JP2789783B2 - 液状化対策管、その製作方法、および液状化対策管の栓 - Google Patents

液状化対策管、その製作方法、および液状化対策管の栓

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JP2789783B2 JP2128780A JP12878090A JP2789783B2 JP 2789783 B2 JP2789783 B2 JP 2789783B2 JP 2128780 A JP2128780 A JP 2128780A JP 12878090 A JP12878090 A JP 12878090A JP 2789783 B2 JP2789783 B2 JP 2789783B2
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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、地震時に液状化発生の可能性のある地盤
(以下、単に液状化地盤という)の液状化対策に用いる
管および該管に取付ける栓に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、液状化対策として、地盤中に多数の孔あき管を
離散的に設け、地震時に生ずる過剰間隙水圧を該孔あき
管内に逸散させて、液状化を防止する工法がある(特開
昭61−146910号公報、特開昭62−211416号公報など参
照)。
すなわち、第28図(a)〜(c)に示すような、長手
方向および周方向に多数の小孔62を穿設し、その孔部に
通水性のあるフィルター63を設けた孔あき管61を、液状
化の恐れのある砂質地盤の所定深さに立設することによ
り、地震時に砂質地盤に発生する過剰間隙水圧を、その
孔62を通して孔あき管61内に逸散させることができる。
上記通水性のフィルター63は、砂が間隙水とともに孔あ
き管61内部に侵入するのを阻止するために設けられてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述の通水性のフィルターは、通常、テトロン、ナイ
ロンなどの合成繊維、合成樹脂、または金属製の薄い材
料からなり、土砂、施工機械などとの接触により損傷を
受けやすい。そして、損傷を受けた場合には孔部からの
砂の侵入を阻止する役割を十分果たせないことになる。
したがって、孔あき管はその運搬、地盤への設置時など
の取り扱いに十分注意しなければならないという問題点
があった。
また、上記フィルターは、土砂、施工機械などとの接
触による損傷の可能性を若干でも少なくするためには、
通常孔あき管の内側から取付けることが好ましいが、こ
の場合、孔あき管の内部の空間が狭いため、取付け作業
が非常に煩雑となる。
さらに、上述のようにフィルターが損傷を受けやすい
ことから、従来、例えばフィルターを管外周面全面に設
けた孔あき管を地盤に設置する場合、鋼管製のケーシン
グパイプをオーガーにより回転圧入して所定深さまで建
込んだ後、ケーシングパイプ内を通して孔あき管を所定
深さまで立設し、次にケーシングパイプ先端を開放して
ケーシングパイプを地盤から抜き上げ、孔あき管を液状
化層に残置するなどの方法がとられている。しかし、こ
の方法では施工が大がかりとなるだけでなく、施工上、
ケーシングパイプの外径と孔あき管の外径との間に隙間
ができ、地盤への設置後の孔あき管の周囲近傍地盤はど
うしても緩んでしまうこととなり、そのままでは液状化
の危険を増すことにもなりかねない。
本発明は、上述のような問題点の解決を図ったもの
で、液状化対策管の運搬、地盤への設置時などの取り扱
いを容易にするとともに、フィルターの取付け作業を容
易にするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の液状化対策管は、管壁に多数の孔を穿設し、
その孔に通水性のあるフィルターとこのフィルターの損
傷を防止するためのフィルター防護部材が設けられた栓
を取付けたものであり、孔あき管の運搬や地盤への設置
の際のフィルターの損傷を防止するとともに、フィルタ
ーの取付け作業を著しく容易にするものである。本発明
において、栓の軸部にはその軸方向に貫通孔が形成さ
れ、この貫通孔内にフィルターが設けられ、さらにこの
貫通孔にはフィルター防護部材が設けられている。
すなわち、従来の液状化対策管のように管壁の孔に対
しフィルターを直接設置するのではなく、孔ごとにフィ
ルターおよびフィルター防護部材付きの栓を設けたもの
であり、多数の孔を穿設した管と、その孔と同数の栓を
用意し、各孔に栓を嵌合することで本発明の液状化対策
管が形成される。
また、管の運搬時や地盤への設置時に、栓が管から離
脱しないように、栓の一端または両端に管の孔の径より
も大きい径を有する離脱防止部を設けることもできる。
液状化対策管の製作方法としては、多数の孔を穿設し
た管と、その孔と同数の栓を用意し、穿孔済の管の各孔
に上述の栓を嵌合することにより、フィルターおよびフ
ィルター防護部材付きの孔あき管を容易に製作すること
ができる。
また、本発明の液状化対策管は、フィルターおよびフ
ィルター防護部材を栓の貫通孔に設けてあるため、ケー
シングパイプなどによるフィルターの保護を必要とする
ことなく、ディーゼルハンマー、油圧ハンマー、バイブ
ロハンマー、圧入機などにより、直接、地盤に設置する
ことができる。
〔作 用〕
液状化防止の原理は、本発明の管を地盤に設置し、管
に取付けられた栓を通して地盤内の間隙水を中空の管内
に排出できるようにすることにより、地震時に液状化地
