JP2005330396A - 水系塗料組成物、塗膜の形成方法及び塗装化粧板 - Google Patents

水系塗料組成物、塗膜の形成方法及び塗装化粧板 Download PDF

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Tamio Mizuno
民雄 水野
Yoshio Nakayama
芳夫 中山
Yasuto Taniguchi
康人 谷口
Mitsuhiko Asakura
光彦 朝倉
Shoichi Hamazaki
庄一 浜崎
Katsuya Sakai
勝也 坂井
Makoto Kaigami
誠 甲斐上
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Abstract

【課題】外観上でも、また手で触ってもソフト感がある塗膜を形成し得る水系塗料組成物を提供すること、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜の形成方法を提供すること、及び大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板を提供すること。
【解決手段】マイクロカプセルを含有する水系塗料組成物において、該マイクロカプセルが、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるものである水系塗料組成物、該水系塗料組成物を被塗物上に塗装する塗膜の形成方法、及び基板上に該水系塗料組成物を塗装することにより得られる塗装化粧板。
【選択図】 なし

Description

本発明は水系塗料組成物、塗膜の形成方法及び塗装化粧板に関し、より詳しくは特殊な製造方法によって得られるマイクロカプセルを含有する水系塗料組成物、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜の形成方法及び大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板に関し、更には、マイクロカプセルが着色剤を含有することにより多彩模様塗膜を形成し得る水系塗料組成物、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する多彩模様塗膜の形成方法及び大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する多彩模様塗装化粧板に関する。
従来、多彩模様塗膜を形成する方法として、水に対し相溶性のない着色有機溶剤型塗料を水中に懸濁分散させて得られる塗料粒子を着色剤粒子としてエマルション塗料等の水系塗料中に分散含有せしめた塗料組成物を塗布して多彩模様塗膜を形成する方法が代表的な方法として知られている。
しかしながら、この方法では均一な多彩模様塗膜が得られるものの、塗膜表面に出た着色剤粒子の凹凸により、ざらついた感じとなり、手で触れた時のソフトタッチ感が劣り、また着色剤粒子による模様の輪郭がはっきりしているためコントラストがきつく、堅い感じとなる等の問題があった。
これらの問題を解決するために、水系塗料中に、該塗料の分散媒に対し相溶性のない着色剤粒子及び液体含浸性のない中空状粒子を分散含有せしめた多彩模様形成用塗料を用いて塗膜を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載の方法で得られる塗膜においては、着色剤粒子は形状として球状又は球状に近似の形状で塗膜上に存在しており、塗膜の素地に対して、ドット状模様となる等の問題があった。
特公平6−25318号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を背景になされたものであり、外観上でも、また手で触ってもソフト感がある塗膜を形成し得る水系塗料組成物を提供すること、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜の形成方法を提供すること、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板を提供すること、更には、多彩模様塗膜を形成し得る水系塗料組成物、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する多彩模様塗膜の形成方法及び大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する多彩模様塗装化粧板を提供することを目的としている。
本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特殊な製造方法によって得られるマイクロカプセルを水系塗料組成物中に含有させることにより外観上でも、また手で触ってもソフト感がある塗膜を形成し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の水系塗料組成物は、マイクロカプセルを含有する水系塗料組成物において、該マイクロカプセルが、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるものであることを特徴とする。
また、本発明の塗膜の形成方法は、上記の本発明の水系塗料組成物を被塗物上に塗装することを特徴とする大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜の形成方法であり、本発明の塗装化粧板は、上記の本発明の水系塗料組成物を塗装することによって形成される、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板である。
本発明の水系塗料組成物を用いることにより、外観上でも、また手で触ってもソフト感のある塗膜を形成することができ、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜を形成することができ、更に、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板を作製することができる。
