JP3809014B2

JP3809014B2 - 養毛・育毛剤

Info

Publication number: JP3809014B2
Application number: JP14099298A
Authority: JP
Inventors: 祐輔渋谷; 慎一田崎; 光行堀田; 敦大内; 義則西澤
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1998-05-22
Filing date: 1998-05-22
Publication date: 2006-08-16
Anticipated expiration: 2018-05-22
Also published as: JPH11335244A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた養毛・育毛効果及び脱毛予防作用を有する養毛・育毛剤に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
養毛・育毛用の医薬品又は薬用化粧料には、種々の作用を有する合成薬剤又は天然物抽出エキスが使用されているが、これらはいずれも少量の添加では十分な効果が得られず、多量の添加では適応部位に不快な刺激感を与え、更に継続して使用した場合には皮膚炎が発生するといった欠点を有している。
【０００３】
上記養毛・育毛剤は、毛母細胞の分化増殖への直接的作用ではなく、頭皮の状態の正常化を介した間接的作用によるものであったり、ヒトの頭髪に対しては十分な養毛・育毛効果を示さなかった。
【０００４】
毛母細胞の分化増殖に直接的に作用し、優れた養毛・育毛作用及び脱毛予防効果を奏する、養毛・育毛剤の開発が望まれていた。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、下記の一般式（１）で表わされる化合物が、毛母細胞の分化増殖に直接作用し、優れた養毛・育毛効果及び脱毛予防効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【０００６】
すなわち本発明は次の一般式（１）
【０００７】
【化２】

【０００８】
（式中、Ｒ¹、Ｒ³及びＲ⁴は同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基又は炭素数１〜６のアルコキシ基を示す。Ｒ²は水素原子又は炭素数１〜６のアルキル基を示す。またＲ³及びＲ⁴は共同して隣接する３位及び４位の炭素原子と共に、１もしくは２個のメチル基又はオキソ基が置換していてもよいピラン環を形成していてもよい。）で表される化合物を有効成分とする養毛・育毛剤を提供するものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
一般式（１）において、Ｒ¹、Ｒ³及びＲ⁴は同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基又は低級アルコキシ基を示す。低級アルコキシ基は炭素数１〜６のものが好ましい。このうち水素原子、ヒドロキシル基及びメトキシ基が特に好ましい。Ｒ²は水素原子又は低級アルキル基を示す。低級アルキル基は炭素数１〜６のものが好ましい。このうち水素原子及びメチル基が特に好ましい。
【００１０】
またＲ³及びＲ⁴は共同して、隣接する３位及び４位の炭素原子とともに、１もしくは２個のメチル基又はオキソ基が置換していてもよいピラン環を形成していてもよい。ピラン環を構成する酸素原子は４位の炭素原子に隣接することが好ましい。またメチル基、オキソ基が置換していてもよい炭素原子は、ピラン環を構成する酸素原子に隣接するものが好ましい。またメチル基は２個置換していることが好ましい。
【００１１】
かかる化合物のうち特に好ましいものを以下に示す。
【００１２】
【化３】

