JP3796846B2 - グロープラグ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,燃料の着火・燃焼を促進するためのグロープラグに関する。
【0002】
【従来技術】
近年,ガソリンエンジン,ディーゼルエンジンにおいては,環境保護の面から,排気ガスや排気煙をより一層低減させることが要望されている。そして,こうした要望に応えるべく,各種のエンジン改良や後処理(触媒浄化等)により排出ガス低減,燃料・潤滑油性状の改善,各種のエンジン燃焼制御システムの改善などが検討されている。
【0003】
また,最近のエンジン燃焼制御システムにおいては,エンジンの燃焼状態を検出することが要請されており,筒内圧,燃焼光,イオン電流等を検出することによってエンジン燃焼状態を検出することが検討されている。特に,イオン電流によりエンジン燃焼状態を検出することは,燃焼に伴う化学反応を直接的に観察できることから極めて有用と考えられており,種々のイオン電流検出方法が提案されている。
【0004】
例えば,特開平7−259597号公報には,燃料噴射ノズルの取り付け座部において,当該噴射ノズル及びエンジンのシリンダヘッドから絶縁されたスリーブ状のイオン検出用電極を装着し,これを外部の検出回路に接続することにより燃料の燃焼に伴うイオン電流を検出する方法が開示されている。
また,米国特許第4,739,731号では,セラミックグロープラグを用いたイオン電流検出用センサが開示されている。
【0005】
これらの技術では,グロープラグのヒータ(通電発熱体)表面に白金製の導電層を取着すると共に,この導電層を燃焼室及びグロープラグ取付金具から絶縁している。そして,導電層に外部からイオン電流測定用電源(直流250V)を印加して燃料燃焼に伴うイオン電流を検出するようにしている。
【0006】
【解決しようとする課題】
ところが,上記従来技術においては,いずれも以下に示す問題がある。
即ち,前者の技術(特開平7−259597号公報)では,イオン電流検出のために,他の部位より絶縁されたスリーブ状のイオン検出用電極を設置しなくてはならず,その材料の選択及びその加工において煩雑な作業が強いられる。
そのため,イオン検出用電極が非常に,高価な構成となるという問題がある。さらに,燃料噴射ノズルとイオン検出用電極との間,及びイオン検出用電極とシリンダヘッドとの間が燃焼室内にて発生するカーボンにより短絡し,早期に使用不能となるという欠点があった。
【0007】
また,後者の技術(米国特許第4,739,731号)では,イオン検出用電極を通電発熱体とは別に設けると共に,両者を別々の電源に接続しているために構造が複雑になるという欠点があった。また,イオン検出用電極の耐熱性及び耐消耗性を確保するために,白金など高価な貴金属を多量に必要とすることから,グロープラグ自体が非常に高価なものとなる欠点があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので,カーボン付着の問題を解消でき,精度良くイオン電流を検出することができ,耐久性に優れたグロープラグを提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,ハウジングと該ハウジング内に支持された本体とよりなるグロープラグにおいて,
上記本体は,絶縁体と,
該絶縁体の内部に設けられた断面U字状の通電発熱体及び該通電発熱体の両端部に電気的に接続されて絶縁体の外部に導出された一対のリード線と,
上記通電発熱体の途中に電気的に接続されて上記絶縁体の内部に配設された,火炎中のイオン化の状態を検出するための,1つ又は複数のイオン検出用電極とよりなると共に
該イオン検出用電極の先端は上記火炎に曝されるように上記絶縁体から露出しており,
かつ,上記通電発熱体に加熱用の直流電流を流すときにプラス側となる通電発熱体のプラス端から最初の上記イオン検出用電極が接続されている最初の接続部分の中心部までの,通電発熱体における第1発熱部の電気抵抗をR1,上記通電発熱体とイオン検出用電極との上記最初の接続部分の中心部から通電発熱体のマイナス端までの,通電発熱体における第2発熱部の電気抵抗をR2,上記イオン検出用電極における上記最初の接続部分から先端までの電気抵抗をrとしたとき,
R2<rの関係が満足されることを特徴とするグロープラグにある。
【0010】
本発明において最も注目すべきことは,上記絶縁体の内部に通電発熱体とイオン検出用電極が配設されており,上記通電発熱体の上記第2発熱部の電気抵抗R2が,上記最初の接続部分の電気抵抗rよりも小さく構成してあることである。
【0011】
本発明において,上記通電発熱体は,上記プラス端から上記最初のイオン検出用電極との最初の接続部分の中心部までを第1発熱部,該最初の接続部分の中心部からマイナス端までを第2発熱部により構成してある。そして,上記第1発熱部の電気抵抗はR1,第2発熱部の電気抵抗はR2である(図4)。
【0012】
また,上記最初の接続部分とは,上記通電発熱体においてプラス端からマイナス端までの経路において,最初にイオン検出用電極が接続されている部分をいう。
