JP3802356B2 - 電動車の走行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフカーなどに用いる電動車の走行状態を制御する電動車の走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電気エネルギによって推進力を生成する各種の電気推進車両が知られており、この種の電気推進車両の駆動源には一般に電動機が用いられている。たとえば、ゴルフ場内において荷物や人の運搬に用いるゴルフカーとしても電動車が用いられており、この種の電動車では制動のために電動機の回生エネルギを利用した回生制動が一般に採用されている。ただし、電動車が比較的高速で走行しているときには回生エネルギが大きいから回生制動を有効に利用することができるものの、電動車が低速で走行しているときには回生制動の効果があまり期待できないから、機械式ブレーキを併用しているのが現状である。
【0003】
電動車において回生制動と併用される機械式ブレーキとしては、特開平7−203602号公報に記載されているようにブレーキペダルを踏み込むことによって駆動される油圧式のものが知られている。また、特開平8−230660号公報には、内燃機関であるエンジンを走行用の駆動源とするゴルフカーにおいて、ブレーキモータにより機械式ブレーキであるドラムブレーキを駆動する構成が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記両公報に記載された技術では、制動時において制動力を制御することについてはとくに考慮されておらず車両が急停止する可能性がある。また、機械式ブレーキは摩擦力を制動力として用いるから、構成部品の摩耗を伴うものであって、構成部品の交換頻度を低減するには、構成部品の摩耗を低減する技術が要求される。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、機械式ブレーキにより制動力を得るようにしながらも構成部品の摩耗を低減することができ、しかも電動車を急停止させることなく滑らかに減速させることを可能とした電動車の走行制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、電動車の走行速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段による検出速度を設定速度に一致させるように走行用の駆動源であるメインモータへの供給電流の指令値を決定する速度制御手段と、メインモータへの供給電流を制御する電流制御手段と、メインモータへの供給電流を検出する電流検出手段と、電動車を停止させる際に電動車に制動力を作用させるとともに制動力が可変であるブレーキモータと、電流検出手段により検出された電流値の前記指令値に対する偏差の瞬時値と積分値と微分値とを適宜の比率で加算した加算値の変化率に比例するようにブレーキモータによる制動力を制御するブレーキモータ制御手段とを備えるものである。この構成によれば、設定値である指令値と制御量である電流値との偏差に追従する値をPID制御と同様の演算によって求め、さらにこの値の変化率(一定の微小時間内での差分)に比例するようにブレーキモータの制動力を制御するから、ブレーキモータによる制動力が電動車の走行速度の指令値と検出速度との偏差に適応的に作用して前記偏差の低下に伴って減少することになり、結果的にブレーキモータへの供給電力が比較的少なくなるとともに、前記偏差に伴って制動力を徐々に小さくすることで電動車を滑らかに減速して急停止を防止することができる。また、ブレーキモータは一般にドラムブレーキのような機械式ブレーキにおいて摩擦力の制御に用いられており、上述のように速度の低下に伴って制動力を低減させることによって、必要以上に大きな摩擦力を作用させることがなく、機械式ブレーキの摩耗を低減することができる。ここに、電動車が回生制動のみを行うとすれば電動車の低速走行時には回生エネルギが少ないから十分な制動力が得られないが、ブレーキモータを用いることによって電動車の低速走行時における制動が容易になる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記速度検出手段により検出される電動車の走行速度が規定値以下の期間にのみ前記ブレーキモータ制御手段が前記ブレーキモータを制御するものである。この構成によれば、電動車が比較的高速で走行している際の制動にはブレーキモータを用いないことによって、ブレーキモータによる電力消費を比較的少なくし、電動車が比較的低速(つまり、走行速度が規定値以下)である期間にはブレーキモータを用いることにより、電動車の制動をきめ細かく制御することが可能になる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記メインモータが界磁巻線と電機子巻線とを備え、メインモータの回生エネルギを2次電池であるメインバッテリに返還することにより回生制動させる回生制動手段と、メインバッテリの電圧を監視するバッテリ電圧検出手段と、走行中においてバッテリ電圧検出手段により検出されるメインバッテリの電圧が規定電圧を超える期間では規定電圧以下の期間よりも電機子巻線への供給電流に対する界磁巻線への供給電流を相対的に減少させる界磁電流制御手段とが付加されているものである。