JP3809108B2 - 角掛袖瓦の安定敷設構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、袖瓦の改良、更に詳しくは、横ズレを防止して確実に敷設することができ、しかも、作業の安全性をも高めることができる角掛袖瓦の安定敷設構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋根に敷設される瓦には、桟瓦、軒瓦、棟瓦などの様々な種類があり、屋根の側縁には袖瓦と呼ばれる瓦が敷設されている。この袖瓦は屋根の縁肩下地および側縁を被覆するため、本体の一方の側端縁に袖縁と呼ばれる下向きに一体に延びる板状部位が形成され、これらの袖縁が一列に連設されて屋根の側端縁を覆っている。
【0003】
しかしながら、袖瓦は屋根の側部からも風の影響を受けることから、屋根から捲くれるおそれがあり、台風や突風などの強風に曝された場合、袖瓦が屋根から捲れて吹き飛んでしまい、更に其処から次々と瓦が捲くれてしまうという危険性があった。
【0004】
また、一側に袖縁が設けられているので重心がずれて全体バランスが悪く、特に、袖瓦の肩当て部分の幅が狭いものについては、小さな振動などでも屋根の開放側に徐々に横ズレが生じ、終いには袖縁の重量に持って行かれて落下するおそれがあった。
【0005】
更にまた、従来、袖瓦を屋根に敷設する際には袖瓦の袖縁を側端縁の外側に持ち出して配置し、屋根の上面だけでなく袖縁も止着していたのであるが、袖縁を屋根の側面から止着するためには、その側近に足場を組むか、または、屋根の上から身を乗り出して側面で釘打ちなどの作業を行わねばならず、転落するおそれがあって大変危険であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、横ズレを防止して確実に敷設することができ、しかも、作業の安全性をも高めることができる角掛袖瓦の安定敷設構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、屋根Fの縁肩下地に当接する肩当て部2aおよび屋根の側端縁Vに当接する袖縁2bとを一体的に有する角掛袖瓦1・1…を、屋根の側端縁Vに沿って敷設された袖瓦の敷設構造であって、
これら角掛袖瓦1の肩当て部2aの上縁は屋根Fの縁肩下地に固定可能であって、当該肩当て部2aの下縁内面側には引掛凸部12を有すると共に、肩当て部2aの上縁には前記引掛凸部12が掛合する掛合受部13が形成されており、また、これら角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁には掛合凹部21を有すると共に、同袖縁2bの上縁には前記掛合凹部21に挿嵌する挿入凸部22が設けられていて、
屋根の側端縁Vに沿って敷設された各角掛袖瓦1の下縁部は下側に位置した角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bの上縁部を包囲被覆する一方、上側に位置した角掛袖瓦1の前記引掛凸部12は、下側に位置する角掛袖瓦1の前記上側の角掛袖瓦1の前記掛合受部13に掛合して掛合部Aを構成し、かつ、前記上側の角掛袖瓦1の掛合凹部21には前記下側の角掛袖瓦1の挿入凸部22が挿嵌して挿嵌部Bを構成して屋根側端縁Vに安定に定着するという技術的手段を採用した。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、角掛袖瓦1の肩当て部2aの上縁に止着孔11を開設するという技術的手段を採用した。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁には、外側へ張り出した張出部23が形成されており、この内面に掛合凹部21が作出されるように構成するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bを円弧状に一体成形するという技術的手段を採用した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0013】
本実施形態は、屋根Fの縁肩下地に当接する肩当て部2aおよび屋根の側端縁Vに当接する袖縁2bとを一体的に有する角掛袖瓦1・1…を、屋根の側端縁Vに沿って敷設された角掛袖瓦の敷設構造である。
【0014】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図3に基いて説明する。図中、符号1で指示するものは角掛袖瓦であり、この角掛袖瓦1の肩当て部2aの上縁は屋根Fの縁肩下地に固定可能であって、当該肩当て部2aの下縁内面側には引掛凸部12を有すると共に、肩当て部2aの上縁には前記引掛凸部12が掛合する掛合受部13が形成されている。
【0015】
本実施形態では、角掛袖瓦1の肩当て部2a上縁には、屋根Fの縁肩下地に止着して固定するための止着孔11が開設されており、釘などの止着具3を打ち込むことができる。また、角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁には掛合凹部21を有すると共に、同袖縁2bの上縁には前記掛合凹部21に挿嵌する挿入凸部22が設けられている。
【0016】
そして、屋根の側端縁Vに沿って敷設された各角掛袖瓦1の下縁部は、下側に位置した角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bの上縁部を包囲被覆する。
【0017】
この際、上側に位置した角掛袖瓦1の前記引掛凸部12は、下側に位置する角掛袖瓦1の前記上側の角掛袖瓦1の前記掛合受部13に掛合して掛合部Aを構成しており、かつ、前記上側の角掛袖瓦1の掛合凹部21には前記下側の角掛袖瓦1の挿入凸部22が挿嵌して挿嵌部Bを構成している。
【0018】
こうして形成された角掛袖瓦1を前記掛合部Aおよび挿嵌部Bにおいて組み合わせて、順次差し込んで敷設していくことにより、屋根Fの側端縁Vに安定に定着することができる(図3参照)。
