JP3796567B2 - R−Fe−B系永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系永久磁石及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、急激な温度変化のある環境下や連続した高温環境下での使用に適したR−Fe−B系永久磁石(RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種、以下同様)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類系永久磁石は優れた磁気特性と経済性のため、電気・電子の分野で多用されているが、近年において特に省エネルギーモーター用としての需要が増大し、その応用範囲の拡大が切望されている。このうち特にNd系希土類永久磁石は、Sm系希土類永久磁石と比較し、主要元素であるNdがSmよりも豊富に存在すること、高価なCoを多量に用いないでもすむことから安価で、磁気特性についても、Sm系希土類永久磁石をはるかにしのぐ極めて優れた永久磁石材料であるため、Sm系希土類永久磁石が用いられてきた小型磁気回路はこれに置き換えられるだけでなく、コスト面からもハードフェライトあるいは電磁石が用いられていた分野にも広く用いられようとしている。しかし、Ndをはじめ希土類金属材料は、一般に湿気の多い空気中では極めて短時間のうちに容易に酸化してしまうため、それに伴って生じる磁気特性の劣化や磁石材料の脱落により引き起こされる汚染が欠点として存在する。このため、一般的な使用にあっては、該磁石の表面に保護被膜として特開昭60−54406号公報にあるようなメッキ金属被膜、特開平9−63833号公報にあるような無機質被膜、特開平9−180922号公報にあるような有機質被膜などを施すことが提唱されている。また、最近では、被膜と磁石の間に残存するメッキ液によって磁石が腐食劣化してしまう問題に対して、特開平7−74043号公報にあるように該磁石表面をイオンプレーティングを用いたアルミなどの金属蒸着膜等により乾式被覆する方法が提唱されるなど、従来問題とされてきた酸化劣化については対策がとられつつある。
【0003】
しかしながら、用途の広がりとともにR−Fe−B系永久磁石の扱われかたも大きく変化し、近年のモーター組み立てにおいては、400℃前後に加熱した部品に磁石を組み込み固定する焼きばめなどの手法が用いられるようになるなど、従来の耐酸化性をこのような高温環境においても示しつつ、さらに加えて、室温〜400℃程度の耐熱衝撃性や400℃程度の耐熱性、さらにこのような高温にさらされても磁気特性が極端に低下しない耐熱劣化性など、新たな耐久性が要求されるようになっている。
【0004】
このような要求について、特に室温〜400℃程度の耐熱衝撃性については、これまで考慮されていなかったため、程度差はあるが、従来の保護被膜では、磁石素地と被膜金属との熱膨張・収縮が大きく異なることや皮膜自体が持つ応力の影響、さらに冷却されるときに生じる組織変態からくる皮膜強度の低下などから、被膜にキレツ、ワレ、フクレが生じたり、更に進んで被膜のハガレや被膜自体の熱分解などが発生するなどして、保護機能の著しい低下を招くなどの問題が生じ、要求を十分に満足させることができなくなってきた。
【0005】
というのも、膨張・収縮の違いからくる問題については、磁石がNdやFeを主成分とした複数成分からなる合金の焼結体であることと、焼結体の形状が多岐にわたっていることなどから、磁石素地と被膜金属との膨張・収縮率を合わせることが困難であるため十分な解決策がないこと、また、保護被膜の応力に起因する問題では被膜中に応力を減少させるような元素を添加する等の方法が有効であるが、このような添加物を用いた場合は、被膜を脆くしたり腐食されやすくするなどの悪影響があるため、添加物による解決ができずにいた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、R−Fe−B系永久磁石の応用範囲を拡大させるべく、従来求められてきた皮膜の機能に加え、極端な温度差のある環境下での使用や、高温での使用においても被膜のワレ、フクレ、ハガレが無いことで耐食性が維持されるR−Fe−B系磁石および該磁石を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成し、従来の不利や欠点を解消するべく検討の結果、下地として実質的に空孔の無いメッキ金属皮膜で保護したのちに、内部に空孔を有するメッキ金属皮膜を析出