JP3805945B2 - 基準穴穴開け機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層プリント配線板のガイドマークを観測して、これに対応する基準穴を開ける穴開け機に係わり、特に3個以上の多数のガイドマークに対応した基準穴を開ける際に有用な穴開け機に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ICチップ、抵抗、コンデンサ等の表面実装用の電子部品の小型化に伴い、これらを実装するプリント配線板も高密度化が要求されて、多層化されるものが多い。民生用でも4層、6層等の多層プリント配線板が使用され、産業用では更に層数の多い高多層プリント配線板が使用される趨勢にある。
多層プリント配線板は表裏2層の外部に露出した導体層と、数層の露出しない内層の導体層で構成され、各導体層の間に絶縁性の基板が挿入され、この基板によって導体層が接着された構造となっている。
【0003】
多層プリント配線板の導体層としては、たとえば厚さ18μm程度の銅箔が使用される。
基板材料としては、熱硬化性のガラス・エポキシ樹脂の使用が主流であり、高多層配線板ではガラス・ポリイミド樹脂、ガラス・BT樹脂等の耐熱樹脂も使用される。
【0004】
多層プリント配線板で6層以上のものは単に内層の導体数が多いだけなので、多層プリント配線板の製造法として、以下、図13および図14を参照して、6層の多層プリント配線板の製造法を簡単に説明する。
図13(a)は6層配線板の構成を模式的に示した斜視図であり、(b)は内層となる両面配線板の導体部分に形成されたプリントパターンを模式的に示す平面図である。(c)は後述するレイアップの際に使用される治具板の側面図を示す。図14は6層配線板の断面を、(a)はホットプレス工程直前を、(b)はホットプレス工程で基板が熱硬化し、導体層を接着して1枚の多層配線板となった状態を、それぞれ示している。
【0005】
図13(a)に示すように、6層の多層プリント配線板(以下、単に多層配線板ともいう)60は2層の露出した導体層(銅箔)62、62と、内層となる2枚の両面プリント配線板(以下、単に両面配線板、又はプリント配線板ともいう)61、61の間にプリプレグ64、64a、64を挟んで形成される。
内層を構成する両面プリント配線板61、61には、表裏の銅箔面に最終製品となる(図では6個の)単一配線板パターン61a、・・・61a等が、通常エッチングによって形成されている。
【0006】
予め、位置決め用の少なくとも2個の基準穴65、65が上記の両面プリント配線板61、61に開けられ、この基準穴65、65を基準にして表裏両面のパターン61a、・・・61a等が形成されるので、平面的には、両面プリント配線板61、61の表裏のパターンは相互にその位置が保たれている。このように2枚の両面プリント配線板61、61は同じ座標位置の基準穴65、65を使用してパターン61a、・・・61a等が形成される。
内層板となる両面プリント配線板61に形成されたパターンには、単一配線板のパターン61a、・・・61aの他に、後工程に使用する基準穴用のガイドマーク66、66および、表裏識別用の基準穴の位置を示すガイドマーク66aが複数個用意され、エッチング工程でこれらのガイドマークも形成される。
【0007】
複数枚のエッチング済みの内層用両面プリント配線板61を重ねて、それぞれの配線板の導体部に形成されたパターン61a、61aの位置関係を正しく揃えることをレイアップ(Lay up)と言う。
両面プリント配線板61にパターン61a、・・・61a等を形成したとき使用した基準穴65、65の中心距離と等しい中心距離を持つピン68a、68aを設けた治具板68が用意される。1枚のエッチング済みの両面プリント配線板61が、その基準穴65に治具板68のピン68a、68aを挿通して治具板68上に置かれる。その上に基準穴65、65を開けられた、加熱前の基板材料(プリプレグと呼ばれる)64aが載せられる。更に他の1枚の両面プリント配線板61が、そのガイド穴65、65に治具板68のピン68a、68aを挿通して治具板68上に重ねられる。この段階で2枚の両面配線板61、61とその間のプリプレグ64aの外周を仮止めしてレイアップが完了する。
このように、上記の基準穴65、65はレイアップの際の基準穴としても使用され、レイアップ用基準穴と呼ぶこともできる。以降混乱の恐れの在る場合は基準穴65、65をレイアップ用基準穴65、65と呼ぶ場合もある。
【0008】
図14の断面図に示すように、レイアップされた2枚の両面プリント配線板61、61の両側にプリプレグ64、64と導体材料の銅箔62、62をおいてホットプレスで加圧加熱すると、銅箔62や両面配線板61の間に挿入されたプリプレグ64、64a、64が熱硬化して(絶縁)基板63に変化し、各導体間の接着も完了し、1枚の多層プリント配線板60となる。
この後、多層配線板の内層パターンに対応した新たな基準穴が開けられ、この新基準穴を基準として最外層の導体配線パターンのエッチング、スルーホールの穴開け加工等が行われる。更に、めっき工程、防錆処理工程等を施し、機械加工で単一配線板に分割し、所要の外形形状に切り出して多層プリント配線板が完成する。
【0009】
既に説明したように、内層板を形成する両面プリント配線板61、61の導体層には、単一配線板のパターン61a、・・・61aの他に、基準穴のためのガイドマーク66、66、66a等が複数個用意され、エッチング工程でこのガイドマークもエッチングされている。これらのガイドマークの座標は、単一配線板のパターン61a、・・・61aとある位置関係を保つよう定められているので、これらのガイドマークの位置を測定すれば、電気回路を構成するパターンの座標が判明する。
上記の多層プリント配線板60の内層に形成されたガイドマーク66、66に対応した新たな基準穴を開けるのに、通常は、X線(基準穴)穴開け機が使用される。
【0010】
前述のように、ホットプレスで加圧加熱された多層配線板の表裏両外面は無垢の導体層で覆われており、肉眼で可視光線を使って内層に形成されたガイドマークを明瞭に透視することは不可能である。
現在では微弱なX線で多層配線板を透視して、内層板に形成されたガイドマーク位置を測定する方式が一般的であるが、超音波その他の測定法も種々研究されている。いずれにしても、可視光線以外を使用して内層板に形成されたガイドマーク位置を測定する方式として一括できる。
【0011】
通常、2個のガイドマーク66、66を測定し、次工程以降で使用する基準穴を2個開ける方式が用いられる。実際は表裏、前後の識別用に3個目の基準穴が開けられることも多いが、この基準穴は単なる表裏、前後の識別用で、直接次工程以降の精度には関係しない。
この後、両面配線板はそれぞれの工程専用に用意された治具板に設けられたピンに上記の基準穴を挿通して治具板に取り付けられる。
【0012】
多層配線板の製造時にホットプレスで加圧加熱されるために、内層板の多少の変形は免れず、内層板のガイドマーク66、66位置も当初形成された座標と異なり、その距離も設計上の距離とは異なっていることが多い。また、変形の度合いは内層板の位置により、部分的に違っていると考えられる。
ところが、後工程で使用される基準穴は治具板に設けられたピンに挿通されて使用されることから、2個の基準穴の中心距離、即ち、基準穴間隔を治具板のピンの間隔と等しくしておく方が実用上具合がよい。
従って、ガイドマーク66、66の中心に基準穴を開けずに、ガイドマークに対して2個の基準穴が所定の基準穴間隔を保つように、基準穴を開ける方式を振り分け式と呼ぶ。
【0013】
次に、図15(a)に従って、2穴振り分け方式の説明を行う。図15(a)は2穴振り分け方式の原理を説明する模式図であり、図中、50は穴開け機に固定された機械座標系(Xm、Ym)を示し、多層プリント配線板の内層に形成されたガイドマーク66、66をP1、P2で、穴開け機で開ける基準穴をH1、H2で表している。
【0014】
ガイドマークP1、P2を観測すればその座標値は機械座標系50で表され、P1(x1、y1)、P2(x2、y2)が得られる。これから容易にP1、P2間の距離Bが求められる。
