JP3802366B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細幅(長)で、かつ音質の優れた電気音響変換器としてのスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンやワイドビジョン等の普及により、テレビの画面は横長のものが一般的になりつつある。しかし一方では、我が国の住宅事情から、テレビセット全体として幅狭・薄型のものが望まれている。このことは、テレビに限らず、一般のオーディオコンポにも云えることである。
【0003】
例えば、テレビ用のスピーカユニットは、通常ブラウン管の両脇に取り付けられるため、テレビセットの横幅を大きくする一因となっている。そのため、従来からテレビ用には角型や楕円型等の幅の狭いスピーカユニットが用いられてきた。 ところが、ブラウン管の横長化により、スピーカユニットの幅はますます狭くすることが求められ、同時に画面の高画質化に対応した音声の高音質化が要求されている。
【0004】
しかしながら、一般的な細幅構造のスピーカでは、細幅の振動板を長径と短径を有するボイスコイルで駆動することになるため、長軸方向の分割共振が励起されやすい。その結果、中高音帯域では再生音圧周波数特性上にピークディップを生じ、音質の劣化を招いていた。
【0005】
以下、上記した従来の細幅構造になる電気音響変換器20の構成について、図7〜図10を参照して説明する。
【0006】
図7(a),(b)は、それぞれ従来の細幅構造になる電気音響変換器20の正面図、及びA-A線断面図である。図7(a),(b)において、21は、振動方向から見た平面形状が、長径と短径を有し、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状を有する非軸対称形の振動板である。この振動板21の外周部にはエッジ22が接合され、フレーム23に保持されている。
【0007】
振動板21の外周部下端には、図8に示す如くのトラック型のボイスコイルボビン24が固着されている。このボイスコイルボビン24の外周面には、ボイスコイル25が巻回されている。ボイスコイルボビン24は、後述する磁気回路の磁気空隙Gに釣り下げられ、音声信号電流と磁束により駆動力を発生する。前記したフレーム23は、箱状に形成され、その側面の一部は、エッジ22方向に沿った形状としている。
【0008】
フレーム23の内側底面には、前記した後述する如くの磁気回路が取付けられている。磁気回路は、鉄製のヨーク26、マグネット27、ポールピース28で構成され、図示しない治具によりフレーム23の所定位置に固定されている。なお、マグネット27、ポールピース28は、振動板21の主振動部に対応する位置に設けられているものである。
【0009】
ここで、振動板21の具体的構成につき説明する。この振動板21は、前記した如く、振動方向から見た平面形状が、長径と短径を有し、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状を有する非軸対称形のものである。すなわち、29aを凸状部とし、これと交互に連続している29bを凹状部としたものである。なお、それぞれの凹状部までの深さ方向の寸法Dは、ほぼ同程度に形成されている。また、この振動板21は、ボイスコイル25の発熱に耐え、かつ、振動板21としての機械的特性に優れたポリイミド(PI)フィルムによって構成されている。なお、29cは、振動板21の略中央部に設けた凹状溝部である。
【0010】
ところで、振動板21はその厚みが大きい場合、それだけ重量が増し強力な磁気回路を構成する必要があるため、厚みは出来るだけ薄い方が好ましい。しかしながら、従来の振動板21は、その厚みを薄くした場合、強度が低下し、図9に示すように振動板21が中央付近で内側に窪んでしまうという問題点が発生した。
【0011】
この現象は、ボイスコイルボビン24にも同様な方向に変形を生じさせ、その長手方向中央部が、振動板21の変形によってポールピース28に接触し、異常音の原因となったり、図10に示すように、その中高音帯域での音圧周波数特性上に歪み(2次歪、3次歪等の高調波歪)を発生させる原因となっていた。そしてその変形は、2ボルト入力の時、ボイスコイルボビン24の長手方向中央部の、長手方向に直角な方向に発生する変位は、0.5mmにも達するものである。
【0012】
そこで、このような問題点に鑑み、本特許出願人は、特願平10-192048号において、上記問題点を解消し、細幅(長)構造でありながら、分割共振が起こりにくく、平坦な特性が得られるようにした音質の優れた電気音響変換器を提案している。
【0013】
しかしながら、かかる出願になる構成をもってしても、製造上の点等から十分なものとは云えず、かつ又、振動板が中央付近で内側に窪んでしまうという問題点を解決することは出来ないものであった。