このように定義するのは,イオン検出用電極は通電発熱体に対して,1個(図4)又は複数個(図10)を設ける場合があるからである。
それ故,複数個のイオン検出用電極を設けた場合には,プラス端とそれに最も近い位置にある近隣イオン検出用電極との間が第1発熱部となり,該近隣イオン検出用電極とマイナス端との間が第2発熱部となる(図10)。そのため,第2発熱部には1又は複数個のイオン検出用電極が接続されることがある。
【0013】
次に,上記通電発熱体の第2発熱部の電気抵抗R2とイオン検出用電極の電気抵抗とを,上記のごとく,R2<rに構成するに当たっては,両者の材料,或いは通電経路の太さ,厚み,長さ等を変えることにより達成する。
例えば,材料変化による手段としては,導電性セラミック粉末と絶縁性セラミック材料との混合割合が,第2発熱部とイオン検出用電極とで異なるように作製する。
【0014】
通電発熱体とイオン検出用電極の原料としては,例えば,MoSi2 ,Mo5 Si3 ,MoxSi3 Cy(x=4〜5,y=0〜1),MoB,WC,TiNなどの金属の珪化物,炭化物,窒化物,硼化物などの導電性セラミックを,少なくとも一種用いる。また,絶縁性セラミックとしては,Si3 N4 ,Al2 O3 ,BNなどを用いる。また,焼結助材として,希土類元素の酸化物を少なくとも一種以上添加する。
【0015】
以下に導電性セラミックとして,MoSi2 ,絶縁性セラミックとしてSi3 N4 を,また焼結助材として,Y2 O3 とAl2 O3 を用いた場合について例示説明する。
即ち,ここで,Si3 N4 の粒径をMoSi2 粒径よりも大きくすることにより,絶縁性のSi3 N4 粒径が,互いに連続する導電性のMoSi2 粒子で包まれた組織となり,導電性を発現する。
【0016】
具体的には,平均粒径1μmのMoSi2 と平均粒径15μmのSi3 N4 を用いた。焼結部材は同様に平均粒径1μmとした。MoSi2 とSi3 N4 の配合割合は10〜60:90〜40(重量%)の範囲で適宜選択される。通電発熱体の第2発熱部は,MoSi2 :Si3 N4 =40:60とし,イオン検出用電極は,MoSi2 :Si3 N4 =20:80とすれば,R2<rとなる。
また,焼成助材は,Y2 O3 とAl2 O3 の合計10wt%を外部添加した。焼成助材としては,Y2 O3 以外の希土類元素の酸化物,Yb2 O3 ,La2 O3 ,Nd2 O3 などでも良く,これらから選ばれる一種以上を使用する。
【0017】
なお,ここでは,導電体としては,導電性セラミックと絶縁性セラミックとの混合体としたが,導電性セラミックのみでも良い。また,混合体中の導電性セラミックの変わりに,金属の粉末を用いて,金属粉末と絶縁性セラミックとの混合体でも良い。あるいは,金属の粉末のみ,または,金属線でも良い。
【0018】
次に,絶縁体は,例えば導電性セラミックであるMoSi2 と絶縁性セラミックであるSi3 N4 を基本成分とし,焼結助材としてY2 O3 , Al2 O3 を添加したセラミック焼結体よりなる。そして,Si3 N4 の粒径を,MoSi2 と同じかやや小さくすることにより,導電性のMoSi2 粒子が絶縁性のSi3 N4 粒子で囲まれて分断された組織となり,絶縁性を発現する。具体的には,例えば, 平均粒径0.9μmのMoSi2 と,平均粒径0.6μmのSi3 N4 を用いることができる。
【0019】
通電発熱体,イオン検出用電極及び絶縁体は,同一又はそれに近い配合割合とすれば熱膨張係数等の差が小さくなるのでより好ましい。また,焼結助材としては,Y2 O3 とAl2 O3 の混合物の外,希土類元素の酸化物,例えばイットリア,イッテルビウム,ランタン,ネオジム等の酸化物を用いてもよく,これらから選ばれる一種以上を使用する。
【0020】
なお,上記第2発熱部の電気抵抗R2は0.1 〜2Ω,イオン検出用電極の電気抵抗rは0.2〜3Ωとすることが,セラミックグロープラグのヒータ特性の点より好ましい。
【0021】
また,上記通電発熱体及びイオン検出用電極を絶縁体中に配設するに当たっては,例えば図3に示すごとく,予め両者の一体成形品を作製しておき,これを絶縁体の中に埋め込んで一体成形する。なお,成形と同時にリード線を接続する。リード線は,タングステン,モリブデン等の高融点金属又はその合金などを用いる。
或いは,予め別途作製しておいた2つ割の絶縁体成形体の間に上記通電発熱体とイオン検出用電極からなる一体成形品を挟持配設する。
これらの絶縁体成形品,或いは通電発熱体とイオン検出用電極との一体成形品は,例えば,これらの材料であるセラミック粉末を射出成形することにより作製する。
【0022】
また,上記通電発熱体,イオン検出用電極は,上記絶縁体の内部に印刷形成により設けることもできる。
かかる印刷形成につき一例を示せば,例えば絶縁体を形成するためのセラミック材料の生成形体(グリーンシート)又は,金型プレスによる成形体の表面に,スクリーン印刷,パッド印刷,ホットスタンプ等により,導電性材料よりなる通電発熱体,そのリード線,及びイオン検出用電極を印刷する。次いで,生成形体を巻回し,その後焼成する。
これにより,印刷形成された通電発熱体,リード線,イオン検出用電極を内蔵した絶縁体が得られる。