この構成によれば、下り斜面において電動車の制動に伴って生じる回生エネルギでメインバッテリの電圧が上昇してもメインバッテリの電圧が過電圧になるときには界磁巻線への供給電流を減少させるから逆起電圧定数を小さくすることになり、回生エネルギ(発電量)が減少して回生エネルギによるメインバッテリの電圧上昇を抑制することができ、結果的にメインバッテリの劣化を抑制することができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、メインモータの回転量を検出する回転量検出手段が付加され、前記速度検出手段により検出された電動車の走行向きが前記指令値で指示された向きとは逆向きであるときに回転量検出手段により検出された回転量が大きいほど前記電流制御手段がメインモータへの供給電流を増加させるものである。この構成によれば、たとえば、上り斜面において発進しようとするときに電動車が後方に移動しそうになると、メインモータへの供給電流を増加させることによって、電動車が後退するのを防止することができる。つまり、上り斜面での発進時にブレーキが解除された後にメインモータのトルク不足によって電動車が後退するのを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に説明する発明の実施の形態では、ゴルフ場において人や荷物を運搬するためのゴルフカーとして用いる電動車を例示するが、本発明の技術思想は他の用途の電動車であっても適用可能である。
【0011】
以下に説明する電動車は、ゴルフ場に敷設された誘導線に沿って走行する自動運転と、乗員の操作による手動運転とが可能になっている。電動車は、図9に示すように、走行用の駆動源であるメインモータ1と、メインモータ1の電源となるメインバッテリ2とを搭載している。メインモータ1は電機子巻線と界磁巻線とを備える分巻直流電動機であって、メインバッテリ2には鉛蓄電池のような2次電池を用いている。メインモータ1の回転力はトランスミッション4を介して駆動輪である後輪3a,3bに伝達される。トランスミッション4には電動車の走行速度を検出するためのロータリエンコーダからなる2個の車速センサ41,42が設けられている。両車速センサ41,42は出力位相が異なっており、両車速センサ41,42の出力位相の関係によって電動車が前進しているか後退しているかを知ることができる。つまり、前後方向について電動車が移動する向きを速度検出手段としての車速センサ41,42によって知ることができる。車速センサ41,42の出力はパルスであって、パルス数を計数することによってメインモータ1の回転量(回転角度)も知ることが可能である。
【0012】
メインモータ1を除いて以下に説明する各部には2次電池である補機バッテリ6から給電される。メインバッテリ1および補機バッテリ6を外部電源によって充電する充電器28は電動車に搭載されている
操舵輪である前輪3c,3dを操舵するハンドル5に連結されたステアリングコラム31は、ステアリングクラッチ32を介してハンドル5側と前輪3c,3d側とに分割されており、ステアリングクラッチ32によってハンドル5と前輪3c,3dとの連結・分離が可能になっている。さらに、メインモータ1の回転速度を調節するために踏み込まれるアクセルペダル7と、電動車を制動するために踏み込まれるブレーキペダル8と、電動車を前進させるか後退させるかを選択するためのシフトレバー10とが電動車に設けられている。アクセルペダル7およびブレーキペダル8は踏み込まなければ元の位置に復帰して踏み込み量が零になるように機械的な復帰手段(図示せず)を付設してある。シフトレバー10による前進の指示は前進検出スイッチ45により検出され、後退の指示は後退検出スイッチ46により検出される。さらに、後退時には警報ブザー47が鳴動する。各後輪3a,3bおよび各前輪3c,3dには摩擦制動により制動するためのドラムブレーキ9がそれぞれ取り付けられ、ドラムブレーキ9はブレーキペダル8の踏み込み量に応じた制動力を後輪3a,3bおよび前輪3c,3dに作用させる。ステアリングクラッチ32に対して前輪3c,3d側のステアリングコラム31には、ステアリングモータ13の回転力がギア29,30を介して伝達され、ステアリングコラム31の回動によって前輪3c,3dが操舵される。ドラムブレーキ9の制動力はブレーキペダル8だけではなくブレーキモータ16によっても制御可能になっている。ブレーキモータ16はギア37を介して切換機構24に接続され、切換機構24ではブレーキペダル8が踏み込まれていなければブレーキモータ16をドラムブレーキ9に連結し、ブレーキペダル8が踏み込まれるとブレーキペダル8をドラムブレーキ9に連結する。ギア37にはブレーキモータ16が制動力を与えない位置(以下、ブレーキモータ16の「ホーム位置」という)に復帰したときに作動するブレーキリミットスイッチ44が設けられている。さらに、電動車には停車時に停車状態を保つための電磁ブレーキ18が設けられる。
【0013】
上述したように、電動車は自動運転が可能であるから、ゴルフ場に敷設された誘導線の位置を検出する3個の誘導線センサ19a〜19cと、電動車を停止させたり加速させたりする定点を示すために誘導線に隣接して埋設されている定点マークを検出する定点センサ20とが設けられる。定点マークは永久磁石からなり磁極の並べかたによって電動車への指示が行われる。
【0014】
誘導線センサ19a〜19cは交流電圧が印加されている誘導線を磁気的に検出するとともに、誘導線との距離に応じた出力が得られるものであって、電動車の前部下面に配置されたT字状のアーム39に左右に並べて配列されている。アーム39は前輪3c,3dの向きに応じて電動車の下面に沿って首振り自在であり、誘導線センサ19a〜19cがつねに電動車の進行方向に対してほぼ直交する方向に並ぶようにしている。また、定点センサ20は地面と対向するように電動車に取り付けられる。
【0015】
