進方向前方にスライド可能となっている。なお、子シールド掘削機12が親シールド掘削機11と結合した状態では、図7等に示すような子シールド胴部40は装着されていない。
【0024】
子シールド隔壁41の掘進方向前方には、略円形の第2カッタヘッドとしての子カッタヘッド43が、正面視において親カッタヘッド23の弧状の凹部23aに略重なる位置に、且つ、親カッタヘッド23より掘進方向後方にずれた位置に配設されている。この子カッタヘッド43は、枠材43aに地山を掘削するカッタビット43bを多数固定してなり、子シールド隔壁41に固定された子駆動部44と偏心した多数の軸を備える偏心多軸の子クランク機構45とにより平行リンク運動可能となっている。
【0025】
そして、この子カッタヘッド43が平行リンク運動により掘削可能な第2掘削範囲としての子掘削範囲46は、正面視において凹部23aに重なるとともに親カッタヘッド23の親掘削範囲26に一部重なり、子シールド胴部40とほぼ一致する略円形となっている。なお、子カッタヘッド43には、親カッタヘッド23の両先端部32a側に突出して拡張部43cが設けられているため、子掘削範囲46の拡張部43cにより掘削される部位が、親掘削範囲26の親カッタヘッド23の先端部32aにより掘削される部位側に張り出している。
【0026】
更に、子シールド隔壁41の下部には、子シールドゲート部48が、図7に示すような子スクリューコンベヤ49を連結可能に設けられているが、親シールド掘削機11から子シールド掘削機12が分離する前は、子スクリューコンベヤ49を連結することなく、閉塞した状態となっている。
【0027】
このような親シールド掘削機11と子シールド掘削機12とが結合された図1及び図2のような状態では、親カッタヘッド23及び子カッタヘッド43により大断面掘削穴を掘削可能となっている。この結合状態では、親シールド胴部20の掘進方向後方の大断面掘削穴の内壁面に親シールドセグメント51を配設するための親シールドエレクタ52が設けられており、掘進に伴って親シールドセグメント51が順に配設できるように構成されている。更に、親シールド胴部20の掘進方向後方には、親シールドジャッキ54が固定されており、親シールドセグメント51を押圧した反力により親シールド掘削機11及び子シールド掘削機12を含む親子シールド掘削装置10全体を掘進方向前方に移動させるように構成されている。
【0028】
このような構成の親子シールド掘削機10により大断面掘削穴を掘削するには、まず、図1及び図2に示すように、親シールド掘削機11と子シールド掘削機12とを連結した状態で、親シールドジャッキ54により掘進方向に押圧しつつ、親カッタヘッド23を親駆動部24及び親クランク機構25により平行リンク運動させ、また、子カッタヘッド43を子駆動部44及び子クランク機構45により親カッタヘッド23とは独立に駆動して平行リンク運動させることにより行う。
【0029】
このとき、親カッタヘッド23の一対のオーバーカッタ32はジャッキ33及びスライド部34によりカッタ本体31に最も近接した状態となっており、凹部23aが最も収縮した状態となっている。ここでは、親カッタヘッド23により親掘削範囲26の範囲が掘削されるが、この親カッタヘッド23の親掘削範囲26には凹部23aに対応する未掘削部分が形成される。そのため、この未掘削部分を子カッタヘッド43により掘削する。
【0030】
その際、親カッタヘッド23の親掘削範囲26と子カッタヘッド43の子掘削範囲46が、子掘削範囲46と一部重なるため、両掘削範囲26,46に隙間が生じることはない。また、子掘削範囲46の周縁の拡張部43cにより形成される部位と親掘削範囲26の周縁のオーバーカッタ32の先端部32aにより形成される部位とが交差しているが、その交差部分に形成される凹凸は小さく、略変曲点のない連続した形状となる。そのため、大断面掘削穴の内壁面が所定の円形の断面形状に形成される。
【0031】
また、この実施の形態では、子シールド掘削機12は従来の単円偏心多軸シールド機と同等であるが、親カッタヘッド23と同様に子カッタヘッド43にも周知のようにオーバーカッタヘッドを組み込むことは可能であり、子カッタヘッド43にオーバーカッタヘッドを組み込んで拡開した状態で掘削すれば交差部分に形成される凹凸を更に小さくすることができる。
【0032】
次に、大断面掘削穴を所定位置まで掘削した時点で、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程に切り替えて、小断面掘削穴を掘削する。
【0033】
切替時には、まず親子シールド掘削装置10による掘削を停止し、図1のように、親カッタヘッド23を平行リンク運動の最下端の位置に配置する。このとき子カッタヘッド43を平行リンク運動の最上端の位置に配置するのが好ましい。
【0034】