本発明の水系塗料組成物は、マイクロカプセルを含有する水系塗料組成物であり、該マイクロカプセルは、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるものである。
上記のアルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより、球状に近い形状から繊維状までの種々の形状のマイクロカプセルが混合物として得られる。個々のマイクロカプセルの大きさについては、平均で短径0.1mm〜5mm、直径0.1〜10mm程度の大きさとなるように調整することが好ましく、平均アスペクト比が1.5以上であることがより好ましく、平均アスペクト比が2以上であることが一層好ましい。
上記のアルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルとしては、アルギン酸ソーダ、アルギン酸カリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na塩もしくはK塩、ポリアクリルアミド部分加水分解物の塩類、例えばNa塩やK塩、低ペクチン酸メトキシ化物、デキストラン及びその硫酸エステル、ミルクカゼイン、ポリエチレンイミン等のゾルを挙げることができる。これらの物質は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ土類金属イオンの例として、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等の2価のイオンを挙げることができ、アルカリ土類金属イオン含有水性媒体はアルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物を水性媒体中に溶解させることによって得られる。水溶性の程度は適宜に選択でき、上記の親水性ゾルに対してゲル化作用を与える量のアルカリ土類金属イオンを形成し得る程度に水溶性であれば利用できる。例えば、100gの水に対して約0.1g(0℃)程度の水溶性のものも利用できる。
これらアルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物の具体例として、
Ca2+:水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、
Mg2+:塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、サイクラミン酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、
Ba2+:水酸化バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、
Sr2+:水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、
等を挙げることができる。
上記の水性媒体として、水、又は水100部と100部以下の水溶性溶剤とからなる媒体を用いることが好ましい。
本発明においては、多彩模様塗膜を形成させる場合には、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルとして着色剤を更に含有する親水性ゾルを用い、この場合には、アルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物100質量部あたり好ましくは0.1〜10000質量部、より好ましくは1〜400質量部の着色剤を配合することができる。
本発明で用いることができる着色剤は染料、顔料等であり、代表的な着色剤としては、Solvent Black 22、27、28、29、Solvent Red 83の1、125、132、Solvent Blue 47、48、Solvent Yellow 88、89や、塩基性染料、酸性染料等の染料、酸化チタン、カーボンブラック、硫化亜鉛、油煙、黄鉛、ベンガラ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC等の無機又は有機顔料を挙げることができる。
また、本発明においては、マイクロカプセルの外観上や、手で触った場合のソフト感を変更するために、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルとして樹脂エマルションを更に含有する親水性ゾルを用いることもできる。ここで言う樹脂エマルションは塗料に一般的に用いられているものである。
本発明においては、アルカリ土類金属イオン含有水性媒体はゲル化促進剤又は遅延剤を含有することができる。アルカリ土類金属イオン含有水性媒体にゲル化促進剤又は遅延剤を添加してマイクロカプセルの製造におけるゲル化の速度を制御することにより、マイクロカプセルの形状の制御を容易にすることができる。ゲル化促進剤又は遅延剤を用いる場合には、アルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物100質量部当たり好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜7質量部のゲル化促進剤又は遅延剤を含有する水性媒体を用いる。
本発明で用いることができるゲル化促進剤として、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマール酸等の有機酸を挙げることができ、ゲル化遅延剤として、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩を挙げることができる。これらは1種単独で用いても2種以上を併用することもできる。
本発明においては、アルカリ土類金属イオン含有水性媒体は水溶性増粘剤を含有することができる。アルカリ土類金属イオン含有水性媒体に水溶性増粘剤を添加して適度な粘性とすることにより、マイクロカプセルの製造において親水性ゾルの引きちぎり作用を制御してマイクロカプセルの形状の制御を容易にすることができる。水溶性増粘剤を用いる場合には、アルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物100質量部当たり好ましくは1〜2000質量部、より好ましくは1〜1000質量部の水溶性増粘剤を含有する水性媒体を用いる。
