JP3808953B2 - 紫外線硬化型の孔埋めインク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スルーホール付きプリント配線板の製造工程で使用する紫外線硬化型の孔埋めインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にサブトラクティブ法によるスルーホール付きプリント配線板の製造では、エッチングにより基板の表面に導体パターンを形成する際に、スルーホール内壁の導体層を一時的に保護するための材料として溶剤乾燥型あるいは紫外線硬化型等の孔埋めインクが使用される。
【0003】
しかしながら、溶剤乾燥型孔埋めインクは、硬化に要する時間が長い上、その中に含まれる溶剤の蒸発による体積収縮が20〜50%と大きいのでスルーホールエッジ部の保護作用が不十分となる。このためエッチング時にスルーホール部分の金属導体層が侵食されてしまい、製造されるべきスルーホール付きプリント配線板の性能低下を生じ易い。
【0004】
一方、紫外線硬化型の孔埋めインクは、溶剤乾燥型の孔埋めインクのような硬化による体積収縮という問題は小さい。しかしながら、スルーホールに充填されたインクを紫外線により硬化する際に、紫外線照射機のランプから生ずる熱線によりインク成分の気化等が起こり、孔埋めインク硬化物の膨れや破裂を生じたり、孔埋めインク硬化物が多孔質の発泡体となったりする等の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、紫外線により硬化する際にインク硬化物の膨れや破裂を防止することができると共にインク硬化物が多孔質の発泡体とならないようにして、エッチング時におけるスルーホールエッジ部の保護作用に優れ、しかもアルカリ溶液により容易に除去することができるスルーホール付きプリント配線板製造用の紫外線硬化型の孔埋めインクを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の紫外線硬化型の孔埋めインクは、ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させた反応生成物にさらに多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物を1〜90重量%と、光重合触媒を0.01〜20重量%とを含有させて成ることを特徴とするものであり、ロジン類にエチレン性不飽和基が導入された反応生成物に、さらに多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物を用いることによって、紫外線硬化型の孔埋めインクの硬化性を向上するとともに、均一な硬化反応を可能とすることにより達成されるものである。
【0008】
本発明において、上記ロジン類として、酸価が150以上のものを用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクに用いられる反応生成物(A−1)は、ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させて得られるものである。
本参考例においてロジン類とは、ロジン及びロジン誘導体をいう。ロジンとしては、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の一般的なものを用いることができ、また精製ロジンであっても良い。ロジン誘導体とは、上記ロジンを化学的処理して得られるもの、例えば水添ロジン、重合ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等を用いることができる。
【0010】
これらロジン類はその酸価が150以上であることが必要である。酸価が150未満では本参考例に用いる孔埋めインクの硬化物のアルカリ溶液による除去性が低下する。またロジン類はその酸価が150以上であれば使用可能であるが、入手可能であるという点で500以下であることが好ましい。また酸価が500を超えると孔埋めインク硬化物のエッチング液に対する耐酸性が低下し、エッチング時にスルーホール部分の金属導体層が侵食されてしまい、製造されるべきスルーホール付きプリント配線板の性能低下を生じ易い傾向になり、この点を考慮してもロジン類の酸価は500以下であることが好ましい。特に好ましいロジン類の酸価の範囲は150〜400である。
【0011】
尚、一般にロジン類はガードナー色調7〜10程度であり、精製ロジンあるいは水添ロジン等の淡色の場合でもガードナー色調6程度であるが、本参考例に使用するロジン類の色調は特に限定されない。
ただし、(A)成分の原料ロジン類としてハーゼン色調が300以下であり実質的に無色であることを特長とする無色ロジン誘導体(ちなみにガードナー色調1はハーゼン色調400に相当する。)を用いた場合、本参考例の孔埋めインクは、紫外線の透過性が良好となる。その結果、孔埋めインク硬化物の膨れや破裂を生じたり、孔埋めインク硬化物が多孔質の発泡体となったりする等の問題がなく、エッチング時におけるスルーホールエッジ部の保護作用に優れるという本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクが本来有する特長のみならず、紫外線による硬化の際に、スルーホール深部における硬化性が良好なものとなり、孔埋めインク硬化物の研磨性、耐エッチング液性がより充分なものとなるという特長が付与される。尚、無色ロジン誘導体は、上述のロジン類の説明と同様の理由により、その酸価は150〜400であることが必要である。
【0012】
上記範囲の無色ロジン誘導体を用いる場合、従来のスクリーン印刷型エッチングレジストと孔埋めインクを用いるいわゆる「穴埋め法」に対してのみならず、孔埋めインクと現像可能な液状エッチングレジストインクを用いたスルーホール付きプリント配線板の製造方法(以下「穴埋め−液状エッチングレジスト法」という。)により、微細かつ高密度の導体パターンを有するスルーホール付きプリント配線板を製造する方法に特に好適に用いられる。