この状態で、図3に示すように、ジャッキ33及びスライド部34によりオーバーカッタ32をカッタ本体31から最も離れた位置に移動させ、凹部23aを拡開させる。これにより、凹部23aの内側縁が小断面掘削穴の断面形状より大きく拡開する。
【0035】
そして、図4に示すように、子シールド胴部40より掘進方向後方の親シールド胴部20の子シールド掘削機12に対応する位置に反力受けブラケット62を固定する。また、親シールドゲート部28を閉塞し、親シールド隔壁21に装着されている親スクリューコンベヤ29、親シールドエレクタ52、親シールドジャッキ54等の小断面掘削穴の掘進に不要な部材を解体撤去する。
【0036】
さらに、フードストッパ42aを取り外し、可動シールドフード部42を子シールド隔壁41の周囲から掘進方向前方にスライドさせ、子シールド胴部40の一部を装着する。また、子シールド胴部40の周囲から水が機内に進入しないようにシール58を装着する。
【0037】
また、子シールド隔壁41に設けられた子シールドゲート部48に子スクリューコンベヤ49を連結して開放するとともに、反力受けブラケット62に仮シールドジャッキ64を取り付ける。ここでは、子スクリューコンベヤ49として親スクリューコンベヤ29を転用することも可能であり、コストの縮減を図ることができる。
【0038】
この状態で、子シールド掘削機12を親シールド掘削機11とを結合している固定装置65を取り外し、子シールド掘削機12を親シールド掘削機11から分離する。
【0039】
そして、仮シールドジャッキ64により押圧しつつ、子駆動部44及び子クランク機構45により子カッタヘッド43を平行リンク運動させて子シールド掘削機12を仮発進させる。
【0040】
次に、図5に示すように、仮シールドジャッキ64と子シールド掘削機12の押圧部12aとの間に仮支保工66を順次追加しつつ、徐々に子カッタヘッド43による掘進を続ける。
【0041】
このとき、親カッタヘッド23の掘進方向後方に配置されていた子カッタヘッド43は、掘進により親カッタヘッド23の凹部23aの略内側を通過して親カッタヘッド23の掘進方向前方に移動する。その際、親カッタヘッド23のオーバーカッタ32が所定の小断面掘削穴よりも広く拡開しているため、子カッタヘッド43が平行リンク運動しつつ親カッタヘッド23の凹部23aを通過しても、当接することはない。
【0042】
そして、図6に示すように、子シールド掘削機12により所定量掘進した段階で、子シールド胴部40の残部を装着し、仮シールドジャッキ64、反力受けブラケット62、仮支保工66を取り外し、子シールド胴部40に子シールドジャッキ69を固定する。更に、子シールドエレクタ72を装着し、子カッタヘッド43により掘削された小断面掘削穴の内壁面に子シールドセグメント71を順次設置する。
【0043】
なお、親シールド掘削機11と子シールドセグメント71との間の間隙に、止水を確実にするとともに接続をより強固なものとするための注入材を注入して固化させる。
【0044】
そして、子シールド掘削機12により掘進をつづけることにより、小断面掘削穴を掘削する。
【0045】
以上のようにして大断面掘削穴と小断面掘削穴とを掘削することができる親子シールド掘削装置10によれば、親シールド掘削機11が偏心多軸にて平行リンク運動する親カッタヘッド23を備えるとともに、子シールド掘削機12が親カッタヘッド23と掘進方向にずれた位置に配設された子カッタヘッド43を備えているので、親カッタヘッド23と子カッタヘッド43とをそれぞれ独立に駆動して平行リンク運動させることができる。従って、両カッタヘッド23,43の動作を同期させる必要がなくて、親シールド掘削機11及び子シールド掘削機12の構成を単純にすることができる。同時に、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程に切り替える際、親シールド掘削機11と子シールド掘削機12とが連結部材65等を外す等の簡単な操作だけで、親シールド掘削機11と子シールド掘削機12との結合状態を簡単に解除することができ、親シールド掘削機11からの子シールド掘削機12の分離が容易で作業効率を向上し易い。
【0046】
しかも、親カッタヘッド23による親掘削範囲26と子カッタヘッド43による子掘削範囲46とが、正面視において一部重なるように構成されているので、親掘削範囲26と子掘削範囲46との間に隙間を生じることがない。また、親掘削範囲26と子掘削範囲46とが一部重なるため、親掘削範囲26の周縁と子掘削範囲46の周縁とを交差させることができ、両掘削範囲26,46が隣接する場合に比べて、その部分に形成される凹凸を小さくすることができる。しかも、その重なり状態を調整すれば、両掘削範囲26,46の周縁の交差する角度を滑らかに調整することも可能である。そのため、親掘削範囲26の周縁と子掘削範囲46の周縁とが交差する部分の大断面掘削穴の内壁面に生じる凹凸を抑えることが可能である。
【0047】
