JP3799076B2 - インクジェット用記録媒体及びこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用記録媒体及びこれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録に好適に用いられる記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々のインク吐出方式、例えば、静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動または変移を与える方式、インクを加熱して発泡させその圧力を利用する方式等により、インクの小滴を発生、飛翔させ、それらの一部もしくは全部を紙あるいはインク受容層を塗工したプラスチックフィルムなどの被記録材に付着させて記録を行なうものであるが、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行なえる方式として注目されている。
【0003】
インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、安全性、記録特性等の面から主に水を主成分とするものが使用され、ノズルの目詰まり防止及び吐出安定性向上のために多価アルコール類等が添加されている場合が多い。
【0004】
従来インクジェット記録に用いられる記録媒体としては、各種紙、OHPフィルム、光沢紙、布などが開発されユーザーに提供されてきた。
【0005】
また、それと同時にプリンタ本体の搬送方法も変化し、従来主流であった手差し搬送に代わり、オート・シート・フィーダー(以下ASFと略す)による記録媒体の搬送が主流となってきた。
【0006】
従来インクジェット記録に用いられる記録媒体としては、特開昭60ー220750号公報に記載されているように、ポリエステルフィルム上にけん化度70〜90モル%の水溶性ポリビニルアルコールからなる親水性皮膜を設けたオーバーヘッドプロジェクタ−(以下、OHPと略す)用記録シートなど、多数挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、記録の高速化、多色化などインクジェット記録装置の性能の向上に伴い、インクジェット用記録媒体に対しても、より高度で広範な特性が要求されている。
【0008】
即ち、
(1)インクの吸収能力が高いこと(吸収容量が大きく、吸収時間が速い)
(2)ドットの光学濃度が高く、ドット周辺がぼけないこと
(3)ドット形状が真円に近く、その周辺が滑らかであること
(4)温度、湿度の変化で特性の変化が小さく、カ−ルをおこさないこと
(5)ブロッキングをおこさないこと
(6)画像が長期保存に安定で変質しないこと(特に、高温高湿環境下)
(7)記録媒体自体が長期保存に安定で変質しないこと(特に、高温高湿環境下)などの特性を同時に満足させることが要求されている。
【0009】
また、このように、記録の高速化、画像の高密度化、カラ−化、インクの多様化が進むにつれて、様々な記録媒体が要求されるようになってきた。
【0010】
さらに、プリンタ本体側の給紙方法の主流が、手差し搬送からASF搬送へ変化し始めると共に、プリンタ本体側が記録媒体を円滑にピックアップするように、次のような性能が新たに求められるようになってきた。
(1)円滑に記録媒体が搬送される(記録媒体が2枚、3枚と重送したり、スリップして搬送されないといったことがない)、
(2)記録媒体がピックアップされる際に、記録媒体にピックアップローラーによる傷が付かない、
(3)記録媒体をピックアップした際に、ピックアップされた記録媒体の下に積載されている記録媒体に傷が付かない、
(4)記録媒体の表面より、フィラーなど添加物の粉落ちがない。
【0011】
特公平6ー55542号公報に記載されているインクジェット記録シートでは、インク受容層のベック平滑度が130秒〜800秒であるような記録シートが提案されているが、このような記録媒体においては、反対側の平滑度が非常に大きい場合や小さい場合にASFによる搬送性は充分に満足できるものではない。
【0012】
インクジェット用の記録媒体としてASF搬送に最適化された記録媒体は未だに開発、販売されていない。
【0013】
そこで、本発明の目的は、ASFによる搬送方式において重送、スリップなどの搬送ムラが生じにくく、しかも印字品位に優れたインクジェット記録に好適な記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法及び画像形成方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
【0015】
すなわち本発明は、オート・シート・フィーダーを有するインクジェット記録装置に用いるインクジェット用記録媒体であって、プラスチックフィルム基材の一方の面にインク受容層を有し、他方の面にバックコート層を有し、該インク受容層及び該バックコート層が、それぞれ独立して、水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂を主体として構成されており、かつ表裏面共にベック平滑度が11秒以上292秒以下であり、且つ表裏面の平滑度の差が0秒以上148秒以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0017】
また本発明は、記録媒体に、記録信号に従って記録ヘッドのオリフィスからインクを吐出させて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法であり、画像形成方法である。
【0018】
より好ましくは、インクの液媒体成分が、水及び水混和性グリコール類またはグリコールエーテル類を主体に組成させたものであること、インクがシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックインクであること、インクの吐出を熱エネルギーによって行うことを含む。
【0019】
【作用】
本発明者等は、ASF搬送を用いるインクジェット記録に適した記録媒体の開発を行うなかで、上記した記録媒体が、優れた搬送性を有することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
即ち、ASF搬送を用いる記録装置に適した記録媒体とは、プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有し、他方の面にバックコート層を有し、表裏面共に表面平滑度が11秒以上292秒以下あり、且つ表裏面の平滑度の差が0秒以上148秒以下であるような記録媒体である。