電動車のフロントバンパと電動車のボディとの間には他部材が接触したときに電動車の走行を停止させるために左右2個のバンパスイッチ21が設けられる。バンパスイッチ21は常時はオフであるが、フロントバンパが他部材により押圧されるとオンになる。また、前方の電動車との追突を防止するために電波を送出する追突防止センサ送信器22bが後端部に設けられるとともに、前方の電動車の追突防止センサ送信器22bからの電波を受信する追突防止センサ受信器22aが前端部に設けられ、電波の送受信によって車間距離が保たれるようにしてある。追突防止センサ受信器22aと追突防止センサ送信器22bとは追突防止コントローラ27に接続される。さらに、電動車の前端部には周囲の障害物の有無を検出するために左右2個の障害物センサ23が設けられる。障害物センサ23は赤外線の投受光を行うセンサであって、電動車の前方に存在する障害物(人や動物を含む)との距離に応じた出力を発生する。電動車はワイヤレス信号によって遠隔操作することも可能であって、別に設けたリモコン送信器25からのワイヤレス信号を受信するリモコン受信器26が電動車に設けられている。
【0016】
ところで、電動車の走行はコントローラ11が管理している。コントローラ11は、CPU、メモリ、入出力インタフェースを備えるマイコンを主構成要素とした制御部48を有し、制御部48では上述した各種センサやスイッチ類による入力情報を受けてメインモータ1、ステアリングモータ13、ブレーキモータ16、電磁ブレーキ18を制御する。
【0017】
すなわち、誘導線センサ19a〜19cの出力はコントローラ11に設けた誘導線センサ用アンプ14により増幅されて制御部48に入力され、定点センサ20の出力はコントローラ11に設けた定点センサ用アンプ17により増幅されて制御部48に入力される。ここに、電動車の自動運転時にはハンドル5の手動操作による操舵を不能にするために、制御部48からクラッチモータリレー32aを介してクラッチモータ32bへの給電を制御し、クラッチモータ32bによりステアリングクラッチ32を駆動してステアリングコラム31からハンドル5を切り離す。しかして、コントローラ11の制御部48は各誘導線センサ19a〜19cの出力の大きさから誘導線に対する誘導センサ19bの位置の偏差を求め、この偏差を小さくするような操舵指示信号をステアリングドライバ12に出力し、ステアリングドライバ12を通してステアリングモータ13の駆動電流を制御する。これによって、電動車を誘導線に沿って自動的に走行させることができる。また、定点センサ用アンプ17を通して入力される定点センサ20からの入力情報によって、メインモータ1、ブレーキモータ16、電磁ブレーキ18が制御されて、電動車の停止や加速が制御される。
【0018】
追突防止センサ受信器22aおよび追突防止センサ送信器22bが接続された追突防止コントローラ27も制御部48と接続されており、制御部48では、追突防止センサ受信器22aにより受信した電波の強度により前方の電動車との車間距離を検出するとともに、追突防止センサ送信器22bを制御して後方の電動車への電波を送出する。つまり、制御部48は、追突防止コントローラ27を通して入力される追突防止センサ受信器22aの出力に基づいて前方の電動車との車間距離を判断し、車間距離が所定値以下であるときには追突を防止するようにメインモータ1、ブレーキモータ16を制御して電動車を停止させる。
【0019】
同様に、障害物センサ23の出力もメインモータ1およびブレーキモータ2の制御に用いられ、障害物との距離が第1の規定距離以下であると電動車を停止させ、第1の規定距離よりは遠く第2の規定距離以下であるときには電動車を減速させる。このような制御によって、障害物との接触が回避される。また、障害物センサ23とは別にバンパスイッチ21がオンになる場合にも電動車を停止させる。
【0020】
制御部48はコントローラ11に設けたブレーキモータ出力部15を介してブレーキモータ16の駆動電流を制御する。ブレーキモータ16への駆動電流の大きさは制御部48からブレーキモータ出力部15に与える制動指示信号により指示され、ブレーキモータ16にギア37および切換機構24を介して連結されたドラムブレーキ9の制動力が制御される。ただし、ブレーキペダル8は切換機構24を介してドラムブレーキ9に接続されているから、自動運転時おいてもブレーキペダル8を踏み込むことによってドラムブレーキ9による制動を行うことが可能である。ここに、ブレーキペダル8を踏み込むとフットブレーキスイッチ38がオンになり、電動車を制動させたことが制御部48に伝達される。
【0021】
電磁ブレーキ18は、メインモータ1の回転力をトランスミッション4に伝達するための回動軸をスプライン軸として結合された可動ディスク18aと、前記回動軸とは非接触かつ可動ディスク18aに対向するように定位置(たとえば、トランスミッション4の外壁)に固定された固定ディスク18bとで構成されている。可動ディスク18aは前記回動軸と一体となって回転し、かつ前記回動軸の軸方向に移動可能になっている。また、固定ディスク18bは、可動ディスク18aを吸引する磁界を発生する永久磁石と、永久磁石の磁界を打ち消すよう励磁される電磁石とを備える。したがって、電動車の走行中においては、制御部48からの指示によって電磁石が励磁され永久磁石の磁界が打ち消されることによって可動ディスク18aに吸引力が作用せず、後輪3a,3bが自由に回転できるようになる。一方、制御部48からの指示によって電磁ブレーキ18の電磁石への通電が遮断されると、可動ディスク18aが永久磁石の磁力によって固定ディスク18bに吸引され、可動ディスク18aと固定ディスク18bとの間に作用する摩擦力によって前記回動軸が拘束される。ここに、前記回動軸にはトランスミッション4を介して後輪3a,3bが結合されているから、電磁ブレーキ18によって前記回動軸を拘束すると後輪3a,3bは回転しないように固定される。