【0023】
上記射出成形品または,印刷品の焼成は,ホットプレス法により焼成する。その条件は例えばアルゴンガス雰囲気下1気圧,加圧力400kg/cm2 ,焼成温度1800℃,保持時間60分で行う。
【0024】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
まず,本発明のグロープラグは,上記通電発熱体に電流を通すことにより発熱し,その加熱により燃焼室における着火及び燃焼を促進させる。
また,イオン検出用電極は,燃焼火炎中のイオン化の状態を検出する。即ち,イオン電流の検出時において,イオン検出用電極とそれに近接する燃焼室の内壁(シリンダヘッド)とは,両者間に存在する燃料燃焼時のプラスイオン及びマイナスイオンを捕獲するための2電極を形成する。
【0025】
これにより,精度良くイオン電流を検出することができ,その情報を燃焼制御に有用に活用することが可能となる。また,グロープラグに,本来の燃焼室の加熱機能(グロー機能)とイオン電流検出機能とを付与しているので,構造がコンパクトで,かつ安価に製造できる。
【0026】
また,本発明においては,上記第2発熱部の電気抵抗R2が,イオン検出用電極の電気抵抗のrよりも小さく形成してある。
そのため,グロープラグにおける上記絶縁体の表面にカーボンが付着し,上記のごとく該カーボンがイオン検出用電極とシリンダヘッドとの間を電気的に短絡した際(図4参照)に,上記通電発熱体に直流電流を,印加することにより,グロープラグ全体が発熱し,上記イオン検出用電極とシリンダヘッドとの間のカーボンを確実に焼き切ることができる。
【0027】
即ち,本発明においては,上記カーボンの焼き切り時に,上記直流電流を印加すると,通電発熱体の上記第2発熱部の電気抵抗R2とイオン検出用電極の電気抵抗rとはR2<rの関係があるため,直流電流はプラス端から第1発熱部,第2発熱部を経てマイナス端へ,より多く流れる。
一方,イオン検出用電極,上記付着カーボンへは,上記直流電流は流れ難い。
【0028】
そのため,第1発熱部及び第2発熱部が発熱し,絶縁体が加熱されて,その表面のカーボンは,その熱と燃焼室内の空気とによって,燃焼し,焼き切られる。そのため,カーボンの付着による短絡を容易に解消することができる。したがって,長時間にわたって正確にイオン電流を検出することができる。
【0029】
また,通電発熱体は,絶縁体の内部に埋設されているため,燃焼火炎による腐触がなく,抵抗値の低下,発熱特性の変化を招くことがなく,長期にわたって高い発熱性能を発揮することができる。即ち,通電発熱体が酸化により消耗することがないため,その断面積が一定に保持されると共に,その抵抗値の変化を生ずることもない。さらに,燃焼室内での熱的衝撃等に起因して通電発熱体が破損する等の不具合も回避できる。
【0030】
また,本発明のグロープラグは,上記通電発熱体,リード線及びイオン検出用電極を上記絶縁体の内部に設けているので,構造簡単である。
したがって,本発明によれば,カーボン付着の問題を解消でき,精度良くイオン電流を検出することができ,耐久性に優れたグロープラグを提供することができる。
【0031】
次に,請求項2の発明のように,上記イオン検出用電極は主成分が金属の珪化物,炭化物,窒化物,硼化物の1種又は2種以上の導電性セラミック材料,または該導電性セラミック材料と絶縁性セラミック材料との混合材料により作製することができる。この場合には,耐熱性が向上し,かつ絶縁体との膨張係数を容易に調整,合わせ込みができるため耐熱衝撃性向上の効果が得られる。
【0032】
次に,請求項3の発明のように,上記イオン検出用電極は,主成分が融点1200℃以上の金属の1種又は2種以上の高融点金属材料,または主成分が該高融点金属材料と絶縁性セラミック材料との混合材料により作製することができる。そして,上記前者の場合には,素材が線状で使用できるため,材料,加工,組付に関するコストの低減の効果が得られる。
【0033】
また,後者の場合には,高温強度,耐酸化性が向上し,しかも発熱体と絶縁体との線膨張係数を容易に調整,合わせ込みができるため,耐久性に優れた効果が得られる。また,上記融点を1200℃とした理由は,グロープラグの通電発熱体を1000〜1100℃に発熱させるため,イオン検出用電極の耐熱性を考慮したためである。
【0034】
次に,請求項4の発明のように,上記絶縁体より露出しているイオン検出用電極の露出部には,Pt,Ir,Rh,Ru,Pdの1種又は2種以上の貴金属が設けてあることが好ましい。この場合には,検出用電極の耐消耗性,耐酸化性向上の効果が得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるグロープラグにつき,図1〜図8を用いて説明する。
本例のグロープラグは,ディーゼルエンジンの始動補助装置として用いられる,セラミックグロープラグである。
本例のグロープラグ1は,図1に示すごとく,ハウジング4と該ハウジング4内に支持された本体10とよりなる。
【0036】
上記本体10は,絶縁体11と,該絶縁体11の内部に設けられた断面U字状の通電発熱体2及び該通電発熱体2の両端部に電気的に接続されて絶縁体の外部に導出された一対のリード線21,22を有する。
