JP3794578B2 - 水性蛍光樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は蛍光着色剤を内包した水性蛍光樹脂組成物及びその製造方法に関し、更に詳細には、耐候性に優れた表示物、塗装物等を形成することのできる塗料やインク等の用途に好適に適用可能な水性蛍光樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光着色剤はイベントやマリンスポーツにおける展示物、警告表示物等を中心にステッカー、ラベル等の表示物、塗装物等への需要が高まっている。
蛍光着色剤を水系の塗料やインクに用いる場合には、水溶性樹脂を用いて分散させる方法が知られている。しかし、そのような方法で得られる塗料やインクの分散安定性は十分ではなく、またそのような塗料やインクを用いて得られる表示物、塗装物の耐候性(特に耐光性)は十分ではなく、太陽光にさらされ続けた場合には、半年ほどで蛍光性が落ちたり、変色したり、色が無くなったり(色落ち)するという問題点があった。
【0003】
また、アセトキシ基、フェニル基又は低級アルコキシカルボニル基を有するビニル系単量体及びシアノ基を有するビニル系単量体を含む単量体混合物を乳化重合して得られる微粒子に蛍光着色剤を染着させたものを含有する水性インクを用いることにより耐候性を向上させ得ることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この方法で得られる微粒子では、蛍光着色剤が殆ど粒子表面に存在しているため、乾燥速度を制御するために用いられるアルコール等の水溶性有機溶媒と混合した場合に粒子の安定性が低下する傾向があり、また、より厳しい条件での耐候性が求められる場合には耐候性が不十分であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−121203号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、耐候性に優れた表示物、塗装物等を形成することのできる塗料やインク等の用途に好適に適用できる水性蛍光樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、蛍光着色剤の存在下で、特定のエチレン性不飽和単量体混合物を乳化重合させ、得られる蛍光着色剤含有樹脂エマルションを特定の水溶性高分子化合物と反応させることにより、上記目的が確実に達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法は、カルボキシル基に対して反応性がある官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と、該単量体(a)との共重合が可能なその他のエチレン性不飽和単量体(b)とからなる単量体混合物(A)を、水性媒体中で蛍光着色剤(B)の存在下で乳化重合させて蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションを製造し、次いで、該エマルションとカルボキシル基を有する水溶性高分子化合物(D)とを混合して該蛍光着色剤含有樹脂(C)中の該官能基と該高分子化合物(D)中のカルボキシル基とを反応させることを特徴とする。
また、本発明の水性蛍光樹脂組成物は上記の製造方法により得ることができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について具体的に説明する。
<単量体混合物(A)>
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法で使用する単量体混合物(A)は、カルボキシル基に対して反応性がある官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と、該単量体(a)との共重合が可能なその他のエチレン性不飽和単量体(b)とからなる。
【0010】
カルボキシル基に対して反応性がある官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a)として、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応により得られるエポキシ基を有する単量体やオリゴノマー;オキサゾリン基を有する単量体やオリゴノマー;アジリジン基を有する単量体やオリゴマー等を挙げることができる。
【0011】
上記のエチレン性不飽和単量体(a)との共重合が可能なその他のエチレン性不飽和単量体(b)として、メチル(メタ)アクリレートや、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、α−クロロエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;スチレンや、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2(3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアルコールや、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリルアミドや、マレインアミド等のアミド基を有する単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基を有する単量体;その他N−メチロール基を有したN−メチロールアクリルアミドや、酢酸ビニル、塩化ビニル、更には、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等を代表的なものとして挙げることができる。これらは勿論1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0012】
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、上記のエチレン性不飽和単量体(b)の一部として、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)及び/又は一分子中に重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体(b−2)を用いることもできる。
【0013】
上記のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)として、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノエチル等を挙げることができる。
