JP3760826B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

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JP3760826B2 JP2001293373A JP2001293373A JP3760826B2 JP 3760826 B2 JP3760826 B2 JP 3760826B2 JP 2001293373 A JP2001293373 A JP 2001293373A JP 2001293373 A JP2001293373 A JP 2001293373A JP 3760826 B2 JP3760826 B2 JP 3760826B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細幅(長)で、かつ音質の優れた電気音響変換器としてのスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンやワイドビジョン等の普及により、テレビの画面は横長ののものが一般的になりつつある。しかし一方では、我が国の住宅事情から、テレビセット全体として幅狭・薄型のものが望まれている。このことは、テレビに限らず、一般のオーディオコンポにも云えることである。
【0003】
例えば、テレビ用のスピーカユニットは、通常ブラウン管の両脇に取り付けられるため、テレビセットの横幅を大きくする一因となっている。そのため、従来からテレビ用には角型や楕円型等の幅の狭いスピーカユニットが用いられてきた。ところが、ブラウン管の横長化により、スピーカユニットの幅はますます狭くすることが求められ、同時に画面の高画質化に対応した音声の高音質化が要求されている。
【0004】
しかしながら、一般的な細幅構造のスピーカでは、細幅の振動板の中央部を一点で駆動することになるため、長軸方向の分割共振が励起されやすい。その結果中高音帯域では再生音圧周波数特性上にピークディップを生じ、音質の劣化を招いていた。
【0005】
以下、上記した従来構成になる細幅の電気音響変換器について、図11〜図14を参照して説明する。
【0006】
図11(a)は、上記した従来構成になる細幅の電気音響変換器に用いられる振動板の平面図、図11(b)は、図11(a)のA−A線断面図、図12は振動板等の分解斜視図、図13は振動板の要部斜視図、図14は図11(a)のB−B線断面図である。
【0007】
図11〜図14において、振動板31の長手方向の略中央部で、且つ、長手方向に略直交する方向の各溝部38内には、上方より補強部材40が挿入配置されており、この補強部材40で振動板31が支持されている。補強部材40の材質は、振動板31を支持できるものであれば良く、金属、樹脂、木等で構成される。又、補強部材40は細長いロッド状に構成され、その下面側には一定間隔ごとに切欠部41が形成されている。ボイルコイル33はこの各切欠部41内を通ることによって各主振動部31aの基底部分に巻回される。
【0008】
前記構成において、マグネット35によってボイルコイル33周囲に磁界が発生し、ボイルコイル33に駆動電流が流れるとボイルコイル33に駆動電流に応じた電磁力が作用し、この電磁力で主振動部31aを主体として振動板31が振動する。この振動に際して振動板31の長手方向の中央部である溝部38付近は補強部材40で支持されているため、振動板31の長手方向の中央部付近での分割振動が防止される。
【0009】
また、各主振動部31aの上面は、外側に突出する形状(凸状)の略半円筒面39aと内側に窪む形状(凹状)の略半円筒面39bとが長手方向に交互に連続的に配置される形状となっているので、長手方向に直交する方向の力に対して機械的強度(剛性)が強いことから、互いの境界部分が揃って振動せずに、一方が他方よりも大きく又は小さく振動をし始めようとする際に、相補的にこの振動成分の発生が未然に防止されるものでもある。
【0010】
図15は、上記した電気音響変換器の振動板31を自由振動モードで振動させた場合の振動状態を示す図である。図15に示す自由振動モードにおいて、溝部38の周辺での分割振動が抑制されていることからも、実際に、振動板31の長手方向の中央部付近での分割振動が押さえられていることが実証できる。
【0011】
図16は、振動板31の中央部における振幅の周波数応答特性の数値解析結果であり、実線Aは上記した電気音響変換器の実施形態を、破線Bは他の従来例をそれぞれ示す。図16に示すように、他の従来例では13.5kHz近傍以上の周波数での落ち込みがあるが、上記した電気音響変換器の実施形態では10kHz付近の高域のピークが押さえられると共に、13.5kHz近傍以上の周波数での落ち込みが改善されて15kHzまで伸びていることがわかる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の電気音響変換器においては、次のような問題点があった。すなわち、その点を図17、図18を参照して説明する。
【0013】
