JP3801689B2 - 自動車用ドア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアは、内外板を接合して形成したドア本体と、ドア上方部にサッシを備える。
サッシには板状のガラスを嵌合してサッシ内の空間部を開閉自在に閉塞する。ガラスは、ドア内外板間で形成される空間部内に格納し得るように構成され、ドア内側に設けたガラス昇降機構の操作部材であるウインドレギュレータハンドル等の操作で昇降させることができ、ガラスを降下させてドア内部にその一部、大半、或いは全部を格納し、ドア上方部を一部、大半、或いは全部を開放し、一方、ガラスを上昇させてサッシ内の空間を密閉する。
【0003】
従来のガラス昇降機構を備える自動車用ドアとしては、実開平3−88914号公報、実開平3−14279号公報、実開平3−123086号公報、アメリカ特許第4,416,088号の技術が開示されている。
上記した技術では、何れもドアに付設されるドアガラスの昇降機構が、ドア側、具体的には内外のドア構成部材の外側部材の内側等にサッシとは別個に製作され、ドアに取付、設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術は、以下の如き不都合がある。
ドア内外板を結合し、サッシをドアに組み付ける工程を不可避的に必要とするが、ドア、及びサッシにはガラスを嵌装し、ガラスは昇降機構で昇降し得るように構成し、昇降機構は、ドア内部にサッシとは別個に組み付けており、ドア内外板の組み付け、サッシ、ガラス、ガラス昇降機構のドア側への組み付けは、個別に行なわれており、このためドア組立作業が煩雑であり、組付工数も多く、昇降式のガラスを備えるドアの製作上、又コストの点においても不利である。
【0005】
又従来のこの種ドアの組み付けに際し、サッシ内にはガラスを嵌装し、又サッシ、ガラスとは別個にガラス昇降機構をドア内部に、ドア側に組み付ける作業を必要とするので、ガラス昇降機構とガラスとの間の組付誤差、ガラスとサッシとの間の組付誤差等が生じる。従って、高精度を維持することが困難で、ガラスの嵌装、ガラス昇降機構の組付後に調整作業を必要とする。
【0006】
特に上記した組付精度の維持においては、ガラスの密閉性に優れたものが、ドアとサッシ、ガラス昇降機構を個別に組み付けるため、組み付けた状態で、直ちに密閉性に優れたものを得ることが難しい。特に自動車用ガラスとしてデザイン上の要請から、弯曲したものが用いられるため、昇降機構との関係で、ガラスとサッシとの間において、マッチングに優れたものが、直ちに得られ難い。このため、昇降機構、ガラスとサッシ間の調整作業を必要とする場合が多い。
【0007】
上記の理由から、ドアの組み付け作業には熟練を必要とし、ドア組み付け作業を難しくし、熟練者を確保する必要がある等の課題も生じ、昇降式ガラスを備えるサッシ付きドアの製作上、調整作業を含む前記した作業工数の増加、作業の煩雑化、これに起因するコスト上の不利を招来する。
【0008】
又上記の他、ドア側にガラス昇降機構の取付ベースを設ける必要があったり、ガラス昇降のガイド機構やガイド部材を設ける必要があり、これ等部品が多くなり、ドア側の部品点数が増えること、ガラスの昇降を高精度で行なわせる必要から、取付ベースや、ガイド機構やガイド部材の位置決めも、高精度を必要とし、ドア自体の製作も面倒、煩雑化する。
【0009】
本発明者等は、従来の昇降式ガラスを備える自動車用ドアを製作する上での、上記した課題を解決すべく、本発明をなしたものである。
本発明者等は、この種自動車用ドアを製作するに際し、ドア側にガラス昇降機構をガラス、サッシと夫々全く別個に組み付けるために上記した不都合を生じること、従って、ドアにサッシ、ガラス、ガラス昇降機構を組み付けるに際し、これ等を予め一体化し、組立体としてドアに組み付けることで、サッシ、ガラス、昇降機構のマッチングを容易に図れ、ドアへの組み付けも容易化し、ガラス昇降、サッシとの密閉度も高精度に図れる、という知見を得て、本発明をなしたものである。
