JP3798737B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関し、特に安全性を改良した高出力型の非水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リチウムイオン二次電池やポリマーリチウム二次電池のような非水電解質二次電池が携帯電話等の電子機器に広く使用されている。これらの二次電池は、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池に比べて軽量で、かつ4V級の高い起電力を有するという特徴があり、その優れた性能が注目されている。
【0003】
そこで、最近、この非水電解質二次電池を電気自動車や電動工具、無停電電源(UPS)、コードレスクリーナなどの電源として適用することが検討されている。このような用途では、携帯電話のような電子機器に使用される非水電解質二次電池に比べて高い出力特性が要求される。
【0004】
電池を高出力化するには、電池の内部抵抗を極力低減する必要がある。そのためには、電極および電池部材を低抵抗化し、集電効率を高めることが重要である。その方策の一つとして、例えば特開平9−92335号公報に開示されているような、電極に複数の集電リードが設けられた円筒型リチウム二次電池あるいは角型リチウム二次電池の開発が挙げられる。このような構成にすることにより、集電効率が向上し、電池の内部抵抗を低減できるため、出力特性に優れた電池を実現することができる。また、このような高出力型のリチウム二次電池においては、充電も大電流で行うことができるため、急速充電が可能である。
【0005】
ところで、一般に非水電解質二次電池には通常の使用における安全性は勿論のこと、過充電や外部短絡、あるいは高温雰囲気下に長時間放置するなどの不適当な取り扱いによる電池内圧の異常な上昇時における安全性の確保が強く要求されている。このため、非水電解質二次電池には電池内圧により作動する安全弁、いわゆる防爆弁が備えられている。このような非水電解質二次電池においては、電池内圧が所定値以上になったときに安全弁が開裂するため、電池容器内部に充満したガスが開裂した安全弁を通して外部に放出され、電池の破裂が未然に防止される。
【0006】
しかしながら、前述したような高出力型の非水電解質二次電池においては、安全弁の作動圧にバラツキがあり、過充電などの異常が生じて電池内圧が上昇した際に、電池内圧が所定値に達しても安全弁が作動しないという不具合が生じる場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安全弁の作動圧力のバラツキが低減され、安全弁の信頼性が向上され、電池の破裂を未然に防止することが可能な非水電解質二次電池を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の非水電解質二次電池は、容器と、前記容器内に収納されると共に、正極と負極と非水電解質とを含む電極群と、前記容器の開口部に配置される封口部材とを具備する非水電解質二次電池であり、
前記封口部材は、前記容器内の圧力上昇により破裂する弁体部を含む導電性の安全弁と、前記正極と電気的に接続される正極端子と、前記安全弁と前記正極端子の間に配置され、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素としてCu及びNiを含有し、かつ20℃における面積抵抗値RSが0.032(μΩ・cm)〜1.24(μΩ・cm)の範囲内である導電性支持板とを具備し、
前記導電性支持板は、Cu含有層と、前記Cu含有層の少なくとも主面に形成されるNiメッキ含有層とを備え、前記Cu含有層の一方の主面に形成されるNiメッキ含有層と前記Cu含有層の他方の主面に形成されるNiメッキ含有層との合計厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る第2の非水電解質二次電池は、容器と、前記容器内に収納されると共に、正極と負極と非水電解質とを含む電極群と、前記容器の開口部に配置される封口部材とを具備する非水電解質二次電池であり、
前記封口部材は、前記容器内の圧力上昇により破裂する弁体部を含む導電性の安全弁と、前記正極と電気的に接続される正極端子と、前記安全弁と前記正極端子の間に配置され、25℃における弾性率(ヤング率)が1×10 11 Pa〜3 . 27×10 11 Paの金属元素としてCu及びNiを含有し、かつ20℃における面積抵抗値RSが0 . 032(μΩ・cm )〜1.24(μΩ・cm )の範囲内である導電性支持板とを具備し、
前記導電性支持板は、Cu含有層と前記Cu含有層の主面に形成されるNi含有層とを備えるクラッド材から形成されたものであり、前記Cu含有層の厚さを1とした際に前記Ni含有層の合計厚さは、0.1〜1の範囲内であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
安全弁の不具合の原因は、以下のように考えられる。従来の安全弁についての断面図を示したのが図8である。安全弁31は正極リード32と電気的に接続されていると共に、電池内雰囲気に晒されることから、非水電解質による腐食や電気化学的な腐食を生じる恐れがある。このような腐食を防ぐため、安全弁31の材質はアルミニウムであることが望ましい。しかしながら、アルミニウムは延性が高く、すなわち曲げ剛性が低いことから、電池内圧が上昇し始めると安全弁31が押し上げられ、図8に示すように、安全弁の周縁部33が変形してしまう。さらに設計値通りの強度を有する安全弁31を用意しても安全弁周縁部33自体が弁膜部との接触部分において、非水電解質により腐食され、設計値通りの強度が得られない問題があった。この様な問題発生によって、安全弁の周縁部33の変形が大きいと、電池内圧が所定値に達しても、弁膜部が速やかに開裂しない場合がある。
【0011】
本発明者らは上記問題を解決するために種々検討した結果、所定の曲げ剛性と抵抗値を有する導電性支持板を安全弁の周縁部に配置することにより、大電流放電特性と安全性の双方を満足する非水電解質二次電池が得られることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と負極の間に非水電解質を介してなる電極群と、この電極群が収納され、かつ前記負極と電気的に接続される有底かつ開口部を有する電池容器と、この電池容器の開口部を塞ぐように形成され、かつ電池内の圧力上昇により開く導電性の安全弁と、この安全弁を介して前記正極と電気的に接続される正極端子とを具備する非水電解質二次電池であって、前記安全弁と前記正極端子の間に以下に説明するような導電性支持板が配置され、この導電性支持板により前記安全弁の周縁部が固定されることを特徴とするものである。
【0013】
かかる導電性支持板は、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の金属(以下、第1の金属と称す)、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の合金(以下、第1の合金と称す)、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の複合金属材料(以下、第1の複合金属材料と称す)、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素を含有する合金(以下、第2の合金と称す)および25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素を含有する複合金属材料(以下、第2の複合金属材料と称す)よりなる群から選択される少なくとも1種類の導電性材料を含む。この導電性支持板の25℃における弾性率(ヤング率)は、前記少なくとも1種類の導電性材料の25℃における弾性率(ヤング率)と等しくても良いし、異なっていても良い。
【0014】
また、前記導電性支持板は、20℃における面積抵抗値RS(20℃)が0.032(μΩ・cm)〜1.24(μΩ・cm)の範囲内である。
【0015】