前記した如く、振動板31は、その長手方向の略中央部で、かつ、長手方向に直交する方向の各溝部38内に補強部材40を上方より挿入配置することにより、振動板31の長手方向の中央部付近で、その分割振動を防止しているものである。しかるに、図17より明らかな如く、溝部38は、その深さ方向の寸法Hをかなり大なものとする必要がある。何故ならば、そのように構成していない場合、補強部材40をそこに安定に保持することが出来ないからである。
【0014】
一方で、溝部38をこのように構成することは、他方で、新たな不具合を生じさせる。すなわち、製造工程上等の理由から、ボイスコイル33が巻回されているボイスコイルボビン34を、振動板31の下方から挿入配置する場合、このボイスコイルボビン34の上端34aが溝部38の下端38aに当接してしまい、それを正規の位置に配置することが出来ないからである。
【0015】
かかる点を考慮して、溝部38の深さ方向の寸法を、ボイスコイルボビン34の配置にとって障害とならない程度の深さとした場合には、振動板31が中央付近で内側に窪んでしまうという前記した問題点を解決することはできない。
【0016】
本発明は、かかる点に鑑みなされたものであり、振動板と、この振動板に接続されるボイスコイルボビンを新規な構成とすることにより、振動板の固有振動によって発生する長手方向の異常振動を抑制して、大入力に対しても異常のない音波放射の実現化を図った電気音響変換器を提供することをその目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するためになされたものであり、請求項1に係る発明は、
振動方向から見た振動面の平面形状が長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部(11a〜11f,12a〜12d)を形成しており、かつ、前記湾曲部(11c,11d)と連設し前記長手方向の略中央部に、前記振動面の長手方向と直交する如く溝部9を一体的に設けた非軸対称形の振動板1と、
前記振動板1の外周部に沿って帯状に形成され、この帯状の内周部が前記振動板1の外周部に接続され、前記振動板1を振動自在に保持するエッジ2と、
巻線を施すフォーム部分が前記振動板1の長手方向に2分割されており、前記分割部分が接合されて梁13を形成し、この梁13が前記振動板1の溝部9の底部の裏面9aに当接されるボイスコイルボビン4と、
前記ボイスコイルボビン4の外周面に巻回されるボイスコイル5と、
前記ボイスコイル5に振動用の磁束を与える磁気回路6,7,8と、
前記エッジ2の外周部、前記磁気回路6,7,8を保持するフレーム3とより構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の電気音響変換器10であって、前記ボイスコイルボビン4を構成するフォーム部分をクラフト紙で形成してなり、このクラフト紙と、巻き線後にフォームの残部に張り合わせるクラフト紙よりなるバンド15とは、パルプ繊維の並びが互いに直角方向となるように構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の電気音響変換器10であって、前記振動板1の溝部9の深さFは、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上がり部Cと略同等としたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
まず、本発明になる電気音響変換器の具体的構成を説明する前に、細幅の電気音響変換器の基本的構成につき、図7〜図10を参照して説明する。
【0022】
図7(a),(b)は、それぞれ基本的構成になる細幅の電気音響変換器20の正面図、及びA-A線断面図である。図7(a),(b)において、21は、振動方向から見た平面形状が、長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続的に湾曲した形状を有する非軸対称形の振動板である。この振動板21の外周部にはエッジ22が接合され、フレーム23に保持されている。
【0023】
図8に示す如くのトラック型のボイスコイルボビン24は、振動板21の裏面に、例えば、接着剤によって固着されている。このボイスコイルボビン24の外周面には、ボイスコイル25が巻回されている。ボイスコイルボビン24は、後述する磁気回路の磁気空隙Gに釣り下げられ、音声信号電流と磁束により駆動力を発生する。前記したフレーム23は、箱状に形成され、その側面の一部は、エッジ22方向に沿った形状としている。
【0024】
フレーム23の内側底面には、前記した後述する如くの磁気回路が取付けられている。磁気回路は、鉄製のヨーク26、マグネット27、ポールピース28で構成され、図示しない治具によりフレーム23の所定位置に固定されている。なお、マグネット27、ポールピース28は、振動板21の主振動部に対応する位置に設けられているものである。
【0025】