本発明で用いることのできる水溶性増粘剤として、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えばゼラチンのコハク酸、マレイン酸の如きジカルボン酸付加物等)、アラビアゴム、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシル基を有しない澱粉誘導体(例えば澱粉のイソプロピル、エチル、ベンジル等の如きアルキルもしくはアリールアルキル誘導体)、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、アルブミン等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明においては、アルカリ土類金属イオン含有水性媒体は上記した水溶性増粘剤の他に、分散剤、消泡剤、成膜助剤、防腐剤等の水溶性塗料に使用できる各種の添加剤を含むことができる。
本発明においては、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させる際に30〜5000rpmの回転数で撹拌することが好ましい。回転数が30rpm未満であると分散作用が不十分となり、逆に回転数が5000rpmを超えると得られるマイクロカプセルが小さくなりすぎて本発明の目的を達成するのが困難になる傾向がある。
また、本発明においては、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させる際に、該親水性ゾルが該水性媒体中に溶解することなく直ちにゲル化して容易にマイクロカプセルを形成するように、該親水性ゾルを、空気に触れることなしに、該水性媒体中に分散させることが好ましい。
本発明の水系塗料組成物においては、水系塗料組成物中の樹脂固形分(マイクロカプセル中に含まれるものは除く)100質量部に対してマイクロカプセルを1〜1000質量部含有していることが好ましい。マイクロカプセルの量が1質量部未満である場合には、外観上や、手で触った場合のソフト感が不十分となり、多彩模様の塗膜となりにくい。また、1000質量部を超える場合には、樹脂固形分の量が相対的に少なくなって塗膜の強度が低下する傾向がある。
本発明の水系塗料組成物は、上記したマイクロカプセルを含有し、水もしくは水と少量の好ましくは0.1質量%未満の有機溶剤とからなる分散媒(なお、本発明において分散媒とは水系塗料の樹脂等の構成成分を分散もしくは溶解する液体を言う。)とする通常のエマルション塗料、水溶性塗料等である。
即ち、本発明の水系塗料組成物は、上記したマイクロカプセルと、アクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキド樹脂系、ポリブタジエン樹脂系等の合成結合剤樹脂と、水もしくは水と少量の有機溶剤等からなる分散媒と、更に必要に応じ着色顔料、染料、体質顔料等の顔染料、増粘剤、分散剤、消泡剤、成膜助剤、防腐剤等の各種添加剤からなるものである。
本発明の水系塗料組成物においては、例えば、多段乳化重合法によって得られる異相構造粒子含有エマルション塗料、ポリアルキレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分として含有するエマルション塗料等を用いることが好ましい。
本発明の水系塗料組成物で用いることができる異相構造粒子含有エマルションは、エチレン性不飽和単量体を含有する水性乳濁液を形成し、従来から公知の乳化重合法を2段階以上、通常は2〜5段階繰り返し実施して、形成されるエチレン性不飽和単量体の乳化共重合体が異相構造、即ち、特性の異なる最外相と一相以上の内部相からなる粒子を形成させる多段乳化重合法によって得られるものである。
多段乳化重合法の代表例として、エチレン性不飽和単量体を含有する水性乳濁液中に乳化剤及び重合開始剤、更に必要に応じて連鎖移動剤や、乳化安定剤等を存在させ、通常60〜90℃の加温下で乳化重合し、この工程を複数回繰り返して実施する多段乳化重合法を挙げることができる。
上記の乳化剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、更には、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又はこれらの化合物の骨格と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、(変性)ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
上記の重合開始剤としては、従来からラジカル重合に一般的に使用されているものが使用可能であり、中でも水溶性のものが好適である。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライド、4,4’−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライドテトラハイドレート等のアゾ系化合物、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。更に、L−アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤と、硫酸第一鉄等とを組み合わせたレドックス系も使用できる。
上記の連鎖移動剤として、例えば、ラウリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンや、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、2−メチル−t−ブチルチオフェノール、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらを適宜使用することによって、塗膜の光沢や、成膜性、不粘着性を制御することができる。
上記の乳化安定剤として、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