【0010】
本発明の目的とする処は、ガラス、ガラス昇降機構、及びサッシを備える自動車用ドアを、高精度を保持して、容易に製作可能とし、又ドア側の構造の複雑化を回避し、ドア側の構造も簡易化し得る自動車用ドアを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、請求項1においては、自動車用ドアであって、ドア外板とドア内板との間に介設し、ドア外板とドア内板とは別部材として構成され、下部の横部と、該横部の前後から起立する前後の起立部と、該前後の起立部間に架設されたインパクトビームとからなり、前後の起立部の上部に取付部を備え、側面視略U字型であり、前記ドア外板とドア内板とは分離し、且つ結合することができるように構成したドアフレーム部材と、サッシ本体と、該サッシ本体で昇降自在に保持されるガラスと、該ガラスを昇降させる昇降機構を組み付けて一体化し、前記ドアフレーム部材に結合するドアサッシ組付体と、前記ドアフレーム部材の両側に前記ドア外板とドア内板を結合して一体化し、且つ前記ドアフレーム部材の前後の起立部の上部に設けた前記取付部に、前記ドアサッシ組付体の前後の下部を結合して構成したことを特徴とする。
【0012】
ドアの内外板を結合するフレーム部材に、サッシを結合するに際し、サッシにガラス、ガラス昇降機構を一体的に結合したので、ドア側に固有のガラス昇降機構を設置する必要がなく、ガラス昇降式の自動車用ドアの組み立て、サッシ、ガラス、昇降機構のドアへの組み付けが容易化し、ドアの製作が容易化する。又ガラス昇降に伴うドア、サッシとガラスのマッチングを、容易に、高精度に保持することができる。
自動車用ドアのドア内外板とフレーム部材との結合は、分離、結合自在であり、ドアサ ッシ組付体とフレーム部材との結合は、着脱自在としたので、昇降機構の修理等のメンテナンス性の点で、好都合である。
又上記した自動車用ドアでは、サッシにガラス、ガラス昇降機構を組み付けた組付体を、ドアフレーム部材の両側に組み付け、一体化し、ドアフレーム部材の両側に、ドア内外板を組み付けることができ、昇降式のガラスを備える自動車用ドアを得ることができ、昇降式のガラスを備える自動車用ドアの製作が容易化し、又ガラスの昇降、密閉精度を、ドア組み立て状態で高精度に維持することができる。
又ドア内外板をフレーム部材に組み付け、ドア内外板を一体化した後、サッシにガラス、ガラス昇降機構を組み付けた組付体を、ドアフレーム部材に組み付け、一体化し、自動車用ドアを得ることもでき、昇降式のガラスを備える自動車用ドアの製作が容易化し、又ガラスの昇降、密閉精度を、ドア組み立て状態で高精度に維持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明にかかる自動車用ドアの組立方法の第1の実施の形態を示す説明的斜視図で、図1のaは、フレーム部材とサッシ組立体の分解斜視図、図1のbは、フレーム部材とサッシ組立体とを組み付けた組付体にドア内外板を組み付ける状態を示す分解斜視図、図2は得られたドアの斜視図、図3はドアの縦断面図、図4は図3の要部の拡大図で、ドア内外板とフレーム部材との着脱自在な結合部を示す図、図5は図3の要部の拡大図で、ドア内外板の端部の係合部の拡大断面図、図6は本発明にかかる自動車用ドアの組立方法の第2の実施の形態を示す説明的斜視図で、図6のaは、フレーム部材とドア内外板の分解斜視図、図6のbは、ドア組立体とサッシ組立体とを組み付けた状態を示す分解斜視図、図7はサッシ組付体の拡大斜視図、図8は図7の8−8線拡大断面図である。
【0014】
