JPH09217122A - 金属管コイルの熱処理方法及び装置 - Google Patents

金属管コイルの熱処理方法及び装置

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JPH09217122A
JPH09217122A JP2562496A JP2562496A JPH09217122A JP H09217122 A JPH09217122 A JP H09217122A JP 2562496 A JP2562496 A JP 2562496A JP 2562496 A JP2562496 A JP 2562496A JP H09217122 A JPH09217122 A JP H09217122A
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tube coil
heat treatment
coil
purge gas
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隆 栗山
Yoshinobu Tsuzaki
好信 津崎
Mitsuyasu Yamada
光康 山田
Hideki Iwamoto
秀樹 岩本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残油が金属管コイルの金属管に再付着するこ
とを防止しつつ、金属管コイルの金属管内の残油を除去
することができる金属管コイルの熱処理方法及び装置を
提供する。 【解決手段】 シリンダー43を稼働し、シリンダーロ
ッド92を介して、ガス送口部材93をガス受口部材9
1に密着させる。また、シリンダー11を稼働して、シ
リンダーロッド9を介して、密着部材1を下降させ、密
着部材1をLWC61の中空軸部の上部12に密着させ
る。次に、ブロアー6を稼働すると共に、パージガス供
給器55からパージガスをLWC61の金属管内に供給
する。そうすると、金属管内の残油はパージガスと共に
LWC61の他端61bから外部に排出される。排気ガ
スは、図中の矢印103にて示すように、ブロアー6に
吸い込まれる。また、冷却帯27内で気化した外面残油
は、矢印101、102及び103にて示すように、ブ
ロアー6に吸い込まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅若しくは銅合金
又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金等からなる
金属管コイルの熱処理方法及び装置に関し、特に金属管
コイルの金属管に付着した残油を除去することができる
金属管コイルの熱処理方法及び装置に関する。なお、本
願明細書においては、金属及び合金を総称して金属とい
う。また、純銅及び銅合金を総称して銅というと共に、
純アルミニウム及びアルミニウムを総称してアルミニウ
ムという。
【0002】
【従来の技術】従来より、エアコン及び冷蔵庫の熱交換
器並びに建築用配管等に使用される銅製の金属管コイル
は、鋳塊を押出加工した後、粗抽伸及び仕上抽伸し、更
に巻仕上げしてLWC(レベルワウンドコイル)とし、
このLWCに光輝焼鈍炉にて熱処理を施して製造されて
いる。LWC内には、抽伸等で使用された加工油が残存
しており(このLWC内の加工油を内面残油という)、
内面残油をそのまま放置しておくと、熱交換器の製造等
後工程に悪影響を及ぼすため、この内面残油を除去する
必要がある。
【0003】図12は光輝焼鈍炉を示す模式図である。
図12に示すように、光輝焼鈍炉は、入側ベスチブル2
5a、加熱帯26、冷却帯27及び出側ベスチブル25
bにより構成される。入側ベスチブル25aは大気が加
熱帯26内に入ることを防止する部屋であり、出側ベス
チブル25bは大気が冷却帯27内に入ることを防止す
る部屋である。また、入側ベスチブル25aの入口には
入側テーブル28aが設置されており、一方、出側ベス
チブル25bの出口には出側テーブル28bが設置され
ている。LWC61は、先ず入側テーブル28aに載置
される。次に、LWC61は入側ベスチブル25aを通
過後、加熱帯26において焼鈍され、更に冷却帯27に
おいて冷却された後、出側ベスチブル25bを通過し
て、光輝焼鈍炉外へ送出される。送出されたLWC61
は出側テーブル28bに載置される。LWC61には入
側テーブル28a、加熱帯26、冷却帯27及び/又は
出側テーブル28bにおいて、パージガスが供給され、
LWC61の金属管内の内面残油がLWC61外へ除去
される。
【0004】先ず、第1従来技術について説明する(特
開平7−197263号公報)。図13は、第1従来技
術における金属管コイル熱処理装置を示す模式図であ
る。図13に示すように、冷却帯27は、断熱材65に
覆われており、下部にはローラー74が設置されてい
る。ローラー74に、トレー75を介してLWC61が
載置されており、LWC61がローラー74上を移動で
きるようになっている。トレー75の端部には、ガス受
口部材91が設けられており、LWC61の一端61a
がガス受口部材91に接続されている。一方、LWC6
1の他端61bは解放されたままになっている。断熱材
65の内側面には、ガス送口部材93が設けられてお
り、ガス送口部材93の上部は伸縮部材53及び導管3
4を介して、パージガス供給器55に接続されている。
また、ガス送口部材93の水平方向にシリンダーロッド
92及びシリンダー43が配置されており、シリンダー
43は固定部材43aにより断熱材65外面に固定され
ている。ガス送口部材93は、シリンダーロッド92を
介して、シリンダー43に接続されている。このシリン
ダー43により、シリンダーロッド92を介してガス送
口部材93を進出退避させ、ガス受光部材91に密着離
脱させることができる。
【0005】このように構成された冷却帯27におい
て、LWC61は加熱帯26で加熱された後、ローラ7
4上を移動し、冷却帯27内に送り込まれる。LWC6
1の進行方向に対して、ガス受口部材91の位置がガス
送口部材93の位置と略同じになった場合に、シリンダ
ー43を稼働して、ガス送口部材93をシリンダーロッ
ド92を介してガス受口部材91に押圧し、パージガス
供給器55とLWC61とを導管34、伸縮部材53、
ガス送口部材93及びガス受口部材91を介して連通さ
せる。次いで、パージガス供給器55からパージガスを
LWC61に供給する。LWC61は予め加熱され高温
となっているため、内面残油は気化している。このた
め、パージガスをLWC61内に圧送すると、内面残油
はパージガスと共に、LWC61の他端61bより、冷
