JP3808546B2 - パイルスぺーサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーガマシン等で拡底掘削され、根固め用のコンクリートが注入された竪杭内に沈設される中空パイルの上部に予め挿設されるパイルスぺーサであって、沈設された中空パイル内を上昇して中空パイル内を埋めて硬化するコンクリートを、その硬化後、中空パイル上端から所定の長さ分だけ除去するために用いるパイルスぺーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物等の基礎工事の施工法として、オーガマシン等で拡底掘削した竪杭内に根固め用のコンクリートを注入した後、当該竪杭に中空パイルを沈設して、当該コンクリートを硬化させる工法が知られている。この工法における中空パイルの沈設時には、竪杭に注入されたコンクリートが中空パイル内を上昇して満たし、更に余剰のコンクリートは中空パイルから溢れ出ることになる。
【0003】
ところで、竪杭内に沈設された中空パイルの上部には、この中空パイルと地中梁を一体に連結して形成するため、かご状の鉄筋が挿設されるので、養生後、当該上部を満たして硬化したコンクリートを除去し、このかご状の鉄筋を入れる空間を中空パイル上部に形成し直す必要がある。
【0004】
上記中空パイルの上部を満たして硬化したコンクリートの除去をしやすくするために使用されるのがパイルスぺーサである。
【0005】
上記パイルスぺーサとしては、間隔保持部材を介して組み合わせた内外二重の厚紙製の円筒状スぺーサと、合成樹脂発泡体製の円筒状で、縦方向に切欠部が形成されたスぺーサとが知られている(特開平4−371610号公報)。いずれもかご状の支持材を、その上部を露出させて内包した状態で中空パイルの上部に挿設されるもので、スぺーサ内で硬化したコンクリートを、露出した支持材の上部を介してバックホウ等の重機で上方に引きながら左右に振ることで、その下方で中空パイルと一体化して硬化したコンクリートから分断して除去できるようにするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、厚紙製の円筒状スぺーサは、上記公開公報でも指摘されているように、固い厚紙製でしかも円筒状であるので、外筒を中空パイル内にぴったり挿入しにくい問題がある。特に中空パイルの内面は不規則な凹凸が付いていることが多く、その内径精度もさほど高くないので、内面の凹凸や多少の内径の相違によらず挿入を可能にするためには、外筒の径をやや小さめにしておく必要があり、外筒と中空パイル内面間にある程度の隙間を生じるのが避けられない。このため、外筒と中空パイル内面間にコンクリートが浸入し、外筒を強固に中空パイル内面に付着させてしまい、外筒が中空パイル内に残留しがちである。また、外筒が除去できたとしても、外筒と中空パイル内面との間に浸入したコンクリートが残留することになる。厳格に工事を行うためにはその除去が必要となり、除去作業に多大な手間がかかる問題がある。
【0007】
一方、合成樹脂発泡体製の円筒状で、縦方向に切欠部が形成されたスぺーサは、材質的にある程度の柔軟性を有し、切欠部を狭めることで縮径できるので、やや大きめの径としておくことで、内面の凹凸や多少の内径の相違によらず中空パイル内面にフィットさせ得る利点がある。
【0008】
しかしながら、上記利点を有するものの、縮径はできても拡径はできないので、中空パイルの内径が予想以上に大きい場合には対応することができないばかりか、異なる径の中空パイル毎に対応する径のスぺーサを用意しなければならず、異なる径の中空パイルへの融通性に欠ける問題がある。また、縦方向に切欠部を有するので、そのままでは、スぺーサ内に上昇したコンクリートがこの切欠部を介して中空パイル内面と一体化してしまい、このスぺーサ内の硬化コンクリートを分断除去する妨げとなる。