JP3809381B2 - リニアモータ、ステージ装置、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

リニアモータ、ステージ装置、露光装置及びデバイス製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータ、該リニアモータを適用したステージ装置及び露光装置、該露光装置を適用したデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、従来の一般的な可動磁石型のリニアモータの構造を概略的に示す断面図である。可動子1310は、界磁永久磁石1311と可動子ヨーク1312とを有する。可動子ヨーク1312は、永久磁石1311の背面に設けられており、界磁永久磁石1311が発生する磁束を通す機能の他、可動子1310全体を支持する機能を有する。永久磁石1311は、可動子1310の移動方向(紙面の左右方向)に並べられている。固定子1320は、櫛歯状の構造を有する積層鉄心からなる固定子ヨーク1321と、3相駆動するために固定子ヨーク1321の鉄心歯1322に対して1つおきに巻かれたコイル1323が配置されている。それぞれの鉄心歯1322はI字形状を有し、これらのI状の鉄心歯1322も可動子1310の移動方向に並んでいる。各鉄心歯1322は、長手方向が紙面に対して垂直な方向に伸びている。図示されていない配線によって随時給電されるコイル1323によって磁界が作られ、この磁界と永久磁石1311によって作られる磁界との相互作用によって移動力が発生する。図13では、固定子ヨーク1321を構成する積層鉄心は固定子取付台1324上に固定されている。
【0003】
次に、上記のリニアモータに適用される従来の冷却方式を図14〜図16を参照しながら説明する。コイル1323からの発熱によってコイル1323の温度が上昇し、温度がコイル1323の絶縁被覆の耐熱温度を超えると絶縁被覆が破壊される。これによってコイル1323がショートし破損する。冷却の第1の目的は、このようなコイルの破損を防ぐことにある。
【0004】
冷却の第2の目的は、高い精度が要求される半導体製造装置や工作機械等に適用されるリニアモータの温度環境をコントロールすることである。コイルがショートしない範囲での温度上昇であっても、コイルの温度上昇によって、その熱がリニアモータ全体の温度を上昇させる。さらに、リニアモータの温度上昇は、リニアモータを支持する構造体や移動テーブル等の温度上昇を招き、構造体や移動テーブル等を変形させてしまう。したがって、冷却によって温度環境をコントロールし、各種の部材の変形を防ぐ必要がある。
【0005】
特表平10-511837号公報に示されているように、図14の構成では、固定子1320側のI状の鉄心歯1322で構成された隙間(スロット)にコイル1323と冷却配管1401が配置されている。冷却配管1401は、銅やアルミニウムからなっている。コイル1323から発生した熱は、冷却配管1401に伝わり、その内部を流れる冷媒1402によって吸熱される。この際の冷却配管1401とコイル1323との間の熱伝達を高めて吸熱効果を高めるために不図示のシートで冷却配管1401とコイル1323とを熱的に連結している。
【0006】
ここで、冷却配管1401は導体であるために、鉄心歯1322で構成された隙間であるスロットの漏れ磁束によって渦電流が生じる。この渦電流によってリニアモータ特性が悪化する。そこで、スロットの奥(すなわち、固定子取付台側)に冷却配管が配置されている。
【0007】
特開平10-257750号公報に示されているように、図15に示す第2の従来技術では、固定子ヨーク(積層鉄心)1321やコイル1323の外側に冷却配管1401が配置されている。渦電流による性能低下を防ぐために、冷却配管1401は非磁性材で構成されている。コイル1323が発生する熱は、一部は冷却配管1401に直接伝わり吸熱される。また、一部は、固定子ヨーク(積層鉄心)1321に熱が伝わり、その熱が冷却配管1401に伝達して冷媒1402によって吸熱される。
【0008】
図16に示す第3の従来技術では、固定子取付台1324に冷却配管1401が配置されている。この場所は、漏れ磁束が発生する場所でなく、渦電流の心配がないので、導体の冷却配管1401が採用されうる。コイル1323が発生する熱は、コイル1323に接触している固定子ヨーク(積層鉄心)1321を経由して固定子取付台1324に達し、冷却配管1401内の冷媒1402によって吸熱される。この従来技術においても、効率良く熱が固定子ヨーク(積層鉄心)1321に伝わるように固定子ヨーク1321とコイル1323との間に不図示のシートやボビンが配置されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来例では、コイル1323の外周部を冷却する方式であり、コイル1323の温度分布(例えば、内部温度)に着目していない。リニアモータの使用の限界はコイル全体のうち最も高い温度になる部分の温度で決まるために、冷却配管に近い部分では巻き線の使用限界温度に達していなくても、コイル全体のうち最も温度が高い部分の温度が使用限界温度に達すると、そのリニアモータを使用することができない。
【0010】
まず、図14に示す方式は、コイル1323の下部しか冷却しない片側冷却である。上部(反対側)は空気があるので少しは冷却されるが、内部(特に冷却配管から遠い部分)の温度は外周よりも上昇してしまう。なお、先に述べたように渦電流の発生の問題があるので、上部には冷却配管を配置することができない。
【0011】
図15に示す方式では、非磁性の配管を固定子ヨーク(積層鉄心)1321やコイル1323の上部に配置して冷却しているが、これも片側冷却である。コイル1323の下部(反対側)はスロットの底であり、コイル1323が発生する熱は、固定子ヨーク(積層鉄心)1321に伝達され冷却される。しかし、やはりコイル内部の温度上昇してしまうという問題があった。また、この構成では、固定子ヨーク(積層鉄心)1321と可動子の永久磁石との間に冷却配管1401を配置しているために、冷却配管1401の厚み分だけ永久磁石を固定子ヨーク(積層鉄心)1321から離す必要がある。そのため、図14に比べて、磁束密度が高くならないので、同じ電流をコイル1323に流した時に発生する推力は小さい。同じ推力を得るために電流を増やすと、コイル1323の発熱量は電流の自乗に従って増加するので、効率が非常に悪い。磁束密度を上げるために永久磁石を厚くする手段もあるが、これでは可動子側の重量が重くなり、移動に必要な推力が増えてしまう。単純に永久磁石を厚くして推力定数を向上させても、可動子重量の増加率の方が多く、結果としてコイル1323の発熱の増加をもたらし、最適な構造とは言えない。
【0012】
図16に示す構成は、コイルの冷却の観点からみると、直接にコイル1323を冷却する方式ではないので、3種類の従来例中で最も冷却効率が悪い。固定子内を流れる冷媒で吸収できない熱は、リニアモータ周辺の空気に放熱される。また、一部の熱は、固定子を支持している定盤に流れ、定盤を変形させる。大気中では、この方式でも、効率は悪いが、どうにか冷却することが可能であった。しかしながら、近年要求されている真空環境で動作するEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光用照明光として使用するステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置に用いられるリニアモータは、周りの環境が真空であるために、空気によって放熱されることを期待できない。すべての熱は、冷却配管を通して吸熱されなければならない。しかし、固定子ヨークの1321の積層鋼板とコイル1323との間には隙間がある。真空環境では、この隙間は真空であり、熱的に断熱状態となる。さらに、固定子ヨーク(積層鉄心)1321と固定子取付台1324との間は、マクロ的にみると接触しているように見えるが、ミクロ的に見ると隙間がある。この隙間は真空環境では当然に真空になり、断熱状態となってしまう。このような環境では、コイル1323の熱はほとんど冷媒1402に流れない。すなわち、真空環境では、コイル1323は断熱状態に近い環境に置かれるので、コイル1323に電流を流すことは事実上困難であり、リニアモータとしてもはや機能しない。真空環境では、図14及び図15に示す構成においても、同様の問題点を抱えている。