また、上記の多段乳化重合法として、単量体を一括で仕込む単量体一括仕込み法、単量体を連続的に滴下する単量体滴下法、単量体を水及び乳化剤と予め混合して乳化させておき、この乳濁液を滴下するプレエマルション法、或いは、これらを組み合わせた方法等を挙げることができる。
本発明で用いる異相構造粒子含有エマルションを上記の多段乳化重合法で製造する際には、異相構造粒子の最外相を形成するための多段乳化重合の最終段階で加えるエチレン性不飽和単量体は、最外相を形成するのに用いられるエチレン性不飽和単量体の合計質量を基準にして、ポリエチレングリコール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体を1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%含有することが好ましい。
本発明で用いる異相構造粒子含有エマルションにおいては、その異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体のガラス転移温度(以下、Tgという。)が−50〜10℃であることが好ましく、−30〜5℃であることがより好ましい。
また、異相構造粒子の最外相より内側にある内部相の少なくとも一相を形成する乳化共重合体のTgが30〜110℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。
尚、本発明に於いて、乳化共重合体のTgは、次のFOX式を用いて計算された値である。
1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +・・・・+Wn /Tgn
(上記のFOX式は、n種の単量体単位からなる乳化共重合体を構成する各々の単量体についてのホモポリマーのガラス転移温度をそれぞれTg1 、Tg2 、・・・・、Tgn (K)とし、各々の単量体の質量分率をそれぞれW1 、W2 、・・・・、Wn (W1 +W2 +・・・・+Wn =1)としている。)
異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体のTgが−50℃未満である場合には、そのような異相構造粒子含有エマルションを含む水性樹脂組成物を用いて形成される塗膜の耐汚染性や耐温水性等が悪くなる傾向があり、逆に10℃を超える場合には、そのような異相構造粒子含有エマルションの低温時における造膜性が悪くなる傾向があるので好ましくない。また、バインダーのMFTが10℃を超えると、増膜助剤を多く必要とするため好ましくない。
次に、異相構造粒子含有エマルションの製造に用いるエチレン性不飽和単量体について説明する。
異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体の調製に用いるエチレン性不飽和単量体は、前記したように、ポリエチレングリコール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体を含有することが好ましく、そのようなエチレン性不飽和単量体は1種単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
そのような単量体として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル等を挙げることができる。
これらの単量体が、最外層を形成する全エチレン性不飽和単量体中、1質量%未満となると塗料の凍結−融解安定性が悪くなる傾向があり、逆に20質量%を超えると得られる塗膜の耐水性が悪くなる傾向がある。
異相構造粒子の各々の相を形成する乳化共重合体の調製に用いるエチレン性不飽和単量体の量的な主要成分としては、従来からアクリル樹脂の製造に使用されている各種エチレン性不飽和単量体を制限無く使用することができる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、α―クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアルコールや、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミドや、マレインアミド等のアミド基含有単量体、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応によって得られるエポキシ基含有単量体やオリゴマー、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α, α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート含有単量体、その他N−メチロール基を有したN−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、更にはエチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等を代表的なものとして挙げることができる。3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチル−メタクリレート等の反応型紫外線吸収剤、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートや、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等の反応型光安定剤なども高度な耐候性が要求される場合、任意に共重合させ高機能化することもできる。