従って、外周又は内周に合成樹脂フィルム等を巻き付けて挿設するか、切欠部の位置をずらせて内外二重に組み合わせて挿設する必要があり、現場での作業が煩わしい問題もある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、中空パイル内面の凹凸や径の大小に拘わらず中空パイル内面にフィットさせることができ、しかも現場での挿設作業及びコンクリート硬化後の除去作業が容易かつ確実なパイルスぺーサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このために本発明では、図1及び図6に示されるように、弾性復帰可能な状態で横方向に丸めて、中空パイル1内に挿入可能な板状の本体2と、本体2を丸めた時の外面側縦方向に取り付けられた引き抜き支持板3とを有し、しかも本体2が厚さ5〜30mmのポリオレフィン系合成樹脂発泡板を複数枚重ねたパイルスペーサとしているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6に基づいて、本発明の実施の形態の一例を説明する。
【0012】
本例のパイルスぺーサは、図1に示されるように、厚さ2〜30mmのポリオレフィン系合成樹脂発泡板を2枚重ねた本体2を有するものとなっている。
【0013】
図1に示される本体は、2枚のポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねたものとなっているが、この枚数は3枚以上としてもよい。本発明で、特に本体2を複数枚のポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねて構成しているのは、本体2を中空パイル1(図6参照)の内面に沿った円筒形に丸めやすくするためである。即ち、本体2を1枚の厚肉のポリオレフィン系合成樹脂発泡板で構成すると、本体2を円筒形に丸める時の弾性反発力が大きくなって、この作業がしにくい。これに対して本発明のように薄いポリオレフィン系合成樹脂発泡板を複数枚重ねるようにすると、各ポリオレフィン系合成樹脂発泡板は個別に容易に屈曲変形しやすい状態にあることから、丸める際の弾性反発力が押えられ、作業が容易となる。本発明において、本体を構成する各ポリオレフィン系合成樹脂発泡板の厚みを5〜30mmとしているのは、薄過ぎると重ねるポリオレフィン系合成樹脂発泡板の枚数が過剰に多くなって扱いにくくなり、逆に厚過ぎると上記丸める際の弾性反発力を十分押えられなくなるためである。尚、積み重ねられるポリオレフィン系合成樹脂発泡板の厚みは、上記範囲のものであれば、同じ厚みのものであっても異なる厚みのものであってもよい。
【0014】
本体2を構成するポリオレフィン系合成樹脂発泡板は、例えばポリスチレン発泡体等に比して腰が強くかつ可撓性及び弾性に優れ、割れや欠けを生じることなく中空パイル1の内面に密着させやすいと共に、コンクリートが付着しにくい利点がある。ポリオレフィン系合成樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、これらを50重量%以上含む共重合体を挙げることができ、好ましくはポリエチレンである。ポリオレフィン系合成樹脂発泡板の発泡倍率は、必要な強度、弾性等を得る上で、5〜100倍であることが好ましく、更に好ましくは20〜50倍である。また、このポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねて構成される本体2全体の厚みは、後述する硬化コンクリートの分断除去時に左右に揺すりやすいよう、20〜50mmであることが好ましい。
【0015】
本体2の外面側(本体2を丸めた時の外面側)には、図2に示されるような引き抜き支持板3が、本体2を貫通するボルト6によって縦方向に取り付けられている。この引き抜き支持板3の取り付けは、取り付け位置となる本体2の外表面に浅い溝を形成しておき、本体2の外表面に対して引き抜き支持板3の表面ができるだけ平らに納まるように行うことが好ましい。また、引き抜き支持板3は、図1及び図3に示されるように、本体2を丸めた時にほぼ対向する2箇所に位置している。引き抜き支持板3は、図示されるように2本設けなければならないものではなく、本体2を丸めた時にほぼ対向する位置に設けられていれば3本以上とすることもできるが、一般的には2本で十分である。尚、図2において8は、ボルト6(図1及び図3参照)を通すためのボルト孔である。