【0019】
この際、角掛袖瓦1の差し込み方向は上下一方向のみであるので、前記2箇所の掛合機構を同時平行にスライドさせながら差し込むことによって、スライド方向以外の横方向にズレて外れたり、持ち上がって外れることがないのである。
【0020】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図4に基いて説明する。本実施形態では、角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁が外側へ張り出した張出部23が形成されており、この内面に掛合凹部21が作出されるように構成した。
【0021】
本実施形態における袖縁2bの挿入凸部22は、図示したように上部の端縁を切欠して掛合凹部21に挿入可能な寸法に形成しても良いし、また、縁幅が上部に至るほど逓減的に小さくなる形状にしても良い。
【0022】
本実施形態のように、掛合箇所の組み合わせ形状を変更しても、2箇所の掛合機構が同時に掛合する構造であれば、第1実施形態と同様の作用を得ることができ、横ズレを防止して確実に屋根の縁肩下地に定着させることができる。
【0023】
本発明は概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、掛合部Aおよび挿嵌部Bは、図示したような凹凸形状の組み合わせに限らず、互いに掛合できる形状であれば良く、また、図5のように角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bを円弧状に一体成形することも可能である。
【0024】
更にまた、止め具3は、釘を使用して屋根Fの瓦桟などの下地に打ち込んで固定することも可能であるが、番線などの針金部材あるいは紐を挿通して屋根Fの下地に結束して固定しても良く、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【0025】
【発明の効果】
以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明においては、肩当て部と袖縁にそれぞれ掛合部および挿嵌部を設けた角掛袖瓦を組み合わせて構成し、角掛袖瓦同士の2箇所の掛合機構を同時に掛合させる構造であるので、スライドして差し入れた上下方向以外にズレて外れたり、持ち上がって外れることがない。従って、本発明の敷設構造によれば、角掛袖瓦同士が確実かつ強固に掛合していることから、風によって袖瓦が捲くれ上がる被害を効果的に防止することができるのである。
【0026】
また、施工においても上から順次差し込んでいくだけで確実に掛合して敷設していくことができるので、袖縁を止着するために屋根の側近に足場を組んだり、また、身を乗り出して側面に釘打ち作業などをせずに済むことから、安全性が向上し、実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の角掛袖瓦を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の角掛袖瓦の裏面を表わす全体斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の角掛袖瓦の施工手順を表わす説明斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の角掛袖瓦を表わす全体斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の角掛袖瓦の変形例を表わす全体斜視図である。
【符号の説明】
1 角掛袖瓦
11 固定部
12 引掛凸部
13 掛合受部
2a 肩当て部
2b 袖縁
21 掛合凹部
22 挿入凸部
23 張出部
3 止め具
V 側端縁
F 屋根
A 掛合部
B 挿嵌部

Claims (4)

  1. 屋根Fの縁肩下地に当接する肩当て部2aおよび屋根の側端縁Vに当接する袖縁2bとを一体的に有する角掛袖瓦1・1…を、屋根の側端縁Vに沿って敷設された袖瓦の敷設構造であって、
    これら角掛袖瓦1の肩当て部2aの上縁は屋根Fの縁肩下地に固定可能であって、当該肩当て部2aの下縁内面側には引掛凸部12を有すると共に、肩当て部2aの上縁には前記引掛凸部12が掛合する掛合受部13が形成されており、また、これら角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁には掛合凹部21を有すると共に、同袖縁2bの上縁には前記掛合凹部21に挿嵌する挿入凸部22が設けられていて、
    屋根の側端縁Vに沿って敷設された各角掛袖瓦1の下縁部は下側に位置した角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bの上縁部を包囲被覆する一方、上側に位置した角掛袖瓦1の前記引掛凸部12は、下側に位置する角掛袖瓦1の前記上側の角掛袖瓦1の前記掛合受部13に掛合して掛合部Aを構成し、かつ、前記上側の角掛袖瓦1の掛合凹部21には前記下側の角掛袖瓦1の挿入凸部22が挿嵌して挿嵌部Bを構成して屋根側端縁Vに安定に定着されることを特徴とする角掛袖瓦の安定敷設構造。
  2. 角掛袖瓦1の肩当て部2aの上縁には、屋根Fの縁肩下地に止着して固定するための止着孔11が開設されていることを特徴とする請求項1記載の角掛袖瓦の安定敷設構造。
  3. 角掛袖瓦1の袖縁2bの下縁には、外側へ張り出した張出部23が形成されており、この内面に掛合凹部21が作出されるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の角掛袖瓦の安定敷設構造。
  4. 角掛袖瓦1の肩当て部2aおよび袖縁2bが円弧状に一体成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の角掛袖瓦の安定敷設構造。
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