JP3797852B2 - 消臭剤組成物、及び消臭性接着剤 - Google Patents
消臭剤組成物、及び消臭性接着剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消臭性を有する組成物に関する。より詳しくは、本発明は、悪臭成分であるアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類を効率的に除去することができる消臭剤組成物及び消臭性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、生活水準の著しい向上と共に、より快適な生活環境や作業環境が求められている。例えば、嫌煙運動が盛んになっている原因の一つには、たばこの煙に含まれるアセトアルデヒド、アンモニア、トリメチルアミン、メルカプタン、硫化水素等の多数の悪臭成分が毛髪、衣服、屋内の壁、家具、カーペットや自動車、電車等の乗り物の室内等に付着し、悪臭として残存することが挙げられる。また、最近の新築住宅においては、ホルムアルデヒド等の化学物質を含浸又は塗布した建材が多用され、該化学物質が大量に気化分散して悪臭となる。
このような悪臭成分を除去する消臭剤として、本発明者等はこれまでにヒドラジド類、アゾール類及びアジン類から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする消臭剤を提案している。
【0003】
かかる既出消臭剤は、ホルムアルデヒドなどに対して良好な吸着能を示し、優れた悪臭成分除去効果を奏するものであり有用であるが、ヒドラジド類、アゾール類及びアジン類といった高価な化合物を有効成分とするため、剤自体が高価になるという欠点を有していた。
また、ヒドラジド類、アゾール類及びアジン類等を有効成分とする消臭剤は、比較的低濃度の添加量でも良好な消臭活性を示す反面、単にその配合量を増やしても吸着性能は一定レベル以上には向上しないという課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、少量で良好な消臭活性を有する組成物につき、鋭意検討を重ねた結果、尿素及びその誘導体に着目した。
一般に尿素やエチレン尿素等の尿素誘導体もホルムアルデヒド吸着能を有することが知られているが、その吸着効果は十分に高いものとは言えない。この点、本発明者等は、ヒドラジド類等と尿素類等とを併用することにより、それぞれを単独で使用した場合には予想できないような優れた消臭効果が発現されることを見出し本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、(A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を0.05〜10重量部配合してなる消臭剤組成物に係る。また、本発明は、(A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を0.2〜4重量部配合してなる消臭剤組成物に係る。さらに、本発明は、(A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を1〜4重量部配合してなる消臭剤組成物に係る。また、前記(B)成分がエチレン尿素を含む前記消臭剤組成物に係る。また、本発明は、接着性高分子材料100重量部に、前記消臭剤組成物の何れか1つを1〜15重量部配合してなる消臭性接着剤に係る。
【0006】
【発明の実施の形態】
<消臭剤の組成>
本発明の消臭剤組成物においては、(A)ヒドラジド類(以下、単に(A)成分ということがある)を有効成分として使用する。ヒドラジド類としては、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物等を挙げることができる。
【0007】
モノヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、一般式
R−CO−NHNH2 (1)
〔式中、Rは水素原子、アルキル基又は置換基を有することのあるアリール基を示す。〕
で表されるモノヒドラジド化合物を挙げることができる。
上記一般式(1)において、Rで示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を挙げることができる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、これらの中でもフェニル基が好ましい。またアリール基の置換基としては、例えば、水酸基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等を挙げることができる。
上記一般式(1)のヒドラジド化合物としては、より具体的には、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド等を例示できる。
【0008】
ジヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、一般式
H2NHN−X−NHNH2 (2)
[式中Xは基−CO−又は基−CO−A−CO−を示す。Aはアルキレン基又はアリーレン基を示す。]
