JP7035458B2 - 溶接構造体、および溶接構造体の製造方法 - Google Patents

溶接構造体、および溶接構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶接構造体、および溶接構造体の製造方法に関する。
周知のように自動車用の部品には溶接構造体が多数用いられている。溶接構造体は、板材、丸棒、角材などの種々の形状を有する鋼材からなる複数の部品を溶接接合することによって形成されている。溶接接合は、アーク溶接やレーザー溶接などの工法が用いられる。
自動車用部品、例えばトランスバースリンクなどの車体足回り部品については、軽量化の要求が普遍的なものである。自動車用部品の軽量化を満足するために、断面形状を最適化したり、高強度材を採用したりしている。
従来、溶接構造体に関して、溶接部にショットピーニング処理によるひずみ硬化を付与し、残留圧縮応力を付与することによって疲労強度を向上させる技術が知られている(特許文献1を参照。)。
特許第5880260号
溶接構造体における溶接部は、溶接金属と、溶接金属の外側周辺に位置する熱影響部とからなる。熱影響部は、溶接接合時の加工熱が浸透し、温度の影響によって材料強度が低下する。なお、本明細書においては、「材料強度」は引張強度を意味するものとする。
高強度材を適用する場合であっても、熱影響部においては材料強度が低下する。部品の厚みは、材料強度の低下を考慮して設計されることになる。このため、部品の厚みは、高強度材そのものの強度を適用して設計した場合に比べて増加する。したがって、高強度材を適用しても、初期の軽量化効果を十分に得ることができないという問題がある。
従来、ショットピーニング処理によって疲労強度を向上させる技術は知られている(上記の特許文献1を参照)。しかしながら、溶接部における軟化した熱影響部の材料強度を回復する技術については確立されていないのが実情である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、溶接部における軟化した熱影響部の材料強度を回復した溶接構造体を提供することを目的とする。さらに、溶接部における軟化した熱影響部の材料強度を回復させることが可能な溶接構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の溶接構造体は、鋼材からなる複数の部品が溶接接合されている。溶接構造体は、溶接部における熱影響部のビッカース硬さが、前記鋼材の表面から厚みの11%以上、25%以下の範囲において、前記溶接部の領域以外の前記鋼材におけるビッカース硬さ相当である。ビッカース硬さが前記溶接部の領域以外の前記鋼材におけるビッカース硬さ相当である範囲は、前記熱影響部を含み、ビード端から、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下である。
また、本発明の溶接構造体の製造方法は、鋼材からなる複数の部品が溶接接合された溶接構造体の製造方法において、
溶接部の熱影響部にショットピーニング処理によるひずみ硬化を、
平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材を用いて、
アルメンストリップAでのアークハイト0.2mm以上、0.6mm以下によって、
前記熱影響部を含み、ビード端から、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与する。
本発明によれば、溶接部における軟化した熱影響部の材料強度を回復した溶接構造体を提供できる。
さらに、溶接部における軟化した熱影響部の材料強度を回復させることが可能な溶接構造体の製造方法を提供できる。
ショットピーニング装置を示す概略構成図である。 ショットピーニング処理を施すワークの一例としてのトランスバースリンクを示す斜視図である。 トランスバースリンクにおける溶接箇所およびショットピーニング処理の範囲を示す斜視図である。 溶接箇所を模式的に示す断面図である。 溶接構造体としての重ね継手試験片を示す断面図である。 試験片に対して行なった硬度分布測定の結果を示すグラフである。
以下、添付した図面を参照しながら、実施形態とその改変例について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図1は、ショットピーニング装置100を示す概略構成図である。
ショットピーニング装置100は、ショット材10を収納するタンク20と、ショット材10の供給量を調整するミキシングバルブ30と、圧縮空気を供給するコンプレッサ40と、圧縮空気によってショット材10を溶接構造体であるワークWに吹き付けるノズル50と、を有している。ショットピーニング装置100は、ワークWに吹き付けたショット材10をタンク20に回収する回収部60を有している。ショットピーニング装置100は、装置全体の作動を制御する制御部70を有している。コンプレッサ40とミキシングバルブ30とは第1空気配管81を介して接続され、コンプレッサ40とタンク20とは第2空気配管82を介して接続されている。