却帯27内に排出される。LWC61内のパージが完全
に終了した後、ガス受口部材91からガス送口部材93
を離隔し、LWC61は、ローラ74上を移動して、出
側ベスチブル25bを通過後、出側テーブル28bに到
達し、このテーブル上に載置される。
【0006】次に、第2従来技術について説明する(特
開平7−150376号公報)。図14は従来技術にお
ける金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図1
4において、図13と同一物には同一符号を付してその
詳細な説明は省略する。図14に示すように、トレー7
5の端部のうち、ガス受口91の反対側の端部にはガス
受口部材31が設けられており、LWC61の他端61
bがガス受口部材31に接続されている。ガス受口部材
近傍の断熱材65の内側面には、ガス送口部材31が配
置されており、ガス送口部材33の上部は伸縮部材53
を介して導管35に接続されている。これにより、他端
61bからパージガスが排出された場合に、このガスが
ガス受口部材31、ガス送口部材33、伸縮部材54及
び導管35を介して外部へ排出されるようになってい
る。ガス送口部材93の水平方向にシリンダーロッド4
2及びシリンダー44が配置されており、シリンダー4
4は固定部材44aにより断熱材65外面に固定されて
いる。ガス送口部材93は、シリンダーロッド42を介
して、シリンダー44に接続されている。このシリンダ
ー44により、シリンダーロッド42を介してガス送口
部材33を水平方向に移動させることができ、これによ
り、ガス送口部材33がガス受口部材31に密着するよ
うになっている。
【0007】このように構成された冷却帯27におい
て、LWC61は加熱帯26で加熱された後、ローラ7
4上を移動し、冷却帯27内に送り込まれる。LWC6
1の進行方向に対して、ガス受口部材91及び31の位
置がガス送口部材93及び33の位置と略同じになった
場合に、シリンダー43及び44を稼働して、ガス送口
部材93をシリンダーロッド92を介してガス受口部材
91に押圧すると共に、ガス送口部材33をシリンダー
ロッド42を介してガス受口部材33に押圧する。これ
により、パージガス供給器55が導管34、伸縮部材5
3、ガス送口部材93及びガス受口部材91を介して、
LWC61の一端61aと連通すると共に、LWC61
の他端61bは、ガス受口部材31、ガス送口部材33
及び伸縮部材54を介して導管35と連通する。次い
で、パージガス供給器55からパージガスをLWC61
に供給する。LWC61は、予め加熱され高温となって
いるため、内面残油は気化している。このため、パージ
ガスをパージガス供給器55からLWC61内に圧送す
ると、内面残油はパージガスと共に、LWC61の他端
61bより押し出され、導管35を通過後、冷却帯27
の外に排出される。LWC61内のパージが完全に終了
した後、ガス受口部材91からガス送口部材93を離隔
すると共に、ガス受口部材33からガス送口部材33を
離隔する。LWC61は、ローラ74上を移動して、出
側ベスチブル25bを通過後、出側テーブル28bに到
達し、このテーブル28b上に載置される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術には、以下に示す問題点がある。即ち、第1従
来方法においては、図13中の矢印にて示すように、他
端61bから排気ガスが排出され、冷却帯27内等に充
満する。また、LWC61の金属管の外面には残油(こ
の残油を外面残油という)が付着しているため、外面残
油が同様に冷却帯27内を充満する。この外面残油及び
排気ガス中の内面残油は再凝縮し、冷却帯27内壁を汚
染すると共に、LWC61の金属管外面に再度付着する
という問題点がある。このため、第1従来方法を加熱帯
26に適用した場合は、加熱帯26の熱効率が低下す
る。この残油は、不純物を含有しているため、不純物と
金属管外面との間に接触電位差が生じ、これにより金属
管外面に変色が発生したり、腐食が進行するという難点
がある。
【0009】第2従来方法においては、LWC61の他
端61bが、ガス受口部材31、ガス送口部材33及び
伸縮部材54を介して導管35に接続されるため、他端
61bから排気ガスが排出され、このガスが冷却帯27
に充満することはない。このため、内面残油により冷却
帯27内壁が汚染されたり、内面残油がLWC61の金
属管外面に付着することはない。しかし、LWC61の
金属管外面には、外面残油が残存しているため、この残
油が気化して冷却帯27に充満し、冷却帯27内壁をL
WC61の外面に付着するという問題点がある。
【0010】また、LWC61の他端61bをガス受口
部材31に接続する場合に、通常、この作業は手作業に
より実施される。図13に示すように、LWC61の他
端61bは、LWC61の中空軸部の底部近傍に存在
し、この他端61bを、LWC61の上方に引っ張り出
した後、図14に示すように他端61bはガス受口部材
31に接続される。LWC61の外径Dは、通常130
0mm程度であり、内径(中空軸部の直径)dは560
mm程度である。このように外径Dが大きいため、LW
C61の中空軸部の底部から他端61bを手作業で取り
出す場合は、無理な姿勢を強いられることになる。この
ため、作業能率が低下すると共に、姿勢が不安定なた
め、過酷な労働になるという問題点がある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、残油が金属管コイルの金属管に再付着する
ことを防止しつつ、金属管コイルの金属管内の残油を除
去することができる金属管コイルの熱処理方法及び装置
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の金属
管コイルの熱処理方法は、パージガス供給器を金属管コ
イルの一端に接続し、次いでこの一端から前記金属管コ
イルの金属管内にパージガスを供給して金属管内の残油
をパージし、前記金属管コイルの他端から外部空間にパ
ージガスを排出させ、このパージガスを吸引装置で吸引
することを特徴とする。
【0013】この場合に、前記金属管コイルは、その一
端が外表面側に形成されていると共に他端が中空軸部側
に形成された金属管コイルであって、この金属管コイル
の中空軸部の軸方向の端部のうち、一方の端部を吸引装
置で覆って吸引することが好ましい。
【0014】また、前記吸引装置により金属管コイルの
周りに存在する気体を前記中空軸部の他方の端部側から
流入させて吸引することができる。
【0015】本発明に係る第2の金属管コイルの熱処理
方法は、その一端が外表面側に形成されていると共にそ