本発明は、ガラス、ガラス昇降機構を備えるサッシ組付体と、ドアの内外板、該ドア内外板を組み付け一体化し、且つサッシ組付体をドア側の組み付けるフレーム部材とからなり、これ等を一体的に組み付けて自動車用ドアを得る。
サッシ組付体50は図7に拡大して示し、理解を容易ならしめた。先ずサッシ組付体を図7、及び図8に基づいて説明する。
【0015】
図7において、50はサッシ組付体を示し、サッシ組付体50は、本来のサッシであるサッシ本体51を備える。サッシ本体51は、図示例では自動車の前部のドア用サッシを示し、サッシ本体51の前部51aは前傾するように形成され、後部51bは略々水平で、後部から下方に後部縦枠部53が一体的に垂下されている。
サッシ本体51の前部の前後方向中間部には、下方に前部縦枠部52を一体的に垂下して備える。
【0016】
サッシ本体51の前部51a、後部51b、前後の縦枠部52,53は、内側が夫々溝状に形成されてランチャンネル部を構成し、ガラス54の前後端部54a,54b、前部上縁部54c、後部上縁部54dを挟入させて保持する。
【0017】
実施例では、サッシ本体51の前部縦枠部52の前方と前部51aの先部51c間に略三角形の空間部55を形成し、この空間部55に略三角形のミラーベース56を嵌装して固着し、三角形の空間部55を閉塞し、ミラーベース56の室外側には、ドアミラー57を取付、支持する。
【0018】
サッシ本体51の前後の縦枠部52,53には、下方に一体的に前後のランチャンネル58,59を垂下する。
後部ランチャンネル59は、その上端部を後部縦枠部53に接合、一体化し、一方、前部ランチャンネル58上部と前部縦枠部52下部との間には、ブラケット60を介設し、ブラケット60を介して前部ランチャンネル58と前部縦枠部52とを接合、一体化する。
【0019】
ブラケット60は前後の部分をネジ等で結合し、一体化した構造で、前半部60aの先部60bを縦枠状に形成し、先部60bにサッシ本体51の最先端垂下部51dを嵌合してネジ等で結合する。
ブラケット60の後半部60cの前部60dを縦枠状に形成し、前部縦枠部52の下部52aを前部60dの上方から嵌合し、又前部ランチャンネル58の上部58aを前部60dの下方から嵌合し、前部縦枠部52、前部ランチャンネル58を同軸的に結合、一体化する。
【0020】
前後のランチャンネル58,59の断面を図8で示し、ランチャンネル58,59は向い合う溝58b,59bを備え、ガラス54の前後端部54a,54bを挟持し、溝58b,59b内にはシール材61を嵌装して備え、溝58b,59bは、上方の前後の縦枠部52,53の溝と一体的に連続する。
【0021】
ブラケット60の後部60eには、ガラス昇降機構を構成するウインドレギュレータの駆動プーリ62を回転自在に保持し、室内側に開口する操作ハンドルを係止する長孔状の係止孔62aを備える。
前後のランチャンネル58,59の下端部にはスティ63,64を取り付け、又後部ランチャンネル59の上部にはスティ65を設け、これ等スティ63,64,65にガイドプーリ66,67,68を回転自在に支持する。又前記したブラケット60にガイドプーリ69を同様に支持する。
【0022】
これ等ガイドプーリ66,67,68,69と前記した駆動プーリ62に駆動ワイヤ70を掛け渡し、駆動プーリ62の図示しないハンドルによる駆動で、ワイヤ70を駆動させる。
ワイヤ70の前後の縦の部分、即ち前部の上下のガイドプーリ69,66間、後部の上下のガイドプーリ68,67間の部分70a,70bにはスライダ71,72を結合し、スライダ71,72は接続具73,74を介してガラス54の下端部の前後の部分に連結する。これらで、ガラス昇降機構80を構成する。
尚、図7、図8に示すように、前後のランチャンネル58,59には、スライダ71,72をガイドする庇状のガイド片75,75を設けた。
【0023】