【0022】
メインモータ1は電機子巻線および界磁巻線を備えており、コントローラ11に設けたメインモータ出力部50により電機子巻線および界磁巻線への供給電流が制御される。メインモータ1へはメインバッテリ2からメインリレー36を通して給電しており、この給電路にメインモータ出力部50を設けることによって、メインモータ1への給電電流が制御される。メインリレー36のオン・オフおよびメインモータ出力部50の制御は制御部48が行っている。メインモータ出力部50による給電電流の具体的な制御手順については後述する。
【0023】
ところで、電動車の手動運転時には、アクセルペダル7が踏み込まれているか否かの情報がアクセルスイッチ34から入力されるとともに、アクセルペダル7の踏み込み量がアクセルポテンショメータ35から入力される。したがって、手動運転の際にはアクセルペダル7に応じてメインモータ1への供給電流を制御することができる。制御部48は、シフトレバー10の操作によって前進スイッチ45がオンになっているか後退スイッチ46がオンになっているかを検出し、いずれもがオフであるときにはメインモータ1に電流を供給せずに電磁ブレーキ18の解除も行わない。
【0024】
電動車には、故障やメインバッテリ2の残容量の不足などによって電動車が走行不能となった場合に備えて牽引スイッチ49が設けてある。牽引スイッチ49をオンにすると制御部48では電磁ブレーキ18に通電して、電磁ブレーキ18による後輪3a,3bのロック状態を解除する。なお、電磁ブレーキ18には補機バッテリ6から給電されるからメインバッテリ2の残容量が不足していても電磁ブレーキ18には通電することが可能である。
【0025】
電動車の運転席には操作盤40が配置され、操作盤40には、メインバッテリ2からメインモータ1への給電経路に挿入されたメインリレー36をオン・オフを指示するメインスイッチ40aと、手動運転と自動運転との切換を指示する自動/手動切換スイッチ40bと、発進と停止とを指示する発進/停止スイッチ40cと、警告表示を行う警告灯40dと、走行速度を含む各種情報を表示する表示灯40eと、メインバッテリ2の残容量を表示する残量計40fとが少なくとも設けられている。操作盤40に設けた自動/手動切換スイッチ40bにより自動運転が選択されると、制御部48では電動車を手動運転から自動運転に切り換えて後述するような自動運転のための制御を行う。
【0026】
上述したリモコン送信器25にも、操作盤40の発進/停止スイッチ40cと同様の操作部が設けられ、リモコン送信器25からは電波を媒体としたワイヤレス信号が送出される。リモコン送信器25からのワイヤレス信号による発進/停止の指示がリモコン受信器26で受信されて制御部48に入力されると、電動車は発進/停止スイッチ40cを操作したときと同様に動作する。つまり、電動車の発進と停止とを遠隔操作することができる。
【0027】
以下に電動車の基本的な動作を簡単にまとめておく。電動車を運転するには、手動運転か自動運転かにかかわらず操作盤40のメインスイッチ40aをオンにする。メインスイッチ40aがオンになると、制御部48では自動/手動切換スイッチ40bにおいて自動運転が選択されているか手動運転が選択されているかを判断する。ここで、自動/手動切換スイッチ40bによって自動運転が選択されているときには、制御部48は以下のような制御によって電動車を自動運転する。
【0028】
すなわち、自動運転時には、制御部48は前進スイッチ45がオンか否かを確認し、前進スイッチ45でなければ電動車を停止状態に保ち、前進スイッチ45がオンであれば操作盤40またはリモコン送信器25から発進の指示を待つ。発進の指示がなされると、制御部48がクラッチモータリレー32aをオンにしてクラッチモータ32bを駆動することでステアリングクラッチ32を解除し、ハンドル5をステアリングコラム31から切り離す。これにより、ハンドル5の手動操作による操舵が不能になるとともに、ステアリングモータ32bの回動によるハンドル5の回動が防止される。
【0029】
その後、制御部48はメインリレー36をオンにし、さらにメインモータ出力部50を制御してメインモータ1への給電を開始する。メインモータ1への給電を開始した後に、制御部48が電磁ブレーキ18に通電して後輪3a,3bのロック状態を解除すると、メインモータ1の回転力が後輪3a,3bに伝達されて電動車が走行する。ここでは、前進スイッチ45がオンであるから電動車は前進することになる。自動運転による電動車の走行速度には標準値が規定され、走行中には定点センサ20で検出される定点マークからの指示に応じて走行速度を適宜に変化させる。電動車の走行速度は車速センサ41,42により検出され、制御部48では、メインモータ出力部50を通してメインモータ1への供給電流を制御するともに、ブレーキモータ出力部15を通してブレーキモータ13の駆動電流を制御することによって走行速度を調節する。また、制御部48では誘導線センサ19a〜19cの出力に基づいて誘導線の位置との偏差を小さくするように操舵指示信号をステアリングドライバ12に出力し、ステアリングドライバ12を介してステアリングモータ13を駆動する。つまり、メインモータ1とブレーキモータ13とステアリングモータ13とを制御することによって、走行速度と操舵との制御を行う。
【0030】