【0021】
ここで、表裏面の平滑度の差は、絶対値であり、表裏のいずれか一方の平滑度が常に高くなければならないということはない。
【0022】
次に、好ましい実施態様を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
【0023】
本発明で使用する記録媒体のプラスチックフィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックからなるフィルムを使用できるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0024】
前記基材の表面が滑らかな表面であっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明のいずれであっても良い。
【0025】
さらに、印字面の反対側にマット層、剥離粘着層などのバックコ−ト層を設けても良く、また、印字後、印字面に粘着層などを設けてもよい。
【0026】
記録媒体の記録目的、記録画像の用途、あるいはその上部に被覆される組成物との密着性などの諸条件に応じて上記基材の中から適宜選択される。
【0027】
基材としてプラスチックフィルムなどの透光性のものを使用すればOHPフィルムが形成できる。更に、目的によっては、基材やインク受容層などを着色してもよい。
【0028】
インク受容層及びバックコ−ト層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、いわゆる水性インクを受容でき、水性インクに対して溶解性あるいは親和性を示すものなら特に限られるものではなく、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、メラミン樹脂、あるいはこれらの変性物等の合成樹脂、また、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂を挙げることができるが、これらに限られるものではない。そしてこれらの材料を複数、同時に用いることも可能である。
【0029】
さらに、水分散型樹脂をインク受容層材料として用いてもよく、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレンー(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニルー(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、エチレンープロピレン共重合体、ポリビニルエーテル等多数列挙することができるが、もちろんこれらに限られるものではない。そしてこれらの水溶性樹脂、水分散性樹脂は複数を同時に用いてもよい。
【0030】
さらに、画像保存性を向上させる目的で、カチオン性化合物をさらに含有させてもよい。
【0031】
このカチオン性化合物は、分子内にカチオン性部分を含むものであれば特に限られるものではなく、例えば、モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、エチレンオキサイド付加アンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、あるいは、アミン塩型のカチオン性界面活性剤、さらには、カチオン性部分を含むアルキルベタイン、イミダゾリミウムベタイン、アラニン系等の両性界面活性剤でもよい。
【0032】
また、ポリマーあるいはオリゴマーとしては、ポリアクリルアミドのカチオン変性物あるいはアクリルアミドとカチオン性モノマーの共重合体、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルピリジニウムハライド等が挙げられる。
【0033】
さらに、ビニルピロリドン系モノマーの単独あるいは、他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルオキサゾリドン系モノマーの単独あるいは、他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルイミダゾール系モノマーの単独あるいは、他の一般的なモノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0034】
上記の一般的なモノマーとしてはメタクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、ビニルエーテル、酢酸ビニル、エチレン、スチレン等が挙げられる。
【0035】
以上のようなカチオン性化合物が好適に用いられるが、単独でも複数を混合してもよく、低分子カチオン物質と高分子カチオン物質とを併用してもよい。もちろん、これらに限られるものではない。
【0036】
もちろん、本発明における構成では、上記のカチオン性化合物は必須成分ではなく、あくまで補助的な役割を示すものである。
【0037】
さらに、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等、これらに限られるものではないが、架橋剤を含んでいてもよい。
【0038】
インク受容層やフィルムの表面の平滑度を適正なものにするために、本発明の目的達成を妨げない範囲において各種フィラ−、添加剤を併用することができる。
【0039】
フィラ−の一例としてはシリカ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、ウンモ、ハオドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、及びポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリレ−トなどのプラスチックピグメント、ガラスビーズなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
記録媒体の平滑度が、5秒未満である場合には、ASF搬送により、何の問題もなく搬送するが、搬送された記録媒体の下に位置する記録媒体に傷を付けるといった問題が発生する。
【0041】
平滑度が800秒を越える場合、記録媒体同士の密着性が上がり、頻繁に2枚3枚と記録媒体が複数枚送られてしまう「重送」といった問題がある。平滑度が500秒を越える場合、ASFにより搬送させた時50回中3回程度の重送を起こす。平滑度が300秒を越える場合、ハーフトーンを印字した際、ピックアップローラ−跡が若干記録媒体上についてしまう。さらに、表裏面の平滑度の差が、0秒以上280秒以下であることを逸脱している場合には、記録媒体表面に傷を生じたり、重送するといった問題を引き起こす。