【0013】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、リニアモータの冷却効率を高めることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、固定子及び可動子を有するリニアモータに係り、該リニアモータは、前記可動子の移動方向に配列された複数のコイルユニットと、冷媒を流す第1冷媒流路とを備えている。前記複数のコイルユニットは、それぞれ、前記可動子と前記固定子が対向する方向に分割された少なくとも2つの部分コイルを有し、前記1冷媒流路は、前記複数のコイルユニットをそれぞれ構成する前記少なくとも2つの部分コイルの間をそれぞれ通るように配置されている。
【0015】
本発明の第2の側面は、リニアモータに係り、該リニアモータが、複数の鉄心歯を有するヨークと、該鉄心歯に巻かれた複数のコイルユニットと、該複数のコイルユニットを冷却する冷媒を流すための第1冷媒流路とを備えている。前記複数のコイルユニットは、それぞれ、前記鉄心歯の深さ方向に分割された少なくとも2つの部分コイルを有し、前記部分コイルの間に前記第1冷媒流路が配置されている。
【0016】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記鉄心歯、前記部分コイル及び前記1冷媒流路の間の隙間に熱伝達物質(例えば、樹脂)が充填されていることが好ましい。
【0017】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記リニアモータは、前記ヨークを取り囲む壁を更に備え、前記壁は、前記熱伝達物質を硬化させる前に前記ヨークの外側に配置されて前記熱伝達物質を硬化させるための容器として利用可能な構造を有することが好ましい。
【0018】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記壁のうち少なくとも前記複数の鉄心歯の上部に配置される部分は、非磁性材料で構成されていることが好ましい。
【0019】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記リニアモータは、前記ヨークを支持する支持体と、前記支持体に設けられた、冷媒を流す第2の冷媒流路とを更に備えることが好ましい。ここで、前記リニアモータは、前記ヨークと前記支持体との間に第2熱伝達物質(例えば、樹脂)を更に備えることが好ましい。さらに、前記支持体は、前記ヨークと接触する複数の接触部を有し、前記第2の熱伝達物質は、前記複数の接触部の間に配置されていることが好ましい。
【0020】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路は、前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通るように配置されていることが好ましい。ここで、前記第1冷媒流路は、前記複数の鉄心歯の間をそれぞれ通る複数の直線部分と、前記複数の直線部分を結合して連続的な流路を形成するための複数のU字部分とを有し、前記複数のU字部分は左右交互に配置され、前記複数の直線部分と前記複数のU字部分とにより前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通る構造が構成されていることが好ましい。
【0021】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記複数のコイルの各引出し線が、1つの前記U字部分とその隣の前記U字部分との間から引出されていることが好ましい。さらに、前記複数のコイルの各引出し線が、前記ヨークの両側のうち一方の側から引出されていることが好ましい。
【0022】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通る構造は、第1端部及び第2端部を有し、前記第1冷媒流路は、前記第1端部に結合され前記第1端部から前記第2端部の方向に向かって伸びる第2直線部を更に備え、前記第2直線部は、前記ヨークの両側のうち他方の側に沿って配置されており、前記第1冷媒流路の入口及び出口は、前記ヨークの長手方向の両端部のうち一方の端部に配置されていることが好ましい。
【0023】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路の入口及び出口は、前記ヨークの長手方向の両端部のうち一方の端部に配置されていることが好ましい。
【0024】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路は、複数のブロックに分割されていることが好ましい。
【0025】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路は、前記複数の鉄心歯の間をそれぞれ通る複数の第1直線部分と、前記ヨークの両側のうち一方の側において前記複数の第1直接部分と連結された第2直線部分と、前記ヨークの両側のうち他方の側において前記複数の第1直接部分と連結された第3直線部分とを有することが好ましい。ここで、前記複数の第1直線部分は、前記第2直線部分及び前記第3直線部分よりも断面積が小さいことが好ましい。さらに、前記複数の第1直線部分の断面積の合計が、前記第2直線部分及び前記第3直線部分の各断面積と略等しいことが好ましい。
【0026】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路は、銅又はステンレスで形成されていることが好ましい。
【0027】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1冷媒流路は、銅又はステンレスで形成された管であり、前記第1冷媒流路のうち前記壁の外部に露出した部分は、電解研磨されていることが好ましい。
【0028】
本発明のリニアモータは、固定子と可動子を備え、前記固定子が前記複数のコイルユニット、前記ヨーク及び前記第1冷媒流路を含んで構成されている形式に適用することができる。
【0029】
また、本発明のリニアモータは、固定子と可動子を備え、前記可動子が前記複数のコイルユニット、前記ヨーク及び前記第1冷媒流路を含んで構成されている形式に適用することもできる。
【0030】
本発明の第の側面は、上記のリニアモータを適用したステージ装置に係り、該ステージ装置は、上記のリニアモータと、前記リニアモータによって駆動されるステージとを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の第の側面は、上記のステージ装置を適用した露光装置に係り、該露光装置は、原版ステージ及び基板ステージの少なくとも一方として前記ステージ装置を備えることを特徴とする。この露光装置は、例えば、走査型露光装置であってもよいし、ステップ・アンド・スキャン型露光装置であってもよいし、他の形式の露光装置であってもよい。
【0032】
本発明の第の側面は、上記の露光装置を適用したデバイス製造方法に係り、上記の露光装置により基板をパターンで露光する工程と、露光された基板を現像する工程とを含むことを特徴とする。
【0033】
本発明の第の側面も、デバイス製造方法に係り、上記の露光装置を含む複数の半導体製造装置を工場に設置する工程と、前記複数の半導体製造装置を用いて半導体デバイスを製造する工程とを含むことを特徴とする。
【0034】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記デバイス製造方法は、前記複数の半導体製造装置をローカルエリアネットワークで接続する工程と、前記ローカルエリアネットワークと前記工場外の外部ネットワークとを接続する工程と、前記ローカルエリアネットワーク及び前記外部ネットワークを利用して、前記外部ネットワーク上のデータベースから前記露光装置に関する情報を取得する工程と、取得した情報に基づいて前記露光装置を制御する工程とを更に含むことが好ましい。
【0035】
本発明の第の側面は、半導体製造工場に係り、該工場は、上記の露光装置を含む複数の半導体製造装置と、前記複数の半導体製造装置を接続するローカルエリアネットワークと、前記ローカルエリアネットワークと前記半導体製造工場外の外部ネットワークとを接続するゲートウェイとを備えることを特徴とする。
【0036】
