JP3808184B2 - 自動二輪車のエンジン用サイドカバー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車のエンジン用サイドカバー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の自動二輪車では、車体フレームの左右両側に且つエンジンの後方に、乗員用ステップを配置する形式のものが多い。この他に、乗員用ステップの位置を変えた形式の自動二輪車も好まれ、このような自動二輪車として、例えば特公昭63−6726号公報「自動二輪車における排気管装置」の技術がある。
この技術は、その公報の第1図によれば、内燃機関E(符号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)のクランクケース2の側方にステップ9を配置した自動二輪車である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関Eを水冷エンジンとした場合には、一般にクランクケース2の側部にウォータポンプを取付ける。また、内燃機関Eを2サイクルエンジンとした場合には、クランクケース2の側部に、エンジン潤滑用オイルポンプを取付けることが多い。これらのウォータポンプやオイルポンプは露出している。すなわち、エンジン補機類の取付け構造は、機能を優先させた構成である。しかし、露出した部材が多いと、自動二輪車におけるステップ廻りの機能美(機能的外観性)が低下する。
【0004】
一方、走行時の空気抵抗を低減させると共に、自動二輪車の外観性を向上させるために、車体全体をカバーで覆う、いわゆるフルカウリングが採用される。フルカウルであるから内燃機関Eも覆われる。しかし、一部の利用者は、内燃機関Eを見せた方が機能美が高まると考え、それを望んでいる。
さらに、クランクケース2の側方にステップ9を配置した場合には、クランクケース2からの放熱でステップ9廻りの足元が熱くなる。
【0005】
そこで本発明の目的は次の(1)及び(2)にある。
(1)自動二輪車における乗員用ステップ廻りの外観性を高め、しかも、エンジン全体としての機能美も高めること。
(2)クランクケースからの放熱で乗員用ステップ廻りの足元が熱くならないようにすること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、エンジンのクランクケースの側方に乗員用ステップを配置した自動二輪車において、クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆い、このサイドカバーでクランクケースと乗員用ステップとを仕切った。
クランクケースの側面は、サイドカバーで覆われるのでほとんど見えない。
サイドカバーは、クランクケースからの放熱を遮る。このため、乗員用ステップ廻りの足元は熱くならない。
【0007】
さらに請求項1の発明では、前記エンジンを2サイクルエンジンとし、この2サイクルエンジンのクランクケースの側面にクランクシャフトで駆動されるオイルポンプを取付け、このオイルポンプをサイドカバーで覆った。
クランクケースの側面にあるオイルポンプをサイドカバーで覆うことで、外観性を高める。
【0008】
上記目的を達成するために請求項2の発明では、エンジンのクランクケースの側方に乗員用ステップを配置した自動二輪車において、クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆い、このサイドカバーでクランクケースと乗員用ステップとを仕切った。
クランクケースの側面は、サイドカバーで覆われるのでほとんど見えない。
サイドカバーは、クランクケースからの放熱を遮る。このため、乗員用ステップ廻りの足元は熱くならない。
さらに請求項2の発明では、エンジンを水冷式エンジンとし、この水冷式エンジンのクランクケースの側面にクランクシャフトで駆動されるウォータポンプを取付け、このウォータポンプをサイドカバーで覆った。
クランクケースの側面にあるウォータポンプをサイドカバーで覆うことで、外観性を高める。
【0009】
請求項3の発明では、サイドカバーを樹脂製カバーとし、この樹脂製カバーをクランクケースに対して所定の隙間を開けて配置した。
樹脂製サイドカバーは、乗用ステップ廻りが熱くならないように、クランクケースからの放射熱(ふく射熱)を遮る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0011】
図1は本発明に係る自動二輪車の左側面図である。
自動二輪車1は、クレードル型車体フレーム2と、車体フレーム2のヘッドパイプ3に取付けたフロントフォーク4と、フロントフォーク4に取付けた前輪5と、フロントフォーク4に連結したハンドル6と、車体フレーム2の前部上部に跨ぐように取付けた燃料タンク7と、燃料タンク7の左下方で車体フレーム2に取付けたオイルタンク8と、車体フレーム2の後部上部に取付けたシート9と、車体フレーム2のクレードルスペース内に配置した水冷式2サイクルエンジン10と、エンジン10の吸気口に直列接続したエアクリーナ11、気化器12並びに吸気管13と、吸気管13から分岐した吸気チャンバ14と、エンジン10の排気口に接続した排気管15並びにサイレンサ16と、エンジン10の前方に配置したラジエータ17と、車体フレーム2の後部に取付けたスイングアーム18と、スイングアーム18の後端部を車体フレーム2に懸架したリヤサスペンション19と、スイングアーム17に取付けた後輪20とからなる。