多層プリント配線板の変形量は、この距離Bと基準穴H1、H2の所定の(設計上の)間隔Aとの差と考えられる。
【0015】
直観的に、基準穴H1、H2が所定の間隔Aを保ち、P1、H1間の距離Cと、P2、H2間の距離Cを等しくし、且つ、P1、P2を結ぶ直線上に乗るように、基準穴H1、H2を配置すれば良いと考えられる。
今、 (P1、H1)、(P2、H2)の距離Cは〔(B−A)/2〕の絶対値となり、P1、P2を通る直線が機械座標系のXm軸となす角αは次の式の、
〔 tanα=(y2−y1)/(x2−x1)〕
αの正接から求められる。これらから基準穴となるH1、H2のXm,Ym軸上座標値を計算できる。従って、基準穴はこの座標値で穴開けすれば良い。
【0016】
現在、(基準穴)穴開け機としては上記の機能を持つ、いわゆる、2穴振り分け式穴開け機が一般的に使用されている。ガイドマーク2個を観測して基準穴の座標を計算した場合、主にガイドマークを連ねる直線の近傍における配線板の変形を補正すると考えられる。
また、図13(a)や(b)に示すように、基準穴用の2個のガイドマーク66、66の位置は、プリント配線板の1辺の中央付近と、この辺と平行する辺のやはり中央付近のいずれも外縁に近い位置に設けられることが多い。これから、図13(b)に斜線を入れた影響範囲70に相当する内層板の中央部分の変形に従って、基準穴の座標が定まることになる。
【0017】
2穴振り分け式穴開け機71の実際の構成を図15(b)と図16を参照して説明する。図15(b)は筺体71aを透視した平面図、図16(a)は作業者側から見 た正面図で、やはり、筺体71aを透視して描いている。図16(b)はX線カメラ76により、可動テーブル80に載置された多層プリント配線板(図示せず)のガイドマークを観測中の模式図、(c)はスピンドルの先端に装着されたドリル77bで図示しない多層プリント配線板に基準穴を開けている様子を示した模式図である。なお、平面を示す図15(b)では可動テーブル80を破断したり、右側のX移動架台73を省略して示している。
【0018】
筺体71aに固定された架台72の上に直線ガイド73a、73aとボールねじ73bが設置され、2台のチャンネル状のX移動架台73を移動可能に支承している。X移動架台73の最上部にX線発生装置74が固定され、下部には直線ガイド78a、78aとボールねじ78bが設置され、Y移動架台78を移動可能に支承している。
2台のX移動架台73は互いに反対方向に機械座標系のXm軸に平行に動き、穴開けする多層プリント配線板の大きさに従って、その間隔を可変とされている。
Y移動架台78は独立して機械座標系のYm軸に平行に動くようにされ、その上にX線カメラ76とドリル回転機構であるスピンドル77が所定間隔Sを隔てて固定されている。
【0019】
可動テーブル80が2台のX移動架台73の中間に配置され、機械座標系のYm軸に平行に移動する。可動テーブルの中央近くに配置された直線ガイド80a、80aとボールねじ80bにより、80Aの位置で多層プリント配線板(図示せず)を可動テーブル80上に載置し、図15(b)に可動テーブル80として示した穴開け位置まで引き込む。
図16(b)に示すように、X線発生装置74に内蔵されたX線発生管74aから放射されたX線は、X線防護管75と、その先端に移動可能に配置されたクランパ75aに開けられた孔を通して、図示しない多層プリント配線板のガイドマークを透過して下のX線カメラ76に入射する。
X線カメラ76の位置(機械座標系による座標値)は既知なので、X線カメラ76に写ったガイドマーク66、66の画面上の位置を測定すれば、ガイドマーク66の座標を知ることができる。左右のX線カメラ76、76の画像から2個のガイドマークの座標が知られる。
【0020】
この2個のガイドマークの座標から、先に説明した方法で基準孔の座標を計算する。
図16(c)に示すように、スピンドル77がSだけ移動しX線カメラの位置を占める。スピンドルを載置しているY移動架台78はYm軸方向に移動すると共に、X軸方向にも微動可能になされているので、Xm軸方向とYm軸方向の微調整を行い、基準穴の座標H1(X1、Y1)、H2(X2、Y2)の直下にドリル77bを位置させて穴開けする。
このとき、X線防護管75の下端に配置されたクランパ75aは降下して、多層プリント配線板の穴開け部の周辺を抑え込み、穴開け時の多層プリント配線板の移動を防止する。
【0021】
図16(c)の1点鎖線に示す位置までY移動架台78を移動して表裏識別用の基準穴を開ける。移動量が大きいので精度的に問題のない表裏識別用の基準穴の穴開けのみに使用している。また、総移動量の大きい可動テーブル80は移動に伴うヨーイング等の誤差が大きくなるので、通常、穴開けの際にはテーブル80とその上に載置した多層プリント配線板は移動させない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、2穴の基準穴を使用した、多層プリント配線板の後工程のスルーホールの穴開け加工の不良品の発生率に場所による差があることが判明した。一般に、多層プリント配線板の導体パターンは、単一配線板のパターンを数個搭載した多数個取りに設計されており、ガイドマークから遠く離れた多層配線板の周辺部の単一配線板のスルーホール穴開け工程の不良率が高い傾向が認められる。
既に説明したように、ガイドマーク2個を測定する2穴振り分け式穴開け機で開けた基準穴は、2個のガイドマークを結ぶ直線近傍の変形は補正しているが、この直線と垂直方向の変形は無視されている。従って、多層プリント配線板の面積が広くなると、不良となる配線パターンが多くなり歩留りが低下することとなる。
【0023】
また、穴開け機のような通常の多量生産に使用される産業機械としては測定機なみの構造精度はコスト的に採用できず、経年変化も考慮した大きな移動量の場合の、支持機構や送り機構の移動方向の傾きの補正と、ヨーイングその他の影響による移動量の部分的な狂いの補正を低コストで行はねばならない、という問題がある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような問題点を解決するために、直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した基準穴穴開け機筺体に固定された架台と、
多層プリント配線板の構成要素であるプリント配線板の導体層に形成された少なくとも3点のガイドマークを観測するカメラ観測装置と、
このプリント配線板に基準穴を穴開けする穴開け装置と、
Xm軸とYm軸に平行な送り方向を持ち、プリント配線板と観測装置及び穴開け装置の相対位置を変換する送り装置と、
カメラ観測装置により観測されたガイドマークの座標から穴開け位置を算出し、送り装置を制御する制御装置とを備えている。
そして、少なくとも3点のガイドマークの観測値より、各ガイドマークを単位質点で置き換えたと見なしたときの重心位置を座標原点とし、Xm軸に平行にX軸、Ym軸に平行にY軸を持ったXY座標系で各ガイドマークの座標値が表されるようにする。
前記制御装置は、ガイドマークと同数で、且つ、設計時のガイドマーク座標と同一の座標を持つ、仮想基準穴の設計時の座標から、仮想基準穴を単位質点で置き換えたと見なしたときの重心位置を座標原点とし、直交UV座標軸を持つ座標系で各仮想基準穴の座標値を表したときに、ガイドマークの重心と仮想基準穴の重心を重ね合わせ、重心を回転中心としてUV座標系を各ガイドマークと前記各仮想基準穴との距離の自乗を足し合わせた値が最小となるように回転させてプリント配線板の基準穴の座標を定めるような基準穴穴開け機を実現している。
更に、観測装置として可視光領域で動作する撮像装置を備え、多層配線板の内層となる両面プリント配線板専用の基準穴穴開け機として提供することもできる
【0025】
また、直交するXm軸とYm軸及びZm軸を持つ機械座標系を設定した基準穴穴開け機筺体に固定された架台と、
多層プリント配線板の構成要素であるプリント配線板の導体層に形成された少なくとも3点のガイドマークを観測する観測装置と、
プリント配線板に基準穴を穴開けする穴開け装置と、