【0013】
具体的には例えば、紫外線硬化型の孔埋めインクをプリント配線板製造用パネルのスルーホールに充填し、硬化させるスルーホール充填工程と、スルーホール充填工程でプリント配線板製造用パネルの表面に付着した余分の孔埋めインク及びその硬化物を研磨により除去する研磨工程と、研磨工程の後にプリント配線板製造用パネルの表面に現像可能な液状エッチングレジストインクを塗布し、必要に応じて予備乾燥し、次に露光、現像してエッチングレジスト層を形成するレジスト形成工程と、レジスト形成工程の後にエッチングによりプリント配線板製造用パネルの表面に導体パターンを形成するエッチング工程と、エッチング工程の後にプリント配線板製造用パネルの表面のエッチングレジスト層とスルーホール内の孔埋めインク硬化物を除去する剥離工程とからなるプリント配線板製造方法である。
【0014】
無色ロジン誘導体は、上記の如くハーゼン色調が300以下であり実質的に無色であるものをいい、具体的にいえば、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、あるいは精製ロジンなどの一般的なロジンを化学的処理して得られるもの、例えば水添ロジン、不均化ロジン、精製不均化ロジン、不均化ロジンもしくは精製不均化ロジンを脱水素化触媒を用いて脱水素化反応させて得られるもの、重合ロジン、アクリル酸付加ロジン、フマル酸付加ロジン、マレイン酸付加ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等の内でハーゼン色調が300以下のものをいう。
【0015】
さらに具体的に例示すれば、精製ロジンを水素化反応させて得られる酸価160〜185及びハーゼン色調300以下の無色ロジン誘導体(1)が挙げられる。また、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β−不飽和ジカルボン酸と精製ロジンとの付加反応物を水素化反応させて得られる酸価150〜400及びハーゼン色調300以下の無色ロジン誘導体(2)も上記無色ロジン誘導体の一例である。
【0016】
ここで精製ロジンとは、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未精製ロジンあるいは未精製不均化ロジンから不ケン化物等を除去したものをいう。この不ケン化物の除去による精製方法は特に限定されるものではなく、例えば蒸留、再結晶、抽出等の公知の方法を用いることができるが、これらの中でも蒸留により主留分を得る方法が、優れた無色ロジン誘導体を生成する点で好ましい。また、精製不均化ロジンの場合、精製の後さらに、脱水素化触媒を用いて脱水素したものであってもよい。
【0017】
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。また α,β−不飽和ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
上記α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β−不飽和ジカルボン酸と精製ロジンとの付加反応は、通常、ディールスアルダー反応により、例えば180〜240℃で1〜9時間、好ましくは不活性ガス気流下で行なわれる。また、水素化反応は、公知の条件で、例えばパラジウムカーボン、ロジウムカーボン等の公知の水素化触媒により常圧又は加圧下で加熱することによりおこなわれるが、特にこの方法に限定されるものではない。尚、水素化反応の後さらにトリフェニルホスファイト等の有機リン系化合物を加え、さらに必要に応じて加熱するのが最適である。
【0018】
精製ロジンを水素化反応させて得られる酸価160〜185及びハーゼン色調300以下の無色ロジン誘導体(1)としては、例えば特開平3−277675号公報に開示されるものを用いることができ、荒川化学工業(株)製の超淡色ロジン「KR−610」(商品名 色調(ハーゼン60)、酸価170、軟化点85℃)等がこれに該当する。
【0019】
α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β−不飽和ジカルボン酸と精製ロジンとの付加反応物を水素化反応させて得られる酸価150〜400及びハーゼン色調300以下の無色ロジン誘導体(2)としては、例えばα,β−不飽和モノカルボン酸としてアクリル酸を用いた特開平5−86334号公報の実施例1に開示されるものを用いることができ、荒川化学工業(株)製の超淡色ロジン「KE−604」(商品名 色調(ハーゼン50)、酸価245、軟化点132℃)等がこれに該当する。
【0020】
反応生成物(A−1)の原料であるエチレン性不飽和単量体としては、分子中に1個のみのエポキシ基を有するものであって、これは反応生成物(A−1)に紫外線による硬化性を付与することを目的として用いられる。
分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレ−ト、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、並びに(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレ−ト等の(メタ)アクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類、並びに(メタ)アクリレ−トの脂環エポキシ誘導体類及びエポキシ化ステアリルアクリレートなどが挙げられ、これらは単独で又は併せて用いることができる。
【0021】