ショット材10は、鋼鉄あるいは非鉄金属の小さな球状物である。ショット材10の材質は、ワークWの材質や、ワークWに付与しようとする特性に合わせて選択される。ミキシングバルブ30は、タンク20からショット材10が供給される供給口32と、供給口32の開口面積を調整する第1バルブ31とを有している。ミキシングバルブ30は、第1バルブ31によって供給口32の開口面積を調整し、ショット材10の供給量を調整する。ミキシングバルブ30には第1空気配管81が接続されている。第1空気配管81には、ミキシングバルブ30に供給する圧縮空気の圧力を調整する第2バルブ83が取り付けられている。第1バルブ31および第2バルブ83は制御部70に接続されている。制御部70は、第1バルブ31および第2バルブ83の作動を制御することによって、ショット材10の供給量および吹き付け圧力を調整する。
図2は、ショットピーニング処理を施すワークWの一例としてのトランスバースリンク200を示す斜視図、図3は、トランスバースリンク200における溶接箇所230およびショットピーニング処理の範囲240を示す斜視図である。
図2に示すように、ショットピーニング処理を施すワークWの一例として、例えば、自動車の車体足回り部品におけるトランスバースリンク200を挙げることができる。トランスバースリンク200は、鋼材からなる複数の部品が溶接接合された溶接構造体であり、部品として、プレス成形された本体部210や、車体側に回動可能に連結するためのカラー220などを有している。カラー220は、ボルトを挿通するために中空形状を有し、本体部210に溶接接合されている。溶接の種類は、例えば、アーク溶接やレーザー溶接である。
図3には、カラー220の近傍における溶接箇所230を示している。さらに、図3には、ショットピーニング処理の範囲240を示している。ショットピーニング処理の範囲240は、ドットによって示されように、溶接箇所230を含む範囲に設定されている。
図4は、溶接箇所230を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、溶接箇所230は、溶接金属251と熱影響部252(HAZ)とからなる溶接部250と、熱影響部252の外側の領域で熱影響を受けない母材260とが存在する。熱影響部252は、溶接時の加工熱によって組織や機械的性質に変化が生じる部分であり、母材260と溶接金属251との中間部分に位置する。熱影響部252は、加工熱が浸透し、温度の影響によって材料強度が低下する。
高強度材は、自動車用部品の軽量化を図るために、溶接構造体の鋼材として適用されている。高強度材を溶接構造体の鋼材に適用する場合であっても、熱影響部252においては材料強度が低下する。部品の厚みは、材料強度の低下を考慮して設計される。このため、溶接部250における軟化した熱影響部252の材料強度を回復させない場合には、高強度材を溶接構造体の鋼材に適用しても、所期の軽量化効果を十分に得ることができない。
そこで、本実施形態においては、鋼材からなる複数の部品(例えば、本体部210およびカラー220)が溶接接合された溶接構造体(例えば、トランスバースリンク200)を製造するにあたり、溶接部250における軟化した熱影響部252の材料強度を回復させるために、次のような製造方法を採用している。
すなわち、溶接部250の熱影響部252にショットピーニング処理によるひずみ硬化を、
平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材10を用いて、
アルメンストリップAでのアークハイト0.2mm以上、0.6mm以下によって、
ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与する。ショットピーニング処理によるひずみ硬化の付与によって、溶接構造体の溶接部250における熱影響部252のビッカース硬さを、溶接部250の領域以外の鋼材(母材260)におけるビッカース硬さ相当に硬くする。
溶接の種類は、溶接部250に軟化した熱影響部252が生じる工法であれば特に限定されず、例えば、アーク溶接やレーザー溶接である。なお、レーザー溶接は、アーク溶接に比べて、熱影響部252の範囲やビード幅を小さくできる利点はある。ただし、レーザー溶接にあっても溶接部250に軟化した熱影響部252が生じることから、本実施形態を適用することができる。
ショット材10は、平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材10を用いることが好ましい。硬質なショット材10の場合には、鋭利な突起を有すると部品の表面に傷を付ける虞がある。このため、球状のショット材10を用いるのがよい。
