JP5861882B2 - 構造物の基礎構造 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1に示すような支持層に支持杭を根入れする工法では、大掛かりな打設機械を用いて支持杭を打設する必要があり、とくに液状化層が深い場合には支持杭の本数、長さも増大し、施工費が大きくなるという問題があり、その点で改善の余地があった。
図1に示すように、本第1の実施の形態による構造物の基礎構造1は、下層を構成する非液状化層2と、上層を構成する液状化層3と、を有する地盤上に構築される構造物10を支持する構造である。
ここで、構造物10は、例えばビル等であり、布基礎11(基礎)によって支持されている。なお、図1および図2において、布基礎11は、断面視で逆T字状をなし、複数列(ここでは3列)に配列されている。
なお、側方通水部13は、ドレーンパイプ14と同様の材料でもよいし、ドレーンパイプ14よりも透水性の高い材料によって構成されていてもよい。
この場合、構造物の沈下に伴う排水量qw1がドレーンパイプの可能排水量qw2以下となるように求める。
つまり、ドレーンパイプは、構造物の液状化中あるいは後の地盤沈下に伴って生じる間隙水を地上へ排水できる能力をもつように設計する。具体的は、構造物の沈下に伴う排水量を算出する。液状化後の地盤の沈下量Dsによる必要排水量ΔVwを(1)式により算定する。なお、(1)式において、La、Lbは、それぞれ建物(構造物)の短辺、長辺を示している。
沈下は、時間Δt(1日程度)がかかって生じるとき、必要な排水流量qw1は(2)式に基づいて算出される。
ここで、Awvは、ドレーンパイプの断面積である。導水勾配ivは、ドレーンパイプの下端深度をH、ドレーン下端、上端に作用する水頭をそれぞれhw1、Hw2として、以下の式から算定する。水圧は、深度Hの面に作用する全応力に等しいと仮定し、この値からhw1を算出する。そして、(5)式を満たすようにしてドレーンパイプを設計する。
図1に示すように、本実施の形態の基礎構造1では、地震により液状化層3内に生じた過剰間隙水をドレーンパイプ14により集水し、さらにその水がドレーンパイプ14から排水層12にくみ上げられ、排水層12に連通する側方通水部13を通じて地上に排水することが可能となる。つまり、液状化層3内において、液状化に伴って生じる過剰間隙水圧を抑制することができ、砂の流動や噴砂を抑え、液状化現象の発生を防止することができる。そのため、噴砂に伴う構造物10の不同沈下を防止することができ、周辺地盤と同等レベルの沈下に抑えることができる。
すなわち、図4に示すように、ポスト液状化状態に達した地盤に対して排水することなくさらにせん断力を作用し続けると、非可逆の塑性体積ひずみ(圧縮側)にダイレクタンシーによる可逆的な塑性体積ひずみ(膨張側)が追いつけず、地盤が完全な液体状態なる。この状態が噴砂や構造物の不同沈下が生じる地盤の破壊に達した状態である。
一方、適切に排水しながら上記のせん断力を作用させると、非可逆の塑性体積ひずみ圧縮側)と可逆的な塑性体積ひずみ(膨張側)が常に釣り合い、ポスト液状化状態が安定に継続するから、本実施の形態はそのような安定なポスト液状化状態を保持することで構造物の支持力を確保するという技術思想に基づき、構造物の沈下や傾斜といった液状化被害を低減するものである。
なお、本実施の形態の有効性については、本出願人が先に特願2012−18495により記載した解析実験に基づいて確認することができる。
図5に示すように、第2の実施の形態の基礎構造は、布基礎11の側面に上下方向に延在する凹溝11bに透水性を有する材料を充填させた構成の側方通水部15を設けたものである。凹溝11bは、布基礎11の側面の周方向に所定間隔をもって複数設けられ、排水層12(図3参照)に連通している。なお、凹溝11b内に充填される材料としては、砂利が用いられるが、その他に例えばプラスチック立体細状成形品のような透水性の高い材料を採用してよもよい。
次に、第3の実施の形態について、説明する。
図6および図7に示すように、第3の実施の形態では基礎部が構造物10の面積に配置される直接基礎16(基礎)に適用したものである。すなわち、直接基礎16の下面16bの全面にわたって設けられる排水層12と、その排水層12に連通するとともに非液状化層2に接続される複数のドレーンパイプ14と、直接基礎16の側面16aに沿って設けられる側方通水部17と、を有している。側方通水部17は、地上部に連通しており、これにより排水層12に集水されている水を地上に排水できる構成となっている。
この場合も、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、地震によって生じる液状化層3内の過剰間隙水を地上に排水することで液状化を抑制することが可能となるので、液状化対策として用いる支持層まで根入れする支持杭の施工を不要とすることができ、施工費の低減を図ることができる。
次に、第4の実施の形態について、説明する。
図9および図10に示すように、第4の実施の形態では、構造物10を支持する複数の独立基礎18(基礎)に適用したものである。この独立基礎18は、平面視矩形をなし、構造物10に対して複数が互いに間隔をあけて設けられている。すなわち、本実施の形態による基礎構造1は、独立基礎18の側面18aに沿って形成される側方通水部19が設けられるとともに、下面18bの全面にわたって所定の厚さ寸法で形成される排水層12が設けられ、その排水層12に連通するとともに非液状化層2に接続される複数のドレーンパイプ14を有している。
例えば、本実施の形態では布基礎11、直接基礎16、独立基礎18を基礎の対象としているが、これらに限定されることはなく、他の形状の基礎に適用することも可能である。
また、基礎の側面に凹溝を形成し、その凹溝に透水性を有する材料を充填する構成について、凹溝の位置、数量、形状は任意に設定することができる。
さらに、排水層12や側方通水部13、15、17(17A)、19(19A)の厚さ寸法についても、適用する液状化層3の地盤条件に基づいた適宜な算定に基づく寸法に設定することができる。
2 非液状化層
3 液状化層
10 構造物
11 布基礎(基礎)
11a 側面
11b 凹溝
12 排水層
13、15、17、17A、19、19A 側方通水部
14 ドレーンパイプ
16 直接基礎(基礎)
16a 側面
16c 凹溝
18 独立基礎(基礎)
18a 側面
18c 凹溝
Claims (4)
- 下層を構成する非液状化層と、上層を構成する液状化層と、を有する地盤上に構築される構造物の基礎に用いられる構造物の基礎構造であって、
前記基礎の下面全面にわたって設けられた排水層と、
前記基礎の側面に沿って上下方向に連続し、前記排水層と地上部とを連通する側方通水部と、
該排水層の下面から前記非液状化層に向けて鉛直に設けられるとともに、前記非液状化層の上面に接続する透水性を有するドレーンパイプと、
を有し、
前記排水層、前記側方通水層、および前記ドレーンパイプは、それぞれ全体が透水性を有する砂利や砂礫からなり、
前記ドレーンパイプの上端面が前記排水層に連通していることを特徴とする構造物の基礎構造。 - 前記側方通水部は、前記基礎の側面に形成された上下方向に延在する凹溝に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
- 前記側方通水部は、平面視で前記基礎の側面全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の基礎構造。
- 前記側方通水部は、前記ドレーンパイプよりも透水性の高い材料によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構造物の基礎構造。
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