本発明の第の側面は、露光装置の保守方法に係り、上記の露光装置が設置された工場外の外部ネットワーク上に、該露光装置の保守に関する情報を蓄積するデータベースを準備する工程と、前記工場内のローカルエリアネットワークに前記露光装置を接続する工程と、前記外部ネットワーク及び前記ローカルエリアネットワークを利用して、前記データベースに蓄積された情報に基づいて前記露光装置を保守する工程とを含むことを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明のリニアモータは、例えば、半導体デバイスや液晶表示デバイス等のデバイスの製造等に使用される露光装置、精密加工装置、精密測定装置におけるアクチュエータとして好適である。露光装置について言えば、本発明のリニアモータは、走査型露光装置、ステップ・アンド・リピート型露光装置、ステップ・アンド・リピート型のスキャン露光装置のいずれにも適用することができる。
【0038】
また、本発明のリニアモータにおけるコイルユニットの分割構造は、例えば、可動磁石型及び可動コイル型のいずれにも適している。すなわち、本発明のリニアモータは、固定子の各コイルユニットを複数の部分コイルに分割して、分割された部分コイルの間に冷媒流路(例えば、冷却配管)を配置する構成にも適しているし、可動子の各コイルユニットを複数の部分コイルに分割して、分割された部分コイルの間に冷媒流路(例えば、冷却配管)を配置する構成にも適している。
【0039】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0040】
図1は、本発明の好適な実施の形態としての可動磁石型リニアモータの構造を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すリニアモータの固定子150側の概観を示す斜視図である。図1に示す可動子100は、界磁永久磁石102と、可動子ヨーク101とを有する。永久磁石102は、高い剛性を有する材質で構成されており、可動子100の移動方向(すなわち、y方向)に並べられている。可動子ヨーク101の材質は、例えば鉄やケイ素鋼などである。可動子ヨーク101は、永久磁石102が発生する磁束を通す機能の他、永久磁石102を支持する機能を有する。
【0041】
このリニアモータを例えばステージ装置に組み込む場合は、可動部の質量を小さくし、剛性を向上させるために、可動子ヨーク101の背面をセラミック部材で支持することが好ましい。可動子ヨーク101自体の厚みは、磁路を形成するために最低限必要な厚みを確保すればよい。
【0042】
固定子150は、可動子100の移動方向に沿ってコイルユニット160のコアとなる複数の突部を備えた固定子ヨーク151を有する。固定子ヨーク151の該突部は櫛歯形状を有する積層鉄心で構成されている。3相駆動するために、固定子ヨーク151の鉄心歯151Tとなる突状部材(以降は「鉄心歯」と記載する)に対して1つおきに上下一対の部分コイル161、162で構成されるコイルユニット160が保持され、または取り付けられ、または固定され、または巻かれている(以降は「巻かれている」と記載する)。隣り合う鉄心歯151の間のスロットは、その長手方向が図1において紙面に垂直(x方向)に伸びている。各コイルユニット160は、コイル引出し線183を通して随時給電され磁界を作る。コイル160によって作られる磁界と永久磁石102によって作られ磁界との相互作用によって可動子100を駆動するための駆動力が発生する。
【0043】
コイルユニット160は、上部側の部分コイル(以下、上部コイルともいう)161と下部側の部分コイル(以下、下部コイルともいう)162とに分割されている。上部コイル161と下部コイル162は、2連コイルになっていて、連続して巻き線が施されている。すなわち、下部コイル162の巻き終わり部分の導線が上部コイル161の巻き始め部分の導線に繋がっている。両部分コイル161、162の巻き方向は同じである。上部コイル161と下部コイル162との間には、第1冷却配管(冷媒流路)153が配置されている。第1冷却配管153の材質は、外部から内部への熱伝達の効率を高めるために、熱伝導率の良いものが良い材料、例えば銅又はステンレスが好ましい。冷媒154は、比熱が大きく、粘度が小さく、不活性の物質が好ましく、例えば、通常の冷凍機に用いられている冷媒や、脱気された純水などを採用することができる。
【0044】
図14及び図15に示す従来例では、冷却配管がコイルの片側にのみ配置されているため、冷却配管の反対側の部分(特に真空環境下において)やコイル内部(特に大気環境下において)の温度が上昇してしまう。
【0045】
これに対して、本発明の好適な実施の形態では、コイルユニット160を二つに分割しそれらの間に第1冷却配管153を配置することによって、従来のリニアモータを大気環境下において使用した場合に温度が上昇し易い部分であるコイル内部や、従来のリニアモータを真空環境下において使用した場合に温度が上昇し易い部分(例えば、下部に冷却配管を配置した場合にはコイルの上部)を効果的に冷却することができる。
【0046】
すなわち、コイルユニットを複数の部分コイルに分割し、分割された部分コイルの間に冷却配管を配置することにより、コイルユニット全体を効果的に冷却することができる。
【0047】
また、従来は、冷却配管1401の片側面(図14では、冷却配管1401の下面)が固定子ヨーク1321を構成する積層鋼板(積層鉄心)側であり、冷却配管の片側面ではコイルを直接冷却することができない。すなわち、従来は、冷却配管1401の片側面は、コイル1401から積層鉄心に伝達された熱を間接的吸収するだけであるので、冷却効率が悪かった。
【0048】
一方、本発明の好適な実施の形態によれば、冷却配管153の上下が部分コイル161、162に対面しているので、冷却配管153はその上下において部分コイル161、162から直接吸熱することができ、部分コイル161、162から効率的に吸熱することができる。
【0049】
冷却配管153は、熱伝導率の観点では導体で構成されることが好ましいが、導体を使用した場合、隣り合う鉄心歯132の隙間であるスロットに漏れ磁束があると、渦電流が生じる。しかし、この実施の形態の配置は、スロットの中央部に冷却配管153を配置しているので、このような渦電流の影響は実用上問題にならない程度にまで軽減される。すなわち、この実施の形態のリニアモータは、冷却効率の向上と漏電流の影響の低減とを両立させた構成となっている。
【0050】
ここで、図1に示す例では、コイルユニット160が2段に分割されているが、例えば、3連コイルとそれらの間に配置された2本の冷却配管を用いて3段に分割しても良い。なお、分割数をそれ以上にすることも勿論可能であるが、その場合、冷却配管が占める長さ分だけ鉄心歯は長くなる。したがって、固定子の剛性が低下し、また、リニアモータ全体の高さも高くなる。分割数は、リニアモータが適用されるステージ装置全体において要求される仕様に応じて決定されるべきであろう。
【0051】
コイルユニット160が発生する熱を効率良く冷却配管153に伝熱させるために、コイルユニット160を構成する部分コイル161、162と冷却配管153との隙間に樹脂103を充填することが好ましい。樹脂103は、各コイル161、162を構成するワイヤーとワイヤーの間も含めて完全に隙間なく充填することが好ましい。完全な充填を実現するためには、例えば、樹脂103を硬化させる前に十分に脱泡させることが好ましい。もし十分に脱泡をしないで樹脂103中に空気を残すと、その部分が熱的には断熱材として作用するので、伝熱効率が落ち、これにより冷却効率が落ちる。また、樹脂103は、隙間なく充填するためには、硬化前は低粘度であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、エポキシ系やアクリル系の接着剤が好適である。樹脂として接着剤を使うことによって、隙間の充填とともにコイル160や冷却配管153を固定することができる。
【0052】
樹脂103の充填は、コイル161、162及び冷却配管153を固定子ヨーク(積層鉄心)151に組み込んだ後に行ってもよいが、コイル161、162の内部の隙間への樹脂の充填は、コイル単体の状態で真空含浸により行ってもよい。
【0053】