また,上記通電発熱体2の途中に電気的に接続されて上記絶縁体11の内部に配設された,火炎中のイオン化の状態を検出するための,1つのイオン検出用電極3とを有する。
上記イオン検出用電極3の先端は上記火炎に曝されるように上記絶縁体11から露出している。
【0037】
そして,図4に示すごとく,上記通電発熱体2に加熱用の直流電流を流すときにプラス側となるプラス端218から最初の上記イオン検出用電極3が接続されている最初の接続部分39の中心部209までの,通電発熱体2における第1発熱部201の電気抵抗をR1,上記最初の接続部分39の中心部209からマイナス端228までの,通電発熱体2における第2発熱部202の電気抵抗をR2,上記イオン検出用電極3における上記最初の接続部分39から先端30までの電気抵抗をrとしたとき,R2<rの関係が満足されている。
【0038】
上記本体10は,図1,図2に示すごとく,金属製のハウジング4内に,金属製の環状支持体41を介して,固定されている。
そして,上記通電発熱体2の一方のリード線21は,絶縁体11の内部を上昇して,本体10の側面に設けた導電性の端子部23を介して内部リード線231に電気的に接続されている。また,他方のリード線22は,上記絶縁体11の内部を上昇して上端に設けた端子部31に電気的に接続されている。
【0039】
また,上記イオン検出用電極3は,U字状の通電発熱体2の下端に通電発熱体2と一体的に設けられ,その先端30は絶縁体11から露出している。先端30には白金(Pt)がコーディングしてある。
【0040】
一方,ハウジング4は,上記環状支持体41を有し,図1,図2に示すごとく,その上部に保護筒42を有している。また,ハウジング4は,エンジンのシリンダヘッド45(図5)へ装着するための,雄ねじ部43を有する。
図2に示すごとく,上記保護筒42の上方開口部には,ゴムブッシュ421が嵌合されている。また,該ゴムブッシュ421に貫挿した外部リード線233,333は接続端子232,332を介して,上記内部リード線231,33にそれぞれ接続されている。
【0041】
したがって,外部リード線233,333は,通電発熱体2及びイオン検出用電極3にそれぞれ電気的に導通されている。
また,本体10の先端部(下端部)は,図1,図2,図4に示すごとく,半球面形状に形成されている。
【0042】
次に,上記グロープラグ本体10の製造に当たっては,まず図3に示すごとき,通電発熱体2とイオン検出用電極3との一体成形品29を準備する。
該一体成形品29は,通電発熱体2及びイオン検出用電極3用のセラミック粉末を主成分のパラフィンワックスと樹脂との混合バインダと混合し,その混合物を射出成形する。或いは,セラミック粉末をそのままプレス成形する。
【0043】
そして,この一体成形品29は,絶縁体11の中に埋設し,これらをホットプレスにて一体的に加圧焼成する。上記の加圧焼成は,アルゴンガス雰囲気下1気圧で,加圧力400kgf/cm2 ,焼成温度1800℃,保持時間60分で行う。なお,上記埋設に先立って,上記リード線21,22を接続しておく。これにより,上記グロープラグ本体10が得られる。
【0044】
次に,上記セラミック粉末等の具体例は,前述した様に,通電発熱体,イオン検出用電極,絶縁体の導電性セラミックとしてMoSi2 を絶縁性セラミックは,Si3 N4 を用いる。また焼結助材はY2 O3 とAl2 O3 とを用いる。
通電発熱体におけるセラミックの配合割合は,MoSi2 :Si3 N4 =40:60とした。また,イオン検出用電極の配合割合は,MoSi2 :Si3 N4 =20:80とした。そして,上記MoSi2 の平均粒径は1μm,Si3 N4 の平均粒径は15μmを用いた。
【0045】
また,絶縁体におけるセラミックの配合割合は,MoSi2 :Si3 N4 =30:70とし,MoSi2 の平均粒径は1μm,Si3 N4 の平均粒径は1μmを用いた。また,焼結助材は,上記いずれの場合も,Y2 O3 5wt%,Al2 O3 5wt%を外部添加した。各材料の平均粒径は1μmを用いた。
【0046】
次に,上記のごとく本体10とハウジング4などとによって構成したグロープラグ1は,図5に示すごとく,エンジンのシリンダヘッド45に対して,ハウジンク4の雄ねじ部を螺合することにより装着する。これにより,グロープラグ本体10の先端部が,シリンダヘッド45の燃焼室の一部である渦流室451に突出した状態で装着される。なお,符号457は主燃焼室,458はピストン,459は燃料噴射ノズルである。
【0047】
また,上記グロープラグ1は,図5に示すごとく,グロープラグ作動回路に接続される。
即ち,通電発熱体2の一端のリード線21は,外部リード線233,グローリレー53,531及び12ボルトのバッテリ54を介して,一方の外部リード線333に接続されている。更に,該外部リード線333は,内部リード線33,及び本体10内のリード線22(図1)を介して,通電発熱体2の他端に接続されている。
これにより,通電発熱体2の加熱用回路が形成される。
【0048】