【0014】
また、上記の一分子中に重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体(b−2)として、具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ( メタ) アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリットトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルジシアヌレート、テトラアリルオキシエタン等を挙げることができる。これらは勿論1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0015】
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、単量体混合物(A)が上記のエチレン性不飽和単量体(a)を0.1〜10質量%含有し、残部がその他のエチレン性不飽和単量体(b)からなることが望ましい。単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和単量体(a)の配合量が0.1質量%未満の場合には、生成する蛍光着色剤含有樹脂(C)中の官能基の相対量が少なくなり、即ち、水溶性高分子化合物中のカルボキシル基との反応点が相対的に少なくなり、その結果、生成する水性蛍光樹脂組成物を水溶性有機溶媒と混合した時の安定性が不十分となる傾向があるので好ましくない。逆に10質量%を越えると重合時の安定性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
【0016】
また、エチレン性不飽和単量体(b)の一部がエチレン性不飽和単量体(b−1)及び/又はエチレン性不飽和単量体(b−2)である場合には、単量体混合物(A)がエチレン性不飽和単量体(a)を0.1〜10質量%含有し、更にエチレン性不飽和単量体(b−1)を0.1〜6質量%及び/又はエチレン性不飽和単量体(b−2)を0.1〜30質量%含有し、残部がその他のエチレン性不飽和単量体(b)からなることが望ましい。
【0017】
エチレン性不飽和単量体(b−1)の配合量が0.1質量%未満の場合には、そのような組成物を用いて得られる塗膜の耐候性の改善が不十分であり、逆に、6質量%を超える場合には、重合時の安定性が悪くなる傾向があるので好ましくない。また、エチレン性不飽和単量体(b−2)の配合量が0.1質量%未満の場合には、そのような組成物を用いて得られる塗膜の耐候性の改善が不十分であり、逆に、30質量%を超える場合には、重合時の安定性が悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0018】
蛍光着色剤(B)
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法で用いる蛍光着色剤(B)は蛍光染料又は蛍光顔料等の蛍光特性を有する着色剤である。そのような蛍光染料又は蛍光顔料として、従来より公知の各種の蛍光染料又は蛍光顔料を使用することができる。
【0019】
蛍光染料としては、溶剤に溶け、水に溶解しないものであるならば、各種の蛍光染料を好適に使用することができる。そのような蛍光染料として、例えば、ブリリアント・スルフォフラビンFF(Brilliant sulfoflavine FF )や、ベーシック・イエローHG(Basic yellow HG )、エオシン(Eosine)、ローダミン6G(Rhodamine 6G)、ローダミンB(Rhodamine B )等を好適なものとして挙げることができる。
【0020】
蛍光顔料としては、例えば、電磁波で励起され、発光するものを好適なものとして挙げることができ、具体的には、ユーロピウムに、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン、トリ−n−オクチルフォスフィンオキサイド等の配位子を1種又は2種以上配位させた錯体や、3−(2−キノリルメチレン)イソインドリン−1−オン、C.I.ベーシックイエロー40、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント52、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント135等を挙げることができる。
【0021】
<蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルション>
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、水性媒体中で蛍光着色剤(B)の存在下で単量体混合物(A)を乳化重合させて蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションを製造する。
【0022】
蛍光着色剤(B)の配合量については、単量体混合物(A)と蛍光着色剤(B)との質量比が100:0.1〜10となる量であることが望ましい。蛍光着色剤(B)の相対量が上記の範囲よりも少ないと、蛍光発色性が十分でなくなるので好ましくない。一方、蛍光着色剤(B)の相対量が上記の範囲よりも多いと、重合時の安定性が悪くなるので好ましくない。
【0023】
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、乳化重合は、常法に従って、1段乳化重合法によって実施しても、多段乳化重合法によって実施してもよい。従って、得られる蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションは一相からなる乳化重合体を含有していても、二相以上の異相構造、即ち、最外相と一相以上の内部相とからなる乳化重合体を含有していてもよい。
【0024】
乳化重合法の代表例として、水中で、乳化剤及び重合開始剤、更に、必要に応じて連鎖移動剤や乳化安定剤の存在下で単量体混合物(A)を、通常60〜90℃の加温下で乳化重合させる方法、この乳化重合を複数回繰り返し行う方法を挙げることができる。
【0025】
