JP3795862B2 - 構造体の変形加工のための方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明は、構造体、特に航空機及び宇宙飛行体に用いられる構造体を変形加工するための方法であって、構造体がプレート状の基体及び、該基体に対してほぼ垂直に向けられていて該基体と一体的に結合された互いにほぼ平行に長く延びるリブを有しており、変形加工が噴流媒体の粒子によって行われ、粒子が高速で構造体の表面領域にぶつかって、塑性的な材料変形を生ぜしめる形式のものに関する。
【0002】
特に航空機及び宇宙飛行体には、一般的に片側で、場合によっては両側で互いに平行に延びる複数のリブを備える構造体若しくは一体構成部分が用いられ、リブを備えない側は平らになっている。構成部分に互いに交差して縦方向並びに横方向に延びるリブを設けてある場合には、該構成部分は箱形構造(カセット構造)を成している。このような構成部分を湾曲させるためには、煩雑な方法を用いなければならず、それというのはリブが、特にリブを湾曲方向に対して平行に延在させてある場合に、著しい変形抵抗を生ぜしめるからである。
【0003】
冒頭に述べた形式の変形方法は、航空飛行及び宇宙飛行技術において大きな平面の構成部分、例えば支持平面部材若しくはシェル構造ボディーの湾曲のために用いられている。構造体の変形加工に際しては、一般に2乃至4mmの粒子直径の噴流媒体(アブレシブ)が用いられる。構成部分の大きな面の処理のために噴流媒体が加速車によって供給されるのに対して、局所的に制限された変形加工のためには手持ち噴射装置が用いられる。手持ち噴射装置はリブの湾曲にも用いられる。一般的に扁平なリブを噴流形状及び噴流直径に基づき意図的に変形させるために、加工すべきリブを部分的にマスクによって被覆し、これによって変形すべきリブ領域に所望の伸び率を達成するようになっている。リブの負荷しない面区分の被覆のめに、ゴム若しくは衝撃吸収性の別の材料が用いられる。リブのこのような被覆は、特に複数のマスクを用いる場合には著しく大きな費用を必要とする。
【0004】
前述のボール吹き付け法に対する別の方法として、クランピング法若しくはトング法が公知である。この場合には締め付けグリッパの形のトングが、離隔された2つのクランプジョーによってリブを隣接の2つの箇所でつかむようになっている。両方のクランプジョーの相対的な短い離反運動若しくは接近運動によってリブが局所的に伸ばされ、若しくは圧縮される。該作業をリブの縦方向(長手方向)に沿って繰り返すことによって、連続的な凸状若しくは凹状の湾曲が生ぜしめられる。該湾曲はクランプ行程及び前記作業の繰り返しの回数によって規定される。
【0005】
前述のクランピング法においては欠点として、クランプ行程当たりの伸びの小さいことに基づき、変形過程に著しく長い時間が必要である。原理的に自動化が可能であるにもかかわらず、クランピング法の実施はリブの折れ曲がりのおそれ並びにはねかえりに基づき操作員にとって多くの経験を必要とする。
【0006】
さらに一般的に構造体のためのクリープ変形法(Age creep forming)も公知である。この場合には、構成部分が切削、特にフライス加工によってまず平らな形に形成され、次いで完成した構成部分の外形輪郭を有する型内にはめ込まれる。圧力及び温度を加えることによって、構成部分が型に圧着される。このような変形プロセスは一般的に数時間かかる。さらに欠点として、各幾何学形状の構成部分にとって特別な型が製造されねばならない。さらにパラメータ、例えば温度、圧力及び時間を各構成部分にとって個別に求める必要がある。また該クリープ変形法は、熱処理に適さない材料には使用できない。さらに困難な点が、構成部分を型から外した後のはねかえりを補償して、構成部分の所望の正確な幾何学形状を達成するために、構成部分を型内である程度強く変形させなければならないことにある。
【0007】
さらに公知技術として、米国特許第4329862号明細書により、プレート状の構成部分、特に支持翼構造体若しくは主翼構造体のためのボール噴流変形法が公知である。しかしながらこの場合には、噴流媒体で負荷すべき支持翼構造体はリブで補強されているものではない。該ボール噴流変形法は、構成部分を第1のステップで両側からの噴流媒体負荷によって伸ばし、次いで一方の側からのみの噴流媒体負荷によって他方の側へ湾曲させることを示唆している過ぎない。
【0008】
