JPH0515879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はトンネル掘進機に関する。

［従来の技術とその問題点］ 通常のトンネル掘進機は周知の如く円筒状の胴
とその前端に設けた回転円形カツターとよりな
り、地中において該カツターを回転前進させて土
砂を切削し、該カツターにある開口部を通してカ
ツター後方のチヤンバー内に導入し、これをスク
リユーコンベアなどで排出するものがある。かか
るトンネル掘進機はカツターを一定方向に回転さ
せるため、掘削時にカツターが堅い岩板などに当
たると該カツターに過大の負荷が掛かり胴部のカ
ツター側が中央を基点として左右若しくは上下に
振る。このため、胴部がその方向に位置ずれを起
し、これに伴いカツターの位置、掘進方向が微妙
に狂い、そのまま掘進を継続すると所期の予定し
ていた掘進方向にずれを生ずるといつた欠点を有
していた。そこでこの種の推進方向の修正方法と
して、例えば伸縮作動する油圧ジヤツキをカツタ
ーの刃口や胴部の接続間に複数装設しておき、随
時必要な油圧ジヤツキを伸縮して胴部を偏向させ
正規のコースにのせる等の方法がある（特開昭60
−65894号）。ところがかかる方法によれば掘削位
置の精度をたえず監視することはもとより、精度
に異常が生じたときはトンネル掘進そのものを中
止し、油圧ジヤツキを改めて作動して修正を行な
わねばならず、大変手間のかかるものであつた。

またトンネルを掘削するとカツターの通つたあ
とに隙間が生じ、トンネル上方の地盤がゆるみ崩
落や地表沈下の危険が生ずる。このため従来のト
ンネル掘進機では例えば特開昭60−119896号で示
すように掘進後にトンネル内壁に垂直方向にグリ
ツパを押付けて地表を固め、さらに掘進を再開す
る、といつたようにやはり大変手間と時間がかか
るものであつた。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上記の問題点を解決してトンネル掘進
時に生ずる胴部の振れをなくし、胴部が無用に方
向を換え位置ずれを起すことを防止して安定した
直進進行を可能とし、正確且つ迅速なトンネル掘
進ができ、さらには地盤の崩落も予防し得るトン
ネル掘進機の提供を目的とするものであり、この
ためトンネル掘進機を円筒状の胴部の軸方向に複
数のキヤタピラを上下移動可能に設けて形成した
推進手段と、該キヤタピラの間に交互に軸方向に
移送コンベヤを設けて形成した移送手段と、該胴
部の前端部に回転自在に取付けた前側回転刃と、
該胴部の後端部に取付けられ前記前側回転刃と逆
方向に回転する後側回転刃とにより形成され、前
記キヤタピラはトンネル内壁を押圧しながら掘進
すると同時に、前記後側回転刃が前側回転刃と逆
回転して姿勢制御を行なうように構成した。

［作用］ 回転刃が土中を掘削するときキヤタピラは推進
作用を行なうと同時に上方に突出移動してトンネ
ル内壁を押圧する。このため胴部が安定し、ひい
てはトンネル掘進機自体の姿勢を制御し、さらに
は、地盤を固める。

また、後側回転刃は常に前側回転刃と逆方向に
回転するため前側回転刃の回転力による胴部のね
じれを吸収し、トンネル掘進機をたえず正しい掘
進方向に姿勢制御して掘削位置の精度を維持す
る。

［実施例］ 次に本発明に係るトンネル掘進機の一実施例を
図面と共に説明すると、 １は円筒状の胴部でありその外周には軸方向に
亘り推進手段たる８個のキヤタピラ２を右斜め下
方向に周設する。該キヤタピラ２の一方の車輪３
ａには一端をモータ４の回転軸５に係止したチエ
ン６が懸架してある。尚、４ａは予備のモータ、
６ａは他方の車輪３ｂとモータ４ａの回転軸５ａ
間に懸架したチエンである。また、キヤタピラ２
は幾分余裕をもつて張設してあり、キヤタピラ２
の中央に位置する車輪３ｂをエアシリンダ７によ
り上下動自在に支持された突出棒７ａに支承さ
せ、該車輪３ｂ部分を一定高さに押上げてキヤタ
ピラ２を上下移動自在となす。