また、乳化重合法として、単量体混合物(A)を一括して仕込む単量体一括仕込み法や、単量体混合物(A)を連続して滴下する単量体滴下法、単量体混合物(A)と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これを滴下するプレエマルション法、あるいは、これらを組み合わせる方法等を挙げることができるが、本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、蛍光着色剤(B)は単量体混合物(A)中に溶解しており、この単量体混合物(A)と蛍光着色剤(B)との混合溶液が水中に分散している状態で乳化重合させることが好ましい。
【0026】
上記の乳化剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する反応性乳化剤等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩や、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0027】
上記の重合開始剤として、従来から一般的にラジカル重合に使用されている化合物を使用することができ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロラドや、4,4’−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライドテトラハイドレート等のアゾ系化合物;過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。更に、L−アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせたレドックス系も使用することができる。
【0028】
上記の連鎖移動剤として、例えば、n−ドデシルメルカプタン等の長鎖のアルキルメルカプタン類や、芳香族メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
上記の乳化安定剤としては、ポリビニルアルコールや、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0029】
<水溶性高分子化合物(D)>
本発明の水性蛍光樹脂組成物の製造方法においては、上記のようにして得られた蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションとカルボキシル基を有する水溶性高分子化合物(D)とを混合し、該蛍光着色剤含有樹脂(C)中の該官能基と該高分子化合物(D)中のカルボキシル基とを反応させて水性蛍光樹脂組成物を製造する。
【0030】
上記の水溶性高分子化合物(D)として、カルボキシル基を含有しており且つ水溶性である高分子化合物であれば、いかなる高分子化合物も好適に使用することができる。例えば、前記したエチレン性不飽和単量体(b)中の一種類もしくは二種類以上の化合物と前記したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)中の一種類もしくは二種類以上の化合物とを任意の割合で共重合させることにより得られる水溶性高分子化合物;前記したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)中の一種類の化合物を重合させて得られる水溶性高分子化合物もしくは二種類以上の化合物を任意の割合で共重合させて得られる水溶性高分子化合物;カルボキシメチルセルロース、ケラチン等のカルボキシル基を有する水溶性の天然高分子化合物等を挙げることができる。
【0031】
蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションと水溶性高分子化合物(D)との混合方法としては、蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションの乳化重合反応の終了後に、引き続きその乳化重合温度(通常は60〜90℃)に維持したエマルション中に水溶性高分子化合物(D)水溶液を一定時間をかけて滴下し、さらに一定時間加温状態を保つことが望ましいが、重合直後ではなく、貯蔵していた蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションを再度加温した状態で水溶性高分子化合物(D)水溶液を滴下してもよい。しかし、加温していない蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションに水溶性高分子化合物(D)水溶液を添加しても問題はない。また、上記添加方法が、滴下ではなく一括投入であってもかまわない。
【0032】
蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルション及び水溶性高分子化合物(D)の配合量については、蛍光着色剤含有樹脂(C)と水溶性高分子化合物(D)との質量比で100:1〜10000となる量であることが望ましい。水溶性高分子化合物の配合量が質量比で1未満である場合には、得られる水性蛍光樹脂組成物をアルコール類等の水溶性有機溶媒と混合した時の安定性及び耐候性が不十分となる傾向があるので好ましくない。一方、10000を越える場合には、得られる水性蛍光樹脂組成物の蛍光発色性が不十分となるので好ましくない。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」は質量基準に基づく値である。
【0034】
<水溶性高分子化合物(D−1)水溶液の調製>
攪拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコにメチルエチルケトン100部を仕込んだ後、フラスコ内部を窒素で置換しながら78℃まで昇温させた。その後、スチレン30部、アクリル酸n−ブチル30部及びメタクリル酸40部からなる単量体混合物に、アゾビスイソブチロニトリル1部を溶解させた混合物を3時間かけて連続滴下した。さらに昇温させ、引き続き還流下で2時間攪拌しながら熟成してから30℃まで冷却した後に、ジメチルエタノールアミンとイオン交換水を添加した。次いで、エバポレーターにてメチルエチルケトンを除去してPH8.0、不揮発分30%の高分子化合物(酸価260mgKOH/g)(D−1)水溶液を調製した。
【0035】
<水溶性高分子化合物(D−2)水溶液の調製>
メタクリル酸メチル40部、アクリル酸n−ブチル40部及びメタクリル酸20部からなる単量体混合物単を用いた以外は、上記の高分子化合物(D−1)水溶液の製造方法と同様に実施して、pH8.0、不揮発分30%の高分子化合物(酸価130mgKOH/g)(D−2)水溶液を調製した。