の他端が中空軸部側に形成された金属管コイルを所定の
位置に配置し、この金属管コイルの中空軸部の軸方向の
端部のうち、一方の端部を吸引装置で覆うと共に他方の
端部を密着部材で覆った後、パージガスを前記金属管コ
イルの周りに供給しつつ、前記中空軸部を前記吸引装置
により吸引することを特徴とする。
【0016】前記パージガスは加圧されたものであるこ
とが好ましい。
【0017】また、前記一端に他のパージガス供給器を
接続して前記金属管コイルの金属管内にパージガスを供
給してもよい。
【0018】本発明に係る第1の金属管コイルの熱処理
装置は、その一端が外表面側に形成されていると共にそ
の他端が中空軸部側に形成された金属管コイルの残油を
除去する金属管コイルの熱処理装置であって、前記一端
に密着離隔し前記一端にパージガスを供給するパージガ
ス供給器と、前記金属管コイルの周囲に配置され前記他
端から外部空間に排出されるパージガスを吸引する吸引
装置とを有することを特徴とする。
【0019】前記金属管コイルはその軸が地面に垂直と
なるように配置されると共に前記吸引装置は金属管コイ
ルの上方に配置され、前記吸引装置が下降上昇すること
によって、前記中空軸部の上部に密着離隔してもよい。
【0020】前記中空軸部の下部に閉塞部材が配置され
ていてもよい。
【0021】前記金属管コイルはその軸が地面に垂直と
なるように配置されると共に前記吸引装置が金属管コイ
ルの下方に配置され、前記吸引装置が上昇下降すること
によって、前記中空軸部の下部に密着離隔してもよい。
【0022】前記中空軸部の上部に閉塞部材が配置され
ていてもよい。
【0023】本発明に係る第2の金属管コイルの熱処理
装置は、その一端が外表面側に形成されていると共にそ
の他端が中空軸部側に形成された金属管コイルの残油を
除去する金属管コイルの熱処理装置であって、この金属
管コイルの周りにパージガスを供給するパージガス供給
器と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸
部の一方の端部に密着離隔する吸引装置と、前記金属管
コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の他方の端部に
密着離隔する密着部材とを有することを特徴とする。
【0024】前記金属管コイルの一端に接続されパージ
ガスを前記金属管コイルの金属管内に供給する他のパー
ジガス供給器を有してもよい。
【0025】前記金属管コイルはその軸が地面に垂直と
なるように配置され、前記吸引装置が前記金属管コイル
の下方に配置され、前記密着部材が前記金属管コイルの
上方に配置されていてもよい。
【0026】前記吸引装置が前記金属管コイルの下方に
配置されている場合は、前記金属管コイルを載置するト
レーと、このトレーと前記金属管コイルとに密着し前記
金属管コイルに比して軟質な軟質板とを有し、この軟質
板の中央部に前記金属管コイルと前記吸引装置とを連通
させる貫通孔が形成されていてもよい。
【0027】なお、中空軸部とは金属管コイルの軸付近
の中空部分をいうと共に、外表面とは前述の中空軸部以
外を除いた金属管コイルの表面部分をいう。また、外部
空間とは金属管コイルの金属管の外部をいう。従って、
前述の中空軸部は、金属管の外部であるため、外部空間
の一部である。
【0028】請求項1に係る金属管コイルの熱処理方法
においては、金属管コイルの一端から金属管コイルの金
属管内にパージガスを供給する。そうすると、金属管内
では、内面残油が気化しているため、この残油がパージ
ガスに押し出され、パージガスと共に金属管コイルの他
端から外部空間に排出される。排出されたパージガス
(以下排気ガスという)を吸引装置により吸引する。排
気ガスは、内面残油を含有しているものの、吸引装置に
より吸引されてしまうため、金属管コイルの周囲に排気
ガスが拡散することがなく、排気ガス中の内面残油が金
属管コイルの金属管外面に付着することがない。また、
排気ガスを吸引するため、金属管コイルの熱処理を光輝
焼鈍炉の加熱帯又は冷却帯等で実施した場合は、排気ガ
ス中の内面残油が加熱帯又は冷却帯の炉壁等に付着する
ことを防止することができる。
【0029】本発明においては吸引装置を金属管コイル
の近傍に設置して排気ガスを吸引する。このため、人手
等により吸引装置を金属管の他端に接続する必要がない
ため、生産性が向上すると共に、省人化が可能となる。
【0030】金属管コイルの一端がこの金属管コイルの
外表面側に形成されていると共に、他端が金属管コイル
の中空軸部側に形成された金属管コイルを所定の位置に
配置し、この金属管コイルの中空軸部の軸方向の端部の
うち、一方の端部を吸引装置で覆って吸引した場合は、
吸引効率が更に一層高くなる。
【0031】上述の吸引装置は中空軸部の端部に設置さ
れているため、排気ガス以外の気体、例えば金属管コイ
ルの周囲に存在する雰囲気ガス等を中空軸部の他の端部
側から吸引することができる。例えば、光輝焼鈍炉の加
熱帯等では、金属管コイルの外面残油が気化して、加熱
帯内を浮遊しており、そのまま放置すると加熱帯内を汚
染する原因となると共に、この外面残油が金属管コイル
の金属管外面に凝縮して再付着すると、金属管の変色等
の原因となる。そこで、金属管コイルの周りに存在する
気体を中空軸部の他方の端部側から吸引することによ
り、加熱帯内等の炉内が汚染することを防止することが
できる。また、金属管コイルに外面残油が再付着し、外
面に変色及び腐食が発生することを防止することができ
る。
【0032】請求項4に係る金属管コイルの熱処理方法
においては、金属管コイルの一端がこの金属管コイルの
外表面側に形成されていると共に、他端が金属管コイル
の中空軸部側に形成された金属管コイルを所定の位置に
配置する。この金属管コイルの中空軸部の軸方向の端部
のうち、一方の端部を吸引装置で覆うと共に他方の端部
を密着部材で覆う。中空軸部の両端部が覆われているた
め、中空軸部は密閉される。次に、パージガスを前記金
属管コイルの周りに供給しつつ、中空軸部を吸引装置で
吸引する。そうすると、中空軸部は真空状態に近くなる
ため、金属管コイルの他端と一端との間で圧力差が生じ
る。このため、金属管コイルの一端からパージガスが吸
い込まれ、他端から排出される。これにより、金属管コ
イルのコイル内の内面残油が除去される。また、中空軸
部が略真空状態であるため、金属管コイルの金属管の隙
間からパージガスが入り込み、中空軸部に達する。金属
管の隙間には空気が存在するものの、パージガスにより
この空気がパージされるため、金属管が空気によって酸
化されて変色することを防止することができる。更に、
