JP3803586B2 - 照明光の分類方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像補正制御装置に係るもので、詳しくは、映像表示機器周辺の照明環境に従って映像データを自動的に補正し、最適な視聴の際の画質を確保し得る照明光の分類方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、色順応現象とは、人の目が白熱灯及び蛍光灯などの照明光に順応して、本来の色を他の色と認識する現象を言う。
従って、視聴者はこのような目の色順応現象によりカラー受像管に具現された色を他の色と認識し、最適な画質でテレビジョンを視聴することができない。そこで、周囲の照明環境に従い、映像データを補正して最適な視聴の際の画質を確保し得る映像補正装置が提示されている。
【0003】
従来の映像補正装置は、図11に示すように、周辺環境からRGBデータを感知するRGBセンサー10と、キー選択器20と、該キー選択器20のキー入力に従ってチャンネル選局データを出力し、RGBセンサー10から感知されたRGBデータを加算して該加算値に該当する映像補正データを出力するマイクロコンピュータMPU30と、アンテナを通して受信した複合映像信号を処理し、映像信号と音声信号とに復元する複合映像信号処理部40と、を備えて構成されている。
【0004】
そして、該複合映像信号処理部40は、所定チャンネルを選局するチューナ11と、該チューナ11から選局されたチャンネルの複合映像信号を中間周波数信号に変換するIF処理器12と、該IF処理器12から出力された中間周波数信号を映像中間周波数信号と音声中間周波数信号とに分離する検波器13と、該検波器13から出力された音声中間周波数信号を音声信号に復元してスピーカー15に出力する音声処理器14と、前記マイクロコンピュータ30から出力された映像補正データにより、検波器13から出力された映像中間周波数信号をRGB信号に復元してカラー受像管17に出力する映像処理器16と、を備えて構成されている。
【0005】
以下、このように構成された従来の映像補正装置の動作を図面を用いて説明する。
先ず、キー選択器20によりテレビジョンがパワーオンされた後、特定チャンネル選択キーが入力されると、マイクロコンピュータ30は、前記キー選択器20の出力に応じてチャンネル選局データを出力する。
【0006】
次いで、マイクロコンピュータ30は、前記RGBセンサー10から感知した周囲環境に関するRGBデータを受け、RGBデータを加算(S=DR +DG+DB )した後、図12に示すように、既設定された制御データテーブルと前記RGBデータの加算値Sとを比較して周辺照明を判断した後、該判断された照明に該当する制御データ及びW/B(White/Balance)を設定する。
【0007】
即ち、図12及び図14に示すように、加算値(S)が0≦S<2の場合には、マイクロコンピュータ30は、周辺が夜間(Dark room)であると判断してそれぞれ明暗=30、照度=40、色濃度=40、鮮明度=30の制御データを設定し、第1補正過程を行う(S3及びS4)。加算値(S)が2≦S<45の場合(S5以降)は、各加算値(S)に従う制御データを設定して第2〜第6補正過程を行う(S5及びS6等)。
【0008】
そして、第1〜第7補正過程で、マイクロコンピュータ30は、図13及び図15に示すように、加算値(S)がS<2の場合、周辺が夜間状態であると判断してW/Bを9000°Kに設定し(S22及びS23)、加算値(S)がS≧45の場合は、周辺が昼間であると判断して、W/Bを13000°Kに設定し(S24及びS25)、加算値(S)が2≦S<45の場合は、RとBとの減算値(S1)によりW/Bを設定する(S26)。
【0009】
即ち、減算値(S1)がS1≦0の場合は、周辺照明は蛍光灯(Fluorescent Lamp)によるものと判断してW/Bを12000°Kに設定し(S27及びS28)、減算値がS1≦5の場合は、周辺照明は蛍光灯及び白熱灯(Incandescent Lamp)によるものと判断してW/Bを11000°Kに設定し(S29及びS30)、減算値がS1≧5の場合は、周辺照明は白熱灯によるものと判断してW/Bを10000°Kに設定する(S31)。
【0010】
チューナ11は、前記マイクロコンピュータ30から出力されたチャンネル選局データに従い所定チャンネルを選局し、IF処理器12は、選局されたチャンネルの複合映像信号を中間周波数信号に変換し、検波器13は、該変換された中間周波数信号を映像中間周波数信号を映像中間周波数信号と音声中間周波数信号とに分離する。
【0011】
