JP3802727B2 - 形鋼の矯正方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形鋼の矯正を高精度かつ高効率に行う方法および装置を提供する。
【0002】
【従来の技術】
軌条やH形鋼などの形鋼は垂直断面(C断面)形状の寸法精度確保と同時に長手方向の真直性の確保が重要である。形鋼の圧延工場では真直性確保のために、圧延工程後の精整工程で形鋼の矯正を行っている。従来矯正工程ではローラーレベラーによる矯正が一般的であった。ローラーレベラーによる矯正ではパスラインの上下または左右に千鳥状に配設された矯正ロールの押し込み位置を調節することにより被矯正材(形鋼)に後段になる程曲率が斬減する適当な繰り返し曲げを付与し、その際被矯正材の曲率が0に収斂する性質を利用する。そのため比較的コンパクトな設備ですみ、また一旦適正条件に設定すれば無人運転が可能なため導入しやすい特徴がある。しかし、近年形鋼の寸法精度および真直性に対する顧客ニーズが厳しくなる傾向にあり、ローラーレベラーで全てのニーズに対応することが困難となっている。
【0003】
例えば軌条では鉄道車輌の高速化が指向されており、軌条製品の全長にわたって真直性の確保が必要なことからローラーレベラーでは原理的に矯正不可能な両端部の再矯正が必要になる。現状では三点曲げや四点曲げなど間歇的なプレスによる再矯正が行われており、直行率を下げ生産性を著しく低下させる原因となっている。
【0004】
また、形鋼は利用時に所定寸法に切断して用いられることが多く、製品内部に大きな残留応力がある場合には切断面近傍で残留応力が解放されることによる局部変形が発生しやすい。この場合、切断した形鋼を構造物などに組み立てる際に継ぎ目に段差などが生じて所定の接合が出来ないなどの課題があった。ローラーレベラー矯正では原理的に繰り返し曲げによる残留応力を付与するため、特にこの現象が顕著に生じる。
【0005】
一方、矯正工程で寸法や真直性を確保出来た場合でも、矯正による材質的な劣化が生じる場合がある。例えばH形鋼では繰り返し曲げを加えるためにウェブとフランジの付け根近傍のウェブ部を矯正ロールで局部的に圧下するため、この部分に繰り返しのせん断変形が生じて加工硬化やそれに伴う割れなどが発生する課題があった。
【0006】
特公昭56−40644号公報にはローラー矯正機の代わりにユニバーサル圧延機を用いて10%以下の圧下率で圧延することを特徴とする矯正方法が開示されている。図12は左右曲がりの矯正方法を示す図であり、1及び2は竪ロール、3及び4は水平ロール、A及びBは左右曲がりのH形鋼、P1及びP2は竪ロール1及び2の圧下量を示す。H形鋼Aの曲がりの場合はP1>P2、H形鋼Bの曲がりの場合はP1<P2に設定し、圧下量の大きい方のフランジが圧下量の小さい方のフランジより長手方向に多く延伸して曲がりを相殺するとしている。しかし、この方式では圧延だけによる延伸差を利用しているので圧下率が最大10%程度まで必要となり、そのため矯正前後のH形鋼の寸法変化及び左右フランジの厚さの変化が大となって製品寸法外れが課題となる。また、これを防止するために圧下率を低減した場合には矯正効果が減少して曲がりが直らない課題があった。また、図13は上下曲がりの矯正方法を示す図であり、δは上下水平ロールの軸心のオフセット量、C及びDは上下曲がりのH形鋼を示す。H形鋼の曲がりに応じて水平ロールのオフセット量δを調節することにより曲がりを相殺するとしている。しかし、この方式でも圧延だけによる延伸差を利用しているので矯正に必要な圧下率が大となり製品寸法外れが課題となる。
【0007】
図12及び図13の場合で、特に曲がりが大きい場合にはユニバーサル圧延機をタンデムに配置して矯正能力の向上を図るとしている。しかしタンデム圧延にすると圧延機のコストが倍になること、メンテナンスコストも増大すること、など導入の段階で課題がある。
【0008】