Xm軸とYm軸に平行な送り方向を持ち、プリント配線板と観測装置及び穴開け装置の相対位置を変換する送り装置とを備えた基準穴穴開け機において、
穴開け装置のクランパ支持具とスピンドルが同一の移動架台に設置され、 穴の開いていないクランパ材をクランパ支持具を介して所定位置に配置し、前記基準穴を穴開けするドリルで前記クランパ材に穴開けした後に、クランパとして使用する基準穴穴開け機が提供されている。
更に、このクランパ支持具がZm軸に直角な平面内で移動し、クランパとドリルの相対位置を変える基準穴穴開け機の提供もなされている。
【0026】
上記した基準穴穴開け機の前記送り装置の送り位置の補正方法としては、送り装置の可動テーブルに載置したテスト配線板に任意間隔で第1、第2の基準穴を開け、任意間隔を固定してYm方向に可動テーブルを任意距離Lを移動して第3、第4の基準穴を穴開けし、テスト配線板の左右を裏返して前記可動テーブル上に載置し、第2の基準穴を第1の基準穴穴開け位置に、第1の基準穴を第2の基準穴穴開け位置に置き、再び可動テーブルを任意距離L移動して観測装置で観測し、Xm方向の狂いの長さδを得たときに、tanθ=δ/2Lを前記可動テーブルの送り方向の傾きの正接として前記制御装置に記憶して、前記可動テーブルの送り位置を補正する補正方法が開示されている。。
又、Ym軸に平行に、可動テーブルの左右に2本の治具板を搭載し、治具板小穴位置を前記観測装置で観測し、観測値を前記制御装置に記憶して前記可動テーブルの送り位置を補正する送り位置の補正方法も提案されている。
【0027】
本発明は、基準穴を開ける際に、一方向の直線上の補正ではなく、平面的に配線板の変形具合を観測して基準穴を開ける。
例えば、両面導体層を有するようなプリント基板からなる内層板の四隅に設けられた、例えば4個のガイドマークの位置を測定し、その基準位置からの狂いを読み取って、全体として狂いの最小となる位置に基準穴を開けるようにしてあるので、現状の2穴振り分け式穴開け機では得られない高精度で基準穴を設定することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態である多点振り分け方式の基準穴穴開け機(以下穴開け機と略称する)を図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の穴開け機1の外観の斜視図であり、筺体2を透視して表している。
図2、3は穴開け機を投影図として示し、図2(a)は穴開け機1の正面図、図2(b)は側面図である。図3(a)(b)は穴開け機1の可動テーブル12の位置を変えた平面図を示し、図2、図3とも筺体2を透視して内部を表している。
【0029】
また、各図に記入した機械座標系(Xm、Ym、Zm、原点Om)は穴開け機1の不動部分(例えば筺体1や架台3)に固定された座標系で、送り装置の各種機械部分の移動方向がこの座標軸に平行になされている。X線カメラで多層配線板のガイドマークを観測して得られる座標値や、基準穴の穴開け座標も基本的にこの座標系を用いて算出される。
なお、図1の白抜きの矢印17は作業者の定位置であって、作業者は矢の方向(Ym軸の正方向)に向かって立ち、基準穴を穴開けする多層プリント配線板を投入し、穴開けが終われば穴開け機1から取り出す。
【0030】
以下の説明でガイドマークと基準穴は共に4個で、対応するガイドマークと基準穴の設計上の座標値が等しい場合を説明する。ガイドマークと基準穴数は3個以上であれば同様の方法で処理できる。但し、後述するように、実際に穴開けされ後工程で使用される基準穴が、必ずしも、ガイドマークの個数と設計上の座標位置と等しくないので、この場合に計算に使用する(ガイドマークの設計上の座標値と同一の座標を持つ)基準穴を仮想基準穴と呼んで区別する。
2穴振り分け方式でも、プリント配線板の表裏前後の判別用の穴を足せば3穴になるが、前記したように2穴方式の表裏、前後の判別用の穴は精度には関係していないので多点振り分け方式ではない。また、多点振り分け式では、表裏前後の判別用として、4穴の配置を対称でなく1個だけ位置をずらす等して、別途に基準穴を追加せずに済ます工夫がされる場合が多い。
【0031】
穴開け機1の筺体2の内部に、架台3が固定されている。左右1対のX移動架台10、10は、ほぼ、チャンネル状に形成され、左右で鏡像関係をなす形状とされている。このX移動架台10、10は架台3の上端に配置された直線ガイド10a、10aによって支承されている。ボールねじ10bとこれと係合するX移動架台10の下面に取り付けられたボールナット(図示せず)により、基準穴を穴開けする配線板の大きさに従って、あらかじめ、Xm軸に平行に移動してガイドマークが観測可能の位置に待機している。
なお、X移動架台10、10を個別に駆動するために、ボールねじ10bは各X移動架台10毎に配置されている。
【0032】
X移動架台10、10の上部にX線発生装置4、4が固定され、下部には直線ガイド11a、11aが取り付けられている。そして、Y移動架台11、11がこの直線ガイド11aで支承されている。ボールねじ11bとこれと係合するY移動架台11の下面に取り付けられたボールナット(図示せず)により、Y移動架台11、11はYm軸に平行に移動可能である。
Y移動架台11、11はチャンネル状に形成され、上部にX線防護管5が配置され、図2に示すように、これと並んでクランパ9とクランパ9を上下動させるエアシリンダ9aが設置されている。下部にはスピンドル7とX線カメラ6が固定されている。
【0033】
Ym軸と平行に配置され筺体の中央部分に固定された直線ガイド12aとボールねじ12bにより支承され、駆動されて、多層プリント配線板を搭載する可動テーブル12はYm軸に平行に運動する。
可動テーブル12は12Aの位置で、ワークである基準穴を穴開けする多層プリント配線板を載置し、Ym軸に沿って移動してガイドマーク測定、基準穴開け位置に引き込まれる。
なお、ボールねじ10b、11b、12bを駆動し、X移動架台10、10とY移動架台11、11、および可動テーブル12の移動を制御する制御装置は図示されていない。
【0034】
ここで、穴開け機の主要構成要素として、X線発生装置4とX線防護管5およびX線カメラ6でガイドマークの観測装置、スピンドル7とクランパ9で穴開け装置、X移動架台10とY移動架台11と可動テーブル12およびこれらを支承し、駆動する直線ガイド10a、11a、12a、ボールねじ10b、11b、12b等で駆動装置をそれぞれ形成している。
また、図示されていない制御装置は、一連の穴開け作業手順に従って、上記の各種装置の制御を行う。更に観測装置で観測したガイドマークのX線像から座標値を算出し、この座標値と予め入力された基準穴の設計座標から、基準穴穴開け位置を計算するのが最大の役割である。
なお、後述するように、レイアップ前の両面配線板にレイアップ用の基準穴を多点振り分け方式で穴開けする、専用の基準穴穴開け機の場合は観測装置に可視光線用のCCDカメラが使用される場合もある。
【0035】
図4を参照して可動テーブル12の細部を説明する。(a)は可動テーブル12の平面図であり、(b)はXm軸、Zm軸を含む平面に平行に切断した断面図である。
可動テーブル12は通常金属製で平坦な板状に形成され、ガイドマーク透視、基準穴穴開けのための逃げ穴(1、2穴用)13、13、逃げ穴(3、4穴用)13a、13aが左右に開けられている。
多層プリント配線板60は、その外形の大きさに従って、配線板の先端部分が揃うようにして、破線の長方形で示す最大配線板外形69と最小配線板外形69aの間に載置される。基準穴の1、2穴は逃げ穴13を使って矢印の16の範囲で、基準穴の3、4穴は逃げ穴13aを使って矢印の16aの範囲で穴開けが行われる。
X軸治具板14、14およびY軸治具板15、15については後に詳細説明を行う。
【0036】
4穴の基準穴を開ける作業手順を以下に説明する。
まず、穴開けする配線板の外形寸法と(設計上の)基準穴座標からX移動架台10、10のXm軸に沿った位置が決まり、予め、X移動架台10、10は、そこに移動して待機している。
可動テーブル12が(図1の)12Aの位置で、作業者は多層プリント配線板60を可動テーブル12上の所定位置に載置する。多層配線板60は可動テーブル12に仮固定される。可動テーブル12はX線カメラ4に内蔵されたX線発生管4aの下にガイドマークP1、P2が来る位置に移動する。
