JP3808983B2 - オープンケーソン構造とその沈設方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁の基礎、シールドトンネル等の立坑、地下駐車場等の地下容器の建設に用いられるオープンケーソン構造とその沈設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、図を参照して従来技術を説明する。
オープンケーソン工法の底盤コンクリートは、水中コンクリートとして打設するのが普通で、一般には無筋コンクリートで施工される。
底盤の設計は、図7の縦断面図に示すように、底盤コンクリート1内の応力伝達を45とすると、両側壁2からの応力伝達線Sが、底面で重複する点Pとなるような、小型のオープンケーソン径であれば塊体として考えてよく、底盤コンクリート1の曲げ応力は問題とならない。
しかし最近では、図8の縦断面図に示すように、底盤コンクリート1内への応力伝達は、両側壁2からの応力伝達線Sが重複しない大型のオープンケーソン3が増加しており、底盤コンクリート1は、P、Pを設計上のスパンとする、曲げ応力を考慮した設計を行うことが必要となり、その結果、底盤コンクリート1の厚さを増加しなければならないことになる。
【0003】
これら問題を解決する方法として、図9の縦断面図、図10の平面図に示すように、底盤コンクリート1上に、設計上必要な桁高さを有する隔壁4を設け、曲げ応力を考慮した方法がある。
しかし、この方法では完成時のオープンケーソン3内部を立坑あるいはその他の容器として使用する際、隔壁4がデッドスペースとなり、必要な内空容積を確保するためにはオープンケーソン3の沈設深度を増加しなければならず、それだけ工事費、工期の増加となり、不経済となる。
【0004】
さらに、このような隔壁4を設けた場合、オープンケーソン3の沈設に伴い、隔壁4は水中に没した状態となるため、クラムシェルバッケット等で掘削の際、隔壁4の位置が確認できず、掘削能率が著しく低下することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、簡単な構成で、経済的、効率的なオープンケーソン構造とその沈設方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために、本発明のオープンケーソンの構造は、オープンケーソン下端の、刃口の内面間にわたって設けた複数の隔壁と、
刃口上部に設けた側壁において、刃口に設けた隔壁の位置に合わせて側壁内面に垂直方向に設けたガイド溝と、前記複数の隔壁を埋め込んだ底盤コンクリートから構成したことを特徴とするオープンケーソン構造であり、また、オープンケーソンの内空断面に、フロートを設置し、前記フロートは、オープンケーソンの内空断面の掘削に伴い、側壁に設けられたガイド溝に沿ってスライドしつつ、浮力によりオープンケーソン内部空間の水面上に浮いていることにより、刃口部に設けた複数の隔壁位置を確認しながら、オープンケーソンの内空断面を掘削し、沈下させていくことを特徴とする、オープンケーソンの沈設方法である。
【0007】
【発明の実施の形態1】
以下図面を参照しながら本発明の実施形態の一例について説明する。
尚、オープンケーソンの平面形状には、円形、小判形、矩形等々各種あるが、本発明の実施形態では平面形状が円形の場合について説明する。
【0008】
【基本構成】
図3は本発明によるオープンケーソン構造とその沈設方法の状態を示す縦断面図である。
オープンケーソン3は、オープンケーソン3下端に設けた刃口5と、刃口5の内面間にわたって設けた複数の隔壁4と、刃口5上部に設けた側壁2と、側壁2内面に垂直方向に設けたガイド溝6と、複数の隔壁4を埋め込んだ底盤コンクリート1から構成される。
なお、本明細書においては、刃口5内面間にわたって設ける壁を「隔壁」と称する。
また、刃口5内面間にわたって隔壁を設けるには、地上にて支保工で型枠を支持してその上にコンクリートを打設して形成するものであり、通常のスラブの構築と同様の工法である。
尚、図中のフロート7は、オープンケーソン3をクラムシェルバッケット(図示せず。)で掘削する際、水中に没しているため見ることのできない隔壁4の位置を確認するための装置である。
【0009】
【施工順序】
本発明によるオープンケーソン構造とその沈設方法を、施工順序に従って説明する。
【0010】
<イ>刃口の構築
図1は、刃口5と、その内面間にわたって設けた、複数の隔壁4を構築した状態を示す縦断面図であり、図2はその平面図である。
オープンケーソン3を構築する地盤Gを水平に整地後、均木8を所定間隔あけて敷き並べ、正確な水平に調整する。
均木8上に、鋼材等で加工された刃口5を設置し、刃口5内部にコンクリート51を打設する。
【0011】
<ロ>隔壁の構築
刃口5の、刃先部より上部のテーパー内面間にわたって、複数の隔壁4を構築する。
隔壁4は、オープンケーソン3を所定の深さに沈設後打設する、底盤コンクリート内に埋め込まれるものであり、底盤コンクリートの曲げ応力を考慮した設計上必要な桁高さを有する隔壁4とする。