以上において、サッシ組付体50は、サッシ本体51と、ガラス54をドア内部に格納時に保持し、且つガラス54の昇降をガイドする前後のランチャンネル58,59を一体に備え、サッシ本体51を開閉するガラス54と、サッシ本体、ランチャンネル58と一体のブラケット60、ガラス昇降機構62,66,67,68,69,70を一体的に備える。
このようなサッシ組付体50を、予め組み付けておく。
【0024】
以上のサッシ組付体50においては、駆動プーリ62を操作ハンドルで回転、駆動させることで、駆動ワイヤ70はガイドプーリ66〜69を介して無端状に駆動され、駆動ワイヤ70のガイドプーリ69,66間、68,67間の部分70a,70bが上下方向に移動し、この部分70a,70bにスライダ71,72を介して連結されたガラス54は昇降動し、サッシ本体51を開閉する。
【0025】
次に図1に基いて本発明にかかるドアの組立方法の第1の実施の形態を説明する。
図1のaでは、前記したサッシ組付体50とドアフレーム部材10とを示す。フレーム部材10は、側面視略々U字型の本体11を備え、本体11は、角パイプ状の部材を側面視略々U字型に屈曲させて形成し、下部の横部11aと、該横部11aの前後から起立させた前後の起立部11b,11cを一体的に備える。
【0026】
前後の起立部11b,11cの高さ方向の中間部間で、実施例では室外側に、インパクトビーム12を前後方向に架設し、前後の起立部11b,11c間の補強部材としても用いる。インパクトビーム12は、前後の起立部11b,11cの外側面に設けた支持スティ13,13間に保持され、インパクトビーム12の断面形状は、図3に示すように角パイプ状であっても、丸パイプ状であっても良い。
【0027】
フレーム部材10の前後の起立部11b,11cの上部にはサッシ組付体50の取付部14,15を一体的に設ける。
前部取付部14は、前記したサッシ組付体50のブラケット60の前半部先部60bの下半部と嵌合する構造とし、該先部60bを前部取付部14に嵌合させ、ネジ16…等で結合し、サッシ組付体50の前部とフレーム部材10とを結合、一体化する。
【0028】
一方、前記したサッシ組付体50のサッシ本体51の後部縦枠部53下部を、フレーム部材10の後部取付部15に前後方向で重ね合わせ、ネジ16…等で結合し、サッシ組立体50の後部とフレーム部材10とを結合、一体化する。
以上により、前記したフレーム部材10とサッシ組付体50とを、組み付けて一体化し、サッシ、フレーム組付体20を得る。サッシ組付体50をフレーム部材10に組み付けて一体化した組付体20を図1のbの中間部位に示した。
【0029】
以上のサッシ、フレーム組付体20の両側に、ドア外板2、及びドア内板3を臨ませる。ドア内外板2,3は、実施例では樹脂で形成した樹脂製ドアの内外板とし、樹脂材料としては、例えばポリプロピレン樹脂を用い、これをドア内外板の形状に成形し、表面に塗装を施したものである。
【0030】
ドア外板2は、図1のbで示すように、板状本体2aは、高さ方向の中間部が外側に膨出した弯曲断面形状で、内面2bの前後の部分に室内側方向に突出した端板2c,2dを一体的に備える。
又内面2bの端板2c,2dの内側、及び下部等の係止突起4…を一体的に突設して備える。
【0031】
内板3は、実施例ではドアライニング部分を室内側に一体的に備える構造とし、室内側に肘掛け部5、下部に物入れ部6、スピーカグリル部7等を備え、肘掛け部5の上方部には、ガラス昇降機構の駆動操作を行なうレギュレータハンドルを室内側に導出させる開口部8を備える。
又図1のbでは示されていないが、内板3の外板2と対面する裏面3aには、図3に示すように前記した外板2と同様の係止突起9…を一体的に突設して備える。
【0032】
以上のドア内外板2,3間に、サッシ、フレーム組付体20の下半部を構成するフレーム部材10を臨ませ、該フレーム部材10の両側に組み付ける。