その結果、分離された音声中間周波数信号は、音声処理器14で音声信号に復元され、スピーカー15に出力し、前記検波器13から出力された映像中間周波数信号は、映像処理器16に入力し、前記マイクロコンピュータ30により設定された映像補正データ及びW/Bにより映像信号を補正してカラー受像管17に表示する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、このような従来の映像補正装置においては、周囲の照度が低くなる場合、総加算値(S)は小さくなるため、周囲の照明を誤って判断し、誤動作が発生する恐れがあった。
【0013】
又、周囲の照度が高い場合は、例えば、加算値(S)がS≧46の場合、マイクロコンピュータ12は、同様なW/Bを設定するため照明判断によりW/Bを設定することは不可能であった。
且つ、従来の映像補正装置は、目の色順応現象を一切考慮に入れていなかったため、良好な画質を確保することができないと言う不都合な点があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、映像表示機器周辺の色信号を検出し、該検出された色信号から照明環境を判断し、該判断された照明環境及び照明環境の変換に従って映像データを自動に補正して最適な視聴の際の画質を確保し得る照明光の分類方法を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような本発明の目的を達成するため、本発明に係る照明光の分類方法は以下の段階からなる。
【0016】
本発明に係る照明光の分類方法は、入力照明光から検知した色信号に含まれる色成分Ye及びCyに基づいて該入力照明光の種類を分類する方法であって、該色信号を感知する色感知手段の出力電圧の2磁極値を、CIEで規定するX,Y,Zの3磁極値に線形変換するための変換マトリクスを求めること、求められた変換マトリクス係数及び代表的な照明光のx、y座標を用いて色感知手段の出力電圧比Ye/Cyを求めること、該求められた出力電圧比と照明光の種類を示す対応データとを参照して照明光の種類を分類すること、から成る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に対し図面を用いて説明する。
本発明に係る周囲照明光判断装置及びそのような判断を用いた映像補正制御装置の実施形態においては、図1に示すように、周辺の光成分中、Cy,Ye色成分を感知してR′,B′値に出力する色感知部100と、該色感知部100から出力されたR′,B′値をディジタル変換してR″,B″値を出力するA/D変換器200と、該A/D変換器200から変換されたR″,B″値により照明光を判断し、該判断された照明光に従って映像補正データを出力するマイクロコンピュータ(MPU)300と、アンテナを通して受信された複合映像信号を処理して映像信号と音声信号とに復元する複合映像信号処理部40と、を備えて構成される。
【0018】
前記色感知部100は、図1に示すように、Cy,Yeセンサー21、オフセット調節部22、増幅器23,26、ローパスフィルター24,25を備えている。
前記複合映像信号処理部40は、従来の構成と同様であり、図1にはチューナ11、検波部13、音声信号処理器14、映像信号処理器16及びカラー受像管17のみが図示されている。
【0019】
以下、このように構成された本発明に係る映像補正制御装置の動作を説明する。
図2には色感知部100の具体的な回路構成例が示されている。図2において、色感知部100のCy,Yeセンサー(21−1)(21−2)が映像表示機器周辺の光成分中、Cy,Ye色成分を感知すると、増幅器(23−1)(23−2)は、入力オフセット電圧調節器(22−1)(22−2)及び出力オフセット電圧調節器(22−3)(22−4)により設定されたオフセット電圧により感知された前記Cy,Ye色成分を各々増幅し、該増幅されたCy,Ye色成分はローパスフィルタ24,25(図1)でフィルタリングされた後、増幅器(26−1)(26−2)を経てそれぞれの色信号R′,B′に出力される。このとき、前記抵抗R12,R32は、Cy,Ye色成分及び色信号R′,B′比を調節する。なお、本例では、前記ローパスフィルタ24,25は増幅器(23−1),(23−2)の一部として含まれる。
【0020】
次いで、前記色感知部100から出力した色信号R′,B′は、A/D変換器200からのディジタル色信号R″,B″に変換され、マイクロコンピュータ300は、前記ディジタル変換されたR″,B″値から各種映像補正データを生成/出力する。
【0021】
以下では、色信号成分比を用いて行われた周囲照明判断及び該判断された周囲照明に従って設定される映像補正データの設定過程を説明する。