構造体を内実材料からCNC・フライス盤でフライス加工して成形する方法も実際に用いられている。この場合には、著しい材料費用はともかくとして、軽くしか湾曲されない構造体しか得られない。大きな厚さで準備すべき素材のためのコストは著しく高い。従って、該方法は面の大きな構成部分にとっては経済的に利用できるものではない。さらに、構成部分の切削加工に起因したつよいはねかえり作用によって精度が損なわれることになる。
【0009】
本発明の課題は、構造体の冒頭に述べた形式の変形加工法を改善して、種々の幾何学形状の構成部分を正確にかつ経済的に形成できるようにすることである。
【0010】
前記課題を解決するために本発明に基づく手段では、各リブの相対する縦側に配置された互いに相対するリブ表面領域を、同時に噴流媒体の粒子によって負荷するようにした。
【0011】
負荷された表面領域が互いに正確に相対しているので、リブの縦方向に対して横方向の曲がり若しくはそりが確実に避けられる。噴流媒体を同時に両側でリブ表面に向けて噴射することによって、加工効率が高められる。弾性的な材料変形によるエネルギー損失が本発明に基づく方法では最小になっている。基体を基準としてリブのどの高さで両側からの噴流媒体負荷を行うかに応じて、構造体の凸状の湾曲か凹状の湾曲かが得られる。この場合、湾曲半径の寸法が、噴流媒体の粒子の大きさ及び速度並びに、噴流処理の時間によって規定される。本発明に基づく方法においては特に利点として、構造体の変形加工がリブを負荷するだけで行われてよく、従って基体の付加的な負荷が省略できる。本発明に基づく方法の自動化が、処理中の構造体の幾何学寸法を自動的に測定して、方法の制御のプログラムに取り入れることによって可能である。
【0012】
本発明に基づく方法の実施態様によって、リブのリブ足部に隣接する縦ストリップか、リブのリブ頭部に隣接する縦ストリップが噴流媒体の粒子によって負荷され、この場合、縦ストリップの幅は最大でリブの高さである。
【0013】
リブのリブ足部に隣接する縦ストリップを負荷する場合には、構成部分の縦リブ及び/又は横リブが足部領域で噴流媒体負荷によって伸張される。これによって、構成部分の凹状の湾曲が生ぜしめられ、この場合、凹状なる概念はプレート状の基体のリブを備えた側を基準にしている。
【0014】
リブのリブ頭部に隣接する縦ストリップを負荷する場合には、構成部分の凸状の湾曲が、縦リブ及び/又は横リブの頭部領域の噴流媒体負荷によって行われる。
【0015】
本発明に基づく方法を箱形構造の構造体、即ち交差する縦リブ及び横リブを備えた構造体に用いて、構造体に単軸若しくは複数軸の湾曲を生ぜしめることもできる。例えば縦リブを足部領域で伸張させるのに対して、横ウエブを頭部領域で伸張させて、凹状の湾曲と凸状の湾曲とを組み合わせてなる構成部分を形成することができ、これによって鞍形の幾何学形状が得られる。縦リブだけを備える若しくは横リブだけを備える構成部分においては、鞍形の構造が、基体を片側で噴流媒体処理することによってリブの縦方向に対して横方向の湾曲を生ぜしめることに基づき達成できる。
【0016】
本発明に基づく方法の実施態様では、噴流媒体の粒子が、4mmよりも大きな平均直径を有している。これによって、肉厚のリブを備える構造体も確実に変形させることができる。大きな粒子、特に4mmよりも大きな直径を有する大きなボールによって、リブを深く打撃することができる。
【0017】
本発明に基づく方法の別の実施態様では、噴流媒体の粒子が、1つの噴流装置の互いに相対して向けられた複数のノズルから噴射され、ノズルがリブの長手方向及び高さ方向に移動させられる。これによって、方法の自動化並びに多様な幾何学形状の構成部分の形成が可能である。
【0018】
さらに有利には、ノズルを互いに同期的に、同じ速度でかつ同じ方向に移動させる。これによって、処理箇所を連続的に移動させる場合にも常にリブの相対する表面領域が確実に負荷される。
【0019】
構造体、特に航空機及び宇宙飛行体に用いられる構造体を変形加工するための装置であって、構造体がプレート状の基体及び、該基体に対してほぼ垂直に向けられていて該基体と一体的に結合された互いにほぼ平行に長く延びるリブを有しており、該装置によって噴流媒体の粒子が高速下で構造体の表面領域に負荷されて、塑性的な材料変形を生ぜしめるようになっている形式のものにおいて、本発明に基づき、粒子の噴流の配向された流出のための少なくとも2つのノズルが設けられており、この場合、粒子の噴流が互いに向き合わされており、ノズルがリブの厚さの厚さよりの大きな相互間隔を有している。有利には、ノズルが隣接のリブ間の中間スペース内に配置されており、これによって、粒子噴流をほぼ90°の角度でリブ表面に向けることができる。