特開平5−146824号公報には形鋼を多パスリバース圧延するユニバーサル圧延機の前面または後面にフランジ端拘束ローラーおよびフランジ側部拘束ローラーを有することを特徴とする形鋼の反り及び曲がり防止装置が開示されている。図14はユニバーサル圧延におけるH形鋼の上下方向の端曲がりを防止するフランジ端拘束ローラーの機構図であり、11及び12はH形鋼のウェブとフランジ、2はフランジ端拘束ローラーを示す。図15はユニバーサル圧延におけるH形鋼の左右の端曲がりを防止するフランジ側部拘束ローラーの機構図であり、11及び12はH形鋼のウェブとフランジ、3はフランジ側部拘束ローラーを示す。また、図16は実施例に係わる形鋼の反り及び曲がりの防止装置の構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。41及び42はユニバーサル圧延機の水平ロール及び竪ロール、43はサイドガイド、44はストリッパガイド、45は搬送テーブルローラ、46及び47は上下方向反り防止ローラーガイドスタンドおよび左右方向曲がり防止ローラーガイドスタンドであり、46には図14の2のフランジ端拘束ローラー、47には図15の3のフランジ側部拘束ローラーが支持されている。ユニバーサル圧延で形鋼の端曲がりが発生した際に、形鋼の端部近傍が2のフランジ端拘束ローラー及び3のフランジ側部拘束ローラーと接触して形鋼が拘束されることにより上下及び左右の曲がりの発生を防止し、更にサイドガイドでは発生が懸念される擦り傷も生じないとしている。しかし、この方法は反り及び曲がりの防止装置といっても、疵の発生しにくいという特徴を有する単なるサイドガイドであり、これを従来のローラー矯正機に代替することは不可能である。即ち、2のフランジ端拘束ローラー及び3のフランジ側部拘束ローラーは図16の実施例でも分かるように圧延機の前面又は後面に固定されており、形鋼端部の大曲りなどに対して余裕を保つために形鋼のパスラインに対して干渉しない位置に配置されている。即ち、固定方式のガイドの限界が存在し、要求精度の劣る熱延では使えても、要求精度が格段に高い製品の矯正には使用出来ない。また、仮に理想的なパスライン位置にローラーを設定できても冷間または温間の矯正ではスプリングバック量が大きく寸法外れとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたように、従来の繰り返し曲げの原理に基づくローラーレベラー矯正では、1)両端の非定常部の矯正が出来ない、2)残留応力による切断時の局部変形が避けられない、3)不均一変形による局部的な材質劣化の課題が発生しやすいなどの課題があった。
【0010】
またこれらを解決するために特公昭56−40644号公報に開示されているユニバーサル圧延機の圧下率を調整する圧延矯正方法では、矯正前後の形鋼の断面形状変化が大きいため軌条などの高寸法精度が要求される場合に使えない課題があった。
【0011】
更に、特開平8−257618号公報に開示のサイドガイドをローラー支持式にして端曲がりを防止する装置では、固定式ガイドの限界のためパスラインから若干離れた位置でしかガイド出来ないこと及びスプリングバックの影響を抑制出来ないので製品の矯正には使えない課題があった。
そこで、従来のローラーレベラー矯正の欠点を除き、しかも寸法精度的にこれを代替できる新しい手法の提供が望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の矯正方法の欠点である不均一変形を排除する観点から、均一変形が期待できる軽圧下圧延および長手方向の引っ張りによる矯正機構と曲がりに対して効果的な曲げによる矯正機構に着目し、これらの特性を詳細に検討・把握するとともに、その長所を複合化させることにより、これら単独では得られない従来に無い高精度、高効率を特徴とする矯正技術に発展させたものである。即ち、形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正方法において、圧延機を用いて被矯正材である形鋼をその垂直断面全体が塑性変形するように圧下し、前記圧延機の出側と入側の両方から被矯正材に長手方向の張力と矯正方向の曲げモーメントを与えることを特徴とする。
【0013】
また、形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、形鋼の垂直断面全体を塑性変形させる圧延機と、前記圧延機の出側と入側の両方に駆動式のピンチロールまたはピンチロール列を有することを特徴とする。
