JP3621915B2 - 厚鋼板圧延方法 - Google Patents
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【0001】
本発明は、少なくとも仕上圧延機、冷却装置、軽圧下圧延機を有する厚鋼板圧延設備とその設備を用いて優れた板厚精度と平坦度を達成する厚鋼板圧延に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚板圧延工場では、仕上圧延を終了した圧延板が、冷却装置および/または冷却床を経て、せん断、熱処理、形状矯正、塗装等の精整工程に搬送され、ここで製品となって出荷される。この精整工程の中でも、板形状矯正については、ローラレベラーによる比較的能率の高い矯正方法と、油圧プレス装置による極めて能率の低い矯正方法とが併用されている。これは、ローラレベラーでは、適用可能な板厚範囲が限定される上、適用可能な板厚範囲であっても、ローラレベラーでは矯正不可能な不規則な板形状不良が発生することがあるためである。このような板形状矯正を高能率化することができれば、厚鋼板の製造コストを大幅に低減させることが可能となる。この目的で、仕上圧延における板形状制御や、冷却装置における均一冷却制御に関する技術開発が行われてきているが十分な効果を得るまでには至っていない。
【0003】
このような従来技術の問題点を解決するため、板形状矯正の目的で軽圧下圧延機を具備した厚鋼板圧延設備が注目されている。図1は、特開2000−102805に開示されている厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
図1において、冷却装置2は、仕上圧延機1の下流側に位置し、圧延方向を3で示している。冷却装置2の下流側に、軽圧下圧延機4が配備されている。軽圧下圧延機4の前後にピンチロール5および6が配備されており、軽圧下圧延機4の後ろには幅方向板厚測定装置7が設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記、軽圧下圧延機を具備した厚鋼板圧延設備により定常部の板形状制御や板厚不良は大幅に改善されるものの、非定常部(特に先端部)の平坦度(板幅方向および圧延方向)と板厚精度については、改善の余地がある。
本発明では、このような先端および後端を含む全長に亘っての厚鋼板の板形状不良や板厚不良を、高能率で矯正することのできる圧延設備および圧延方法の提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上のような従来技術の問題点を解決するため、本発明では、特に圧延板の先端部あるいた後端の小波と呼ばれる板形状矯正および板厚制御の目的で軽圧下圧延機を具備した厚鋼板圧延方法を提供する。
上記のように、厚鋼板の板形状矯正に軽圧下圧延を利用した場合、厚鋼板の先端部は出側ピンチロールなどのロールに噛み込むまでの非定常圧延長さが必要とされる。この部分に関しては圧延荷重や出側流出角度等が急激に変化するので、板厚精度と平坦度(特に反り)を良好にすることは難しい。このような部分は場合によっては切り捨てるか、再度、矯正行程で矯正せざるを得なかった。
このような板形状矯正や板厚不良の問題を解決するため、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
【0006】
(1) 仕上圧延機で圧延された圧延板を冷却する冷却装置を有し、該冷却装置の下流側に、少なくとも1台の軽圧下圧延機を有し、該軽圧下圧延機の少なくとも出側および/または入側に該圧延板の垂直方向の位置を拘束する拘束装置を有した厚鋼板圧延設備で、該仕上げ圧延機の最終パスで1パス当たり5%以上の圧下率で圧延された圧延板の仕上圧延最終パスの先端部に存在する小波を矯正するに際し、該軽圧下圧延機により圧延板の圧延方向を仕上げ圧延最終パスの圧延方向と逆方向にして軽圧下圧延して矯正すべき小波を矯正することを特徴とする厚鋼板圧延方法。
【0007】
(2)冷却装置と軽圧下圧延機間で圧延された圧延板の先端と後端を180度回転し、該軽圧下圧延機で後端から圧延することを特徴とする(1)に記載の厚鋼板圧延方法。
【0008】
(3)冷却装置と軽圧下圧延機の間に冷却床または圧延板移送装置を設け、該冷却床または該圧延板移送装置の上流側に該軽圧下圧延機を設けて圧延板の後端から圧延することを特徴とする(1)に記載の厚鋼板圧延方法。
