JP3795632B2 - 回転式棒状物繰り出し具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転式棒状物繰り出し具に関し、特に糊等を直接充填して棒状物を形成する使い捨てタイプの回転式棒状物繰り出し具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の直充填式の回転式棒状物繰り出し具としては、図24に示すようなものが提案されていた。この従来例では、糊等をスライダ12の受け部13に直接充填して棒状物Sに形成していた。即ち、軸筒11内を摺動するスライダ12の受け部13の中心に頭部14を有する支持芯15を一体的に形成してスライダ12の受け部13に糊等を充填して受け部13周壁と共に支持芯15により充填された棒状物Sを支持して、これを回転操作によって繰り出して使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにスライダの受け部の中心に支持芯を一体的に形成することは成形上困難であり、特に棒状物が抜け落ちないために支持芯に凹凸を付けたり、支持芯に頭部を形成することは極めて困難であった。しかも支持芯の部分は棒状物が実質的に中空となって脆弱とならざるを得なかった。その上、糊等の充填に際して空気等が混入して棒状物内に気泡が残り質を低下せしてめていた。
【0004】
そこでこの発明は、上記従来の欠点を解消したものであって、スライダの受け部に側壁孔を設けて棒状物が受け部より抜け難くしたことを主な目的とする。これによって棒状物を支持する支持芯を無くして構造が簡単になり、成形を容易にする。更に、棒状物の素材充填時に、棒状物内に空気が残留して気泡となり棒状物の品質を低下することのないように、上記側壁孔に排気孔としての機能を兼用せしめることを二次的目的とするものである。
【0005】
更に、一対の半円筒体によりめねじ部材を構成することによってコアピンの回転による不要な成形時間をなくしてショット時間を短くすると共に長くかつ複雑なめねじ部材のねじ山の成形を容易として、このめねじ部材内を移動するスライダの操作性を良好とし、かつスライダとの組み立てに際してスライダのおねじの最上部にめねじ部材を直接位置せしめて組み合わせることができる。従って、リング状のめねじ部材の場合のようにスライダの末端からめねじ部材を回転しながら上昇せしめてセットする手間を不要としてその組立を極めて簡単とすることをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば棒状物を形成する材料が直充される回転式棒状物繰り出し具であって、充填された材料を棒状物として受ける受け部を備えたスライダが軸筒内に摺動可能に設けられており、このスライダの受け部に支持された棒状物がスライダとともに回転されて、軸筒の開口から出没する回転式棒状物繰り出し具において、上記スライダは、上記棒状物の受け部とこの受け部と一体的に形成された軸部とから構成され、かつ上記受け部の側壁に、直充填に際して粘性化された直充填材料が確実に流入できる大きさの径を有する一対の対向する側壁孔を形成し、この側壁孔内に棒状物から左右二方向に突出した突部を嵌着することによって棒状物基部の強度を高めてなる。
【0007】
さらに、この発明によれば、側壁孔が受け部の底部方向に偏倚して形成されてなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を用いてこの発明の実施の形態による回転式棒状物繰り出し具を詳細に説明する。図1はメーカーが糊等を直接充填してその棒状物を形成し、キャップを取り付けた状態を示す完成品の縦断面図である。図において、有底の軸筒1内の段差部1aの位置には図2に示すようなめねじ部材2が圧入・固定されている。さらに、このめねじ部材2のねじ穴2aには棒状物を繰り出すための長いスライダ3が螺合されている。
【0009】
図3及び図4において、このスライダ3は棒状物を受ける円筒状の受け部3aと一体的に形成された開口3xを有する中空の軸部3bとから構成されている。そしてこの軸部3の外周にはおねじ部3cが形成されており、このおねじ部3cが上記めねじ部材2にセットされた時にそのねじ穴2aと螺合する。さらに、スライダ3の受け部3aの側壁部には、対向して一対の横穴である側壁孔3dが形成されている。なお、軸部3bの底面図は図5に示されるように小判形状に形成されている。
【0010】