またこれらの中でも、反応性の面からメタクリル酸エステル系のものよりもアクリル酸エステル系のものが良く、特にロジン類との付加反応が容易でありかつ工業的に入手容易な(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレ−ト等の(メタ)アクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類等が最適である。
【0022】
反応生成物(A−1)は、上記ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の反応は公知の方法を用いておこなうことができる。例えば、ロジンと(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレ−トの反応を例にとると、これらに対し熱重合禁止剤としてハイドロキノンもしくはハイドロキノンモノメチルエーテル等及び触媒としてベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類もしくはトリフェニルスチビン等を加え撹拌混合し、常法により、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させる。
【0023】
この場合、反応に供する成分を均一に混合させる等のために、上記各成分に反応溶媒として本反応に対し不活性である酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン等の低沸点溶剤を加えて反応をおこない反応終了後これら溶剤を留去しても良い。また、本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクに任意成分として後述するエチレン性不飽和単量体(D)を配合する場合であって、当該エチレン性不飽和単量体(D)が本反応に対し不活性なもの、例えばメチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等あるいはこれらの混合物である場合には、これを本反応における反応溶媒として用い、得られた反応生成物溶液中のエチレン性不飽和単量体(D)を留去することなく、そのままインクの調製に用いることもできる。
【0024】
上記反応生成物(A−1)の合成反応時においては、反応生成物(A−1)の合成反応時においては、分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は上記酸価を有するロジン類中のカルボキシル基と反応する。この場合、分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は、ロジン類のカルボキシル基の1当量あたり0.05モル以上であってかつ反応後の反応生成物(A−1)の残存酸価70以上とすることができる量でなければならない。
【0025】
分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量が、0.05モルに満たない場合には、紫外線による反応性を有する不飽和結合の反応生成物(A−1)中への導入量が不足し、孔埋めインク硬化物の膨れや破裂及び孔埋めインク硬化物の発泡体化を効果的に防止することができない。また残存酸価が70に満たない場合、反応生成物(A−1)のアルカリ水溶液に対する溶解性が不足し、本参考例の孔埋めインク及び孔埋めインク硬化物のアルカリ水溶液による除去性が不十分となる。特に、このアルカリ水溶液による除去性の点からは、分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は、反応生成物(A−1)の残存酸価が100以上になるような量であることが好ましい。
【0026】
尚、上記(A−1)成分の製造方法における各種条件及び工程等は例示的なものでありその製造方法を限定するものではない。
反応生成物(A−1)の配合量は孔埋めインク全体量中で1〜90重量%であり、これが1重量%未満ではアルカリ溶液による孔埋めインクの除去性が低下し、また90重量%を超えると粘度上昇のためスルーホールへの孔埋めインクの充填が困難になる。この点から、成分(A−1)の配合量の特に好ましい範囲は、5〜50重量%である。
【0027】
本参考例のスルーホール付きプリント配線板製造用の紫外線硬化型の孔埋めインクに用いられる光重合触媒(B)としては、例えば可視、近紫外又は紫外光線照射後の光化学反応によってラジカルあるいはルイス酸を発生する通常の化合物を使用することができるが、作業性等を考慮すると紫外光領域に分光感度の高いものが好ましい。
【0028】
ラジカル重合反応を誘起する化合物として、ベンゾフェノン類、ビシナルケトン類、例えばジアセチル、ベンジル、α−ピリジル、及びアシロイン類、例えばピバロイン、α−ピリドイン、及びベンゾイン類、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、及びアセトフェノン類、例えば4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、及びチオキサントン系、例えば2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、及びアントラキノン類、例えばエチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、ジアミノアントラキノン、及びカンファーキノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジベンゾスベロン、4,4′−ジエチルイソフタロフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、アシルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを挙げることができ、上記化合物は単独あるいは2種以上の混合物として用いることができる。尚、これらの中でも、特にベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン類、チオキサントン及びその誘導体、アントラキノン類が、紫外光領域における大きな硬化深度を確保する点で好ましい。