【0042】
使用する添加剤の具体的な一例としては、各種界面活性剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、分散剤、粘度調整剤、PH調整剤、防カビ剤、可塑剤が挙げられる。これらの添加剤については従来公知の化合物から目的に応じて任意に選択すればよい。
【0043】
本発明の記録媒体のインク受容層あるいはバックコ−ト層を作成するに当たっては、まず前記組成物を、必要により他の添加剤と共に、水あるいはアルコ−ル、多価アルコール類、または他の適当な有機溶媒に溶解、または分散し、塗工液を調製する。
【0044】
得られた塗工液を、例えば、ロ−ルコ−タ−法、ブレ−ドコ−タ−法、エアナイフコ−タ−法、ゲ−トロ−ルコ−タ−法、バ−コ−タ−法、サイズプレス法、スプレ−コ−ト法、グラビアコ−タ−法、カ−テンコ−ター法などにより基材表面に塗工する。その後、例えば熱風乾燥炉、熱ドラムなどを用いて乾燥し、本発明の記録媒体が得られる。
【0045】
インク受容層を形成するための塗工液の塗工量としては、総量として0.2〜50g/m2 、より好ましくは1〜30g/m2 の範囲内である。塗工量が少ない場合には基材の一部が表面に露出していてもよい。又、塗工量が0.2g/m2 に満たない場合には、インク受容層を設けなかった場合に比べて塗料の発色性の点で効果が少なく、一方、50g/m2 を越えて設けた場合には特に、低温低湿環境下に於けるカールの発生が著しい。塗工量を厚さで表した場合の塗工量は0.5〜100μmの厚みになる範囲が好適である。
【0046】
バックコ−ト層を形成するための塗工液の塗工量もインク受容層の塗工量と同程度で良い。
【0047】
以上説明した記録媒体にインクジェット記録及び画像形成を行う場合のインクそれ自体は、公知のものが何等問題なく使用可能である。又、記録剤としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素に代表される水溶性染料、さらに分散性染料、顔料が使用可能であり、通常のインクジェット記録用のものであれば特に制限なく使用することが出来る。
【0048】
このような水溶性染料あるいは分散性染料、顔料は、従来のインク中において一般には約0.1〜20重量%を占める割合で使用されており、本発明においてもこの割合と同様でよい。
【0049】
本発明に用いる水系インクに使用する溶媒は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であり、特に好適なものは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であって、水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有する水混和性グリコ−ル類である多価アルコールを含有するものである。
【0050】
本発明では、カラ−画像の形成に際して、隣接するブラック画像とカラ−画像との間でブリ−ディング(不規則な滲み)を生じさせないために、高い表面張力を有するブラックインクと低い表面張力を有するイエロ−、マゼンタ、シアンインク等のカラ−インクを用いることが好ましい。
【0051】
ブラックインクの表面張力は、40〜55dyne/cmの範囲が好ましく、カラ−インクの表面張力は、30〜40dyne/cmの範囲が好ましい。
【0052】
前記の記録媒体に上記のインクを付与して記録を行う為の方法は、好ましくはインクジェット記録方法であり、該方法は、インクをノズルより効果的に離脱させて、射程体である記録媒体にインクを付与し得る方式であればいかなる方式でもよい。とりわけ、特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することが出来る。
【0053】
本発明の記録媒体を用いて記録を行うのに好適な一例のインクジェット記録装置を以下に説明する。その装置の主要部であるヘッド構成例を図1、図2及び図3に示す。
【0054】
ヘッド13はインクを通す溝14を有するガラス、セラミックス又はプラスチック板等を、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図ではヘッドが示されているが、これに限定されるものではない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1、17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、アルミナ等の放熱性の良い基板20よりなっている。
【0055】
インク21は吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。
【0056】
今、電極17−1、17−2に電気信号が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出し、オリフィス22より記録小滴24となり、被記録媒体25に向かって飛翔する。図3には図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同様な発熱ヘッド28を密着して製作されている。
【0057】
尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断図である。
【0058】
図4に、かかるヘッドを、組み込んだインクジェット記録装置の1例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッドにより記録領域に隣接した一に配設され、又、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0059】
65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行う為のキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0060】
51は記録媒体を挿入する為の給紙部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りローラである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラ53を配して排紙される。