(4)仕上圧延機で圧延された圧延板を冷却する冷却装置を有し、該冷却装置の下流側に、少なくとも1台の軽圧下圧延機を有し、該軽圧下圧延機の少なくとも出側および / または入側に該圧延板の垂直方向の位置を拘束する拘束装置を有した厚鋼板圧延設備で、該仕上げ圧延機の最終パスで1パス当たり5%未満の圧下率で圧延された圧延板の仕上圧延最終パスの後端部に存在する小波を矯正するに際し、該軽圧下圧延機により、圧延板の圧延方向を仕上げ圧延最終パスの圧延方向と同方向にして軽圧下圧延して小波を矯正することを特徴とする(1)に記載の厚鋼板圧延方法。
(5) 軽圧下圧延機が、少なくとも上下どちらか一方のロールアセンブリが軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構を有し、各々の分割バックアップロールには、それぞれ独立に荷重検出装置、圧下装置およびロール位置検出装置を配備した軽圧下圧延機であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の厚鋼板圧延方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。図2は本発明の(4)を対象とする厚鋼板圧延設備を示すものである。厚鋼板圧延設備には種々の形式のものがあるが、少なくとも仕上圧延機1、該仕上圧延機1で圧延された圧延板の冷却装置2、軽圧下圧延機8、該軽圧下圧延機8の少なくとも出側およびまたは入側に該圧延材の垂直方向の位置を拘束する拘束装置10、9、を有する設備が本発明の発明対象となっている。仕上圧延機1は、通常は一対のワークロールを一対のバックアップロールで支持する機構の4段圧延機が用いられる場合が多いが、2段圧延機や6段以上の多段圧延機であってもよい。冷却装置2は、仕上圧延機1の下流側に位置し、圧延が終了した後の厚鋼板を所定の温度まで冷却する。冷却装置2は、水を冷媒として使用する設備が一般的であるが、その他の冷媒を使用したものでも差し支えない。例えば、冷却床における放冷のみで圧延板を冷却する場合は、冷却床が冷却装置2に対応することになる。仕上圧延機1と冷却装置2との間には、ローラレベラー等の装置が配備されている場合がある。冷却装置2の下流側に、軽圧下圧延機8が配備されている。図では一対のワークロールを一対のバックアップロールで支持する機構の4段圧延機を示しているが、2段圧延機や6段圧延機であってもよい。この軽圧下圧延機8は仕上圧延機1に比べて小さい圧下率の圧延を実施するものである。冷却装置2と軽圧下圧延機8の間には軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9がある。図では軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9には軽圧下圧延機8の上ワークロールよりも直径の大きい上ロールを有するピンチロールを示しているが、圧延板の垂直方向の位置を拘束するものであれば良い。従って、駆動しない小径のロールでも良いが、張力を付与できる構造にする方がより好ましい。さらに、軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9と軽圧下圧延機8の間に、軽圧下圧延機8への圧延板先端の咬み込み不良を防止するための上面ガイドを設けることが好ましい。
【0010】
軽圧下圧延機8の下流には軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10が設置されている。図では軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10には軽圧下圧延機8の上ワークロールよりも直径の大きい上ロールを有するピンチロールを示しているが、圧延板の垂直方向の位置を拘束するものであれば良い。従って、駆動しない小径のロールでも良いが、張力を付与できる構造にする方がより好ましい。さらに、軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10と軽圧下圧延機8の間に、軽圧下圧延機8への圧延板先端の咬み込み不良を防止するための上面ガイドを設けることが好ましい。冷却装置2と軽圧下圧延機8との間には、せん断、熱処理等における複数の精整工程の装置が配備されていても差し支えない。むしろ、せん断、熱処理工程については板形状を変化させる要因となる可能性があるので、軽圧下圧延機8の上流側に配置することが好ましい。なお、仕上圧延機1と冷却装置2の間、および冷却装置2と軽圧下圧延機8との間は、ローラテーブルで直接結合されている形態が生産性の観点では好ましいが、コンベア、台車等の他の輸送手段で結合されている形態であっても差し支えない。