各導電性材料もしくは各金属元素の25℃における弾性率を1×1011Pa未満にすると、導電性支持板の延性が高くなるため、内圧上昇時に安全弁の周縁部が変形し易く、安全弁の作動圧のばらつきを小さくすることが困難になる。一方、25℃における弾性率が3.27×1011Paを超える導電性材料並びに25℃における弾性率が3.27×1011Paを超える金属元素を含有する導電性材料からは導電性支持板を容易に加工することが困難であるため、二次電池の量産性が損なわれる恐れがある。25℃における弾性率(ヤング率)の好ましい範囲は、1.36×1011Pa〜2.2×1011Paである。前記弾性率(ヤング率)がこの範囲にあると、安全性改良の効果が大きいため、好ましい。
【0016】
25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の金属としては、例えば、Co(2.1×1011Pa〜2.2×1011Pa)、Cr(2.53×1011Pa)、Cu(1.36×1011Pa)、Fe(1.90×1011Pa)、Mo(3.27×1011Pa)、Ni(2.05×1011Pa)、Ta(1.811×1011Pa)、V(1.326×1011Pa)などを挙げることができる。なお、各金属元素の25℃における弾性率(ヤング率)は、丸善株式会社から出版されている日本金属学会編集の金属データブック(改訂2版)(発行日1984年1月30日)の35頁の表1・3・1に掲載されているInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによるものである。この表に掲載されている弾性率(ヤング率)[dyn/cm]を[Pa]に換算して使用した。中でも、Ni、Cuが好ましい。
【0017】
25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の合金(第1の合金)は、NiおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する組成を有することが望ましい。中でも、NiとFeを含有する組成を有するものが好ましい。このような合金によると、二次電池の安全性をさらに向上することができる。
【0018】
第1の複合金属材料としては、例えば、例えばメッキなどにより表面の少なくとも一部に金属層または合金層が形成された金属板、例えばメッキなどにより表面の少なくとも一部に金属層または合金層が形成された合金板、クラッド材、金属製メッシュに金属または合金を含有する材料が保持されたもの、金属粉末とバインダーを含有する混合物などを挙げることができる。
【0019】
25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の複合金属材料(第1の複合金属材料)は、NiおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する組成を有することが望ましい。中でも、NiとCuの双方を含有する組成を有するものが好ましい。このような複合金属材料によると、二次電池の大電流放電特性と安全性の双方をさらに向上することができる。
【0020】
25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素を含有する合金(第2の合金)としては、例えば、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Ni、TaおよびVよりなる群から選択される少なくとも1種類の金属元素を含有する合金などを挙げることができる。中でも、Ni及びCuのうち少なくとも一方の元素を含有する合金が好ましい。
【0021】
25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素を含有する複合金属材料(第2の複合金属材料)を含む導電性支持板としては、例えば、支持板本体と前記支持板本体の表面の少なくとも一部に形成された表面層とを備えるもの、前記金属元素を含有するクラッド材、金属製メッシュに導電性粉末が保持されたもの、25℃におけるヤング率が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属粉末とバインダーとの混合物などを挙げることができる。ただし、支持板本体および表面層のうち少なくとも一方は、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素の単体金属か、もしくは前記金属元素を含有する合金から形成される。また、金属製メッシュおよび導電性粉末のうち少なくとも一方は、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素が含有される。
【0022】
第2の複合金属材料の中でも、前記金属元素を含有する支持板本体と、前記支持板本体の表面の少なくとも一部に形成された前記金属元素を含有する表面層とを備える導電性支持板が好ましい。このような導電性支持板によると、二次電池の大電流放電特性と安全性の双方をさらに向上することができる。
【0023】
第1、第2の複合金属材料において、NiとCuの双方を含有する複合金属材料としては、例えば、Cu含有板の少なくとも両面にNiメッキを施したものなどを挙げることができる。一方の主面に形成されたNiメッキ含有層と他方の主面に形成されたNiメッキ含有層との合計厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲内であることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。Niメッキ含有層の合計厚さを2μm未満にすると、導電性支持板の非水電解質に対する耐食性が低下するため、二次電池の大電流放電特性または安全性が損なわれる恐れがある。一方、Niメッキ含有層の合計厚さが10μmを超えると、製造コストの上昇を招く可能性がある。前記Niメッキ含有層の合計厚さは、4μm以上、6μm以下の範囲内であることがより望ましい。
【0024】
第1、第2の複合金属材料において、NiとCuを含有するクラッド材としては、Cu含有層と、このCu含有層の両面に積層される2つのNi含有層とを備えるものが好ましい。ここで、クラッド材とは、2種以上の異種金属が一体化され、その界面が拡散接合によって融合した状態の複合金属材料である。クラッド材の製造方法としては、工業的には、熱間圧延または冷間圧延後、電気炉等で加熱することにより焼結もしくは拡散焼鈍させる方法を採用することができる。また、Cu含有層の厚さを1とした際に前記Ni含有層の合計厚さは、0.1以上、1以下の範囲内であることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。Cu含有層に対するNi含有層の合計厚さ比を0.1未満にすると、Cu含有層とNi含有層との界面の接合強度が弱くなり易く、接合界面にすき間が生じたり、Ni含有層がCu含有層から剥離したりしてしまう恐れがある。一方、Cu含有層に対するNi含有層の合計厚さ比が1を超えると、導電性支持板の20℃における面積抵抗値が増大する恐れがある。Cu含有層の厚さを1とした際に前記Ni含有層の合計厚さは、0.25以上、0.5以下の範囲内であることがより望ましい。
【0025】
第1、第2の合金および第1、第2の複合金属材料においては、Tiのような副成分を含有させることができる。
【0026】
導電性支持板には、第1の金属、第1の合金および第1の複合金属材料よりなる群から選択される少なくとも1種類の導電性材料が80重量%〜100重量%含有されているか、もしくは25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素の含有率が80重量%〜100重量%の範囲内であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。含有量を80重量%未満にすると、内圧上昇時に安全弁周縁部の変形を十分に抑えることが困難になるため、安全弁の作動圧のばらつきが大きくなる恐れがある。含有量のさらに好ましい範囲は、90〜100重量%で、最も好ましい範囲は、95〜100重量%である。