【0012】
また、自動二輪車1は、エンジン10のクランクケース10aの左右両側方に乗員用ステップ23,23(この図では左側の1つだけを示す。)を配置し、また、エンジン10に潤滑油を供給する潤滑油供給装置31をエンジン10の近傍に配置したものである。
図中、24はチェンジペダル、25は駆動用チェーン、26はフロントフェンダ、27はサイドカウル、28はリヤフェンダである。
【0013】
図2は本発明に係るエンジンの左側面図であり、エンジン10の吸気系統における吸気管13に潤滑油供給装置31の潤滑油流量制御装置32を取付けた構造を示し、また、エンジン10のシリンダ部分をシリンダ用カバー60で覆ったことを示す。
潤滑油供給装置31は、オイルタンク8(図1参照)内の潤滑油を、後述するオイルポンプで、潤滑油流量制御装置32を介して吸気管13へ供給するものである。潤滑油流量制御装置32は、反復開閉することにより、潤滑油の流量をエンジン10の作動状態に見合うように制御するソレノイド式三方弁である。
【0014】
図3は本発明に係るエンジンの右側面図であり、上記図2に示すエンジン10を裏側から見た構造を示し、しかも、シリンダ用カバー60のうち右上の一部を外したものである。
エンジン10は、クランクケース10aの右側面の前部にウォータポンプ33を取付け、ウォータポンプ33の上方に且つクランクケース10aの右側面にオイルポンプ34を取付けたものである。
ウォータポンプ33は、上記水冷式2サイクルエンジン10の水冷ジャケットに冷却水を供給するポンプであり、オイルポンプ34は、エンジン10に潤滑油を供給するポンプであり、これらのポンプ33,34は、エンジン10のクランクシャフト10bで駆動される形式のものである。
【0015】
クランクシャフト10bは、ウォータポンプ33及びオイルポンプ34を直接的に又は間接的に駆動するものであり、例えばギヤ駆動、ベルト駆動、チェーン駆動する構成である。
これらのポンプ33,34は露出しており、その取付け構造は、機能を優先させた構成である。しかし、露出した部材が多いと、自動二輪車における乗員用ステップ23廻りの機能美(機能的外観性)が劣る。そこで、図4に示すように、ウォータポンプ33及びオイルポンプ34をカバーで覆った。
【0016】
図中、35,36は冷却水ホース、37はオイルポンプ制御コード、41は点火プラグ、42は点火プラグ用ハイテンションコード、43はエンジン10の水冷ジャケット用水温センサ、44は水温センサ用コード、45は排気時期可変バルブ(図示せず)用操作部材、46は制御モータ、47,47は制御ケーブルである。
上記排気時期可変バルブは、2サイクルエンジン10の排気口に取付けるバルブであり、このバルブは、排気口からの排気タイミングを、エンジン10の作動状態に見合うように、制御モータ46で制御ケーブル47,47及び排気時期可変バルブ用操作部材45を介して制御するものである。
【0017】
図4は本発明に係るサイドカバー付きエンジンの右側面図であり、上記図3に示すエンジン10に、サイドカバー48を取付けた構造を示す。
詳しくは、エンジン10は、クランクケース10aの右側面(図の手前の面)のみをサイドカバー48で覆ったものであり、このサイドカバー48は、クランクケース10aと、このクランクケース10aの右側方に配置した乗員用ステップ23とを、仕切った構成である。
また、サイドカバー48は、クランクケース10aの右側面をサイドカバー48で覆うことにより、図3に示すウォータポンプ33、オイルポンプ34並びに冷却水ホース35の一部をも覆うことになる。
サイドカバー48は、表面にクロムメッキ処理をしたABS樹脂(アクリロニトリル・ブダジエン・スチレン樹脂)等の樹脂製カバーであり、4つのボルト49…(…は複数を示す。以下同じ。)で図3に示すクランクケース10aのねじ孔10c…に取付ける。
【0018】
図5は本発明に係るエンジン廻りの平面図であり、図右側を自動二輪車の前側Frとして示す図であって、クランクケース10aの右側面に対して所定の隙間Sを開けて、サイドカバー48を配置したことを示す。
また、図はオイルタンク8を車体中心Cから一側(左側)へ配置し、潤滑油流量制御装置32を車体中心Cから一側へ寄せて(距離Lだけ偏心して)配置し、オイルポンプ34を車体中心Cから他側(右側)へ配置したことを示す。
図中、10dは冷却水ホース36を接続する接続口、51はオイルタンク8からオイルポンプ34へ潤滑油を流す吸入管、52はオイルポンプ34から潤滑油流量制御装置32へ潤滑油を流す吐出管、53は潤滑油流量制御装置32からオイルタンク8へ潤滑油を戻すリターン管である。
【0019】
次に、上記構成のエンジン用サイドカバー構造の作用を、図3〜図5に基づき説明する。
図4に示すように、クランクケース10aの側面は、サイドカバー48で覆われるのでほとんど見えない。このため、図3のウォータポンプ33やオイルポンプ34のように、クランクケース10aの側面から露出した補機類も、サイドカバー48で覆われるので見えない。従って、自動二輪車1における乗員用ステップ23廻りの外観性を高めることができる。