本発明で用いることのできる異相構造粒子含有エマルションにおいては、異相構造粒子を構成する各相の少なくとも一相が内部架橋構造を有する乳化共重合体で形成されていることが好ましい。このような粒子内部架橋構造を有する乳化共重合体は、内部架橋構造を有する相を形成させるための多段乳化重合の所定の段階で加えるエチレン性不飽和単量体の一部としてジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を使用して乳化重合させる方法、乳化重合反応時の温度で相互に反応する官能基を持つ単量体の組合せ、例えば、カルボキシル基とグリシジル基や、水酸基とイソシアネート基等の組合せの官能基を持つエチレン性不飽和単量体を選択含有させた単量体混合物を使用して乳化重合させる方法、加水分解縮合反応の生じる(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシリル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させた単量体混合物を使用して乳化重合させる方法、等の方法により製造することができる。
本発明の水系塗料組成物においては、塗装時等の乾燥段階で各々の異相構造粒子の間の架橋構造、即ち、粒子間架橋構造を形成し得ることが好ましい。このように粒子間架橋構造を形成し得るためには、異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体が、該最外相を形成する乳化共重合体の質量を基準にして1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%の、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含有しており、更に水系塗料組成物中には、分子内にヒドラジド基を2個以上有する化合物が、該カルボニル基数の0.1〜2.0倍、好ましくは0.3〜1.2倍のヒドラジド基数となる量で存在していることが必要である。
上記のような水系塗料組成物において、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体単位の含有量が、最外相を形成する乳化共重合体の質量を基準にして1質量%未満である場合には、粒子間の架橋が不十分となる傾向があり、一方、25質量%を超える場合にはそのような水系塗料組成物を用いて得られる塗膜の耐水性等が悪くなる傾向がある。
また、分子内にヒドラジド基を2個以上有する化合物の配合量が異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体中のカルボニル基数の0.1倍未満のヒドラジド基数となる量で存在している場合には、異相構造粒子の最外相を形成する乳化共重合体中のカルボニル基との反応が不十分となり、そのような水性樹脂組成物を用いて得られる塗膜の耐ブロッキング性や塗膜硬度が得られにくくなる傾向があり、逆に2.0倍よりも多い場合には、分子内にヒドラジド基を2個以上有する化合物が残存し、そのような水性樹脂組成物を用いて得られる塗膜の耐水性等が悪くなる傾向がある。
上記のカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体として、例えば、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナール、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアクリレート、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン等を挙げることができる。特に、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトンが好ましい。
上記のカルボニル基の対となる、分子中にヒドラジド基を2個以上有する化合物としては、例えば、カルボヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、チオカルボジヒドラジド等を挙げることができる。これらの中でも、エマルションへの分散性や水性樹脂組成物を用いて得られる塗膜の耐水性のバランスからカルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドが好ましい。
本発明の水系塗料組成物においては、前記のポリアルキレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体単位を必須成分として含む樹脂エマルションを用いることができる。
ポリアルキレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル等を挙げることができる。
また、上記のポリアルキレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体と共重合する単量体としては、従来からアクリル樹脂の製造に使用されている各種エチレン性不飽和単量体が特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、α―クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアルコールや、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミドや、マレインアミド等のアミド基含有単量体、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応によって得られるエポキシ基含有単量体やオリゴマー、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α, α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート含有単量体、その他N−メチロール基を有したN−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、更にはエチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等を代表的なものとして挙げることができる。3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチル−メタクリレート等の反応型紫外線吸収剤、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートや、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等の反応型光安定剤なども高度な耐候性が要求される場合、任意に共重合させ高機能化することもできる。