【0027】
導電性支持板の20℃における面積抵抗値RSは、下記(1)式から算出される。
【0028】
RS=R×S (1)
ここで、Rは導電性支持板の20℃における抵抗値(μΩ)で、Sは導電性支持板の主面の面積(cm2)である。導電性支持板が例えば図5に示すような円環状である場合、導電性支持板の主面とは、図5の平面図において網掛けで示した領域である。
【0029】
導電性支持板の20℃における抵抗値(μΩ)については、4端子法による測定が可能である。4端子法とは、電流と電圧をそれぞれ別々の回路で測定する方式で、導電性支持板の任意の2箇所に最大1Aの電流を5秒を越えない範囲でそれぞれ通電し、この際の測定箇所における電圧を測定し、通電した電流と測定された電圧の関係からオームの法則により抵抗値を算出する方法である。なお、測定は、導電性支持板の周囲が十分一様な温度で、熱のふく射あるいは強制的な空気の流れにより影響を受けない条件下で行わなければならない。また、測定温度の許容差は20℃±2℃とする。
【0030】
導電性支持板の20℃における面積抵抗値RSが1.24(μΩ・cm)を超えると、非水電解質二次電池の大電流放電特性が低下する。面積抵抗値RSが小さくなるほど、大電流放電特性が高くなる反面、過充電等の異常時に二次電池に大電流が流れやすくなる。よって、20℃における面積抵抗値RSを0.032(μΩ・cm)未満にすると、過充電等の異常時に急激な温度上昇やガス発生を生じやすくなるため、破裂あるいは発火に至る確率が高くなる恐れがある。導電性支持板の20℃における面積抵抗値RS(20℃)の好ましい範囲は、0.05(μΩ・cm)〜0.35(μΩ・cm)である。前記抵抗値がこの範囲にあると、出力特性が大幅に向上するため、好ましい。前記抵抗値(20℃)のさらに好ましい範囲は、0.05(μΩ・cm)〜0.21(μΩ・cm)である。
【0031】
本発明に係る非水電解質二次電池では、安全弁周縁部が導電性支持板でしっかりと支持されるため、過充電などの異常が生じて電池内圧が上昇しても、安全弁周縁部に変形が生じない。従って、電池内圧が所定値以上に達した場合に弁体部が速やかに開裂し、電池容器内部に充満したガスを外部へ放出するため、電池の破裂を未然に防止し、かつ出力特性に優れた非水電解質二次電池を実現することが可能となる。
【0032】
導電性支持板の板厚は、20℃における面積抵抗値RSが本発明において規定した範囲内の値であれば、任意の値にすることができる。板厚の好ましい範囲は0.2mm〜0.5mmである。この理由は、導電性支持板の板厚が0.5mmより大きいと、かしめ加工に不具合が生じ電解液が漏液してしまう恐れがあるからである。また、導電性支持板の厚さが0.2mm未満であると、安全性改良の効果が十分に得られないからである。板厚のさらに好ましい範囲は、0.25mm〜0.35mmの範囲内である。
【0033】
以下、正極、負極および非水電解質について説明する。
【0034】
a)正極
正極は、集電体と、この集電体の片面もしくは両面に担持される活物質層とを含む。
【0035】
この正極は、例えば正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる正極材ペーストを集電体の片側、もしくは両面に塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより作製される。
【0036】
正極活物質としては、例えば、LiCoO、組成式LiCo1−xもしくはLiNi1−xで表されるリチウム複合金属酸化物、LiFePOなどのオリビン型構造のリチウム複合金属酸化物などを挙げることができる。但し、前記Mは1種以上の元素であり、前記xは0<x≦0.5を示す。具体的にはLiCo1−xNi、LiNi1−xCo、LiNi1−x−yCoAl、LiNi1−x−yCoMn等を挙げることができる。ただし、x、yは0<x≦0.5、0≦y<0.5、かつ0<x+y≦0.5を示す。
【0037】
また、これらのリチウム複合金属酸化物を2種以上混合したものを正極活物質として用いても良い。このような正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル複合金属酸化物とスピネル型リチウムマンガン酸化物との混合物を挙げることができる。リチウム複合酸化物としては、例えば、LiNiO、LiNi0.7Co0.3、LiCo0.8Ni0.2、Li . 75Ni0.755Co0.171.90.1、Li1.10Ni0.74Co0.161.850.15、Li . 75Ni0.705Co0.17Al0.051.90.1、Li1.10Ni0.72Co0.16Nb0.021.850.15、LiNi1−x−yCoで表されるリチウムニッケル複合酸化物などを挙げることができる。但し、Mは、Al、B及びNbよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、x、yは0<x≦0.5、0<y<0.5、かつ0<x+y≦0.5を示す。
【0038】
中でも、組成式LiNi1−x−yCoで表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いることが好ましい。但し、Mは、Al、B及びNbよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記x、yは0<x≦0.5、0<y<0.5、かつ0<x+y≦0.5を示す。具体的には、LiNi1−x−yCoAl、LiNi1−x−yCo、LiNi1−x−yCoNb2、LiNi1−a−b−cCoAlNb等を挙げることができる。ただし、x、yは0<x≦0.5、0<y<0.5、かつ0<x+y≦0.5を示す。一方、a、b、cは、0<a≦0.5、0<b<0.5、0<c<0.5、かつ0<a+b+c≦0.5を示す。このようなリチウムニッケル複合金属酸化物は、熱安定性が高く安全性に優れるため好ましい。
【0039】
スピネル型リチウムマンガン酸化物としては、具体的には、Li1+aMn2-a、Li1+aMn2-a-bCo、 Li1+aMn2-a-bAl、 Li1+aMn2-a-bFe、 Li1+aMn2-a-bMg、 Li1+aMn2-a-bTi、 Li1+aMn2-a-bNb、 Li1+aMn2-a-bGe等を挙げることができる(aは0<a、かつ2>a+bを示す)。
【0040】
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、人工黒鉛、天然黒鉛等を用いることができる。
【0041】
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFの水素もしくはフッ素のうち、少なくとも1つを他の置換基で置換した変性PVdF、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体等を用いることができる。
【0042】
結着剤を分散させるための有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が使用される。
【0043】
集電体としては、例えば厚さ10〜25μmのアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔等を挙げることができる。
【0044】
正極の活物質層の片面の厚さは、30〜100μmであることが好ましい。前記厚さがこの範囲であると、大電流放電特性が向上する。前記厚さの好ましい範囲は、50μm〜65μmである。
【0045】
正極において、活物質層の圧延後の充填密度は2.7g/cm以上が好ましい。更に好ましくは3.0g/cm以上である。充填密度を3.0g/cm以上とすると電池を高容量化することができる。ただし、充填密度が高すぎると大電流放電特性が低下する恐れがあるため、充填密度の上限値は3.5g/cmであることが好ましい。
【0046】
b)負極
負極材料としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物、リチウムイオンを吸蔵・放出するカルコゲン化合物、軽金属等を挙げることができる。中でもリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物またはカルコゲン化合物を含む負極は、前記二次電池のサイクル寿命などの電池特性が向上するために好ましい。