で表わされるジヒドラジド化合物を挙げることができる。
上記一般式(2)において、Aで示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキレン基を挙げることができる。アルキレン基の置換基としては、例えば水酸基等を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等を挙げることができ、これらの中でもフェニレン基、ナフチレン基等が好ましい。アリーレン基の置換基としては、上記アリール基の置換基と同様のものを挙げることができる。
上記一般式(2)のジヒドラジド化合物は、具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン−2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0009】
ポリヒドラジド化合物は、具体的には、ポリアクリル酸ヒドラジド等を例示できる。
これらの中でも、ジヒドラジド化合物が好ましく、2塩基酸ジヒドラジドが特に好ましく、アジピン酸ジヒドラジドがより一層好ましい。
上記ヒドラジド化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
本発明の(B)成分は、尿素及び尿素誘導体のうちから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
尿素誘導体としては、尿素結合を有する化合物が例示され、例えば、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、グアニル尿素、アセチル尿素、チオ尿素、グアニルチオ尿素などの他、エチレン尿素、アラントインなどの環状尿素縮合体や、ビウレットなどの尿素二量体などの非環状尿素縮合体などが挙げられる。本発明に於いてはこれら尿素及び尿素誘導体のうちの1種を単独で、又は2種以上を併用して(B)成分として使用することができ、中でも、尿素又は/及びエチレン尿素を使用することが好ましい。
【0014】
本発明の(A)成分に対する(B)成分の使用割合としては、(B)成分1重量部に対し(A)成分が0.05〜10重量部程度配合される。中でも、剤自体の低廉化を特に考慮すれば(A)成分の上限は5重量部、より好ましくは4重量部程度であり、更に、消臭性能の顕著化を特に考慮すれば(A)成分の下限は、0.2重量部、より好ましくは1重量部程度配合される。
【0015】
尚、本発明の消臭剤組成物には、その効果を損なわない範囲で、他の公知の消臭剤(例えば、パーライト、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、硫酸第一鉄とL−アスコルビン酸との結合体等)を添加することができる。
【0016】
<使用例>
本発明の消臭剤組成物は、通常、粉末、溶液又は乳化物などの各種の形態で使用したり、適当な接着剤成分を混合した消臭性接着剤などとして使用することができる。
【0017】
本発明の組成物の粉末は、一般的な粉末と同様に使用でき、例えば、そのまま被処理材に添加混合して使用される。
この粉末形態の具体的な用途としては、例えばこれを合成樹脂の添加剤として練り込み、これをフィルム、シート等の適当な形状の成形品にすることができる。更に、建材等の表面仕上げ用塗料に本発明の組成物の粉末を添加することもできる。
【0018】
また、本発明に係る消臭剤組成物の粉末を、適当な有機溶媒や水等の溶剤に溶解させて溶液形態とした後、被処理材に塗布、含浸又は混合して使用することができる。
ここで、有機溶媒としては公知のものが使用でき、例えば、炭素数1〜8程度の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族飽和アルコール類、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、炭素数1〜8程度の鎖状又は分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素類、アルキル部分が炭素数1〜8程度の直鎖又は分岐鎖状アルキルであるジアルキルエーテル類、ジアリールエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ケトン類、エステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、リン酸エステル類、これらの2種以上の混合溶媒等を挙げることができる。
また、かかる有機溶媒に適量の水を含ませることもできる。
溶媒溶液の形態に調製する際の、有効成分濃度は特に制限されず、得られる溶液の用途等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、(A)、(B)両成分の合計量(消臭剤組成物)を、通常該溶液全量の0.1〜80重量%程度、好ましくは0.5〜60重量%程度とすればよい。
【0019】