また,イオン検出用電極3は,上記外部リード線233,イオンリレー530,イオン電流検出用抵抗521,直流電源51を介してシリンダヘッド45に接続されている。また,上記イオン電流検出用抵抗521には,イオン電流を検出するための電位差計522が設けられ,これはECU(電子制御装置)52に接続されている。
また,ECU52には,上記グローリレー53,531,イオンリレー530,エンジン冷却水の水温センサ525,エンジンの回転数センサ526が接続されている。
【0049】
上記図5に示した,グロープラグ1の使用に当たっては,まずエンジンの始動時においては,ECU52により,グローリレー53がオンとされる。そのため,バッテリ54とグロープラグの通電発熱体2との間が閉路となり,グロープラグ本体10の通電発熱体2の第1発熱部201,第2発熱部202が通電され発熱する。そのためグロープラグ1は加熱状態となり,渦流室451内が加熱され,着火温度に上昇する。
そこで,燃料噴射ノズル459から,燃料が噴射されると,その都度該燃料が着火され,ピストン458が作動し,エンジンが駆動される。
【0050】
一方,燃料が燃焼している際には,前記のごとく,イオンが発生するので,グローリレー53,531はオフとし,イオンリレー530をオンとして,イオン電流をイオン検出用電極3,イオン電流検出用抵抗521及び電位差計522により検出する。
即ち,グロープラグ本体10の上記イオン検出用電極3とシリンダヘッド45との間には12ボルトの直流電源51によって電圧が印加されている。
【0051】
そこで,渦流室451内における,燃焼火炎帯の活性イオンの発生に伴い,イオン電流検出用抵抗521を含む電流経路にイオン電流が流れる。
なお,イオン電流検出用抵抗521は,約500kΩで,これを流れるイオン電流は,その両端の電位差として電位差計522により検出される。
【0052】
ここで,イオン電流の検出原理を略述する。
燃料噴射ノズル459からの噴射燃料が渦流室451で燃焼されると,その燃焼火炎帯ではイオン化されたプラスイオンとマイナスイオンが大量に発生する。このとき,上記イオン検出用電極3とそれに対面するシリンダヘッド45との間にバッテリ電圧が印加されているので,イオン検出用電極3にはマイナスイオンが捕獲されると共に,シリンダヘッド45にはプラスイオンが捕獲される。
その結果,上記の電流経路が形成され,この電流経路を流れるイオン電流がイオン電流検出用抵抗521の両端の電位差として検出される。
【0053】
一方,ECU52は,CPU,ROM,RAM,入出力回路等からなる周知のマイクロコンピュータやA/D変換器(共に図示略)を中心に構成され,前記電位差計522により検出された検出信号を入力する。
また,ECU52には,エンジン冷却水の温度を検出するための水温センサ525の検出信号や,エンジンクランク角に応じてエンジン回転数を検出するための回転数センサ526の検出信号が入力され,ECU52は各検出信号に基づいて水温Tw,エンジン回転数Neを検知する。
【0054】
上記ECU52は,ディーゼルエンジンの低温始動時において,グロープラグ1の通電発熱体2を加熱させて燃料の着火及び燃焼を促進させる。また,ディーゼルエンジンの始動直後において,イオン電流を検出する。
なお,エンジン始動当初においては,グローリレー53,531がオンの状態にあり,通電発熱体2は加熱状態に保持されるようになっている。
【0055】
以下,図6のフローチャートを用いて,上記グローリレー53,531のオン,オフ切り替え処理を説明する。このフローは,所定の時間の割り込み処理により実行される。
まず,図6の処理がスタートすると,ECU52は,先ずステップ11でエンジン暖機完了後であり,且つグローリレー53,531がオフであるか否かを判別する。エンジン始動当初においては,ステップ11が否定判別され,ECU52は続くステップ12で水温Tw及びエンジン回転数Neを読み込む。
【0056】
その後,ステップ13で水温Twが所定の暖機完了温度(本実施形態例では,60℃)以上であるか否かを判別すると共に,ステップ14でエンジン回転数Neが所定回転数(本実施形態例では,2000rpm)以上に達しているか否かを判別する。
このときステップ13,14が共に否定判別されれば,エンジンの暖機が完了しておらず,グロープラグの通電発熱体2による加熱が必要であるとみなし,ステップ15に進む。
【0057】
また,ステップ13,14のいずれかが肯定判別されれば,エンジンの暖機が完了,或いはグロープラグ1による加熱が不要であるとみなし,ステップ16に進む。
【0058】
ステップ15に進んだ場合は,グローリレー53,531はオンのまま維持される。この状態では,グロープラグ1の発熱作用によって燃料の着火及び燃焼が継続される。
また,ステップ16に進んだ場合,ECU52は,グローリレー53,531をオフとする。そして,イオンリレー530をオンとして,イオン電流を検出する。
【0059】
次に,図7(A)は,オシロスコープを用いて燃料燃焼時に発生するイオン電流を観察した際の電流波形図である。同図において,燃料噴射時期(圧縮TDC)直後に電圧が急上昇している波形が燃料の燃焼によるイオン電流波形であり,A点が燃焼の開始位置,即ち着火時期に相当する。