させ保護することが効果的であること、この場合これらメッキ金属皮膜を特定組成のピロ燐酸銅電気メッキ液を用いて形成することが好適であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明は、金属皮膜を有するR−Fe−B(RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種)系永久磁石において、上記金属皮膜として、1層目に0.1〜1.0μmの厚みを有する実質的に空孔のないメッキ金属皮膜を被覆し、その上に断面の長径が0.1〜1.5μmである空孔を内包する2層目のメッキ金属皮膜を被覆したことを特徴とするR−Fe−B系永久磁石、及びR−Fe−B(RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種)系永久磁石の表面に0.1〜1.0μmの厚みを有する実質的に空孔のない1層目のメッキ金属皮膜を被覆し、その上に断面の長径が0.1〜1.5μmである空孔を内包する2層目のメッキ金属皮膜を被覆することを特徴とするR−Fe−B系永久磁石の製造方法を提供する。
【0009】
この場合、2層目のメッキ金属皮膜上に、ニッケルメッキ皮膜、ニッケル合金メッキ皮膜、複合粒子が共析した複合ニッケルメッキ皮膜のうち少なくとも一つを被覆することができる。また、1層目及び2層目のメッキ金属皮膜をそれぞれピロ燐酸銅電気メッキにより形成することが好ましいが、この際上記1層目のメッキ金属皮膜の形成を、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムを1〜10wt%含む水溶液を用いたメッキ前処理を行い、ついで、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムが200〜300g/l、ピロ燐酸銅が10〜30g/l、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムが10〜30g/l、アンモニアが0.1〜1ml/lである水溶液を用いて電気銅メッキを施すことにより行うこと、また上記2層目のメッキ金属皮膜の形成を、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムが200〜450g/l、ピロ燐酸銅が60〜100g/l、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムが40〜80g/l、アンモニアが0.5〜5ml/lである水溶液を用いて電気銅メッキを施すことにより行うことが有効である。
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0011】
本発明のR−Fe−B系永久磁石は、永久磁石の表面に第1層の金属皮膜として、実質的に空孔のないメッキ金属皮膜が形成され、その上に第2層の金属皮膜として空孔を内包するメッキ金属皮膜が形成され、必要により第3層にニッケル系メッキ皮膜が形成されたものである。
【0012】
なお、本発明における内部に空孔を有する金属皮膜とは、その長径が0.1〜1.5μmの空孔を内包する金属皮膜であり、実質的に空孔のない金属皮膜とは、それらの空孔が電子顕微鏡などミクロンオーダーで観察可能な機器を用いても殆ど観察されない被膜のことであり、一般的なメッキ被膜で不可避に生じるとされているボイドなど、ナノオーダー以下のものの存在は許容する。また、本発明における空孔とは、素地に付着した異物や気泡に起因して発生するピンホールではなく、特定のメッキ条件下で意図的に発生させた閉じた孔のことである。
【0013】
ここで、本発明が対象とする永久磁石(焼結磁石)は、R−Fe−B系であり、RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種から選ばれ、具体的にはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種の希土類金属を含有し、その含有量は5〜40wt%である。さらに、前記焼結磁石体はFeを50〜90wt%、Coを15wt%以下、Bを0.2〜8wt%、および添加物としてNi、Nb、Al、Ti、Zr、Cr、V、Mo、Si、Sn、Ga、Cu、Znから選ばれる少なくとも1種の元素を8wt%以下含有し、これに加えてC、O、P、S、N等の工業的に不可避な不純物を含有する。
【0014】