【0020】
前述の装置を用いることによって、本発明に基づく前述の変形加工法が簡単に実施できる。両方のノズルを互いに不動に配置することによって若しくは粒子噴流の流出方向を互いに不動にすることによって、常にリブの相対する表面領域が確実に負荷される。ノズルを隣接のリブ間の中間スペース内に配置することによって、粒子を加工すべき表面領域に垂直にぶつけることが可能である。
【0021】
本発明の実施態様では、ノズルがリブの長手方向及び高さ方向に互いに一緒に移動可能であり、大きな構成部分においてもリブの種々の箇所で変形加工を実施することができる。要するに種々の幾何学形状の構成部分を変形加工することができる。
【0022】
次に本発明に基づく方法及び装置を図示の実施例に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1には、構造体を変形加工する装置、即ち変形加工装置の2つのノズル1a,1bだけを示してあり、ノズルの前側2a,2bから粒子状の噴流媒体の軽くテーパーを成して広がる噴流3a/3bが流出している。噴流媒体の粒子は球形を成していて、4mmよりも大きな直径(例えば6mm)を有している。ノズル1a,1bへの噴流媒体の供給装置及び噴流装置のその他の構成要素は、一般的に周知のものであって、従って図示を省略してある。
【0024】
部分的にしか示してない変形加工装置を用いて、金属材料から成る構造体4が変形加工される。構造体4は、部分的に示すプレート状の基体5及び、該基体5に対して垂直に向けられて該基体5と一体的に結合された複数のリブ6から形成されており、リブは図面を見易くするために1つだけを部分的に示してある。リブ6は互いに等間隔でかつ互いに平行に延びており、ノズル1a,1bが該各ノズルに所属の供給装置を含めて互いに隣接のリブ6間の中間スペース内に配置されている。ノズル1a,1b間の相互間隔Aが、ノズル間に位置する所定の厚さDのリブ6のリブ表面とノズル1a,1bとの間に十分な空間を残して、噴流媒体の妨げのない流出を保証できるように設定されている。
【0025】
図1には、ノズル1a/1bをリブ6に対して垂直に配置した例を示してある。しかしながら、粒子噴流を90°と異なる角度で上方から斜めにリブ表面にぶつけるようにすることも可能である。この場合、ノズル1a/1bがリブ上縁の上側の仮想の1つの平面内に配置されていて、該平面に沿って移動させられるようになっていてよい。
【0026】
両方のノズル1a/1bの共通の縦軸線7が、リブ6の両方の側面8a,8bに対して垂直に延びている。これによって、相対する側面8a,8bの互いに実質的に完全に合致した表面領域を噴流3a,3bで負荷することが保証される。噴流強さが同じである場合には、負荷されたリブ区分の領域内に力の釣り合いが生じており、従ってリブ6の側方への変位若しくは折れ曲がりが避けられる。
【0027】
図2a及び図2bに、構造体4のリブ頭部9から広がりかつリブ6の縦方向に対して平行に延びる縦ストリップ(長手方向帯状区分)10を明瞭に示してある。リブ6の高さ12のほぼ40%になる幅11を有する縦ストリップ10が、ノズル2bからの噴流によって負荷される。同じ幅11有する図面では見えない相対する縦ストリップ10bも、同じくノズル2aからの噴流によって負荷される。従って、図1に示すノズル装置は全体的に、即ち両方のノズル2a/2bの相互の位置及び向き(配向)を変えることなしに、リブ6の縦方向に例えば一定速度で移動可能である。
【0028】
図2cに、構造体4が縦ストリップ10a,10bの領域の噴流媒体処理の後に占める形状を示してある。リブ頭部9の領域で生じる材料伸長、即ち構成部分の該領域の伸びに基づき、リブ6も基体5も凸状に湾曲された形状を占める。このように湾曲されるにも拘わらず、リブ6の側面8a,8bはそれぞれ1つの平面内に位置している。
【0029】
構造体4にはリブ6の縦方向での湾曲に加えて、基体5の下面13若しくは上面14の噴流処理によって、リブ6の縦方向に対して垂直な湾曲が付加的に生ぜしめられてよい。このようにして鞍形の構造体が形成される。
【0030】
カセット構造の構造体、即ち縦方向及び横方向に交差するリブを備えた構造体の場合には、鞍形の構造がリブの噴流処理によってだけで達成され得る。しかしながら有利には、基体の付加的な噴流処理も可能である。
【0031】