【0047】
リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物としては、例えば、コークス、炭素繊維、熱分解気相炭素物、黒鉛、樹脂焼成体、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ球状カーボンの焼成体などを挙げることができる。中でも、2500℃以上で黒鉛化したメソフェーズピッチ系炭素繊維またはメソフェーズ球状カーボンを用いると電極容量が高くなるため好ましい。
【0048】
リチウムイオンを吸蔵・放出するカルコゲン化合物としては、例えば、二硫化チタン(TiS)、二硫化モリブデン(MoS)、セレン化ニオブ(NbSe)などを挙げることができる。このようなカルコゲン化合物を負極に用いると、二次電池の電圧は降下するものの負極の容量が増加するため、二次電池の容量が向上される。更に、負極はリチウムイオンの拡散速度が大きいため、二次電池の急速充放電性能が向上される。
【0049】
軽金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム金属、リチウム合金などを挙げることができる。
【0050】
炭素質物を含む負極は、具体的には、炭素質物、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる負極材ペーストを集電体に片側、もしくは両面に塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより作製される。
【0051】
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0052】
集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔等を用いることができるが、電気化学的な安定性および捲回時の柔軟性等を考慮すると、銅箔がもっとも好ましい。このときの箔の厚さとしては、8μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0053】
集電体の片面に形成される活物質層の厚さは、30〜100μmであることが好ましい。前記厚さがこの範囲であると、大電流放電特性が向上する。前記厚さの好ましい範囲は、50μm〜65μmである。
【0054】
負極において、活物質層の圧延後の充填密度は1.35g/cm以上が好ましい。更に好ましくは1.4g/cm以上である。充填密度を1.4g/cm以上とすると電池を高容量化することができる。ただし、充填密度が高すぎると大電流放電特性が低下する恐れがあるため、充填密度の上限値は1.5g/cmであることが好ましい。
【0055】
c)非水電解質
非水電解質としては、液状非水電解質、高分子ゲル状電解質、高分子固体電解質、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質などを用いることができる。
【0056】
液状非水電解質は、例えば、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される。高分子ゲル状電解質は、液状非水電解質と、この液状非水電解質を保持する高分子材料とを含むものである。高分子固体電解質は、電解質と、この電解質を保持する高分子材料とを含むものである。
【0057】
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)あるいはメチルエチルカーボネート(MEC)もしくはジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)やジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)や2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)などの環状エーテルやクラウンエーテル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)などの脂肪酸エステル、アセトニトリル(AN)などの窒素化合物、スルホラン(SL)やジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄化合物などを挙げることができる。非水溶媒としては、前述した種類の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0058】
中でも、EC、PCおよびγ−BLよりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる非水溶媒や、EC、PCおよびγ−BLよりなる群から選ばれる少なくとも1種とDMC、MEC、DEC、DME、DEE、THF、2−MeTHF及びANよりなる群から選ばれる少なくとも1種とからなる混合溶媒を用いることが望ましい。また、負極にリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いる場合に、二次電池のサイクル寿命を向上させる観点から、ECとPCとγ−BLからなる混合溶媒、ECとPCとMECからなる混合溶媒、ECとPCとDECからなる混合溶媒、ECとPCとDEEからなる混合溶媒、ECとANからなる混合溶媒、ECとMECからなる混合溶媒、PCとDMCからなる混合溶媒、PCとDECからなる混合溶媒、またはECとDECからなる混合溶媒を用いることが望ましい。
【0059】
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、四塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]などのリチウム塩を挙げることができる。中でもLiPF、LiBF、LiN(CFSOを用いると、導電性や安全性が向上されるために好ましい。
【0060】
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2.0モル/Lの範囲にすることが好ましい。
【0061】
ゲル状非水電解質は、上記の非水溶媒と電解質を高分子材料に溶解させてゲル状にしたものである。高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PEO)、アクリロニトリル、アクリレート、フッ化ビニリデンまたはエチレンオキシドをモノマーとして含む共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などが挙げられる。
【0062】
固体電解質としては、上記の電解質を高分子材料に溶解させて固体化したものである。高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PEO)、アクリロニトリル、フッ化ビニリデンまたはエチレンオキシドをモノマーとして含む共重合体などが挙げられる。
【0063】
無機固体電解質としては、例えば、リチウムを含有したセラミック材料などを挙げることができる。具体的には、Li3N、Li3PO4−Li2S−SiS2ガラスなどが挙げられる。
【0064】
本発明に係わる非水電解質二次電池の一実施形態である円筒形非水電解質二次電池の一例を図1〜図7を参照して説明する。
【0065】
図1は、本発明に係る非水電解質二次電池の一例を示す部分断面図である。図2は、図1の非水電解質二次電池に組込まれているリード固定部材を説明するための模式図である。図3は、図1の非水電解質二次電池に組込まれている安全弁を示す斜視図である。図4は、図3の安全弁を底面側から見た平面図である。図5は、図1の非水電解質二次電池に組込まれている導電性支持板を説明するための模式図である。図6は、図1の非水電解質二次電池に組込まれている封口部材と正極リードとを示す拡大断面図である。図7は、図1の非水電解質二次電池において電流遮断機構が作動した状態を説明するための拡大断面図である。