先ず、マイクロコンピュータ300は、図5に示すように、前記A/D変換器200から入力したディジタル色信号R″,B″からG″値〔G″=(R″+B″)/3〕を算出し、該算出されたG″値とR″,B″値との加算値(SUM=R″+G″+B″)、そしてB″値及びR″値の色信号成分比(Ratio=B″/R″)を算出する(S100〜S103)。
【0022】
従って、マイクロコンピュータ300は、図4に示すように、算出された前記加算値(SUM)に従って映像補正データの明暗(Contrast)、照度(Brightness)、色濃度(Saturation)、鮮明度(Sharpness)を設定し(S104)、前記色信号成分比(Ratio=B″/R″)により照明光の種類を判断した後、該判断された照明に従って図3に示すように、テーブルに既に記憶されている色温度(W/B)、TINT、X軸、サブカラー(Sub−Color)などに基づいて映像補正動作を行う。
【0023】
即ち、色信号成分比(Ratio)がRatio>2の場合は、照明光の種類を昼間(Daylight)と判断し、色温度(W/B)=11000°K、TINT(G)=1、X軸=Japanの第1補正データを出力する(S105及びS106)。色信号成分比(Ratio)が1<Ratio<2の場合は、照明光の種類をC光源(蛍光灯)と判断し、色温度(W/B)=9500°K、TINT(G)=3、X軸=Japanの第2補正データを出力する(S107及びS108)。
【0024】
次いで、上記各ステップと同様に、色信号成分比(Ratio)が0.8<Ratio<1の場合及び色信号成分比(Ratio)がRatio<0.8の場合には、それぞれ第3、第4補正データを出力して映像を調節する(S109〜S112)。
そして、照明光が夜間状態(暗状態)の場合は、色信号成分比(Ratio)がRatio=0/0になって算出不可能となるため、このときは、A光源と同様な条件により映像を調節する。
その結果、複合映像処理部40の映像信号処理器16は、前記マイクロコンピュータ300から出力された映像補正データにより映像を再処理してカラー受像管17に表示する。
【0025】
その後、図6に示すようにこのような映像補正が終了すると、マイクロコンピュータ300は、前記色感知部100を通して感知された色信号R″,B″を継続して受信し、G″値、SUM値及び色信号成分比(Ratio)を算出し、該算出された色信号成分比を用いて照明光の種類を判断し、それを記憶する(S100〜S103,S114)。
【0026】
次いで、算出された色信号成分比(Ratio)と以前に記憶した色信号成分比(Ratio)とを比較して照明光変化の有無を判断する(S115)。その結果、照明光の変化がない場合は、加算値SUMに従う映像補正データを出力し(S116)、照明光の変化がある場合は、目の色順応現象を考慮して所定時間の間、現在の映像補正データを維持した後、更に目の色順応を考慮した映像補正ステップを実行する。
【0027】
即ち、図7に示すように色信号成分比(Ratio)がRatio>2の場合は、目の色順応現象を考慮して第1補正データを徐々に変化させながら出力し(S120及びS121)、色信号成分比(Ratio)が1<Ratio<2の場合、第2補正データを徐々に変化させながら出力する。
次いで、前記の過程と同様に、色信号成分比(Ratio)が0.8<Ratio<1の場合及び色信号成分比(Ratio)がRatio<0.8の場合にも各々第3、第4補正データを徐々に変化させながら出力する(S123〜S126)。つまり、照明条件の変化がある場合は、補正を段階的に遂行して人間の目の色順応に対応する。
【0028】
従って、複合映像処理部40の映像信号処理器16は、前記マイクロコンピュータ300からの段階的に変化する映像補正データを処理してカラー受像管17に表示する。それによって、視聴者は、周囲の照明変化に拘らず、最適な画質を確保することが可能になる。
【0029】
また、本発明に係る周囲照明の判断方法の他の実施形態としては、Cy,Yeセンサー(21−1)(21−2)の出力電圧比を用いて照明光を判断する方法がある。
先ず、Cy,Yeセンサー(21−1)(21−2)の出力電圧(Ye,Cy)の2磁極値から国際照明学会(CIE)のX,Y及びZの3磁極値への変換関係は次のようである。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】
【数4】
【0034】
従って、一般的な照明光の蛍光灯(x=0.313,y=0.332,W/B=6500°K)及び白熱灯(x=0.417,y=0.396,W/B=3300°K)に対する出力電圧比Ye /Cy を前記式(6)より求めると、図8に示すようになる。その結果、Cy 電圧に対するYe の電圧比が1.4程の場合は、白熱灯と、0.9程の場合は、蛍光灯と判断する。
【0035】