本発明においては、上記磁石上に、実質的に空孔のない第1層メッキ皮膜、その上に空孔を内包した第2層メッキ皮膜を形成する。この場合、内部に空孔を有した皮膜を磁石に直接施した場合、空孔内部に若干のメッキ液を残存させるため、腐食しにくいメッキ液を用いて析出させた場合でも、磁石素地の極近傍に空孔が存在した場合、経時におけるメッキ液のシミ出しの可能性もあり、その結果、磁石腐食を発生させるため、まず磁石素地に空孔やピンホールの殆ど無い金属皮膜を0.1〜1μm程度析出させて磁石を保護したうえで、その上に耐熱衝撃性を有する空孔を内包した金属皮膜を析出させる。
【0015】
この1層目の皮膜を析出させるメッキ液は、磁石が直接ふれるため、できるだけ腐食しにくいものが望ましいが、本発明のR−Fe−B系永久磁石の場合では、メッキ液のpHを基準として考えたとき、一般的に酸性のメッキ液には腐食されやすく、弱酸性〜アルカリ性のメッキ液に腐食されにくい傾向があるため、中性近傍からアルカリ性のpHとなるメッキ液を用いるのが良い。このような液性を有するメッキ浴には、無電解のニッケルリンメッキ、無電解の銅メッキ、ピロ燐酸電気銅メッキ、ピロ燐酸スズメッキ、ピロ燐酸スズニッケルメッキ、有機酸スズ鉛メッキなどがある。これらの中では、電気メッキ、特に後述する特定の前処理を施した後、特定組成のピロ燐酸銅メッキ液を用いて1層目の皮膜を形成することが好ましい。
【0016】
この場合、この1層目の皮膜厚さは0.1〜1.0μmとする。0.1μmより薄いと、2層目のメッキ皮膜に内包される空孔からのメッキのシミ出しを防ぐことができない。1.0μmより厚いと熱衝撃により磁石素地から剥れる可能性が大きくなる。なお、皮膜の厚みは、検量線法を用いた蛍光X線測定器で測定し、確認することができる。
【0017】
次に、2層目の空孔を内包したメッキ皮膜を形成するメッキ液は、特に制限されないが、電気メッキ液、特に電気銅メッキ液、中でも後述する特定組成のピロ燐酸銅電気メッキ液とすることが好ましい。
【0018】
この2層目のメッキ皮膜の厚さは適宜選定されるが、3〜10μm程度とすることが好ましい。また、空孔の大きさは、その長径が0.1〜1.5μmである。空孔の長径が1.5μmより大きくなると皮膜のもっとも薄い部分の厚みが不足して、耐食性や耐摩耗性が極端に低下するし、0.1μmより小さくなると熱衝撃を緩和する能力が不足してしまう。
【0019】
なお、メッキ皮膜中に存在する空孔は、各々が独立に存在するようにして、空孔内部に残存するメッキ液がメッキ表面や磁石素地にしみだすことを防ぐ。空孔の形状は、その断面が真円でも楕円となる形でもよい。
【0020】
また、空孔の数については、測定前処理によって一部の空孔が潰れるため正確な数を求めることが困難な場合があるが、膜断面において、おおよそ16個/μm2以下、更に好ましくは3〜10個/μm2であることが望ましい。
【0021】
この空孔を有する皮膜は、空孔を殆ど含まない皮膜に比べ、耐食性や耐摩耗性においてはやや劣る傾向があるため、これらの特性をさらに高めたい場合には、空孔を含む皮膜の上に空孔を殆ど含まない皮膜を2〜10μm程度積層させれば良い。
【0022】
皮膜の種類については、NiやCuなどの公知のめっき方法で析出できるものであれば特に問わないが、約400℃近傍にまで加熱されることを前提としているため、この温度に十分耐えられる被膜であることが必要であり、3層目のメッキ皮膜としてニッケル系メッキの処理をすることが望ましい。
【0023】
このようなニッケル系メッキとしては、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ、ニッケル−ホウ素メッキ、ニッケル−亜鉛メッキ等のニッケル合金メッキ、SiC、WC等の複合粒子(共析粒子)が分散し、これら複合粒子がニッケル皮膜中に共析する複合メッキなどが挙げられ、これらは電気メッキでもよく、無電解メッキでもよいが、好ましくは電気メッキである。
【0024】
上記のようなメッキ皮膜が2層、必要により3層以上形成されたR−Fe−B系永久磁石を電気メッキ法により得る場合は、この焼結磁石表面に前処理工程、活性化処理工程を行い、次いで電気メッキ金属皮膜を析出させる。前処理工程では、従来のメッキ処理で行われている、錆落とし、脱脂、不活性物の除去を順次行うが、磁石組成にあわせて適宜条件を変更する。次の活性化処理工程は、前処理で受けた影響を取り除き、次工程のメッキ析出を良好にするために行う。具体的には以下の通りである。
【0025】
[前処理工程]
1.錆落とし
錆落としは、希土類磁石表面の酸化被膜除去を目的として行うものであり、砥石あるいはバフによる研磨、バレル研磨、サンドブラストまたはホーニング、ブラシがけなどにより磁石表面の錆、汚れその他の不純物を除去する。
