JP3802218B2 - ハニカムパネルの製造方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶、車両、建築等の構造材として使用されるハニカムパネルの製造方法及びその装置に関するもので、更に詳細には、不良率の低減及び生産性の向上を図れるようにしたハニカムパネルの製造方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アルミニウムハニカムパネルは、アルミニウム合金等の薄板によって区画形成される多数の筒状空室(セル)を蜂の巣状に連結した構造のハニカムコア材の両面に表面板をろう付け等で張り付けて形成されており、軽量で強度が高いことから建築等の各種の構造材として使用されている。
【0003】
このように構成されるハニカムパネルを製造するには、一般に、図14に示すように、少なくとも表面板にフッ化物系フラックスを塗布するフラックス塗布工程と、フラックスが塗布された表面板とろう付け用ろう材をクラッドした筒状のハニカムコア材とからなるパネル構成体を保持手段である押え治具等にて固定するパネルセット工程と、上記パネル構成体を窒素(N2 )ガス雰囲気下で所定の温度まで加熱する加熱処理工程と、加熱処理されたパネル構成体を室温まで冷却する冷却工程と、パネル構成体から押え治具を取り外す脱型工程とを経てハニカムパネルを製造している。
【0004】
すなわち、図15及び図16に示すように、一対の表面板1間にろう付け用ろう材をクラッドしたハニカムコア材2と枠材3を介在させ、表面板1の外表面にカーボン製の押え板5を当接し、その外側に板ばね6を有する押え部材7を介して両側に配置された外型枠8同士を連結する固定ボルト9にて固定して両表面板1、ハニカムコア材2及び枠材3とからなるパネル構成体4を固定した後(パネルセット工程)、図示しない搬送ベルトにてパネル構成体4を搬送してトンネル式の加熱炉(図示せず)にパネル構成体4を搬入し、加熱炉内においてN2ガス雰囲気下で約600℃まで加熱すると共に、加熱炉の出口付近で例えば水冷によって約350℃まで冷却して、表面板1、ハニカムコア材2及び枠材3の少なくとも接触部とをろう付けしている(加熱処理工程)。そして、パネルの熱による歪みを防止するために、加熱処理されたパネル構成体4を自然冷却によって室温まで冷却した後(自然冷却工程)、パネル構成体4から押え治具すなわち押え板5、押え部材7を取り外してハニカムパネルを取り出している(脱型工程)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アルミニウムハニカムパネルのコア材には、空気抜け孔が設けられる。この発明の実施態様に係る図4及び図5を併用して説明すると、一対の表面板1間に多数の筒状単体からなるコア材2が介在され、各コア材2には、複数の空気抜き孔2aが、例えばこのコア材2の軸線方向から偏倚するように設けられる。これにより、熱処理によるろう付けの際に、ろう材による目詰まりを防止し、短時間に筒状単体内の圧力調整を行うことができるようにしている。
【0006】
しかしながら、従来の製造方法においては、パネルの大きさ、つまり表面板1の面積が大きくなるにつれ、パネルの四周辺部に比較して、中心部ほど、ろう付けの良否にバラツキが生じてくる。このため、不良品が発生して、パネルの製品歩留りの低下をきたし、パネルの製造コストを上昇させるという問題があった。
【0007】
この問題は、パネル中心部の空気つまり酸素がN2ガスと置換されないことに起因すると考えられる。そこで、従来は、使用するフッ化物系フラックスの量を、例えば50g/m2の通常量から70g/m2〜100g/m2へと多くしている。
【0008】
しかし、フラックスの量を多くすることは、それだけ製造コストを上昇させるだけでなく、フラックス残渣がパネル側面に流出し、パネル表面板や枠材等をも汚すことになる。また、これらの汚れ部は、美観上の観点から研磨する必要があり、特に塗装を施す場合には研磨することが必須の事項となり、この点からも製造コストを高めることになる。
【0009】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、パネルの四周辺部に比較して中心部ほどろう付けにバラツキが生じる現象を抑え、全体に亘って強固な均一なろう付けをなすことができるハニカムパネルの製造方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明のハニカムパネルの製造方法は、一対の表面板間に、複数の空気抜き孔が軸線方向から偏倚した多数の筒状単体からなるハニカムコア材を介在するハニカムパネルをろう付けにより一体固定するハニカムパネルの製造方法において、少なくとも上記表面板にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、フラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を保持手段にて固定するパネルセット工程と、上記パネル構成体を前処理部の密閉室内に配置し、当該密閉室内を20トール以下で10〜20分間真空にしてパネル中央部の空気を除去した後、窒素ガスを当該室内に常圧になるまで供給してパネル中央部まで窒素ガス雰囲気で置換する真空引き・窒素ガス置換工程と、上記真空引き・窒素ガス置換の行われたパネル構成体を、上記密閉室内から取り出して加熱処理部の炉内に配置し、加熱処理部において窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けする加熱処理工程と、上記加熱処理によってろう付けされたパネル構成体を、冷却手段によってパネル中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却する冷却工程と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
この発明の製造方法によれば、パネル構成体をろう付け炉で加熱処理する前処理として、パネル構成体を真空に晒してパネル中央部の空気を除去した後、常圧になるまで窒素ガスに晒してパネル中央部を主にして、パネル全体を窒素ガスで置換する。このため、その後、当該パネル構成体を窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けすると、パネル中央部及び周辺部が窒素ガス雰囲気となるため、全体に亘って強固な均一なろう付けがなされる。また、加熱処理部でろう付けされたパネル構成体の中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却することができる。
【0012】
また、この発明のハニカムパネルの製造装置は、一対の表面板間に、複数の空気抜き孔が軸線方向から偏倚した多数の筒状単体からなる空気抜き孔を有するハニカムコア材を介在するハニカムパネルをろう付けにより一体固定するハニカムパネルの製造装置において、フラックスが塗布された上記表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を、窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けする加熱処理部と、上記パネル構成体を加熱処理する前に、20トール以下で10〜20分間真空に晒してパネル中央部の空気を除去し、次いで窒素ガス雰囲気に晒してパネル中央部まで窒素ガス雰囲気で置換する前処理部と、上記加熱処理によってろう付けされたパネル構成体を、室温まで冷却する強制冷却部と、を具備してなり、上記前処理部は、フラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体の搬入口と搬出口を有する密閉室と、上記搬入口及び搬出口をそれぞれ開閉する扉体と、上記搬入口から密閉室内に上記パネル構成体を搬入すると共に、上記搬出口からパネル構成体を搬出する搬送手段とを具備し、上記密閉室に設けられた排気口に、開閉手段を介して真空装置を接続し、上記密閉室に設けられた供給口に、開閉手段を介して窒素ガス供給源を接続してなり、上記強制冷却部は、上記パネル構成体の上下面に向かって冷媒を吹き付ける強制冷却手段を具備し、この際、強制冷却手段に接続する冷媒供給主管及びこの強制冷却主管から分岐される冷媒供給枝管に設けられる冷媒供給孔を中央部に対して外側を小径にするか、配置ピッチを変えて、パネル中央部を周辺部より早く冷却するように形成してなる、ことを特徴とするものである。従って、この前処理部を通すことにより、上記と同じ作用により、全体に渡って強固な均一なろう付けがなされる。
【0013】
また、パネル構成体の搬入口と搬出口を有する密閉室であって、真空引きための排気口及び窒素ガスを供給するための供給口を具備する密閉室を用いるため、その搬入口からパネル構成体を搬入し、真空引き・窒素ガス置換を行わせて、搬出口より次工程である加熱処理炉へ引き渡すことができる。また、加熱処理部でろう付けされたパネル構成体の中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施形態に基づいて説明する。ここでは、図4、図5に示すように、アルミニウム材製の一対の表面板1と、この一対の表面板間に位置された空気抜き孔2aを有するアルミニウム材製の多数の筒状のハニカムコア材2と、アルミニウム材製の枠材3とからなるハニカムパネルを製造する場合について説明する。なお、図14ないし図16に示す従来のハニカムパネル製造方法及びその装置と同じ部分には同一符号を付して説明する。
【0015】