【0061】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の突出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出する様に移動する。
【0062】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0063】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録の為の記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0064】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
【0065】
実施例1
ポリビニルアルコール(商品名:PVA217、メーカー:クラレ製、ケン化度約88mol%、重合度約1700)の10%水溶液100部に、シリカ微粒子(商品名:サイリシア470、メーカー:富士シリシア化学(株)、平均粒径:12μm)を1.2部分散させた塗工液を、ワイヤ−バ−を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラー、メーカー:東レ製、厚さ:100μm)に、乾燥後の塗布厚が10μmになるように塗布した後、120℃にて3分間乾燥し、次いで裏面にも上記と同じ塗工液を塗布して同様の条件でバックコ−ト層を形成して、本発明の記録媒体を調製した。
【0066】
上記記録媒体に、下記組成のインクを用いて、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置により下記条件でカラ−記録を行った。
【0067】
インク組成(Bk)
ダイレクトブラック19 3部
グリセリン 6部
エチレングリコール 5部
尿素 5部
イソプロピルアルコール 3部
水 78部
このインクの表面張力は約45dyne/cmであった。
【0068】
インク組成 (Y、M、C)
染料 4部
グリセリン 7部
チオジグリコール 7部
尿素 7部
アセチレングリコール 1.5部
水 73.5部
このインクの表面張力は、約35dyne/cmであった。
【0069】
染料
Y:ダイレクトイエロ−86
M:アシッドレッド23
C:ダイレクトブルー199
記録条件
吐出周波数 :4KHz
吐出液滴の容量 :45pl
記録密度 :360DPI
最大単色インク付与量 :8nl/mm2
搬送方法:ASF(オート・シート・フィーダー)
【0070】
実施例2
実施例1において、インク受容層を構成する樹脂を、ポリビニルアルコール(商品名:PVA405、メーカー:(株)クラレ製、ケン化度約81.5mol%、重合度約500)に代えた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0071】
実施例3
実施例1において、シリカ微粒子の添加量を0.8部とした他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0072】
実施例4
実施例2において、シリカ微粒子の添加量を0.8部とした他は実施例2と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0073】
参考
実施例1において、シリカ微粒子の添加量を0.4部とした他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0074】
参考
実施例2において、シリカ微粒子の添加量を0.4部とした他は実施例2と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0075】
実施例
実施例1において、シリカ微粒子(商品名:サイロピュア35、メーカー:富士シリシア化学(株)、平均粒径:8μm)を用いた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0076】
実施例
実施例3において、シリカ微粒子(商品名:サイロピュア35、メーカー:富士シリシア化学(株)、平均粒径:8μm)を用いた他は実施例3と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0077】
実施例
実施例1において、インク受容層を構成する樹脂をポリビニルアセタール(商品名:KWー1、積水化学製)に代えた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0078】
実施例
実施例1において、インク受容層を構成する樹脂をヒドロキシエチルセルロース(商品名:AL−15、フジケミカル製)に代えた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調整し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0079】
実施例
実施例2において、裏面のバックコート層を実施例1で使用した塗工液を用いて形成した他は実施例2と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0080】
参考
参考において、裏面のバックコート層を実施例3で使用した塗工液を用いて形成した他は参考と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0081】
参考
実施例1に於いて、インク受容層に添加するシリカ微粒子の添加量を2.0部とし、裏面のバックコート層を実施例3で使用した塗工液を用いて形成した他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0082】
参考
実施例1に於いて、インク受容層に添加するシリカ微粒子の添加量を0.2部とし、裏面のバックコート層を参考で使用した塗工液を用いて形成した他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0083】
参考
インク受容層の形成に参考で使用した塗工液を用い、裏面のバックコート層の形成には実施例で使用した塗工液を用いた他は参考と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0084】
参考
インク受容層及び裏面のバックコート層の形成に参考でインク受容層の形成に用いた塗工液を使用した他は参考と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0085】
比較例1