【0011】
図3は図2に示した仕上げ圧延機1で通常の操業をした場合の圧延後の板を冷却装置2で冷却した場合の典型的な板形状を示す。図示はしていないが、仕上げ圧延機の上流には加熱炉があり仕上げ圧延機で圧延される材料はそこから供給される。最終パスの1パス当たりの圧下率が5%以上で奇数パスの圧下スケジュールの場合、図3に示すように下流側のTOP部には小波と呼ばれる平坦度不良部が発生する。この小波は必ずTOP部で発生し、通常先端から約1m程度離れた箇所で2〜6mm程度の波高さを有する。この小波は仕上げ圧延条件および圧延材料におうじて、TOP部先端から短いもので3m、長い物で12m程度にわたって発生する。このような材料を用いて、板形状矯正の目的で軽圧下圧延機を用いて実験を実施した結果、次のことが明らかになった。小波のついた厚板材を矯正するためには、圧延機出側のピンチロールでの拘束が必須である。従って、図3のような小波がTOP部にある材料の矯正効果は、軽圧下圧延機とその出側にあるガイドロール間の距離によって決定される。軽圧下圧延機とその出側にあるガイドロール間の距離は、幾何学的およびスペース的な制約によって制限され、通常その距離は約1m以上となる。
以上のことから図3に示した先端から1m程度離れた箇所で2〜6mm程度の波高さを有す小波がTOPにある材料は矯正ができない。
【0012】
図6の(a)には、本発明の(4)の好ましい実施形態を示す。発明に示した厚鋼板圧延設備の軽圧下圧延機には種々の形式のものがあるが、少なくとも上下どちらか一方のロールアセンブリが、軸方向3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構とし、各々の分割バックアップロールには、それぞれ独立に荷重検出装置、圧下装置およびロール位置検出装置を配備したことを特徴とする軽圧下圧延機(以降、軽圧下知能圧延機22と称す)を有する設備が好ましい本発明の(5)対象となっている。図6の(b)にはこの軽圧下知能圧延機22の一例を示している。この例では、板厚5〜60mm、板幅2000〜3800mmの圧延材Pを軽圧下圧延する場合において本発明を適用した場合のものである。この例の軽圧下知能圧延機22は、パスライン調整機20および主圧下装置21で上下する上下のインナーハウジング内に、軸方向3分割以上に分割した分割バックアップロール18、19によって上下のワークロール17を支持する機構を有しており、各々の分割バックアップロール18a〜18g、19a〜19hには、それぞれ独立に荷重検出装置と圧下機構および位置検出機構を備えている。さらに、インナーハウジング内にワークロールチョックが設けられている。また、軽圧下知能圧延機22の前面および後面にはそれそれ軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9と軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10を設置しており、この例においてこの拘束装置であるガイドロールは上下一対のロール9、9’および10、10’から構成されており、これらのガイドロールはインナーガイドロールハウジング14内に納められている。このインナーガイドロールハウジング14はガイドロールハウジング15で支持されており、ガイドロールハウジング15に設けられた上下の油圧シリンダー16によって昇降可能となっている。上部油圧シリンダーでは圧力一定制御が行われ、下部油圧シリンダーでは位置制御が行われる。なお、図示してはいないがインナーガイドロールハウジング14の上下に設置された電動モータによって上下ガイドロールギャップの測定および調整が可能である。
【0013】
この圧延機を用いることにより、圧延時の板厚精度および板形状は飛躍的に向上させることが可能となり、先端部の小波の矯正も可能となる。本発明の(2)は、冷却装置と軽圧下圧延機間で圧延された圧延板の方向を180度回転することを特徴とするものである。図4には、本発明の好ましい実施形態を示す。冷却装置2と軽圧下圧延機8の間には冷却床11があり、圧延材はここで自然冷却される。冷却床11にはターンテーブル12が設置されており、圧延された下流側の先端部に小波のある材料はこのターンテーブルにもってその方向を180度回転させる。これによって、軽圧下圧延機4の後端部に上記小波がくるようになる。