金属管コイルの外部には気化した外面残油が存在する
が、この外面残油が金属管の隙間から中空軸部に達する
ため、この外面残油を除去することができる。これによ
り、外面残油が凝縮して金属管外面に再付着することを
防止できると共に、本熱処理方法を加熱帯及び/又は冷
却帯等に適用した場合は、炉壁が外面残油により汚染さ
れることを防止することができる。
【0033】前記パージガスは高圧力で供給されること
が好ましい。例えば、6乃至7kg/cm2の圧力で供
給することが好ましい。これにより、本熱処理方法を加
熱帯及び/又は冷却帯等に適用した場合は、より一層パ
ージガスが金属管コイルの一端から金属管内に入りやす
くなると共に、パージガスが金属管の隙間を抜けやすく
なる。また、金属管コイルは種類によっては、金属管の
全長が数kmに達するものもあり、このような金属管コ
イルの一端からパージガスを供給した場合は、金属管内
で圧力損失が生じ、パージガスを他端から排出するのは
困難である。この場合には、金属管コイルの一端に他の
パージガス供給器を接続して、パージガスを金属管コイ
ルの金属管内に供給してもよい。これにより、より一層
金属管内の内面残油を除去することができる。
【0034】請求項7に係る金属管コイルの熱処理装置
においては、金属管コイルの一端がこの金属管コイルの
外表面側に形成されていると共に、他端が金属管コイル
の中空軸部側に形成された金属管コイルを所定の位置に
配置する。次に、金属管コイルの一端にパージガス供給
器を密着して接続すると共に、中空軸部の端部に吸引装
置を配置する。パージガス供給器からパージガスを金属
管コイルの一端に供給し、他端から中空軸部に排出さ
せ、吸引装置により中空軸部を吸引する。そうすると、
金属管内では、内面残油が気化しているため、この残油
がパージガスに押し出され、パージガスと共に金属管コ
イルの他端から排出される。排気ガスは、内面残油を含
有しているが、この排気ガスは吸引装置により吸引され
てしまうため、金属管コイルの周囲に排気ガスが拡散す
ることがない。このため、排気ガス中の内面残油が金属
管コイルの金属管外面に付着することがない。また、排
気ガスを吸引するため、金属管コイルの熱処理を光輝焼
鈍炉の加熱帯及び/又は冷却帯等で実施した場合は、排
気ガス中の内面残油が炉壁等に付着して汚染することを
防止することができる。更に、金属管コイルの周りに存
在する気体が吸引装置により吸引されるため、金属管コ
イルに外面残油が再付着し、外面に変色及び腐食が発生
することを防止することができる。
【0035】金属管コイルの配置は、特に制限されない
が、金属管コイルの軸が地面に垂直となるように配置す
ることが一般的である。この場合は、前述の吸引装置を
金属管コイルの上方に配置しておき、熱処理時に吸引装
置を下降させ、金属管コイルの中空軸部の上部に密着さ
せて、前述のように吸引してもよい。そうすると、中空
軸部の上部と吸引装置とが密着しているため、吸引効率
が向上する。吸引終了後、吸引装置を上昇させて金属管
コイルの中空軸部から離隔し、金属管コイルを移動させ
る。なお、光輝焼鈍炉の入側テーブル等本装置を炉外に
設置する場合は、中空軸部の下部を閉塞部材で閉塞して
もよい。これにより、金属管コイル外部の大気等が中空
軸部に入り込むことを防止できる。
【0036】また、金属管コイルがその軸が地面に垂直
となるように配置されている場合は、前述の吸引装置を
金属管コイルの下方に配置しておき、熱処理時に吸引装
置を上昇させ、金属管コイルの中空軸部の下部に密着さ
せて、前述のように吸引してもよい。これにより、吸引
効率を上昇させることができる。なお、光輝焼鈍炉の入
側テーブル等本装置を炉外に設置する場合は、中空軸部
の上部を閉塞部材で閉塞してもよい。これにより、金属
管コイル外部の大気等が中空軸部に入り込むことを防止
できる。
【0037】請求項12に係る金属管コイルの熱処理装
置においては、金属管コイルの一端がこの金属管コイル
の外表面側に形成されていると共に、他端が金属管コイ
ルの中空軸部側に形成された金属管コイルを所定の位置
に配置する。次に、吸引装置を金属管コイルの中空軸部
の一方の端部に密着させると共に、密着部材を金属管コ
イルの中空軸部の他方の端部に密着させる。次に、パー
ジガスを前記金属管コイルの周りに供給しつつ、中空軸
部を吸引装置で吸引する。そうすると、請求項4に係る
金属管コイルの熱処理方法と同様に、中空軸部が略真空
状態となり、金属管コイルの他端と一端との間で圧力差
が生じる。このため、一端からパージガスが入り込み、
金属管コイルの金属管内の内面残油が除去される。ま
た、金属管コイルの金属管の隙間からパージガスが入り
込み、金属管の隙間の空気が除去される。更に、金属管
コイルの外部には気化した外面残油が存在するが、この
外面残油も金属管の隙間から中空軸部に達するため、こ
の外面残油が除去される。これにより、外面残油が凝縮
して金属管外面に再付着することを防止することができ
ると共に、本熱処理装置を加熱帯及び/又は冷却帯等に
設置した場合は、炉壁が外面残油により汚染されること
を防止することができる。
【0038】金属管コイルは、通常、その軸が垂直とな
るように配置される。この場合には、上述の吸引装置を
金属管コイルの下方に配置すると共に、密着部材を金属
管コイルの上方に配置することができる。また、反対に
吸引装置を金属管コイルの上方に配置すると共に、密着
部材を金属管コイルの下方に配置してもよい。
【0039】また、上述のように金属管コイルの金属管
の全長が長く、パージガスの圧力損失が大きい場合は、
金属管コイルの一端に他のパージガス供給器を接続し
て、パージガスを金属管コイルの金属管内に供給しても
よい。これにより、より一層金属管内の内面残油を除去
することができる。
【0040】なお、金属管コイルは、通常、トレーに載
置されて移動するため、金属管コイルとトレーとの間に
隙間ができやすい。このような隙間が存在すると、この
隙間から中空軸部に気体が入り込み、中空軸部が真空状
態ではなくなる。このため、金属管コイルの一端からパ
ージガスを吸い込むことが困難となると共に、金属管の
隙間にパージガスが入り込むことが困難となる。このよ
うな場合は、トレーと金属管コイルとの間に軟質板を配
置し、この軟質板を介してトレーと金属管コイルとを密
着させる。この軟質板の中央部には、金属管コイルの中
空軸部と吸引装置とを連通させるために、貫通孔を設け
ておく。また、軟質板が金属管コイルを疵つけないよう
に、軟質板は金属管コイルより軟質であるものとする。
【0041】本発明における金属管コイルの材質として
は、銅又は銅合金並びにアルミニウム又はアルミニウム
合金等を挙げることができる。