【0016】
上記引き抜き支持板3は、例えば鋼板等の強固な材料で構成されているもので、丸めて中空パイル1(図6参照)内に挿入した本体2内で硬化したコンクリートを本体2と共に引き抜く際に、ブルトーザーやクレーン等の重機で外力を加える部材である。従って、引き抜き支持板3の一端(中空パイル1内挿入時の上端側)には、そこにワイヤーやフック等を掛けてブルトーザーやクレーン等の重機を接続するための掛け孔9が設けられている。図示される掛け孔9は、引き抜き支持板3の一端を本体2より突出させて、当該突出した部分に設けられているが、ワイヤーやフックは容易に本体2を貫通させることができるので、本体2と接触している引き抜き支持板3部分に設けることもできる。
【0017】
上記掛け孔9の形成部分には、一端が外向きに突出したL形の掛け板10が引き抜き支持板3に重ねて一体に取り付けられている。掛け板10の第1の役割は、掛け孔9部分を補強することである。掛け板10の第2の役割は、図6に示されるように、本パイルスぺーサを中空パイル1内に挿入した時に、中空パイル1の端縁に当接して、本パイルスぺーサの落ち込みを防ぐことである。掛け板10の第3の役割は、中空パイル1端部の鉄枠16部分に熔接することで、根固め用のコンクリートを注入した竪杭内に本パイルスぺーサをセットした中空パイル1を沈設した時に、中空パイル1内を上昇するコンクリートによって本パイルスぺーサが浮き上がらないようにすることである。
【0018】
引き抜き支持板3の他端(中空パイル1内挿入時の下端側)は、本体2の端面付近で本体2側に屈曲され、更に本体2の内面側に立ち上げられて、立ち上げ片4となっている。この立ち上げ片4には、図4に示されるように、本体2を丸めた時に、支持棒5が掛け渡されて取り付けられるものである。この支持棒5は、L字形に屈曲された一端を、対向する一方の立ち上げ片4に設けられた取付孔11に差し込み、他端を対向する他方の立ち上げ片4に設けられた取付孔11に差し込むと共にナット12を螺合することで取り付けられているものである。支持棒5は、丸めて仮止めした本パイルスぺーサを一時的に俵積みしておく際の潰れ防止を図るものであると共に、後で詳述する仕切り板14の取り付け部材として用いるものである。また、引き抜き支持板3は、上記立ち上げ片4を形成するために、本体2の端面付近で本体2の外面側から内面側へ屈曲されているので、掛け孔9にブルトーザーやクレーン等の重機を接続して引き抜き支持板3を上方に引っ張った際に、本体2の端面を引っ掛けて押し上げることができ、本体2を確実に引き抜き支持板3と共に引き抜くことができる。
【0019】
図1及び図2に示されるように、引き抜き支持板3の中間部には突起部7が突出している。この突起部7は本体2を貫通して、本体2の内面側に突出している。突起部7は、必須のものではないが、引き抜き支持板3と本体2の一体性、及び、引き抜き支持板3と丸めた本体2内で硬化したコンクリートとの一体性を高めることができるので、設けることが好ましい。また、突起部7は、図示されるような2箇所に設けるだけでなく、1箇所のみの設けたり、3箇所以上に設けることもできる。
【0020】
ところで、前述のように、引き抜き支持板3を本体2を貫通するボルト6で取り付け、また引き抜き支持板3に本体2を貫通して本体2の内面側に突出する突起部7を設けた場合、両引き抜き支持板3間に挟まれた本体2の領域においては、重ねられて本体2を構成している各ポリオレフィン系合成樹脂発泡板相互のずれはある程度抑制される。このため、当該領域においては、本体2を複数のポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねて構成することによる丸めやすさはある程度削減される。しかし、本体2を丸める際に最も丸めにくいのは、引き抜き支持板3よりも外方の本体2の両側端部分であり、しかもこの本体2の両側端は自由端となっていて、重ねられたポリオレフィン系合成樹脂発泡板相互の自由なずれが許容されており、前述の丸めやすさが発揮されるものである。また、ボルト6の貫通部分及び突起部7の貫通部分を長穴やスリットとし、これらの貫通部分に遊びを持たせることによって、各ポリオレフィン系合成樹脂発泡板相互のずれを許容して本体全体を丸めやすく維持することもできる。