ショット材10の寸法は、平均直径が0.6mm未満の場合には、ショット材10のエネルギーが小さく、熱影響部252の材料強度を回復させる効果を得るための処理時間が長くなり効率的な製造を行なうことができない。一方、平均直径0.8mmを越えると、熱影響部252の表面にショット材10を均等に衝突させることが難しく、熱影響部252の材料強度を十分に回復させることができない。したがって、平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材10を用いることが好ましい。なお、平均直径とは、ショット材10の寸法の分布の平均値を意味する。
ショットピーニング処理の加工条件は、部品にショットピーニングを行う場合と同じ条件でアルメンストリップAにショットピーニングを行い、ショットピーニング処理後のアルメンストリップAのアークハイトにより規定する。アークハイトは、ショットピーニング処理の加工条件を表す指標として一般的に用いられている。アルメンストリップの片面を投射面としてショットピーニング処理することにより生じる湾曲量(一定の弧長に対するキャンバ)を意味する。なお、アルメンストリップAだけでなく、アルメンストリップN、アルメンストリップCを用い、それぞれのアルメンストリップN、Cでのアークハイトを、アルメンストリップAでのアークハイトに換算して使用することができる。
アルメンストリップAでのアークハイトが0.2mm未満の場合には、付与するひずみ硬化が小さく、熱影響部252の材料強度を十分に回復させることができない。一方、アークハイトが0.6mmを越えると、部品の変形が大きくなり、部品の寸法精度が低下する。したがって、ショットピーニング処理の加工条件は、アルメンストリップAでのアークハイト0.2mm以上、0.6mm以下に調整することが好ましい。
ひずみ硬化を付与する範囲は、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与することが好ましい。この処理範囲は、ビード端からのビード幅寸法に対する倍率によって表される。ひずみ硬化を付与する範囲がビード幅の1.5倍未満の場合には、熱影響部252の全範囲にわたって材料強度を十分に回復させることができない。一方、ビード幅の3倍を越える範囲は、熱影響を受けない母材260の領域となることから材料強度を回復させる処理は必要がない。また、処理範囲を広げすぎると、処理時間が増加し、生産性が悪化する。したがって、ひずみ硬化を付与する範囲は、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与することが好ましい。
「溶接部250の領域以外の鋼材におけるビッカース硬さ相当」とは、母材260におけるビッカース硬さ相当のことを意味する。熱影響部252のビッカース硬さが母材260におけるビッカース硬さ相当になる鋼材の表面からの範囲、すなわち加工硬化深さは、鋼材の表面から厚みの11%以上、25%以下の範囲であることが好ましい。加工硬化深さが鋼材の表面から厚みの11%未満の場合には、加工硬化深さが浅く、熱影響部252の材料強度を十分に回復させることができない。一方、加工硬化深さが鋼材の表面から厚みの25%を越えると、部品の変形が大きくなり、部品の寸法精度が低下する。したがって、加工硬化深さは、鋼材の表面から厚みの11%以上、25%以下の範囲であることが好ましい。
ここに、「母材260におけるビッカース硬さ相当」とは、母材260におけるビッカース硬さと厳密に同じ硬さであることを要求するものではない。軟化した熱影響部252の材料強度を回復できるという作用効果を発揮し得る限度において、母材260におけるビッカース硬さよりも若干小さい硬さでもよい。また、逆に、母材260におけるビッカース硬さよりも若干大きい硬さでもよい。ただし、母材260の材料強度に基づいて設計できるように、軟化した熱影響部252の材料強度を回復できればよいので、母材260におけるビッカース硬さよりも過度に大きくする必要はない。
製造された溶接構造体は、溶接部250における熱影響部252のビッカース硬さが、鋼材の表面から厚みの11%以上、25%以下の範囲において、溶接部250の領域以外の鋼材、つまり母材260におけるビッカース硬さ相当になる。
溶接構造体は軟化した熱影響部252の材料強度が回復され、部品の強度を母材260の引張強度に近づけることができる。硬化深さを深くすることも可能ではあるものの、硬化が深くなることによって割れが生じたり、硬化深さを得るための強加工によって板厚が減少したりする。したがって、硬化深さを上記の範囲に設定することによって、部品として必要となる各板厚において、必要となる硬化深さを得ることができ、かつ、部品の変形を最小に抑制することができる。部品の厚みが高強度材そのものの強度を適用して設計されるため、溶接構造体は、高強度材を適用した場合の軽量化効果を十分に得ることができる。