８は各キヤタピラ２の間に交互に軸方向に亘り
周設した土砂移送手段たる８個のベルトコンベヤ
であり、該ベルト８上に土砂を掻き送るための爪
９を多数突設する。

１０は前側回転刃で、第２図で示すように断面
環状の短筒形状をなし、多数の外周刃１１の下端
に形成した各突起部１１ａを環状体１２外周の軸
方向に形成した嵌合溝１３に夫々嵌入すると共
に、その前面にも刃１４を多数配設し、該前面が
円錘状に突出するように形成する。

該回転刃１０内には回転刃１０を回動させる歯
車列１５が組み込まれ、１６はエアモータ１７の
駆動軸１７ａにより回転する駆動歯車、１８は中
間歯車、１９は前側回転刃１０内に周設した内歯
車である。２０は前記エアモータ１７の姿勢制御
用のシリンダであり、ロツド２１により該エアモ
ータ１７に連結する。２２は胴部１の前端部に一
端が固定され他端が前側回転刃１０内に固定され
たフレームで、円筒状に８個周設する。２３は該
フレーム２２先端部と回転刃１０の間に介在した
環状のベアリングであり、該ベアリング２３とフ
レーム２２の接触面２３ａはベアリング２３の回
転中心軸上の点Ｏを中心とする弧状の摺動面に形
成される。これにより回転刃１０は回転自在に胴
部１に結合されると共に、点Ｏを中心として上下
左右に揺動自在である。２４は中間歯車１８の軸
受でフレーム２２に固定されており、中間歯車１
８を自在継手１８ａにより支承するものである。
さらに２５はやはり胴部１の前端部に等間隔に周
設した８個の操舵用のエアシリンダであり、該シ
リンダ２５のロツド２５ａは前側回転刃１０に環
状に周設した支承板２６に伸縮自在に連接する。

尚、２７は前側回転刃１０中央部に突設する穿
岩機である。

かかる構造の前側回転刃１０はエアモータ１７
により回転する駆動歯車１６により中間歯車１８
及び内歯車１９を介して外周刃１１と前側の刃１
４が一体に回転し、掘削を行なう。さらに、前記
操舵用のエアシリンダ２５のロツド２５ａがその
伸縮により前側回転刃１０を点Ｏを中心とする弧
状面２３ａで摺動及び揺動させることにより左
右、上下、斜めへの方向変換を行なわせるもので
ある。

また２８は胴部１の後端部に回転自在に取付け
られた掘進機の姿勢制御用の後側回転刃であり、
前記前側回転刃１０と逆方向に回転する。その構
造及び胴部１への結合手段は前記前側回転刃１０
の場合と略々同一であるが前側の刃と穿岩機は当
面不要のため配設していない。

２９は後側回転刃２８の後端部に回転自在の継
手３２を介して設けたフツクであり、該フツク２
９をもつて両横にキヤタピラ３０を形成したベル
トコンベヤ３１を牽引する。

また、３３は前記キヤタピラ３０，３０の間に
配設した溝掘カツターであり、トンネル掘進の
際、掘進機下方の地面に排水溝（図示せず）を掘
削して行くものである。

このように構成したトンネル掘進機をキヤタピ
ラ２により推進させ、土中で前側回転刃１０を回
転させるとまず穿岩機２７が土中に孔をあけ、前
側の刃１４が前方を掘削し、外周刃１１が外周を
掘削する。そして掘削された土砂は前側回転刃１
０後部から胴部１側へ排出される。そして胴部１
のベルトコンベヤ８の回動により土砂はすべて後
方に移送されて、後側回転刃２８の外周刃１１を
経て、後端のベルトコンベヤ３１からトラツクの
荷台（図示せず）等に排出される。このとき胴部
１の横方向或いは下方向を向いたベルトコンベヤ
８は爪９がトンネルの内壁との間で土砂を掻き、
後方に移送する。