また、図4に示されたように受け部3aには側壁孔3dが設けられ、側壁孔3dの上・下端部において径が大とされている端縁部3e,3fが夫々形成されている。従って中軸4内にスライダ3が組み込まれた時には、受け部3aの前後端縁部3e,3fが中軸4の内壁と一部接触するに過ぎないので棒状物の素材の充填によってスライダ3の摺動動作に障害が生ずることがなく、棒状物の素材が端縁部3e,3fからはみ出すことがない。
【0011】
さらに、軸筒1の開口側には中軸4が軸筒1に関して回転可能に設けられている。この中軸4は、図8に示すように底部4aに小判形状の係合穴4bが形成されている。より詳しく述べると、この中軸4は、全体が筒状体で形成されており、開口端に向かって薄肉部4cが形成されており、開口端から離間した外周に滑り止めのための突条4dが長手方向に形成されている。なお、この突条4dの後端縁に隣接して前方に向かって下降する傾斜部を有しかつ後部に直立壁部を有する係止突条4gを備えている。さらに、その後方の外周には軸筒1と回転可能に嵌合するための環状溝4hが形成され、さらにその後方には環状突条4iが形成されている。
【0012】
なお、図1において符号5はクリップ5aと一体成形されたキャップを示し、クリップ5aの裏側に対向してキャップ5の外壁には押圧用突起5bが形成されている。このキャップ5は不使用時に軸筒1に取り付けられて棒状物Sの乾燥を防いでいる。即ち、軸筒1は開口に向かって次第に外径が小さく形成されると共にこの開口から離間した部位において段差部1cが形成されている。そこで、キャップ5が軸筒1に取り付けられると次第に嵌合が強化されて、ついにはキャップ5の先端が段差部1cに当接して完全な嵌合が得られる。即ち、キャップ5の先端部内壁と軸筒1の開口部外壁とで気密が達成される。
【0013】
以下、このような構成の回転式棒状物繰り出し具をより理解するために、その組立手順を説明する。まず、中軸4の係合穴4bにスライダ3の軸部3bを合わせて挿入する。次に、めねじ部材2のねじ穴2aにスライダ3の軸部3bをねじ込んでおねじ部3cに沿ってその受け部3aの底部3aaが中軸4の底部4aに当接するまで組み入れる。その後これらのアセンブリのめねじ部材2を軸筒1の段部1aにまで圧入して固定する。この場合、中軸4の係止突条4gが軸筒1の開口端縁に当接して位置決めがなされる。
【0014】
そして図示しない糊等の充填装置の先端ノズルを中軸4内に挿入して受け部3aに向かって糊を噴出して徐々にノズルを上昇せしめて糊等を充填して棒状物Sを形成する。この時、充填された粘性のある糊等は、側壁孔3d内にも入り込んで固着する。そこで棒状物成形後にはこの部分が従来の支持芯15(図17)の役割を果たすので容易に棒状物が抜け落ちることがない。
【0015】
しかしながら、スライダ3の受け部3aの外壁は中軸4の内壁とは面接触をしないで単に上下端縁部3e,3fで一部接触するように構成されているのでスライダ3の摺動動作に側壁孔3から多少の糊等の充填物が出ても問題はない。最後にこの棒状物Sの上端を適宜カットし、その後軸筒1にキャップ5を取り付けて組み立てを完了する。
【0016】
次に、上記実施の形態による回転式棒状物繰り出し具の動作を説明する。まず使用の際には、キャップを軸筒1から引き抜いて外す。軸筒1を持って固定すると共に、中軸4をつまんで回転せしめる。すると中軸4の底部4aに小判形状の係合穴4bとスライダ3の小判形状の軸部3bとは係合して共に回転する。
【0017】
この時スライダ3の軸部3bに形成されたおねじ部3cが軸筒1に固定されためねじ部材2のねじ穴2aと螺合しているので結局スライダ3は軸筒1の開口方向に向かって繰り出されて使用可能となる。なお、使用後棒状物Sを軸筒1内に収納するためには、中軸4を上記回転と逆に操作すれば良い。
【0018】
さらに、図9および図10は、この発明のスライダの変形例を示すものであって受け部3aの側壁に形成された側壁孔3dの底部3aaの方向に偏して形成されている。従って、側壁孔3dが受け部3aの底部3aaと隣接して形成されているので空気が受け部3aの底部3aaに残留することが無く完全に排出される利点がある。
【0019】
さらに、図11〜図16は、この発明の他の実施の形態を示す図であって、本形態においては図12に示すように軸筒1の内周に螺旋溝1bが形成されてなる。そしてこの軸筒1内には図13及び図14に示すような中軸4が回転可能に設けられている。即ち、この中軸4の後端縁から案内スリット4jが形成されており、この案内スリット4jの開口4kにはスライダが組み込み易くかつ抜けないような形状の張出部4mがスライダ3に形成されている。