【0014】
そこで、本特許出願人は、更にこの点を改良するものとして、振動板と、この振動板に接続されるボイスコイルボビンを新規な構成とした出願を、特願2000−299072号(平成12年9月29日出願、以下先の出願という)として行っている。以下、その電気音響変換器10の構成について、図11〜図15を参照して説明する。
【0015】
図11(a),(b)は、それぞれ前記した先の出願になる細幅の電気音響変換器10の正面図、及びA-A線断面図である。図11(a),(b)において、1は、振動方向から見た平面形状が、長径と短径を有し、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状を有する非軸対称形の振動板である。この振動板1の外周部にはエッジ2が接合され、フレーム3に保持されている。
【0016】
振動板1の外周部下端には、図12に示す如くのトラック型のボイスコイルボビン4が固着されている。このボイスコイルボビン4の外周面には、ボイスコイル5が巻回されている。ボイスコイルボビン4は、後述する磁気回路の磁気空隙Gに釣り下げられ、音声信号電流と磁束により駆動力を発生する。前記したフレーム3は、箱状に形成され、その側面の一部は、エッジ2方向に沿った形状としている。
【0017】
フレーム3の内側底面には、前記した後述する如くの磁気回路が取付けられている。磁気回路は、鉄製のヨーク6、マグネット7、ポールピース8で構成され、図示しない治具によりフレーム3の所定位置に固定されている。なお、マグネット7、ポールピース8は、振動板1の主振動部に対応する位置に設けられているものである。
【0018】
ここで、振動板1の具体的構成につき説明する。この振動板1は、前記した如く、振動方向から見た平面形状が、長径と短径を有し、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状を有する非軸対称形のものである。すなわち、11a〜11fを凸状部とし、これと交互に連続している12a〜12dを凹状部としたものである。
【0019】
なお、それぞれの凹状部までの深さ方向の寸法Dは、中央部を除きほぼ同程度に形成されている。また、この振動板1は、ボイスコイル5の発熱に耐え、かつ、振動板1としての機械的特性に優れたポリイミド(PI)フィルムによって構成されている。
【0020】
9は、前記した振動板1の略中央部に、振動部の長手方向と直交する如く設けた凹状溝部である。なお、この凹状溝部9の深さ方向の寸法Fは、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上がり部である振動板1の肩部14の寸法Cと略同程度に設定してある。
【0021】
次に、振動板1の外周部下端に固着されているボイスコイルボビン4の具体的構成につき主として図12を参照して説明する。図12より明らかな如く、ボイスコイルボビン4は、振動板1の振動方向から見た平面形状が、長径と短径とを有する非軸対称形であって、かつ、ボイスコイルボビン4の一部は、振動板1の長径方向に関して、互いに平行な直線部分を有している。
【0022】
また、ボイスコイルボビン4は、巻線を施すフォーム部分が、振動板1の長径方向に沿って2分割(41、42)されており、この分割部分が短径方向に関して平行になる如く接合することにより、補強部としての梁13が構成されるものである。
【0023】
そして、このように構成された先の出願になる細幅の電気音響変換器10によれば、振動板1中央部の窪み振動に起因して500Hz〜1kHzに発生していた2次、3次高調波が大きく減少するという効果を奏するものであった。
【0024】
ところで、振動板1はその厚みが大きい場合、それだけ重量が増し強力な磁気回路を構成する必要が出てくるため、厚みは出来るだけ薄い方が好ましい。しかしながら、一般的に振動板1は、その厚みを薄くした場合、強度が低下し、ボイスコイルボビン4の長手方向直線部分に発生する振動を抑えることができず、このボイスコイルボビン4の振動が、これに接続されている振動板1に伝達されるので、この振動板1の側面が撓むように変形し、この変形により音波放射部分が持ち上げられるために、図13の周波数特性図で示されるように、その中高音域での音圧周波数特性に歪(2次歪、3次歪等の高調波歪)を発生させる原因となっていた。
【0025】
特に、この現象は、図14に示す振動板に発生する屈曲波の振動モード(5kHz〜10kHzに発生する代表的な振動を、1/4モデルとして(a)〜(d)で示している)にて明らかなように、中高音帯域5kHz〜6kHz((a)、(b))で顕著に発生し、前記した図13の周波数特性上で示すような大きなピークディップを示し、又、同図に示すような歪み(2次歪、3次歪等の高調波歪)を発生させる原因ともなっていた。
【0026】