【0029】
また、カチオン重合反応を誘起させる光重合触媒としては、アリールジアゾニウム、ジアリールハロニウム、トリフェニルホスホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシジフェニルスルホニウム、アレン−鉄錯体等のPF6 - 、AsF6 - 、BF4 - 、SbF6 - 塩等を挙げることができる。
【0030】
また、それ自体は紫外線照射により活性化はしないが、光重合触媒と併用することで光重合反応を促進するアミン系光重合助触媒等も併せて用いることができる。そのような光重合助触媒として、主に脂肪族、芳香族アミンが使用され、例えば、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、ミヒラーケトン、4、4′−ジエチルアミノフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等を挙げることができる。これらの中でも、特にミヒラーケトン、4、4′−ジエチルアミノフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の芳香族アミンが、紫外光領域における大きな硬化深度を確保する点で好ましい。
【0031】
光重合触媒(B)の配合量は孔埋めインク全体量中で0.01〜20重量%であり、これが0.01%未満では露光時における孔埋めインクの表面硬化性が著しく低下し、また20重量%を超えると耐エッチング性が低下する。
本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクには、任意成分として不活性固体粉末(C)を配合することができる。これにより孔埋めインクがスルーホール内に充填される際の充填性及び充填状態を向上でき、また孔埋めインクの硬化後における硬化物の研磨性、アルカリ水溶液による除去性が特に良好になる。この不活性固体粉末としては、例えば体質顔料や着色顔料としてタルク、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、フタロシアニン等、また有機重合体微粒子としてポリエチレン、ナイロン、ポリエステル等、さらに揺変剤としてアエロジル等が挙げられる。
【0032】
また本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクには、インクの粘度、硬化速度及び剥離速度の調整等の目的で、上記反応生成物(A−1)で用いられるエチレン性不飽和単量体以外のエチレン性不飽和単量体(D)をさらに加えることができる。このようなエチレン性不飽和化合物(D)として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、セロソルブ(メタ)アクリレート、メチルセロソルブ(メタ)アクリレート、ブチルセロソルブ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、メチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアマイド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物等の単官能エチレン性不飽和単量体、及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、モルフォリン(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリカプロラクトンジ(メタ)アクリレート等の二官能エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。この成分の配合量は孔埋めインク全体量中で50重量%以下であることが好ましく、これを50重量%を越えて用いるとアルカリ溶液による除去性を低下させる傾向が生じる。
【0033】
また本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクには、上記以外の成分、例えば、シランカップリング剤等のカップリング剤、密着性付与剤、レベリング剤等の各種添加剤、あるいはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ターシャリーブチルカテコール及びフェノチアジン等の重合禁止剤、さらに分散安定性を向上させるために界面活性剤や高分子分散剤等を含有させることもできる。
【0034】
また本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクは、上記反応生成物(A−1)と光重合触媒(B)と不活性固体粉末(C)、及びエチレン性不飽和単量体(D)と各種添加剤等を、例えば三本ロール、ボールミル、サンドミル又はミキサー等の単独又は組み合わせての使用等の公知の方法により混練して調製することができる。そして本参考例の孔埋めインク及びその硬化物は苛性ソーダ、苛性カリ、メタケイ酸ソーダ等の無機アルカリ性物質の水溶液、すなわちアルカリ水溶液により容易に除去することができる。
【0035】
上記のように本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクは、ロジン類にエチレン性不飽和単量体が付加されている反応生成物(A−1)を含有しているので、孔埋めインクの硬化性が向上するとともに、スルーホールに充填され、紫外線により硬化される際に充分均一な状態となり、インク成分の気化、インク硬化物の膨れ、破裂あるいは硬化物の発泡体化の問題を防止することができる。