また、親カッタヘッド23が正面視において凹部23aを有し、この凹部23aと子掘削範囲46とが重なるように子カッタヘッド43が配置されているので、親カッタヘッド23により形成される大断面掘削穴の周縁部分に小断面掘削穴を形成し易いと同時に、親カッタヘッド23と子カッタヘッド43により、凹凸の発生を抑えて、滑らかな円形断面の大断面掘削穴を形成することが可能である。
【0048】
さらに、親カッタヘッド23の凹部23aの側部であるオーバーカッタ32が、凹部23aを小断面掘削穴より広く拡開するように変位可能であるので、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程に切り替える際、親カッタヘッド23の掘進方向後方から前方へ小断面掘削穴の掘進のための子カッタヘッド43や子シールドセグメント71等の部材を通過させ易い。そのため、親掘削範囲26に対する子掘削範囲46の重なり部分をより多くすることができ、親掘削範囲26の縁部と子掘削範囲46の縁部とをより少ない凹凸で交差させることができ、大断面掘削穴の内壁面の凹凸をより抑えることができる。
【0049】
また、子カッタヘッド43が偏心多軸にて平行リンク運動するように構成されているので、子掘削範囲46に対する子カッタヘッド43の大きさを小さくすることができ、親カッタヘッド23の掘進方向後方から凹部23aを通して前方に子カッタヘッド43を通過させ易くすることができる。
【0050】
その場合、親カッタヘッド23と同様に子カッタヘッド43にオーバーカッタヘッドを組み込んでいる場合には、オーバーカッタヘッドを収縮させれば子カッタヘッド43の大きさをより小さくすることができ、子カッタヘッド43を親カッタヘッド23の掘進方向後方から前方により通過させ易くすることができる。
【0051】
なお、上記実施の形態では、大断面掘削穴の断面形状が円形を有するものについて説明したが、大断面掘削穴及び小断面掘削穴の正面視における形状は適宜選択することができ、種々の形状のカッタヘッドを用いることにより、そのカッタヘッドの平行リンク運動により得られる形成にすることができ、矩形や楕円形などの形状を適宜選択することが可能である。
【0052】
例えば、図8及び図9に示すように、大断面掘削穴及び小断面掘削穴を正面視において円形の一部が外側に突出した形状にすることができ、このような形状にすることにより、大断面掘削穴及び小断面掘削穴の内壁面の一部に凹み部75を設けることができ、この凹み部75と一定曲率の親シールドセグメント51及び子シールドセグメント71との間の一部に空間76を形成し、この部分に裏込め注入材を注入することにより、各シールドセグメント51,71の構造をより強固に連結することもできる。
【0053】
更に、例えば親カッタヘッド23を矩形とするとともに、凹み部75を矩形とし、子カッタヘッド43を矩形にすれば、矩形大断面形状の掘削穴を掘削することができるとともに、矩形の小断面掘削穴を掘削することが可能である。
【0054】
また、上記実施の形態では、親カッタヘッド23の掘進方向後方に子カッタヘッド43を配置した例について説明したが、親カッタヘッド23の掘進方向前方に子カッタヘッド43を配置することも可能である。その場合、親カッタヘッド23の凹部23aに子カッタヘッド43を配置するのが好ましく、更に、この凹部23aは上記実施の形態と同様に、小断面掘削穴より外側に拡開できるようにするのが好ましい。これにより、子シールドセグメント71を親カッタヘッド23の凹部23aを通過させて、小断面掘削穴に連続して配置することができるからである。
【0055】
さらに、上記では、親シールド掘削機11及び子シールド掘削機12を各一機用いたが、各掘削機11,12の数は限定されず、一方又は双方を複数機設けることも可能である。
【0056】
また、上記では、親シールド掘削機11の親カッタヘッド23と子シールド掘削機12の子カッタヘッド43とは、平行リンク運動する際、同一方向に回転駆動されるように構成したが、反対方向に回転駆動されてもよい。さらに、親カッタヘッド23の回転半径と子カッタヘッド43の回転半径とは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0057】
また、上記では、子シールド掘削機12を親シールド掘削機11の上端部に配置されているが、親シールド掘削機11に対する子シールド掘削機12の位置は適宜選択することができ、下端や左右端部であってもよい。さらに、中央部であってもよく、その場合であっても親掘削範囲26と子掘削範囲46との間に隙間が生じない効果が得られる。
【0058】