ところで、電動車を停止させるには電動車を制動する必要があり、電動車を制動すればメインモータ1に回生エネルギが生じる。この回生エネルギはメインバッテリ2に返還されるように電流経路が形成してあり、したがって回生エネルギをメインバッテリ2の充電に用いることによって回生制動を行うことができ、しかも実質的にメインバッテリ2の電力消費量を低減することになる。
【0031】
一方、自動/手動切換スイッチ40bにより手動運転が選択されていると、制御部48では手動運転の処理を実行し、クラッチモータ32bによりハンドル5をステアリングコラム31に連結した状態とし、クラッチモータリレー32aをオフにしてクラッチモータ32bを停止させる。この状態ではハンドル5の操作によって前輪3c,3dが手動で操舵可能になる。また、制御部48は、アクセルペダル7が踏み込まれたことがアクセルスイッチ34により検出されると、アクセルポテンショメータ35とによって検出されたアクセルペダル7の踏み込み量に応じてメインモータ1への供給電流を制御し、これによって電動車の走行速度がアクセルペダル7の踏み込み量に応じて調節される。上述したように、ブレーキペダル8は切換機構24を介してドラムブレーキ9に連結されているから、ブレーキペダル8を踏み込めば踏み込み量に応じた制動力で電動力が減速されることになる。なお、手動走行中にはアクセルペダル7の踏み込み量を零にすると、メインモータ1への供給電流が停止し、このときメインモータ1で生じる回生エネルギはメインバッテリ2に返還されて回生制動に用いられる。
【0032】
自動運転時と手動運転時とにかかわらず電動車が停止すると(車速センサ41,42で検出される走行速度が零になると)、電磁ブレーキ18が作動して電動車が停止状態に維持される。
【0033】
以下の各実施形態では、上述したコントローラ11の動作のうち、本発明の要旨であるメインモータ1とブレーキモータ16とに関連する部分について説明する。また、以下に説明する技術は基本的に自動運転において適用されるものである。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、電動車の走行速度を検出する速度検出手段としての車速センサ41,42の出力は速度制御手段である速度制御処理部63に入力される。速度制御処理部63は指令速度演算部62から与えられる設定速度に車速センサ41,42での検出速度を一致させるようにメインモータ1への供給電流の指令値を決定する。ここに、コントローラ11は、操作盤40またはリモコン受信器26からの発進/停止の指示および定点センサ用アンプ17を通して入力される定点センサ20の出力に基づく指示を入力信号とする入力処理部61を備え、入力処理部61では入力信号との対応関係によって規定されている速度の指令値を出力する。指令速度演算部62では、入力処理部61から指令値が出力されたときに、それ以前の指令値から新たな指令値に向かって滑らかな変化が得られるように、設定速度を時間経過に伴って変化させる。
【0035】
速度制御処理部63から出力される供給電流の指令値(指令値は電圧値で与えられる)は電流制御手段としての電流制御処理部64に入力され、メインモータ1への供給電流を検出する電流検出手段としての電流検出部66での検出電流と指令値とを一致させるように電流制御処理部64がメインモータ1への供給電流を調節する。電流制御処理部64によるメインモータ1への供給電流は、実際にはメインモータ出力部65において電流制御処理部64の出力に基づくPWM制御を行うことにより調節される。つまり、メインモータ出力部65はスイッチング素子を含み、スイッチング素子のオンオフのタイミングが電流制御処理部64の出力により制御される。
【0036】
要するに、車速センサ41,42により検出される電動車の走行速度が入力信号に基づいて決定される設定速度に一致するように、メインモータ1への供給電流がフィードバック制御される。この制御によって電動車は入力信号の指示に応じて速度を調節するとともに、指令速度演算部62の存在によって速度変化が滑らかになる。
【0037】
ところで、本実施形態ではブレーキモータ16による制動力を電動車の走行速度に応じて調節するために、速度制御処理部63から出力される供給電流の指令値がブレーキモータ16を制御するブレーキモータ制御手段としてのブレーキモータ制御処理部71にも入力される。ブレーキモータ制御処理部71では、電流検出部66での検出電流と速度制御処理部63からの指令値との偏差を求め、偏差に対して後述する演算を行ってブレーキモータ16の制動力の指令値を決定する。制動力の指令値はブレーキモータ出力部15に与えられ、ブレーキモータ出力部15では指令値により指示された制動力が得られるようにブレーキモータ16の駆動電流を制御する。
【0038】
ところで、ブレーキモータ制御処理部71において上述した偏差から制動力の指令値を求める演算は、偏差の瞬時値と積分値と微分値とを適宜の比率で加算した加算値の変化率を求める演算であって、制動力はこの変化率に比例するように設定されることになる。つまり、数1の演算を行ってブレーキモータ16の駆動電流の指令値を決定する。
【0039】
【数1】
【0040】
数1の演算を行うことは、電動車の実際の走行速度とメインモータ1への指令値との偏差に追従する値をPID制御と同様の演算によって求め、さらにこの値の一定の微小時間内での差分に比例する値によりブレーキモータ16の制動力を制御することになる。その結果、ブレーキモータ16による制動力が電動車の走行速度の低下に伴って減少することになる。つまり、電動車の制動を開始してから電動車が停止するまでの間にブレーキモータ16の駆動電流を一定に保つ場合に比較すると、ブレーキモータ16への供給電力が低減されて補機バッテリ6の電力消費を抑制することになる。しかも、ドラムブレーキ9の摩耗を低減することになり、ドラムブレーキ9を長寿命に使用することができる。加えて、電動車の減速に伴って制動力を徐々に小さくすることで電動車を滑らかに減速して急停止を防止することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