樹脂103を充填する時には、樹脂を硬化させるための容器(例えば金型)が必要である。通常は、樹脂の硬化後にこの容器は取り除かれる。しかし、真空環境下やHeなのどの減圧雰囲気で使用する場合では、樹脂103からの脱ガスが問題となる。そこで、樹脂103と外部環境との間に隔壁152を設けることが好ましい。この隔壁152は、樹脂103を硬化させる際に使用すべき容器としても機能する。図1に示す例では、固定子ヨーク(積層鉄心)151の上部に、このような隔壁の一部としての非磁性隔壁152が配置されている。図2に示すように、固定子ヨーク(積層鉄心)151の側部には、固定子ヨーク(積層鉄心)151、コイル160、冷却配管153を完全に包むように隔壁180が配置されている。冷却配管153が部分的に隔壁180の外部に露出する場合には、その部分を電解研磨することが好ましい。
【0054】
側部の隔壁180の材質は、真空環境下やHeなのどの減圧雰囲気において脱ガスの小さい材料、例えば、セラミック、銅、ステンレス、アルミニウム等が好適である。だたし、固定子ヨーク(積層鉄心)151の面、すなわち界磁永久磁石102と対面する面に設けられる隔壁152については、隔壁の材料として磁性体を採用すると渦電流を発生し性能を低下させるので、非磁性材料、例えばセラミックで構成すべきである。
【0055】
非磁性隔壁152は、リニアモータの効率を考えると、図15に示す従来例のような厚いものとすることは好ましくなく、1mm以下の厚さであることが好ましい。ここで、セラミックの1mm厚薄板は高価なので、セラミック薄板の代わりに、脱ガスの比較的小さいテフロン(登録商標)やPEEKなどの樹脂板を用いてもよい。
【0056】
コイルユニット160は鉄心歯151Tに巻き付けられているので、コイルユニット160が発生する熱の全てが第1冷却配管153に伝達するわけではなく、一部の熱は固定子ヨーク(積層鉄心)151に伝達される。これにより固定子ヨーク(積層鉄心)151の温度が上昇してしまう。そこで、固定子ヨーク(積層鉄心)151の冷却も行うことが好ましい。固定子ヨーク151の冷却は、例えば、固定子ヨーク151を固定するための固定子取付台170を冷却することによって行うことができる。この実施の形態では、固定子取付台170を冷却しこれにより固定子ヨーク151を冷却するために、固定子取付台170中に第2冷却配管171が配置されている。
【0057】
ここで、固定子ヨーク(積層鉄心)151を直接冷却することもできるが、上記のように固定子取付台170を介して固定子ヨーク151を冷却することが好ましい。これは、積層鉄心内に穴を開け、その穴に冷媒を流すと、積層した鋼板の間を通って外部に冷媒が漏れるからである。このような漏れを防止するために、積層鉄心内に冷却配管を通す方法もあるが、このような方法では、積層鉄心内に冷却配管を通した後に紙面の上下でその配管を冷媒供給配管と接続する作業が必要になる。このような作業は効率が悪く、信頼性も低い。
【0058】
固定子ヨーク(積層鉄心)151と固定子取付台170との間は、マクロ的にみると接触しているように見えるが、ミクロ的にみると隙間が生じうる。この隙間は熱抵抗となる。先に述べたように、真空環境下やHeなのどの減圧雰囲気では、このような隙間部分には空気がないので断熱状態となってしまう。そこで、コイル160が発生する熱を第1冷却配管153に効率良く伝熱するために樹脂103を使ったのと同様に、固定子ヨーク(積層鉄心)151と固定子取付台170との間に樹脂層173を設けることが好ましい。
【0059】
この樹脂層173は、固定子ヨーク(積層鉄心)151の下面全面に設けてもよいが、固定子ヨーク(積層鉄心)151と可動子100の界磁永久磁石102とのギャップを管理するために、図1に示すように、固定子取付台170の上部に、樹脂層173を配置するための溝170Aと接触部170Bとを設け、接触部170Bにより固定子ヨーク(積層鋼板)151と固定子取付台170との接触面の高さを管理する構成がより好ましい。樹脂層173や第2冷却配管171中に流す冷媒172の構成物質としては、例えば、第1冷却配管153についての樹脂103や冷媒154と同様の物質を採用することができる。
【0060】
第2冷却配管171の構成例を図5を参照して説明する。固定子取付台170に第2冷却配管171を設けるために、この実施の形態では、固定子取付台170を上部固定子取付台170aと下部固定子取付台170bとに分割する。図5では、上部固定子取付台170aは、y軸を中心として180度回転させて示されている。すなわち、y軸を中心として上部固定子取付台170aをさらに180度回転させて下部固定子取付台170bに重ねることにより、固定子取付台170が構成される。
【0061】
上部固定子取付台170aには第2冷却配管171(第2冷却配管溝171a)を設け、下部固定子取付台170bには冷媒が外部に漏れることを防止するためのシール部材(例えばOリング)を配置する。
【0062】
シール部材(Oリング)は、図5(b)には図示されていないが、実際にはシール溝171dに取り付られる。シール溝171dは、第2配管171を構成する第2冷却配管溝171cの経路を囲むように配置されている。シール溝171dは、上部固定子取付台170a側に設けてもよいが、この場合は、第2冷却配管入口171a及び第2配管出口171bの経路とシール溝の経路とが干渉しないようにする必要があるので、上部固定子取付台170aの厚みを厚くする必要がある。したがって、シール溝171は、下部固定子取付台171d側に設けた方がよい。
【0063】
図5に示す構成例では、第2冷却配管溝171cは、蛇行して配置されているが、このような構成に代えて、例えば、直線状の複数の配管(溝)を並べてもよいし、詳細な構成例を後述する第1冷却配管153と同様の構成としてもよいし、他の適切な構成を採用することもできる。
【0064】
次に、図2を参照しながらリニアモータの固定子側の外部構成の一例を説明する。先述のように、リニアモータの固定子150は、樹脂103を硬化させる際の容器としての機能と脱ガスを防ぐ機能とを兼ね備えた隔壁152、180によって包まれている。固定子150の側部を構成する4枚の隔壁180及び上部を構成する1枚の隔壁152は、内部から樹脂103が露出しないように内部を密閉している。可動子100の永久磁石102と対向する面の隔壁152は、前述のように、典型的には非磁性材料で構成される。ここで、可動子100の永久磁石102から少なくとも10mm(xy面方向における距離)以内の部分は、隔壁152を非磁性材料で構成すべきである。したがって、非磁性隔壁152のx方向の幅と可動子100の永久磁石102のx方向の幅とがほぼ等しい場合は、固定子150の側部を構成する隔壁80についても非磁性材料で構成すべきである。
【0065】
図2において、固定子150の両端から、第1冷却配管153と第2冷却配管171のポート(入口、出口)が見える。各冷却配管において、2つのポートのうち一方が冷媒を供給するための入口(インレット)であり、他方が冷媒を排出するための出口(アウトレット)である。
【0066】
固定子100のyz面からは、コイル160の引出し線が出ている。この引出し線は、不図示のモータドライバに接続される。この実施の形態を3相式のリニアモータに適用した場合は、一つのコイル160は、不図示のモータドライバのU、V、Wの3相の駆動線のうち該当する駆動線に接続される。そして、次(隣り)のコイル160が次の別の相の駆動線に接続される。このようにして、可動子100の移動方向(すなわち、y方向)に配列された複数のコイル160は、U、V、Wの3相の駆動線のうち該当する駆動線に接続される。
【0067】
図3には、図2に示す固定子150から隔壁の一部と充填樹脂103を取り除いた状態が示されている。コイル160を構成する上部コイル161と下部コイル162は、図1にも示されているように、第1冷却配管153を上下から挟むように配置されている。1つおきにコイルユニット160(161、162)が巻き付けられているI状の鉄心歯151Tは、可動子100の移動方向(すなわち、y方向)に複数配列されている。この実施の形態では、鉄心歯151Tに対して1つおきにコイルユニット160が巻かれているが、これに代えて、全ての鉄心歯にコイルユニットを巻く構成を採用することもできる。しかしながら、同一推力を発生するための電流を低減し、更にこれにより発熱を低減するためには、各スロット内に配置するコイルの巻き数を多くする必要がある。ここで、同一スロット内において可動子100の移動方向に2つのコイルを配置すると、組立ての際にコイルユニットとコイルユニットの間には隙間が必要であるので、1相当たりの巻き数が減ってしまう。したがって、図3に示すような配置の方が熱的に優れている。
【0068】