【0042】また、本発明の金属管コイルの熱処理方法
は、光輝焼鈍炉の入側テーブル、出側テーブル、加熱帯
及び冷却帯等に適用することができる。特に、入側テー
ブルを覆って処理室とし、この処理室内で実施すること
が好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
添付の図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実
施例に係る金属管コイルの熱処理装置を示す模式図であ
る。図1において、図13と同一物には同一符号を付し
てその詳細な説明は省略する。図1に示すように、冷却
帯27の上部の中央部には、円筒状の吸引部材1が配置
されており、吸引部材1には貫通孔1aが形成されてい
る。貫通孔1aの上方には伸縮管2が吸引部材1の上面
に密着されて固定されている。伸縮管2は、固定部材3
を介して、導管4aに接続されている。導管4aは、断
熱材65の上壁部65aを貫通して冷却帯27の外側に
達し、弁5a及び導管4bを介してブロアー6に接続さ
れている。この吸引部材1、固定部材3、導管4a、弁
5a及びブロアー6により吸引装置が構成されている。
吸引装置のブロアー6を稼働させると、吸引部材1の下
方からガスが吸い込まれ、このガスが伸縮管2及び導管
4a内を通過して、ブロアー6に達するようになってい
る。ブロアー6は、導管4c、弁5b及び導管4dを介
して回収装置(図示せず)に接続されている。この回収
装置により残油とパージガスとを分離し、パージガスを
再利用することができる。断熱材65の上壁部65aの
外面には、2つのシリンダー11が固定部材10を介し
て固定されている。各シリンダー11からシリンダーロ
ッド9が下方に向かって延出しており、シリンダーロッ
ド9は、上壁部65aを貫通して吸引部材1に達してい
る。シリンダーロッド9の先端9aと吸引部材1の外周
部7とは固定部材8を介して固定されている。シリンダ
ー11を稼働させることにより、シリンダーロッド9が
上昇下降して、吸引部材1が上昇下降するようになって
いる。これにより、吸引部材1をLWC61の中空軸部
の上部12に密着させることができると共に、吸引終了
後、吸引部材1を中空軸部の上部12から離隔すること
ができる。
【0044】このように構成された金属管熱処理装置に
おいては、先ず、LWC61を冷却帯27に送給し、L
WC61の進行方向に対して、ガス受口部材91の位置
がガス送口部材93の位置と等しくなるように、LWC
61を配置する。次に、図2に示すように、シリンダー
43を稼働し、シリンダーロッド92を介して、ガス送
口部材93をガス受口部材91に密着させる。また、シ
リンダー11を稼働して、シリンダーロッド9を介し
て、吸引部材1を下降させ、吸引部材1をLWC61の
中空軸部の上部12に密着させる。次に、弁5a及び5
bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージ
ガス供給器55からパージガスを、導管34、伸縮部材
53、ガス送口部材93、ガス受口部材91を介して、
LWC61の金属管内に供給する。そうすると、LWC
61の金属管内では、内面残油が気化しているため、パ
ージガスと共にLWC61の他端61bから外部に排出
される。排気ガスは、図中の矢印103にて示すよう
に、吸引部材1、伸縮管2及び導管4a内を上昇し、ブ
ロアー6に吸い込まれる。また、冷却帯27内には、気
化した外面残油が存在する。外面残油は、矢印101に
て示すように、一旦、ローラ74の下方まで下降した
後、矢印102にて示すように、LWC61の中空軸部
の下部12aに向かって上昇し、更に矢印103にて示
すように、伸縮管2内を上昇してブロアー6に吸い込ま
れる。排気ガスはブロアー6を通過後、回収装置(図示
せず)に供給され、排気ガス中のパージガスが回収され
る。LWC61の金属管内の内面残油が除去された後、
ブロアー6及びパージガス供給器55を停止する。次
に、ガス送口部材91をガス受口部材93から離隔する
と共に、吸引部材1をLWC61の中空軸部の上部12
から離隔する。次に、冷却帯27からLWC61を送出
する。
【0045】このように、内面残油に加え外面残油を回
収することにより、冷却帯27内壁及びLWC61の金
属管外面に残油が再付着することを防止することができ
る。また、LWC61の他端61bを手作業によりガス
受口部材に装着する必要がないため、作業効率が向上す
る。
【0046】なお、本実施例における吸引部材は、冷却
帯27内のガス及び排気ガスの吸引効率を高めるため、
可及的に密着性が高いことが好ましい。図3は他の吸引
部材を示す断面図である。図3に示すように、伸縮管2
には円筒2bが接続されており、この円筒2bに当接材
2cが固定されている。当接材2cの断面は環状であ
り、当接材2cの下端部2dの外径は、LWC61の中
空軸部の直径dより小さくなっている。このような吸引
部材を使用することにより、LWC61と吸引部材との
密着性を向上させることができる。
【0047】また、より一層冷却帯27内のガス及び排
気ガスの吸引効率を高めるために、更に他の吸引部材を
使用してもよい。図4は更に他の吸引部材を示す断面図
である。図4(a)に示すように、伸縮管2の先端には
円筒2eが接続されており、円筒2eの下部には、押圧
部材2fが円筒2eの軸に垂直な方向に挿通している。
円筒2eの内面には2枚の当接材2gが配置されてお
り、各当接材2gの上部は支軸2hにより円筒2eに固
定されている。当接材2gは割形状の部材であり、押圧
部材2fに押圧されることにより支軸2hを中心として
回転することができる。このような当接材をLWC61
の中空軸部の上部12に挿入した後、図4(b)に示す
ように、押圧部材2fを円筒2eの半径方向外側に向か
って移動させ、当接材2gを中空軸部の上部12に密着
させ、中空軸部の上部12からガスを吸引する。中空軸
部の上部12と当接材2gとが強固に密着しているた
め、吸引効率が極めて高くなる。
【0048】また、LWC61は、複数段に載置された
り、また、横置きされる場合がある。図5は、複数段に
載置されたLWC61を示す模式図である。図5におい
て図1と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は
省略する。図5に示すように、トレー75aには下段7
5bが設けられており、下段75bの周縁部には複数本
の支持棒75dが下段75bに垂直に設けられている。
この支持棒75dの上端に上段75cが固定されてい
る。下段75bと上段75cとは互いに平行となってい
る。