後述するように、ガイドマークP1、P2をX線で透視してX線カメラ6、6で観測し、その座標値を測定する。座標値は図示しない制御装置のメモリに記憶される。
ガイドマークP3、P4がX線発生管4aの下に来る距離だけ、可動テーブル12はYm方向に移動する。次いでX線を照射して、X線カメラ6、6でガイドマークP3、P4を観測してその座標値を記憶する。
ここで、計算方法は後述するが、ガイドマーク4点の座標から基準穴H1、H2、H3、H4の座標を計算し、まず、スピンドル7、7が基準穴H3、H4の座標まで移動し、基準穴H3、H4を穴開けする。
可動テーブル12が移動してガイドマークP1、P2をX線で透視した位置まで戻り、スピンドル7、7が基準穴H1、H2の座標まで移動し、基準穴H1、H2を穴開けする。
可動テーブルが投入位置12Aまで動いて、穴開けの済んだ多層配線板60を作業者が取り出すと基準穴加工工程が終了する。。
【0037】
上記の基準穴加工工程を、図5を参照してX、Y移動架台に搭載された機器類の動作に基づいて説明する。
図5(a)は作業者位置から左側のX移動架台10、Y移動架台11を見た正面図、(b)はその平面図でX移動架台10の上半部を取り去り、Y移動架台11の上面を示している。(c)、(d)はXm軸のプラス方向から見たX移動架台10を示し、(c)はX線カメラ6によるガイドマークの観測時、(d)はスピンドルによる穴開け時を模式的に示している。
【0038】
ガイドマークP1、P2の観測は、Y移動架台11が(c)に示すX線観測位置にあるときに行われる。X線発生管4aの直下にX線防護管5とX線カメラ6が来ている。
図示しない制御装置の指令によりX線発生装置が起動し、X線発生管4aから放射されたX線はX線防護管の中心に開けられた穴5a内を通り、図示していないが可動テーブル12上に載置された多層プリント配線板60の内層のガイドマークP2を透視してX線カメラ6で画像として捉えられ、その画像は制御装置内の計算機に送られてガイドマークP2の座標が計算され、記憶される。
【0039】
基準穴の穴開けはスピンドル先端のドリル7bで行われる。穴開け時には、X移動架台10が基準穴H1のXm軸座標まで移動し、Y移動架台11が基準穴のYm軸座標まで移動する。実際には図5(c)に示すように、X線カメラ6の中心とスピンドル7の中心との距離はSだけ離れているので、Y移動架台11がSだけ多く移動する。スピンドル7はエアタービンまたは高周波モータを回転源とする高速モータであって、回転軸に取り付けられたチャック7aを介して、通常超硬合金製のドリル7bを装着して配線板に基準穴を穴開けする。なお、図示していないが、スピンドル7を上下するエアシリンダまたはリニアモータによってドリル7bの切り込み送りを行う。
スピンドル7の直上に配置されたクランパ9はエアシリンダ9aのアクチュエータに取り付けられており、降下すれば可動テーブル12に載置された多層配線板60を押さえつけて、穴開け時の多層配線板60の移動を防止する。クランパ9の構造と機能は後述する。
なお、穴開け時にX移動架台10を動かさずに、Y移動架台に微少量のX方向の移動が可能に構成して、ドリル7bを穴開け位置に移動させる場合もある。
【0040】
図6を参照して多点振り分け方式の説明を行う。図6(a)はガイドマークP1〜P4と基準穴H1〜H4と各種の座標系との関係を模式的に説明した斜視図であり、(b)は(a)と同じ関係を機械座標系のXm、Ym軸を含む平面に投影した説明図である。以下の説明で基準穴Hの個数はすべて4個の場合を説明するが、基準穴数は3個以上であれば同様の方法で処理できる。
前述のように、上記の基準穴H1〜H4は仮想基準穴とする。即ち、設計上はガイドマークP1に対応する基準穴H1の位置関係は同一で、設計上の対応する両者の座標は同一である。従って、ホットプレス工程などでガイドマークの位置が狂わなかったと仮定すれば、ガイドマークP1〜P4とそれに対応する基準穴H1〜H4を合わせれば完全に重なり合うことになる。
【0041】
多層プリント配線板60の内層に形成されたガイドマークをX線カメラで観測して、機械座標系のXm、Ym軸によるガイドマークの座標値が得られる。図6(a)でPL1平面上で示されている。この座標値をP1(m1、n1)、P2(m2、n2)、P3(m3、n3)、P4(m4、n4)とする。
ここで各ガイドマークに単位質点が配置されたとして重心Pg(gx、gy)を求める。
〔 gx=(m1+m2+m3+m4)/4
及びgy=(n1+n2+n3+n4)/4 ・・・・・・(1)〕
【0042】
次に、重心Pgを原点とするX、Y軸を持つ座標系に座標変換して、P1(x1、y1)、P2(x2、yn2)、P3(x3、y3)、P4(x4、y4)とする。ここで、
〔x1=m1−gx、x2=m2−gx、x3=m3−gx、x4=m4−gx
y1=n1−gy、y2=n2−gy、y3=n3−gy、y4=n4−gy
・・・・・・(2)〕
【0043】
一方、図6(a)でPL2平面上に示した基準穴の座標は、当初UD、VD軸を持つ設計上の座標系で表されている。ガイドマークと同じく、基準穴にも単位質点が配置されたとして、同様な計算でその重心Hgを求め、重心Hgを原点とし、UD軸に平行なU軸、VD軸に平行なV軸を持つ座標系に座標変換する。
(設計上の)座標値をH1(M1、N1)、H2(M2、N2)、H3(M3、N3)、H4(M4、N4)として重心Hg(Gx、Gy)を求める。
〔 Gx=(M1+M2+M3+M4)/4
及びGy=(N1+N2+N3+N4)/4 ・・・・・・(3)〕
Hgを原点とするU、V軸を持つ座標系に座標変換して、H1(U1、V1)、H2(U2、V2)、H3(U3、V3)、H4(U4、V4)を得る。
〔U1=M1−Gx、U2=M2−Gx、U3=M3−Gx、U4=M4−Gx
V1=N1−Gy、V2=N2−Gy、V3=N3−Gy、V4=N4−Gy
・・・・・・(4)〕
【0044】
平面PL1と平面PL2をガイドマークの重心Pgと基準穴の重心Hgを一致させて重ね合わせ、そして、機械系の座標であるXm,Ym及びZm軸に平行に投影すれば、図6(b)が得られる。
ここで平面PL1を固定し、重ね合わされた重心Pg(及びHg)を回転中心として、平面PL2を回転させると考え、X軸とU軸が作る角をαとする。角αの正接は次式で求められる。
〔tanα=Σ(yi・Ui−xi・Vi)/Σ(xi・Ui+yi・Vi)
ここで、Σは添字i=1〜4の各座標値について計算し、分母、分子毎にそ の和を求める。 ・・・・・・(5)〕
αが決まれば、UV座標系からXY座標系へ次式を用いて変換する。
〔X=Ucosα−Vsinα
Y=Usinα+Vcosα ・・・・・・(6)〕
機械座標系Xm、Ymへの変換は、単に重心Pg(gx、gy)の座標値を加えれば得られる。このようにして得られた機械座標系による各基準穴の座標に従って、基準穴の穴開けが行われる。
なお、上記した各ガイドマークの座標の測定値から、実際に穴開けする基準穴の座標を求めるまでの計算時間は、現在のパーソナルコンピュータ程度の演算速度であればごく短時間で済み、問題とはならない。
【0045】
以上、計算の手順のみを説明したが、計算の手順の中で次の2点が本発明の骨子となる。
第一に、多点で構成されるガイドマーク群と同数の多点で構成される(仮想)基準穴群をそれぞれ単位質点が配置された質点系と見なして重心を求め、重心同士が一致するよう重ね合わせる点である。
運動力学的に、2個の質点系の運動を比較するのに、慣性能率最小の回転軸を求めて、その軸を一致させて比較する場合が多い。慣性能率最小の回転軸は質点系の重心を通る軸の中で、質点が分布する平面に垂直な回転軸である。図6(a)の平面PL1、PL2がこの平面に相当する。この軸を採用すれば、慣性能率の軸の位置による変化は全て排除される。
従って、もし内挿板等のガイドマークの座標に変化がなければ、ガイドマークと基準穴をこの軸(即ち重心)で重ね合わせれば、対応するガイドマークと基準穴が重なることは既に述べた。対応するガイドマークと基準穴の位置が一致しないのは全てガイドマークの座標の変化によるとして良い。