この発明のハニカムパネルの製造方法は、図1に示すように、(1) 少なくとも表面板1にフラックスを塗布するフラックス塗布工程、及びフラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を保持手段にて固定するパネルセット工程と、(2) 上記パネル構成体を室内に配置し、当該室内を真空にした後、窒素(N2)ガスを当該室内に常圧になるまで供給する真空引き・N2ガス置換工程と、(3) 上記真空引き・N2ガス置換の行われたパネル構成体をN2ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けする加熱処理工程と、を有する。なお、加熱処理された上記パネル構成体は、自然冷却あるいは適宜冷却手段によって冷却(冷却工程)された後、パネル構成体から保持手段が取り外される(脱型工程)。
【0016】
上記パネルセット工程において、図2及び図3に示すように、一対の表面板1間にハニカムコア材2を介在すると共に、表面板1の周辺部間にアルミニウム材製の枠材3を介在してなるパネル構成体4の表面板1の外表面に例えばカーボン製の押え板5を当接する。この際、押え板5の周辺部すなわちパネルの長手方向の両側片部に例えばカーボン板にて形成される補助板10が貼着されて押え板5の周辺部を中央部より肉厚にしてある。具体的には、パネル構成体4すなわちハニカムパネルの縦・横の寸法を1m×2m、厚さを5cmとする場合、押え板5の厚さを1〜2cm、補助板10の厚さを1〜2cmとし、幅Lを30〜50cmとする。なお、ここでは、表面板1の周辺部間にアルミニウム材製の枠材3を介在させてパネル構成体4を形成しているが、必ずしも枠材3を取り付ける必要はなく、少なくとも一対の表面板1とハニカムコア材2とでパネル構成体4を形成することができる。
【0017】
表面板1の外面に当接された押え板5の外面の適宜位置(ここでは、押え板5の左右4箇所に配置する場合を示す)に板ばね6を有する押え部材7を介して両側に配置された外型枠8同士を連結する固定ボルト9にて固定して両表面板1とハニカムコア材2とからなるパネル構成体4を固定してパネルをセットする。
【0018】
上記フラックス塗布工程においては、図示しない塗布ノズル等によってパネル構成体4の表面板1とハニカムコア材2にフッ化物系フラックスが塗布される。ここで、パネル構成体4にフラックスを塗布する理由は、表面板1、ハニカムコア材2及び枠材3の接触部の少なくとも一方に被覆されたろう材のぬれ性を良好にすると共に、表面板1、ハニカムコア材2及び枠材3の母材表面の酸化物や不純物を除去して腐食を防止するためである。
【0019】
上記真空引き・N2ガス置換工程においては、パネルセット工程から送り出されたパネル構成体4を、搬送手段たる搬送コンベア45(図9)によって図6〜図8に示す密閉室20内に配置し、当該室内を真空にした後、N2ガスを当該室内に常圧になるまで供給する。これはパネル構成体4をろう付け炉で加熱処理する前処理としてなされるもので、パネル構成体4を真空に晒してパネル中央部のコア材2内部に酸素が残らないように空気を除去した後、常圧になるまでN2ガスに晒して、パネル中央部まで均一にN2ガスで置換するものである。
【0020】
上記加熱処理工程においては、フラックスが塗布されかつ真空引き・N2ガス置換処理のなされたパネル構成体4を、N2ガス雰囲気中で約600℃に加熱してろう材を溶かして表面板1とハニカムコア材2及び枠材3とをろう付けする。既に、上記真空引き・N2ガス置換工程においてパネルはその中央部のコア材2内部に至るまで均一にN2ガスで置換されているので、密閉室20から取り出して、ろう付け炉に入れることにより一旦空気に触れることがあっても、パネル中央部が空気で再置換されるには至らないので、パネルは、ろう付け炉に入れてN2ガス雰囲気に晒すことにより、パネル中央部及び周辺部の全域がN2ガス雰囲気で満たされることとなる。このため、当該パネル構成体をN2ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けすると、全体に亘って強固な均一なろう付けがなされる。
【0021】
その後、加熱炉の出口付近に配置される水冷手段(図示せず)によってパネル構成体4を350℃まで冷却して、表面板1、ハニカムコア材2及び枠材3を固定する。
【0022】
上記冷却工程において、図3に示すように、加熱処理工程から送り出されたパネル構成体4は搬送コンベアによって強制冷却部12に搬送されると、パネル構成体4の上下面に向って強制冷却手段である冷媒送風ファン13から冷媒としての冷却空気が吹き付けられて、パネル構成体4が室温まで冷却される。また、パネル構成体4の中央部を周辺部より一層早く冷却するため、強制冷却部12の上下部に配管されると共に、冷媒送風ファン13と接続する冷媒供給主管14及びこの冷媒供給主管14から分岐される冷媒供給枝管に設けられた冷媒供給孔16を中央部に対して外側を小径にするか、冷媒供給孔16の配置ピッチを変える。強制冷却は、例えば15分間内に100℃の早さで行う。