従来は、この問題を解決するため図15に示すように、ボイスコイル5aが巻回されたボイスコイルボビン15の短径方向に、補強用の梁16〜18を設けることによって、このボイスコイルボビン15の長手方向直線部に発生する振動を抑えることにより防止していた。図16は、かかるボイスコイルボビン15を有する電気音響変換器10aの側面図である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる構成を有する電気音響変換器10aによれば、前記した如くの問題点は解消されるものではあるが、図16に示すように磁気回路を構成する各部分も、前記した補強用の梁16〜18の数に合わせて分割(A〜D)しなければならないため、構造の複雑化を招き、磁束密度の低下と部品の製造が複雑になる等の問題があり、性能安定性の点、コストの点等に改良の余地が残されていた。
【0028】
なお、前記した図16の電気音響変換器10aにおいて、1aは、振動板、2aは、エッジ、3aはフレーム、5aは、ボイスコイル、6aは、ヨーク、7a〜7dは、マグネット、8a〜8dは、ポールピース、9aは、凹状溝部、11a1、11f1は、凸状部、12a1、12d1は、前記凸状部11a1、11f1等と連続している凹状部である。
【0029】
そこで、本発明者等は、かかる問題点を鋭意検討した結果、例えば、図13の6kHz付近に示されている周波数特性上のピークの原因は、前記した図14の5.5kHz、6.5kHzに発生する屈曲波の振動モードより明らかなように、長手方向中央部に設けられた溝部9aによって2ブロックに分けられた振動板1aの、さらに中央部付近(振動板全体から見れば長手方向を4分割した部分付近)の横振幅が大きくなっているために、同部付近の振動板頂部が押し上げられることにより発生するものであることを突き止めた。なお、この現象は、(c)、(d)の9kHz,10.5kHzでは発生していない。
【0030】
そして、かかる問題点は、振動板の音を放射する方向に凹凸状に連続的に形成した湾曲部の形状によるものではないかとの推測に立って各種の実験を進めた結果、振動方向から見た平面形状が長径と短径を有して略トラック状に形成され、このトラックに沿って帯状に溝部を設けると共に、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲しており、前記溝部と接続される如く、振動部の長手方向と直交する略中央部に溝部を設けた非軸対称形の振動板構成を採ることがかなりの好結果をもたらすことがわかってきた。
【0031】
また、ボイスコイルボビンの構成としては、巻線を施すフォーム部分が振動板の長手方向に沿って2分割されており、この分割部分が接合された状態で前記振動板の略中央部に設けた溝部に接続されているものが、これまた、かなりの好結果をもたらすことがわかってきた。
【0032】
更に、前記した問題点の直接的な原因となっている、振動板全体から見ると長手方向を4分割した部分付近の横振幅が大きくなっているために、同部付近の振動板頂部が押し上げられる点に関しては、トラックに沿って帯状に形成された溝部の複数個所に、前記音を放射する方向に凹凸状に連続的に形成した湾曲部の一つと同程度の幅で補強剤を充填することにより、これまたかなりの好結果をもたらすことがわかってきた。
【0033】
そして、これら具体的な振動板構成、ボイスコイル構成、補強剤の充填個所等を総合的に勘案した電気音響変換器を作製し、各種の実験にて検証を進めることにより、前記した問題点をことごとく解決した電気音響変換器が得られることが明らかなものとなったので、ここで新たな提案をするものである。
【0034】
以下、図17〜図20を参照して前記した振動板構成、ボイスコイル構成、補強剤の充填個所が重要である点につき説明する。
【0035】
図17は、前記した具体的な振動板構成において、補強剤の充填個所を振動板全体から見ると長手方向を4分割した部分付近とは異なる部分、具体的には、音を放射する方向に凹凸状に連続的に形成した湾曲部のうちの凹部と対応する両側位置に、それと同程度の幅で充填した場合の例を示す斜視図である。
【0036】
図18は、前記した具体的な振動板構成において、補強剤の充填個所を振動板全体から見ると長手方向を4分割した部分付近とは異なる部分、具体的には、振動板長手方向の両端部に充填した場合の例を示す斜視図である。
【0037】
図19は、前記した図17の構成における周波数特性図であり、この図19より明らかな如く、図17の如くの位置に補強剤を充填した場合は、周波数特性が平坦にならないことや、高調波歪の低減が少ない等補強剤を充填した効果が得られていないことがわかる。
【0038】
図20は、前記した図18の構成における周波数特性図であり、この図20より明らかな如く、図18の如くの位置に補強剤を充填した場合は、周波数特性が平坦にならないことや、高調波歪の低減が少ない等補強剤を充填した効果が得られていないことがこれまたわかる。