【0014】
本発明の(3)は、該仕上圧延機1および該冷却装置2および該軽圧下圧延機4の配置を適正化することにより実現するものである。図5に示すように冷却装置2と軽圧下圧延機8の間には冷却床11があり、圧延材はここで自然冷却される。冷却床11の上流側に軽圧下圧延機8が配置される。これによって、圧延された下流側の先端部に小波のある材料は、軽圧下圧延機の後端部に上記小波がくるようになる。この図では冷却床の場合を示しているが、スペース上の制約等がある場合には冷却床の代わりに圧延板移送装置を設けても良い。なお、この例ではオンラインの場合を示しているが、工場によっては冷却床と軽圧下圧延機とが別棟にある場合がある。その際、材料は台車やトラック等で搬送されることになるが、その際の配置(積み出し方向と荷下ろし方向を変える)やクレーン操作(クレーン移送中に材料を180度回転させる等)等により、同様な結果が得られることは言うまでもない。
【0015】
本発明の(4)について説明する。通常仕上げ圧延機では奇数パスの圧下スケジュールが組まれているおり、その際小波は最終パスの圧延板の先端部に発生する。即ち先端部に小波が形成される。実験を行った結果、最終パスの圧下率が5%以上の圧延時に材料のTOP部に発生することを発見した。本発明はこのような発見に基づいてなされたものである。従って、仕上げ圧延機の奇数パスにおける最終パスの圧下率を5%未満(空送り含む)とすると、後端部に小波が形成される。この場合、材料温度が高くヤング率が小さいので、5%未満の最終パスの圧延では後端部に形成された小波を完全には矯正できない。仕上げ圧延機の多パス圧延回数を奇数パスにて行う際、最終パスの1パス当たりの圧下率を5%未満(空送り、圧下率0%を含む)で行うことにより、材料の向きを変える必要はなくなるのである。
【0016】
(実施例1)本発明の(1)についての実施例を以下に示す。使用した軽圧下圧延機は図2に示した厚鋼板圧延設備を用いた。軽圧下圧延機は図2に示した4重圧延機と同一である。この4重圧下知能圧延機8は、図示してはいないが電動モータによるパスライン調整機(ロール交換した際のロール径の変化に対応してパスラインを調整する装置)および油圧圧下を用いた主圧下装置(圧下位置は油圧シリンダーの位置を検出することによって測定)で、直径750mm胴長4500mmの上下のワークロールと直径1800mm胴長4500mmのバックアップロールを支持し、バックアップロールチョックに配置された荷重検出装置を備えている。図示はしていないが上下のワークロールは駆動モータによって圧延に必要なトルクを伝達されている。また、4重圧延機8の前面および後面にはそれそれ軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9と軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10を圧延機中心位置からそれぞれ2m離れた箇所に設置しており、この例においてこの拘束装置であるガイドロールは直径500mm、胴長4500mmの上下一対のロールから構成されており、これらのガイドロールはインナーガイドロールハウジング内に納められている。このインナーガイドロールハウジングはガイドロールハウジングで支持されており、ガイドロールハウジングに設けられた上下の油圧シリンダーによって昇降可能となっている。上部油圧シリンダーでは圧力一定制御が行われ、下部油圧シリンダーでは位置制御が行われる。
【0017】
圧延材として、板厚40.3±0.4mm、板幅2000〜4000mm、長さ50mの低炭素鋼(耐力約50kgf/mm2)を用いた。この材料は仕上げ圧延機により7パスで、最終パスの圧下率が25%で仕上げたものである。この素材には先端部から5mにわたってピッチ900mm、波高さ2mm〜8mmの小波が生じていた。従来技術としてガイドロールのギャップを大きくして板を拘束しないでこの材料を4重圧延機により圧下率1%で圧延した。その結果、小波の残存率は先端95%であった。本発明として、ガイドロールで板を拘束して上述の材料を
圧下率1%で圧延した。その結果、TOP部2mは小波の残存率は95%であったが、それ以降は小波の残存率は5%(波高さ0.1mm〜0.4mm)となり良好な平坦度が得られた。さらに上述の材料の先端部と後端部入れ替えて4重圧延機により圧下率1%で圧延した。その結果、前面にわたって小波の残存率は5%(波高さ0.2mm〜0.3mm)となり良好な平坦度が得られた。