なお、可動子100の永久磁石102の極とコイルユニット160の相との関係は、この実施の形態に限定されず、極と相との比率が異なる実施形式においても同様の冷却方式を採用することができる。また、鉄心歯の形状は、I型に限定されず、例えばT型であっても良い。
【0069】
固定子取付台170(170a、170b)、固定子ヨーク(積層鉄心)151、可動子100の永久磁石102の間におけるxy平面方向の位置関係を所定の精度内に収めるために、この実施の形態では、固定子取付台170と固定子ヨーク(積層鉄心)151との位置を決める位置決めブロック151Pが設けられている。通常は位置決めには平行ピンを用いるが、この実施の形態の位置決めブロック151Pは、隔壁を固定する取付部を兼ねており、そのためにブロック形状を有する。
【0070】
次に、図4を参照しながら説明を続ける。図4は、図3に示すリニアモータの固定子から隔壁180と上部コイル161を取り除いた図である。なお、図4には、第1冷却配管153を引出した想像図も示されている。
【0071】
第1冷却配管153は、各スロットを通る直線状の配管(直線部分)をU字状の配管(U字部分)で連結した構造、すなわち、全体として蛇行した構造を有する。この実施の形態では、矢印Aで示される場所、すなわち、U字配管と次のU字配管との間の場所(U字配管がない場所)からコイル160(161、162)の引出し線183が配置されている。すなわち、この実施の形態の固定子は、コイル配線(コイルの引出し線183)と冷却配管153とが干渉しない構成を有する。また、上部コイル161と下部コイル162とを繋ぐ導線もこの部分を通る。このような構成によれば、コイル配線が冷却配管153を跨ぐことがないので、コイル配線と冷却配管153との間で短絡が起こる可能性がなくなる。一方、従来は、冷却配管を組み付けた後に絶縁シートを貼付けることによりコイル配線と冷却配管とを絶縁していたので、作業性が悪かった。この実施の形態によれば、短絡防止のための絶縁シートの取付け作業が不要となり、単純な構成と作業コストの低減を実現することができる。
【0072】
次に上記の実施の形態の変形例として、冷却配管の他の構成例について説明する。図6に示す構成例では、冷媒を供給する冷却配管入口153aと冷媒を回収する冷却配管出口153bとを、可動子の移動方向における2つの端部のうち同じ端部に配置している。入口と出口を同一の端部に設けることにより、実装配管構成を単純にすることができる。すなわち、図6に示す配管構成を採用したリニアモータを図11に示すようなステージ装置に適用した場合、各リニアモータから出る冷却配管を2つの隅に集中させることができる。更に、最終的にチャンバから外に配管を出すまでの配管も2ヶ所に集中させることができ、単純な構成によって信頼性も向上する効果がある。
【0073】
上記のような利点を有する反面、図6に示す配管構成は、1つの連続する配管(直列に接続された配管)で冷却配管を構成しているために配管抵抗が大きい。そこで、図7や図8に示すように冷却配管を2分割や4分割するなど、冷却配管を複数ブロックに分割してもよい。すなわち、図7や図8に示す例では、直列接続された配管のブロックを並列に接続している。このように冷却配管を分割することによって、1ブロックの配管におけるU字状配管の数が減るので、配管抵抗を小さくすることができる。また、U字状配管と固定子ヨーク(積層鉄心)の鉄心歯のピッチ(スロットのピッチ)は一致していなければならない。連続した配管(直列接続された配管)におけるU字状配管の数の増加に伴って累積誤差が増加し配管がスロットに入らなくなることを防止するために、図6に示す配管構成では、U字状配管を高精度に作成するか配管径を小さくする必要がある。一方、冷却配管を分割することにより、1つのブロックにおける累積誤差を小さくすることができるので、U字状配管に要求される加工精度を低くすること、又は、配管径を大きくすることができ、より効率の良い冷却が可能である。
【0074】
更に他の構成例として、図9に示すように完全な並列配管もある。図9に示す配管構成では、冷却配管153は、固定子ヨーク(積層鉄心)151の鉄心歯151T間(すなわち、スロット)を通るサブ冷却配管153sと、固定子ヨーク151の両側に配置され2つのメイン冷却配管153mとで構成されている。一方のメイン冷却配管153mには、冷媒の供給用の入口153iが設けられており、他方のメイン冷却配管153mには、冷媒の回収用の出口153oが設けられている。冷却配管153は、メイン冷却配管153mとサブ冷却配管153sによって梯子状に形成されている。ここで、サブ冷却配管153sの1本の内部断面積がメイン冷却配管153mの内部断面積よりも小さい構成になっている。サブ冷却配管153sの内部断面積の総和がメイン冷却配管153mの内部断面積に近い方ほど冷却効率が良い。
【0075】
メイン冷却配管153の入口153iと出口153oは、図6に関連して説明したように同一方向であるの方が実装上好ましい。その場合は、図10に示すような構成とすればよい。すなわち、メイン冷却配管153mの出口153oを図9の構成例における配置位置と反対側の位置に配置すればよい。このように出口153o(又は入口153i)の位置を図9の構成例に対して逆にしても冷却効率に差は殆どない。固定子150の全体において均一な冷却効果を得るためには、複数のサブ冷却配管153sの配管径を同一にすることが好ましい。半導体製造装置のステージ装置に適用されるリニアモータは小型化が要求されており、したがって、スロット幅を縮小する必要がある。その細いスロット幅に通す配管に差をつけるということは、細い配管をさらに細くすることであり、全体的な冷却効率の低下をもたらす。仮に駆動パターンに応じて集中的に使用が予定される部分があるとしても、全てのサブ冷却配管の径を同一にすることが好ましい。
【0076】
サブ冷却配管153sとメイン冷却配管153mとは、例えば溶接で接続される。配管は、断面が円形のパイプであってもよいし、矩形のパイプであってもよいし、他の形状を有するパイプであってもよい。
【0077】
次に、本発明のリニアモータを露光装置用のデバイス製造装置のステージ装置に適用した例を説明する。図12は、本発明のリニアモータを適用した装置の一例としての露光装置の概略構成を示す図である。図12に示す露光装置では、マスク(原版)1201に形成されたパターンを投影光学系1204を介してウエハ1205上に転写する。この露光装置は、反射型マスク1201と、反射光学系によって構成された投影光学系1204と、マスク1201を保持するマスクステージ1202と、ウエハ(基板)1205を保持するウエハステージ1206とを具備し、5〜15nm(軟X線領域)に発振スペクトルを有するEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光用照明光として使用するステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置である。
【0078】
この露光装置には、上記のようにウエハを移動させるウエハステージ1206とマスクを移動させるマスクステージ1202が備えられており、これらのステージの少なくとも一方に本発明のリニアモータを適用することができる。この露光装置に適用されるリニアモータは、高い真空度を維持できるように、ハイドロカーボン等の脱ガスの発生ない構成を有し、EUV露光によって発生しうるミラー面のくもりを最小限に抑えることができる。また、このリニアモータは、上記のような分割された部分コイルの間に冷却配管を配置した構成により温度上昇を最小限に抑えることができるので、高い位置決め精度維持しながら大推力を発生させることができる。これらによって高い生産性が得られる。
【0079】
具体的な例として、図12に示すウエハステージ1206に本発明のリニアモータを適用した例を説明する。Xリニアモータ1101X及びYリニアモータ1101Yの固定子は、実際には図2に示すように隔壁180によって密閉されているが、図11では、理解を深めるためにコイルや固定子ヨーク(積層鉄心)が見える状態にしてある。また、図12に示す例では、各リニアモータは、上下に対向配置された一対の固定子の間に可動子が配置されている。作図上の便宜のために図11では第1冷却配管は省略されているが、実際には図1や図3に示すように、リニアモータの各コイルユニットは上下に分割され、その間に第1冷却配管が配置されている。
【0080】