【0023】
次に、ハニカムパネルの製造方法について説明する。
【0024】
(1) フラックス塗布工程とパネルセット工程
まず、表面板1にフラックスを塗布して、表面板1とろう付け用ろう材をクラッドしたハニカムコア材2等のろう材のぬれ性を良好にする(フラックス塗布工程)。この場合、フラックスとしては、非腐食性フラックス例えばKF+AlF3あるいはKAlF4+K3AlF6+K2AlF5・H2O等のフラックスを用いる。
【0025】
その後、一対の表面板1間にハニカムコア材2を介在させると共に、表面板1の周辺部間に枠材3を介在させてパネル構成体4を形成し、このパネル構成体4の外面に、両側に補助板10を貼着した押え板5を当接すると共に、押え部材7を介して固定ボルト9にて固定してパネル構成体4をセットする(パネルセット工程)。
【0026】
(2) 真空引き・N2ガス置換工程
図6〜図9に上記真空引き・N2ガス置換工程において使用される密閉室20の構成を示す。図6はその正面図、図7は側面図、図8は平面図、そして図9は側壁を取り去って内部を示した図である。
【0027】
密閉室20は、左右側壁21、上壁22、底壁23で包囲された処理空間24(図9)を有し、該処理空間24の一端側はパネル構成体4の搬入口25として、また他端側はパネル構成体4の搬出口26として開口されている。この搬入口及び搬出口には、それぞれ上下スライド式に開閉する扉体27が配置され、該扉体27は上方のスプロケット28からチェーン29で吊り下げられ、モータ30によりスプロケット28を回転させることにより上下動するようになっている。なお、チェーン29の他端にはカウンタウエイト31が固定されている。
【0028】
搬入口25又は搬出口26には、これを扉体27により完全に密閉可能とするため、閉鎖時に扉体27を搬入口25又は搬出口26に押し付ける押圧機構32が設けられている。この押圧機構32は搬入口25と搬出口26とで同じ構成であるので、代表的に搬出口26側のものについて説明する。
【0029】
33は押圧機構32の駆動源たるシリンダであり、搬出口26の両側に上下一対に計4個設けられている。34はこのシリンダ33により操作される押圧レバーであり、図10及び図11に示すように、軸受け35により回転自在に支承された軸36と、該軸36の基端に設けられシリンダ33のピストンロッドと連結された第1アーム37と、軸36の先端に設けられ扉体27の四隅に設けた被押圧板40を押圧する第2アーム38とを有している。
【0030】
シリンダ33の基部は搬出口26の両側に立設するフレーム39に支点41を中心に回動自在に軸支されている。従って、閉鎖時においてシリンダ33を作動させてピストンロッドを伸出させると、図10に示すように、押圧レバー34は、その第2アーム38の先端42が扉体27に近づく方向に回動変位する。この結果、扉体27が第2アーム38の先端42により矢印F方向に押され、扉体27の内側に付けたパッキン部材43が、搬出口26の端面周囲に設けたパッキン部材44と弾性的に密に対接する。この扉体27の密に閉じられた状態を図11に示す。
【0031】
次に、開放時においてシリンダ33を作動させてピストンロッドを縮退させると、図12に示すように、押圧レバー34は、その第2アーム38の先端42が扉体27から遠ざかる方向に回動変位する。この結果、押圧レバー34の第2アーム38が扉体27から離れて、扉体27の動きを阻害しない位置に退避する。扉体27が引き上げられて、搬出口26が開かれた状態を、図12、図13に示す。
【0032】
なお、図9に示すように、密閉室20内には、搬入口25から密閉室20内にパネル構成体4を搬入すると共に、搬出口26からパネル構成体4を搬出する搬送手段として、搬入口25から搬出口26にかけて搬送コンベア45が設けられ、モータ46により走行駆動されるようになっている。
【0033】
上記密閉室20内に搬送コンベア45によって搬入したパネル構成体4を真空引き及びN2ガス置換処理するため、図7、図8に示すように、密閉室20の側壁21に排気口47が及び真空計48が設けられ、排気口47には開閉手段を介して真空装置(図示せず)が接続されている。また、上記密閉室20の上壁22にはN2ガス供給口49が設けられ、該供給口49には開閉手段50を介してN2ガス供給源51が接続されている。なお、S1,S2はパネル構成体4の搬入、搬出を検知するための光電センサである。
【0034】