【0014】
さらに、前記ピンチロールまたはピンチロール列の圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方が、上下、左右自在に位置を設定出来、ことを特徴とする。
【0015】
また、前記ピンチロールまたはピンチロール列の圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方が、圧延方向を軸に回転自在に位置を設定出来ることを特徴とする。
【0016】
さらに、形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、圧延機、駆動式のピンチロールまたは圧延機、駆動式のピンチロール列の各ロールが、ロール回転速度計、荷重計、変位計のうちいずれか1つまたは2つ以上の計測器を有し、当該計測器からの信号を入力して圧延機のロール締め込み量、回転速度、各ピンチロールもしくはピンチロール列の位置、回転速度のいずれか1つまたは2つ以上を制御する制御装置を有することを特徴とする。
【0017】
また、形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、圧延機としてユニバーサル圧延機を用いることを特徴とする。
【0018】
【作用】
図1は本発明の原理を示す説明図であり、圧延工程で所定の垂直断面寸法に成形された形鋼が入側自在ピンチロールまたはピンチロール列とユニバーサル圧延機および出側自在ピンチロールまたはピンチロール列を通過している状況を示す。形鋼はユニバーサル圧延機の上下の水平ロールと左右の竪ロールとにより挟み込まれて垂直断面全体が同時に圧下されることにより所定量の塑性変形を受けており、形鋼は所定の断面寸法に成形される。入側および出側に配設されたピンチロールまたはピンチロール列は形鋼を上下および左右のロール対にて挟み込むことにより形鋼を把持する。そのため、大曲りの形鋼の矯正の場合でも、ピンチロールが干渉しないように開いておき形鋼の先端が通過する際にピンチロールを閉じて形鋼を把持出来る。そのために、ピンチロールまたはピンチロール列を回転駆動すればユニバーサル圧延機との間の形鋼に長手方向の張力を負荷出来る。
【0019】
また、該ピンチロールまたはピンチロール列に取り付けられたアクチュエータにより該ピンチロールまたはピンチロール列を上下、左右に自在に移動して形鋼のパスラインを任意に設定することも出来る。
【0020】
矯正前の形鋼は長手方向に反りや局部的な曲がりが発生しており、このような状態で図1のように圧延すると反りおよび曲がりに起因する設定パスラインからの偏差により形鋼が幾何学的にピンチロールおよび圧延機の各ロールに強く接触し、該各ロールを無理に押すことになる。その際にユニバーサル圧延機の入側および出側近傍の形鋼には、入側および出側の各ピンチロールの反力に起因するモーメントが作用する。形鋼はユニバーサル圧延機により軽圧下されておりまた入側および出側に配設された駆動式のピンチロールまたはピンチロール列により張力が負荷されているのでロールと接触している部分の垂直断面が塑性変形しており、該入側および出側のピンチロールによるモーメントが作用して形鋼をパスラインに沿う方向に矯正する。その際にパスラインは入側または出側のピンチロールまたはピンチロール列の位置を上下左右に自在に設定できるので、形鋼を上下左右任意の設定のパスラインに沿うように矯正出来る。
【0021】
図2は従来方式であるローラーレベラーによる矯正方法と本発明の矯正方法の変形特性を比較するために導入したモデルの説明図である。図2(a)は従来技術であるローラーレベラー矯正中の形鋼および矯正ロールの一部を示す図で、B’点、A点およびB点はそれぞれ矯正ロール72、71および73と形鋼50の接触部であり、B点は押し込み量Δだけ形鋼50を押し込む位置に設定されている。そのため、形鋼50は下に凸な曲げ矯正を受けるので、B点には矯正の反力が発生する。
【0022】