図11において、微動ステージ1107は、例えばSiCのコンポジット材やアルナセラミックス等からなる中空天板を具備している。中空天板の上面には、不図示の感光基板であるウエハを搭載するためにウェハチャックが設けられており、不図示のバキュームエアーやメカニカルクランプによって天板に固定されている。ウエハも、バキュームエアーや静電気力によってチャック上にクランプされている。さらに、ウエハの相対位置を計測するために、不図示のミラーや干渉計が備えられている。このミラーは、ウエハの位置を6自由度で計測するために複数存在する。
【0081】
天板の下面には、6自由度でウエハを所定の位置に移動させるために電磁力を使ったアクチュエータと天板を下方から支持する機構を具備している。電磁力を使ったアクチュエータは6自由度を制御するためのローレンツ力アクチエータである微動リニアモータである。
【0082】
前記アクチュエータは、精密にウエハを駆動することができるが、短ストロークである。そこで、微動ステージ1107は、長ストローク移動が可能なXYスライダ1103上に搭載されており、これによりウエハの全面を露光できるようにウエハを移動させることができる。この長ストロークに移動させるためのアクチュエータとして本発明の冷却方式が適用されたリニアモータ1101X、1101Yが搭載されている。
【0083】
XYスライダ1103は、十字状に交差するXスライダ1104とYスライダ1103とによってXY方向に駆動される。
【0084】
Xスライダ1104の両足部分には、Xスライダ1104の自重を支持するための静圧軸受(底)が設けられており、この静圧軸受にエアーや窒素やヘリウム等の気体を給気することによりXスライダ1104をステージ定盤1105上に浮上させることができる。この静圧軸受は、真空中で使用できるように、エアーや窒素やヘリウム等の気体が漏れないように回収機能を有した真空対応静圧軸受である。Yスライダの両足部分も同様になっている。これによって、Xスライダ1104及びYスライダ1102がステージ定盤1105の上面上で移動することができる。Xスライダ1104の駆動力は、Xスライダ1104の両側に配置された2つのXリニアモータ1101Xによって発生される。Xリニアモータ1101Xの可動磁石は、可動側すなわちXスライダ1104に固定されている。Xリニアモータ1101Xの可動磁石を挟むように各Xリニアモータ1101Xは上下一対の固定子を有する。固定子には、前述のように部分コイルに分割されたコイルユニットや積層鉄心が具備されている。この固定子は、ステージ定盤1105に固定されている。ただし、固定子をステージ定盤1105に固定しないで、固定子の足底を真空対応静圧軸受で受けても良い。このようにすると、微動ステージ1107とXYスライダ1103とXスライダ1104の合計質量とリニアモータ1101の固定子部分の質量との比に従ってリニアモータの固定子が移動する。すなわち、微動ステージ1107とXYスライダ1103とXスライダ11ー4を移動させたときの反力をリニアモータ1101Xの固定子で吸収することができる。Yスライダも同様の構成となっている。
【0085】
XYスライダ1103のブリッジ部分に対して、水平方向の駆動力を伝達するために、XYステージ1103は、Xスライダ1104及びYスライダ1102に対して静圧軸受を介して、スライド可能に連結されている。X、Yリニアモータ1101X、1101Yが発生する推力は、この静圧軸受を介して、XYスライダ1103に伝達され、これにより微動ステージ1107、更にはその上のウエハが目標位置に駆動される。
【0086】
このような粗・微動構成のステージに適用することによって、微動ステージ1107による精度の高い微動制御が可能になる他、熱対策や真空等の環境対策が施された粗動リニアモータ1101X、1101Yによって大推力を得ることができ、高い生産性を得ることが可能となった。
【0087】
上記の実施の形態は、本発明を3相駆動の可動磁石型のリニアモータ適用した例であるが、本発明はこのような構成に限定されず、2相駆動や可動コイル型のリニアモータにも適用することができる。すなわち、本発明の冷却方式は、コイルユニットを収容するスロットを有するあらゆるリニアモータに適用することができる。
【0088】
また、本発明は、真空環境下やHeなのどの減圧雰囲気の他、通常の大気中での使用にも適用することができる。
【0089】
次に、上記の露光装置を用いたデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の生産システムの例を説明する。これはデバイス製造工場に設置された製造装置のトラブル対応や定期メンテナンス、あるいはソフトウェア提供などの保守サービスを、製造工場外のコンピュータネットワークを利用して行うものである。
【0090】
図17は、全体システムをある側面から捕らえて表現したものである。図中、1010はデバイスの製造装置を提供するベンダー(装置供給メーカー)の事業所である。製造装置の実例として、半導体製造工場で使用する各種プロセス用の半導体製造装置、例えば、前工程用機器(露光装置を含む)、レジスト処理装置、エッチング装置等のリソグラフィ装置、熱処理装置、成膜装置、平坦化装置等)や後工程用機器(組立て装置、検査装置等)を想定している。事業所101内には、製造装置の保守データベースを提供するホスト管理システム1080、複数の操作端末コンピュータ1100、これらを結んでイントラネットを構築するローカルエリアネットワーク(LAN)1090を備える。ホスト管理システム1080は、LAN1090を事業所の外部ネットワークであるインターネット1050に接続するためのゲートウェイと、外部からのアクセスを制限するセキュリティ機能を備える。
【0091】
一方、1020〜1040は、製造装置のユーザーとしての半導体製造メーカーの製造工場である。製造工場1020〜1040は、互いに異なるメーカーに属する工場であっても良いし、同一のメーカーに属する工場(例えば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良い。各工場1020〜1040内には、夫々、複数の製造装置1060と、それらを結んでイントラネットを構築するローカルエリアネットワーク(LAN)1110と、各製造装置1060の稼動状況を監視する監視装置としてホスト管理システム1070とが設けられている。各工場1020〜1040に設けられたホスト管理システム1070は、各工場内のLAN1110を工場の外部ネットワークであるインターネット1050に接続するためのゲートウェイを備える。これにより各工場のLAN1110からインターネット1050を介してベンダー1010側のホスト管理システム1080にアクセスが可能となる。ここで、典型的には、ホスト管理システム1080のセキュリティ機能によって、限られたユーザーだけがホスト管理システム1080に対するアクセスが許可される。
【0092】
このシステムでは、インターネット1050を介して、各製造装置1060の稼動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生した製造装置の症状)を工場側からベンダー側に通知し、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに対する対処方法を指示する情報、対処用のソフトウェアやデータ)や、最新のソフトウェア、ヘルプ情報などの保守情報をベンダー側から工場側に送信することができる。各工場1020〜1040とベンダー1010との間のデータ通信および各工場内のLAN1110でのデータ通信には、典型的には、インターネットで一般的に使用されている通信プロトコル(TCP/IP)が使用される。なお、工場外の外部ネットワークとしてインターネットを利用する代わりに、第三者がアクセスすることができない、セキュリティの高い専用線ネットワークを利用することもできる。また、ホスト管理システムはベンダーが提供するものに限らずユーザーがデータベースを構築して外部ネットワーク上に置き、ユーザーの複数の工場から該データベースへのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0093】