さて、上記パネルセット工程から密閉室20内に搬送コンベア45によってパネル構成体4が搬入されると、真空装置により密閉室20内が真空引きされる。密閉室20内の圧力は、真空計48により計測され、真空度が20トール以下の値にされ、10〜20分間保持される。これによりパネル構成体4は、そのパネル中央部のコア材2内部に至るまで酸素が残らない状態にされる。
【0035】
次いで、供給口49からN2ガスが密閉室20内に供給され、常圧になるまで供給が維持される。この密閉室20内の圧力も上記真空計48により計測される。密閉室20内がN2ガスで常圧に維持されることにより、パネル構成体4はパネル中央部までがN2ガス雰囲気で置換される。これはパネル構成体4をろう付け炉で加熱処理する前処理としてなされる。この後、パネル構成体4は搬出口26から送り出される。
【0036】
(3) 加熱処理工程
次に、パネル構成体4を搬送コンベア等の搬送手段に移載させて搬送して、ろう付け炉としての加熱炉内に、パネル構成体4を搬送する。加熱炉内において、パネル構成体4はN2ガス雰囲気の中で約600℃に加熱されて、表面板1とハニカムコア材2等がろう付けされた後、加熱炉の出口付近に配置された水冷手段によって350℃まで冷却されて表面板1とハニカムコア材2等の固定がなされる(加熱処理工程)。
【0037】
(4) 冷却工程
そして、加熱炉から送り出されたパネル構成体4が強制冷却部12に搬送されると、冷媒送風ファン13によって供給される冷却空気が強制冷却部12の上下部に配置された冷媒供給主管14と冷媒供給枝管の冷媒供給孔16からパネル構成体4の上下面に吹き付けられてパネル構成体4が室温まで冷却される(冷却工程)。なおここでは、冷媒送風ファン13を用いた強制冷却について説明したが、冷却空気以外に冷却水等のを冷媒を用いた強制冷却であってもよく、あるいは自然冷却であってもよい。
【0038】
(5) 脱型工程
上記冷却工程を終えたパネル構成体4は、搬送コンベアによって脱型工程部へ搬送され、脱型工程部において固定ボルト9が緩められてパネル構成体4から押え板5、押え部材7が取り外されて(脱型工程)、ハニカムパネルの製造が完了する。
【0039】
なお、脱型工程においてパネル構成体4から取り外された押え板5、押え部材7、外型枠8及び固定ボルト9は新たに製造ラインに供給されるパネル構成体4の固定に供されて、以下、上記と同様にフラックス塗布工程、加熱処理工程、強制冷却工程及び脱型工程を経て取り外される。
【0040】
上記実施形態では、表面板と枠材とで形成される空間内に、ハニカムコア材として筒状のコア材が介在される構造のものについて説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、筒状のコア材の代わりに矩形状等のハニカムコア材が介在される構造のものについても適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のハニカムパネルの製造方法によれば、パネル構成体をろう付け炉で加熱処理する前処理として、パネル構成体を真空に晒してパネル中央部の空気を除去した後、常圧になるまで窒素ガスに晒してパネル中央部を窒素ガスで置換しておくため、その後において、パネル構成体を窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けした場合、パネル中央部及び周辺部が窒素ガス雰囲気となり、全体に亘って強固な均一なろう付けがなされる。また、加熱処理部でろう付けされたパネル構成体の中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却することができる。
【0042】
また、この発明のハニカムパネルの製造装置は、フラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を加熱によりろう付けする加熱処理部と、パネル構成体を加熱処理する前に、真空に晒し次いで窒素ガス雰囲気に晒す前処理部とを具備するので、この前処理部を通すことにより、上記と同じ作用により、全体に亘って強固な均一なろう付けがなされる。
【0043】
また、前処理部には、パネル構成体の搬入口と搬出口を有する密閉室であって、真空引きための排気口及び窒素ガスを供給するための供給口を具備する密閉室を用いるため、その搬入口からパネル構成体を搬入し、真空引き・窒素ガス置換を行わせて、搬出口より次工程である加熱処理炉へ引き渡すことができる。また、加熱処理部でろう付けされたパネル構成体の中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のハニカムパネルの製造方法の手順を示す工程説明図である。
【図2】 この発明におけるパネル構成体の固定状態を示す平面図である。
【図3】 図2のA−A断面図である。
【図4】 この発明で対象としたハニカムパネルの断面斜視図である。
【図5】 図4の要部断面図である。
【図6】 この発明で用いた密閉室の正面図である。