盤に発生する過剰間隙水圧を逸散させ、液状化の発生を
防止するものである。
第16図は液状化対策管の模型を液状化地盤を設置して
自由減衰波加振実験の結果を示したものである。液状化
対策管を設置した地盤では、過剰間隙水圧比が0.5以下
に優に収まっており、液状化防止効果があるのに対し、
設置しない地盤のみの場合は、過剰間隙水圧比が0.6以
上となりほぼ液状化した状態になる。
第17図は液状化対策管および液状化対策をしない普通
の管を設置した地盤において、同一荷重を管に作用させ
た場合、加振しない常時の変位に対する加振時の管の変
位をそれぞれの管について示したものである。加振時の
管の変位は常時のそれに比べて無対策管の場合では3倍
近くになるのに対して、液状化対策管の場合には1.5倍
程度に収まる。このことから、液状化対策管を設置した
地盤では、地震時においてもかなりの水平抵抗力が期待
できることがわかる。
第18図は液状化対策管または無対策管を打設した地
盤、および管を打設しない地盤に、載荷板により水平荷
重を加えてゆき、途中で地盤全体を加振した場合の水平
荷重Pと載荷板変位δの関係を示したものである。液状
化対策管を設置した場合には加振中でも水平抵抗が期待
できるのに対し、無対策管を設置した場合には加振中ほ
とんど水平抵抗が期待できない。すなわち、液状化対策
管を設置した地盤では管周囲が液状化することなく、管
が水平抵抗力を発揮するのに対し、無対策管を設置した
地盤では管周囲も液状化して管は水平抵抗力がほとんど
なくなる。
以上のように、液状化対策管を設置すると、地震時に
おける地盤の液状化を防止し得るとともに、水平抵抗力
を期待することができる。
また、本発明の液状化対策管を構造物の基礎杭などに
用いると、最も液状化の発生しやすい基礎杭近傍の液状
化を防止することができるので、安全性の高い基礎杭を
提供することができる。
そして、フィルターおよびフィルター防護部材が装着
された栓を孔あき管の孔部に取付けるという方法を用い
ることにより、孔あき管の運搬や地盤への立設の際のフ
ィルターの損傷を防止できる。また、フィルター防護部
材を設けたことにより、特に本発明の管を地盤に設置す
る際に、栓の軸方向に土砂が侵入してきてもフィルター
の損傷を防ぐことができる。なお、栓の端部に離脱防止
部を設けることにより、管の地盤への設置時にも栓の離
脱を確実に防止することができる。
施工方法についても従来のようにケーシングパイプを
地盤に圧入して、またはケーシングオーガーを回転圧入
させ地盤に設置孔を設けた後、排水管を設置する方法を
採用する必要はなく、本発明の管は、直接、地盤に圧入
機により圧入することができるし、バイブロハンマーや
ディーゼルハンマーなどの機器により、直接、地盤に打
設することができる。よって施工は従来に比べ極めて簡
単となり、施工方法にも幅をもたせることができる。
さらに、本発明の管の製作についても、穿孔した管の
孔部に、内部にフィルターが装着され、さらにフィルタ
ー防護部材が設けられている栓を嵌合するだけなので、
従来の孔あき管のフィルターの取付け作業に比べ、はる
かに容易なものとなる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明
する。
第1図は本発明の液状化対策管1の概要を示したもの
で、管1の穿孔部2の各小孔には栓4が取付けられてお
り、その栓4の内部にはフィルターが内設されている。
管の穿孔部2の長さは、対象となる液状化地盤の層厚
に対応する長さ以上とすればよい。
第2図は栓4の断面の一例および孔あき管1への栓4
の装着方法の一例を示したものである。また、第3図
(a)は第2図の栓4の側面図で、第3図(b)および
第3図(c)は正面図および背面図である。
この実施例においては、栓4は軸部5、栓離脱防止部
9,10、およびフィルター防護部材8から構成され、その
軸方向に貫通孔6を有している。そして、その貫通孔6
内のフィルター防護部材8の管1内面側に通水性のある
フィルター7が内設されている。栓軸部5の外径は、管
1の孔3の直径とほぼ同寸法となっている。栓離脱防止
部9,10の径は管1の孔32の直径より大きい。フィルター
防護部材8は栓軸部5と一体的に設けられているのが望
ましく、この防護部材8には通水性を確保するため、多
くの小孔が設けられている。
本発明の液状化対策管は、通常、管の孔に栓が取付け
られた状態で運搬され、さらに地盤中に立設され、地盤
の液状化防止に供用されるものであるため、栓はその過
程で損傷をうけることのないよう十分な強度を有する必
要がある。また、栓を管の孔に挿設するためには、少な
くとも栓離脱防止部はある程度柔軟性のある材料とする
必要がある。また、フィルター防護部材は、ナイロンフ
ィルター等、比較的薄く、弱いフィルターを液状化対策
管の運搬、立設、供用時などに、その損傷から防護する
ものであるから、この目的を満足する強度を確保する必
要がある。また、この意味からもフィルター防護部材は
栓と一体的に製造するのが望ましいが、もちろん別体と
して後から取付けることも可能である。栓の材料として
は、上記の条件を満足するものであれば特に限定されな
いが、栓の孔への嵌合性実験、地盤中への本発明の液状
化対策管の打設実験などの結果からは、例えば塩化ビニ
ール、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレンなどの
合成樹脂、ゴムなどが適当と考えられる。
また、フィルター防護部材は通水性のための小孔が設
けられているが、小孔の形状は円形、角形など特に限定
されるものでない。フィルター防護部材の各小孔の径、