【0036】
通常、紫外線硬化型の孔埋めインクには、紫外線硬化性成分としてエチレン性不飽和単量体が含まれているが、これのみではインク硬化物のアルカリ水溶液による除去性を充分付与することができない。したがって、従来からインク中に高酸価のロジン類等のアルカリ易溶性の樹脂を配合することで、アルカリ水溶液による除去性を向上させるという方法が採られている。
【0037】
しかしながら、このようなアルカリ易溶性の樹脂は本来紫外線硬化性を有しないので、孔埋めインクの硬化をむしろ硬化を阻害する。加えて、アルカリ易溶性の樹脂はエチレン性不飽和単量体との相溶性が悪いため、スルーホールに充填され、紫外線により硬化される際に不均一となる。このため、既述の通り、紫外線照射機のランプから生ずる熱線によりインク成分の部分的気化等が起こり、孔埋めインク硬化物の膨れや破裂を生じたり、孔埋めインク硬化物が多孔質の発泡体となったりしていたものと考えられる。
【0038】
そこで本参考例のように、ロジン類にエチレン性不飽和単量体が付加されている反応生成物(A−1)を含有しているので、孔埋めインク成分の気化、及び孔埋めインク硬化物の膨れや破裂あるいは孔埋めインク硬化物の発泡体化の問題を防止することができる。
次に上記紫外線硬化型の孔埋めインクを用いた本参考例のスルーホール付きプリント配線板の製造方法について説明する。
【0039】
図1(a)乃至(e)は本参考例に係る孔埋めインクを従来のいわゆる「穴埋め法」によるスルーホール付きプリント配線板の製造に使用した一具体例を示す要部断面図である。図1(a)に示すように、絶縁基板1(絶縁基板とは、例えば紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、紙基材ポリエステル樹脂、ガラス基材エポキシ樹脂、ガラス基材テフロン樹脂、ガラス基材ポリイミド樹脂もしくはコンポジット樹脂などの合成樹脂基板、あるいはアルミニウムもしくは鉄などの金属をエポキシ樹脂などで覆って絶縁処理をした金属系絶縁基板、あるいはアルミナセラミック、低温焼成セラミックもしくは窒化アルミニウムセラミックなどのセラミック基板からなるもの等である。)の上下両面に銅からなる導体金属層を形成して得た積層板(例えば銅張積層板等)の所望個所にスルーホール用の孔を穿設し、例えば無電解めっきと電解めっきの併用により孔壁を含む両面銅張積層板の全面に銅めっき層3等からなる導電層を形成する。これにより表裏の配線回路導体の電気的接続をするスルーホール2が形成されたプリント配線板製造用パネル10を得る。尚、図1とは異なるがプリント配線板製造用パネル10は、まず絶縁基材1の所望個所にスルーホール用の孔を穿設し、その後、例えば無電解めっきと電解めっきの併用により孔壁を含む絶縁基材の全面に金属導電層を形成することにより得たもの等の絶縁基板の両面に金属導体層が形成されたものであっても良い。
【0040】
次に、スルーホール充填工程において、図1(b)に示すように、スルーホール2内に、エッチング液からその内壁を保護するために本参考例の紫外線硬化型孔埋めインク4が浸漬充填法、スクリーン印刷充填法、ピン充填法、ロール充填法等により充填され、続いて、このプリント配線板製造用パネル10を高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用い、片面当たり50〜2000mJの光量にて両面を露光することで、孔埋めインク4が硬化させられると共に孔埋めインク硬化物4hとなる。この際、スルーホール2内の孔埋めインク硬化物4hの充填率は90〜100%に保持され得る。また、孔埋めインク硬化物4hの膨れや破裂あるいは孔埋めインク硬化物4hの発泡体化等は発生しないものである。尚、孔埋めインクは、特に限定されることなく公知の露光方法により硬化させることができる。
【0041】
上記スルーホール充填工程の後の研磨工程において、図1(c)に示すように、銅めっき層3表面の孔埋めインク硬化物4hが、例えばベルトサンダー研磨、バフ研磨もしくはスラブ研磨等の機械研磨等により除去される。この場合、本参考例の紫外線硬化型孔埋めインク4の適用により、孔埋めインク4及び孔埋めインク硬化物4hは低研磨圧で容易に除去される。また、上述の通り孔埋めインク硬化物4h自体にも膨れや破裂あるいは孔埋めインク硬化物4hの発泡体化等を生じた部分がないことから、銅めっき層3及びスルーホールエッジ部2aにおける孔埋めインク硬化物4hの欠けが発生せず、また研磨後においてもスルーホール2内の孔埋めインク硬化物4hの表面は平滑でありかつ充填率は90〜100%に保持され得る。
【0042】
次に、図1(c)に示すように、機械研磨後の銅メッキ層3表面にエッチングレジスト層5が所望パターンで形成され、これには、例えばスクリーン印刷用エッチングレジストインクが用いられる。本参考例の紫外線硬化型孔埋めインク4を用いた場合は、スルーホール2内の孔埋めインク硬化物4hの平坦化が優れているため、スルーホール2開口部及びその周辺部に所望の配線パターンを精度よく均一に印刷することが可能である。
【0043】
続いて、図1(d)に示すように、エッチング工程において銅露出部分がエッチング液によりエッチング除去される。エッチング液には塩化第二鉄液、塩化第二銅液等の酸性エッチング液が使用される。最後に、図1(e)に示すように、苛性ソーダ、苛性カリ、メタケイ酸ソーダ等の無機アルカリ性物質の水溶液、すなわちアルカリ水溶液により、エッチングレジスト層5及び孔埋めインク硬化物4hが溶解除去され、目的とする導体パターンを有するスルーホール付きプリント配線板が得られる。
【0044】