即ち、ガイドマークの分布する平面と、基準穴の分布する平面を重ね合わせ、且つ、両者の重心を一致させることにより、その他の影響を極力排除して、内層板の変形によるガイドマーク位置の狂いのみが反映されることになる。
【0046】
第二に、ガイドマークと基準穴の重心を一致させれば、残された自由度は重心を中心とした回転のみとなり、図6(a)に示す平面PL1内の回転に限られる。従って、対応するそれぞれのガイドマークと基準穴の距離が最小となる回転角αを探せば最善の基準穴の位置となる。
図6(b)に示すように、例えば、ガイドマークP1と基準穴H1の距離L1は次の式(7)で表される。
【数1】
Figure 0003805945
ここで基準穴H1のXY座標系の座標値X1、Y1は先の式(6)で変換される。距離を正の値のみとすれば、ルートに開かずに自乗したままで比較すれば良い。すなわち、n個の基準穴とガイドマークの各距離をL1で表し、L1〜Lnの自乗和Qが角αの関数として次のように式(8)で表される。
【数2】
Figure 0003805945
α=0の近傍で関数Qは連続で、微分可能であり、極小値(最小値)を持つので、αについて偏微分し、導関数の値を0とするαを求める。
【数3】
Figure 0003805945
また、次の式(10)〜式(12)の関係が得られる。
【数4】
Figure 0003805945
これらを上の式(9)に代入して整理すれば、次式(13)を得る。
【数5】
Figure 0003805945
即ち、αの正接がいずれも既知のガイドマーク座標の測定値と基準穴の座標値から計算できる。αは通常±45゜以内であるからαの正接からαの正弦、余弦は一義的に求められる。
この、いずれも既知のガイドマーク座標の測定値と基準穴の座標値から、αの正接を求める計算式が第二の重点となる。
【0047】
以上、一例として各ガイドマーク、基準穴のウエイトは一様のものとし、両者の距離の和を最小にする方法を説明したが、測定されたガイドマーク座標に対して、基準穴の座標の求め方にはいろいろの考え方がある。例えば直交2直線迄の各質点からの距離の自乗和を最小とする直交回帰直線も多少変形すれば使用でき、更に、各ガイドマークに重み付けをしたり、ガイドマークの分布を選んで基準穴の回転角を加減することもできる。
【0048】
現実に穴開けされる基準穴と仮想基準穴との個数、位置が異なる理由は主に生産上の都合によることが多い。
プリント配線板の各所の狂いを忠実に反映するには、1枚のプリント配線板に形成されたガイドマークの数が多いほど良く、例えば8個のガイドマークを観測し計算を行うが、実際に治具板の位置決めピンに挿通される基準穴は(表裏判別を考慮しても)3個あれば充分であり、治具板の製作コストも軽減される。
このように、仮想基準穴と実際に使用される基準穴が異なっていても、仮想基準穴と実際に穴開けされる基準穴の座標を同一の座標系で記述しておけば座標変換は容易である。
【0049】
以上説明したように、複数の両面プリント配線板がレイアップされ、ホットプレス工程を経て多層プリント配線板とされたものを測定して、多数のパターンの平均的な座標系を求める方法が、現在多用されている。
ところが、ホットプレス工程後にガイドマークの精密測定を行うのでは、ホットプレス加工で発生した誤差を含んだ各ガイドマークの位置を測定していることになり、一定水準以上の製品精度を得にくい場合もある。
そのためには、レイアップ工程とホットプレス工程での各層のパターンのズレ(パターンの座標誤差)を極力少なくする必要がある。
【0050】
レイアップ工程、ホットプレス工程を見直して、その誤差を減らすよう検討すると、次のような改善点が浮かび上がってくる。
第一に、レイアップ用の基準穴の座標精度を上げる必要がある。
第二に、レイアップする際の治具板のピンと両面配線板の基準穴のクリアランスを少なくする。
第三に、治具板のピン数を多くして両面配線板を外周数カ所で支持する。(必然的に両面配線板の基準穴の数も増加する必要がある。)
これらの点を改善すれば、レイアップとホットプレス工程でそれぞれの内層に形成された単一配線板のパターンのずれを減らすことができ、完成した多層配線板を透視したときの、各層の単一配線板のパターンの位置の狂いが少なくなると考えられる。
【0051】
従って、一つの改善策として、先ず、レイアップ前の単一の両面配線板の段階で、数多くのガイドマークを観測する。それらの観測値から精度良く座標系を決定するのに、既に本案で説明した重心を不変とし、座標観測値の自乗和を最小とする多点振り分け方式を用いて座標系を求める。このようにして得られた座標系に従って、基準穴の座標を複数個求める。基準穴の数は理論的には2個でよいが、両面配線板の部分的な狂いを防止するには外周に4個以上の基準穴を設けることが望ましい。
このようにして基準穴の座標(位置)精度を向上させるのと同時に、穴開け機に使用するエアスピンドル等のドリル駆動手段の精度を向上させ、ドリルの径を管理して、穴径精度を向上させる。
次に治具板に形成されているピンの座標精度とピン径の精度を向上させ、上記の基準穴に対応するピンを設ける。実際には治具板各所の剛性も向上させる必要がある。
【0052】
ホットプレス工程で使用する治具板の精度と剛性を向上したり、穴径精度を向上するには、在来からの手法の延長線上にあるものとして対応できる。
多層配線板の各導体層に形成された導体パターンの各層のズレを最小にするには、両面配線板の段階で各導体パターンの座標系を精密に測定し、レイアップ工程に反映せねばならない。信頼性の高いレイアップ用の基準穴が必要となる。
この目的に使用できる基準穴穴開け機として、要求される基準穴の座標精度の厳しさから、既に説明した多点振り分け方式の基準穴穴開け機が有効に使用される。
【0053】
図7を参照して、上記の穴開け機により形成された基準穴65A、65Bを有する内層用の両面配線板61A、・・・61Aをレイアップする様子を説明する。図7は多層プリント配線板を構成する複数枚の両面配線板61Aとプリプレグ64aA、及びレイアップ治具板68Aを模式的な斜視図として示している。
図7ではこれらの両面配線板61A、・・・61Aにはその4隅に4個の基準穴65Aが形成されているが、中間にも基準穴65Bを設ければ更に好ましい。
レイアップ治具板68Aには、両面配線板の外周部に相当する4ヶ所の位置決めピン68aA、・・・、68aAが植設され、その座標位置はレイアップされる両面配線板61A、・・・61Aに形成された複数個の基準穴の座標位置に等しくされている。両面配線板61Aに基準穴65Bが形成されている場合は、破線で示す位置決めピン68aBが植設される。
【0054】
2枚の両面配線板61Aの間に(ガイド穴付き)プリプレグ64aAを挟んで、図7の括弧Aで括られた1組として、レイアップ治具板68Aの位置決めピン68aAに挿通され、治具板上に載置される。更に図7の括弧Bで括られた両面配線板61Aとプリプレグ64aAを1組として、次々にレイアップ治具板68A上に載置される。
これら複数の両面配線板61Aとプリプレグ64aAを仮止めしてレイアップが終了する点は、先に説明したレイアップ工程と変わりがない。また、次工程のホットプレスによる工程も同様であって、レイアップ時の各層の導体層の位置決め精度向上により、形成される多層配線板の座標精度が向上する。
【0055】
次に、図8と図9を参照して、単一の両面配線板のパターンの形成と同時に設けられたガイドマークを観測して、レイアップ時に使用する複数個の基準穴を開ける、多点振り分け方式の基準穴穴開け機(以下穴開け機と略称する)を図8〜図9を参照して説明する。図8は本発明の穴開け機31の外観の斜視図であり、筺体32を透視して表している。
図9は穴開け機32の要部を投影図で示してあり、各図に記入した機械座標系(Xm、Ym、Zm、原点Om)は、先に(図1〜図5を参照して)説明した穴開け機1と同様に付されている。
なお、用途、形状の同一の部材は図1等と同一の符号を付してあり、図8の白抜きの矢印17は作業者の定位置であること、作業時の作業者の向き等も図1と変わらない。
【0056】