また,このイオン電流波形には,2つの山が観測される。つまり,燃焼初期には,拡散火炎帯の活性イオンにより第1の山B1が観測され,燃焼中後期には筒内圧上昇による再イオン化により第2の山B2が観測される。
【0060】
この場合,ECU52は,イオン電流波形の第1の山B1から実際の着火時期を検出すると共に,検出された実際の着火時期と目標着火時期との差をなくすべく着火時期のフィードバック制御を実施する。
また,ECU52は,イオン電流波形の第2の山B2から異常燃焼,失火等の燃焼状態を検出し,その検出結果を燃料噴射制御に反映させる。こうしてイオン電流をエンジンの燃料噴射制御に反映させることにより,きめ細かくエンジンの運転状態を制御することが可能となる。
【0061】
次に,グロープラグのイオン検出用電極3に,燃料燃焼により発生したカーボン(スス)が付着した状態,即ち燻りが発生したときには,図7(B)に示すごとく,イオン電流が燃料噴射時期の前には低く,その後には上昇していくという現象が発生する(図7の(A)と(B)を比較)。なお,図7(A)のIthは燻り状態を判別しグローリレー53,531をオンにするか否かを判断するための波高値の判定レベル(しきい値)を表している。
そこで,このような燻り現象が発生したときには,上記グローリレー53,531をオンとし,通電発熱体2を加熱し,上記の付着カーボンを焼き切る操作を行なう。
【0062】
図8は,このカーボン焼き切り操作を,上記図5の回路におけるECU52により行なうフローチャートである。
即ち,同図のステップ21において,グローリレー53,531がオフの状態にあるとき,ステップ22において,燃料噴射時期に上記のごとき異常イオン電流(図7B)が検出されたか否か判定する。否であれば,ステップ25に進み,グローリレー53,531はオフのままとする。
【0063】
一方,異常イオン電流が検出されたときには,ステップ23に進み,イオンリレー530をオフ,次にステップ24においてグローリレー53,531をオンとし,グロープラグの通電発熱体2に通電する。
【0064】
そして,ここに重要なことは,図4に示すごとく,通電発熱体2の第2発熱部202の電気抵抗R2は,イオン検出用電極3の電気抵抗rよりも小さいことである。
そのため,通電発熱体2のプラス端から入った加熱用の直流電流は,第1発熱部201から第2発熱部202を経てマイナス端228へ多く流れる。そのため,第1発熱部,第2発熱部が発熱し,絶縁体11の表面が加熱される。
【0065】
そのため,上記の付着カーボン49は,上記絶縁体11の表面の加熱,渦流室内の空気によって酸化焼失し,焼き切られる。それ故,グロープラグは再び正常状態となる。そこで,再びグローリレー53,531をオフ,イオンリレー530をオンとしてイオン電流を検出する。
【0066】
上記のごとく,本例のグロープラグにおいては,絶縁体11の内部に通電発熱体2とリード線21,22とイオン検出用電極3とが設けてあり,これらは一体的に構成されている。そのため,通電発熱体2によるグロー動作(加熱動作)と,イオン検出用電極3によるイオン電流検出とを1つのグロープラグにより達成できる。また,そのためグロープラグがコンパクトになる。
【0067】
また,イオン検出用電極3,グロープラグ表面にカーボンが付着した場合にも,上記のごとく確実に第1発熱部,第2発熱部に直流電流を流して,これを加熱できる。そのため,上記カーボンを焼き切り,イオン検出用電極3を正常状態にすることができる。そのため,イオン電流を精度良く検出することができる。
【0068】
また,通電発熱体2,リード線21,22,イオン検出用電極3は,絶縁体11の内部に設けてあるので,燃焼ガスによる酸化等の腐食もなく,耐久性に優れている。
また,絶縁体11の先端部は,半球形状としてあるので,燃焼室内における燃焼火炎流の乱れが抑制され,検出性能が安定し,また熱応力の集中が抑制されて熱衝撃を吸収することができる。
【0069】
また,イオン検出用電極3の先端部30は,燃焼ガスに接触するよう露出しており(図1),その露出部分にはPt等の貴金属がコーティングしてある。そのため,酸化等によるイオン検出用電極表面の絶縁物生成が抑制され電極の導電性あるいは初期抵抗値が確保され,検出精度の劣化を防止する効果がある。
また,イオン検出用電極3は,絶縁体11の直径方向の中心に配設してある。そのため,燃焼室内におけるあらゆる方向におけるイオン電流を高精度で検出することができる。
【0070】
実施形態例2
本例は,表1に示すごとく,実施形態例1に示したグロープラグ本体10につき,上記電気抵抗R2とrの割合を変えた具体例を示す。
グロープラグ本体10の製造に当たっては,まず上記通電発熱体2及びイオン検出用電極3は,予め,射出成形により上記一体成形品29(図3)を作製しておく。
【0071】
一方,絶縁体11は,半円柱体の2つ割品を準備する。この半円柱体には,絶縁体11とする際に内側となる部分(直径部分)に,上記一体成形品29を埋設するためのU字状の溝が設けてある(図1参照)。
そこで,上記一体成形品29を,上記絶縁体11の半円柱体のU字状溝に入れ,更に一方の半円柱を覆い,これらを加圧,焼結する。これにより,図1に示すごとく,上記一体成形品よりなる通電発熱体2及びイオン検出用電極3を内蔵した絶縁体11が得られる。