さて、図18は本実施形態の全体システムを図17とは別の側面から捕らえて表現した概念図である。先の例ではそれぞれが製造装置を備えた複数のユーザー工場と、該製造装置のベンダーの管理システムとを外部ネットワークで接続して、該外部ネットワークを介して各工場の生産管理や少なくとも1台の製造装置の情報をデータ通信するものであった。これに対し本例は、複数のベンダーの複数の製造装置を備えた工場と、該複数の製造装置のそれぞれのベンダーの管理システムとを工場外の外部ネットワークで接続して、各製造装置の保守情報をデータ通信するものである。図中、2010は製造装置ユーザー(半導体デバイス製造メーカー)の製造工場であり、工場の製造ラインには各種プロセスを行う製造装置、ここでは例として露光装置2020、レジスト処理装置2030、成膜処理装置2040が導入されている。なお図14では製造工場2010は1つだけ描いているが、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されている。工場内の各装置はLAN2060で接続されてイントラネットを構成し、ホスト管理システム2050で製造ラインの稼動管理がされている。一方、露光装置メーカー2100、レジスト処理装置メーカー2200、成膜装置メーカー2300などベンダー(装置供給メーカー)の各事業所には、それぞれ供給した機器の遠隔保守を行なうためのホスト管理システム2110,2210,2310を備え、これらは上述したように保守データベースと外部ネットワークのゲートウェイを備える。ユーザーの製造工場内の各装置を管理するホスト管理システム2050と、各装置のベンダーの管理システム2110,2210, 2310とは、外部ネットワーク2000であるインターネットもしくは専用線ネットワークによって接続されている。このシステムにおいて、製造ラインの一連の製造機器の中のどれかにトラブルが起きると、製造ラインの稼動が休止してしまうが、トラブルが起きた機器のベンダーからインターネット2000を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可能で、製造ラインの休止を最小限に抑えることができる。
【0094】
半導体製造工場に設置された各製造装置はそれぞれ、ディスプレイと、ネットワークインターフェースと、記憶装置にストアされたネットワークアクセス用ソフトウェアならびに装置動作用のソフトウェアを実行するコンピュータを備える。記憶装置としては内蔵メモリやハードディスク、あるいはネットワークファイルサーバーなどである。上記ネットワークアクセス用ソフトウェアは、専用又は汎用のウェブブラウザを含み、例えば図19に一例を示す様な画面のユーザーインターフェースをディスプレイ上に提供する。各工場で製造装置を管理するオペレータは、画面を参照しながら、製造装置の機種(4010)、シリアルナンバー(4020)、トラブルの件名(4030)、発生日(4040)、緊急度(4050)、症状(4060)、対処法(4070)、経過(4080)等の情報を画面上の入力項目に入力する。入力された情報はインターネットを介して保守データベースに送信され、その結果の適切な保守情報が保守データベースから返信されディスプレイ上に提示される。またウェブブラウザが提供するユーザーインターフェースはさらに図示のごとくハイパーリンク機能(4100〜4120)を実現し、オペレータは各項目の更に詳細な情報にアクセスしたり、ベンダーが提供するソフトウェアライブラリから製造装置に使用する最新バージョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの参考に供する操作ガイド(ヘルプ情報)を引出したりすることができる。
【0095】
次に上記の生産システムを利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図20は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク作製)では設計した回路パターンに基づいてマスクを作製する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。例えば、前工程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行われてもよく、この場合、これらの工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされる。また前工程工場と後工程工場との間でも、インターネットまたは専用線ネットワークを介して生産管理や装置保守のための情報がデータ通信されてもよい。
【0096】
図21は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに転写する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する製造機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もしトラブルが発生しても迅速な復旧が可能で、従来に比べて半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、リニアモータの冷却効率を高めることができる。これにより、例えば、リニアモータのコイルにより大きな電流を流すこと、すなわち、リニアモータの出力を向上させることができる。
【0098】
また、このようなリニアモータを搭載した露光装置は、ステージを高速に駆動することができ、デバイスの生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態としての可動磁石型リニアモータの構造を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示すリニアモータの固定子側の概観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す固定子から隔壁の一部と充填樹脂を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すリニアモータの固定子から隔壁と上部コイルを取り除いた図である。
【図5】固定子取付台に設けられた第2冷却配管の構成を示す図である。
【図6】分割コイルの間に配置される第1冷却配管を第2の構成例を示す図である。
【図7】分割コイルの間に配置される第1冷却配管を第3の構成例を示す図である。
【図8】分割コイルの間に配置される第1冷却配管を第4の構成例を示す図である。
【図9】分割コイルの間に配置される第1冷却配管を第5の構成例を示す図である。
【図10】分割コイルの間に配置される第1冷却配管を第6の構成例を示す図である。
【図11】本発明の好適な実施の形態のリニアモータを適用したウエハステージの概略構成を示す図である。
【図12】EUV走査型投影露光装置の概念図である。
【図13】従来のリニアモータの構成を示す図である。
【図14】従来のリニアモータの構成を示す図である。
【図15】従来のリニアモータの構成を示す図である。
【図16】従来のリニアモータの構成を示す図である。
【図17】半導体デバイス等のデバイスの生産システムの例をある側面から見た概念図である。
【図18】半導体デバイス等のデバイスの生産システムの例を別の側面から見た概念図である。
【図19】ディスプレイ上のユーザーインターフェースを示す図である。
【図20】半導体デバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
【図21】ウエハプロセスの詳細を説明する図である。

Claims (31)

  1. 固定子及び可動子を有するリニアモータであって、
    前記可動子の移動方向に配列された複数のコイルユニットと、
    冷媒を流す第1冷媒流路と、
    を備え、前記複数のコイルユニットは、それぞれ、前記可動子と前記固定子が対向する方向に分割された少なくとも2つの部分コイルを有し、
    前記1冷媒流路は、前記複数のコイルユニットをそれぞれ構成する前記少なくとも2つの部分コイルの間をそれぞれ通るように配置されていることを特徴とするリニアモータ。
  2. 複数の鉄心歯を有するヨークと、該鉄心歯に巻かれた複数のコイルユニットと、該複数のコイルユニットを冷却する冷媒を流すための第1冷媒流路とを備え、
    前記複数のコイルユニットは、それぞれ、前記鉄心歯の深さ方向に分割された少なくとも2つの部分コイルを有し、前記部分コイルの間に前記第1冷媒流路が配置されることを特徴とするリニアモータ。
  3. 前記鉄心歯、前記部分コイル及び前記1冷媒流路の間の隙間に熱伝達物質が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のリニアモータ。
  4. 前記熱伝達物質が樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のリニアモータ。