溶液の形態で使用される本発明の消臭剤組成物の具体的な用途としては、例えば、木材(主に、合板や繊維板や化粧板等の建材、家具部品)、紙、繊維、繊維製品、樹脂成形品等の処理剤等を挙げることができる。紙、繊維、樹脂成形品(例えば、フィルムやシート)等に処理するには、溶液又は乳化物の形態で、合成樹脂シートの表面や不燃紙などに塗布又は含浸させればよい。より具体的には、壁紙への適用について、合成樹脂シート(例えば塩化ビニル樹脂シート)と不燃紙とから構成されたものを例に取って説明すれば、本発明の消臭剤組成物を合成樹脂に混合成形してシート化したり、合成樹脂シートの表面に塗布したり、或いは不燃紙に含浸又は塗布したりすることができる。また、例えば、処理された不織布は、エアコンや空気清浄機のエアフィルターとして有用である。
【0020】
また、本発明の消臭剤組成物の乳化物も、公知の方法に従い、例えば、本発明の組成物の粉末、水及び界面活性剤を適量ずつ混合することにより製造できる。
さらに、この乳化物と合成樹脂エマルジョンとを混合することにより、混合乳化物として使用することもできる。
ここで、該合成樹脂エマルジョンとしては、例えば酢酸ビニル重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体エマルジョン、塩化ビニル重合体エマルジョン、ウレタン重合体エマルジョン、シリコーン重合体エマルジョン、エポキシ重合体エマルジョン等の乳化重合、溶液重合等により製造される合成樹脂エマルジョンやデンプン水溶液等を挙げることができる。
【0021】
混合乳化物形態の消臭剤を製造する際の有効成分の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、(A)、(B)両成分の合計量(消臭剤組成物)を、0.1〜30重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度となるように、適宜調整すればよい。
このような乳化物の形態で使用される本発明の組成物の具体的な用途としては、例えば、紙類(紙、壁紙等)、繊維、木材(主に合板や化粧板や繊維板等の建材)、樹脂成形品(主にフィルムやシート)等への表面処理剤や、合成樹脂への添加剤等を挙げることができる。
【0022】
また、本発明の組成物の乳化物を、接着性高分子材料に添加混合することにより、消臭性接着剤としても使用することができる。
接着性高分子材料としては、ビニル系高分子などの合成高分子及びデンプンなどの天然高分子の別を問わず用いることができる。具体的には、例えば、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、エチレン共重合体エマルジョン等のエマルジョン系及びデンプン水溶液、酢酸ビニル樹脂系溶液、エチレン共重合体溶液などの溶液系の溶剤揮発型接着性材料や、シアノアクリレート系、ポリウレタン系、尿素樹脂、フェノール系樹脂、フラン樹脂などの化学反応型接着性材料や、ホットメルト系接着剤などの熱溶融型接着性材料や、デンプン水溶液などの再湿型接着性材料などが挙げられる。
これらの中でも、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、尿素樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、デンプン水溶液より選ばれる1種又は2種以上を併用した(少なくとも1種の)接着性材料を用いることが好ましく、この材料100重量部(溶剤揮発型の材料については固形分換算量)に対して、(A)、(B)両成分(消臭性組成物)を合計量で1〜15重量部を配合してなる組成物は、接着剤として特に有用である。
【0023】
かかる消臭性接着剤は、尿素単独を消臭成分として併用する接着剤に比較して吸湿性が少なく、また多湿期の接着性能の維持と防黴性に優れるため好ましい。すなわち、接着剤等への配合に際して、一般的に、尿素を多量に使用すると吸湿性が高まり、多湿時の接着強度の低下や黴の発生等といった問題を生じるが、本発明の消臭性接着剤は、(A)成分と(B)成分の所定量の混合によって尿素類の使用量を抑え、このような問題を生じさせないものである。
また、本発明の消臭性接着剤は、ヒドラジド類等を単独で消臭成分として使用する接着剤に比較して消臭性能に優れ、同等以上の性能をより安価に発現し得るため好ましいものである。
該消臭性接着剤は、前記の優れた特性から木製家具製品の部品製造に際し、木質材料相互の接着や木質材料からなる板材に突板や印刷紙を接着するための接着剤として特に好ましく使用できる。該消臭性接着剤を用いて製造された家具類は、室内空間や家具内部の収納空間へのホルムアルデヒド等の発散がないので、人の健康に安全な家具として安心して使用することができる。
また、合板や壁紙の製造、合板などの建築合板や壁紙の製造、合板などの建築資材の接着や壁紙などの張り付け用の接着剤などとして使用される。
【0024】
更に、本発明の消臭剤組成物の粉末又は該粉末の溶液もしくは乳化物などの各種形態に調製されたものを、適当な合成樹脂と混合し、消臭性樹脂組成物とすることもできる。