両面配線板61Aの基準穴測定には、X線観測装置を搭載した穴開け機を流用してもよいが、測定対象の両面配線板は導体パターンやガイドマークが露出しており、ガイドマークは可視光で識別可能である。両面配線板専用で使用するなら、穴開け機31の観測装置として可視光領域で動作する撮像装置、例えば、CCDカメラ等が使用可能である。
図8ではCCDカメラが同一個所の上下に2台、その視野の中心を合わせて配置されているが、測定対象の両面配線板の種類によっては1台のCCDカメラで測定できる場合もある。即ち、ガイドマークが両面配線板の1面にのみ形成されている場合や、1面が接地用のパターン等で精度が不要の場合などは1台のカメラで片面のみを観測すればよい。
【0057】
穴開け機31の筺体2の内部に、架台3が固定され、X移動架台10x、10xが、架台3の上端に配置された直線ガイド10a、10aによって支承され、ボールねじ10bの廻転により、基準穴を穴開けする配線板の大きさに従って、ガイドマークが観測可能の位置に待機する。X移動架台10x、10xはCCDカメラ用とされ、上部に設置されていたX線発生装置、防護管等が不要なので高さは低く押さえられている。
X移動架台10x、10x上に直線ガイド11a、11aが取り付けられ、Y移動架台11、11がこの直線ガイド11aで支承され、ボールねじ11bにより、Y移動架台11、11はYm軸に平行に移動可能なことは(図1等を参照して説明した)穴開け機1と同様である。
【0058】
Y移動架台11、11は互いに鏡像関係を保って、チャンネル状に形成され、上部にCCDカメラ32が配置され、これと並んでクランパ9とクランパ9を上下動させるエアシリンダ9aが設置されている。下部にはCCDカメラ32aが上部のCCDカメラ32と視野中心を合わせて設置され、更に、Ym軸方向にSなる距離を置いて、スピンドル7が設置されている。
【0059】
Ym軸と平行に配置され筺体の中央部分に固定された直線ガイド12aとボールねじ12bにより支承され、駆動されて、両面配線板を搭載する可動テーブル12はYm軸に平行に運動する。
可動テーブル12は、ワークである両面配線板を載置し、Ym軸に沿って移動してガイドマーク測定、基準穴穴開け位置に引き込まれる。
【0060】
ここで、穴開け機の主要構成要素として、CCDカメラ32、32aがガイドマークの観測装置、スピンドル7とクランパ9で穴開け装置、X移動架台10とY移動架台11と可動テーブル12およびこれらを支承し、駆動する直線ガイド10a、11a、12a、ボールねじ10b、11b、12b等で駆動装置をそれぞれ形成し、また、図示されていない制御装置は、一連の穴開け作業手順に従って、上記の各種装置の制御を行う。更に観測装置で観測したガイドマークの像から座標値を算出し、この座標値と予め入力された基準穴の設計座標から、基準穴穴開け位置を計算するのが最大の役割である等、X線カメラからCCDカメラに変わった観測装置を除いて穴開け機1と同一と考えて良い。
【0061】
また、穴開け機31を使用して、両面配線板に基準穴を開ける作業手順も穴開け機1のそれと同様である。既に説明したように、多層配線板を構成する両面配線板にレイアップ用基準穴を開けるには、多層配線板に基準穴を設けるのに使用した多点振り分け方式の計算式がそのまま利用できる。
この穴開け機31を使って、多点振り分け方式を適用して、レイアップ前の両面配線板に複数の基準穴の加工を行えば、高精度、高剛性の治具板使用と相まってレイアップ工程、ホットプレス工程の精度向上が期待できる。
このように基準穴穴開け機は、ホットプレス工程後の両面配線板等が接着され、一体となった多層プリント配線板、及び、レイアップ工程前の多層プリント配線板の部材としての両面プリント配線板に対して基準穴の穴開けを行う。即ち、基準穴穴開け機は多層プリント配線板と両面プリント配線板を総称した、多層プリント配線板の構成要素であるプリント配線板に対して有効な基準穴を形成することができる。
【0062】
次に可動テーブル12の送り精度を向上する方法を説明する。従来の2穴用の振り分け方式では、ガイドマークの測定精度に係わるのは、Xm方向の送り量のみで、Ym方向の送り量が問題となるのは、X線カメラ6とスピンドル7との距離を移動する時のみで、可動テーブル12の全移動距離の数分の1に過ぎない。
ところが、4穴以上のガイドマークは通常配線板の4隅に配置され、その距離はほぼ配線板の各辺の長さに匹敵する。
もし、Ym方向の移動距離に誤差を含んだり、可動テーブルの移動方向がYm軸と平行でなく、狂っていると、3、4番のガイド穴座標の測定値が大きく狂い、算出された基準穴座標の誤差が過大となる恐れがある。
【0063】
穴開け機は一般的な加工に使用される産業機械であるから、その構成部品の剛性を増加し、各部の精度を向上する等の基本的な対策はコスト的に得策ではない。また、径年変化によって狂いの量が変わる場合もあり、ときどき狂いを測定して補正するのが実用的である。
ここでは、初めに可動テーブル12の移動方向の角度誤差の補正法、次に長さの測定値を補償する方法を説明する。
【0064】
図10を参照して座標軸の角度誤差の測定法を説明する。図10(a)、(b)はテスト配線板を用いた角度誤差の検出方法を説明する模式図、(c)〜(e)はYm軸に平行な治具板を取り付けた可動テーブルと治具板の詳細を説明する図である。
今、可動テーブル12の送り方向がYm軸に対してθ度傾いていて、配線板を距離Lだけ送ればXm軸方向にδの狂いを生じると仮定する。
【0065】
まず、ガイドマークのない無垢の配線板を用意する。X、Y移動架台10、11の位置は固定して、この配線板60を可動テーブルに載置し、図10(a)に示すように任意の間隔KでH1、H2穴を開け、次いでY方向に任意のLだけ可動テーブルを動かして配線板60を移動し、H3、H4穴を開ける。目標とするガイドマークがないので、穴開け機はX線カメラの中央に穴開けする。
穴開けした配線板の左右が逆になるように裏返し、図10(b)に示すように、穴開け時と裏返した時の配線板60のH1とH2、H2とH1がそれぞれ一致するように可動テーブルに載置する。可動テーブルをL移動して穴H3とH4の座標を測定すれば、それらのXm座標値は狂いδの2倍の2δとして観測される。
実際には、裏返した穴をX線カメラの視野内に入れて、その座標を測定すれば座標変換して上記の2δの数値を求めることができ、Lの値からθを容易に求められる。このθを記憶して置き、通常の穴開け時に補正値として使用することで、可動テーブルの移動方向の角度誤差の補正をソフト的に行うことができる。
無垢の配線板を使用せず、通常の作業時に実際に基準穴を開けた多層プリント配線板60を抜き取って、裏返して座標を測定してもよく、適当な時間間隔で可動テーブル12の送り方向の傾きを監視できる。
【0066】
X線発生装置、X線カメラ、穴開けスピンドル等のXm軸の長さ補正に、多数の穴が既知の穴間隔で配置された治具板を可動テーブルに取り付けて置き、この治具板の穴を透過したX線をX線カメラで測定し、可動テーブルの送り機構の送りムラによる誤差を補正する方法は既に当出願人より提案されている(公開番号平3−277411)。
可動テーブルの移動量も、可動テーブルの移動方向であるYm軸に平行に上記と同種の治具板を可動テーブルに取り付けることで補正することができる。
【0067】
即ち、図10(c)に示すように、可動テーブル12の左右2個所にYm軸に平行に、Y軸治具板15、15を固定する。
詳細を図10(d)に平面図を、(e)に側面を断面として示すが、Y軸治具板15は例えば薄い金属板に、間隔hで多数の治具板小穴15hを開けたもので、小ねじ15sで可動テーブル12に固定される。治具板小穴15hの間隔hは精密に測定されて既知である。
X線カメラで各治具板小穴15hを透過して測定できるように、可動テーブル12には逃げ穴15nが形成されている。逃げ穴15nは図のように、治具板小穴15hの1個または数個に対応して丸穴や長穴等の任意の形状で良い。また、(e)の断面図のように、Y軸治具板15と可動テーブル12の表面を同一面とすれば、作業時に配線板を載置する際に便利である。
【0068】