さらにトンネル掘進機の方向を変えるため前側
回転刃１０の方向を多様に変換するときは、前記
操舵用シリンダ２５のロツド２５ａを適度に伸長
させ、これと対応する他方のロツド２５ａを収縮
することで好みの方向に方向変換できる。

また、掘進最中に胴部１のキヤタピラ２はエア
シリンダ７の突出棒７ａにより上方に押し上げら
れトンネル内壁を押圧しながら推進する。このた
め胴部１は前側回転刃１０の掘削による反力に十
分対抗しつつ正しい方向を向いて進行する。また
これにより周囲のトンネル内壁を固めることもで
きるため地盤崩落の危険予防にもなる。

そして、後側回転刃２８は前側回転刃１０とは
逆方向に回転するので、前側回転刃１０が堅い岩
板などに当り大きい負荷が掛かり、胴部１の前側
が中央を基点として、左右・上下方向に振ろうと
しても、後側回転刃２８により胴部１の後側を逆
方向に振る力が働くので、振れが押さえられ位置
ずれが防止される。このため推進方向を歪めるこ
ともない。

さらに、キヤタピラ２は逆方向にも回動できる
ものであるため、後側回転刃２８を掘削用の刃と
して用い逆方向に進行させることもできる。

そしてトンネル掘進と同時に、溝掘カツター３
３が掘削する排水溝（図示せず）による湧出する
水を後方に排水できる。

また、図示しないが掘削したトンネル内周壁の
内側には、断面Ｔ字形で外形が略々1/4孤状の鋼
鉄製支持部材を左右一対として離脱可能に結合す
ることにより半円形状のアーチ型に形成した枠体
を、前記内周壁から一定の隙間をおき、かつ隣接
する枠体同士一定間隔を置いて立設する。そして
各半円形状の枠体とトンネル内周壁の隙間に羽目
板を挿し込み、該羽目板と内周壁との隙間及び地
表面に防水液を混入したコンクリートを打ち込ん
で土砂の崩落と出水を完全に防水するものとす
る。

尚、本発明のトンネル掘進機には図示しないが
受信装置を内蔵してリモートコントロールにより
操作できるものとしてもよく、作業性の一層の向
上を図り得る。

またレーザー発射装置を前側回転刃１０内に設
け（図示せず）、外周刃１１の刃先に形成した噴
射孔３４からレーザーを発射して固い岩石等を砕
き、掘削を容易とすることもできる。

［発明の効果］ 以上に実施例を通して述べた如く、本発明によ
れば掘削時による胴部の振れを押えて胴部の位置
ずれを防ぎ、常に安定した姿勢制御を行ないつつ
トンネルの掘削、推進を行ない、大量の土砂を同
時に排出するため、推進方向を正しく保ち、きわ
めて正確且つ迅速なトンネル掘削ができる。

また、掘進時にキヤタピラがトンネル内壁を押
圧して土砂の崩落を予防するため安全性にすぐれ
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例に係るものであり第１
図はトンネル掘進機の部分断面側面図、第２図は
その部分断面正面図、第３図は第１図のＡ−Ａ線
矢視図である。 １……胴部、２……キヤタピラ、８……ベルト
コンベヤ、１０……前側回転刃、２８……後側回
転刃。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円筒状の胴部の軸方向に複数のキヤタピラを
   上下移動可能に設けて形成した推進手段と、該キ
   ヤタピラの間に交互に軸方向に移送コンベヤを設
   けて形成した移送手段と、該胴部の前端部に回転
   自在に取付けた前側回転刃と、該胴部の後端部に
   取付けられ前記前側回転刃と逆方向に回転する後
   側回転刃とから形成され、前記キヤタピラはトン
   ネル内壁を押圧しながら掘進すると同時に、前記
   後側回転刃が前側回転刃と逆回転して姿勢制御を
   行なうように構成したことを特徴とするトンネル
   掘進機。