【0039】
以上の説明より、振動板構成、ボイスコイル構成、補強剤の充填個所が重要であることが明らかであり、本発明は、かかる具体的構成を有する電気音響変換器を提供することを目的とするものである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、細長形状の振動板1と、前記振動板1の外周部に沿って帯状に設けられた溝部30と、端面形状がトラック型なる筒状であって、その一端面が前記振動板1の一面側に固定されたボイスコイルボビン4と、を有する電気音響変換器50であって、前記振動板1は、該振動板1の長手方向に交互に設けられた凸状の湾曲部(11a〜11f)及び凹状の湾曲部(12a〜12d)と、前記振動板1の略中央部に設けられた前記長手方向と直交する方向に延在する細溝部9と、を有し、前記ボイスコイルボビン4は、該ボイスコイルボビン4の長手方向の略中央部に、前記細溝部9に固定された梁13を有し、前記溝部30は、前記細溝部9によって前記振動板1の長手方向に2ブロックに分けられた前記振動板1の中央部付近であって前記凸状の湾曲部の両側または前記凹状の湾曲部の両側に各ブロックにつき2ヶ所ずつ、前記湾曲部の一つと同程度の前記長手方向の長さをもって補強剤31が充填されていることを特徴とする電気音響変換器50である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0042】
図1は、本発明になる電気音響変換器の好ましい一実施例を示すもので、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図、図2は、図1の電気音響変換器の主要部を構成する振動板の外周部に形成された溝部の複数箇所に、前記音を放射する方向に設けられた凹凸状の湾曲部の一つと同程度の幅を持って接着剤などの補強剤を充填した斜視図、図3は、同、ボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図、図4は、振動板の長手方向に補強剤を充填した部分の横断面図、図5は、ボイスコイルボビンとの接合後における振動板の長手方向に補強剤を充填した部分の横断面図、図6は、本実施例になる電気音響変換器の周波数特性図である。本実施例の基本的構成は、前記した先の出願になる細幅の電気音響変換器10と略同様構成であるが、若干異なる部分があるため、念のため説明する。
【0043】
まず、図1、図2を参照して、本実施例になる電気音響変換器50を構成する振動板1の具体的構成について説明する。
【0044】
図1(a)〜(c)は、本実施例になる細幅の電気音響変換器50の正面図、A-A線断面図、及びB−B線断面図、図2は、図1の電気音響変換器の主要部を構成する振動板の外周部に形成された溝部の複数箇所に、前記音を放射する方向に設けられた凹凸状の湾曲部の一つと同程度の幅を持って接着剤などの補強剤を充填した斜視図である。
【0045】
図1(a),(b)において、1は、後述する概略振動方向から見た平面形状が、長径と短径を有し、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状と外周部に沿って帯状に形成された溝部30とを有する非軸対称形の振動板である。この振動板1の外周部にはエッジ2が接合され、フレーム3に保持されている。
【0046】
振動板1の外周部下端には、図3に示す如くのトラック型のボイスコイルボビン4が固着されている。このボイスコイルボビン4の外周面には、ボイスコイル5が巻回されている。ボイスコイルボビン4は、後述する磁気回路の磁気空隙Gに釣り下げられ、音声信号電流と磁束により駆動力を発生する。前記したフレーム3は、箱状に形成され、その側面の一部は、エッジ2方向に沿った形状としている。
【0047】
フレーム3の内側底面には、前記した後述する如くの磁気回路が取付けられている。磁気回路は、鉄製のヨーク6、マグネット7、ポールピース8で構成され、図示しない治具によりフレーム3の所定位置に固定されている。なお、マグネット7、ポールピース8は、振動板1の主振動部に対応する位置に設けられているものである。
【0048】
ここで、振動板1の具体的構成につき説明する。この振動板1は、前記した如く、振動方向から見た平面形状が長径と短径を有して略トラック状に形成され、このトラックに沿って帯状に溝部30を設けると共に、音を放射する方向に凹凸状に連続的に湾曲しており、前記溝部30と接続される如く、振動部の長手方向と直交する略中央部に細溝部9を設けた非軸対称形のものである。すなわち、11a、11b,11c,11d,11e,11fを凸状部とし、これと交互に連続している12a,12b,12c,12dを凹状部としたものである。
【0049】