合成樹脂としては特に制限されず、公知のものでよく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、メタアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、ABS樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、メタアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、ABS樹脂等が好ましく、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等が特に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン等が好ましく、エポキシ樹脂、ポリウレタン等が特に好ましい。
本発明の消臭性樹脂組成物において、有効成分の配合量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常合成樹脂100重量部に対して、(A)、(B)両成分の合計量(消臭剤組成物)を、0.1〜30重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度となるように、適宜調整すればよい。
【0025】
更に、上記消臭性樹脂組成物に、アゾジカーボンアミド等の発泡剤を添加し、消臭性発泡樹脂組成物とすることもできる。得られる組成物を加熱して発泡させることにより、発泡後のコーティング膜、成形品等の中に微細な気泡が均一に分散し、空気と接触する表面積が著しく増大し、消臭効果がより一層向上する。発泡体の発泡倍率としては、その消臭効果及びその持続性を考慮すると、好ましくは1.2〜60倍、より好ましくは1.5〜50倍とするのがよい。
【0026】
更に、上記消臭性樹脂組成物には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、防黴剤、強化材、充填材等の公知のプラスチック添加剤を添加してもよい。ここで強化材及び充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ホワイトカーボン、カーボンブラック等の公知の無機質充填剤、チタン酸カリウムウィスカー、珪酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、珪酸亜鉛ウィスカー等の無機ウィスカー等を挙げることができる。
【0027】
消臭性樹脂組成物の形態で使用される場合には、例えば、所望の形状の成形物とすることができる。該成形物の具体例としては、例えば、エアコンや空気清浄機用のエアフィルター、フィルム、シート等を挙げることができる。この際の好ましい合成樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン類等である。
尚、本発明の消臭剤組成物の使用例は、上記以外にも、塗料特に屋内用塗料等としても広く使用できる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び試験例を掲げ、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜5
市販の酢酸ビニル系樹脂エマルジョン100重量部(コニシ株式会社製、「CH−7」、固形分換算量)に対して、表1に示す割合(重量部)でエチレン尿素及びアジピン酸ジヒドラジド(ADH)(大塚化学株式会社製)を添加し、接着剤を調製した。尚、比較例5は、エチレン尿素及びアジピン酸ジヒドラジドの何れも添加しないブランクとした。
【0029】
得られた接着剤を80g/m2の割合で合板(F−II規格ラワン合板15mm厚)表面に塗布し、これに化粧紙(プレーンメープル71再塗装紙、80g/m2)を積層して30分間コールドプレスを行い、化粧貼り合板を得た。
【0030】
試験例1
実施例1〜3及び比較例1〜5で得られた化粧貼り合板につき、「JIS 5905 繊維板 ホルムアルデヒド放散量」の測定法に準じ、下記方法に従って、その消臭性能を評価した。
デシケーター(JIS R3503に規定する大きさ240mm内容積約10Lのもの)の底部に300mlの蒸留水を入れた結晶皿(直径120mm、高さ60mm)を置き、その上に磁製プレートを敷き、各実施例、比較例で得られた化粧貼り合板から切り出した試験片(15cm×5cm×7mm)10枚を載せ、20〜25℃で24時間放置して、放出されるホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。
試料溶液中のホルムアルデヒド濃度は、アセチルアセトン法によって光電比色計を用いて比色定量した。
その結果を表1に示す。表中の放出量は、ホルムアルデヒドの放出量(mg/l)を示す。また、表中の除去率は、放出量減少率(比較例5のホルムアルデヒド放出量(接着剤のみを使用して得た化粧板貼り合板から切り出した試験片からのホルムアルデヒド放出量)に対する除去量の除算)を百分率(%)で示したものである。
【0031】
【表1】
【0032】
上記結果から明らかなように、ADH単独又はエチレン尿素単独では、消臭性能は殆ど差が見られないが、両者を併用すると消臭性能が顕著に向上することが実証された。また、エチレン尿素とADHの配合割合は、1:5〜1:1の間では、効果的に差が見られなかった。従って、ADHに少量のエチレン尿素の添加によって消臭性能を顕著に向上させることも可能であるから、尿素類添加による多湿時の接着強度の低下や黴の発生を防止しつつ優れた消臭性能を有する接着剤である。