ここで、振動板21の具体的構成につき説明する。この振動板21は、前記した如く、振動方向から見た振動面の平面形状が長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部を形成しており、かつ、前記湾曲部と連設し前記長手方向の略中央部に、前記振動面の長手方向と直交する如く溝部を一体的に設けた非軸対称形の形状を有するものである。すなわち、29aを凸状部とし、これと交互に連続して設けられている29bを凹状部としたものである。なお、それぞれの凹状部までの深さ方向の寸法Dは、ほぼ同程度に形成されている。
【0026】
また、29cは、振動板21の略中央部に設けられ、前記した凸状部29a、凸状部29aと連設している凹状溝部である。また、凸状部29a、凹状部29b、凹状溝部29cからなる振動板21は、ボイスコイル25の発熱に耐え、かつ、振動板21としての機械的特性に優れたポリイミド(PI)フィルムによって一体的に形成されている。
【0027】
ところで、振動板21はその厚みが大きい場合、それだけ重量が増し強力な磁気回路を構成する必要があるため、厚みは出来るだけ薄い方が好ましい。しかしながら、一般的に振動板21は、その厚みを薄くした場合、強度が低下し、図9に示すように中央付近で内側に窪んでしまうという現象が発生する。
【0028】
この現象は、ボイスコイルボビン24にも同様な方向に変形を生じさせ、その長手方向中央部が、振動板21の変形によってポールピース28に接触し、異常音の原因となったり、図10に示すように、その中高音帯域での音圧周波数特性上に歪み(2次歪、3次歪等の高調波歪)を発生させる原因となっていた。そしてその変形は、2ボルト入力の時、ボイスコイルボビン24の長手方向中央部の、長手方向と直角な方向に発生する変位は、0.5mmに達してしまう場合がある。
【0029】
そこで、本発明は、かかる点を改良し、細幅(長)構造でありながら、分割共振が起こりにくく、平坦な特性が得られるようにした音質の優れた電気音響変換器を案出したものである。
【0030】
(実施例)
図1は、本発明になる電気音響変換器の好ましい一実施例を示すもので、(a)は平面図、(b)はその断面図、図2は、図1の電気音響変換器の主要部を構成する振動板の斜視図、図3は、同、ボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図、図4は、振動板の長手方向中央部の横断面図、図5は、ボイスコイルボビンとの接合後における振動板の長手方向中央部の横断面図、図6は、本発明になる電気音響変換器の周波数特性図である。
【0031】
まず、図1、図2を参照して、本実施例になる電気音響変換器10を構成する振動板1の具体的構成について説明する。
【0032】
図1(a),(b)は、本実施例になる細幅の電気音響変換器10の正面図、及びA-A線断面図、図2は、図1の電気音響変換器の主要部を構成する振動板の斜視図である。図1(a),(b)において、1は、振動方向から見た振動面の平面形状が、長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部を形成した形状を有する非軸対称形の振動板である。この振動板1の外周部にはエッジ2が接合され、フレーム3に保持されている。
【0033】
図3に示す如くのトラック型のボイスコイルボビン4は、振動板1の裏面に、例えば、接着剤によって固着されている。このボイスコイルボビン4の外周面には、ボイスコイル5が巻回されている。ボイスコイルボビン4は、後述する磁気回路の磁気空隙Gに釣り下げられ、音声信号電流と磁束により駆動力を発生する。前記したフレーム3は、箱状に形成され、その側面の一部は、エッジ2方向に沿った形状としている。
【0034】
フレーム3の内側底面には、前記した後述する如くの磁気回路が取付けられている。磁気回路は、鉄製のヨーク6、マグネット7、ポールピース8で構成され、図示しない治具によりフレーム3の所定位置に固定されている。なお、マグネット7、ポールピース8は、振動板1の主振動部に対応する位置に設けられているものである。
【0035】
ここで、振動板1の具体的構成につき説明する。この振動板1は、前記した如く、振動方向から見た振動面の平面形状が、長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部を形成した非軸対称形の形状を有するものである。すなわち、11a、11b,11c,11d,11e,11fを凸状部とし、これと交互に連続して設けられている12a,12b,12c,12dを凹状部としたものである。なお、それぞれの凹状部までの深さ方向の寸法Dは、中央部を除き、ほぼ同程度に形成されている。
【0036】
また、9は、前記した凹凸状に連続した湾曲部11a〜11f、12a〜12dと連設した振動板1の略中央部に、振動面の長手方向と直交する如く一体的に設けられた溝部である。なお、この溝部9の深さ方向の寸法Fは、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上がり部である振動板1の肩部14の寸法Cと略同程度に設定してある。なお、9aは、この溝部9の底部の裏面である。
【0037】