尚、上記製造方法における各種条件及び工程等は例示的なものであり、本参考例の孔埋めインクを用いたスルーホール付きプリント配線板の製造方法を限定するものではない。例えば上記製造方法で用いたスクリーン印刷用エッチングレジストインクの代わりにドライフィルムレジスト、電着レジスト等を使用することによりエッチングレジスト層5を形成することも可能である。
【0045】
また、例えばエッチングレジスト材料としていわゆる液状エッチングレジストを用いた「穴埋め−液状エッチングレジスト法」に用いることが可能である。また、上述するように、反応生成物(A−1)の合成のための原料ロジン類として、上に特定される無色ロジン誘導体を用いた場合、本参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクは「穴埋め−液状エッチングレジスト法」により微細かつ高密度の導体パターンを有するスルーホール付きプリント配線板の製造するために特に好適に用いられる。
【0046】
次に本発明の紫外線硬化型の孔埋めインクについて説明する。
本発明の紫外線硬化型の孔埋めインクは、上記参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクに用いられる反応生成物(A−1)の代わりに、ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させて得られる反応生成物(参考例の反応生成物(A−1)に相当)に、さらに多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物(A−2)を1〜90重量%用いて紫外線硬化型の孔埋めインクを調製した点に特徴を有するものである。そして本発明の紫外線硬化型の孔埋めインクは、上記参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクに用いられる反応生成物(A−1)の代わりに、反応生成物(A−2)を用いた点以外は、参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクと同様の材料を用いて調製され、また参考例の紫外線硬化型の孔埋めインクと同様にして用いられるものである。
【0047】
反応生成物(A−2)は、上記ロジン類と、分子中に1個のみのエポキシ基を有する上記エチレン性不飽和単量体(反応生成物(A−1)を製造する際に用いられるものと同様のもの)とを反応させた反応生成物に、多塩基酸無水物を反応させて得られるものである。多塩基酸無水物は、主として反応生成物(A−2)の酸価調節のために用いられる。
【0048】
ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させてた場合、ロジン類由来のカルボキシル基の残存量が減少する。このため、主としてロジン類のカルボキシル基とエポキシ基との反応由来のヒドロキシル基に多塩基酸無水物を付加させることでカルボキシル基を導入して(A−2)の酸価を調整する。
【0049】
そしてこの場合、(A−2)は酸価を大きく保ちつつ、エチレン性不飽和基を十分な量導入されるので、孔埋めインクの均一かつ良好な紫外線硬化性とその硬化物のアルカリ剥離性を併せ持ったものとすることができる。
多塩基酸無水物としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、3−プロピルテトラヒドロフタル酸、4−プロピルテトラヒドロフタル酸、3−ブチルテトラヒドロフタル酸、4−ブチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、3−プロピルヘキサヒドロフタル酸、4−プロピルヘキサヒドロフタル酸、3−ブチルヘキサヒドロフタル酸及び4−ブチルヘキサヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸、コハク酸、ドテシルコハク酸、クロレンディック酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ポリアゼライン酸等の無水物を例示することができる。尚、これらの中でも、特にテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ナジック酸、コハク酸が本発明の孔埋めインクのアルカリ溶液による除去性を向上させる点で好ましい。
【0050】
上記反応生成物(A−2)は二段階の反応により製造することができる。その第一段反応は、まずロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させるものである。この反応は(A−1)の製造の場合と同様な方法によりおこなうことができる。この場合、分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は、反応生成物(A−1)の場合と同様、ロジン類のカルボキシル基の1当量あたり0.05モル以上でなければならない。ただし、この反応後の第二段反応において多塩基酸無水物を付加させることでカルボキシル基が導入されるので、第一段階反応の生成物の酸価は70に満たなくても良い。この点では反応生成物(A−1)の製造の場合と異なる。
【0051】
反応生成物(A−2)の製造における第二段反応は、第一段反応の後、反応系に多塩基酸無水物を加えて第一段反応の反応生成物と反応させるものである。第二段反応は、公知の方法を用いておこなうことができる。例えば、第一段反応の後の反応系に多塩基酸無水物を加え、撹拌混合し、常法により、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させる。この際、新たに熱重合禁止剤、触媒等を追加しても良い。
【0052】