【0021】
本体2の横方向の一側縁には、本体2を丸めた時に他側縁に重ねられる薄肉の重ね合わせ片13が設けられている。重ね合わせ片13は本体2と一体に形成もしくは本体2に溶着又は接着で設けられたものである。この重ね合わせ片13は必須のものではないが、重ね合わせ片13を設けておくと、本体2を丸めた時の両側縁部を、外面側に大きな段差を発生させることなく重ね合わせることができ、本体2の全外周を中空パイル1(図3参照)の内面に密着させやすくなり、本体2と中空パイル1内面との間へのコンクリートの侵入を防ぎやすくなる。
【0022】
前記重ね合わせ片13も、本体2と同様にポリオレフィン系合成樹脂製であることが好ましい。また、この重ね合わせ片13は、薄く形成されているものの、腰が強い部分となっていると、本体2を丸めた時の重ね合わせ作業が行いやすいので、非発泡のポリオレフィン系合成樹脂もしくは発泡倍率が50倍以下のポリオレフィン系合成樹脂発泡体であることが好ましい。ポリオレフィン系合成樹脂発泡体とする場合、特に発泡倍率が5〜50倍であることが好ましい。
【0023】
次に、上述のパイルスぺーサの使用方法を図3〜図8で説明する。
【0024】
まず、本体2を図3に示されるように丸める。この時、図4に示されるように、丸めた本体2の立ち上げ片4側開口を狭める仕切り板14を、例えば紐、粘着テープ、針金等の手段で支持棒5に取り付けておく。この仕切り板14は、中空パイル1(図6参照)内に挿設された本体2内にその下方から上昇して入り込むコンクリートの流入口を狭め、中空パイル1内のコンクリートが硬化した後、本体2内の硬化コンクリートと、その下方の硬化コンクリートとの間の連結箇所を上記流入口のみに仕切って、両者を分断しやすくするためのものである。
【0025】
図4に示される仕切り板14は、例えばゴムや合成樹脂等の可撓性を有する材料で構成された円盤で、周囲が切れ目16によって複数の舌片に分割されており、周囲の舌片がめくれ上ることでコンクリートを流入させるものとなっている。仕切り板14としては、丸めた本体2の内径よりやや小さな円盤状で、仕切り板14の周囲に残される隙間からコンクリートを流入させるものでもよい。他の仕切り板14の具体例としては、図5(a)に示されるように、例えばゴムや合成樹脂等の可撓性を有する材料で構成された円盤の中央部に十字形もしくは放射状に切れ目16を入れて複数の舌片を形成し、この舌片がめくれ上がることでコンクリートの流入を許容するもの、図5(b)に示されるように、コンクリートの流入口となる切り抜き部17を形成したもの等を挙げることができる。いずれの場合も、仕切り板14の材質としては、コンクリートが付着しにくいポリオレフィン系合成樹脂が好ましい。
【0026】
上述のように本体2を丸め、支持棒5と仕切り板14を取り付けた後、図6に示されるようにこれを中空パイル1内に挿設する。また、根固め用のコンクリートを注入した竪杭内に当該中空パイル1を沈設した時に、中空パイル1内を上昇するコンクリートによって本パイルスぺーサが浮き上がらないよう、掛け板10を中空パイル1上端の鉄枠15に熔接等で止め、本パイルスぺーサを押えておく。
【0027】
本パイルスぺーサは、単に丸めた状態で挿設されるもので、丸め方によって径を自在に調整できるので、中空パイル1内面の凹凸や内径の誤差はもとより、同じスぺーサを径の異なる異種類の中空パイル1に対して使用することが可能である。また、中空パイル1内に挿入された本体2は弾性復帰して拡径するので、中空パイル1内面の凹凸や内径の相違に拘わらず、中空パイル1の内面に密着しやすく、本体2と中空パイル1の内面との間にほとんど隙間を残さない。従って、中空パイル1内を上昇するコンクリートが、中空パイル1の内面と本体2の間にほとんど侵入しないことに加え、本体2がコンクリートが付着しにくいポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねたものであるので、養生後に行われる、本体2を含めた本パイルスぺーサの除去が容易である。