【００１３】
【化４】

【００１４】
上記化合物のうち、化合物（ａ）〜（ｐ）は既存の方法、例えば新実験化学講座（丸善）、１４巻「有機化合物の合成と反応」に記載の方法等により合成できる。また化合物（ｑ）は、例えばアカネ（ルビアコルディフォリア）からＰｈｙｔｏｃｈｅｍｉｓｔｒｙ，２８巻、３４６５〜３４６８頁（１９８９年）の方法により抽出できる。また化合物（ｒ）は、例えばアカネ（ルビアコルディフォリア）からＡｃｔａＰｈａｒｍａｃｅｕｔｉｃａｓｉｎｉｃａ、２７巻、２７８〜２８２頁（１９９２年）の方法により抽出できる。
【００１５】
一般式（１）で表される化合物は、一種以上混合して用いうる。また一般式（１）で表される化合物は、養毛・育毛効果及び頭皮に対する刺激感等の観点から、本発明の養毛・育毛剤中０．００１〜１０重量％、特に０．０１〜３重量％含有することが好ましい。
【００１６】
本発明の養毛・育毛剤には養毛・育毛効果を更に増強する目的で、常用の血行促進剤、抗菌剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、局所刺激剤、抗炎症剤、保湿剤、抗男性ホルモン剤、毛包賦活剤等を配合できる。
上記成分は一種以上混合して用いるのが好ましく、また、水又は水−低級アルコール等の溶媒に溶解して使用することが好ましい。上記成分は、一般式（１）で表される化合物との相乗効果の観点から、本発明の養毛・育毛剤中に０．００１〜５重量％、特に０．０１〜３重量％配合するのが好ましい。
【００１７】
本発明の養毛・育毛剤の剤型は液剤を主とし、ローションが代表的であるが、クリームやジェルでもよい。液剤には更に炭酸ガスを含ませると特に好ましい。炭酸ガスは、酸性溶液中でＣＯ₂分子として存在し、血管拡張作用を示す。従って、炭酸ガスを配合した本発明の養毛・育毛剤の液性はpH７未満、特にpH４．５〜６．５が好ましい。養毛・育毛剤のpHは炭酸ガスが圧入され、溶液中に溶け込むと更に酸性度が強くなるが、最終pHが上記範囲になるように調節すればよい。このpH調節剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸又はこれらの塩、あるいはリン酸又はその塩が好適である。
【００１８】
本発明の養毛・育毛剤には上記成分のほかに、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に使用される油性基剤、ゲル化剤、各種乳化剤、香料、パラヒドロキシ安息香酸エステル等の酸化防止剤、染料等の着色剤を添加配合できる。
【００１９】
本発明の養毛・育毛剤は、一般式（１）で表される化合物及びその他の成分を、常法に従い、混合等の操作を施すことにより製造できる。
【００２０】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【００２１】
製造例１
化合物（ｌ）及び（ｊ）の製造
１，４−ジヒドロキシ−２−ナフトエ酸（和光純薬社製、化合物（ｅ））２．０ｇをジメチルホルムアミド中炭酸カリウム存在下で、ヨードメタンを用いたメチル化を行い化合物（ｌ）を１．９ｇ得た。また、化合物（ｌ）１．０ｇを２Ｎ−ＮａＯＨで加水分解を行い化合物（ｊ）を０．８ｇ得た。
【００２２】
製造例２
化合物（ｑ）及び（ｒ）の製造
アカネ（Ｒｕｂｉａｃｏｒｄｉｆｏｌｉａ）根部１．５kgを２０リットルのメタノールで抽出し抽出液を得た。この抽出液を濃縮し、水−酢酸エチルで分配して得た有機相をシリカゲルカラムクロマト（ヘキサン−酢酸エチル系、ヘキサン−クロロホルム系）に供したのち、再結晶あるいはＯＤＳ分取ＨＰＬＣにより、化合物（ｑ）及び（ｒ）をそれぞれ２．９ｇ及び２４．６ｍｇ得た。
【００２３】
試験例１
ＳＤ系新生ラットの髭毛包を外科的に摘出し、化合物（ａ）〜（ｒ）を５０ｐｇ／ｍｌとなるように培地に添加して器官培養を行い、毛伸長度の経日変化を測定した。結果を表１に示す。なお比較例としてミノキシジルを同様にして用いた。また毛伸長度とは、培養液（無添加群）のみにおける毛伸長を１００とした場合の相対値である。
【００２４】
【表１】

【００２５】
表１より、化合物（ａ）〜（ｒ）は、比較例化合物より養毛・育毛効果が優れていることが確認された。
【００２６】
試験例２
マウス発毛試験
生後４９日齢のＣ３Ｈ／ＨｅＮＣｒｊマウス１群２０頭の背部毛を、電気バリカン及び電気シェーバーを用い、皮膚を傷つけないように２×４ｃｍ²にわたり剃毛した。次いで翌日より、化合物ｃ、ｋ、ｎ、ｑ及び比較例化合物の０．１重量％溶液（５０％エタノール）を剃毛部位に１日１回、２０μｌずつ４週間にわたり塗布した。なお溶媒（５０％エタノール）のみを塗布した群を対照とした。毛再生を観察するため、上記剃毛部位を一定倍率で撮影し、画像解析装置を用いて再生毛面積比（（再生毛面積／剃毛面積）×１００（％））の経日変化を測定した。４週間後の再生毛面積比を表２に示す。
【００２７】
【表２】

【００２８】
表２より、化合物ｃ、ｋ、ｎ及びｑは、比較例化合物よりマウス発毛効果が著しく優れていることが確認された。
【００２９】
実施例１
表３に示す配合割合で養毛・育毛剤を調製した。
【００３０】
【表３】

【００３１】
実施例２
表４に示す配合割合で養毛・育毛剤を調製した。
【００３２】
【表４】

【００３３】
【発明の効果】
本発明の養毛・育毛剤は、長期間にわたり優れた養毛・育毛作用を有する。

Claims

次の一般式（１）

（式中、Ｒ¹、Ｒ³及びＲ⁴は同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基又は炭素数１〜６のアルコキシ基を示す。Ｒ²は水素原子又は炭素数１〜６のアルキル基を示す。またＲ³及びＲ⁴は共同して隣接する３位及び４位の炭素原子と共に、１もしくは２個のメチル基又はオキソ基が置換していてもよいピラン環を形成していてもよい。）で表される化合物を有効成分とする養毛・育毛剤。