フレーム部材10には、図3に示すように係止孔を設けておき、前記した内外板2,3の係止突起4…,9…をフレーム部材10の係止孔に係合し、ドア内外板2,3をフレーム部材10の両側に組付、固定する。
【0033】
図4は一方、例えば外板2の係止突起4とフレーム部材10の係止孔17との係合状態を示す。
係止突起4の先端部には二股状の係止部4aを備え、係止部4aは、先部が尖鋭状で、先部の後部にネック部4bを備え、係止部4aを係止孔17に嵌挿し、係止部4aの係止孔17への挿入で二股部を介して係止部4aは縮径し、ネック部4bが係止孔17内径部に係合してフレーム部材10に外板2を係止する。
図3の他の係止突起と係止孔との係合もこれと同様で、又内板3の係止も同様であり、内外板2,3は、フレーム部材2,3に着脱自在に係止されることとなる。
【0034】
図3においては、インパクトビーム12に外板2の係止突起4の所定のものを係合し、又外板2とフレーム部材10との間にスペーサ部材21を、内板3とフレーム部材10との間にスペーサ部材22を介設した。
ドア内外板2,3のフレーム部材10への組み付けで、フレーム部材10の前後端部は、実施例では外板2の前後の端板2c,2dで閉塞され、又フレーム部材10に組み付けられたドア内外板2,3の上方には、前後方向の開口部が形成される。
【0035】
組み付けられたドア内外板2,3の上部の開口部からサッシ組付体50のサッシ本体51が上方に起立するように突出する。
サッシ組付体50の下半部を構成する前後のランチャンネル58,59、及びこれに取り付けた機器類、即ち、ブラケット60、駆動プーリ62、スティ63,64,65、ガイドプーリ66,67,68,69、ワイヤ70はドア内部に収納される。
【0036】
ドア内外板2,3の閉塞する下端部の係止構造は、図5に拡大して示した如くで、外板2の下端部に内板3方向に突出した係合凹部2eを形成し、係合凹部2eは上向きに開放された溝状に形成され、係合凹部2eの上方に内板3方向に棚板部2fを設ける。
内板3の下端部には、前記係合凹部2eと上から係合する係合片3eを設け、係合片3eを係合凹部2eに係合する。係合片3eの上方部は内板3方向に屈曲して延び、棚板部2fと上から載置、係合する段部3fを設け、棚板部2fを段部3f上に重ね合わせる。
以上により、ドア内外板2,3の下端部は、係合一体化する。
【0037】
以上により、ドア内外板2,3をサッシ、フレーム組付体20の下半部を構成するフレーム部材10に一体的に組み付ける。
内外板2,3間にフレーム部材10を内装し、上方にサッシ本体51を突設した上記方法で得られた自動車用ドア1を図2で斜視図として示した。
【0038】
以上図1の実施の形態を説明したが、ガラス昇降機構は、実施例では手動操作式のものを用いたが、電動式のものを用いてもよく、前記した駆動プーリに代えて電動モータを用い、ワイヤをモータで駆動しても良い。又ドアを樹脂製のものを用いると説明したが、鋼板製の内外板を用いてもよい。
【0039】
図6は本発明にかかる組立方法の第2の実施の形態を示す。
この実施の形態においても、サッシ組付体、フレーム部材、ドア内外板は、前記と同様のものを用い、組み付け順序が前記と異なるので、前記と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0040】
図6のaに示すように、フレーム部材10を用意する。フレーム部材10の両側にドア内外板2,3を配置し、フレーム部材10の両側にドア内外板2,3を前記と同様の手法で組み付け、一体化し、ドア組立体30を得る。
ドア組立体30を図6のbの下位に示した。
【0041】
サッシ組付体50は前記と同様であって、サッシ本体51と前後のランチャンネル58,59、ガラス53、ドアミラー57、昇降機構を構成する駆動プーリを保持するブラケット60、ワイヤ70等を一体的に組み付けて備える。サッシ組付体50を図6のbの上位に示した。