メッシュはほぼ同じ大きさであることが望ましい。ま
た、フィルターは防護部材がないと、液状化対策管の立
設時に粒径の比較的大きい砂(荒砂)との摩擦によって
破損するおそれがあるため、フィルター防護部材の小孔
の径、メッシュは対象とする荒砂の大きさより小さくし
ておけばよい。フィルター防護部材の材料は、例えば前
述の塩化ビニール、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロ
ピレンなどの合成樹脂、ゴムなどでよく、防護部材の孔
径またはメッシュとピッチを調節することによって所要
の強度を確保すればよい。
第2図および第3図の実施例においては、フィルター
防護部材8が荒砂の管1内への流入を防止する1次のフ
ィルターの役割をも果たし、この防護部材8の管内側に
あるフィルター7は、フィルター防護部材8を通過した
比較的細かい土粒子の管内への流入を防止する役割を果
たす。
フィルターとしては、ステンレス製のフィルターを用
いてもよく、合成繊維製のものや合成樹脂製のものを用
いてもよい。発錆の懸念があるときは、後者のフィルタ
ーの方が好ましく、例えばナイロン製、ポリエチレンモ
ノフイラメント製、ポリエステル製などの経編布や、ポ
リプロピレン製、ポリエステル繊維製などの不織布など
を用いることができる。また、合成繊維どうし、合成樹
脂どうし、あるいは合成繊維と合成樹脂を組合わせた
り、重ね合せたりして、フィルターとしてもよい。例え
ば、薄い経編布や不織布からなる合成繊維製のフィルタ
ーの片面または両面に、この合成繊維製フィルターより
厚く、メッシュの大きい合成樹脂製のフィルター、また
は合成繊維製フィルターより厚く、そのメッシュより大
きい小孔を多数有する合成樹脂製のネットを重ね合せて
補強したフィルターを用いることもできる。この場合、
メッシュの大きい合成樹脂製のフィルターやネットが前
述のフィルター防護部材の役割を果たすことになり、そ
の場合は別途フィルター防護部材を用いなくてもよい。
フィルターとしての経編布や不織布、またはステンレ
ス製フィルターなどのメッシュまたは間隙は、液状化防
止などの対象とする地盤(一般には砂地盤)の土の粒径
分布を勘案して、土砂によるフィルターの目詰まりを起
こさないように設定するのがよい。このメッシュまたは
間隙は、液状化の可能性のある地盤で、土の粒径が特別
大きく、比較的均一に分布している地盤では1〜3mm程
度に大きく設定することも可能であるが、こうした地盤
は少なく、液状化の可能性のある一般的な地盤では1〜
3mm程度よりかなり小さく設定するのがよい。また、フ
ィルターは目詰まり防止のためには薄い方が望ましい。
液状化対策におけるフィルターの透水係数は、液状化
対策管の設置地盤にもよるが、一般に10-2cm/sec〜10-1
cm/sec程度以上のものが好ましい。また、フィルター防
護部材の孔径またはメッシュは、一般にフィルターのメ
ッシュまたは間隙より大きいので、フィルターの透水係
数が所定のものなら、フィルター防護部材とフィルター
を重ね合せたときの透水係数も所定の仕様を確保するこ
とができる。
第2図の実施例におけるフィルター付き栓4の管1へ
の嵌設については、栓離脱防止部10側を管1の孔3に当
てがい、栓離脱防止部9側をハンマーなどで打撃するこ
とにより、容易に管壁の孔3に装着することができる。
栓離脱防止部10の経は管壁の孔経より大きいので、装着
時は管壁の孔径まで縮小され、この孔部を栓離脱防止部
10が通過すると拡径し、装着は完了する。したがって栓
の材質は弾性あるいは可撓性を有することが必要であ
る。栓4の装着を容易にするために、第3図に示すよう
に栓4の軸部5から栓離脱防止部10にわたりスリット11
を設けてもよい。第3図の例ではスリット11を4箇所設
けているが、スリット11の幅、長さ、数は、栓4の嵌設
が容易であり、かつ嵌設栓4が離脱しないように、栓4
の材質、軸部5の長さに応じて適当に変えればよい。
上述のようにして栓4を装着すれば、栓離脱防止部9,
10により、栓4が機械的に管1の孔3に固定されること
となり、本発明の管の運搬、施工時などに離脱しなくな
る。
栓を装着する本発明の管本体は、鋼管、鋳鉄管、コン
クリート管、鋼・コンクリート複合管、塩化ビニールや
ポリエチレンなどの合成樹脂管など、いずれでもよく、
液状化対策の対象となる液状化地盤の層厚以上の管長に
わたって穿孔されている。
地震時に地盤の過剰間隙水圧を逸散し、液状化を防止
するためには、開孔部の全面積(個々の孔の面積の和)
の、穿孔部の全表面積に対する割合(開孔率と呼ぶ)で
1%以上の通水し得る面積を確保するのが望ましい。こ
の開孔部の面積は地盤の性質(土砂の粒径、密度な
ど)、地震の性質、管の性質(管径、管内中空部の大き
さ、内面の粗度など)などにより決定すればよい。例え
ば、開孔率約1〜6%で径20〜1400mmの管を対象とした
実験結果では、この液状化対策管は地盤に適切なピッチ
で配置すれば液状化が確実に防止することができる。
フィルター付き栓の別の実施例として、前述の栓の実
施例にフィルター防護部材8bを管1の内面側にさらに付
加したものを第4図、第5図に示す。この実施例は第2
図、第3図に示した実施例と栓4の部材は同じであり、
液状化対策管1の施工時に管1内面に土砂が入ってきた
場合のフィルター4の破損防止のために、フィルター防
護部材8bを付加したものである。フィルター防護部材8b
は栓4の軸部5などと一体成形することもできる。ま
た、フィルター防護部材8aを栓4の軸部5などと一体成
形した後、フィルター防護部材8bを栓4の軸部5に接着