【0072】
次に,上記通電発熱体2は,上記第2発熱部の電気抵抗が0.4Ωとなるように,導電性セラミック粉末であるMoS2 粉末40%(重量比,以下同じ)と,絶縁性セラミック材料としてのSi3 N4 粉末60%とを混合したものを用いた。
各材料の平均粒径は,MoSi2 粉末は1μm,Si3 N4 粉末は8μmのものを用いた。また,焼結助材として,Y2 O3 ,Al2 O3 の合計10%を外部添加した。
【0073】
また,上記イオン検出用電極3は,下記表1の種々の電気抵抗rとなるように,MoS2 粉末とSi3 N4 粉末との割合を変えて用いた。
また,絶縁体11は,Si3 N4 粉末とMoSi2 粉末の混合物を用い,Si3 N4 粉末の粒径のみ1μmの粉末に変更して用いた。
そして,上記加圧焼結は,500kg/cm2 ,1800℃,60分で行なった。
【0074】
次に,上記のごとく,構成した種々のグロープラグを実施形態例1のごとく,シリンダヘッド45に装着した。そして,絶縁体11の表面に,図4に示すごとく,カーボン49が付着した状態にして,付着カーボンの焼き切り(焼失)良否を実験した。
その結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
表1より知られるごとく,R2<rの場合(No.1〜4)にはカーボンが焼き切られることが分かる。
なお,R2≧rの場合(実験No.5,6)には,上記直流電流の一部がイオン検出用電極3,カーボン49の方へ多く漏出する。そのため,第2発熱部の発熱が充分でなく,カーボンが焼き切れない。
【0077】
実施形態例3
上記実施形態例2では通電発熱体及びイオン検出用電極の導電性セラミックとしてMoSi2 を用いた場合について述べたが,導電性セラミックを他の金属の炭化物,窒化物,硼化物を用いても同様の結果が得られる。
【0078】
本例においては,これを確認するため,表2,表3に示すように導電性セラミックをWC,Mo2 C,TiN,Mo4.8 Si3 C0.6 ,WSi2 ,MoB,TiB3 ,ZrB2 に変更し,それぞれについて,抵抗値を実施形態例2のNo.3,No.6の水準と同様の試料となし,これらについてカーボン焼失実験を行なった。
各材料の平均粒径は1〜3μmのものを用いた。
その他については実施形態例2と同様である。
【0079】
また,通電発熱体とイオン検出用電極に用いた導電性セラミックについて,別々の材料でも実施した。
また,絶縁性セラミックをSi3 N4 からその他のAl2 O3 ,BNに代えた場合についても同様に実施した。
Al2 O3 の平均粒径は25μm,BNの平均粒径は10μmのものを用いた。その他は実施形態例2と同様である。
実験の結果を表2及び表3に示す。
【0080】
また,表4には,通電発熱体,イオン検出用電極とも導電性セラミックのみの場合について同様に示した。
表2〜4より明らかなように,本発明の範囲では,全てカーボンが焼失することが分かる。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
実施形態例4
次に,イオン検出用電極に高融点金属の線材を用いた場合と,イオン検出用電極に高融点金属材料と絶縁性セラミックの混合体を用いた場合について述べる。
まず,イオン検出用電極に高融点金属の線材を用いた場合につき示す。
ここに高融点金属とは,前述した様に融点1200℃以上のものをいう。かかる高融点金属としては,Cr,Co,Fe,Mo,Ni,Re,Ti,W,Zr等がある。また,Fe−Ni−Cr,Ni−Co,Fe−Co,W−Re等の合金材もある。
【0085】
通電発熱体は,実施形態例2の組成を用いた。また,イオン検出用電極は,実施形態例1に示したイオン検出用電極3の構造に代えて,上記高融点金属の線材を用いた。その他は,実施形態例2と同様である。
各場合とも,実施形態例2のNo.3,No.6の水準と同様の抵抗値に作成して,カーボンの焼失実験を行なった。その結果を,表5に示す。同表より本発明の範囲ではカーボンが焼失することが分かる。
【0086】
次に,イオン検出用電極に高融点金属材料と絶縁性セラミックとの混合物を用いた。グロープラグの作製に当たっては,実施形態例2のイオン検出用電極の導電体であるMoSi2 の代わりに,上記金属の粉末を用いた。各材料の平均粒径は1〜10μmのものを用いた。その他は,実施形態例2と同様である。
その結果を表6に示す。同表より,本発明の範囲ではカーボンが焼失することが分かる。
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
実施形態例5
本例は,図9に示すごとく,実施形態例1のグロープラグ作動回路(図5)を変更したもので,実施形態例1のバッテリ54と直流電源51とを,1個のバッテリ55のみに代えたものである。
そして,バッテリ55のプラス側と上記外部リード線233との間にはグローリレー53を,また外部リード線333とバッテリ55のマイナス側との間には,上記グローリレー53と同様に作動する他のグローリレー531を介設する。