【0028】
本体2を丸めて中空パイル1内に挿入するに際しては、丸めた本体2を、例えば紐、テープ、テープファスナー付テープ等で仮止めし、ある程度挿入した後にこの仮止めを外すようにすると、挿入作業が容易となる。また、紐やテープ(例えばポリプロピレン製テープ)等を巻き付けて本止めし、そのまま中空パイル1内に挿入しても、丸めた本体2は、内部に流入するコンクリートによって、紐やテープを巻き付けた部分がくびれてしまう程に拡径する。従って、中空パイル1の内径に比して丸めた本体2の外径が極端に小さくならなければ、このような止め方をした本パイルスぺーサでも本体2を十分中空パイル1の内面に密着させることが可能で、しかも中空パイル1内への挿入作業性も向上する
ところで、本体2が図1及び図3に示されるような重ね合わせ片13を有する場合、中空パイル1の内径が小さいと、丸めた本体2の端縁部がこの重ね合わせ片13を越えて重ね合わされる場合がある。このような場合、本体2をカッター等で適宜切断して長さ調節すればよい。
【0029】
本パイルスぺーサを図6に示されるように中空パイル1にセットした後、中空パイル1を建て込み、図7に示されるように、根固め用のコンクリートを注入した竪杭内に沈設する。沈設は、クレーン等で中空パイル1を釣り下げて行うが、適当な速度で垂直に中空パイル1を降下させるのは必ずしも容易ではなく、中空パイル1の下端が竪杭の側壁をこすりながら沈設されたり、中空パイルが急速に降下されてしまう場合もある。このようなことから、中空パイル1ないを上昇してくるコンクリートと共に大きな石や瓦礫が押し上げられ、これが丸めて挿設した本体2内に嵌り込んでしまうことも生じる。大きな石や瓦礫が本体2内に強固に嵌り込んでしまうと、養生後の本パイルスぺーサの引き抜きが困難になる。支持棒5は、このような大きな石や瓦礫が本体2内に入り込むのを防止するためのものでもある。
【0030】
養生の後、図8に示されるように、本体2内の硬化コンクリートをその下方の硬化コンクリートから分断して、本パイルスぺーサごと抜き取り除去する。この分断除去は、引き抜き支持板3を、その掛け孔9にワイヤーやフックを掛けてブルトーザーやクレーン等の重機に接続して引き上げ、必要なら更に左右に揺することで行う。本パイルスぺーサでは本体2の外面側に引き抜き支持板3が位置しているので、その上部を中空パイル1の中心方向に傾けることで、本体2と中空パイル1内面との剥離を促進することができる。特に図8に示されるように、逆Y字形にワイヤー等を掛けて上方に引くと、矢印で示すように、引き抜き支持板3の上部を中空パイル1の中心方向へ傾ける力が自動的に加わるので、本パイルスぺーサの引き抜きが一層容易となる。
【0031】
上記分断は、前記仕切り板14を設けておかなくても可能ではあるが、前述した通り、この仕切り板14を設けておくと、本体2内の硬化コンクリートとその下方の硬化コンクリート間がこれで仕切られ、分断しやすくなるので好ましい。また、本パイルスぺーサは、前述のように本体2と中空パイル1の内面との間にコンクリートが侵入しにくく、しかも本体2はコンクリートが付着しにくい材質であるので、本体2と中空パイル1が強く接合されにくい。仮に本体2と中空パイル1内面との間に多少コンクリートが侵入したとしても、上述のように引き抜き支持板3の上部を中空パイル1の中心方向へ傾けることで、本体2と中空パイル1内面との剥離を促進できるので、引き抜きが容易である。
【0032】
ところで、中空パイル1を埋め込む位置の地質や施工状態によっては、中空パイル1の上部までコンクリートが上昇せず、これに代わって土砂が押し上げられてしまうことがある。この場合、本体2内は土砂で満たされた状態となるが、土砂はコンクリートのように硬化しないことから、引き抜き支持板3に加えられる引き抜き力が分散せず、引き抜き支持板3部分に集中的に加わりやすくなる。このような状態となると、引き抜き支持板3のみが本体2から外れて引き抜かれてしまい、土砂と本体2が残留してしまいやすくなる。本パイルスぺーサにおける引き抜き支持板3は、このような状態をも想定したもので、引き抜き支持板3が本体2を外側から抱え込むと共に、その下端部が本体2端面付近で本体2の内側へ屈曲されていて、確実に引き抜き力を本体2に加えられるようになっていることから、上記のような状態においても土砂と共に全体を容易に引き抜くことができるものである。