2.溶剤脱脂
溶剤脱脂は、希土類磁石表面の油脂等による汚れを除去する目的で行うものであり、エステル、エーテル、アルコールなどの有機溶剤に該磁石を浸せきするかまたは該溶剤を噴霧するなどして行う。
3.アルカリ脱脂
アルカリ脱脂は、一般的には上記溶剤脱脂に次いで行い、該磁石表面の油脂類の汚れを除去することを目的として行うもので、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸3ナトリウム、キレート剤などの少なくとも1種以上を合計で5g/l以上200g/l以下含む水溶液であり、これに少量の界面活性剤を添加したのち、常温以上90℃以下に加熱したなかに希土類磁石を浸せきする。
4.不活性物除去
酸洗いは、前工程で除去できなかった酸化被膜や前工程中に新たに生成した不活性な被膜、さらには付着した金属塩などの不純物を除去するために行う。
【0026】
処理液は、硫酸、硝酸、塩酸やリン酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、クエン酸、酒石酸およびこれらのカリウム塩やナトリウム塩のうち少なくとも1種類以上を合計で1〜40wt%含む水溶液を10〜60℃の範囲とし、これに該磁石を浸せきして処理を行う。
【0027】
以上の4種、1〜4の操作は、該磁石表面の汚れや量に応じて少なくとも1種類を選択するが、2種類以上を組み合わせて行うのが望ましく、それぞれの処理時間も適宜変え得る。また各処理を行った後は必ず十分に水洗する必要がある。
【0028】
[活性化処理工程]
活性化処理は希土類磁石の表面エネルギー状態を予め昂揚しておいて、メッキ膜と該磁石との間の密着力を向上させるために行う。
【0029】
活性化処理に用いる薬液は、リン酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、クエン酸、酒石酸およびこれらのカリウム塩やナトリウム塩のうち少なくとも1種類以上を合計で1〜40wt%含む水溶液を用いることができるが、さらに効果を上げる場合には、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルアリールスルフォン酸塩などの陰イオン界面活性剤、または高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤、さらにはポリエチレングリコールアルキルエーテルポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリドなどの非イオン活性剤、アミノ酸などの両性表面活性剤を添加するのが望ましい場合がある。
【0030】
また、活性化処理液の寿命を長くするため、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどの無機金属イオン封止剤やクエン酸、グルコン酸、酒石酸およびそれらの塩、EDTAなどの有機金属イオン封止剤を少なくとも1種以上、合計で5wt%以下添加しても良い。
【0031】
上記の薬液を10〜60℃の範囲としてこの中に該磁石を浸せきして活性化処理を行う。
【0032】
[メッキ工程]
第1層メッキ
1層目のメッキは、2層目に施すメッキが電気メッキであることから工程的に電気メッキが望ましいこと、400℃以上の耐熱性を有すること、ピンホールの原因ともなるメッキ中のガス発生が少ない陰極効率の高いことを条件に検討したところ、種々のメッキ液のうちで、ピロ燐酸銅メッキが最も好ましい結果が得られた。
【0033】
しかしながら、ピロ燐酸銅メッキにおいて、公知文献「金属表面技術 Vol.19 No.9 1968」に記載の一般的な浴組成では、本発明で用いるR−Fe−B系永久磁石に対して被膜を完全に形成させることができないか、実用的に十分な密着強度を有する被膜を得ることが極めて困難であったため、浴組成および添加剤、前処理などを含めて製造法を再検討し、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムを1〜10wt%含む水溶液を用いたメッキ前処理を行い、ついで、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムが200〜300g/l、ピロ燐酸銅が10〜30g/l、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムが10〜30g/l、アンモニアが0.1〜1ml/lであって、かつP比(P27/Cu)が14〜28の範囲であるアルカリ性メッキ液を用いることが極めて有効である知見を得た。