参考例1に於いて、シリカ微粒子(商品名:サイリシア450、メーカー:富士シリシア化学(株)、平均粒径:5μm)を用いた他は参考例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0086】
比較例2
実施例1に於いて、裏面のバックコート層の形成に比較例1で使用した塗工液を用いた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0087】
比較例3
参考例1に於いて、裏面のバックコート層の形成に比較例1で使用した塗工液を用いた他は参考例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0088】
比較例4
実施例1に於いて、裏面のバックコート層の側に添加するシリカ微粒子の添加量を10.0部とした他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0089】
比較例5
実施例1に於いて、裏面のバックコート層の側に塗布する塗工液を参考例1で使用したものに代えた他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0090】
比較例6
実施例3に於いて、裏面のバックコート層の側に塗布する塗工液を比較例1で使用したものに代えた他は実施例3と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0091】
比較例7
実施例1に於いて、裏面のバックコート層の側には何も塗布しない他は実施例1と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0092】
比較例8
実施例3に於いて、裏面のバックコート層の側には何も塗布しない他は実施例3と全く同様にして記録媒体を調製し、熱エネルギ−によりインクを発泡させてインクを吐出させるインクジェット記録装置によりカラ−記録を行った。
【0093】
[評価項目]
(1)記録媒体表裏面の平滑度
ベック平滑度計により、記録媒体の表裏面各10点を測定し平均値を出す。
(2)ピックアップローラー跡の有無−1
ASFによる搬送を行い、搬送された記録媒体にピックアップローラー跡がついているかどうかを目視にて評価した。
ブルーの60%デューティーの印字を行った。ピックアップローラー跡が明らかに付いているものは×、付いていないもの、画像に影響のないものを○、それ以外のものを△とした。
(3)ピックアップローラー跡の有無−2
ASFによる搬送を行い、搬送された記録媒体の下の記録媒体の傷の有無を目視にて評価した。傷が明らかに付いているものは×、付いていないもの、画像に影響のないものを○、それ以外のものを△とした。
(4)搬送性
記録媒体の重送、スリップなどの有無を評価した。重送、スリップなどが50回中5回以上あるものは×、全くないものを○とし、それ以外を△とした。
(5)印字品位
グリーンの100%ベタを印字し、ベタ印字部のムラの程度を評価した。ベタにムラの発生しているものについては×、ムラのないものは○、それ以外のものについては△とした。
【0094】
評価結果をまとめて、表1に示す。
【0095】
【表1】
Figure 0003799076
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ASFの搬送方式に適し、インクジェット記録方式に適した記録媒体が得られ、通常の他の搬送方式においても重送、スリップ等の搬送ムラの発生しない記録媒体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するインクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図である。
【図2】本発明で使用するインクジェット記録装置のヘッド部の横断面図である。
【図3】図1及び図2に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。

Claims (6)

  1. オート・シート・フィーダーを有するインクジェット記録装置に用いるインクジェット用記録媒体であって、プラスチックフィルム基材の一方の面にインク受容層を有し、他方の面にバックコート層を有し、該インク受容層及び該バックコート層が、それぞれ独立して、水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂を主体として構成されており、かつ表裏面共にベック平滑度が11秒以上292秒以下であり、且つ表裏面の平滑度の差が0秒以上148秒以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記インク受容層及びバックコート層が、それぞれ独立して、水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂と、該樹脂の固形分10重量部に対してシリカ0.2〜2.0重量部から構成される請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. インクジェット用記録媒体に、オート・シート・フィーダーを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドのオリフィスから記録信号に従ってインクを吐出させるインクジェット記録方法において、前記記録媒体が、プラスチックフィルム基材の一方の面にインク受容層を有し、他方の面にバックコート層を有し、該インク受容層及び該バックコート層が、それぞれ独立して、水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂を主体として構成されており、かつ表裏面共にベック平滑度が11秒以上292秒以下であり、且つ表裏面の平滑度の差が0秒以上148秒以下である記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. インクの液媒体成分が、水及び水混和性グリコ−ル類またはグリコ−ルエ−テル類を主体に組成されたものである請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. インクがシアン、マゼンタ、イエロ−及びブラックインクである請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクジェット記録方法がハーフトーン印字を含む請求項3に記載のインクジェット記録方法。
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