熱影響部252のビッカース硬さが母材260におけるビッカース硬さ相当である範囲は、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下であることが好ましい。上記の範囲がビード幅の1.5倍未満の場合には、熱影響部252の全範囲にわたって材料強度が十分に回復していない。一方、ビード幅の3倍を越える範囲は、熱影響を受けない母材260の領域となることから、そもそも軟化していない。また、処理範囲が広すぎると、処理時間が増加し、生産性が悪化する。したがって、したがって、熱影響部252のビッカース硬さが母材260のビッカース硬さ相当である範囲は、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下であることが好ましい。
鋼材の厚みは1.6mm以上、3.6mm以下であることが好ましい。鋼材の厚みが1.6mm未満の場合には、部品の変形が伴う。一方、鋼材の厚みが3.6mmを越えると、母材260の材料強度が元々高いことから、ショットピーニング処理によって熱影響部252の材料強度を回復させる効果が影響する程度が相対的に低い。したがって、鋼材の厚みは1.6mm以上、3.6mm以下であることが好ましい。
本実施形態にあっては、鋼材として高強度鋼板を用い、自動車用の部品である溶接構造体を製造するのに適用するのが好ましい。軟化した熱影響部252の材料強度を回復した溶接構造体となるため、部品の厚みを、高強度材そのものの強度を適用して設計することができるからである。この結果、高強度材を適用した場合の軽量化効果を十分に得ることができる。高強度鋼板は、例えば、440MPa級鋼板、590MPa級鋼板、780MPa級鋼板などである。
なお、部品に要求される寸法精度が比較的低く、部品に生じる変形の許容範囲が比較的大きい場合には、加工硬化深さが鋼材の表面から厚みの50%を越えなければよい。このように部品の寸法精度によっては、加工硬化深さは、鋼材の表面から厚みの11%以上、50%以下の範囲であってもよい。
また、熱影響部252にひずみ硬化を付与する手法としてショットピーニング処理を行う実施形態を示したが、ショットピーニング処理に代えて、ハンマーピーニング処理を適用することもできる。この場合には、ハンマーによる衝撃力を調整して、熱影響部252にひずみ硬化を付与する。
溶接構造体の製造方法の実施例を以下に示す。
図5は、溶接構造体としての重ね継手試験片300を示す断面図である。図6は、試験片300に対して行なった硬度分布測定の結果を示すグラフである。
自動車用の部品に適用される種々の強度および肉厚の高強度鋼板を用意した。図5に示すように、2枚の鋼板301、302をアーク溶接によって重ね継手303によって接合し、試験片300を準備した。この試験片300に対し、種々の条件でショットピーニング処理を行い、得られた試験片300の引張強度評価、硬度分布測定を行なった。
Figure 0007035458000001
表1に示すように、実施例1は板厚tが1.6mmの590MPa級鋼板を使用し、実施例2は板厚tが1.8mmの440MPa級鋼板を使用し、実施例3~7は板厚tが3.6mmの780MPa級鋼板を使用した。比較例1は板厚tが4mmの590MPa級鋼板を使用し、比較例2は板厚tが1.6mmの590MPa級鋼板を使用し、比較例3は板厚tが3.6mmの780MPa級鋼板を使用した。
実施例1~7および比較例1~3のいずれも、平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるジョット材を使用した。実施例1~7、比較例1はビッカース硬さが513HVのショット材10を使用し、比較例2はビッカース硬さが514HVのショット材10を使用し、比較例3はビッカース硬さが515HVのショット材10を使用した。
ショットピーニング処理のショット条件は、アルメンストリップAのアークハイトにより規定した。実施例1、2はAH0.2mmAとし、実施例3、4はAH0.4mmAとし、実施例5はAH0.5mmAとし、実施例6、7はAH0.6mmAとした。比較例1はAH0.6mmAとし、比較例2はAH0.1mmA以下とし、比較例3はAH0.4mmAとした。
ショット材10の投射角(deg)は、実施例7は試験片300の表面に対して直交する方向から45度傾斜させてショット材10を投射した。その他の実施例1~6、および比較例1~3は、試験片300の表面に対して直交する方向(ゼロ度)からショット材10を投射した
ショットピーニング処理の前後における熱影響部252のビッカース硬さの増加分を測定した(表1中のΔHV)。ショットピーニング処理を行うことによって、実施例1~7は、熱影響部252のビッカース硬さがそれぞれ、101HV、194HV、254HV、194HV、305HV、402HV、240HV増加した。比較例1~3は、熱影響部252のビッカース硬さがそれぞれ、400HV、20HV、48HV増加した。