【0090】
また,上記外部リード線233と,イオン電流検出用抵抗521との間には実施形態例1と同様にイオンリレー530を介在する。
そして,通電発熱体を発熱させるときにはグローリレー53,531をオンとし,イオンリレー530はオフとする。イオン電流を検出する場合には,上記と逆にする。
【0091】
なお,イオン電流検出用抵抗521とバッテリ55との間には,定電流,定電圧回路524を介在することもできる。この場合には,回路構成の簡素化とコスト低減の効果がある。
【0092】
その他は,実施形態例1と同様である。
本例においても,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。また,特に,本例においては,定電流・定電圧回路524を介在する事で1つのバッテリーでも,グロープラグ発熱時に生じるイオン検出用電極への印加電圧の変動を防止し,安定した検出性能が維持できるという効果を得ることができる。
【0093】
実施形態例6
本例は,図10に示すごとく,U字状の通電発熱体2の左右両側に,イオン検出用電極301,302を2個設けた例である。
本例では,イオン検出用電極301が通電発熱体2のプラス端に近い位置にあるので,この部分が通電発熱体2とイオン検出用電極3との最初の接続部分39となる。そのため,イオン検出用電極301との最初の接続部分39からマイナス端までの部分が第2発熱部202となる。
【0094】
カーボン焼き切り時には,前記のように,通電発熱体の第1発熱部201と第2発熱部202にカーボン焼き切り用の直流電流が流れる。そのため,通電発熱体2が発熱し,カーボンが焼き切られる。
また,本例ではイオン検出用電極を2個設けてあるので,より精度良くイオン電流を検出することができる。
その他は実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,(A)グロープラグ本体の断面図(B)上記(A)のA−A線矢視断面図。
【図2】実施形態例1における,グロープラグの全体説明図。
【図3】実施形態例1における,通電発熱体及びイオン検出用電極の一体成形品の斜視図。
【図4】実施形態例1における,作用効果の説明図。
【図5】実施形態例1における,グロープラグ作動回路図。
【図6】実施形態例1における,グロープラグ作動システムの,グロープラグ始動時のフローチャート。
【図7】実施形態例1における,(A)正常時のイオン電流,(B)燻り時のイオン電流を示す図。
【図8】実施形態例1における,燻り判定フローチャート。
【図9】実施形態例5における,グロープラグ作動回路図。
【図10】実施形態例6における,グロープラグ本体の断面図。
【符号の説明】
1...グロープラグ,
10...本体,
11...絶縁体,
2...通電発熱体,
201...第1発熱部,
202...第2発熱部,
21,22...リード線,
3...イオン検出用電極,
39...最初の接続部分,
4...ハウジング,
45...シリンダヘッド,
451...渦流室,
49...カーボン,
Claims (4)
- ハウジングと該ハウジング内に支持された本体とよりなるグロープラグにおいて,
上記本体は,絶縁体と,
該絶縁体の内部に設けられた断面U字状の通電発熱体及び該通電発熱体の両端部に電気的に接続されて絶縁体の外部に導出された一対のリード線と,
上記通電発熱体の途中に電気的に接続されて上記絶縁体の内部に配設された,火炎中のイオン化の状態を検出するための,1つ又は複数のイオン検出用電極とよりなると共に
該イオン検出用電極の先端は上記火炎に曝されるように上記絶縁体から露出しており,
かつ,上記通電発熱体に加熱用の直流電流を流すときにプラス側となる通電発熱体のプラス端から最初の上記イオン検出用電極が接続されている最初の接続部分の中心部までの,通電発熱体における第1発熱部の電気抵抗をR1,上記通電発熱体とイオン検出用電極との上記最初の接続部分の中心部から通電発熱体のマイナス端までの,通電発熱体における第2発熱部の電気抵抗をR2,上記イオン検出用電極における上記最初の接続部分から先端までの電気抵抗をrとしたとき,
R2<rの関係が満足されることを特徴とするグロープラグ。 - 請求項1において,上記イオン検出用電極は,主成分が金属の珪化物,炭化物,窒化物,硼化物の1種又は2種以上の導電性セラミック材料,または該導電性セラミック材料と絶縁性セラミック材料との混合材料により作製されていることを特徴とするグロープラグ。
- 請求項1又は2において,上記イオン検出用電極は,主成分が融点1200℃以上の金属の1種又は2種以上の高融点金属材料,または主成分が該高融点金属材料と絶縁性セラミック材料との混合材料により作製されていることを特徴とするグロープラグ。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記絶縁体より露出しているイオン検出用電極の露出部には,Pt,Ir,Rh,Ru,Pdの1種又は2種以上の貴金属が設けてあることを特徴とするグロープラグ。
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