可動テーブル12を動かして、X線カメラで治具板小穴15hのYm軸座標を観測すれば、可動テーブル12の送り量(ボールねじ12bの回転数)の狂いが判明する。この狂いの量を補正値として使用する。穴開け機の制御装置のメモリにこの補正値を記憶させて可動テーブル12の送りを修正することができる。
以上、説明した可動テーブル12の送り方向と移動量の2点を補正することにより、移動距離が長いにも係わらず、比較的送り精度の低い可動テーブルを使用して基準穴穴開けに必要な送り精度を得ることができる。
【0069】
次に、効果的なクランパの構造を説明する。基準穴の穴開けのとき、ドリルと反対方向から配線板60を押圧して配線板60の移動や変形を防ぐのがクランパの主な役目である。
図11を参照して詳細構造を説明する。図11(a)、(b)は新構造のクランパ9の動作の模式図、(c)は従来のクランパ75aの構造を、(d)に新方式のクランパ9を、共に縦断面図で示している。
新クランパ9は、スピンドル7の直上に位置して、スピンドル7の設置されたY移動架台11の上部に固定されたエアシリンダ9aのアクチュエータに固定されている。従って穴開け時にはクランパ9とスピンドル7のXmYm平面での位置関係は常に一定である。後に説明するように、クランパはワークのロット変更時やドリル交換時に、水平に移動できるような構造とされる場合もあるが、初めに固定された状態として説明する。
穴開け時以外は(a)のように可動テーブル12に載置された配線板60とは接触しないようエアシリンダ9aがクランパ9を引き上げている。穴開け時のみ、(b)のようにクランパ9は降下して配線板60を押圧する。
【0070】
図11(c)は従来使用されたクランパ75aを示しており、図15、16に示した2穴振り分け式穴開け機に使用されている。X線防護管75の先端に取り付けられ、穴開け時には図示しない駆動機構で下降して配線板60を押圧する。下からスピンドルの先端のドリル77bにより穴開けされる。
このようなクランパ75aの欠点は、穴開け時にドリル77bの先端で導体62を押して変形させ、浅い円錐状の切り屑18が発生する点である。ドリル77bの上昇につれ、切り屑18の外周がすべて切断されれば円錐状のまま、配線板60から分離するので問題ない。
【0071】
往々、切り屑18の外周の一部が残ったままになる場合がある。ドリル77bの上昇により切り屑18も押し上げられるが、ドリル77bが下降すれば、今開けられた穴を覆うように戻ってくる。
正しく基準穴の穴開けが行われたかを確認するため、穴開け後にX線カメラで穴を観測する場合があり、穴を覆った切り屑18によって、穴の座標が狂って測定されてしまう。
切り屑18と導体62とは、手を触れればすぐ離れる程度に、ごく細く連続しているが、エアを吹き付ける位ではなかなか離れず、対策に苦慮する問題となっている。
【0072】
図11(d)に示す断面図を参照して、新クランパ9の説明を行う。
カップ型のクランパ支持具9bがエアシリンダ9aのアクチュエータの先端に固定されている。クランパ支持具9bのカップ内にクランパ9が、1例として、クランパねじ9cで止められている。
クランパ9の形状はクランパ支持具9bのカップに納まり、下端がクランパ支持具9bの下端よりやや突出していれば良い。クランパ9には当初ドリル7bの通る穴は開いていない。クランパ9の材質は配線板60を押圧したときに導体62を傷つけないものでドリル7bで穴開け可能なら何でも良い。一般にはベークライト、穴開けの熱で軟化しないプラスチック、木材等が広く使用できる。
【0073】
クランパ9の使用法を説明する。上述のようにスピンドル7とクランパ9はY移動架台に取り付けられ、その平面的な位置関係は穴開け時には不変とされている。
まず、穴の開いていないクランパ(材)9がクランパ支持具9bにクランパねじ9cで止められる。次にドリル7bでクランパ(材)9に穴開けする。実際に基準穴の穴開けに使用するドリル7bでクランパ材に穴開けされて初めてクランパ9となる。このため、クランパ9の穴は常にドリル7bの位置に一致し、穴径もドリル径に相当している。必ず、多層プリント配線板に基準穴を開けるドリル7bそのもので無垢のクランパ材に穴開けすることが必要である。
この後、実際に配線板60に穴開けする。このときも、クランパ9に開けた穴とドリル7bの位置とは常に一致しているので、切り屑18はドリル7bがクランパ9の穴を上昇するにつれ、確実に導体62から切り離されて、ドリル7bの先端に乗ったまま穴の奥に運ばれる。
【0074】
初めにクランパ9にドリル7bで深く穴開けすれば、かなりの穴数の加工が可能であるが、図11(d)に一点鎖線で示すように、予め、クランパ9の上部に空洞部9dを作っておけば、切り屑18はこの空洞部9dに溜まり、ドリル7bの寿命に相当する穴数分の切り屑18を収容できる。この空洞部9dはクランパ支持具9bに設けても良い。
また、クランパ支持具9bに穴を開け、空洞部9dと連絡すれば、エアの吸引等で切り屑18をこの穴を介して排除する方策も考えられる。
本クランパの使用により、切り屑18が導体62から分離しない事故を完全に防止すると共に、配線板60を押圧する位置をドリル7bのごく近くにできるため、配線板60に過大な曲げ応力が掛かるのを防止する効果も併せ持つものである。
【0075】
以上説明したようなクランパは、呼び径が同一のドリル7bを使用するなら、ドリル交換しても穴開け位置はほとんど不変であり、クランパの穴径が磨耗して使用限度以上に拡大するまで、クランパを使い続けることができる。
また、通常、基準穴として使用される穴径は、例えば穴径3mm〜5mmの範囲で呼び径として3種類程度が常用されている。ここで、少なくとも2種類以上の穴が開けられる程度の大きさのクランパとし、クランパが水平に移動してドリル7bに対する相対位置が変えられるようにしておけば、作業ロットが変わって穴開け作業に使用するドリル7bの呼び径が変わっても、クランパのスピンドルに対する相対位置を移動させて、クランパは交換せずに済ますことができる。
勿論、クランパとドリルの相対位置の変更は、実際の穴開け作業中には行わず、例えばドリル交換直後等の、いわば、準備作業中に行われる。
【0076】
穴開け作業の対象であるプリント配線板の基板材料としては、前述のように、熱硬化性のガラス・エポキシ樹脂等が使用されている。その難切削性のためドリル7bの寿命は短く、かなり頻繁にドリル7bを交換する必要が生じる。
このドリル交換作業は、例えば図11(a)等に示すように、通常ドリルチャック7aからドリル7bを上に抜き去り、新しいドリルと交換するので、クランパ9がドリルの直上部にあると、視界も悪く、ドリル交換の妨げとなる。従って、ドリル交換のために、クランパがドリルの直上位置から待避できる水平移動機構を装備するのが普通である。この移動機構に少しの機能を追加して、ドリル7bに対して、クランパの相対位置が変えられるようにしても、そのためのコスト上昇分は僅少で済む。
【0077】
次に図12を参照して、クランパ39と移動機構付きのクランパ支持具39bの説明をする。図12(a)はクランパ39とクランパ支持具39bを断面図として示してあり、図11(d)とほぼ同様な構成となっている。
図12(b)〜(e)はクランパ39とドリル7bの相対位置を説明する模式図である。
図12(a)で、クランパ支持具39bは図の矢印方向に、例えばYm軸に平行に、移動できる。中央の軸部でエアシリンダ9aのアクチュエータと連結されてプリント配線板を押圧するため上下に移動する。図示していないが、移動のための機構としては、例えば、クランパ支持具39bを直線ガイドで支持し、リニアモータ、エアシリンダ等で駆動する、各種の周知の移動手段が利用できる。Zm軸に直角な平面内の移動であれば上例のように直線的に移動しても良く、例えば円運動でも差し支えない。
クランパ支持具39bにクランパ39が取り付けられる。取付方法も任意の方法が採用可能であるが、1例として、本図ではクランパ支持具39bに段付きの取付部を設けて上下の受けとし、クランパ39を挿入し、小ネジ39c、39cで固定する簡易な構造としている。クランパ39は複数個の穴開けが可能なよう、先に(図11を参照して)説明したクランパ9より、大型に形成されている。
【0078】
クランパ支持具39bは、ドリル7bに対し、図12(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、例えば4種の位置に移動して静止することができる。