【0034】
この場合、前処理であるピロ燐酸塩浸せきは、磁石表面の状態にも依存するが、液温度20℃〜60℃において10秒〜3分程度行う。
【0035】
次いで、上述したメッキ液を用い、pH8〜12、20〜60℃、空気攪拌又はスクリュー式攪拌棒を用いた機械攪拌を行いながら陰極電流密度0.5〜3.0A/dm2、陽極に銅を用いてメッキを行うことが好ましい。
【0036】
第2層メッキ
上記したメッキ液を用いて1層目皮膜を電気メッキして、実質的に空孔のない被膜相を形成したのち、空孔を内包した金属被膜を室温〜400℃程度の温度範囲での熱衝撃に耐えられるように約3〜10μmの厚みで電気メッキする。
【0037】
空孔を内包する皮膜は、磁石素地近傍の金属イオン濃度を通常濃度の20〜70%まで薄くしたり、メッキ浴温を低くしたり、エアブローなどによる浴の撹拌をやめ、メッキ液の循環を磁石近傍のみ悪くするなどして、分極が生じやすい状態を作りだし、被膜の析出が部分的に異なるようにすることで得られる。
【0038】
ただし、過度の分極はR−Fe−B系永久磁石にとって悪影響を及ぼすおそれのある水素ガスを発生させるので、メッキ中の電流密度を好ましくは0.5A/dm2〜3.0A/dm2の範囲にするなどの注意も必要である。
【0039】
この場合、2層目皮膜を形成する電気メッキ液としては、ピロ燐酸銅メッキ液、特にピロ燐酸カリウム又はピロ燐酸ナトリウムが200〜450g/l、ピロ燐酸銅が60〜100g/l、クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウムが40〜80g/l、アンモニアが0.5〜5ml/lであるメッキ液を用いることが好ましい。
【0040】
このメッキ液を用い、好ましくはpH8〜12、メッキ液温度20〜60℃、弱い空気攪拌又はヒーターによる熱対流攪拌など穏やかな攪拌下で、陰極電流密度0.5〜3.0A/dm2、好ましくは0.5〜1.8A/dm2の範囲において、陽極に銅を用いてメッキを行うことが好ましい。
【0041】
第3層メッキ
このような空孔を内包した被膜を析出させたのち、更なる被膜の高機能化を図る場合には、第3層メッキとして上述したニッケルメッキ、ニッケル合金メッキ、又は複合ニッケルメッキを行い、2〜10μm形成することができる。
【0042】
具体的には、上記のような2層の電気メッキ金属保護をおこなった磁石を特に清浄な環境において用いる場合は、この上に電気ニッケルメッキなどの電気メッキ金属皮膜を施せば良い。
【0043】
また、耐磨耗性をさらに求める場合は、このような2層の電気メッキ金属保護を行った磁石の上層に、電気ニッケルリンメッキ、電気ニッケルSiCメッキなどを施せばよい。
【0044】
このほかに、上記以外でより安価でかつ高い耐食性を求める場合などは、電気ニッケル亜鉛メッキなどを施せば良い。
【0045】
[後処理]
後処理は、メッキ工程で付着した金属塩やその他不純物を除去するために行う。一般的には、純水中に浸せきまたは純水噴霧するなどして洗浄することにより除去を行う。ついで、全体を温風にて乾燥させる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
[実施例、比較例]
Ar雰囲気の高周波溶解により、Nd32wt%、B1.2wt%、Fe59.8wt%、Co7wt%なる組成の鋳塊を作成した。これをジョウクラッシャーで粗粉砕し、さらに窒素ガスを用いたジェットミルで微粉砕して、平均粒径が3.5μmの微粉末を得た。そして、この微粉末を10kOe磁界が印加された金型内に充填し、1.0t/cm2の圧力で成形した。次いで、真空中1100℃×2時間焼結し、さらに550℃で1時間、時効処理を施し、永久磁石とした。
【0048】
得られた永久磁石から、長さ20mm×幅5mm×厚4mm寸法の磁石片を切り出し、次の各条件に従いメッキを施した。実施例1では実質的に空孔のない皮膜厚み0.5μmの銅メッキ、空孔を有する皮膜厚み5μmの銅メッキ、実質的に空孔のない皮膜厚み3μmのニッケルメッキを、実施例2では実質的に空孔のない皮膜厚み0.5μmの銅メッキ、空孔を有する皮膜厚み6μmの銅メッキ、実施例3では実質的に空孔のない皮膜厚み0.5μmの銅メッキ、空孔を有する皮膜厚み5μmの銅メッキ、実質的に空孔のない皮膜厚み4μmのニッケルリンメッキを施したものを作成した。
【0049】