試験片300の加工硬化層の深さを測定した(表1中の加工硬化深さd)。実施例1~7、および比較例1、3は加工硬化深さが0.4mm、比較例2の加工硬化深さが0.05mmであった。
板厚tに対する加工硬化深さdの比率d/t(%)は、実施例1は25%、実施例2は22%、実施例3~7は11%であった。比較例1は10%、比較例2は3%、比較例3は11%であった。
ショットピーニング処理によってひずみ硬化を付与する処理範囲は次のように設定した。処理範囲はビード端からのビード幅寸法に対する倍率によって表される。実施例1~3、5~7、比較例1、2はビード幅の3倍とした。実施例4はビード幅の1.5倍とし、比較例3はビード幅と同じ幅(1倍)とした。
各試験片300に引張強度試験を行い、ショットピーニング処理の前後における引張強さの増加分を測定した(表1中の引張強さ向上代(MPa))。引張強度試験においては、図5に白抜き矢印によって示すように、重ね継手によって溶接接合された2枚の鋼板を反対方向に引っ張った。ショットピーニング処理を行うことによって、実施例1~7は、試験片300の引張強さがそれぞれ、45MPa、20MPa、71MPa、47MPa、98MPa、102MPa、72MPa増加した。比較例1、3は、試験片300の引張強さがそれぞれ、7MPa、3MPa増加した。比較例2は、試験片300の引張強さが増加しなかった。
図5に示される重ね継手試験片300の下位側の鋼板302に関して、ショットピーニング処理の前後において鋼板表面の硬度分布を測定した。試験片300に対して行なった硬度分布測定の結果の一例を図6に示す。図5に付された0(ゼロ)点の位置が、図6のビード端からの距離が0(ゼロ)mmの位置である。
図6に示すように、溶接部250の熱影響部252にショットピーニング処理によるひずみ硬化を付与することによって、溶接部250における軟化した熱影響部252の材料強度を回復して、母材260におけるビッカース硬さ相当に硬くできることが示された。
以上説明したように、実施例1~7のように、溶接部250の熱影響部252にショットピーニング処理によるひずみ硬化を、
平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材10を用いて
アルメンストリップAでのアークハイト0.2mm以上、0.6mm以下によって、
ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与すれば、
溶接部250における熱影響部252のビッカース硬さを、板厚tの11%以上、25%以下の範囲において、母材260におけるビッカース硬さ相当に硬くできることが示された。
10 ショット材、
20 タンク、
30 ミキシングバルブ、
40 コンプレッサ、
50 ノズル、
60 回収部、
70 制御部、
100 ショットピーニング装置、
200 トランスバースリンク(溶接構造体)、
210 本体部(複数の部品)、
220 カラー(複数の部品)、
230 溶接箇所、
240 ショットピーニング処理の範囲、
250 溶接部、
251 溶接金属、
252 熱影響部、
260 母材、
W 溶接構造体であるワーク。

Claims (6)

  1. 鋼材からなる複数の部品が溶接接合された溶接構造体において、
    溶接部における熱影響部のビッカース硬さが、前記鋼材の表面から厚みの11%以上、25%以下の範囲において、前記溶接部の領域以外の前記鋼材におけるビッカース硬さ相当であり、
    ビッカース硬さが前記溶接部の領域以外の前記鋼材におけるビッカース硬さ相当である範囲は、前記熱影響部を含み、ビード端から、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下である、溶接構造体。
  2. 前記鋼材の厚みが1.6mm以上、3.6mm以下である、請求項1に記載の溶接構造体。
  3. 前記鋼材として高強度鋼板が用いられ、自動車用の部品に適用される、請求項1または2に記載の溶接構造体。
  4. 鋼材からなる複数の部品が溶接接合された溶接構造体の製造方法において、
    溶接部の熱影響部にショットピーニング処理によるひずみ硬化を、
    平均直径0.6mm以上、0.8mm以下の鋼球からなるショット材を用いて、
    アルメンストリップAでのアークハイト0.2mm以上、0.6mm以下によって、
    前記熱影響部を含み、ビード端から、ビード幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に付与する、溶接構造体の製造方法。
  5. 前記鋼材の厚みが1.6mm以上、3.6mm以下である、請求項4に記載の溶接構造体の製造方法。
  6. 前記鋼材として高強度鋼板を用い、自動車用の部品に適用する、請求項4または5に記載の溶接構造体の製造方法。
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