  5. 前記ヨークを取り囲む壁を更に備え、前記壁は、前記熱伝達物質を硬化させる前に前記ヨークの外側に配置されて前記熱伝達物質を硬化させるための容器として利用可能な構造を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のリニアモータ。
  6. 前記壁のうち少なくとも前記複数の鉄心歯の上部に配置される部分は、非磁性材料で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のリニアモータ。
  7. 前記ヨークを支持する支持体と、
    前記支持体に設けられた、冷媒を流す第2冷媒流路と、
    を更に備えることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  8. 前記ヨークと前記支持体との間に第2熱伝達物質を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のリニアモータ。
  9. 前記第2熱伝達物質は、樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のリニアモータ。
  10. 前記支持体は、前記ヨークと接触する複数の接触部を有し、前記第2の熱伝達物質は、前記複数の接触部の間に配置されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のリニアモータ。
  11. 前記第1冷媒流路は、前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通るように配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  12. 前記第1冷媒流路は、
    前記複数の鉄心歯の間をそれぞれ通る複数の直線部分と、
    前記複数の直線部分を結合して連続的な流路を形成するための複数のU字部分と、
    を有し、前記複数のU字部分は左右交互に配置され、前記複数の直線部分と前記複数のU字部分とにより前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通る構造が構成されていることを特徴とする請求項11に記載のリニアモータ。
  13. 前記複数のコイルの各引出し線が、1つの前記U字部分とその隣の前記U字部分との間から引出されていることを特徴とする請求項12に記載のリニアモータ。
  14. 前記複数のコイルの各引出し線が、前記ヨークの両側のうち一方の側から引出されていることを特徴とする請求項13に記載のリニアモータ。
  15. 前記複数の鉄心歯の間を蛇行しながら通る構造は、第1端部及び第2端部を有し、
    前記第1冷媒流路は、前記第1端部に結合され前記第1端部から前記第2端部の方向に向かって伸びる第2直線部を更に備え、
    前記第2直線部は、前記ヨークの両側のうち他方の側に沿って配置されており、
    前記第1冷媒流路の入口及び出口は、前記ヨークの長手方向の両端部のうち一方の端部に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のリニアモータ。
  16. 前記第1冷媒流路の入口及び出口は、前記ヨークの長手方向の両端部のうち一方の端部に配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項14のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  17. 前記第1冷媒流路は、複数のブロックに分割されていることを特徴とする請求項2乃至請求項14のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  18. 前記第1冷媒流路は、
    前記複数の鉄心歯の間をそれぞれ通る複数の第1直線部分と、
    前記ヨークの両側のうち一方の側において前記複数の第1直接部分と連結された第2直線部分と、
    前記ヨークの両側のうち他方の側において前記複数の第1直接部分と連結された第3直線部分と、
    を有することを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  19. 前記複数の第1直線部分は、前記第2直線部分及び前記第3直線部分よりも断面積が小さいことを特徴とする請求項18に記載のリニアモータ。
  20. 前記複数の第1直線部分の断面積の合計が、前記第2直線部分及び前記第3直線部分の各断面積と略等しいことを特徴とする請求項18に記載のリニアモータ。
  21. 前記第1冷媒流路は、銅又はステンレスで形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項20のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  22. 前記第1冷媒流路は、銅又はステンレスで形成された管であり、前記第1冷媒流路のうち前記壁の外部に露出した部分は、電解研磨されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  23. 前記リニアモータは固定子と可動子を備え、前記固定子が前記複数のコイルユニット、前記ヨーク及び前記第1冷媒流路を含んで構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項22のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  24. 前記リニアモータは固定子と可動子を備え、前記可動子が前記複数のコイルユニット、前記ヨーク及び前記第1冷媒流路を含んで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  25. 請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のリニアモータと、
    前記リニアモータによって駆動されるステージと、
    を備えることを特徴とするステージ装置。
  26. 請求項25に記載のステージ装置を原版ステージ及び基板ステージの少なくとも一方として備えることを特徴とする露光装置。
  27. デバイス製造方法であって、
    請求項26に記載の露光装置により基板をパターンで露光する工程と、
    露光された基板を現像する工程と、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
  28. デバイス製造方法であって、
    請求項26に記載の露光装置を含む複数の半導体製造装置を工場に設置する工程と、
    前記複数の半導体製造装置を用いて半導体デバイスを製造する工程と、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
  29. 前記複数の半導体製造装置をローカルエリアネットワークで接続する工程と、
    前記ローカルエリアネットワークと前記工場外の外部ネットワークとを接続する工程と、
    前記ローカルエリアネットワーク及び前記外部ネットワークを利用して、前記外部ネットワーク上のデータベースから前記露光装置に関する情報を取得する工程と、
    取得した情報に基づいて前記露光装置を制御する工程と、
    を更に含むことを特徴とする請求項28に記載のデバイス製造方法。
  30. 半導体製造工場であって、
    請求項26に記載の露光装置を含む複数の半導体製造装置と、
    前記複数の半導体製造装置を接続するローカルエリアネットワークと、
    前記ローカルエリアネットワークと前記半導体製造工場外の外部ネットワークとを接続するゲートウェイとを備えることを特徴とする半導体製造工場。
  31. 露光装置の保守方法であって、
    請求項26に記載の露光装置が設置された工場外の外部ネットワーク上に、該露光装置の保守に関する情報を蓄積するデータベースを準備する工程と、
    前記工場内のローカルエリアネットワークに前記露光装置を接続する工程と、前記外部ネットワーク及び前記ローカルエリアネットワークを利用して、前記データベースに蓄積された情報に基づいて前記露光装置を保守する工程とを含むことを特徴とする露光装置の保守方法。
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