【0049】下段75b及び上段75cには、夫々、L
WC61が載置されており、下段75bのLWC61と
上段75cとの間には、環状のシール材88が配置され
ている。このシール材88は、LWC61の上部び上段
75の下面に密着して固定される。このように、上段7
5cとシール材88との間の隙間及びシール材88と下
段のLWC61との間の隙間をなくすことにより、冷却
帯27内のガスを図中の矢印104が示すように吸引す
ることができると共に、他端61bから排出されたガス
を図中の矢印105が示すように吸引することができ
る。
【0050】また、図6に示すように、トレー75上に
LWC61の軸が水平となるように載置されている場合
は、断熱材95の側壁にシリンダー(図示せず)を設
け、このシリンダーのシリンダーロッドを移動させるこ
とにより、吸引部材1をLWC61の中空軸部の端部1
2bに密着させてもよい。これにより、冷却帯27内の
ガスを図中の矢印104が示すように吸引することがで
きると共に、他端61bから排出されたガスを図中の矢
印105が示すように吸引することができる。
【0051】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図7は本発明の第2実施例に係る金属管コイル熱処
理装置を示す模式図である。図7において、図1と同一
物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図
7に示すように、断熱材65の底面部65b内面には、
固定部材10を介してシリンダー11が、底面部65b
に垂直となるように、固定されている。シリンダー11
からシリンダーロッド9が上方に向かって延出してお
り、シリンダーロッド9の先端9aは固定部材8を介し
て吸引部材1に固定されている。吸引部材1の中央部に
は、伸縮管2が吸引部材1の中央部下面に密着されて固
定されている。吸引部材1の中央部には貫通孔1aが形
成されており、貫通孔1aと伸縮管2とは連通してい
る。トレー75とLWC61の下面との間には環状板8
1が配置されている。
【0052】図8は環状板を示す模式図である。環状板
81の中心部には、貫通孔82が形成されており、貫通
孔82の外周部には、密着部83が形成されている。こ
の貫通孔82により、LWC61の中空軸部が、トレー
75を介して、吸引部材1に連通するようになってい
る。貫通孔82の内径は、LWCコイルの内径dと略等
しくなっており、密着部83がLWC61の中空軸部の
下部12aに密着するようになっている。密着部83の
外側には、環状トレー81の周方向に沿って、4カ所に
支持部84が形成されており、支持部84の間には、通
気孔85が形成されている。密着部83及び支持部84
はLWC61を支持する部材であり、LWC61の下面
に疵が発生することを防止するために、LWC61に比
して軟質な軟質材から形成されている。
【0053】このように構成された金属管熱処理装置に
おいて、シリンダー43を稼働し、シリンダーロッド9
2を介して、ガス送口部材93をガス受口部材91に密
着させる。また、シリンダー11を稼働して、シリンダ
ーロッド9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材
1をLWC61のトレー74の中央部に密着させる。次
に、弁5a及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働す
ると共に、パージガス供給器55からパージガスを、導
管34、伸縮部材53、ガス送口部材93、ガス受口部
材91を介して、LWC61の金属管内に供給する。そ
うすると、LWC61の金属管内では、内面残油が気化
しているため、パージガスと共にLWC61の他端61
bから外部に排出される。排気ガスは、図中の矢印10
6にて示すように、吸引部材1及び伸縮管2内を下降
し、導管4aを通過後、ブロアー6に吸い込まれる。ま
た、冷却帯27内には、気化した外面残油が存在する。
外面残油は、矢印107にて示すように、LWC61の
中空軸部の上部12から吸い込まれ、伸縮管2及び導管
4a内を通過してブロアー6に吸い込まれる。
【0054】このように、内面残油に加え外面残油を回
収することにより、図1に示す第1実施例と同様の効果
を奏することに加え、トレー75に吸引部材1を当接さ
せるため、LWC61に吸引部材1が直接当接すること
がないので、LWC61に疵が発生する虞れがない。L
WC61を保護するために、吸引部材1を弾性体とする
必要がないため、吸引部材1の構造が単純となる。
【0055】なお、第2実施例においても、図3及び4
に示す吸引部材を使用してガスを吸引することができ
る。また、第2実施例を図12に示す出側テーブル28
b等炉外で実施する場合は、中空軸部の上部12を閉塞
部材で閉塞し、大気が中空軸部に入り込むことを防止し
てもよい。これにより、LWC61の金属管内の内面残
油をより一層除去することができる。
【0056】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。図9は本発明の第3実施例に係る金属管コイル熱処
理装置を示す模式図である。図9において、図1及び7
と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略す
る。図9に示すように、冷却帯27の上部には、導管3
4aが設けられており、断熱材65を貫通してパージガ
ス供給器55aに接続されている。断熱材上壁部65a
の中央部外面にはシリンダー53aが配置されており、
シリンダー53aのシリンダーロッド51は上壁部65
aの中央部を貫通してLWC61近傍まで延出してい
る。シリンダーロッド51の下端には密着板(密着部
材)54aが固定されており、シリンダー53aにより
シリンダーロッド51を介して密着板54aをLWC6
1の中空軸部の上部12に押圧し、中空軸部の上部12
から気体が入り込むことを防止する。
【0057】このように構成された金属管熱処理装置に
おいて、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド
9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材1をLW
C61のトレー74の中央部に密着させる。次に、シリ
ンダー53aを稼動して、シリンダーロッド9を介し
て、密着板54aを下降させ、密着板54aをLWC6
1の中空軸部の上部12外周に密着する。次に、弁5a
及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、