【0036】
<実施例1>
攪拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコにイオン交換水178部、炭酸水素ナトリウム1部及びエマール10N(花王株式会社製)〔ラウリル硫酸ナトリウム〕1部をそれぞれ仕込み、フラスコ内部を窒素で置換しながら80℃まで昇温させた。その後、過硫酸カリウム1部を加え、予め別容器で撹拌混合しておいたメタクリル酸メチル206部、アクリル酸ブチル142部、メタクリル酸グリシジル7部、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チェニル)−1,3−ブタンジオン・ユーロピウム錯体化合物4部、エマール10N6部及びイオン交換水178部からなる蛍光着色剤含有単量体乳化物を3時間かけて連続滴下した。引き続いて上記の樹脂水溶液(D−1)119部を30分かけて連続滴下した。その後1%過硫酸アンモニウム水溶液35部を30分かけて滴下し、80℃で2時間攪拌を続けながら熟成して固形分濃度40%の水性蛍光樹脂組成物を得た。
【0037】
<実施例2〜5及び比較例1〜2>
単量体混合物(A)の組成、蛍光着色剤(B)の配合量、水溶性高分子化合物(D)の調製に用いた単量体混合物の組成及び水溶性高分子化合物(D)の添加量を第1表に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、それぞれ固形分濃度40%の水性蛍光樹脂組成物を得た。
【0038】
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた水性蛍光樹脂組成物について、エタノール安定性、塗膜の初期蛍光発色性及び耐候性を下記の評価方法に従って評価した。
<エタノール安定性>
各水性蛍光樹脂組成物10部に対してエタノール50部を混合し、24時間後の溶液状態の外観を目視で下記の判定基準で評価した。
○: ゲル化、凝集物・沈殿物の発生が全くない。
×: ゲル化、又は凝集物・沈殿物が発生する。
【0039】
<塗膜の初期蛍光発色性>
各水性蛍光樹脂組成物を固形分濃度10%に希釈した水溶液を、4ミルアプリケーターにてアート紙に塗装して室温で乾燥させた。この塗膜にブラックライトを照射した時の蛍光発光性を目視で下記の判定基準で評価した。
◎: 十分な蛍光発色性あり。
○: 蛍光発色性あり。
×: 蛍光発色性なし。
【0040】
<耐候性>
上記の塗膜の初期蛍光発色性を評価した塗膜を、フェードメーターで10時間照射した後に、再度ブラックライトを照射した時の蛍光発色性を目視で、上記の塗膜の初期蛍光発色性と比較して下記の判定基準で評価した。
◎: 変化なし。
○: 若干の低下あり。
×: 明らかな低下あり。
【0041】
尚、第1表に示した原料の略号は、下記の意味を有する。
MMA : メタクリル酸メチル
n−BA : アクリル酸n−ブチル
GMA : メタクリル酸グリシジル
MAA : メタクリル酸
EGDMA: エチレングリコールジメタクリレート
ST : スチレン
また、第1表において単量体混合物(A)の組成及び水溶性高分子化合物(D)の組成は%で示してあり、蛍光着色剤の添加量は単量体混合物(A)の量に対する%であり、(C):(D)の比は質量比である。
【0042】
【表1】
【0043】
第1表に示す結果からも明らかように、本発明の製造方法で得られた実施例1〜5の水性蛍光樹脂組成物は、エタノール安定性、初期蛍光発色性及び耐候性の何れの性能にも優れていた。しかしながら、カルボキシル基に対して反応性がある官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a)を含まない単量体混合物から得られた蛍光着色剤含有樹脂エマルションを用いた比較例1では、エタノール安定性が顕著に劣っており、耐候性も劣っていた。また、水溶性高分子化合物(D)を添加しなかった比較例2では、エタノール安定性が不十分であるだけでなく、耐候性も劣っていた。
【0044】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる本発明の水性蛍光樹脂組成物は、耐候性に優れた表示物、塗装物等を形成することのできる塗料やインク等の用途に好適に適用できる。
Claims (6)
- カルボキシル基に対して反応性がある官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と、該単量体(a)との共重合が可能なその他のエチレン性不飽和単量体(b)とからなる単量体混合物(A)を、水性媒体中で蛍光着色剤(B)の存在下で乳化重合させて蛍光着色剤含有樹脂(C)エマルションを製造し、次いで、該エマルションとカルボキシル基を有する水溶性高分子化合物(D)とを混合して該蛍光着色剤含有樹脂(C)中の該官能基と該高分子化合物(D)中のカルボキシル基とを反応させることを特徴とする水性蛍光樹脂組成物の製造方法。
- 単量体混合物(A)が単量体(a)を0.1〜10質量%含有し、残部がその他のエチレン性不飽和単量体(b)からなることを特徴とする請求項1記載の水性蛍光樹脂組成物の製造方法。
- エチレン性不飽和単量体(b)の一部がカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)及び/又は一分子中に重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有するエチレン性不飽和単量体(b−2)であり、単量体混合物(A)が単量体(a)を0.1〜10質量%、単量体(b−1)を0.1〜6質量%及び/又は単量体(b−2)を0.1〜30質量%含有し、残部がその他のエチレン性不飽和単量体(b)からなることを特徴とする請求項1記載の水性蛍光樹脂組成物の製造方法。
- 単量体混合物(A)と蛍光着色剤(B)とを質量比で100:0.1〜10となる量で用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水性蛍光樹脂組成物の製造方法。
- 蛍光着色剤含有樹脂(C)と高分子化合物(D)とを質量比で100:1〜10000となる量で用いることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の水性蛍光樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の製造方法により得ることができる水性蛍光樹脂組成物。
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