なお、31は、前記した溝部30内で凹凸状の湾曲部の一つと同程度の幅を持ってそこに充填される補強剤であり、可撓性を有するプラスチック、例えば、クロロプレン系接着剤と可塑剤を1:9乃至2:8に混合したものなどが好適である。そして、この溝部30内に充填される補強剤31の量は、後述する図4、図5より明らかな如くエッジ2の表面と略同程度の高さとなるよう、すなわち、溝部30が埋まる程度が最適である。なお、これ以下の量では、周波数特性上のピークが平坦にならず、また、前記した溝部30が埋まる程度を越えた場合は、図21に示すように周波数特性は平坦になり、高調波歪は減少するが、高音の音圧が低下してしまうので、あまり好ましくはない。
【0050】
また、それぞれの凹状部までの深さ方向の寸法Dは、中央部を除き、ほぼ同程度に形成されている。また、この振動板1は、ボイスコイル5の発熱に耐え、かつ、振動板1としての機械的特性に優れたポリイミド(PI)フィルムによって構成されている。
【0051】
9は、前記した振動板1の略中央部に、振動部の長手方向と直交する如く設けられた細溝部である。なお、この細溝部9の深さ方向の寸法Fは、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上り部である振動板1の肩部14の寸法Cと略同程度に設定してある。
【0052】
30は、前記した如く振動板1の外周部(トラック)に沿って帯状に形成された溝部である。また、この溝部30の深さは、後述する図4、図5より明らかな如く、ボイスコイルボビン4の外周面に巻回されるボイスコイル5の位置より浅くなるように(振動板1側に近い位置)、かつ、その幅は、磁気ギャップ程度の大きさとし、振動系の振幅によって磁気回路部分に接触することがないような寸法に設定してある。すなわち、この溝部30は、成型用の金型によってその面精度が確保されているものである。
【0053】
次に、振動板1の外周部下端に固着されているトラック型のボイスコイルボビン4の具体的構成について、図3〜図5を参照して説明する。図3より明らかな如く、ボイスコイルボビン4は、振動板1の振動方向から見た平面形状が、長径と短径とを有する非軸対称形であって、かつ、ボイスコイルボビン4の一部は、振動板1の長径方向に関して、互いに平行な直線部分を有している。5は、このボイスコイルボビン4に巻回されているボイスコイルである。
【0054】
また、ボイスコイルボビン4は、巻線を施すフォーム部分が、振動板1の長径方向に沿って2分割(41、42)されており、この分割部分が短径方向に関して平行になる如く接合することにより、補強部としての梁13が構成されるものである。なお、15は、ボイスコイルボビン4の外周面に巻回され補強紙として用いられるクラフト紙からなるバンドである。
【0055】
このように構成したボイスコイルボビン4は、前記した如く溝部9の深さ方向の寸法Fが、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上り部である振動板1の肩部14の寸法Cと略同程度に設定されているので、これを振動板1の下方より挿入配置する場合にも、図1(b)、図4、図5に明示されている如くの正規の位置である、細溝部9の下方に何等問題なく直接的に固定することができるものである。
【0056】
次に、このように構成した電気音響変換器50の動作について説明する。
前記構成において、マグネット7によってボイルコイルボビン4周囲に磁界が発生し、このボイルコイルボビン4に巻回されたボイルコイル5に駆動電流が流れると、前記したボイルコイルボビン4に駆動電流に応じた電磁力が作用し、この電磁力で主振動部1aを主体として振動板1が振動する。
【0057】
この振動に際して振動板1の長手方向の中央部である細溝部9付近は、補強部としての梁13で支持されているため、振動板1の長手方向中央部付近で、内側に窪む現象は発生せず、すなわち、分割振動が防止される。
【0058】
また、この細溝部9と連続しており振動部の周囲に設けた溝部30は、前記した如く、その面精度が確保されているため、正確に駆動力が伝達される。
【0059】
又、振動板1の上面は、外側(音を放射する方向)に突出する形状の略半円筒面11aと、これと連続しており、内側にくぼむ形状の略半円筒面12a等とが長手方向に交互に配置される形状となっているので、相補的にこの部分の振動成分の発生が未然に防止される。
【0060】
図6は、本実施例になる電気音響変換器50において、振動板1の外周部に沿って帯状に形成された溝部30内で、前記振動板1の音を放射する方向に凹凸状に連続的に形成した湾曲部の内の、例えば、突部の両側の4ヶ所に、前記湾曲部の一つと同程度の幅を持って補強剤31を充填した場合の、音圧周波数特性と高調波歪みの関係を示す周波数特性図、図22は、前記した溝部30内に補強剤を充填しない場合の、音圧周波数特性と高調波歪みの関係を示す周波数特性図である。
【0061】