【0033】
このようにして、本パイルスぺーサ及び本体2内の硬化コンクリートもしくは土砂を除去した後は、これによって開けられた中空パイル1上部の空間にかご状の鉄筋を挿設し、地中梁の構築が進められることになる。
【0034】
次に、図9に基づいて、本発明の実施の形態の他の例を説明する。尚、図9において図1と同じ符号は同様の部材を示す。
【0035】
図9に示されるパイルスぺーサは、ほぼ図1に示されるものと同様であるが、本体2を丸めた時の内面側に、上下2箇所、横方向に弾性帯板18が取り付けられている点が相違している。この弾性帯板18は、例えば鋼板等、コンクリートが付着しやすく、しかも強固で弾性的に湾曲可能な帯板で、本体2を丸めた時に共に弾性的に丸まり、本体2が広がって復帰しようとする力を高める働きをなす。また、引き抜き支持板3と本体2の接合を補強すると共に、丸めた本体2内で硬化したコンクリートと一体化して、当該コンクリートを引き抜き支持板3及び本体2と共に引き抜きやすくするものでもある。弾性帯板18は、図9に示されるように2条設けなければならないものではなく、1条のみとしたり、3条以上とすることもできる。
【0036】
弾性帯板18の取り付け面である本体2の内面側は、本体2を丸めた時に圧縮されることから、弾性帯板18の長さは本体2の横方向長さに比して短くて足る。また、この本体2を丸めた時の内面側の圧縮を許容するよう、弾性帯板18は本体2に対して全体を固着せずに、弾性帯板18が、本体2に対して横方向にずれることができる状態で取り付けられていることが好ましい。
【0037】
引き抜き支持板3と弾性帯板18は表裏に分かれて交差しており、この交差部においてボルト6によって本体2、弾性帯板18及び引き抜き支持板3の一体化が図られている。但し、弾性帯板18は、上記のように、本体2に対して横方向にずれることができる状態で取り付けられていることが好ましいことから、ボルト6の貫通箇所に溝孔19が形成されており、この溝孔19を介して横方向への自由度が維持されている。尚、図9においては、左右の引き抜き支持板3と弾性帯板18の夫々の交差部に溝孔19が形成されているが、左右のいずれか一方の引き抜き支持板3(一般的には重ね合わせ片13とは反対側の引き抜き支持板3)と弾性帯板18の交差部にだけ溝孔19を形成してもよい。また、引き抜き支持板3に設けられている突起部7と同様の突起を弾性帯板18の表面に設けることもできる。
【0038】
図10は、本体2の他の例を示すもので、本体2の下端部内縁がテーパ面20となっている。このようにすると、根固め用のコンクリートが注入された竪杭内に中空パイル1を沈設したときに上昇して来るコンクリートは、図10中矢印で示されるように、テーパ面20に沿って流れ、本体2の下端部を中空パイル1の内面に押し付けることになる。従って、本体2と中空パイル1の内面間にコンクリートが侵入しにくくなる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した通りのものであり、次の効果を奏するものである。
【0040】
(1)本体2が、複数枚のポリオレフィン系合成樹脂発泡板を重ねることで構成されており、丸めやすくなっているので、現場で丸めて中空パイル1に挿入する作業が行いやすい。
【0041】
(2)中空パイル1に挿入された本体2は弾性的に拡径して中空パイル1の内面に密着するので、中空パイル1内面の凹凸や、中空パイル1の内径誤差に拘わらず、中空パイル1への挿入密着が容易である。
【0042】
(3)上記と同じ理由から、径の異なる異種の中空パイル1に対して同じパイルスぺーサを使用でき、汎用性が高い。
【0043】
(4)本体2が中空パイル1の内面に密着するので、本体2と中空パイル1の内面間にコンクリートが侵入しにくいと共に、本体2がコンクリートが付着しにくいポリオレフィン系合成樹脂発泡板製であるので、除去が容易で、はつり等の後処理の手間を省略できる。