【0042】
図6のbで示したドア組立体30上に、サッシ組付体50を、この図のように上方に臨ませ、サッシ組付体50の下半部を、ドア組立体30の上方に形成された開口部から挿入し、外側からネジ31…で、ドア組付体30内に内装されたフレーム部材10の前後の取付部14,15にサッシ組付体50の下半部前後、具体的には、ブラケット60の前部先部60b、後部ランチャンネル59の上部を結合し、ドア組立体30とを組み付け、図2に示す如きサッシ51を上方に突設したドア1を得る。
【0043】
本実施の形態においても、ガラス昇降機構は前記と同様に電動モータ式を用いてもよく、ドアに関しては、鋼板製のものを用いてもよい。
尚、第1実施の形態、第2実施の形態においては、何れもドア内板3の室内側の面にドアライニング部分を一体的に形成したものを用いたが、ドアライニングを内板3とは別体とし、爾後内板3の室内側の面にドアライニングを貼設してもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1においては、ドア外板とドア内板との間に介設し、ドア外板とドア内板とは別部材として構成され、下部の横部と、該横部の前後から起立する前後の起立部と、該前後の起立部間に架設されたインパクトビームとからなり、前後の起立部の上部に取付部を備え、側面視略U字型であり、前記ドア外板とドア内板とは分離し、且つ結合することができるように構成したドアフレーム部材と、サッシ本体と、該サッシ本体で昇降自在に保持されるガラスと、該ガラスを昇降させる昇降機構を組み付けて一体化し、前記ドアフレーム部材に結合するドアサッシ組付体と、ドアフレーム部材の両側にドア外板とドア内板を結合して一体化し、且つドアフレーム部材の前後の起立部の上部に設けた取付部に、ドアサッシ組付体の前後の下部を結合して自動車用ドア構成したので、従来のように、ドア内部にガラス昇降機構をブラケット類を介して組み付け、ガラス昇降ガイド機構をドア側に別個に組み付け、サッシを昇降機構、ガラス、ガラス昇降ガイド機構とは別個にドア、サッシに組み付け、完成品ドアを得る工数が多く、面倒な作業が多い従来のドア製作に比し、本発明では、サッシとガラス、ガラス昇降をガイドするランチャンネル、昇降機構をサッシ組付体として製作しておき、サッシ組付体をドア内外板を組み付けるフレーム部材に組み付けるだけで完成品ドアを得ることができるので、昇降式ガラスを備えるサッシ付きのドアを最少の工数、簡単な組み付け作業であることができる。従って、ドアの簡易化、コストダウンの要請にも資する。
【0045】
又本発明は、サッシ、ガラス、ガラス昇降機構、ガラス昇降ガイド機構を一体的に組み付けたサッシ組付体を、ドア内外板を一体化するフレーム部材に組み付けてドアを構成するので、ガラスとサッシ、ガラス昇降機構とのマッチングが極めて得やすく、ガラス、サッシ、昇降機構間の組付誤差がたといあったとしても、ドアへの組付後以前のサッシ組付体を得る段階でクリアすることができ、サッシ組付体の段階で、ガラス昇降の円滑なサッシ組付体を得れば、これをドア内外板に組み付けるだけで、ガラス昇降等の調整の全く必要のない、精度に優れた自動車用ドアを得ることができる。
又本発明は、ドア組立とは全然別個の作業でサッシ組付体を得、サッシ組付体とフレーム部材とを一体化してものにドア内外板を組み付け、或いはフレーム部材とドア内外板との組付体にサッシ組付体を組み付けることもできるようにしたので、ガラス昇降式サッシを備えるドアの製作において、作業が極めて簡易化し、従って、面倒で、難しいガラス昇降調整等を必要とすることがなく、熟練を必要とすることなく、ガラス昇降式のサッシ付きドアを、容易に得ることができる。
更にドア内外板とフレーム部材との結合は分離可能であり、ドアサッシ組付体とフレーム部材との結合は、分離可能としたので、必要な時にドア内外板を取り外すことが可能で あり、ドア内部に組み込まれた状態となる昇降機構の修理等のメンテナンス性の点で、極めて好都合である。