そして、色温度(W/B)に従う出力電圧Cy ,Ye との関係を明らかにするため、図9に示すように、2000°K〜8000°K間で、1000°毎の色温度に従う−10,0,10,30及び50MPCDに対する出力電圧比Ye /Cy を模擬実験した結果、MPCD値が増加するほど出力電圧比Ye /Cy が増加し、同様な出力電圧であっても色温度(W/B)が異なることが分かる。
【0036】
ところで、一般的には周辺光源に対する白熱灯の色温度範囲は、3000°K〜4000°K、MPCDは、−10程で、蛍光灯の色温度範囲は、6500°K〜7500°K、MPCDは、50〜60程である。その結果、図9に示したように、白熱灯の場合、出力電圧比Ye /Cy は、1/17〜1.39程で、蛍光灯の場合、出力電圧比Ye /Cy は、0.88〜0.97になる。
【0037】
そして、蛍光灯及び白熱灯が混合された場合は、図10に示すように、前記白熱灯と蛍光灯との出力電圧比Ye /Cy 間の値になる。
つまり、周囲照明光の種類をCy,Yeセンサー(21−1),(21−2)の出力電圧比を用いて判断することができる。
このような本発明の周囲照明光判断及びそれを用いた映像補正制御装置は、前記の実施形態に限定されず、請求範囲の範囲で多様に応用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る周囲照明光の判断装置及びそのような判断を用いた映像補正制御装置においては、映像表示機器周辺の照明環境を感知し、該感知された照明環境及び該照明環境の変化に従って映像データを自動に補正するようになっているため、最適な視聴の際の画質を確保し得るという効果がある。
【0039】
そして、本発明は、二つの出力(R′,B′)のみを用いるため、入力側のポート数を三つから二つに減らし、入力及び出力オフセット電圧を調整するようになっているため、オフセットによる偏差を低減し得るという効果がある。
【0040】
且つ、本発明は、人間の色順応現象を考慮してより良好な視聴の際の画質を確保し、色信号成分比を用いるため、低い照度でも高い照度の光源に対する正確なW/Bを維持し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る映像補正制御装置のブロック図である。
【図2】図1の色感知部を示した回路図である。
【図3】色成分比により判断された各周囲照明に該当する映像補正データを記憶したテーブル(Table)である。
【図4】加算値(S)に従う映像データの設定値を示したテーブルである。
【図5】色成分比による補正映像データの設定及び映像補正ステップを示したフローチャートである。
【図6】色成分比による照明光及び照明光変化有無の判断ステップと色順応現象とを考慮した映像補正ステップとを示したフローチャート(1)である。
【図7】色成分比による照明光及び照明変化有無の判断ステップと色順応現象とを考慮した映像補正ステップとを示したフローチャート(2)である。
【図8】白熱灯及び蛍光灯に対するYe及びCyの出力電圧比を示したグラフである。
【図9】色温度に従う出力電圧比(Ye /Cy )を示したグラフである。
【図10】二つの光センサーの出力電圧比により決定される周囲光源の判断図である。
【図11】従来映像補正装置のブロック図である。
【図12】加算値(S)に従う制御データの設定テーブルを示したテーブルである。
【図13】加算値(S)に従うW/Bの設定テーブルを示したテーブルである。
【図14】加算値(S)による補正過程を示したフローチャートである。
【図15】加算値(S)及び減算値(S1)によるW/Bの設定過程を示したフローチャートである。
【符号の説明】
11…チューナ
13…検波部
14…音声信号処理器
16…映像信号処理器
17…カラー受像管
21…Cy,Yeセンサー
22…オフセット調節部
23,26…増幅器
24,25…ローパスフィルター
40…複合映像信号処理器
100…色感知部
200…A/D変換器
300…マイクロコンピュータ(MPU)
Claims (1)
- 入力照明光から検知した色信号に含まれる色成分Ye及びCyに基づいて該入力照明光の種類を分類する方法であって、
該色信号を感知する色感知手段の出力電圧の2磁極値を、CIEで規定するX,Y,Zの3磁極値に線形変換するための変換マトリクスを求めること、
求められた変換マトリクス係数及び代表的な照明光のx、y座標を用いて色感知手段の出力電圧比Ye/Cyを求めること、
該求められた出力電圧比と照明光の種類を示す対応データとを参照して照明光の種類を分類すること、
から成ることを特徴とする照明光の分類方法。
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