【0018】
(実施例2)本発明の(1)に従属した本発明の(5)についての実施例を以下に示す。使用した軽圧下圧延機は図6のa)に示した厚鋼板圧延設備を用いた。軽圧下圧延機は図6のb)に示した軽圧下知能圧延機と同一である場合を記載する。この軽圧下知能圧延機22は、電動モータによるパスライン調整機20(ロール交換した際のロール径の変化に対応してパスラインを調整する装置)および油圧圧下を用いた主圧下装置21(圧下位置は油圧シリンダーの位置を検出することによって測定)で上下する上下のインナーハウジング内に、軸方向15分割した直径750mm、胴長300mmの分割バックアップロール18、19によって直径300mm、胴長4500mmの上下のワークロール17を支持する機構を有しており、各々の分割バックアップロール18a〜18g、19a〜19hには、それぞれ独立に荷重検出装置と圧下機構および位置検出機構を備えている。図示はしていないが上下のワークロールは駆動モータによって圧延に必要なトルクを伝達されている。さらに、インナーハウジング内にワークロールチョックが設けられている。板厚測定装置7としてγ線による非接触板厚計が軽圧下知能圧延機から8m下流に設置されている。
【0019】
また、軽圧下知能圧延機22の前面および後面にはそれそれ軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置9と軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置10を設置しており、この例においてこの拘束装置であるガイドロールは直径500mm、胴長4500mmの上下一対のロール9、9’および10、10’から構成されており、これらのガイドロールはインナーガイドロールハウジング14内に納められている。このインナーガイドロールハウジング14はガイドロールハウジング15で支持されており、ガイドロールハウジング15に設けられた上下の油圧シリンダー16によって昇降可能となっている。上部油圧シリンダーでは圧力一定制御が行われ、下部油圧シリンダーでは位置制御が行われる。なお、図示してはいないがインナーガイドロールハウジング14の上下に設置された電動モータによって上下ガイドロールギャップの測定および調整が可能であり、これらのガイドロールは圧延材とのスリップが生じないように駆動している。
【0020】
圧延材として、板厚30.3±0.3mm、板幅2000〜4000mm、長さ60mの低炭素鋼(耐力約42kgf/mm2)を用いた。この材料は仕上げ圧延機で5パスで、最終パスの圧下率が32%で仕上げたものである。この素材には先端部から900mmのところに波高さで4mm〜6mmの小波が生じていた。従来技術として、先端部を軽圧下知能圧延機により圧下率1%で圧延した。その結果、小波の残存率は95%であった。本発明として、上述の材料の先端部と後端部入れ替えて軽圧下知能圧延機により圧下率1%で圧延した。その結果、小波の残存率は5%(波高さ0.2mm〜0.3mm)となり良好な平坦度が得られた。
【0021】
(実施例3)本発明の(2)および(3)として、圧延材としては、板厚30.3±0.3mm、板幅2000〜4000mm、長さ60mの低炭素鋼(耐力約42kgf/mm2)を用いた。この材料は仕上げ圧延機により7パスで、最終パスの圧下率が20%で仕上げたものである。この素材には下流側の先端部から900mmのところに波高さで2mm〜6mmの小波が生じていた。上述の材料を図4、図5に示すように軽圧下知能圧延機に圧延材の後端部から入るように調整して、圧下率1%で圧延した。軽圧下知能圧延機は実施例1に示したものと同じものである。その結果、小波の残存率は5%(波高さ0.10mm〜0.30mm)となり良好な平坦度が得られた。
【0022】