図2(b)は本発明の矯正方法により矯正中の形鋼およびロールを示す図で、B’とB点はそれぞれ入側ピンチロール57’および57と出側のピンチロール59’および59と形鋼50の接触部に対応し、AおよびA’はユニバーサル圧延機のロール55および55’と形鋼50の接触部に対応する。この場合もB点は押し込み量Δだけ形鋼50を押し込む位置に設定されている。そのため、形鋼50は下に凸な曲げ矯正を受けるので、B点には矯正の反力が発生する。その際、ロール55および55’により形鋼50を圧下量uだけ圧延するので、圧下量uの変化に伴ってB点の反力も変化する。また、ピンチロール57および57’または59および59’が回転駆動して形鋼50を引っ張るので矯正効果が生じるAおよびA’近傍の形鋼に張力が作用する。
【0023】
図3は図2のモデルに関して弾塑性有限要素解析により得られた結果で、ローラーレベラー矯正法と本発明の方法による矯正反力の比較を行った説明図である。縦軸は図2(a)および図2(b)で矯正によりピンチロールのB点に作用する反力、横軸はAおよびA’点における圧延の圧下率である。横軸が0の場合は圧延を施さず曲げ矯正する場合なので図2(a)に対応しており、この場合に矯正反力が最大値となる。また、圧延における圧下率が増加するに従って矯正反力が単調に減少する。これは図2(b)で圧延圧下により既に降伏状態にあるロールバイト内の材料、即ちA点およびA’点を含む形鋼の垂直断面(形鋼の長手方向に対して垂直な断面)近傍の材料に対して、ピンチロール59’の反力に起因する曲げ応力が重畳する状態となるため、圧延圧下率の増加により降伏域が拡大する程B点の反力が減少するものと理解される。また、ピンチロールによる張力により降伏しやすくなるので、張力の作用によりB点の矯正反力が図のように低減する。
【0024】
図4の縦軸は矯正後の形鋼のスプリングバック量(形鋼が矯正機から外れた際に内部応力の解放により変形する現象)、横軸は矯正工程におけるB点の矯正反力である。PaおよびPbはローラーレベラーおよび本発明の方法による矯正反力を示しており、矢印を辿ることにより求まる矯正後のスプリングバック量は矯正反力が小のPbの場合、即ち本発明の方法が格段に小さいことが分かる。 そのため、本発明の方法では従来方法のローラーレベラー矯正に比べて所定の強制変位を負荷した後の形状凍結性に優れるため、原理的に従来法に比べて精度の高い矯正が可能である。
【0025】
図5は矯正による残留応力の変化を示す説明図であり、図5(a)はローラーレベラ矯正、図5(b)は本発明の方法を示す。前者では曲げにより残留応力が蓄積されるが、後者の場合は原理的に残留応力を零に低減可能である。そのため、前者では矯正後の形鋼の切断時に残留応力が解放されて変形が生じやすいのに対して、後者の場合は原理的に変形を防止出来る。
【0026】
図6は形鋼のねじれ変形の矯正原理を示す。矯正前の形鋼はねじれ変形を伴う場合があり、その際には入側または出側に配設されたピンチロールまたはピンチロール列を該ねじれを相殺するように進行方向を軸に回転させて位置設定する。図6では出側ピンチロールまたはピンチロール列を水平方向傾きαに設定した場合を示す。この場合も圧延により既に降伏状態にある材料に、ピンチロールによるねじれ応力が重畳するので、ピンチロールには大きな反力を生じないで矯正が可能となる。そのため、矯正反力が小なのでスプリングバックも小となり、優れた形状凍結性と高寸法精度が期待出来る。
【0027】
図7は本発明の制御システムの説明図である。矯正前の形鋼は局部的な曲がりやねじれ変形を生じる場合がある。その際に圧延機およびピンチロールまたはピンチロール列の各ロールの開度や位置を定常部に合わせた一定条件の設定だけでは矯正不足を生じる場合がある。そこで、圧延機およびピンチロールまたはピンチロール列の各ロールが荷重計、望ましくは荷重計と変位計を有し、該荷重計、荷重計と変位計の信号を入力として圧延機のロール締め込み量および各ピンチロールまたはピンチロール列の位置を制御することにより、非定常部の矯正を行う。
【0028】