【0066】
有底円筒形の容器1は、例えば、表面にニッケルめっきが施された鉄材料のような金属から形成されている。この容器1は、負極端子を兼ねる。リング状の絶縁体2は、容器1内の底部に配置されている。電極群3は、前記容器1内に収納されている。電極群3は、正極4、セパレータ5および負極6をこの順序で積層した帯状物を渦巻き状に捲回した構造を有する。セパレータ5としては、例えば、不織布、ポリプロピレン微多孔フィルム、ポリエチレン微多孔フィルム、ポリエチレン−ポリプロピレン微多孔積層フィルムなどを挙げることができる。
【0067】
非水電解液は、容器1内に収容されている。ガス抜き孔7が開口されている円板状の電極群押え板8は、電極群3上に配置されている。封口部材は、リード固定部材9と、円環状の絶縁部材10と、安全弁11と、導電性支持板12と、正極端子13とを備える。
【0068】
リード固定部材9は、円形のフレーム9aと、前記フレーム9aに一体的に形成されているリード接続板9bとを備える。フレーム9aとリード接続板9bとの間に存在する3つの空間9cは、ガス抜き孔としてそれぞれ機能する。リード接続板9bにおいては、安全弁と接する面が第1の面で、正極リードが接続される面が第2の面である。リード固定部材9は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属から形成される。
【0069】
円環状の絶縁部材10は、前記リード固定部材9内に配置されている。また、この絶縁部材10は、例えば、ポリプロピレンのような樹脂から形成される。
【0070】
安全弁11は、円形の窪み部11aと窪み部11aの上端周縁に形成された円環状の周縁部11bとを有する皿型形状をしている。リード接続板9bの第1の面と接する突起11cは、窪み部11aの底面に形成されている。弁体部14は、窪み部11aの底面に形成された円環状の薄肉部11dと、前記薄肉部11dから放射状に延出した薄肉部11eとを備える。このような安全弁11の周縁部11bが環状絶縁部材10上に載置されているため、安全弁11の底面の突起11cのみがリード固定部材9のリード接続板9bの第1の面と接触する。つまり、安全弁11とリード固定部材9との電気的な接続は、1点のみの接触によりなされる。安全弁11は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属から形成される。また、安全弁11の周縁部11bの厚さは、0.25mm〜0.5mmの範囲内にすることが好ましい。
【0071】
図5には、導電性支持板12の平面図と縦断面図を示す。この図5に示すように、導電性支持板12は、中央付近にガス抜き孔12aが開口されている円板形状をなしている。このような導電性支持板12は、安全弁11の周縁部11bに積層されている。
【0072】
正極端子13は、帽子形をなし、また、複数のガス抜き孔13aを有する。この正極端子13は、例えば、表面にニッケルめっきが施された鉄材料などの金属から形成される。
【0073】
このような構成を有する封口部材は、容器1の開口部にリング状の絶縁ガスケット15を介してかしめ固定されている。
【0074】
正極リード16の一端は、正極4に接続され、かつ他端は前記リード固定部材9のリード接続板11bの第2の面に溶接されている。すなわち、正極側の電流経路は、電極群3の正極4から、正極リード16、リード固体部材9、安全弁11および導電性支持板12を通って正極端子13に至るものである。
【0075】
一方、負極リード17の一端は、負極6に接続され、かつ他端が絶縁体2の開口部を通して容器1の底部内面に溶接されている。
【0076】
このような構造を有する非水電解質二次電池において、過充電等の異常事態により異常電流が流れ、ガスが発生すると、リード固定部材9のガス抜き孔9cを通して安全弁11の底部に圧力が加わる。図7に示すように、この圧力により突起11cが持ち上がると、正極リード16から正極端子13へ至る電流経路が断たれるため、異常電流を遮断することができる。
【0077】
また、安全弁11は、導電性支持板12によって絶縁ガスケット15および絶縁部材10に押し付けられているため、安全弁11の周縁部11bが電池内圧により変形するのを抑えることができる。その結果、安全弁11の作動圧のばらつきを小さくすることができるため、弁体14を常に所定の電池内圧で破断させることができる。従って、この破断箇所、ガス抜き孔12aおよび正極端子13のガス抜き孔13aを通ってガスが外部に放出されることで、電池の破裂を再現性良く防止することができる。
【0078】
以上説明したように、安全弁11が持つ電流遮断機能とガス抜き機能によって、二次電池における過充電等の異常時の破裂及び発火を防止することができる。同時に、本発明に係る非水電解質二次電池によれば、高出力特性を得ることができる。
【0079】
なお、前述した図5においては、導電性支持板12の形状をリング状にした例を説明したが、これに限らない。中でも、安全弁の周縁部の主面と同一形状の主面を持つ導電性支持板によると、安全弁の周縁部の主面全体を導電性支持板の主面と接触させることができるため、安全弁の周縁部を確実に固定でき、望ましい。なお、導電性支持板の厚さは、安全弁の周縁部の厚さと等しくても、異なっていても良い。
【0080】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図1〜図7を参照して詳細に説明する。
【0081】
(実施例1)
<導電性支持板>
前述した図5に示すような平板リング形状を有し、かつ100重量%のニッケルを含有する導電性支持板を用意した。この支持板の寸法は、外径16.3mm、中心穴径9.8mmで、厚さが0.31mmである。従来のPTC素子とほぼ同等な寸法であるが、PTC特性は有していない。また、このニッケル含有支持板の面積抵抗値(20℃)は0.21μΩ・cmであった。さらに、丸善株式会社から出版されている日本金属学会編集の金属データブック(改訂2版)(発行日1984年1月30日)の35頁の表1・3・1に掲載されているInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataから得られるニッケルの25℃の弾性率(ヤング率)[dyn/cm]を[Pa]に換算すると、ニッケルの25℃における弾性率(ヤング率)は2.05×1011Paとなる。
【0082】
<正極の作製>
ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液に、LiCoO粉末と、導電剤としてのアセチレンブラックおよびグラファイトを加えて撹拌混合し、LiCoO90重量%、アセチレンブラック3重量%、グラファイト3重量%、ポリフッ化ビニリデン4重量%からなる正極合剤を調製した。この正極合剤をアルミニウム箔(厚さ20μm)の両面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機を用いて加圧成形することにより厚さ140μmの正極を作製した。
【0083】
<負極の作製>
メソフェーズピッチを原料としたメソフェーズピッチ炭素繊維をアルゴン雰囲気下、1000℃で炭素化した後、平均繊維長30μm、平均繊維径11μm、粒度1〜80μmで90体積%が存在するように、かつ粒径0.5μm以下の粒子を少なく(5%以下)なるように適度に粉砕した後、アルゴン雰囲気下で3000℃にて黒鉛化することにより炭素質物を作製した。
【0084】
ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液に前記炭素質物と人造黒鉛を加えて撹拌混合し、合剤組成が炭素質物86重量%、人造黒鉛10重量%、ポリフッ化ビニリデン4重量%からなる負極合剤を調製した。これを銅箔(厚さ12μm)の両面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機で加圧成形して負極を作製した。この際、成形後の正極の設計容量に対する負極の設計容量の比(容量バランス)が、1.05以上、1.1以下になるように充填密度と電極長さを調節した。
【0085】