また、凸状部11a〜11f、凹状部12a〜12d、溝部9からなる振動板1は、ボイスコイル5の発熱に耐え、かつ、振動板1としての機械的特性に優れたポリイミド(PI)フィルムによって一体的に形成されている。
【0038】
次に、振動板1の裏面に、例えば、接着剤によって固着されているボイスコイルボビン4の具体的構成について、図3〜図5を参照して説明する。図3より明らかな如く、ボイスコイルボビン4は、振動板1の振動方向から見た平面形状が、長手と短手とを有する非軸対称形であって、かつ、ボイスコイルボビン4の一部は、振動板1の長手方向に関して、互いに平行な直線部分を有している。
【0039】
また、ボイスコイルボビン4は、巻線を施すフォーム部分が、振動板1の長手方向に2分割41、42されており、分割部分が、短手方向に関して平行になる如く接合することにより、補強部としての梁13が構成されるものである。なお、この梁13は、後記する如く振動板1の溝部9の底部の裏面9aに当接されるものである。
【0040】
また、15は、ボイスコイルボビン4の外周面に巻回される補強紙として用いられるクラフト紙からなるバンドであり、これを巻回しない場合は、図19に示す如く、ボイスコイルボビン4が変形してしまい、そのまま使用することができなくなるからである。かかる意味からいって、この補強紙は必須のものといえる。
【0041】
なお、フォーム部分をクラフト紙で構成する場合は、次の点に注意する必要がある。すなわち、巻き線後にフォーム部分の残部(巻き線されていない部分)に張り合わされるバンドとしてのクラフト紙と、フォーム部分を構成するクラフト紙とは、パルプ繊維の並びが互いに直角方向となるように形成されている必要があるからである。何故ならば、仮にそのように形成されていない場合は、図20に示される如く、ボイスコイルボビン4が変形してしまい、そのまま使用することができなくなるからである。
【0042】
これは、パルプ繊維の並びが互いに直角方向となるように形成されていない場合は、クラフト紙の含水率に起因して、変形が生じてしまうものと思われるからである。
【0043】
このように、巻線を施すフォーム部分が、振動板1の長手方向に沿って2分割されており、分割部分が、短手方向に関して平行になる如く接合することにより、補強部としての梁13が構成されるようにしたボイスコイルボビン4は、前記した如く溝部9の深さ方向の寸法Fが、前記凹状部までの深さDより大であって、凸状部の立ち上がり部である振動板1の肩部14の寸法Cと略同程度に設定されているので、これを振動板1の下方より挿入配置する場合にも、図1(b)、図4、図5に明示されている如くの正規の位置である、溝部9の底部の裏面9aに梁13が当接された状態で固定することが出来るものである。なお、好ましくは、裏面9aと梁13とを接着剤によって接着する。
【0044】
次に、このように構成した電気音響変換器10の動作について説明する。
前記構成において、マグネット7によってボイルコイルボビン4周囲に磁界が発生し、このボイルコイルボビン4に巻回されたボイルコイル5に駆動電流が流れると、前記したボイルコイルボビン4に駆動電流に応じた電磁力が作用し、この電磁力で主振動部1aを主体として振動板1が振動する。この振動に際して振動板1の長手方向の中央部である溝部9付近は、溝部9の底部の裏面9aに補強部としての梁13が当接しこの溝部9を支持しているため、振動板1の長手方向の中央部付近で内側にくぼむ現象は発生せず、すなわち、分割振動が防止されるものである。
【0045】
又、振動板1の上面は外側(音を放射する方向)に突出する形状の略半円筒面11aと、これと連続しており、内側にくぼむ形状の略半円筒面12a等とが長手方向に交互に連続して一体的に配置される形状となっているので、相補的にこの部分における振動成分の発生が未然に防止される。
【0046】
図6は、本発明になる電気音響変換器10における音圧周波数特性と高調波歪みの周波数特性図である。この図6より明らかな如く、振動板1中央部のくぼみ振動に起因して500Hz〜1kHzに発生していた2次、3次高調波が大きく減少していることが実証されている。本実施例になる電気音響変換器10に、2ボルトの入力を加えた場合、ボイスコイルボビン4の長手方向中央部の、長手方向に直角な方向に発生する変位、すなわち、振動板1の略中央部に発生する振動の振動板長手方向に直角な振幅(変位)は、従来の0.5mmから0.06mmに減少した。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本請求項1に係る発明によれば、振動方向から見た振動面の平面形状が長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部を形成しており、かつ、前記湾曲部と連設し前記長手方向の略中央部に、前記振動面の長手方向と直交する如く溝部を一体的に設けた非軸対称形の振動板と、前記振動板の外周部に沿って帯状に形成され、この帯状の内周部が前記振動板の外周部に接続され、前記振動板を振動自在に保持するエッジと、巻線を施すフォーム部分が前記振動板の長手方向に2分割されており、その分割部分が接合されて梁を形成し、この梁が前記振動板の溝部の底部の裏面に当接されるボイスコイルボビンと、前記ボイスコイルボビンの外周面に巻回されるボイスコイルと、前記ボイスコイルに振動用の磁束を与える磁気回路と、前記エッジの外周部、前記磁気回路を保持するフレームとより構成したことにより、振動板中央部のくぼみ振動が防止され、歪みのない音波再生が実現できるという効果がある。