パージガス供給器55aからパージガスを、導管34a
介して、冷却帯27内に供給する。この場合に、パージ
ガスの圧力を6乃至7kg/cm2で加圧する。そうす
ると、パージガスはLWC61の一端61aからLWC
61の金属管管内に入り込む。LWC61の金属管内で
は、内面残油が気化しているため、パージガスと共にL
WC61の他端61bから外部に排出される。排気ガス
は、図中の矢印106にて示すように、吸引部材1及び
伸縮管2内を下降し、導管4a内を通過後、ブロアー6
に吸い込まれる。また、冷却帯27内には、気化した外
面残油が存在する。外面残油は、パージガスに加圧さ
れ、矢印108にて示すように、LWC61の金属管の
間を通過して伸縮管2内に吸い込まれる。
【0058】図10はLWC61の金属管を拡大して示
す模式図である。金属管71は互いに密着しているた
め、金属管71の間には、空気72が閉じ込められてい
る。この金属管71の間を、パージガスが矢印108に
て示すように、通過することで、金属管71の間に残存
する空気72を除去することができる。このようにし
て、内面残油、外面残油、空気及びパージガスは伸縮管
2及び導管4a内を通過してブロアー6に吸い込まれ
る。
【0059】これにより、第1及び第2実施例と同様の
効果を奏することに加え、パージガスが金属管71の間
を擦り抜けるため、金属管71の間の空気を除去するこ
とができる。また、LWC61の一端61aを、ガス受
口部材に接続する必要がないため、生産性を向上させる
ことができる。
【0060】なお、上述の実施例においては、パージガ
スの圧力を比較的高圧に設定したが、パージガスの圧力
を特に高く設定することはせず、ブロアー6の吸引力を
高くして、内面残油、外面残油、空気及びパージガスを
吸い込んでもよい。
【0061】次に、本発明の第4実施例について説明す
る。図11は本発明の第4実施例に係る金属管コイル熱
処理装置を示す模式図である。図11において、図1、
7及び9と同一物には同一符号を付してその詳細な説明
は省略する。図11に示すように、第4実施例では、図
9に示す第3実施例の金属管コイル熱処理装置に第1実
施例のパージガス供給装置55を付け加えたものであ
る。
【0062】このように構成された金属管熱処理装置に
おいて、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド
9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材1をLW
C61のトレー74の中央部に密着させる。次に、シリ
ンダー53を稼動して、シリンダーロッド9を介して、
密着板54を下降させ、密着板54をLWC61の中空
軸部の上部12外周に密着する。次に、弁5a及び5b
を解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージガ
ス供給器55aからパージガスを、導管34a介して、
冷却帯27内に供給する。この場合に、パージガスの圧
力を6乃至7kg/cm2で加圧する。また、パージガ
ス供給器55からパージガスを、導管34a、伸縮部材
53、ガス送口部材93及びガス受口部材91を介し
て、LWC61の一端61aからLWC61の金属管内
に供給する。そうすると、LWC61の金属管内では、
内面残油が気化しているため、パージガスと共にLWC
61の他端61bから外部に排出される。排気ガスは、
図中の矢印106にて示すように、吸引部材1及び伸縮
管2内を下降し、導管4a内を通過後、ブロアー6に吸
い込まれる。また、冷却帯27内の外面残油は、パージ
ガスに加圧され、図10中の矢印108にて示すよう
に、LWC61の金属管の間を通過して伸縮管2内に吸
い込まれる。
【0063】これにより、第3実施例と同様の効果を奏
することに加え、パージガス供給器55からパージガス
がLWC61の金属管内に直接供給されるため、LWC
61が長尺である場合であっても、金属管内の残油をよ
り一層良好に除去することができる。本実施例において
も、パージガスの圧力を特に高く設定することはせず、
ブロアー6の吸引力を高くして、内面残油、外面残油及
びパージガスを吸い込んでもよい。
【0064】なお、上述のいずれの実施例においても、
図12に示す冷却帯27以外に入側ベスチブル25a、
出側ベスチブル25b及び加熱帯26等密閉された部屋
に対して適用することができる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属管コイルの一端にパージガスを供給し、他端から外
部にパージガスを排出した後、このパージガスを吸引装
置で吸引するので、排出されたパージガス中の残油が金
属管コイルの金属外面に再付着することがなく、金属管
コイルの外面が残油により汚染することを防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る金属管コイル熱処理
装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る金属管コイル熱処理
装置を示す模式図である。
【図3】他の吸引部材を示す断面図である。
【図4】他の吸引部材を示す断面図である。
【図5】複数段に載置されたLWCを示す模式図であ
る。
【図6】軸が水平となるように載置されたLWCを示す
模式図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る金属管コイル熱処理
装置を示す模式図である。
【図8】環状板を示す模式図である。
【図9】本発明の第3実施例に係る金属管コイル熱処理
装置を示す模式図である。
【図10】LWCの金属管を拡大して示す模式図であ
る。
【図11】本発明の第4実施例に係る金属管コイル熱処
理装置を示す模式図である。
【図12】光輝焼鈍炉を示す模式図である。
【図13】第1従来技術における金属管コイル熱処理装
置を示す模式図である。
【図14】第2従来技術における金属管コイル熱処理装
置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;吸引部材 1a;貫通孔 2;伸縮管 2b,2e;円筒 2c,2g;当接材 2d;下端部 2f;押圧部材 2h;支軸 3,8,10;固定部材 4a,4b,4c,4d;導管 5a,5b;弁 6;ブロアー 7;外周部 9;シリンダーロッド 11;シリンダー 12;中空軸部の上部 12a;中空軸部の下部 12b;中空軸部の端部 25a;入側ベスチブル 25b;出側ベスチブル 26;加熱帯 27;冷却帯 28a;入側テーブル 28b;出側テーブル 31,91;ガス受口部材 33,93;ガス送口部材 34,34a,35;導管 42,92;シリンダーロッド 43,44;シリンダー 43a,44a;固定部材 53,54;伸縮部材 53a;シリンダー 54a;密着板 55,55a;パージガス供給器 61;LWC 61a;一端 61b;他端 65;断熱材 65a;上壁部 65b;底面部 71;金属管 72;空気 74;ローラー 75;トレー 75b;下段 75c;上段 75d;支持棒 81;環状板 82;貫通孔 83;密着部 84;支持部 85;通気孔 88;シール材 101,102,103,104,105,106,1