接合して栓4を製造してもよい。
フィルター7を防護部材8a,8bで防護した形のこの栓
4は、例えば第1図に示すような管1において、管1の
先端が開放されており、施工時に管内に土砂が侵入して
くる場合などにおいても、フィルター7の破損を防止す
ることができる。
なお、地盤の液状化層にある液状化対策管の内部は、
地震時に地盤の間隙水を排出するために中空であること
が必要なので、土砂が施工時にこの部分に侵入する場合
には、液状化対策管を地盤へ建込んだ後、管内侵入土砂
をグラブハンマーや、第6図に示すような土砂吸引排出
機31(パイプ32に吸引力を与え、液状化対策管1内に入
れたパイプ32先端から管内の土砂33を吸引し、地盤上へ
排出する機械、例えば水中ポンプなどを利用すればよ
い)などにより液状化対策管の外へ排出すればよい。
第7図、第8図および第9図、第10図にフィルター付
き栓4の別の実施例を示す。これらの例においては栓軸
部5が円錐台の外径を有している。栓4の材質、フィル
ター7の特性は前述の例と同じであり、フィルター7の
破損防止のため、フィルター防護部材8を設けている。
第7図、第8図に示す実施例は第2図〜第5図に示し
た実施例に比べ軸部5の形状が異なり、先端の栓離脱防
止部10を省略した構造となっている。第9図、第10図の
実施例は、第7図、第8図の実施例から、さらに離脱防
止部9を除いた例である。
これらの実施例における栓4は管1の孔3の中に、そ
の軸部5を所要の押込み力により押込むことによって挿
設される。この際、円錐台の外形を有する軸部5は、そ
の直径方向に圧縮力を受け、基部においても先端部と略
同寸法の直径となる。したがって、軸部5周面と孔3の
内周面との間には摩擦力が生じ、この摩擦力によって栓
4が孔3に固定されることとなる。よって、本発明の液
状化対策管1を地盤中に立設する場合、周辺の地盤から
抵抗力をうけても、栓4は脱落することなく、孔3に固
定されたままとなる。
さらにより確実に栓4を管1の孔3に固定するために
は、栓4の軸部5周面に接着剤を塗布した後、栓4を管
1の孔3に嵌設してもよい。
第7図、第8図に示した栓4の場合、管1の表面側に
栓離脱防止部9を有しており、液状化対策管1の施工時
に、土砂と管1外面が接触する場合でも、土砂が貫通孔
6に侵入するのを防ぐので、フィルター7の破損を防止
することができる。
第9図、第10図に示した例は栓離脱防止部9,10がない
ので、液状化対策管1の施工時に土砂の侵入圧力が対策
管1の管径方向にかかる場合や、液状化対策管1の供用
時に、管が水平方向に振動して土砂の圧力が管径方向に
かかる場合などについて、栓4の軸部5外周面と管1の
孔2内周面の摩擦力で、上記侵入圧力に抵抗できるか検
討すべきである。実験によると、栓軸部外径を管の孔に
対し適当に調節すると所要の抵抗力をもたせることがわ
かった。さらに、確実に栓を管の孔部に固定するために
は前述したように接着剤を利用してもよい。なお、第9
図、第10図に示した例は栓4に栓離脱防止部9,10がない
ので栓材料が少なくてすむという利点がある。
第2図、第3図、および第4図、第5図に挙げた栓離
脱防止部9,10を持つ構造の栓では、栓離脱防止部10は栓
4の軸部5とあらかじめ一体的に成形されている。一
方、以下に述べる栓は栓離脱防止部10を管1の孔3へ挿
設した後、拡大するものである。この栓は管の孔部への
嵌合をより容易にし、嵌合後は栓の離脱を防止しようと
するものである。
第11図はこの実施例において栓4を孔3に取付けた状
態を示し、第12図(b)はその状態における栓4の側面
図、第12図(c)は同じく断面図である。この例におい
ては、次のような方法により孔3に取付ける。すなわ
ち、第12図(a)のように栓4は、孔3への取付け前は
栓離脱防止部10が拡大されていない状態となっている。
ただし、孔3へ挿設の後、硬化材の注入によって栓離脱
防止部10を拡大できるよう、軸部5の内部に予め注入管
12を設けておき、栓離脱防止部10は硬化材を収入し得る
袋にしておく。栓4を孔3へ挿設した後に、硬化材を注
入管12の中に注入することによって、栓離脱防止部10の
袋の中に硬化材が充填され、軸部5先端において拡大さ
れ、第11図、第12図(b),(c)に示されるように、
栓離脱防止部10が拡大する。その結果、栓4は孔3に係
止され固定される。フィルター7およびフィルター防護
部材8の内設される位置は、前述の実施例の場合と同様
である。
なお、硬化材とは経時により硬化する特性のある材料
で、例えばセメントモルタル、ポリマーモルタル、合成
樹脂などを用いることができる。
以上に述べた5タイプの栓は液状化対策管の運搬、施
工、供用条件によって選択すればよい。一般には、孔あ
き管への嵌設が簡単で、孔への係止、固定が確実であ
る、第2図〜第5図に示した栓離脱防止部9,10を有する
栓を用いれば十分所定性能、条件を満足する液状化対策
管を得ることができる。
液状化対策管の栓を嵌設している部分(穿孔部)は管
を液状化地盤へ立設した後、地盤の液状化防止に供用す
る段階においては、管内が地盤の間隙水の排出経路とな
るため中空である必要がある。第1図に示した本発明の
液状化対策管で管先端が開放されているものは、この管
の地盤への立設時に穿孔部2の管内に土砂が侵入してく
るおそれがある。穿孔部管内に土砂が侵入した場合に
は、前述したようにグラブハンマー、土砂吸引排出機な
どで土砂を管外へ排出し、穿孔部管内を中空にすればよ
いが、他の方法としては第1図に示した液状化対策管1
の穿孔部2の管内下端から液状化対策管の先端部の間に
土砂侵入防止手段を講じればよい。