【0046】
又自動車用ドアの組立において、ドアサッシの下部に、ガラス昇降させる昇降機構を取り付け、該昇降機構とドアサッシにガラスを昇降自在に保持させて形成したドアサッシ組立体を、ドアフレーム部材に組み付け、ドアフレーム部材にドア外板、ドア内板を組み付けることで自動車用ドアを組み立てることもでき、サッシにガラス、ガラス昇降機構を組み付けた組付体を、ドアフレーム部材に組み付け、一体化し、ドアフレーム部材の両側に、ドア内外板を組み付ける作業により、昇降式のガラスを備える自動車用ドアを得ることができる。
従って、昇降式のガラスを備える自動車用ドアの製作が容易化し、又ガラスの昇降、密閉精度を、ドア組み立て以前にチェックし、調整することができ、ドア組立状態で、直ちにガラス昇降、密閉精度を所望の高精度に維持することができる。
【0047】
更に自動車用ドアの組立方において、ドア外板、ドア内板を、この間に介設するドアフレーム部材に組み付け、ドアサッシの下部に、ガラス昇降させる昇降機構を取り付け、該昇降機構とドアサッシにガラスを昇降自在に保持させて形成したドアサッシ組立体を、ドアフレーム部材に組み付けることで自動車用ドアを組み立てるようにしたので、ドア内外板をフレーム部材に組み付け、ドア内外板を一体化した後、サッシにガラス、ガラス昇降機構を組み付けた組付体を、ドアフレーム部材に組み付け、一体化し、直ちに完成品の自動車用ドアを得ることができる。
従って、昇降式のガラスを備える自動車用ドアの製作が容易化し、又ガラスの昇降、密閉精度を、ドア組み立て後においても、調整を必要とすることなく、高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる自動車用ドアの組立の第1の実施の形態を示す説明的斜視図で、図1のaは、フレーム部材とサッシ組立体の分解斜視図、図1のbは、フレーム部材とサッシ組立体とを組み付けた組付体にドア内外板を組み付ける状態を示す分解斜視図
【図2】 得られたドアの斜視図
【図3】 ドアの縦断面図
【図4】 図3の要部の拡大図で、ドア内外板とフレーム部材との着脱自在な結合部を示す図
【図5】 図5は図3の要部の拡大図で、ドア内外板の端部の係合部の拡大断面図
【図6】 本発明にかかる自動車用ドアの組立の第2の実施の形態を示す説明的斜視図で、図6のaは、フレーム部材とドア内外板の分解斜視図、図6のbは、ドア組立体とサッシ組立体とを組み付けた状態を示す分解斜視図
【図7】 サッシ組付体の拡大斜視図
【図8】 図7の8−8線拡大断面図
【符号の説明】
1…自動車用ドア、 2,3…ドア内外板、 10…フレーム部材、 50…サッシ組付体、 54…ガラス、 62…ガラス昇降機構を構成する駆動プーリ、 70…ガラス昇降機構を構成するワイヤ、 80…ガラス昇降機構。
Claims (1)
- ドア外板とドア内板との間に介設し、ドア外板とドア内板とは別部材として構成され、下部の横部と、該横部の前後から起立する前後の起立部と、該前後の起立部間に架設されたインパクトビームとからなり、前後の起立部の上部に取付部を備え、側面視略U字型であり、前記ドア外板とドア内板とは分離し、且つ結合することができるように構成したドアフレーム部材と、
サッシ本体と、該サッシ本体で昇降自在に保持されるガラスと、該ガラスを昇降させる昇降機構を組み付けて一体化し、前記ドアフレーム部材に結合するドアサッシ組付体と、
前記ドアフレーム部材の両側に前記ドア外板とドア内板を結合して一体化し、且つ前記ドアフレーム部材の前後の起立部の上部に設けた前記取付部に、前記ドアサッシ組付体の前後の下部を結合して構成した、
ことを特徴とする自動車用ドア。
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