本発明の水系塗料組成物は、上記で説明したマイクロカプセル、上記で説明した多段乳化重合によって得られた異相構造粒子含有エマルション、あるいは、通常の乳化重合によって得られたエマルション、顔料及び水を含有し、更に必要に応じて増粘剤や分散剤、湿潤剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤等を配合した塗料組成物であり、室内外にある無機質素材や金属素材、木材素材、プラスチック素材等の各種被塗物に適応でき、該被塗物表面にプライマーを介して、又は、介さないで刷毛、スプレー、ローラーなどの塗装手段により塗装し、自然乾燥、もしくは100℃以下の温度によって強制乾燥させることにより、外観上でも、また手で触ってもソフト感のある塗膜を形成することができ、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜を形成することができ、更に、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板を作製することができる。
以下に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の記載において部は質量部を意味する。
<混合ポリマー親水性ゾル(a1)の調製>
水100部にラウリル硫酸ソーダ1部及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部を溶解させた。これに酸化鉄ベンガラ10部を添加して撹拌した。これに更にアクリルエマルション樹脂100部、消泡剤1部、エチレングリコールモノブチルエーテル7部を添加して着色液を得た。
水100部にアルギン酸ソーダ1部を添加し、これに上記の着色液を添加し、攪拌して混合ポリマー親水性ゾル(a1)を調製した。
<混合ポリマー親水性ゾル(a2)の調製>
酸化鉄ベンガラの代わりにルチル型酸化チタンを使用する他は、混合ポリマー親水性ゾル(a1)の調製と同様にして、混合ポリマー親水性ゾル(a2)を調製した。
<エマルション(b1)〜(b3)の調製>
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた反応器中に、イオン交換水200部、炭酸水素ナトリウム(pH調整剤)1部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩(乳化剤)〔「ハイテノール08E」(第一工業製薬社製商品名)〕3部をそれぞれ仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム(重合開始剤)1部を添加し、続いて予め別容器にて撹拌混合しておいたそれぞれ第1表に示す組成の乳化物(A)を3時間かけて連続滴下した。乳化物(A)の滴下が終了した後、更に過硫酸カリウム水溶液(1質量%水溶液)50質量部を30分かけて滴下投入した。滴下終了後、80℃で2時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水にてpH8.5に調整してエマルション(b1)〜(b3)を得た。
<エマルション(b4)〜(b5)の調製>
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた反応器中に、イオン交換水200部、炭酸水素ナトリウム(pH調整剤)1部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩(乳化剤)〔「ハイテノール08E」(第一工業製薬社製商品名)〕3部をそれぞれ仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム(重合開始剤)1部を添加し、続いて予め別容器にて撹拌混合しておいたそれぞれ第1表に示す組成の乳化物(A)を3時間かけて連続滴下し、1段目の滴下が終了した後、1時間かけて反応槽内温度を75℃まで下げた。続いて1段目と同様に予め撹拌混合しておいたそれぞれ第1表に示す組成の乳化物(B)を4時間かけて連続滴下した。乳化物(B)の滴下が終了した後、更に過硫酸カリウム水溶液(1質量%水溶液)50質量部を30分間で滴下投入した。滴下が終了した後75℃で2時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水にてpH8.5に調整して、異相構造粒子含有エマルション(b4)〜(b5)を得た。
Figure 2005330396
尚、表1で示した原料の略号は下記の意味を有する。
MMA:メタクリル酸
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
BA:アクリル酸ブチル
AA:アクリル酸
DVB:ジビニルベンゼン
DAAM:ジアセトンアクリルアマイド
PEG:ポリエチレングリコール鎖含有モノマー
2C=C(CH3)−C(=O)−O(CH2CH2O)8
PPG:ポリプロピレングリコール鎖含有モノマー
2C=C(CH3)−C(=O)(CHCH3CH2O)8
<実施例1>
水100部に消石灰1部を添加し、撹拌混合した。これにヒドロキシエチルセルロース1部を加え、均一になるように攪拌溶解させた。これにエマルション(b1)100部及びエチレングリコールモノブチルエーテル6部を添加して水性媒体を得た。この水性媒体を撹拌羽を有する容器内で撹拌速度2000rpmで激しく撹拌しながら、上記の混合ポリマー親水性ゾル(a1)100部を2mmの口径を有するチューブを通して水性媒体中に徐々に押し出した。同様に混合ポリマー親水性ゾル(a2)100部を水性媒体中に徐々に押し出した。このようにして平均短径0.5mm、平均長径3mmのマイクロカプセルを含有する水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は図1の写真に示すように、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<実施例2>
エマルション(b1)の代わりにエマルション(b2)を用いた以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<実施例3>