第13図(a),(b)はその一例として、液状化対策
管1の下端に土砂侵入防止のためのキャップ13を設けた
もの(第13図(b))および液状化対策管1の穿孔部2
の下端に土砂侵入防止蓋14を設けた例(第13図(b))
を示したものである。この例では蓋14をリブ15で補強
し、蓋14には管1の立設を容易にするため、小さい空気
抜き孔16を設けている。この蓋14は、例えば、管径が50
0〜600mm程度以上の鋼管なら、溶接により容易に取付け
ることができる。また、管径が40〜200mm程度の鋼管な
ら、リブまたは空気抜き孔をなくした蓋またはキャップ
を溶接により管先端部に取付けてもよい。さらに、管径
が40〜200mm程度の樹脂管なら、リブまたは空気抜き孔
をなくして樹脂溶接により管先端部に取付けてもよい
し、管先端部にキャップを同様により取付けてもよい。
一方、管先端の構造を前述のものとは別にした例を第
14図、第15図に示す。
第14図(a)は円形断面の管を穿孔し、フィルター付
栓4を嵌設した液状化対策管1の例である。管先端部に
は平板からなる土砂侵入防止蓋24を設けている。径の大
きい管であっても、管設置地盤の強度が小さければ、こ
のような蓋24で十分実用的である。また、細径管であっ
ても、同様にこのような蓋24で十分実用的である。管1
の上端部は蓋19で閉じている。この場合、地盤の間隙水
は液状化対策管1の上部から管外へ排出され、液状化地
盤の過剰間隙水圧が逸散されることとなる。管径が40〜
200mm程度の管なら一般に第14図(a)に示す構造の液
状化対策管1を用いればよい。また、必要に応じて管1
上部の孔数は他の部分に比べて増やしてもよい。
第14図(b)は円形断面を有する、第14図(a)に示
したものと別の構造を持つ液状化対策管1の例である。
管1の先端には管の地盤への立設を容易とし、管1内へ
の土砂侵入防止のため尖端部17を有している。管1上端
部には、図に示すようにフィルター18を設け、液状化対
策管1を地盤に立設後、液状化抑止のために供用した場
合、管上部から管内に土砂が流入しないようにしてい
る。このフィルター18は栓4に付けるフィルター7と同
じ材質のものでもよいが、フィルターは破損しやすいた
め、通水性のある樹脂ネットまたは溶接金網などで防護
することが望ましい。
あるいは、例えば第14図(c)に示すように液状化対
策管1の上端部は完全に蓋19で閉じてもよい。この場
合、地盤の間隙水は液状化対策管1の上部から管外へ排
出されるので、液状化対策管1の上部に、間隙水の排出
を円滑にするために必要な孔面積を確保すればよい。一
般には、管1の上端部を蓋19で閉じても、管1の上部の
孔径、孔数は管1の下部とほぼ同じでよい。対策管上部
の構造の他の一例として、図に示したように、管1上部
の孔を他の部分に比べ大きくし、ここに前述した構造の
フィルター付栓20を嵌設してもよい。この場合、間隙水
はこの栓20またはこの栓20の下方の栓4を通して外部へ
排出される。また、必要なら液状化対策管1の上部の孔
の大きさを他の部分と同じ大きさとして、管1の上部の
み孔数を増やしてもよい。第14図(b)中、21は本発明
の液状化対策管1をバイブロハンマーで打設する場合に
使用するチャック把持用治具の一例を示したものであ
り、蓋19部分に固定されている。
第14図(d)に示した液状化対策管1は、第14図
(a)に示したものと同様な管1の下部に螺旋状ひれ
(オーガー)23を取り付けた例である。この場合、管1
は液状化地盤に管1を回転圧入して設置すれば、施工が
容易となる。また、管1を回転圧入して設置する場合、
管1と地盤の摩擦を切り施工を容易とするために、管1
の下部は第13図(a)に示した構造とするか、管1下部
外周面に帯状に平板22を取付けた構造(第14図(c)参
照)としてもよい。
また、液状化対策管1の管断面は必ずしも円形でなく
てよく、第15図(a),(b),(c)のように角形で
あってもよい。さらに、多角形または任意の断面を持つ
管であってもよいが、要は管内が地盤の間隙水の排出経
路となるため、円滑な排出のための中空部断面積が確保
されていればよい。
また、液状化対策管を液状化層下方の非液状化層まで
立設する場合は、管が非液状層に入る部分は第14図
(a),(c)、第15図(a),(c)などに示すよう
に穿孔しなくてよい。
本発明の液状化対策管を液状化防止に供用するため、
液状化地盤41に設置した状況を第19図(a),(b)に
示す。
液状化対策管は地盤の液状化防止に必要な間隔で設置
する。比較的細い径の管1Bを用いる場合には管の内径は
一般に40〜200mm程度、またはそれ以上でよく、管の配
置間隔は一般に200〜3000mm程度、またはそれ以上でよ
い。液状化対策管1B本体として鋼管、鋼・コンクリート
複合管(例えばいわゆるSC杭)、コンクリート杭などの
ような剛性と強度の高いものを用いた液状化対策管1Bを
液状化地盤41下方の締った地盤42まで貫入すると、対策
管1Bは液状化地盤41の液状化を防止するだけでなく、液
状化地盤41を拘束し、安定化させる効果がある。特に、
地表面または液状化層下面が傾斜している場合、地盤は
液状化によりすべりを起こし、大災害となるおそれがあ
ることが現在確認されており、液状化対策管1Bはこの場
合、大いに効果を発揮することとなる。
例えば、第20図(a),(b)に示すように、液状化
地盤41上に鉄道道路、堤防などの盛土43が構築されてい
る場合、または盛土43を新設する場合、盛土43下方の液
状化地盤41、または盛土のり尻近辺の液状化地盤に液状
化対策管1Bを設置すれば、液状化地盤41や液状化する可