(実施例4)本発明の(5)として、圧延材としては、板厚30.3±0.3mm、板幅2000〜4000mm、長さ60mの低炭素鋼(耐力約42kgf/mm2)を用いた。この材料は仕上げ圧延機により9パスで、最終パスの圧下率が4%で仕上げたものである。この素材には後端部から900mmのところに波高さで1mm〜3mmの小波が生じていた。この材料を圧下率1%で圧延した。軽圧下知能圧延機は実施例1に示したものと同じものである。その結果、小波の残存率は5%(波高さ0.05mm〜0.15mm)となり良好な平坦度が得られた。このようにして圧延した結果、経時変化(サーマルクラウンおよびロール摩耗)の影響を受けず、圧延材の先端から後端まで板形状がフラットで、しかもうねりや反りのない良好な平坦度を有する製品を製造することができた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した本発明の厚鋼板圧延方法を用いることによって、厚鋼板の先端部の平坦度と板厚精度が飛躍的に向上する。その結果、厚鋼板の製造コストを大幅に低減させ、工期も短縮させることができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】特願平11−79195に開示されている厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
【図2】本発明の厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
【図3】小波の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
【図5】本発明の厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
【図6】本発明の厚鋼板圧延設備における軽圧下圧延機の構造の好ましい実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1: 仕上圧延機
2: 冷却装置
3: 圧延板進行方向
4: 軽圧下圧延機
5: 軽圧下圧延機前面ピンチロール
6: 軽圧下圧延機後面ピンチロール
7: 幅方向板厚測定装置
8: 軽圧下圧延機
9: 軽圧下圧延機前面圧延材拘束装置
10:軽圧下圧延機後面圧延材拘束装置
11:冷却床
12:ターンテーブル
13:物流方向
14:インナーガイドロールハウジング
15:ガイドロールハウジング
16:油圧シリンダー
17:ワークロール
18、19:バックアップロール
20:パスライン調整機
21:主圧下装置
22:軽圧下知能圧延機
P:圧延材
Claims (5)
- 仕上圧延機で圧延された圧延板を冷却する冷却装置を有し、該冷却装置の下流側に、少な
くとも1台の軽圧下圧延機を有し、該軽圧下圧延機の少なくとも出側および/または入側
に該圧延板の垂直方向の位置を拘束する拘束装置を有した厚鋼板圧延設備で、該仕上げ圧
延機の最終パスで1パス当たり5%以上の圧下率で圧延された圧延板の仕上圧延最終パス
の先端部に存在する小波を矯正するに際し、該軽圧下圧延機により圧延板の圧延方向を仕
上げ圧延最終パスの圧延方向と逆方向にして軽圧下圧延して小波を矯正することを特徴と
する厚鋼板圧延方法。 - 冷却装置と軽圧下圧延機間で圧延された圧延板の先端と後端を180度回転し、該軽圧下
圧延機で後端から圧延することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板圧延方法。 - 冷却装置と軽圧下圧延機の間に冷却床または圧延板移送装置を設け、該冷却床または該圧
延板移送装置の上流側に該軽圧下圧延機を設けて圧延板の後端から圧延することを特徴と
する請求項1に記載の厚鋼板圧延方法。 - 仕上圧延機で圧延された圧延板を冷却する冷却装置を有し、該冷却装置の下流側に、少な
くとも1台の軽圧下圧延機を有し、該軽圧下圧延機の少なくとも出側および / または入側
に該圧延板の垂直方向の位置を拘束する拘束装置を有した厚鋼板圧延設備で、該仕上げ圧
延機の最終パスで1パス当たり5%未満の圧下率で圧延された圧延板の仕上圧延最終パス
の後端部に存在する小波を矯正するに際し、該軽圧下圧延機により圧延板の圧延方向を仕
上げ圧延最終パスの圧延方向と同方向にして軽圧下圧延して小波を矯正することを特徴と
する厚鋼板圧延方法。 - 軽圧下圧延機が、少なくとも上下どちらか一方のロールアセンブリが軸方向に3分割以上
に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構を有し、各々
の分割バックアップロールには、それぞれ独立に荷重検出装置、圧下装置およびロール位
置検出装置を配備した軽圧下圧延機であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
載の厚鋼板圧延方法。
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