なお、本実施例では、成型上の理由から凸部の両側の4ヶ所に補強剤を充填した例で説明したが、凹凸がこれとは逆に成型された場合には、凹部の両側の4ヶ所に補強剤が充填されるものである。
【0062】
この両図より明らかな如く、振動板1の周辺に設けられた溝部30内で、前記振動板1の音を放射する方向に凹凸状に連続的に形成した湾曲部の内の、例えば、突部の両側の4ヶ所に、前記湾曲部の一つと同程度の幅を持って補強剤31を充填した場合は、前記した溝部30内に補強剤を充填しない場合に比し、振動板1の振動に起因して5KHz〜6KHz付近に発生していた音圧周波数特性上のピークのレベルが減少し、又、周波数特性上の2次、3次高調波歪が大きく減少していることが実証されていて、本実施例の優位性が一見してわかるものである。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固有振動によって発生する長手方向の異常振動が抑制され、歪みのない音波再生が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気音響変換器の一実施例を示す説明図である。
【図2】図1の電気音響変換部の主要部を構成する振動板に補強剤が充填された状態を示す斜視図である。
【図3】図1の電気音響変換器の主要部を構成するボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図である。
【図4】図1における振動板の長手方向中央部の横断面図である。
【図5】図1におけるボイスコイルボビンとの接合後における振動板の長手方向中央部の横断面図である。
【図6】本発明になる電気音響変換器の周波数特性図である。
【図7】従来の電気音響変換器の説明図である。
【図8】従来の電気音響変換器の主要部を構成するボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図である。
【図9】従来の電気音響変換器に用いられた振動板中央部のくぼみ振動の説明図である。
【図10】従来の電気音響変換器の周波数特性図である。
【図11】先願になる電気音響変換器の説明図である。
【図12】図11になる電気音響変換器の主要部を構成するボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図である。
【図13】先願になる電気音響変換器の周波数特性図である。
【図14】先願になる電気音響変換器に用いられた振動板に発生する屈曲波の振動モードを示す説明図である。
【図15】従来の電気音響変換器に用いられるボイスコイルが巻回された他のボイスコイルボビンの斜視図である。
【図16】従来の電気音響変換器の他の説明図である。
【図17】図1の電気音響変換部の主要部を構成する振動板に補強剤が充填された他の状態を示す斜視図である。
【図18】図1の電気音響変換部の主要部を構成する振動板に補強剤が充填された更に他の状態を示す斜視図である。
【図19】図17における電気音響変換器の周波数特性図である。
【図20】図18における電気音響変換器の周波数特性図である。
【図21】振動板の溝部内に充填された補強剤が所定量より多い場合の周波数特性図である。
【図22】図6の電気音響変換器において、補強剤を用いない場合の周波数特性図である。
【符号の説明】
1、21 振動板
2、22 エッジ
2a 外周部
3、23 フレーム
4、15 ボイスコイルボビン
5、25 ボイスコイル
6、26 ヨーク
7、27 マグネット
8、28 ポールピース
9 細溝部
10、20、50 電気音響変換器
11a〜11f、29a 凸状部
12a〜12d、29b 凹状部
13 梁
14 肩部
16〜18 補強用の梁
29c 凹状溝部

Claims (1)

  1. 細長形状の振動板と、
    前記振動板の外周部に沿って帯状に設けられた溝部と、
    端面形状がトラック型なる筒状であって、その一端面が前記振動板の一面側に固定されたボイスコイルボビンと、
    を有する電気音響変換器であって、
    前記振動板は、
    該振動板の長手方向に交互に設けられた凸状の湾曲部及び凹状の湾曲部と、
    前記振動板の略中央部に設けられた前記長手方向と直交する方向に延在する細溝部と、を有し、
    前記ボイスコイルボビンは、該ボイスコイルボビンの長手方向の略中央部に、前記細溝部に固定された梁を有し、
    前記溝部は、前記細溝部によって前記振動板の長手方向に2ブロックに分けられた前記振動板の中央部付近であって前記凸状の湾曲部の両側または前記凹状の湾曲部の両側に各ブロックにつき2ヶ所ずつ、前記湾曲部の一つと同程度の前記長手方向の長さをもって補強剤が充填されていることを特徴とする電気音響変換器。
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