複雑な形状の形鋼の垂直断面全体を圧延により塑性変形域に保つためには形鋼の表面に出来るだけ工具を接触させて周囲全体を均一に圧下することが望ましい。そこで、現状最もこの条件に近い圧延機としてユニバーサル圧延機を用いることが考えられる。一般にユニバーサル圧延機は高価であるが、本発明の軽圧下圧延条件であれば加工仕事量が小であり比較的コンパクトで安価な設備が実現出来る。
【0029】
また、入側または出側の回転駆動式ピンチロールによりロールバイト内の材料に張力を付与することにより、圧下で生じた塑性変形域をより一層均一に保つことが出来るので、矯正後の形鋼の残留応力を理論的にはほぼ0まで低減することが可能である。さらに、入側のピンチロールによる張力付与に関しては、モーターによる駆動方式をロールの回転制動方式に代替することも可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1に示す。ユニバーサル圧延機51の入り出側に形鋼の送り方向に対して上下、左右の移動と、時計および反時計方向の回転により位置決め可能な入側および出側の自在ピンチロールまたはピンチロール列が基本構成である。自在ピンチロールまたはピンチロール列に関しては何れか一方だけでもかまわないが、少なくとも1対以上のピンチロールは、回転駆動される。図8〜図10に本発明の方法を用いて左右曲がり、上下曲がりおよび軸方向のねじれがあるH形鋼を矯正する方法を示す。通常、寸法精度に関する公差がH形鋼程度であれば自在ピンチロールまたはピンチロール列をパスラインに一致させて矯正を行うことにより、左右曲がり、上下曲がりおよび軸方向のねじれが形鋼の全長で目標公差内に入る。更に矯正効果を高めるためにはピンチロールを回転駆動させて形鋼を引っ張ると良い。
【0031】
しかし、更に厳しい寸法精度が必要な場合には以下のように形状不良に合わせた設定を行う。これによりミル変形やスプリングバックによると思われる僅かの残留形状不良を矯正する。
【0032】
図8の左右曲がりの形鋼を矯正するために自在ピンチロールまたはピンチロール列を左右方向にパスラインから外して設定する。図9の上下曲がりの形鋼を矯正するためには自在ピンチロールまたはピンチロール列を上下方向にパスラインから外して設定する。また、図10のねじれを生じている形鋼を矯正するためには自在ピンチロールまたはピンチロール列を時計方向または反時計方向に回転させて設定する。
【0033】
図8〜図10では入り側または出側の何れかのピンチロールまたはピンチロール列の設定方法を示したが、実際の形鋼の状態により矯正能力を向上させる場合や、複合した曲がり、ねじれ不良の場合などはこれらを任意に組み合わせて用いることは言うまでもない。また、これらの矯正に際して、ピンチロールにより張力を付与することにより矯正効果が向上することはいうまでもない。
【0034】
さらに、ピンチロールに過大な負荷が生じる場合は圧延機の圧下量を増加することにより、図3の特性からピンチロールの負荷の低減を図ることで対応出来る。
【0035】
【実施例】
図7は本発明の一実施例を示す説明図であり、図1の基本構成、即ちユニバーサル圧延機とその入り出側の自在ピンチロールまたはピンチロール列で構成される場合である。ピンチロールまたはピンチロール列に関しては何れか一方、望ましくは出側ピンチロールまたはピンチロール列を含み、さらに少なくとも1対以上のピンチロールが回転駆動される構成が良い。ユニバーサル圧延機および自在ピンチロールまたはピンチロール列にはアクチュエータとその制御盤60、61および62と、センサー63、64および65が付属しており、これらは記録装置67を有する制御装置66と信号線で連結されている。形鋼を矯正する際にはユニバーサル圧延機51の各ロールの回転速度、ロールの位置とロール反力をセンサー63により測定し、この計測信号を制御装置66に取り込んで演算することにより、狙いの圧下率を得るための適正ロール位置を得るとともに制御信号をユニバーサル圧延機の制御盤およびアクチュエータ60に送信して圧延の圧下率を狙い値に制御する。このことにより形鋼の垂直断面形状を狙い値に保つとともに、ロールバイト内の材料を塑性変形状態に保持しピンチロールによる矯正負荷を低減する。一方、自在ピンチロールまたはピンチロール列52および53に関して、各ロールの回転速度、ロールの位置およびロール反力をセンサー64および65で検出し、その計測信号を制御装置66に取り込んで演算することにより、形鋼の形状を推定し、形状外れを矯正するために最適なピンチロールまたはピンチロール列の位置およびロール回転速度を得るとともに制御信号をピンチロールまたはピンチロール列の制御盤およびアクチュエータ61および62に送信して形鋼の形状を狙い値に制御する。