【図7】 同じく密閉室の側面図である。
【図8】 同じく密閉室の平面図である。
【図9】 同じく密閉室の側壁を取り去って内部を示した側面図である。
【図10】 密閉室の押圧機構の閉鎖状態を示した断面図である。
【図11】 密閉室の押圧機構の閉鎖状態を示した部分正面図である。
【図12】 密閉室の押圧機構の開状態を示した断面図である。
【図13】 密閉室の押圧機構の開状態を示した部分正面図である。
【図14】 従来のハニカムパネルの製造手順を示す工程説明図である。
【図15】 従来のハニカムパネル製造方法におけるパネル構成体の固定状態を示す平面図である。
【図16】 図15のB−B断面図である。
【符号の説明】
1 表面板
2 ハニカムコア材
2a 空気抜き孔
4 パネル構成体
20 密閉室
24 処理空間
25 搬入口
26 搬出口
27 扉体
30 モータ
32 押圧機構
45 搬送コンベア(搬送手段)
47 排気口
48 真空計
49 N2ガス供給口
50 開閉手段
51 N2ガス供給源
Claims (2)
- 一対の表面板間に、複数の空気抜き孔が軸線方向から偏倚した多数の筒状単体からなるハニカムコア材を介在するハニカムパネルをろう付けにより一体固定するハニカムパネルの製造方法において、
少なくとも上記表面板にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
フラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を保持手段にて固定するパネルセット工程と、
上記パネル構成体を前処理部の密閉室内に配置し、当該密閉室内を20トール以下で10〜20分間真空にしてパネル中央部の空気を除去した後、窒素ガスを当該室内に常圧になるまで供給してパネル中央部まで窒素ガス雰囲気で置換する真空引き・窒素ガス置換工程と、
上記真空引き・窒素ガス置換の行われたパネル構成体を、上記密閉室内から取り出して加熱処理部の炉内に配置し、加熱処理部において窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けする加熱処理工程と、
上記加熱処理によってろう付けされたパネル構成体を、冷却手段によってパネル中央部を周辺部より早く冷却して室温まで冷却する冷却工程と、
を有することを特徴とするハニカムパネルの製造方法。 - 一対の表面板間、複数の空気抜き孔が軸線方向から偏倚した多数の筒状単体からなるハニカムコア材を介在するハニカムパネルをろう付けにより一体固定するハニカムパネルの製造装置において、
フラックスが塗布された上記表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体を、窒素ガス雰囲気中で所定の温度まで加熱してろう付けする加熱処理部と、
上記パネル構成体を加熱処理する前に、20トール以下で10〜20分間真空に晒してパネル中央部の空気を除去し、次いで窒素ガス雰囲気に晒してパネル中央部まで窒素ガス雰囲気で置換する前処理部と、
上記加熱処理によってろう付けされたパネル構成体を、室温まで冷却する強制冷却部と、を具備してなり、
上記前処理部は、フラックスが塗布された表面板とハニカムコア材とからなるパネル構成体の搬入口と搬出口を有する密閉室と、
上記搬入口及び搬出口をそれぞれ開閉する扉体と、
上記搬入口から密閉室内に上記パネル構成体を搬入すると共に、上記搬出口からパネル構成体を搬出する搬送手段とを具備し、
上記密閉室に設けられた排気口に、開閉手段を介して真空装置を接続し、
上記密閉室に設けられた供給口に、開閉手段を介して窒素ガス供給源を接続してなり、
上記強制冷却部は、上記パネル構成体の上下面に向かって冷媒を吹き付ける強制冷却手段を具備し、この際、強制冷却手段に接続する冷媒供給主管及びこの強制冷却主管から分岐される冷媒供給枝管に設けられる冷媒供給孔を中央部に対して外側を小径にするか、配置ピッチを変えて、パネル中央部を周辺部より早く冷却するように形成してなる、
ことを特徴とするハニカムパネルの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02778398A JP3802218B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | ハニカムパネルの製造方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP02778398A JP3802218B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | ハニカムパネルの製造方法及びその装置 |
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