【0048】
本請求項2に係る発明によれば、請求項1記載の電気音響変換器であって、前記ボイスコイルボビンを構成するフォーム部分をクラフト紙で形成してなり、このクラフト紙と、巻き線後にフォームの残部に張り合わせるクラフト紙よりなるバンドとは、パルプ繊維の並びが互いに直角方向となるよう構成したことにより、振動板中央部のくぼみ振動が防止され、より歪みのない音波再生が実現できるという効果がある。
【0049】
本請求項3に係る発明によれば、請求項1記載の電気音響変換器であって、前記振動板の溝部の深さは、前記凹部までの深さより大であって、凸部の立ち上がり部と略同等としたことにより、振動板中央部のくぼみ振動が防止され、更に歪みのない音波再生が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気音響変換器の一実施例を示す説明図である。
【図2】図1の電気音響変換器の主要部を構成する振動板の斜視図である。
【図3】図1の電気音響変換器の主要部を構成するボイスコイルが巻回されたボイスコイルボビンの斜視図である。
【図4】振動板の長手方向中央部の横断面図である。
【図5】ボイスコイルボビンとの接合後における振動板の長手方向中央部の横断面図である。
【図6】本発明になる電気音響変換器の周波数特性図である。
【図7】細幅の電気音響変換器の基本的構成を示す説明図である。
【図8】図7の細幅の電気音響変換器に用いられたボイスコイルボビンの説明図である。
【図9】図7の細幅の電気音響変換器に用いられた振動板中央部のくぼみ振動の説明図である。
【図10】図7の細幅の電気音響変換器の周波数特性図である。
【図11】従来の電気音響変換器に用いられた振動板の説明図である。
【図12】従来の電気音響変換器に用いられた振動板等の分解斜視図である。
【図13】従来の電気音響変換器に用いられた振動板の要部斜視図である。
【図14】従来の電気音響変換器に用いられた振動板の一部線断面図である。
【図15】従来の電気音響変換器の振動板を自由振動モードで振動させた場合の振動状態を示す図である。
【図16】従来の電気音響変換器に用いられた、振動板の中央部における振幅の周波数応答特性の数値解析結果を示す説明図である。
【図17】従来の電気音響変換器に用いられた、振動板とボイスコイル等の関係を示す断面図である。
【図18】従来の電気音響変換器に用いられた、振動板とボイスコイル等の関係を示す中央溝部分における横断面図である。
【図19】ボイスコイルボビンが変形した具体例を示す斜視図である。
【図20】ボイスコイルボビン変形した他の具体例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 振動板
2 エッジ
3 フレーム
4 ボイスコイルボビン
5 ボイスコイル
6 ヨーク
7 マグネット
8 ポールピース
9 溝部
9a 溝部の底部の裏面
10、20 電気音響変換器
11 凸状部
12 凹状部
13 梁(補強部)
15 バンド

Claims (3)

  1. 振動方向から見た振動面の平面形状が長手と短手を有し、前記振動面は前記長手方向に凹凸状に連続した湾曲部を形成しており、かつ、前記湾曲部と連設し前記長手方向の略中央部に、前記振動面の長手方向と直交する如く溝部を一体的に設けた非軸対称形の振動板と、
    前記振動板の外周部に沿って帯状に形成され、この帯状の内周部が前記振動板の外周部に接続され、前記振動板を振動自在に保持するエッジと、
    巻線を施すフォーム部分が前記振動板の長手方向に2分割されており、前記分割部分が接合されて梁を形成し、この梁が前記振動板の溝部の底部の裏面に当接されるボイスコイルボビンと、
    前記ボイスコイルボビンの外周面に巻回されるボイスコイルと、
    前記ボイスコイルに振動用の磁束を与える磁気回路と、
    前記エッジの外周部、前記磁気回路を保持するフレームとより構成したことを特徴とする電気音響変換器。
  2. 請求項1記載の電気音響変換器であって、前記ボイスコイルボビンを構成するフォーム部分をクラフト紙で形成してなり、このクラフト紙と、巻き線後にフォームの残部に張り合わせるクラフト紙によるバンドとは、パルプ繊維の並びが互いに直角方向となるように構成したことを特徴とする電気音響変換器。
  3. 請求項1記載の電気音響変換器であって、前記振動板の溝部の深さは、前記凹状部までの深さより大であって、凸状部の立ち上がり部と略同等としたことを特徴とする電気音響変換器。
JP2001293373A 2000-09-29 2001-09-26 電気音響変換器 Expired - Lifetime JP3760826B2 (ja)

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