本実施形態は、図2に示すように、図1に示した第1の実施の形態の構成に対して、ブレーキモータ制御処理部71において、車速センサ41,42による検出速度も併せて参照するようにし、またブレーキリミットスイッチ44のオン・オフの情報も併せて制動力の制御に用いるようにしたものである。
【0042】
車速センサ41,42による検出速度を用いているのは、ブレーキモータ16による制動力を作用させる走行速度を制限するためであって、電動車の走行速度が規定値(規定速度)を超えるときにはブレーキモータ16を動作させずにメインモータ1の回生制動のみを行うようにしてある。言い換えると、電動車の走行速度が規定値以下であることが車速センサ41,42により検出されている期間にのみ、ブレーキモータ16による制動を行うようにブレーキモータ制御処理部71からの指令値を出力するのである。
【0043】
ここで、ブレーキモータ16によって制動力が作用しているときに、車速センサ41,42により検出される走行速度が規定値以下である状態から規定値を超える状態に移行したときには、ブレーキモータ16による制動力を解除する方向にブレーキモータ16を動作させる。その後、ブレーキモータ16が制動力を与えない位置つまりホーム位置に復帰することによって、ブレーキリミットスイッチ44が作動すると、ブレーキモータ制御処理部71ではブレーキモータ16の駆動電流を停止させる指示をブレーキモータ出力部15に与える。
【0044】
本実施形態の動作をまとめると図3のようになる。つまり、電動車を制動する際には、ブレーキモータ制御処理部71では、まず速度センサ41,42での検出速度を取り込み、検出速度を規定速度と比較する(S1)。ここで、検出速度が規定速度以下であれば、ブレーキモータ16による制動を行うことができるから、第1の実施の形態と同様の演算を行ってブレーキモータ16の駆動電流の指令値を決定し(S2)、ブレーキモータ16による制動力を作用させる。
【0045】
一方、検出速度が規定速度を超えていると(S1)、ブレーキモータ制御処理部71はブレーキモータ16をホーム位置に復帰させる(たとえば、ブレーキモータ16を逆回転させる)ように駆動電流の指令値を生成し(S3)、ブレーキリミットスイッチ44の出力を監視する(S4)。ブレーキリミットスイッチ44が作動すればブレーキモータ16による制動力が解除されたことになるから、この時点でブレーキモータ16の駆動電流を0にするようにブレーキモータ出力部15に指令する(S5)。また、ブレーキリミットスイッチ44が作動するまではブレーキモータ16の制動力が作用していることになるから、制動力を解除する向きにブレーキモータ16を動作させ続ける。
【0046】
本実施形態の構成ででは、電動車が規定速度を超える高速で走行しているときにはブレーキモータ16を用いないから、ブレーキモータ16による電力消費を比較的少なくするとともに、高速での走行中にドラムブレーキ9による制動を行うことによるドラムブレーキ9の摩耗を抑制することができる。また、電動車が規定速度以下の低速で走行しているときにブレーキモータ16を用いて制動することによって、電動車の制動をきめ細かく制御することが可能になる。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。
【0047】
(第3の実施の形態)
本実施形態は、図4に示すように、メインモータ1の電機子巻線1aと界磁巻線1bとの供給電流(以下、「電機子電流」、「界磁電流」という)をメインバッテリ2の電圧に応じて個別に制御しようとするものである。したがって、メインモータ出力部50には、電流制御処理部64から与えられる指令値に基づいて電機子電流を制御する電機子出力部65aと、電流制御処理部64から与えられる指令値に基づいて界磁電流を制御する界磁出力部65bとが設けられ、さらに電機子出力部65aから電機子巻線1aへの供給電流を検出する電流検出部66aと、界磁出力部65bから界磁巻線1bへの供給電流を検出する電流検出部66bとが設けられる。さらに、メインバッテリ2の電圧を検出するために、バッテリ電圧検出手段である電池電圧検出部67も設けられている。
【0048】
上述したように、電動車の制動時において生じるメインモータ1の回生エネルギはメインバッテリ2に返還され回生制動に用いられるのであって、メインバッテリ2への回生エネルギの返還経路によって回生制動手段が形成されていることになる。ここで、メインバッテリ2の残容量が比較的大きいときには、回生エネルギをメインバッテリ2に返還するとメインバッテリ2の電圧が上昇し、過電圧になってメインバッテリ12の寿命を損なう可能性がある。とくに、電動車が下り斜面を走行しているときには制動しながら走行することになるから、メインモータ1により生じる回生エネルギ(発電量)が大きくなり、メインバッテリ2が過電圧になりやすくなる。
【0049】
そこで本実施形態においては、走行中において電池電圧検出部67により検出されるメインバッテリ2の電圧が規定電圧を超える期間では、規定電圧以下の期間よりも電機子巻線への供給電流に対する界磁巻線への供給電流を相対的に減少させるように電流制御処理部64から界磁出力部65bへの指令値を制御するようになっている。つまり、電流制御処理部64は界磁電流制御手段として機能する。また、規定電圧はメインバッテリ2の寿命が損なわれない程度に設定される。