07,108;矢印
フロントページの続き (72)発明者 岩本 秀樹 神奈川県秦野市平沢65番地 株式会社神戸 製鋼所秦野工場内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パージガス供給器を金属管コイルの一端
    に接続し、次いでこの一端から前記金属管コイルの金属
    管内にパージガスを供給して金属管内の残油をパージ
    し、前記金属管コイルの他端から外部空間にパージガス
    を排出させ、このパージガスを吸引装置で吸引すること
    を特徴とする金属管コイルの熱処理方法。
  2. 【請求項2】 前記金属管コイルは、その一端が外表面
    側に形成されていると共に他端が中空軸部側に形成され
    た金属管コイルであって、この金属管コイルの中空軸部
    の軸方向の端部のうち、一方の端部を吸引装置で覆って
    吸引することを特徴とする請求項1に記載の金属管コイ
    ルの熱処理方法。
  3. 【請求項3】 前記吸引装置により金属管コイルの周り
    に存在する気体を前記中空軸部の他方の端部側から流入
    させて吸引することを特徴とする請求項2に記載の金属
    管コイルの熱処理方法。
  4. 【請求項4】 その一端が外表面側に形成されていると
    共にその他端が中空軸部側に形成された金属管コイルを
    所定の位置に配置し、この金属管コイルの中空軸部の軸
    方向の端部のうち、一方の端部を吸引装置で覆うと共に
    他方の端部を密着部材で覆った後、パージガスを前記金
    属管コイルの周りに供給しつつ、前記中空軸部を前記吸
    引装置により吸引することを特徴とする金属管コイルの
    熱処理方法。
  5. 【請求項5】 前記パージガスは加圧されたものである
    ことを特徴とする請求項4に記載の金属管コイルの熱処
    理方法。
  6. 【請求項6】 前記一端に他のパージガス供給器を接続
    して前記金属管コイルの金属管内にパージガスを供給す
    ることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属管コイ
    ルの熱処理方法。
  7. 【請求項7】 その一端が外表面側に形成されていると
    共にその他端が中空軸部側に形成された金属管コイルの
    残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、前
    記一端に密着離隔し前記一端にパージガスを供給するパ
    ージガス供給器と、前記金属管コイルの周囲に配置され
    前記他端から中空軸部に排出されるパージガスを吸引す
    る吸引装置とを有することを特徴とする金属管コイルの
    熱処理装置。
  8. 【請求項8】 前記金属管コイルはその軸が地面に垂直
    となるように配置されると共に前記吸引装置は前記金属
    管コイルの上方に配置され、前記吸引装置が下降上昇す
    ることによって、前記中空軸部の上部に密着離隔するこ
    とを特徴とする請求項7に記載の金属管コイルの熱処理
    装置。
  9. 【請求項9】 前記中空軸部の下部に閉塞部材が配置さ
    れていることを特徴とする請求項8に記載の金属管コイ
    ルの熱処理装置。
  10. 【請求項10】 前記金属管コイルはその軸が地面に垂
    直となるように配置されると共に前記吸引装置が前記金
    属管コイルの下方に配置され、前記吸引装置が上昇下降
    することによって、前記中空軸部の下部に密着離隔する
    ことを特徴とする請求項7に記載の金属管コイルの熱処
    理装置。
  11. 【請求項11】 前記中空軸部の上部に閉塞部材が配置
    されていることを特徴とする請求項10に記載の金属管
    コイルの熱処理装置。
  12. 【請求項12】 その一端が外表面側に形成されている
    と共にその他端が中空軸部側に形成された金属管コイル
    の残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、
    この金属管コイルの周りにパージガスを供給するパージ
    ガス供給器と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前
    記中空軸部の一方の端部に密着離隔する吸引装置と、前
    記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の他方
    の端部に密着離隔する密着部材とを有することを特徴と
    する金属管コイルの熱処理装置。
  13. 【請求項13】 前記金属管コイルはその軸が地面に垂
    直となるように配置され、前記吸引装置が前記金属管コ
    イルの下方に配置され、前記密着部材が前記金属管コイ
    ルの上方に配置されていることを特徴とする請求項12
    に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  14. 【請求項14】 前記金属管コイルの一端に接続されパ
    ージガスを前記金属管コイルの金属管内に供給する他の
    パージガス供給器を有することを特徴とする請求項12
    又は13に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  15. 【請求項15】 前記金属管コイルを載置するトレー
    と、このトレーと前記金属管コイルとに密着し前記金属
    管コイルに比して軟質な軟質板とを有し、この軟質板の
    中央部に前記金属管コイルと前記吸引装置とを連通させ
    る貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項10
    乃至14のいずれか1項に記載の金属管コイルの熱処理
    装置。
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