能性のある盛土43の液状化を防止できるだけでなく、液
状化地盤41や盛土43の強度を増し、盛土のすべり崩壊を
防ぐことができる。図中、44は液状化対策管1B上端から
排出される間隙水を排水するための砕石層である。
液状化対策管1Bの地盤拘束効果をより確かなものとす
るためには、第21図(a),(b)に示すように対策管
1Bを締った非液状化地盤42まで建込み、対策管1B頭部を
結合材45(例えば棒鋼、形鋼など)で結べばよい。図は
2方向に結んだ例であるが、いずれか1方向だけ管頭部
を結んでもよい。この場合、対策管1Bの上下端で変位が
拘束され、従って、液状化地盤41も拘束されるので液状
化防止効果はより大きく、地盤の安定化も確実に図れ
る。こうした対策管1Bの設置方法は地表面や液状化層下
面が傾斜している場合に適用すれば最も大きな効果が期
待できる。
本発明の液状化対策管は、バイブロハンマー、ディー
ゼルハンマー、油圧ハンマー、圧入機などにより地盤に
直接打込み、設置でき、施工が極めて簡単である。前述
したように、従来は、小孔を多数有し、管周囲に破断し
やすい薄いフィルターを巻付けた樹脂管を地盤に設置す
るため、鋼管製のケーシングパイプをオーガーにより回
転圧入して所定深さまで建込んだ後、ケーシングパイプ
の中を通して前記樹脂管を所定深さまで立設し、次にケ
ーシングパイプ先端を開放してケーシングパイプを地盤
から抜き上げ、前記樹脂管を液状化層の残置するなどの
方法がとられていた(この方法は、従来の砕石ドレーン
工法における砕石の液状化層へ残置させ地盤内に砕石杭
を設ける方法と同様である)。しかし、従来の方法で
は、ケーシングパイプの外径(通常は100〜125mm程度)
と樹脂管の外径(通常は50〜100mm程度)の間に、施工
上、差ができてしまい、地盤への設置後の樹脂管の周囲
近傍地盤はどうしても緩んでしまうこととなる。
液状化層を排水管(孔あき樹脂管など)の設置前より
緩めることは、本来、緩い状態にあり液状化の危険があ
る地盤を、さらに緩めることであり、同じ大きさの地震
において、地盤の過剰間隙水圧が短時間により高まりや
すくなる。すなわち、液状化の危険をより大きくするこ
とになる。
したがって、設置される排水管の開孔率はより大き
く、またその配置間隔はより密にしないと地盤の過剰間
隙水圧を短時間に逸散することができなくなる。
一方、排水管の開孔率を大きくすると、管の剛性、強
度が低下するし、孔数が増えることにもなるのでより高
価となる。また、排水管の配置間隔をより密にすると、
液状化対策費が嵩み、地盤が排水管設置により緩む割合
がさらに大きくなる。
以上のように、排水管設置時に液状化地盤をより緩
め、軟弱化する従来の施工方法は大きな欠点を有し、液
状化対策効果は低いと言える。また、実際に、剛性の低
い排水管を緩い地盤に設置して振動台実験を行ったが、
排水管をかなり密に配置しても地盤の液状化防止効果は
少ないことが判明した。
従来の排水管は管内への土砂侵入防止用フィルターが
管周囲に取付けられており、この薄いフィルターが地盤
との摩擦により破断するので、排水管を地盤にそのまま
打ち込むことができなかった。
ところが、本発明の栓を付けた排水管(液状化対策
管)はそのまま地盤に打込んでもフィルターは破れない
構造となっており、大きな特長を有している。
実際、粒径分布範囲0.05〜2.0mm、平均粒径D50=0.48
mm、標準貫入試験のN値が35以内の地盤に、本発明の栓
を多数付けた液状化対策管をハンマーにより打込んだ
後、この対策管を引き抜き、栓部のフィルターの損傷を
確認する実験を行ったところ、フィルターは全く損傷し
ていなかった。液状化対策を施す対象地盤は通常N値15
以内であり、本発明の液状化対策管は直接の打ち込みに
耐えられ、十分な実用性を有している。
よって、本発明の液状化対策管は従来のようなケーシ
ングパイプを使うことなく、直接液状化地盤にバイブロ
ハンマー、ディーゼルハンマー、油圧ハンマー、圧入機
などにより立設することができ、地盤を緩めることはな
い。
むしろ、管の立設により地盤は締固まることとなる。
すなわち、管を地盤へ立設するとき、 管は地盤を側方に移動せしめ、締固める。
管周辺地盤では、局部液状化がおこり、間隙水が管
内に流入することにより、砂の骨格の再編成が生じ、す
なわち、砂と砂の間隙が小さくなり、管周辺地盤が締固
まることとなる。特にこの現象はバイブロハンマーを用
いたときに顕著である。
また、地盤への打込み作業は過剰間隙水圧を逸散させ
る効果により、同じ大きさの通常の管を打込む場合より
容易となる利点もある。
本発明の液状化対策管の施工例を第22図に示す。この
例では、液状化対策管1として第14図に示したような構
造のものを用い、それを油圧ショベル22に装着したバイ
ブロハンマー23により、液状化地盤41に立設している。
この場合、液状化対策管1の立設以前の液状化地盤はN
値10以下とかなり緩かったが、対策管1の立設後はN値
が増加したこと、および液状化対策管1の立設作業は順
調に行え、フィルターが破断することもなかったことが
確認できた。
よって、地盤の強度がより高まっていること、および
地盤内の過剰間隙水圧が高まろうとしても、間隙水が中
空の対策管内を通って上部へスムーズに排出されるの
で、過剰間隙水圧の上昇が避けられることにより、地震
時の地盤の液状化防止が効果的に行えることとなる。
本発明の液状化対策管をケーソン護岸・岸壁へ適用し
た例を第23図に示す。この場合、液状化の危険が高いの
は、ケーソン背面地盤48、ケーソン46前部のマウンド47
のり尻部下方地盤である。ケーソン背面地盤48には、第