さらに、上記親子シールド掘削装置10では、羽切の安定方式として泥土圧式としたが、泥水式であってもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述の通り、この発明によれば、第1の掘削機及び第2の掘削機により大断面掘削穴を掘削でき、第1の掘削機から第2の掘削機を分離して掘進させることにより小断面掘削穴を掘削できるシールド掘削装置において、第1の掘削機が偏心多軸にて平行リンク運動する第1カッタヘッドを備えるとともに、第2の掘削機が第1カッタヘッドに対して掘進方向の前方又は後方にずれた位置に配設された第2カッタヘッドを備えているので、第1カッタヘッドと第2カッタヘッドとをそれぞれ独立に駆動することができ、両者を同期させる必要がないため、第1及び第2の掘削機の構成を単純にすることができるとともに、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程に切り替える際、第1の掘削機から第2の掘削機を分離し易く、作業効率を向上し易い。
【0060】
しかも、第1カッタヘッドによる第1掘削範囲と第2カッタヘッドによる第2掘削範囲とが、正面視において一部重なるように構成されているので、第1掘削範囲と第2掘削範囲の間に隙間が生じることがなく、また、第1掘削範囲の周縁と第2掘削範囲の周縁とが交差する部位では大断面掘削穴の内壁面に生じる凹凸抑えることができ、凹凸の少ない内壁面を形成しやすいシールド掘削装置を提供することができる。
【0061】
また、第1カッタヘッドは正面視において凹部を有し、この凹部に第2掘削範囲が重なるように第2カッタヘッドが配置されているので、第1カッタヘッド及び第2カッタヘッドにより円形断面や矩形断面を掘削でき、その際、内壁面に凹凸を形成しにくい。
【0062】
さらに、第1カッタヘッドの凹部の側部が、凹部を小断面掘削穴より広く拡開するように変位可能に構成されているので、大断面掘削穴の掘削工程から小断面掘削穴の掘削工程に切り替える際、第1カッタヘッドの掘進方向後方から前方へ小断面掘削穴の掘進のための部材を通過させ易く、第1掘削範囲に対する第2掘削範囲の重なり部部をより多くすることができ、第1掘削範囲の縁部と第2掘削範囲の縁部とをより凹凸が少なくなるように交差させることができ、大断面掘削穴の内壁面の凹凸をより抑えることができる。
【0063】
また、第2カッタヘッドが偏心多軸にて平行リンク運動するように構成されているので、第2掘削範囲に対する第2カッタヘッドの大きさを小さくすることができ、第2カッタヘッドにオーバーカッタヘッドを設けた場合には更に小さくすることができ、第1カッタヘッドの掘進方向後方から前方に第2カッタヘッドを通過させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態のシールド掘削装置の正面図である。
【図2】同実施の形態のシールド掘削装置の断面図である。
【図3】同実施の形態のシールド掘削装置の切替状態を示す正面図であり、凹部が拡開した状態を示す。
【図4】同実施の形態のシールド掘削装置の切替状態を示す断面図であり、子カッタヘッドの掘進開始状態を示す。
【図5】同実施の形態のシールド掘削装置の切替状態を示す断面図であり、子カッタヘッドが親カッタヘッドの掘進方向前方に移動した状態を示す。
【図6】同実施の形態のシールド掘削装置の切替状態を示す断面図であり、子シールド掘削機の組付けが完了した状態を示す。
【図7】同実施の形態のシールド掘削装置の切替状態を示す断面図であり、小断面掘削穴の通常の掘削状態を示す。
【図8】他の実施の形態のシールド掘削機の正面図である。
【図9】同実施の形態のシールド掘削機の断面図である。
【符号の説明】
10 親子シールド掘削機
11 親シールド掘削機(第1の掘削機)
12 子シールド掘削機(第2の掘削機)
20 親シールド胴部
23 親カッタヘッド(第1カッタヘッド)
23a 凹部
25 親クランク機構
26 親掘削範囲(第1掘削範囲)
31 カッタ本体
32 オーバーカッタ(側部)
40 子シールド胴部
43 子カッタヘッド(第2カッタヘッド)
45 子クランク機構
46 子掘削範囲(第2掘削範囲)
Claims (1)
- 第1の掘削機及び第2の掘削機により大断面掘削穴を掘削可能であるとともに、前記第1の掘削機と前記第2の掘削機はそれぞれ独立に駆動する駆動部を持ち、前記第1の掘削機から前記第2の掘削機を分離して掘進させることにより小断面掘削穴を掘削可能なシールド掘削装置であって、
前記第1の掘削機は偏心多軸にて平行リンク運動し、正面視において凹部を有する第1カッタヘッドを備え、
前記第1カッタヘッドの前記凹部の側部が、該凹部を前記小断面掘削穴より広く拡開するように変位可能に構成し、
前記第2の掘削機は前記第1カッタヘッドに対して掘進方向の前方又は後方にずれた位置に配設され、偏心多軸にて平行リンク運動するように構成された第2カッタヘッドを備え、
前記第1カッタヘッドによる第1掘削範囲と前記第2カッタヘッドによる第2掘削範囲とが、正面視において一部重なるように構成された
ことを特徴とするシールド掘削装置。
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