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比1:2)に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1M溶解させ、非水電解液を調製した。
【0086】
<電池の組立>
正極および負極に、それぞれアルミニウム製の正極リード、ニッケル製の負極リードを溶接した後、前記正極、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータおよび負極をそれぞれこの順序で積層し、渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
【0087】
この電極群をニッケルめっき鉄製の有底円筒状容器内に収納し、負極リードを有底円筒状容器の底部に、正極リードをアルミニウム製リード固定部材のリード接続板の第2の面にそれぞれ溶接した。
【0088】
つづいて、有底円筒状容器内に非水電解液を注液し、電極群に非水電解液を十分に含浸させた。そして、前述した図3,4に示す皿型構造を有し、周縁部の厚さが0.3mmで、かつアルミニウム製の安全弁を、ポリプロピレン製の円環状の絶縁部材を介してリード固定部材上に配置した。この安全弁の周縁部にニッケル含有支持板を重ねた後、ニッケル含有支持板の上にニッケルめっき鉄製の正極端子を配置し、封口部材を得た。この封口部材を容器の開口部に絶縁ガスケットを介してかしめ固定した。
以上のようにして、前述した図1に示す構造を有し、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0089】
(実施例2)
100重量%のニッケルを含有し、上記実施例1と外径と中心穴径が同じで、かつ厚さが0.5mmであるニッケル含有支持板を用意した。この支持板の20℃における面積抵抗値は、0.35μΩ・cmであった。
【0090】
かかるニッケル含有支持板を導電性支持板として用いると共に、電池内部が気密になるようにかしめ高さを調整すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0091】
(実施例3)
100重量%の銅を含有する平板リング状の支持板を使用した。この支持板の外径、中心穴径および厚さは、上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は0.05μΩ・cmであった。さらに、前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、銅の25℃における弾性率(ヤング率)は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で1.36×1011Paである。
【0092】
かかる銅含有支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0093】
(実施例4)
25℃における弾性率(ヤング率)が1.9×1011Paであるニッケルめっき鉄を100重量%含有する平板リング状の支持板を使用した。この支持板の外径、中心穴径および厚さは、上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は0.30μΩ・cmであった。
【0094】
なお、前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、鉄の25℃におけるヤング率は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で1.9×1011Paである。
【0095】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0096】
(実施例5)
25℃における弾性率(ヤング率)が1.5×1011Paであるニッケル/銅/ニッケルの三層構造体からなる平板リング状の支持板を用意した。前述したように、ニッケルの25℃における弾性率(ヤング率)と銅の25℃における弾性率(ヤング率)は、いずれも、1×1011Pa以上、3.27×1011Pa以下の範囲内にある。従って、実施例5の導電性支持板において、25℃のヤング率が1×1011Pa以上、3.27×1011Pa以下の範囲内にある元素の含有率は、100重量%である。また、この三層構造体は、厚さ0.2mmの銅板を厚さ0.05mmのニッケル薄板で両側から挟み込んだクラッド処理加工品である。よって、銅板の厚さを1とした際のニッケル板の合計厚さの比は、0.5である。また、支持板の外径、中心穴径は、上記実施例1と全く同様である。さらに、面積抵抗値(20℃)は0.10μΩ・cmであった。
【0097】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0098】
(実施例6)
モリブデンを100重量%含有する平板リング状の支持板を使用した。この支持板の外径、中心穴径、および厚さは上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は0.16μΩ・cmであった。また、前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、モリブデンの25℃におけるヤング率は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で3.27×1011Paである。
【0099】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0100】
(実施例7)
25℃における弾性率(ヤング率)が2.2×1011Paであるニッケル−鉄合金を100重量%含有する平板リング状の支持板を使用した。この支持板の外径、中心穴径、および厚さは上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は1.24μΩ・cmであった。
【0101】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0102】
(実施例8)
厚さ0.3mmの銅板と、前記銅板の主面の両側に形成された厚さ3μmのNiメッキ層とを備えるリング状のニッケルめっき銅板を導電性支持板として用意した。この支持板の外径、中心穴径は上記実施例1と全く同様である。前記支持板を形成するニッケルめっき銅は、25℃における弾性率(ヤング率)が1.39×1011Paである。従って、前記支持板中の25℃におけるヤング率が1×1011Pa以上、3.27×1011Pa以下の範囲内にある金属元素の含有率は、100重量%である。また、Niメッキ層の合計厚さは、6μmである。さらに、前記支持板の面積抵抗値(20℃)は、0.055μΩ・cmであった。
【0103】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0104】
(実施例9)
厚さ0.17mmの銅板と、前記銅板の主面の両側に形成された厚さ3μmのNiメッキ層とを備えるリング状のニッケルめっき銅板を導電性支持板として用意した。この支持板の外径、中心穴径は上記実施例1と全く同様である。前記支持板を形成するニッケルめっき銅は、25℃における弾性率(ヤング率)が1.37×1011Paである。従って、前記支持板中の25℃におけるヤング率が1×1011Pa以上、3.27×1011Pa以下の範囲内にある金属元素の含有率は、100重量%である。また、Niメッキ層の合計厚さは、6μmである。さらに、前記支持板の面積抵抗値(20℃)は、0.032μΩ・cmであった。
【0105】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0106】
(比較例1)
タングステン製の平板リング状の支持板を用意した。この支持板の面積抵抗値(20℃)は0.18μΩ・cmであった。また、前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、タングステンの25℃におけるヤング率は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で4.027×1011Paである。