【0050】
本実施形態における電流制御処理部64について、メインバッテリ2の電圧と界磁電流の制御との関係をまとめると図5のようになる。すなわち、メインバッテリ2の電圧を規定電圧と比較し(S1)、規定電圧以下であれば図6にAで示す関係を参照して、界磁電流Ifを電機子電流Iaの関数f(Ia)として求め(S2)、電機子電流と界磁電流との指令値を求める(S3)。一方、メインバッテリ2の電圧が規定電圧を超えているときには(S1)、図6にBで示す関係を参照して、界磁電流If(=K×f(Ia):ただしKは1より小さい正数)を求め(S2)、電機子電流と界磁電流との指令値を求める(S3)。つまり、メインバッテリ2の電圧が規定電圧以下であるときに対して、規定電圧を超えるときには界磁電流Ifの電機子電流Iaに対する比率を相対的に小さくするのである。
【0051】
本実施形態では、下り斜面において電動車の制動に伴って回生エネルギが生じてもメインバッテリ2の電圧が過電圧にならないように界磁電流を減少させるから、逆起電圧定数を小さくすることになり、結果的に回生エネルギが減少して回生エネルギによるメインバッテリ2の電圧上昇を抑制することができる。
【0052】
なお、電機子巻線への供給電流に対する界磁巻線への供給電流を相対的に減少させるために、上述の例では関数f(Ia)に1より小さい正数を乗じて界磁電流Ifを求めているが、図6に破線で示すようにIf=f(Ia)−定数という関係を用いたり、あるいはまた上記規定電圧以下の期間に別の関数gを設定することによりIf=g(Ia)という関係を用いることが可能である。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。ただし、本実施形態の技術はブレーキモータ16の制御に数1の演算を用いていない従来の制御方法であっても適用可能である。
【0053】
(第4の実施の形態)
本実施形態は、図7に示すように、第1の実施の形態に対してメインモータ1の回転量を検出する回転量検出手段41′,42′を設けたものである。本実施形態では、ロータリエンコーダからなる2個の車速センサ41,42を用い出力の位相差を取り出しているから、回転量検出手段41′,42′は車速センサ41,42と兼用することができる。つまり、車速センサ41,42から出力されるパルス数を計数すれば、メインモータ1の回転量を計測することができる。また、車速センサ41,42により検出した回転量は走行速度の情報とともに速度制御処理部63に入力される。
【0054】
しかして、速度制御処理部63では、図8に示すように、車速センサ41,42に基づいて電動車の走行向きを判断し、シフトレバー10に指示された向きか否かを判定する(S1)。ここで、逆向きでなければ正常な運転状態であるから、速度制御処理部64からの指令値に従ってメインモータ1への供給電流が制御される(S2)。一方、車速センサ41,42により検出された電動車の走行向きが逆向きであるとき(一般に前進が指示されているのに後退するとき)には、たとえば上り斜面である可能性があるから、速度制御処理部63では通常の指令値よりもメインモータ1への供給電流を大きくするように指令値を設定する(S3)。ここで、本実施形態では回転量検出手段41′,42′により検出される一定時間内の回転量に定数Kを乗じてメインモータ1への供給電流の指令値を設定する。つまり、電磁ブレーキ18の解除から短い一定時間の回転量を検出すれば、その回転量は斜面の角度に対応していると考えられるから、角度が大きいほどメインモータ1への供給電流の指令値を大きくすることによってトルクを大きくし、上り斜面での発進時におけるずり下がりを防止することができる。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。ただし、本実施形態の技術はブレーキモータ16の制御に数1の演算を用いていない従来の制御方法であっても適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電動車の走行速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段による検出速度を設定速度に一致させるように走行用の駆動源であるメインモータへの供給電流の指令値を決定する速度制御手段と、メインモータへの供給電流を制御する電流制御手段と、メインモータへの供給電流を検出する電流検出手段と、電動車を停止させる際に電動車に制動力を作用させるとともに制動力が可変であるブレーキモータと、電流検出手段により検出された電流値の前記指令値に対する偏差の瞬時値と積分値と微分値とを適宜の比率で加算した加算値の変化率に比例するようにブレーキモータによる制動力を制御するブレーキモータ制御手段とを備えるものであり、設定値である指令値と制御量である電流値との偏差に追従する値をPID制御と同様の演算によって求め、さらにこの値の変化率(一定の微小時間内での差分)に比例するようにブレーキモータの制動力を制御するから、ブレーキモータによる制動力が電動車の走行速度の指令値と検出速度との偏差に適応的に作用して前記偏差の低下に伴って減少することになり、結果的にブレーキモータへの供給電力が比較的少なくなるとともに、前記偏差に伴って制動力を徐々に小さくすることで電動車を滑らかに減速して急停止を防止することができるという利点がある。また、ブレーキモータは一般にドラムブレーキのような機械式ブレーキにおいて摩擦力の制御に用いられており、上述のように速度の低下に伴って制動力を低減させることによって、必要以上に大きな摩擦力を作用させることがなく、機械式ブレーキの摩耗を低減することができるという利点がある。ここに、電動車が回生制動のみを行うとすれば電動車の低速走行時には回生エネルギが少ないから十分な制動力が得られないが、ブレーキモータを用いることによって電動車の低速走行時における制動が容易になる。