しかも、クランクケース10aの側面のみをサイドカバー48で覆い、エンジン10の機能的な姿が見えるようにしたので、エンジン10全体としての機能美(機能的外観性)を高め、自動二輪車1の商品価値を高めることができる。
【0020】
また、図5に示すようにクランクケース10aの右側面に対して、所定の隙間Sを開けて樹脂製のサイドカバー48を配置することにより、サイドカバー48は、クランクケース10aと乗員用ステップ23とを仕切る。このため、サイドカバー48は、クランクケース10aからの放熱(ふく射熱など)を遮る熱遮蔽板の役割を果たす。従って、乗用ステップ23廻りが熱くならないので、乗員の足元が熱くなる心配はない。
【0021】
なお、上記本発明の実施の形態において、クランクケース10aの右側面のみをサイドカバー48で覆うことに限定するものではなく、例えば、クランクケース10aの左右の側面のみを、それぞれサイドカバー48,48で覆う構成であってもよい。また、サイドカバー48の形状及び寸法は任意である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の発明では、クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆ったので、自動二輪車における乗員用ステップ廻りの外観性を高めることができ、しかも、エンジン全体としての機能美(機能的外観性)をも高めることができる。
また、クランクケースと乗員用ステップとをサイドカバーで仕切ることで、クランクケースからの放熱をサイドカバーで遮る。このため、乗員用ステップ廻りの足元が熱くなる心配はない。
【0023】
さらに請求項1の発明では、クランクケースの側面に取付けたオイルポンプを、サイドカバーで覆ったので、自動二輪車における乗員用ステップ廻りの外観性を高めることができる。
【0024】
請求項2の発明では、クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆ったので、自動二輪車における乗員用ステップ廻りの外観性を高めることができ、しかも、エンジン全体としての機能美(機能的外観性)をも高めることができる。
また、クランクケースと乗員用ステップとをサイドカバーで仕切ることで、クランクケースからの放熱をサイドカバーで遮る。このため、乗員用ステップ廻りの足元が熱くなる心配はない。
さらに請求項2の発明では、クランクケースの側面に取付けたウォータポンプを、サイドカバーで覆ったので、自動二輪車における乗員用ステップ廻りの外観性を高めることができる。
【0025】
請求項3の発明では、クランクケースに対して所定の隙間を開けて樹脂製サイドカバーを配置したので、樹脂製サイドカバーはクランクケースからの放射熱(ふく射熱)を遮る遮蔽板の役割を果たす。このため、乗用ステップ廻りが熱くならないので、乗員の足元が熱くなる心配はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図
【図2】本発明に係るエンジンの左側面図
【図3】本発明に係るエンジンの右側面図
【図4】本発明に係るサイドカバー付きエンジンの右側面図
【図5】本発明に係るエンジン廻りの平面図
【符号の説明】
1…自動二輪車、10…水冷式2サイクルエンジン、10a…クランクケース、10b…クランクシャフト、23…乗員用ステップ、33…ウォータポンプ、34…オイルポンプ、48…サイドカバー、S…クランクケースとサイドカバーとの間の隙間。
Claims (3)
- エンジンのクランクケースの側方に乗員用ステップを配置した自動二輪車において、前記クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆い、このサイドカバーで前記クランクケースと前記乗員用ステップとを仕切り、前記エンジンを2サイクルエンジンとし、この2サイクルエンジンのクランクケースの側面にクランクシャフトで駆動されるオイルポンプを取付け、このオイルポンプを前記サイドカバーで覆ったことを特徴とする自動二輪車のエンジン用サイドカバー構造。
- エンジンのクランクケースの側方に乗員用ステップを配置した自動二輪車において、前記クランクケースの側面のみをサイドカバーで覆い、このサイドカバーで前記クランクケースと前記乗員用ステップとを仕切り、前記エンジンを水冷式エンジンとし、この水冷式エンジンのクランクケースの側面にクランクシャフトで駆動されるウォータポンプを取付け、このウォータポンプを前記サイドカバーで覆ったことを特徴とする自動二輪車のエンジン用サイドカバー構造。
- 前記サイドカバーを樹脂製カバーとし、この樹脂製カバーを前記クランクケースに対して所定の隙間を開けて配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のエンジン用サイドカバー構造。
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1997
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