得られた反応生成物(A−2)の残存酸価は70以上でなければならない。残存酸価が70に満たない場合、反応生成物(A−2)のアルカリ溶液に対する溶解性が不足し、本発明の孔埋めインク及び孔埋めインク硬化物のアルカリ水溶液による除去性が不十分となる。特に、このアルカリ水溶液による除去性の点からは、分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は、反応生成物(A−2)の残存酸価が100以上になるような量であることが好ましい。
【0053】
そして本発明の紫外線硬化型の孔埋めインクは、参考例の孔埋めインクと同様の作用効果を有するものである。
【0054】
【実施例】
以下に、合成例、参考例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下に使用される部及び%は全て重量基準である。
〔合成例1〕
マルキード33(商品名 荒川化学工業(株)製ロジン変性マレイン酸樹脂,色調(ガードナー8)、酸価305、軟化点145℃)422.0gとフェノキシエチルアクリレート100.0gを攪拌装置付きフラスコに入れ充分溶解した後、グリシジルメタクリレートを28.4g投入しN,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加え、空気を吹き込みながら95℃にて24時間反応させ、赤外線吸収スペクトルのエポキシ基由来のピークが消失したことを確認した。フェノキシエチルアクリレート溶液として得られた反応生成物溶液を(A−1−1)とした。反応生成物溶液(A−1−1)中の反応生成物の酸価は274であった。尚、酸価測定は(A−1−1)溶液についておこない、換算で反応生成物の酸価を求めた。
【0055】
〔合成例2〕
超淡色ロジン「KE−604」(商品名 荒川化学工業(株)製の無色ロジン誘導体、ハーゼン色調50、酸価245、軟化点132℃)376.0gとフェノキシエチルアクリレート100.0gを攪拌装置付きフラスコに入れ充分溶解した後、グリシジルメタクリレートを71.0g投入しN,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加え、空気を吹き込みながら95℃にて24時間反応させ赤外線吸収スペクトルのエポキシ基由来のピークが消失したことを確認した。フェノキシエチルアクリレート溶液として得られた反応生成物溶液を(A−1−2)とした。反応生成物溶液(A−1−2)中の反応生成物の酸価は167であった。尚、酸価測定は(A−1−2)溶液についておこない、換算で反応生成物の酸価を求めた。
【0056】
〔合成例3〕
マルキード33(商品名 荒川化学工業(株)製ロジン変性マレイン酸樹脂、色調(ガードナー8)酸価305、軟化点145℃)422.0gと酢酸エチル100.0gを攪拌装置付きフラスコに入れ充分溶解した後、CyclomerA200(商品名 ダイセル化学工業(株)製(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレ−ト))を98.0g投入しN,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加え、空気を吹き込みながら95℃にて24時間反応させ赤外線吸収スペクトルのエポキシ基由来のピークが消失したことを確認した。この後、系に無水ナジック酸82.0gを投入し空気を吹き込みながら95℃にて8時間反応させた。反応終了後、フェノキシエチルアクリレート100.0gを加え冷却し、続いて減圧下で酢酸エチルを留去した。フェノキシエチルアクリレート溶液として得られた反応生成物溶液を(A−2−1)とした。反応生成物溶液(A−2−1)中の反応生成物の酸価は165であった。尚、酸価測定は(A−2−1)溶液についておこない、換算で反応生成物の酸価を求めた。
【0057】
〔合成例4〕
超淡色ロジン「KR−610」(商品名 荒川化学工業(株)製の無色ロジン誘導体、ハーゼン色調60、酸価170、軟化点85℃)306.0gと酢酸エチル100.0gを攪拌装置付きフラスコに入れ充分溶解した後、CyclomerA200(商品名 ダイセル化学工業(株)製の(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレ−ト)を196.0g投入し、N,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加え、空気を吹き込みながら95℃にて24時間反応させ赤外線吸収スペクトルのエポキシ基由来のピークが消失したことを確認した。この後、系に無水トリメリット酸192.0gを投入し空気を吹き込みながら95℃にて8時間反応させた。反応終了後、フェノキシエチルアクリレート100.0gを加え冷却し、続いて減圧下で酢酸エチルを留去した。フェノキシエチルアクリレート溶液として得られた反応生成物溶液を(A−2−2)とした。反応生成物溶液(A−2−2)中の反応生成物の酸価は150であった。尚、酸価測定は(A−2−2)溶液についておこない、換算で反応生成物の酸価を求めた。
【0058】
〔合成例5〕
ヘキサヒドロフタル酸無水物154.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート116.0g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを攪拌装置付きフラスコに入れ、空気を吹き込みながら95℃にて赤外線吸収スペクトルの酸無水物由来のピークが消失するまで24時間反応させてモノエステル化合物(e−1)を得た。
【0059】
〔合成例6〕
4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物168.0g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート144.0g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.1g及びヒドロキノン0.3gを合成例1と同様に反応させてモノエステル化合物(e−2)を得た。