【0056】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記速度検出手段により検出される電動車の走行速度が規定値以下の期間にのみ前記ブレーキモータ制御手段が前記ブレーキモータを制御するものであり、電動車が比較的高速で走行している際の制動にはブレーキモータを用いないことによって、ブレーキモータによる電力消費を比較的少なくし、電動車が比較的低速(つまり、走行速度が規定値以下)である期間にはブレーキモータを用いることにより、電動車の制動をきめ細かく制御することが可能になるという利点がある。
【0057】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記メインモータが界磁巻線と電機子巻線とを備え、メインモータの回生エネルギを2次電池であるメインバッテリに返還することにより回生制動させる回生制動手段と、メインバッテリの電圧を監視するバッテリ電圧検出手段と、走行中においてバッテリ電圧検出手段により検出されるメインバッテリの電圧が規定電圧を超える期間では規定電圧以下の期間よりも電機子巻線への供給電流に対する界磁巻線への供給電流を相対的に減少させる界磁電流制御手段とが付加されているものであり、下り斜面において電動車の制動に伴って生じる回生エネルギでメインバッテリの電圧が上昇してもメインバッテリの電圧が過電圧になるときには界磁巻線への供給電流を減少させるから逆起電圧定数を小さくすることになり、回生エネルギ(発電量)が減少して回生エネルギによるメインバッテリの電圧上昇を抑制することができ、結果的にメインバッテリの劣化を抑制することができるという利点がある。
【0058】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、メインモータの回転量を検出する回転量検出手段が付加され、前記速度検出手段により検出された電動車の走行向きが前記指令値で指示された向きとは逆向きであるときに回転量検出手段により検出された回転量が大きいほど前記電流制御手段がメインモータへの供給電流を増加させるものであり、たとえば、上り斜面において発進しようとするときに電動車が後方に移動しそうになると、メインモータへの供給電流を増加させることによって、電動車が後退するのを防止することができる。つまり、上り斜面での発進時にブレーキが解除された後にメインモータのトルク不足によって電動車が後退するのを防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】同上の要部の動作説明図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】同上の要部の動作説明図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示すブロック図である。
【図8】同上の要部の動作説明図である。
【図9】本発明の適用例である電動車の概略構成図である。
【符号の説明】
1 メインモータ
1a 電機子巻線
1b 界磁巻線
2 メインバッテリ
16 ブレーキモータ
41,42 車速センサ
63 速度制御処理部
64 電流制御処理部
66 電流検出部
67 電池電圧検出部
71 ブレーキモータ制御処理部-
Claims (4)
- 電動車の走行速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段による検出速度を設定速度に一致させるように走行用の駆動源であるメインモータへの供給電流の指令値を決定する速度制御手段と、メインモータへの供給電流を制御する電流制御手段と、メインモータへの供給電流を検出する電流検出手段と、電動車を停止させる際に電動車に制動力を作用させるとともに制動力が可変であるブレーキモータと、電流検出手段により検出された電流値の前記指令値に対する偏差の瞬時値と積分値と微分値とを適宜の比率で加算した加算値の変化率に比例するようにブレーキモータによる制動力を制御するブレーキモータ制御手段とを備えることを特徴とする電動車の走行制御装置。
- 前記速度検出手段により検出される電動車の走行速度が規定値以下の期間にのみ前記ブレーキモータ制御手段が前記ブレーキモータを制御することを特徴とする請求項1記載の電動車の走行制御装置。
- 前記メインモータが界磁巻線と電機子巻線とを備え、メインモータの回生エネルギを2次電池であるメインバッテリに返還することにより回生制動させる回生制動手段と、メインバッテリの電圧を監視するバッテリ電圧検出手段と、走行中においてバッテリ電圧検出手段により検出されるメインバッテリの電圧が規定電圧を超える期間では規定電圧以下の期間よりも電機子巻線への供給電流に対する界磁巻線への供給電流を相対的に減少させる界磁電流制御手段とが付加されていることを特徴とする請求項1記載の電動車の走行制御装置。
- メインモータの回転量を検出する回転量検出手段が付加され、前記速度検出手段により検出された電動車の走行向きが前記指令値で指示された向きとは逆向きであるときに回転量検出手段により検出された回転量が大きいほど前記電流制御手段がメインモータへの供給電流を増加させることを特徴とする請求項1記載の電動車の走行制御装置。
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