【0033】
実施例4〜7
市販の酢酸ビニル系樹脂エマルジョン100重量部(コニシ株式会社製、「CH−7」、固形分換算量)に対して、表2に示す割合(重量部)でエチレン尿素及びアジピン酸ジヒドラジド(ADH)(大塚化学株式会社製)を添加し、接着剤を調製した。
【0034】
試験例2
上記実施例1〜7で得られた接着剤を用いて、合板(F−II規格ラワン合板15mm厚)に楢突板を接着剤塗布量90g/m2、105℃、49N/cm2にて50秒間ホットプレスして十分に養生させた。
このものを一片75mmの正方形形状に切り出し、JAS3類浸漬剥離試験に準じて浸漬剥離試験に供した。
即ち、各試験片を、35℃の水中に2時間浸漬した後、60℃で3時間乾燥させ、それぞれの側面における剥離しない長さがいずれも50mm以上であるものを合格とし、かかる基準を充たさないものを不合格とした。その結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
このように実施例1〜4の接着剤は、耐水性にも優れていることがわかる。
【0037】
実施例8〜13、比較例6〜10
さらに、塩化カルシウム(試薬)5.4重量部と、表3に示す割合の尿素、エチレン尿素、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)を水中にそれぞれ混合し、実施例及び比較例の消臭剤を調製した。尚、比較例10は、未処理合板を用いたブランクとした。
【0038】
得られた消臭剤を4g/尺2の割合で2種類の合板(合板A及び合板B)表面に塗布し乾燥させた後、15cm×5cm×5.5mmの大きさに切り出し、試験片を得た。
【0039】
試験例3
実施例8〜13及び比較例6〜10で得られた化粧貼り合板につき、「JAS普通合板 ホルムアルデヒド放散量」の測定法に準じ、下記方法に従って、その消臭性能を評価した。
デシケーター(JIS R3503に規定する大きさ240mm内容積約10Lのもの)の底部に300mlの蒸留水を入れた結晶皿(直径120mm、高さ60mm)を置き、その上に磁製プレートを敷き、各実施例、比較例で得られた試験片(15cm×5cm×3mm)各10枚を載せ、20〜25℃で24時間放置して、放出されるホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。
試料溶液中のホルムアルデヒド濃度は、アセチルアセトン法によって光電比色計を用いて比色定量した。
その結果を表3に示す。表中の放出量は、ホルムアルデヒドの放出量(mg/l)を示し、左欄は合板Aを用いて、右欄は合板Bを用いて、それぞれ測定した結果である。
また、表中の除去率は、放出量減少率(比較例10のホルムアルデヒド放出量(未処理の合板からのホルムアルデヒド放出量)に対する除去量の除算)を百分率(%)で示したものである。
【0040】
【表3】
【0041】
表3の結果から、尿素又はエチレン尿素を単独で用いた比較例6、7及びアジピン酸ジヒドラジドのみを単独で用いた比較例8,9に比較して、両者を併用した実施例8〜13の消臭効果が顕著に向上することがわかる。また、尿素類に対するアジピン酸ジヒドラジド類の添加は、少量であっても顕著な消臭効果の向上が見られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る消臭剤組成物は、ヒドラジド類などと尿素類を所定割合で併用することにより、優れた消臭性能を発現する。さらに、この優れた消臭性能は、少量のヒドラジド類の配合で得られるので、剤自体のコスト低減化を図ることができる。
【0043】
また、本発明に係る消臭性接着剤は、消臭成分としてヒドラジド類などと尿素類を所定割合で併用してなるので、上記の優れた消臭性能と低コスト化という効果を有するだけでなく、消臭成分として尿素類を単独で添加した消臭剤に比して、多湿時の接着強度の低下や黴の発生が起こり難いという効果を奏する。
Claims (5)
- (A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を0.05〜10重量部配合してなることを特徴とする消臭剤組成物。
- (A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を0.2〜4重量部配合してなることを特徴とする消臭剤組成物。
- (A)ヒドラジド類と、(B)尿素及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する消臭剤組成物であって、前記(B)成分1重量部に対し、前記(A)成分を1〜4重量部配合してなることを特徴とする消臭剤組成物。
- 前記(B)成分がエチレン尿素を含む請求項1〜3の何れかに記載の消臭剤組成物。
- 接着性高分子材料100重量部に、請求項1〜4の何れかに記載の消臭剤組成物を1〜15重量部配合してなることを特徴とする消臭性接着剤。
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