また、比較例1では実質的に空孔のない皮膜厚み9μmの無光沢ニッケルメッキを、比較例2では実質的に空孔のない皮膜厚み4〜5μmの無光沢ニッケルメッキと光沢ニッケルメッキを施した。
【0050】
これらの皮膜の断面を観察し、実施例・比較例の皮膜の種類、厚さ、被膜中の空孔数を調べた結果を表1に示した。
【0051】
作成したサンプル各5ヶを電気炉にて350℃×30minに加熱保持したのち、約25℃の耐火煉瓦上に直ちに放置することで熱衝撃テストを行った結果と、150℃×24時間試験前後の磁気特性(bHc)の低下率(%)を測定した熱劣化テスト結果と、湿度100%、圧力0.2MPa、120℃×48時間における被膜密着性テスト結果、および温度80℃、湿度90%での環境試験による耐食性テスト結果のそれぞれをまとめて表2に、実施例2のサンプルの断面写真を図1に示す。
【0052】
なお、以下に各例の前処理、メッキ処理、後処理の方法を示す。
【0053】
[実施例1]
【0054】
[実施例2]
【0055】
[実施例3]
【0056】
[比較例1]
【0057】
[比較例2]
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明によるR−Fe−B系永久磁石およびその製造法は、永久磁石を極端な温度差のある環境下でも応用可能とし、近年の省エネルギー化に貢献するものとして極めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の磁石の断面の顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 金属皮膜を有するR−Fe−B(RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種)系永久磁石において、上記金属皮膜として、1層目に0.1〜1.0μmの厚みを有する実質的に空孔のないメッキ金属皮膜を被覆し、その上に断面の長径が0.1〜1.5μmである空孔を内包する2層目のメッキ金属皮膜を被覆したことを特徴とするR−Fe−B系永久磁石。
  2. R−Fe−B系永久磁石の2層目のメッキ金属皮膜上に、3層目の皮膜としてニッケルメッキ皮膜、ニッケル合金メッキ皮膜、複合粒子が共析した複合ニッケルメッキ皮膜のうち少なくとも一つを被覆したことを特徴とする請求項1記載のR−Fe−B系永久磁石。
  3. 1層目及び2層目のメッキ金属皮膜が、それぞれピロ燐酸銅電気メッキにより形成された銅メッキ皮膜である請求項1又は2記載のR−Fe−B系永久磁石。
  4. R−Fe−B(RはSc、Yを含む希土類元素の少なくとも1種)系永久磁石の表面に0.1〜1.0μmの厚みを有する実質的に空孔のない1層目のメッキ金属皮膜を被覆し、その上に断面の長径が0.1〜1.5μmである空孔を内包する2層目のメッキ金属皮膜を被覆することを特徴とするR−Fe−B系永久磁石の製造方法。
  5. 2層目のメッキ金属皮膜上に、ニッケルメッキ皮膜、ニッケル合金メッキ皮膜、複合粒子が共析した複合ニッケルメッキ皮膜のうち少なくとも一つを被覆することを特徴とする請求項4記載のR−Fe−B系永久磁石の製造方法。
  6. 上記1層目のメッキ金属皮膜の形成を、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムを1〜10wt%含む水溶液を用いたメッキ前処理を行い、ついで、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムが200〜300g/l、ピロ燐酸銅が10〜30g/l、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムが10〜30g/l、アンモニアが0.1〜1ml/lである水溶液を用いて電気銅メッキを施すことにより行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のR−Fe−B系永久磁石の製造方法。
  7. 上記2層目のメッキ金属皮膜の形成を、ピロ燐酸カリウムまたはピロ燐酸ナトリウムが200〜450g/l、ピロ燐酸銅が60〜100g/l、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムが40〜80g/l、アンモニアが0.5〜5ml/lである水溶液を用いて電気銅メッキを施すことにより行うことを特徴とする請求項4、5又は6に記載のR−Fe−B系永久磁石の製造方法。
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