【0107】
かかる支持板を導電性支持板として用いると共に、電池内部が気密になるようにかしめ高さを調整すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0108】
(比較例2)
アルミニウム製の平板リング状の支持板を用意した。前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、アルミニウムの30℃における弾性率(ヤング率)は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で0.757×1011Paである。なお、弾性率(ヤング率)は、一般的に、温度と共に低下する傾向にある。アルミニウムのヤング率についての温度係数は小さいため、アルミニウムの25℃におけるヤング率は、1×1011Paよりも小さくなる。この支持板の外径、中心穴径および厚さは、上記実施例1と全く同様である。この支持板の面積抵抗値(20℃)は0.082μΩ・cmであった。
【0109】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0110】
(比較例3)
チタン製の平板リング状の支持板を用意した。前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、チタンの25℃における弾性率(ヤング率)は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で1.142×1011Paである。この支持板の外径、中心穴径および厚さは、上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は1.3μΩ・cmであった。
【0111】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0112】
(比較例4)
銅製の平板リング状の支持板を用意した。この支持板の外径、中心穴径は上記実施例1と全く同様であるが、厚さは0.17mmであった。この支持板の面積抵抗値(20℃)は0.028μΩ・cmであった。
【0113】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0114】
以上のようにして得られた実施例1〜実施例9、及び比較例1〜比較例4のリチウム二次電池を所定個数用意し、出力特性を評価した。この出力特性を規定する方法として、ここでは2つの電流値で放電した際に得られる各放電容量の比で規定する方法を採用した。すなわち、電池の公称容量である1500mAhを1時間で放電する1500mAの電流を1Cとした時に、0.2Cで放電した時の放電容量(0.2C)、5Cで放電した時の放電容量(5C)をそれぞれ測定し、2つの放電容量の比、すなわち下記(2)式から算出される値X(%)を大電流放電容量比とし、以下、本文中で使用することとする。
【0115】
X(%)=(C5C/C0.2C)×100
ここで、C5Cは5Cでの放電容量で、C0.2Cは0.2Cでの放電容量である。
【0116】
大電流放電容量比の値を表1に示す。
【0117】
【表1】
Figure 0003798737
表1より明らかなように、面積抵抗値RS(20℃)が0.032(μΩ・cm)〜1.24(μΩ・cm)の範囲内である導電性支持板を使用した実施例1〜実施例9の二次電池は、大電流放電比がいずれも80%以上で、出力特性に優れることが確認できた。特に、厚さ0.31mmのニッケル含有支持板を使用した実施例1と銅含有支持板を使用した実施例3は大電流放電比が95%以上で、出力特性が特に優れることが確認できた。
【0118】
これに対し、面積抵抗値RSが1.3(μΩ・cm)である導電性支持板を用いた比較例3の二次電池では、大電流放電比が80%未満であり、出力特性はあまり良くなかった。
【0119】
また、充電器の故障を想定し、上記大電流放電比が80%以上であった実施例1〜実施例9、各比較例の電池について、それぞれ7.5A(5C)の電流値で急速充電を行い、定格容量の200%まで充電する過充電試験を実施した。その結果を表1に示した。試験用サンプルを各実施例毎に100個作製し、過充電試験の結果、安全弁が正常に作動して破裂および発火に至らなかった電池の100個に対する割合を基に評価ランクを決定した。すなわち、AAランクは前記割合が98%以上、100%、Aランクは前記割合が95%以上、98%未満、Bランクは前記割合が80%以上、95%未満、Cランクは前記割合が80%未満とした。
【0120】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例9の電池では、安全弁が作動し、破裂弁の開裂と電流遮断が正常に行われたため、破裂や発火に至った電池は少なかった。特に、実施例1〜5および実施例7〜8は、過放電試験の評価ランクがAAランクと安全性に極めて優れることが確認できた。
【0121】
これに対し、比較例1,2,4の電池では、安全弁作動圧のバラツキが大きく、破裂や発火に至ったものが多数見られた。一方、比較例3の二次電池は、導電性支持板が25℃におけるヤング率が1.1×1011PaのTiで形成されているため、過放電試験の評価ランクをAにすることができた。
【0122】
(実施例10)
ニッケルを100重量%含有し、外径24.3mm、中心穴径14.1mmで、厚さが0.31mmの平板リング状の支持板を用意した。このニッケル含有支持板の面積抵抗値(20℃)は0.20μΩ・cmであった。また、前述したInternational Tables of Selected Constants, 16, Metals, Thermal and Mechanical Dataによると、ニッケルの25℃の弾性率(ヤング率)は、[dyn/cm]から[Pa]への換算値で2.05×1011Paとなる。
【0123】
次に、実施例1で用いたものと同じで、電極長さが異なる正極と負極を作製した。正極および前記負極に、それぞれアルミニウム製の正極リード、ニッケル製の負極リードを2本づつ溶接した後、前記正極、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータおよび前記負極をそれぞれこの順序で積層し、前記負極が外側に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
【0124】
これをφ26mm、高さ650mmの電池容器に収納し、実施例1と同様にして、設計定格容量3Ahの円筒形リチウムイオン二次電池(26650サイズ)を組み立てた。この様な実施例1とは形状が異なる電池においても実施例1〜実施例9と同一の平板リング状の支持板を使用することによって、各実施例1〜実施例9と同様な作用・効果の傾向が得られた。
【0125】
(比較例5)
2枚のニッケル箔で、ポリマとカーボンの混合物からなる導電性シートを挟んだ構造のPTC(Positive Temperature Coefficient)素子を用意した。このPTC素子の外径、中心穴径および厚さは、上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は、3.2×10μΩ・cmであった。PTC素子中のニッケル含有量は、59重量%であった。
【0126】
このPTC素子を導電性支持板の代わりに用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0127】
前述した実施例1の二次電池について、1.5A(1C)で4.2Vまで定電流定電圧充電を施した後、7.5A(5C)で2.7Vまで放電する充放電サイクルを50サイクル繰り返した。一方、比較例5の二次電池については、1.5A(1C)で4.2Vまで定電流定電圧充電を施した後、7.5A(5C)で2.7Vまで放電しようとしたところ、ジュール発熱によって放電末期に電池温度が60℃以上に達したため、PTC素子の抵抗値が増大し、放電が中断された。そこで、比較例5の二次電池については、電池温度が20℃に戻った後、0.5C(0.75A)の電流値で再度放電を行い、2.7Vまで完全に放電させた。このような充放電サイクルを50サイクルを繰り返した。