19図、第21図に示したように液状化対策管1Bを立設すれ
ばよい。ケーソン背面地盤48で、液状化が支持地盤42直
上の地盤まで起こる可能性があれば、液状化対策管1Bを
支持地盤まで立設すればよい。
マウンド47のり尻部下方の液状化地盤41には液状化対
策管1Aを支持地盤42まで打込む。液状化対策管1Aは法線
方向に、すなわち紙面直角方向に適当な間隔で立設す
る。液状化対策管1Aは周囲地盤の液状化を防止すること
ができ、対策管1A周辺地盤の側方への移動も拘束するこ
ととなるので、ケーソン46は耐震補強される。
一般に対策管1Aの管径、剛性、強度は対策管1Bより大
きくすることが望ましい。
建物基礎へ本発明の液状化対策管を適用した例を第24
図に示す。この場合、液状化対策管1Aの液状化地盤42に
ある部分にのみ液状化対策管を設ければよい。建物49の
基礎杭として液状化対策管1Aを用いるので、管としては
保有耐力の大きい鋼管などが望ましく、鋼管であれば直
径は一般に400〜800mm程度である。
ただし、液状化地盤42に建築される個人住宅の直接基
礎(布基礎)の沈下防止、補強として本発明の液状化対
策管を用いるときは管径40〜200mm程度の鋼管を液状化
対策管の本体として用いればよい。このとき、液状化対
策管の先端は支持力が必要なだけ取れる地盤まで貫入す
ればよい。このようにして本発明の液状化対策管を用い
れば地震に対し安全な住宅の基礎を提供することができ
る。
第24図に示した、液状化対策管1Aを用いた基礎は、対
策管1A周辺の液状化が防止でき、水平地盤反力が地震時
でも取れるので、液状化対策を施してない通常の管を用
いた場合よりも相当安全な基礎となる。
さらに、安全にしようとすれば、第25図に示すよう
に、建物49の周辺地盤にも液状化対策管1Bを設置すれば
よい。この場合も建物49の基礎としての液状化対策管1A
としては、本発明の栓を用いて液状化対策を施した鋼管
杭などを用いることが望ましい。また、液状化対策管1B
の本体材料は、地盤の拘束効果を期待できる点からは鋼
管などの剛性・強度をもつ材料が望ましいが、単に液状
化防止を意図するだけならこの材料は合成樹脂管であっ
てもよい。ただし、液状化対策管1Bも液状化対策管1Aと
同様にディーゼルハンマー、油圧ハンマー、バイブロハ
ンマー、圧入機などにより液状化地盤に設置するので、
対策管1B本体の材料が合成樹脂管であっても、設置に耐
えられるだけの強度、剛性を有することが必要である。
液状化対策管1Bの管径は、建物の基礎の検討から定ま
る対策管1Aの管径よりも一般に小さくてよく、前述した
ように40〜200mm程度、またはそれ以上でよい。
次に、橋梁の橋脚50または橋台部分の基礎杭として液
状化対策管を用いた例を第26図に示す。この場合も液状
化対策管1Aの本体の材料は鋼管などが望ましく、液状化
対策部は液状化地盤41に相当する基礎杭の一部分だけで
よい。この例では杭の施工誤差も考慮し、安全をみて非
液状地盤42層に入る杭の一部にも本発明の栓4を取付け
ている。
地震時、地盤の間隙水は栓4を通じて液状化対策管1A
の内部に流入し、対策管1Aの上部から砕石部51を通じて
地盤上方へ排出され、地盤の液状化を防止する。
よって、杭の水平地盤反力が地盤時に確実に取れ、安
全な基礎を提供することができる。
基礎杭から離れた所まで地盤の液状化を確実に防止す
れば杭基礎の安全性はさらに高まる。このため、第27図
に示すように液状化対策管1Bを基礎杭としての液状化対
策管1Aの周辺に打設することができる。
液状化対策管1Aの管径は基礎杭の検討から決定され、
対策管1Aの管本体材料が鋼管の場合、通常500〜1400mm
程度が多く使用される。
液状化対策管1Bは第25図の場合と同様、管径は40〜20
0mm程度、管本体材料は鋼管が望ましいが、所定の剛
性、強度を備えていれば合成樹脂管であってもよい。
液状化対策管1Aを通して地震時の地盤の間隙水を地盤
外へ排出する方法は、第26図の場合と同様であってもよ
いが、第27図に示すように液状化対策管1Aの上部に、地
盤の間隙水の円滑な排出に必要な中空断面積を持つ排水
管52を取付け、この排水管52を橋脚50のフーチング内に
配管し、液状化地盤の間隙水を地盤外へ排出させてもよ
い。
以上のように本発明の液状化対策管1A,1Bを用いれ
ば、地盤の液状化を確実に防止でき、地震に対して安全
な杭基礎を提供することができる。
〔発明の効果〕 本発明の液状化対策管は、運搬、地盤への設置時な
どにフィルターが損傷することがなく、取り扱いが極め
て容易である。
本発明の液状化対策管は、フィルターを保護するた
めのケーシングパイプなどを用いることなく、バイブロ
ハンマー、油圧ハンマー、ディーゼルハンマー、圧入機
などの通常の施工機械を用いて直接地盤に打ち込め、打
ち込み時に地盤の間隙水を液状化対策管から抜くことが
できるので、施工が極めて容易である。また、施工時に
地盤を緩めることもない。
本発明の液状化対策管は、穴を穿設した管の穴部
に、貫通孔にフィルターおよびフィルター防護部材を設
けた栓を、高価な機械を使うことなく極めて簡単に、嵌
合し固定できるので製作が容易である。
また、一度固定されると、運搬、施工、供用時の衝
撃、摩擦などで管の孔部から離脱することもないので、
品質も保証される。
液状化対策管の孔部に固定される栓は、その貫通孔
内に地盤の土砂で目づまりしないフィルターを有し、フ
ィルター損傷防止用の、通水性が大きく、強度のより高
い防護部材を栓の本体部と一体化して設けるなどして、
運搬、施工、供用時にフィルターの損傷を防止するとと
もに、地震時、地盤の間隙水を円滑に管内に排出するこ
とができる。