【0060】
〔参考例1〜4、実施例1〜4及び比較例1、2の孔埋めインクの製造〕
下記の表1に記載する参考例、実施例及び比較例の配合組成(単位:重量%)に基づいて各種成分を配合すると共に各々三本ロールにより混練し、本発明に係る参考例1〜4、実施例1乃至4及び比較例1、2の各孔埋めインクを調製した。
【0061】
【表1】
【0062】
次に参考例1〜4、実施例1〜4及び比較例1、2の各孔埋めインクを用いて、図1に示す工程に従ってスルーホール付き両面プリント配線板を製造した。まずガラスエポキシ両面銅張積層板(板厚1.6mm、銅厚35μm 基板サイズ 330mm×330mm)にドリル直径0.9mmの孔を5000個穿設し、無電解銅及び電解銅めっきにより孔壁を含む両面銅張積層板の全面に30μmの銅めっき層3を形成してプリント配線板製造用パネル10を作成した。次に、プリント配線板製造用パネル10を孔埋めインク4中に浸漬すると共にスルーホール2内に孔埋めインク4を充填した後に取り出し、プリント配線板製造用パネル10の両面に付着した孔埋めインク4をウレタンスキージーによりかき落した。続いて、このプリント配線板製造用パネル10を高圧水銀灯を用い、片面当たり2000mJで露光し、両面から孔埋めインクを硬化させた。
【0063】
その後、プリント配線板製造用パネル10の表面に付着した孔埋めインク4及びその硬化物4hを、ベルトサンダー(研削ベルト=400番)を用いて研磨し、さらに4軸両面研磨機にてバフ研磨することにより除去した。このように処理されたパネル10の表面に、互応化学工業(株)製「PER−143B−5」(商品名)の耐酸インク(エッチングレジストインク)を印刷し、紫外線露光により硬化させてエッチングレジスト層5を形成した。続いて、50℃の塩化第二銅鉄エッチング液により銅露出部分をエッチング除去し、水洗後、3%の水酸化ナトリウム水溶液のスプレーにより上記孔埋めインク硬化物4h及び耐酸インク(エッチングレジスト層5)を除去してスルーホール付き両面プリント配線板を作成した。
【0064】
上記のようにして得られた参考例1〜4、実施例1〜4及び比較例1、2の孔埋めインクについて、その製造過程における孔埋めインク4及び孔埋めインク硬化物4hの充填状態を評価すると共に、研磨工程における研磨性、エッチングレジスト適用時のエッチング適正及び剥離工程における溶解除去時間の各試験項目について試験した。結果を表2に示す。
【0065】
尚、スルーホールエッジのカバーリング性については、スルーホールのエッジ部分を十分な厚みで覆うことができたものに◎を、スルーホールのエッジ部分を覆うことができたものに○を、スルーホールのエッジ部分を覆うことができない箇所ができたものに×をそれぞれ付した。またエッチングレジストの印刷適性については、エッチングレジスト層5が非常に平坦なものに◎を、エッチングレジスト層5が平坦なものに○を、スルーホールのエッジ部分でエッチングレジストの印刷不良が生じたものに×をそれぞれ付した。さらにエッチング耐性については、エッチングの際にスルーホールのエッジ部分で侵食がまったく見られなかったものに◎を、エッチングの際にスルーホールのエッジ部分で若干の侵食が見られたものに○を、エッチングの際にスルーホールのエッジ部分で大きな侵食が見られたものに×をそれぞれ付した。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示すように、参考例1〜4、実施例1〜4は比較例1、2に比べて全ての試験結果について良好であった。一方、比較例1、2については、溶剤の溶出によるスルーホールエッジ部の侵食等の難点があった。
【0069】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の発明は、ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させてなる反応生成物にさらに多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物を1〜90重量%と、光重合触媒を0.01〜20重量%とを含有されているので、ロジン類にエチレン性不飽和基が導入された反応生成物を用いることによって、硬化性を向上させることができると共に均一な硬化反応を可能とすることができ、スルーホール付きプリント配線板を製造するのに用いた場合に、エッチング時におけるスルーホールエッジ部の保護作用に優れるものであり、しかもアルカリ溶液による除去性に影響を与える酸価を多塩基酸無水物によって容易に調整することができるものである。
【0070】
また本発明の請求項2に記載の発明は、ロジン類が酸価150以上であるので、スルーホール付きプリント配線板を製造するのに用いた場合に、硬化物をアルカリ溶液により容易に除去することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)乃至(e)は参考例及び本発明に係る孔埋めインクの使用方法の一具体例を順次説明する要部断面図である。
【符号の説明】
4 孔埋めインク
Claims (2)
- ロジン類と分子中に1個のみのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させた反応生成物にさらに多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物を1〜90重量%と、光重合触媒を0.01〜20重量%とを含有させて成ることを特徴とする紫外線硬化型の孔埋めインク。
- 上記ロジン類が酸価150以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型の孔埋めインク。
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