【0128】
その後、実施例1および比較例5の二次電池について、5Cの電流値で急速充電を行い、定格容量の200%まで充電する過充電試験を実施した。その結果、実施例1の二次電池は、安全弁が正常に作動して破裂および発火に至らなかった電池の100個に対する割合が98%以上、100%のAAランクであった。これに対し、比較例5の二次電池は、前記割合が80%未満のCランクであった。
【0129】
比較例5の二次電池によると、大電流放電を繰り返した後の安全性が低下するのは、以下に説明する理由によるものであると推測する。すなわち、大電流放電を繰り返すことによって電池温度の上昇・下降が繰り返され、PTC素子中に含まれるポリマの熱膨張・収縮が繰り返されるため、ポリマに熱劣化が生じる。その結果、PTC素子の機械的強度が低下するため、過充電等の異常時の電池内圧の上昇により安全弁の周縁部(縁部)に変形を生じ、弁作動圧のばらつきが大きくなる。
【0130】
実施例1の二次電池では、導電性支持板中に25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの範囲内の金属が80重量%以上含有されているため、大電流放電を繰り返した際の電池温度の上昇・下降に伴う導電性支持板の熱劣化を防止することができる。その結果、実施例1の二次電池は、ハイレートサイクルを繰り返した後も安全弁の弁作動圧のばらつきを小さくすることができる。
【0131】
(実施例11)
ニッケル粉末95重量%とテフロン(R)(PTFE)5重量%を乳鉢で十分に混合した後、加圧成形機で成形して平板リング状の導電性支持板を作製した。このニッケル含有支持板の外径、中心穴径、および厚さは上記実施例1と全く同様である。面積抵抗値(20℃)は0.855μΩ・cmであった。さらに、実施例11の導電性支持板において、25℃のヤング率が1×1011Pa以上、3.27×1011Pa以下の範囲内にある元素の含有率は、95重量%である。
【0132】
かかる支持板を導電性支持板として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして、設計定格容量1500mAhの円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0133】
このようにして得られた実施例11のリチウム二次電池について、前述した実施例1で説明したのと同様にして出力特性を評価したところ、大電流放電比は87%であった。また、前述した実施例1で説明したのと同様にして過充電試験を実施したところ、安全性の評価ランクはAランクであった。
【0134】
従って、本発明によれば、安全弁が導電性支持板でしっかりと支持されるため、過充電などの異常が生じて電池内圧が上昇しても、安全弁の周縁部に変形は生じない。このため、安全弁の作動圧のバラツキを低減し、確実に作動して電池の破裂を未然に防止することができる電池を提供できる。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、大電流放電特性に優れ、かつ過充電時の破裂および発火の発生率が低減された非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の一例を示す部分断面図。
【図2】図1の非水電解質二次電池に組込まれているリード固定部材を説明するための模式図。
【図3】図1の非水電解質二次電池に組込まれている安全弁を示す斜視図。
【図4】図3の安全弁を底面側から見た平面図。
【図5】図1の非水電解質二次電池に組込まれている導電性支持板を説明するための模式図。
【図6】図1の非水電解質二次電池に組込まれている封口部材と正極リードとを示す拡大断面図。
【図7】図1の非水電解質二次電池において電流遮断機構が作動した状態を説明するための拡大断面図。
【図8】従来の非水電解質二次電池の安全弁を説明する断面図。
【符号の説明】
1…容器
3…電極群
4…正極
5…セパレータ
6…負極
9…リード固定部材
9a…フレーム
9b…リード接続板
10…絶縁部材
11…安全弁
11a…窪み部
11b…周縁部
11c…突起
11d…円環状の薄肉部
11e…放射状の薄肉部
12…導電性支持板
12a…ガス抜き孔
13…正極端子
13a…ガス抜き孔
14…弁体部
15…絶縁ガスケット
16…正極リード
17…負極リード

Claims (8)

  1. 容器と、前記容器内に収納されると共に、正極と負極と非水電解質とを含む電極群と、前記容器の開口部に配置される封口部材とを具備する非水電解質二次電池であり、
    前記封口部材は、前記容器内の圧力上昇により破裂する弁体部を含む導電性の安全弁と、前記正極と電気的に接続される正極端子と、前記安全弁と前記正極端子の間に配置され、25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素としてCu及びNiを含有し、かつ20℃における面積抵抗値RSが0.032(μΩ・cm)〜1.24(μΩ・cm)の範囲内である導電性支持板とを具備し、
    前記導電性支持板は、Cu含有層と、前記Cu含有層の少なくとも主面に形成されるNiメッキ含有層とを備え、前記Cu含有層の一方の主面に形成されるNiメッキ含有層と前記Cu含有層の他方の主面に形成されるNiメッキ含有層との合計厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲内であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記合計厚さは、4μm以上、6μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 容器と、前記容器内に収納されると共に、正極と負極と非水電解質とを含む電極群と、前記容器の開口部に配置される封口部材とを具備する非水電解質二次電池であり、
    前記封口部材は、前記容器内の圧力上昇により破裂する弁体部を含む導電性の安全弁と、前記正極と電気的に接続される正極端子と、前記安全弁と前記正極端子の間に配置され、25℃における弾性率(ヤング率)が1×10 11 Pa〜3 . 27×10 11 Paの金属元素としてCu及びNiを含有し、かつ20℃における面積抵抗値RSが0 . 032(μΩ・cm )〜1.24(μΩ・cm )の範囲内である導電性支持板とを具備し、
    前記導電性支持板は、Cu含有層と前記Cu含有層の主面に形成されるNi含有層とを備えるクラッド材から形成されたものであり、前記Cu含有層の厚さを1とした際に前記Ni含有層の合計厚さは、0.1〜1の範囲内であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  4. 前記合計厚さは、0.25〜0.5の範囲内であることを特徴とする請求項記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記導電性支持板には、前記25℃における弾性率(ヤング率)が1×1011Pa〜3.27×1011Paの金属元素が、80重量%〜100重量%の範囲内で含まれていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記面積抵抗値RSは、0 . 05(μΩ・cm )〜0.35(μΩ・cm )の範囲であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記導電性支持板の板厚は、0.2mm〜0.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記安全弁は、電極群側に窪んでいる窪み部と、前記窪み部の上端に形成された環状の周縁部とを有し、前記安全弁の前記窪み部に形成されている薄肉部を前記弁体部として用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質二次電池。
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