【0020】
また、中軸4内には図15及び図16に示されるような筒状の長いスライダ3が長手方向に摺動可能に設けられている。即ち、スライダ3は棒状物Sを受けるための受け部3aとこの受け部3aと一体的に形成された案内軸部3gとから構成されており、受け部3aの側壁には上記実施の形態と同様な側壁孔3dが形成されている。
【0021】
さらにスライダ3の受け部3aと反対側の端部外周壁には上記中軸4の案内スリット4iに係合して回り止め機能を果たす係合突部3hが形成されており、この係合突部3hの外周壁には上記軸筒1の螺旋溝1bと係合する傾斜突起3iが形成されている。なお、図中符号3jはスライダ3の後端を径方向のたわみを与えるための逃げ用割り溝である。従ってスライダ3が繰り出し操作の限界を越えて回転された場合には、この逃げ用割り溝3jの作用によりスライダ3が空回りするので必要以上スライダ3は上昇しない。
【0022】
以下、このような構成の回転式棒状物繰り出し具をより理解するためにその組立手順を説明する。まず、中軸4の案内スリット4jに合わせてスライダ3の後端部に形成された係合突起3hを挿入してセットする。次に、これらアセンブリ3,4を軸筒1内に回転しながら挿入セットする。スライダ3が軸筒1に関して最後尾に達すると糊等の充填装置の先端ノズルを中軸4内に挿入して、徐々にノズルを上げてきて棒状物Sを形成しその先端を適宜カットする。その後キャップ5を軸筒1に嵌めると、このキャップ5の先端部内壁と軸筒1の開口部外壁とで気密が達成される。
【0023】
次に、上記実施の形態による回転式棒状物繰り出し具の動作を説明する。まず使用の際には、キャップを軸筒1から引き抜いて外す。軸筒1を持って固定すると共に、中軸4をつまんで回転せしめる。すると、棒状物を保持したスライダ3の後端に形成された傾斜突起3iが軸筒1内壁の螺旋溝1bに案内されて回転しようとするが、スライダ3の係合突起3hが中軸4の案内スリット4jに規制されて回転が阻止されるのでスライダ3はこの中軸4内を上昇し、結局スライダ3は軸筒1の開口方向に向かって繰り出されて使用可能となる。なお、使用後棒状物を軸筒1内に収納するためには、中軸4を上記回転と逆にすれば良い。
【0024】
図17及び図18は、この発明のめねじ部材2(図2)の変形例を示すものであって、めねじ部材2は、ねじ穴2a有する一対の半円筒体2bからなり、半円筒体2b同士はめねじ部材2の軸心方向に形成されたヒンジ部2cにより接続されている。なお、一方の半円筒体2bのねじ穴2aにはねじ山2dが形成されている。そしてこれらの半円筒体2bのヒンジ部2cの反対側の開放端縁部2eにはヒンジ部2cを中心に回転せしめて開放端縁部2e同士を突き合わせた時に嵌合突起2fと穴2gとが夫々対向するように形成されてなる。
【0025】
そこでこのようなめねじ部材2は、ヒンジ部2cにより半円筒体2bが接続された展開状態で成形されるのでスライダ3の軸部3bに取り付ける際に、軸部3b即ちおねじ部3cの最上位に位置せしめて受け部3aの底部に当接させた状態でヒンジ部2cを中心に半円筒体2b同士を回して軸部3bを包み込むようにその開放端縁部2eを突き合わせて夫々の対向する嵌合突起2fと穴2gとを嵌合・固定する。
【0026】
このような構成のめねじ部材2は、コアピンを対向せしめ成形する場合のように突き合わせによるコアピンの損傷を引きおこしたり、コアピンの回転による不要な成形時間をなくしてショット時間を短くすことができる。また、上記したようにスライダ3の軸部3bに取り付ける際にも、リング形状のめねじ部材のように軸部3bの末端から回転して軸部3bに形成されたおねじ部3cに沿って軸部3bの根元まで上昇せしめる手間を省き、展開状態で軸部3bの根元である受け部3aに当接させた状態でワンタッチで簡単に取り付けることができる。
【0027】
さらに、めねじ部材2を二分割にしたことにより、めねじ部材2のねじ山2dを長く成形することができるのでスライダ3とのねじの螺合が確実で螺合状態が安定しているのでスライダ3の操作性が良い。また、めねじ部材2に複雑な形状のねじを形成することも可能となる。
【0028】
また、図19及び図20は、めねじ部材2の他の変形例を示し、二条ねじの例を示し、本例では半円筒体2bを夫々別個独立して同様のものを成形して、スライダ3の軸部3bの根元に位置せしめ、これらの嵌合突起2fと穴2gとを相対向せしめて嵌合してめねじ部材2としてスライダ3に取り付ける。従って、本例でも成形、組立、操作性の各点において、図17および図18に示されヒンジ部2cを有するめねじ部材2と同様な利点がある。