クランパ39は、図12(b)の位置では呼び径(直径)がD1のドリル7bで穴開けされる。クランパ支持具がこの位置であれば、呼び径D1のドリル7bに対応できる。同様にクランパ39が図12(c)の位置で呼び径D2のドリル7bに、図12(d)の位置で呼び径D3のドリル7bに対応した穴が開けられ、3種類の呼び径を持つドリル7bに対応できる。クランパ39の停止位置を増加すれば、更に多種類の呼び径のドリルに対応することも可能である。
図12(e)はドリル交換位置を示し、クランパ39はドリル7bの上から完全に移動している。即ち、ドリル7bの廻転駆動手段であるスピンドル7の先端に装備されたチャック7aから、ドリル7bを上に抜いて交換するのを妨げない場所に、クランパ39は待避する。
なお、多数のワークを同一呼び径のドリルのみで穴開けする場合も、クランパに複数個の穴を設けられるので、クランパ交換時期を大幅に伸ばすことができる。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したように、多層プリント配線板に基準穴を開ける穴開け機に対して、3点以上のガイドマークを付加した内挿板の重心位置と、設計時のガイドマークと同一の座標を仮想基準穴とする座標に対する重心位置とを求め、この2つの重心位置を中心として前記各ガイドマークと各仮想基準穴の座標の距離の全ての自乗和が最も小さくなるような回転角度を求めるようにし、この回転角度に基づいて算出された機械系の座標位置に基準穴を開けるように制御する制御装置を設けることにより、3点以上の多点のガイドマークを付けた場合でも基準穴の設定ができるようになり、配線板の広範囲の変形に対応したより正確な基準穴の穴開けが可能となり、次工程以降の配線板の歩留りの向上に寄与できる。
また、レイアップ段階で本多点穴開け方式を適用した穴開け機を使用して、ホットプレス工程の狂いを最小に押さえ、更なる多層配線板の精度向上を狙うことが可能なのも大きな効果である
さらに、クランパ構造の改善により、確実な切り屑の切り離しが期待でき、穴位置確認の座標観測時のトラブルを減少した効果も大きい。クランパ支持具を独立して移動可能とすれば、ドリル交換時に邪魔にならず、クランパ交換の頻度を減少して、利便性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である(基準穴)穴開け機の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態である(基準穴)穴開け機の構造を模式的に示す正面図及び側面図である。
【図3】 本発明の実施の形態である(基準穴)穴開け機の構造を模式的に示す平面図である。
【図4】 穴開け機の可動テーブルの構成を説明する模式図である。
【図5】 穴開け機のX線カメラとスピンドルを載置するY移動架台の動きを示す投影図である。
【図6】 多数穴基準の振り分け穴開けの原理を説明する模式図である。
【図7】 多点振り分け方式でガイド穴を開けた、レイアップ前の単独両面配線板とレイアップ用治具板によるレイアップ工程を説明する模式図である。
【図8】 レイアップ前の単独の両面配線板にガイド穴を加工する穴開け機の構成を説明する斜視図である。
【図9】 図8に示す穴開け機の要部を説明する投影図である。
【図10】 可動テーブルの送り方向と移動量の狂いの補正方法を説明する模式図である。
【図11】 クランパの構造を示す模式的な斜視図及び断面図である。
【図12】 水平方向に移動するクランパの構造を示す断面図及び機能を説明する模式図である。
【図13】 多層プリント配線板の構造を説明する模式図である。
【図14】 多層プリント配線板の構造を説明する断面図である。
【図15】 従来の2穴振り分け(基準穴)穴開け機の基準穴位置の求め方と機械の構成を模式的に示す平面図である。
【図16】 従来の2穴振り分け(基準穴)穴開け機の構成を模式的に示す正面及び側面図である。
【符号の説明】
1 穴開け機、2 筺体、3 架台、4 X線発生装置、4a X線発生管、
5 X線防護管、5a 穴、6 X線カメラ、7 スピンドル、7a チャック、7b ドリル、7c エアシリンダ、8 スピンドル架台、9 クランパ、9a エアシリンダ、9b クランパ支持具、9c クランパねじ、10 X移動架台、11 Y移動架台、12 可動テーブル、10a、11a、12a 直線ガイド(LMガイド)、10b、11b、12b ボールねじ、13 逃げ穴(1、2穴)、13a 逃げ穴(3、4穴)、14 X軸治具板 15 Y軸治具板、14h、15h 治具板小穴、14s、15s 小ねじ、16 穴開け位置(1、2穴)、16a 穴開け位置(3、4穴)、17 作業者位置(白抜き矢印)、18 切り屑、31 (両面配線板用の)(基準穴)穴開け機、32、32a CCDカメラ、39 クランパ、39b クランパ支持具、39c クランパねじ、50 機械座標系(Xm、Ym、Zm、機械原点Om)、P1、P2、P3、P4 ガイドマーク、Pg ガイドマークの重心、H1、H2、H3、H4 (仮想)基準穴、Hg (仮想)基準穴の重心、α 回転角(U軸とX軸のなす角度)、60 多層プリント配線板、61、61A 両面配線板、61a、61aA 単一配線板のパターン、62 導体、63 (絶縁)基板、64、 プリプレグ、64a、64aA プリプレグ(基準穴付き)、65、65A、65B (レイアップ用)基準穴、66、P ガイドマーク、67、H 基準穴、68、68A レイアップ治具板、68a、68aA、68aB 位置決めピン、69 最大配線板外形、69a 最小配線板外形、70 影響範囲、Ha 表裏識別用ガイドマーク

Claims (3)

  1. 直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した基準穴穴開け機筺体に固定された架台と、
    多層プリント配線板の構成要素であるプリント配線板の導体層に形成された少なくとも3点以上のガイドマークを観測するカメラ観測装置と、
    前記カメラ観測装置と同一の移動架台に搭載され、前記プリント配線板に基準穴を穴開けする穴開け装置と、
    前記Xm軸と前記Ym軸に平行な送り方向を持ち、前記プリント配線板と前記観測装置、及び前記穴開け装置の相対位置を変換する送り装置と、
    前記カメラ観測装置により観測された前記ガイドマークの座標から基準位置となる穴開け位置を算出し、前記送り装置を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記少なくとも3点以上のガイドマークの観測値より、前記各ガイドマークを単位質点で置き換えたと見なしたときの第1の重心位置と、
    前記ガイドマークと同数で、且つ、設計時のガイドマーク座標と同一の座標を持つ仮想基準穴の設計時の座標値から、前記仮想基準穴を単位質点で置き換えたと見なしたときの第2の重心位置と、
    を一致させるように設計時の座標系を変換し、
    前記第1と第2の重心位置を回転中心として、前記変換された設計時の座標系を角度(α)で回転させたときに、前記各ガイドマークと対応する前記各仮想基準穴との距離の自乗和を前記全ガイドマークについて足し合わせた値が最小となる角度を求め、
    この角度(α)で回転させた仮想基準穴の座標値に基づいて、前記Xm、Ym軸上の基準穴座標を設定して基準穴を開けるように制御する
    ことを特徴とする基準穴穴開け機。
  2. 上記穴開け装置はスピンドルと同一移動架台に設けられているクランパ支持具を備え、
    前記スピンドルと前記クランパ支持具が、X、Y軸平面内で同時に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の基準穴穴開け機。
  3. 上記カメラ観測装置は可視光を検出するCCDカメラによって構成され、前記穴開け装置はレイアップ前の両面プリント配線板に対して基準穴を開けることを特徴とする請求項1に記載の基準穴穴開け機。
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