【0012】
<ハ>側壁の構築
刃口5の上部に、1ロッド分の高さの側壁2を構築する。
オープンケーソン3の内空面に沿って、掘削、沈下を繰り返し、オープンケーソン3が所定の深さになるまで、側壁2を順次継ぎ足していく。
図3は、オープンケーソン3が所定の深さに達した状態を示す縦断面図である。 側壁2構築の際、刃口5に設けた複数の隔壁4の位置に合わせて、側壁2の内側表面に、垂直なガイド溝6を設ける。
【0013】
<ニ>フロートの設置
オープンケーソン3の掘削、沈下に伴い、刃口5に設けた複数の隔壁4が水中に没して見えなくなった時点で、フロート7をガイド溝6に沿って設置する。
図4は、フロート7の斜視図である。
フロート7は、平面形状が、複数の隔壁4と同一形状とし、中心部には浮力のあるフローター71を、また、フローター71の外方には鋼材等で加工された腕部材72を取付け、腕部材72の先端には、ガイド溝6に沿ってスライド可能なガイド部材73を一体に取付けている。
フロート7はその浮力により、オープンケーソン3内部空間の水面上に浮いており、水中に没して確認できない隔壁4の位置を、上方から常に確認することができる。
【0014】
<ホ>底盤コンクリートの打設
図5は、オープンケーソン3が所定の深度に達し、その底部に底盤コンクリート1が打設された状態を示す縦断面図である。
底盤コンクリート1の打設箇所は、水中に没しているため、トレミー管(図示せず。)を用いる等、任意の方法で水中コンクリートの打設を行う。
底盤コンクリート1の仕上げ天端は、隔壁4の天端と一致させ、複数の隔壁4は底盤コンクリート1に没した状態となる。
底盤コンクリート1内の複数の隔壁4の存在により、オープンケーソン3は底盤コンクリート1の曲げ応力を考慮した塊体として完成する。
【0015】
【発明の実施の形態2】
図6は、第2実施例を示すオープンケーソン3の縦断面図である。
本実施例においては、複数の隔壁4の断面はT字形断面を形成しているが、平面形状は第1実施例と同じであり、従ってフロート7も同一形状のものが採用できる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上説明したようになるから、次のような効果を得ることができる。
<イ>底盤コンクリート内に、底盤コンクリートの曲げ応力を考慮した有効桁高を有する隔壁を設けたので、オープンケーソンを一体の塊体とすることができる。<ロ>底盤コンクリート内に隔壁を設けたので、底盤コンクリート厚を薄くでき、従って、オープンケーソンの沈設深度を増加する必要がない。
<ハ>底盤コンクリート内に隔壁を設けたので、オープンケーソン内の内空容積を有効利用できる。
<ニ>水中に没した隔壁の位置に、フロートを設置したので、掘削の際、隔壁の位置を正確に確認でき、掘削作業の能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】刃口と、その内面間にわたって設けた複数の隔壁を構築した状態を示す縦断面図。
【図2】同上平面図。
【図3】オープンケーソン構造とその沈設方法の状態を示す縦断面図。
【図4】フロートの斜視図。
【図5】オープンケーソンが所定の深度に達し、その底部に底盤コンクリートが打設された状態を示す縦断面図。
【図6】第2実施例を示すオープンケーソンの縦断面図。
【図7】従来のオープンケーソン底盤コンクリート状況を示す、縦断面図。
【図8】従来の、別のオープンケーソン底盤コンクリート状況を示す、縦断面図。
【図9】従来の、さらに別のオープンケーソン底盤コンクリート状況を示す、縦断面図。
【図10】同上平面図。

Claims (4)

  1. オープンケーソンの構造であって、
    オープンケーソン下端の、刃口の内面間にわたって設けた複数の隔壁と、
    刃口上部に設けた側壁において、
    刃口に設けた隔壁の位置に合わせて側壁内面に垂直方向に設けたガイド溝と、
    前記複数の隔壁を埋め込んだ底盤コンクリートから構成したことを特徴とする、
    オープンケーソン構造。
  2. 請求項1に記載のオープンケーソン構造において、
    複数の隔壁断面は、隔壁の両側面にテーパーを付けた逆台形断面であることを特徴とする、
    オープンケーソン構造。
  3. 請求項1に記載のオープンケーソン構造において、
    複数の隔壁断面は、隔壁頂部に突出部を設けたT字形断面であることを特徴とする、
    オープンケーソン構造。
  4. オープンケーソンの沈設方法であって、
    オープンケーソンの内空断面に、フロートを設置し、
    前記フロートは、オープンケーソンの内空断面の掘削に伴い、側壁に設けられたガイド溝に沿ってスライドしつつ、浮力によりオープンケーソン内部空間の水面上に浮いていることにより、
    刃口部に設けた複数の隔壁位置を確認しながら、
    オープンケーソンの内空断面を掘削し、沈下させていくことを特徴とする、オープンケーソンの沈設方法。
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