【0036】
<実施例1:ピンチロールまたはピンチロール列の位置の手動設定の場合>
本発明の図7の矯正機を図11に示す一般的な形鋼圧延工程のローラーレベラー矯正機とリプレースし、両者の能力を比較した。
【0037】
先ず、ローラーレラーではロールの押し込み量を入側で大きく、出側にいくに従って小さくする基本設定様式で形鋼定常部の曲がりを矯正出来る条件を見つけることが出来た。しかし、形鋼の端部に関しては公差を外れる場合がかなりの頻度で見られた。これらの公差外れの形鋼は生産性の極めて低いプレス装置で矯正するか、歩留落ちを前提に端部を切断除去することで始めて救済出来る。また、ローラーレベラー矯正後の形鋼の全長、特にプレス矯正を施した部位は、形鋼を切断した際に切断面近傍で垂直断面形状が変化して公差から外れる場合が多く観察された。
【0038】
一方、本発明の方法でピンチロールまたはピンチロール列をパスラインに一致させた設定では形鋼の両端部を含めてほぼ目標公差に入ることが判明した。また、形鋼の端部を含めて何れの場所で切断しても垂直断面形状の大きな変化は見られなかった。
【0039】
以上の結果から、本発明の方法が従来のローラーレベラーを完全に代替出来ることが判明した。また、ローラーレベラーで矯正しにくい図10のねじれ不良に関しても、矯正出来ることが確認された。但し、ピンチロールまたはピンチロール列を手動設定する方法では、ピンチロールの弾性変形や形鋼のスプリングバックの影響で若干の形状不良が製品に残留することが判明した。そこで、この残留形状不良を除去するために実施した例を以下に示す。
【0040】
<実施例2:ピンチロールまたはピンチロール列の位置を自動制御する場合>図7の矯正機の制御装置66に図8〜図10に示す矯正原理に基づく制御ロジックを適用した。そして、図11に示す一般的な形鋼圧延工程のローラーレベラー矯正機とリプレースしその特徴を検討した。
【0041】
図8に示す左右曲がりの形鋼に関してセンサー63、64および65で取り込んだ計測信号から演算して曲がりの方向を推定するとともに、図8のように最適ピンチロールまたはピンチロール列の位置を演算して、制御盤およびアクチュエータ60、61および62に制御信号を送信することによって狙いのピンチロールまたはピンチロール列の位置に制御する。また、圧延機およびピンチロールのロール回転数から形鋼に作用する張力を演算し、この張力を矯正に適するようにピンチロールの回転速度を制御する。この方法により形鋼の全長でほぼ100%真直な矯正が再現された。また、同様なことが図9の上下曲がりの場合や図10のねじれ不良に関しても確認された。
【0042】
更に、人工的に左右曲がり、上下曲がりおよび軸方向のねじれが複雑に分布した形鋼を作成して本発明の手法を適用したところ、形鋼の全長でほぼ100%真直な矯正が再現された。
【0043】
以上は図11の形鋼圧延工程の場合であるが、本発明の技術は熱間矯正、温間矯正、冷間矯正など幅広い工程に適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、均一変形性に優れた圧延矯正方法と不均一変形ではあるが形状制御性の良い曲げ矯正方法をうまく組み合わせて、両者の欠点を補うとともにその長所を十分発揮させるように工夫したことにより、従来の矯正方法では達成が極めて困難な形鋼の真直矯正効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の矯正方法の基本構成を示す説明図である。
【図2】従来技術と本発明の技術の特性を比較するために導入したモデルに関する説明図である。
【図3】第2図のモデルを解析して求めた矯正反力と圧延圧下率との関係の説明図である。