【0044】
(5)引き抜き支持板3が丸めた本体2の外面側に位置しており、引き抜き支持板3の上部を中空パイル1の中心方向に傾けることで、本体2と中空パイル1内面との剥離を促進することができる。従って、本体2と中空パイル1の内面間に多少コンクリートが侵入しても引き抜きが容易である。
【0045】
(6)引き抜き支持板3の下端側を本体2の端面付近で本体2の内面側に屈曲させておくと、引き抜き支持板3に加わる引き抜き力を確実に本体2に伝えられると共に、引き抜き支持板3が本体を外側から抱き込むように押えることになるので、引き抜き時に引き抜き支持板3が本体から分離することなく確実に全体を引き抜くことができる。
【0046】
(7)立ち上げ片4間に掛け渡して支持棒5を取り付けておくと、本体2を丸めて一時的に積み上げておく際に、本体2の潰れを生じにくいと共に、支持棒5を仕切り板14の取り付けに利用できるので、仕切り板14の取り付けが容易となる。
【0047】
(8)現場で別々の複数の部品を組み合わせて使用する必要がないので、現場での作業性がよい。
【0048】
(9)輸送及び保管時に丸めずに展開状態としておけば、平板状で輸送及び保管を行うことができ、輸送及び保管スペースをとらず、これらに要するコストを節減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイルスぺーサの一例を示す展開状態の斜視図である。
【図2】引き抜き支持板の斜視図である。
【図3】図1のパイルスぺーサを丸めた状態を示す斜視図である。
【図4】図1のパイルスぺーサを丸めた状態の立ち上げ片側の断面斜視図である。
【図5】仕切り板の例を示す図である。
【図6】図1のパイルスぺーサを中空パイル上部にセットした状態を示す断面図である。
【図7】図1のパイルスぺーサをセットした中空パイルを、根固めコンクリートを注入した竪杭に沈設した状態の断面図である。
【図8】パイルスぺーサ内の硬化コンクリートをその下方の硬化コンクリートから分断して抜き出す途中状態の断面図である。
【図9】本発明に係るパイルスぺーサの他の例を示す展開状態の斜視図である。
【図10】本体の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空パイル
2 本体
3 引き抜き支持板
4 立ち上げ片
5 支持棒
6 ボルト
7 突起部
8 ボルト孔
9 掛け孔
10 掛け板
11 取付孔
12 ナット
13 重ね合わせ片
14 仕切り板
15 鉄枠
16 切れ目
17 切り抜き部
18 弾性帯板
19 溝孔
20 テーパ面

Claims (5)

  1. 弾性復帰可能な状態で横方向に丸めて、中空パイル内に挿入可能な板状の本体と、本体を丸めた時の外面側縦方向に取り付けられた引き抜き支持板とを有し、しかも本体が厚さ5〜30mmのポリオレフィン系合成樹脂発泡板を複数枚重ねたものであることを特徴とするパイルスペーサ。
  2. 引き抜き支持板が本体を丸めた時に相対向する位置に設けられており、この引き抜き支持板の一端が、本体の端面付近で本体側に屈曲され、更に本体の内面側に立ち上げられて、支持棒が掛け渡されて取り付けられる立ち上げ片となっていることを特徴とする請求項1のパイルスぺーサ。
  3. 本体の内面側横方向に弾性帯板が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2のパイルスぺーサ。
  4. 本体の横方向一端縁に、丸めた時に本体の他端縁に重ねられる薄肉の重ね合わせ片が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3いずれかのパイルスぺーサ。
  5. 引き抜き支持板の他端側に、外向きに突出する掛け板が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4いずれかのパイルスぺーサー。
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