図3a乃至図3cには、噴流媒体処理によって構造体4に凹状の湾曲を生ぜしめる例が示してある。この例では、縦ストリップ10a′がリブ足部15の領域に位置していて、直接に基体5の上面14に接続している。
【0032】
相対する縦ストリップ10a′,10b′に噴流媒体処理を行った後に、構造体4は、図3cに示す凹状に湾曲された形状を占めている。リブ6の足部領域の伸長に基づき、プレート状の基体5の材料も一緒に伸ばされる。縦ストリップ10a′,10b′の幅11は、同じく構造体4の高さ12のほぼ40%である。
【0033】
図4及び図5に、噴流媒体で負荷される縦ストリップ10a(リブ頭部),10a′(リブ足部)の領域の伸長分布が示してある。図4に示す例の伸長が縦ストリップ10aの下側の境界線16で零から出発してリブ頭部9に向かって直線的に最大値まで増大しているのに対して、図5に示す例では伸長が同じく縦ストリップ10a′の上側の境界線17から出発してリブ足部15に向かって基体5への移行部まで直線的に増大しており、該移行部に伸長の最大値が生じている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 互いに向き合わされた2つのノズルを備える構造体変形加工装置の概略図。
【図2a】 構造体の一部分の斜視図。
【図2b】 図2aの構造体の側面図。
【図2c】 図2aの凸状の湾曲を施された構造体の側面図。
【図3a】 凹状の湾曲を施す構造体の一部分の斜視図。
【図3b】 図3aの構造体の側面図。
【図3c】 図3aの凹状の湾曲の施された構造体の側面図。
【図4】 構造体の凸状の湾曲を施す際の伸張分布を示す図。
【図5】 構造体の凹状の湾曲を施す際の伸張分布を示す図。
【符号の説明】
1a,1b ノズル、 2a,2b ノズルの前側、 4 構造体、 5 基体、 9 リブ頭部、 10a,10a′ 縦ストリップ、 13 下面、 14 上面、 15 リブ足部、 16,17 境界線
Claims (9)
- 構造体、特に航空機及び宇宙飛行体に用いられる構造体を変形加工するための方法であって、構造体がプレート状の基体及び、該基体に対してほぼ垂直に向けられていて該基体と一体的に結合された互いにほぼ平行に長く延びるリブを有しており、変形加工が噴流媒体の粒子によって行われ、粒子が高速で構造体の表面領域にぶつかって、塑性的な材料変形を生ぜしめる形式のものにおいて、各リブの相対する縦側に配置された互いに相対するリブ表面領域を、同時に噴流媒体の粒子によって負荷することを特徴とする、構造体の変形加工のための方法。
- リブのリブ足部に隣接する縦ストリップを噴流媒体の粒子によって負荷し、この場合、縦ストリップの幅が最大でリブの高さの半分に相当する請求項1記載の方法。
- リブのリブ頭部に隣接する縦ストリップを噴流媒体の粒子によって負荷し、この場合、縦ストリップの幅が最大でリブの高さの半分に相当する請求項1記載の方法。
- 噴流媒体の粒子が、4mmよりも大きな平均直径を有している請求項3記載の方法。
- 噴流媒体の粒子が、1つの噴流装置の互いに相対して向けられた複数のノズルから噴射され、ノズルがリブの長手方向及び高さ方向に移動させられる請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
- ノズルを互いに同期的に、同じ速度でかつ同じ方向に移動させる請求項5記載の方法。
- 構造体(4)、特に航空機及び宇宙飛行体に用いられる構造体を変形加工するための装置であって、構造体(4)がプレート状の基体(5)及び、該基体(5)に対してほぼ垂直に向けられていて該基体と一体的に結合された互いにほぼ平行に長く延びるリブ(6)を有しており、該装置によって噴流媒体の粒子が高速下で構造体(4)の表面領域に吹き付けられて、塑性的な材料変形を生ぜしめるようになっている形式のものにおいて、粒子の噴流(3a,3b)の流出のための少なくとも2つのノズル(1a/1b)が設けられており、粒子の噴流(3a,3b)が互いに向き合わされており、ノズル(1a/1b)がリブ(6)の厚さ(D)よりも大きな相互間隔(A)を有していることを特徴とする、構造体の変形加工のための装置。
- ノズル(1a/1b)が隣接のリブ(6)間の中間スペース内に配置されている請求項7記載の装置。
- ノズル(1a/1b)がリブ(6)の長手方向及び高さ方向に互いに一緒に移動可能である請求項7又は8記載の装置。
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