【0029】
さらに、図21〜図23はスライダ3の変形例を示し、本例においてはスライダの軸部3bは、図3および図4の実施の形態の様な中空筒体とは異なり棒状体であるのでより軸部3bの外形を小さくしても強度的に問題がない。即ち、本例のスライダ3の軸部3bは、中空ではないのでおねじ部3cの横断面における対向する両サイドをカットしていわゆる小判状に形成する場合に強度上問題がなく、かつ軸部3bを細くすることができるので成形の際にひけが生じる恐れもない。なお、軸部3bには二条ねじのおねじ部3cが形成されている。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0031】
スライダの受け部の構造を簡単にして成形を簡単にすると共に充填された棒状物が細くなったりせず確実に受け部に支持され、かつ充填時に棒状物内に空気が残留して気泡となったりして、折れ易くなったりすることなく棒状物の品質安定強化を計ることができる効果がある。
【0032】
めねじ部材を一対の半円筒体により構成したのでめねじ部材の成形を容易とし、かつ複雑で長いねじ山を有するめねじ部材を得ることもできるのでめねじ部材と螺合するスライダの操作性が良くなる効果もある。即ち、コアピン同士の突きまた合わせによりコアピンを損傷したりして、コアピンの耐久性を縮めることなく、またコアピンの回転による成形時間のロスをなくすことができるのでショット時間の短縮を計ることできる。
【0033】
更に、スライダとの組み立てに際してスライダの軸部に形成されたおねじの根元にめねじ部材を位置せしめて取り付けることができるので、スライダの末端からめねじ部材を回転しながら上昇せしめるという手間が不要となるので組立が極めて簡単となる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態による回転式棒状物繰り出し具の縦断面図である。
【図2】図1のめねじ部材の拡大縦断面図である。
【図3】図1のスライダの正面図である。
【図4】図1のスライダの縦断面図である。
【図5】図3のスライダの拡大底面図である。
【図6】図1の中軸の正面図である。
【図7】図6の中軸の縦断面図である。
【図8】図7の中軸のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図9】図6の中軸の変形例を示す正面図である。
【図10】図9の中軸の縦断面図である。
【図11】この発明の他の実施の形態による回転式棒状物繰り出し具の縦断面図である。
【図12】図11の軸筒の縦断面図である。
【図13】図11の中軸の正面図である。
【図14】図11の中軸の縦断面図である。
【図15】図11のスライダの正面図である。
【図16】図11のスライダの縦断面図である。
【図17】めねじ部材の変形例を示す展開平面図である。
【図18】図17のめねじ部材の展開正面図である。
【図19】めねじ部材の他の変形例を示すめねじ部材の半分の平面図である。
【図20】図19のめねじ部材の半分の平面図である。
【図21】スライダの変形例を示す正面図である。
【図22】図21のスライダの底面図である。
【図23】図21のスライダの縦断面図である。
【図24】従来の回転式棒状物繰り出し具の棒状物の受け部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸筒
2 めねじ部材
3 スライダ
3a 受け部
3c おねじ部
3d 側壁孔
4 中軸
5 キャップ

Claims (2)

  1. 棒状物を形成する材料が直充される回転式棒状物繰り出し具であって、充填された材料を棒状物として受ける受け部を備えたスライダが軸筒内に摺動可能に設けられており、このスライダの受け部に支持された棒状物がスライダとともに回転されて、軸筒の開口から出没する回転式棒状物繰り出し具において、上記スライダは、上記棒状物の受け部とこの受け部と一体的に形成された軸部とから構成され、かつ上記受け部の側壁に、直充填に際して粘性化された直充填材料が確実に流入できる大きさの径を有する一対の対向する側壁孔を形成し、この側壁孔内に棒状物から左右二方向に突出した突部を嵌着することによって棒状物基部の強度を高めてなることを特徴とする回転式棒物繰り出し具。
  2. 請求項1記載の回転式棒状物繰り出し具において、前記側壁孔が受け部の底部方向に偏して形成されてなる回転式棒状物繰り出し具。
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