また、栓本体部にスリットを設けるなどして、栓本体
の可撓性あるいは弾性を利用して、孔の製造誤差を吸収
し、管の孔部に容易に嵌合することができる。また、栓
の管から離脱防止部を栓の端部に設けることにより機械
的に管からの離脱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の液状化対策管の概要を示す斜視図、第
2図は孔あき管への栓の装着状態の一例を示す鉛直断面
図、第3図(a)〜(c)はそれぞれ第2図の栓の側面
図、正面図および背面図、第4図は栓の他の実施例にお
ける装着状態を示す鉛直断面図、第5図(a)〜(c)
はそれぞれ第4図の栓の側面図、正面図および背面図、
第6は管内土砂吸引排出システムの概要を示す鉛直断面
図、第7図は栓のさらに他の実施例における装着状態を
示す鉛直断面図、第8図(a)〜(c)はそれぞれ第7
図の栓の正面図、側面図および断面図、第9図は栓のさ
らに他の実施例における装着状態を示す鉛直断面図、第
10図(a),(b)はそれぞれ第9図の栓の側面図およ
び断面図、第11図の栓のさらに他の実施例における装着
状態を示す鉛直断面図、第12図(a)〜(c)はそれぞ
れ第10図の栓の離脱防止部拡大前の側面図、拡大後の側
面図および拡大後の断面図、第13図(a),(b)はそ
れぞれ先端に土砂侵入防止キャップまたは蓋を設けた液
状化対策管の例を示す斜視図、第14図(a)〜(d)お
よび第15図(a)〜(c)はそれぞれ本発明の液状化対
策管の異なる実施態様における斜視図、第16図は自由減
衰波加振実験による過剰間隙水圧比の経時変化を示すグ
ラフ、第17図は液状化対策管の実験における加速度と管
の変位比(5本配置)を示すグラフ、第18図は液状化対
策管の実験における水平抵抗と載荷板変位関係を示すグ
ラフ、第19図(a),(b)は液状化対策管の地盤への
設置状況を示す平面図および鉛直断面図、第20図
(a),(b)はそれぞれ液状化地盤上に盛土がある場
合の適用例を示す鉛直断面図、第21図は液状化対策管の
頭部を結合した場合の配置例を示す平面図および鉛直断
面図、第22図は液状化対策管の地盤への打込み施工状況
を示す鉛直断面図、第23図はケーソン護岸、岸壁への適
用例を示す鉛直断面図、第24図は建物基礎への適用例を
示す鉛直断面図、第25図は建物基礎および周辺地盤への
適用を示す鉛直断面図、第26図は橋脚基礎への適用を示
す鉛直断面図、第7図は橋脚基礎および周辺地盤への適
用を示す鉛直断面図、第28図(a)〜(c)は従来の液
状化対策管の一例を示す斜視図、正面図(一部断面図)
および水平断面図である。 1……液状化対策管、2……穿孔部、3……孔、4……
栓、5……軸部、6……貫通孔、7……フィルター、8
……フィルター防護部材、9,10……栓離脱防止部、11…
…スリット、12……注入管、13……キャップ、14……土
砂侵入防止蓋、15……リブ、16……空気抜き孔、17……
尖端部、18……フィルター、19……蓋、20……フィルタ
ー付栓、21……チャック把持用治具、22……帯状平板、
23……螺旋状ひれ、24……土砂侵入防止蓋、25……油圧
ショベル、26……バイブロハンマー、31……土砂吸引排
出機、32……パイプ、33……土砂、41……液状化地盤、
42……非液状化地盤、43……盛土、44……砕石層、45…
…結合材、46……ケーソン、47……マウンド、48……ケ
ーソン背面地盤、49……建物、50……橋脚、51……砕石
部、52……排水管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜田 浩 東京都千代田区大手町1丁目1番3号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−211416(JP,A) 特開 昭61−146910(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 3/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管壁に多数の孔を穿設してなる管の前記各
    孔に栓が取付けられており、該栓はその軸方向に貫通孔
    を有し、該貫通孔内にフィルターを設けてあり、さらに
    前記貫通孔には、前記フィルターとともにフィルターの
    損傷防止用の通水性のあるフィルター防護部材を設けて
    あることを特徴とする液状化対策管。
  2. 【請求項2】軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔内にフィ
    ルターが内設され、さらに該貫通孔には、前記フィルタ
    ーとともにフィルターの損傷防止用の通水性のあるフィ
    ルター防護部材を設けてなる栓を、前記管の各孔に嵌合
    し、固定することを特徴とする請求項1記載の液状化対
    策管の製作方法。
  3. 【請求項3】軸方向に貫通孔を有する軸部と、前記貫通
    孔内に設けたフィルターと、該貫通孔に設けたフィルタ
    ーの損傷防止用の通水性のあるフィルター防護部材とか
    らなることを特徴とする液状化対策管の栓。
  4. 【請求項4】前記軸部の両端部には前記管の孔の径より
    も大きい径を有する離脱防止部が形成されており、少な
    くとも一端の離脱防止部は力を作用させることにより弾
    性的に変形し、前記管の孔への装着を可能としてある請
    求項3記載の液状化対策管の栓。
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