【図4】第2図のモデルを解析して求めたスプリングバックと矯正反力の関係の説明図である。
【図5】従来技術と本発明の技術の残留応力分布に及ぼす影響を模式的に示した説明図である。
【図6】本発明の技術によるねじれ変形の矯正原理に関する説明図である。
【図7】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図8】本発明の技術による形鋼の左右曲がりの矯正原理の説明図である。
【図9】本発明の技術による形鋼の上下曲がりの矯正原理の説明図である。
【図10】本発明の技術による形鋼のねじれの矯正原理の説明図である。
【図11】本発明の実施例に関する説明図である。
【図12】従来技術に関する説明図である。
【図13】従来技術に関する説明図である。
【図14】従来技術に関する説明図である。
【図15】従来技術に関する説明図である。
【図16】従来技術に関する説明図である。
【符号の説明】
50 形鋼
51 ユニバーサル圧延機
52 入側自在ピンチロールまたはピンチロール列
53 出側自在ピンチロールまたはピンチロール列
54、54’ ユニバーサル圧延機の水平ロール
55、55’ ユニバーサル圧延機の竪ロール
56、56’ 入側自在ピンチロールまたはピンチロール列の水平ロール
57、57’ 入側自在ピンチロールまたはピンチロール列の竪ロール
58、58’ 出側自在ピンチロールまたはピンチロール列の水平ロール
59、59’ 出側自在ピンチロールまたはピンチロール列の竪ロール
60 ユニバーサル圧延機の制御盤とアクチュエータ
61 入側自在ピンチロールの制御盤とアクチュエータ
62 出側自在ピンチロールの制御盤とアクチュエータ
63 ユニバーサル圧延機のセンサー
64 入側自在ピンチロールまたはピンチロール列のセンサー
65 出側自在ピンチロールまたはピンチロール列のセンサー
66 制御装置
67 記録計
Δ 曲げ矯正量
u 圧延圧下量

Claims (6)

  1. 形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正方法において、圧延機を用いて被矯正材である形鋼をその垂直断面全体が塑性変形するように圧下し、前記圧延機の出側と入側の両方から被矯正材に長手方向の張力と矯正方向の曲げモーメントを与えることを特徴とする形鋼の矯正方法。
  2. 形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、形鋼の垂直断面全体を塑性変形させる圧延機と、前記圧延機の出側と入側の両方に駆動式のピンチロールまたはピンチロール列を有することを特徴とする形鋼の矯正装置。
  3. 前記ピンチロールまたはピンチロール列の圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方が、上下、左右自在に位置を設定出来ることを特徴とする請求項2に記載の形鋼の矯正装置。
  4. 前記ピンチロールまたはピンチロール列の圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方が、圧延方向を軸に回転自在に位置を設定出来ることを特徴とする請求項2または3に記載の形鋼の矯正装置。
  5. 形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、圧延機、駆動式のピンチロールまたは圧延機、駆動式のピンチロール列の各ロールが、ロール回転速度計、荷重計、変位計のうちいずれか1つまたは2つ以上の計測器を有し、当該計測器からの信号を入力して圧延機のロール締め込み量、回転速度、各ピンチロールもしくはピンチロール列の位置、回転速度のいずれか1つまたは2つ以上を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項2、3または4に記載の形鋼の矯正装置。
  6. 形鋼を圧延して矯正する形鋼の矯正装置において、圧延機としてユニバーサル圧延機を用いることを特徴とする請求項2、3、4または5記載の形鋼の矯正装置。
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