エマルション(b1)の代わりにエマルション(b3)を用いた以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<実施例4>
エマルション(b1)の代わりにエマルション(b4)を用いた以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<実施例5>
エマルション(b1)の代わりにエマルション(b5)を用いた以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<実施例6>
水100部に消石灰1部及び第二リン酸ナトリウム0.5部を添加し、撹拌混合した。これにヒドロキシエチルセルロース1部を加え、均一になるように攪拌溶解させた。これにエマルション(b1)100部及びエチレングリコールモノブチルエーテル6部を添加して水性媒体を得た。この水性媒体を撹拌羽を有する容器内で撹拌速度50rpmで撹拌しながら、上記の混合ポリマー親水性ゾル(a1)100部を2mmの口径を有するチューブを通して水性媒体中に徐々に押し出した。同様に混合ポリマー親水性ゾル(a2)100部を水性媒体中に徐々に押し出した。このようにして平均短径0.5mm、平均長径2mmのマイクロカプセルを含有する水系塗料組成物を得た。
この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜は大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有しており、外観上でも、また手で触ってもソフト感があり、多彩な色柄の塗膜であった。
<比較例1>
消石灰を添加しなかった以外は実施例1と同様に処理して水系塗料組成物を得たが、この場合にはマイクロカプセルは生成しなかった。また、塗装して得た塗膜はしぼ加工状表面を持たず、ソフト感がなく、多彩な模様は得られなかった。
<比較例2>
撹拌速度を25rpmにした以外は実施例1と同様に処理して水系塗料組成物を製造したが、生成マイクロカプセルは平均短径3mm、平均長径7mmの大きなものであった。この水系塗料組成物をフレキシブルボードにローラーにて塗装した。得られた塗膜はしぼ加工状表面を持たず、ソフト感が無く、マイクロカプセルが偏在し、均質な図柄は得られなかった。
実施例1で得られた塗膜の表面状態を示す写真である。

Claims (14)

  1. マイクロカプセルを含有する水系塗料組成物において、該マイクロカプセルが、アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるものであることを特徴とする水系塗料組成物。
  2. アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルとして着色剤を更に含有する親水性ゾルを用いて得られるマイクロカプセルを含有する請求項1記載の水系塗料組成物。
  3. アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルとして樹脂エマルションを更に含有する親水性ゾルを用いて得られるマイクロカプセルを含有する請求項1又は2記載の水系塗料組成物。
  4. アルカリ土類金属イオン含有水性媒体としてアルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物100質量部当たり0.1〜10質量部のゲル化促進剤又は遅延剤を更に含有する水性媒体を用いて得られるマイクロカプセルを含有する請求項1、2又は3記載の水系塗料組成物。
  5. アルカリ土類金属イオン含有水性媒体としてアルカリ土類金属イオン生成性水溶性化合物100質量部当たり1〜2000質量部の水溶性増粘剤を更に含有する水性媒体を用いて得られるマイクロカプセルを含有する請求項1〜4の何れかに記載の水系塗料組成物。
  6. アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、30〜5000rpmの回転数で撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるマイクロカプセルを含有する請求項1〜5の何れかに記載の水系塗料組成物。
  7. アルカリ土類金属イオンと金属結合を形成してゲル化する作用を有し且つ壁膜形成能を有する親水性ゾルを、空気に触れることなしに、撹拌しているアルカリ土類金属イオン含有水性媒体中に分散させることにより得られるマイクロカプセルを含有する請求項1〜6の何れかに記載の水系塗料組成物。
  8. 水系塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対してマイクロカプセルを1〜1000質量部含有している請求項1〜7の何れかに記載の水系塗料組成物。
  9. マイクロカプセルの形状が平均アスペクト比で1.5以上である請求項1〜8の何れかに記載の水系塗料組成物。
  10. 水系塗料組成物の樹脂成分として、多段乳化重合法によって得られる異層構造粒子含有エマルションを含有している請求項1〜9の何れかに記載の水系塗料組成物。
  11. 水系塗料組成物の樹脂成分として、ポリアルキレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体単位を必須成分として含む樹脂エマルションを含有している請求項1〜9の何れかに記載の水系塗料組成物。
  12. 水系塗料組成物中の揮発性有機化合物の含有量が0.1質量%未満である請求項1〜11の何れかに記載の水系塗料組成物。
  13. 請求項1〜12の何れかに記載の水系塗料組成物を被塗物上に塗装することを特徴とする大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗膜の形成方法。
  14. 基板上に請求項1〜12の何れかに記載の水系塗料組成物を塗装することによって形成される、大きさ、向きの不規則なしぼ加工状表面を有する塗装化粧板。
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