JP3794125B2 - 産業車両のティルトシリンダ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両のティルトシリンダ制御装置に係り、詳しくはマストの前傾角度制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の産業車両であるフォークリフトにおいては、車両の前部に設けられたアウタマスト及びインナマストを備えたマストによりリフトブラケットとともにフォークを昇降させる。そして、マストはリフトレバーの操作に基づくリフトシリンダの作動により伸縮され、それに伴ってフォークが昇降される。また、荷役作業を容易にするため及びフォークリフトの走行中の安定性を良くするため、マストはティルトレバーの操作に基づくティルトシリンダの作動により、垂直の基準位置に対して前傾あるいは後傾される。
【0003】
フォークリフトはフォークに荷を積載した状態では重心が前側に移動し、フォークの揚高を高くするとマストに作用するモーメントが大きくなる。そして、荷を積載した状態でマストを前傾させると重心がより前に移動してフォークリフトの前後方向の安定性が悪くなる。また、荷の荷重が大きな状態であまり後傾角度を大きくすると重心が後側に寄り過ぎて前輪が浮き気味になりスリップが発生する虞がある。そこで、従来はマストの前傾角度及び後傾角度は所定の値に設定されていた。一般に、前傾角度が6度、後傾角度が12度に設定されているが、マストが高い特別仕様のフォークリフトでは、前傾角度が3度で後傾角度が6度に設定されているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
荷役作業で荷を高所に載置する場合、フォークを高揚高としてマストを前傾させる必要がある。このとき、誤操作等で速い前傾速度でマストが前傾し過ぎると、荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がり(即ち車両の前後方向の不安定状態)が発生する。従って、オペレータはマストが前傾し過ぎないようインチング操作で、注意深く低速で前傾作業を行う必要があり、精神的な負担が大きい。また、従来装置ではフォークを高揚高としてマストを傾動させる作業には熟練を要した。
【0005】
そこでこの問題を解消するため本願出願人は、高揚高で前傾のティルト動作を行う際に、熟練者でなくても作業を簡単に行うことができるとともに、誤操作があっても荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がりが発生しないように、揚高及び積載荷重によって自動的に前傾角度を規制する制御が可能なティルトシリンダの制御装置を発明した。
【0006】
ところが、この場合には、前傾規制角を超えた位置までは前傾できないため、特殊な使い方をするユーザーやアタッチメントによっては作業がし難くなる。特殊な使い方としては、丸太等のようにパネルを使用せずに直接フォークで荷を掬うとともに、所定の荷降ろし場所でフォークを前傾させて荷を滑り落とす使い方や、傾斜した状態の棚に荷を載置する場合がある。また、特殊なアタッチメントとしては、フォークとマスト(リフトブラケット)のなす角度が大きく変更可能に構成された所謂ヒンジドフォークがある。
【0007】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は前記前傾角規制を行う装置の利点を生かし、しかも前傾規制角に達した後、前傾規制角を超えて前傾可能な産業車両のティルトシリンダ制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度より遅い速度となるように前記電磁弁を制御する。
【0011】
前記の目的を達成するため、請求項2に記載の発明では、荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度より遅い速度となるように、かつ徐々に当該速度に達するように前記電磁弁を制御する。
【0012】
前記の目的を達成するため、請求項3に記載の発明では、荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度と同じ速度でティルトシリンダを作動させるように前記電磁弁を制御する。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は再び前傾動作を開始した後、所定時間経過後にティルトシリンダの作動を徐々に停止させるように前記電磁弁を制御する。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記揚高検出手段は揚高が所定の揚高以上か否かを検出可能なセンサである。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する油圧回路には、ティルトシリンダへの作動油の供給、排出を切換え制御する手動操作方向切換弁と、該手動操作方向切換弁とティルトシリンダとを接続する管路の途中に設けられた電磁弁とを備えている。
【0018】
従って、各請求項に記載の発明では、マストを前側に向かって回動させる際のティルトシリンダの作動時に、規制前傾角度に達するまではティルトシリンダは請求項1に記載の発明と同様に制御される。そして、前記マスト角度検出手段により検出されたマスト角度が前記規制前傾角度に達すると、電磁弁はティルトシリンダの作動を停止させるように制御される。その後、ティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されると、制御手段からの指令により再び前傾動作を開始させるように電磁弁が制御される。
【0019】
請求項1に記載の発明では、マストが規制前傾角度で停止した後、再び前傾動作を開始するときには、通常の前傾速度より遅い速度となるように前記電磁弁の開度が制御される。
【0020】
請求項2に記載の発明では、マストが規制前傾角度で停止した後、再び前傾動作を開始するときには、通常の前傾速度より遅い速度となるように、かつ徐々に当該速度に達するように前記電磁弁の開度が制御される。
【0021】
請求項3に記載の発明では、マストが規制前傾角度で停止した後、再び前傾動作を開始するときには、通常の前傾速度と同じ速度で前傾可能な開度に前記電磁弁の開度が制御される。
【0022】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、再び前傾動作が開始された後、所定時間経過後にティルトシリンダの作動を徐々に停止させるように前記電磁弁の開度が制御される。
【0023】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、揚高検出手段により、揚高が所定の揚高以上か否かが検出される。即ち、揚高に関しては2段階で判断基準が設けられるので、判断のための制御が簡単になる。
【0024】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記ティルトシリンダへの作動油の供給、排出は、手動操作方向切換弁と電磁弁とによって制御される。手動操作方向切換弁とティルトシリンダとを接続する管路内の作動油の流量は電磁弁により制御される。手動操作方向切換弁が前傾操作位置に切り換えられて、ティルトシリンダがマストを前側に向かって回動させるように作動されている状態で、マスト角度が規制前傾角度になると、電磁弁の開度が変更される。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を荷役用アタッチメントとしてフォークが取付けられた産業車両としてのフォークリフトに具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0026】
図2に示すように、フォークリフト1の車体フレーム2にはその前部にマスト3が設けられている。マスト3は車体フレーム2に対して傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト3aと、その内側に昇降可能に装備されたインナマスト3bとからなる。両アウタマスト3aの後側にはリフトシリンダ4がアウタマスト3aと平行に固定され、そのピストンロッド4aの先端がインナマスト3bの上部に連結されている。インナマスト3bの内側にはリフトブラケット5がインナマスト3bに沿って昇降可能に装備され、リフトブラケット5にフォーク6が取り付けられている。インナマスト3bの上部にはチェーンホイール7が支承され、チェーンホイール7には第1端部がリフトシリンダ4の上部に、第2端部がリフトブラケット5にそれぞれ連結されたチェーン8が掛装されている。そして、リフトシリンダ4の伸縮によりチェーン8を介してフォーク6がリフトブラケット5とともに昇降動される。
【0027】
車体フレーム2の左右両側にはティルトシリンダ9の基端が回動可能に支持され、そのピストンロッド9aの先端がアウタマスト3aの上下方向ほぼ中央部に回動可能に連結されている。そして、ティルトシリンダ9のピストンロッド9aの伸縮によりマスト3が傾動される。
【0028】
運転室10の前部にはステアリング11、リフト用操作手段としてのリフトレバー12及びティルト用操作手段としてのティルトレバー13がそれぞれ設けられている。図2においては両レバー12,13が重なった状態で示されている。リフトレバー12の操作によりリフトシリンダ4が伸縮され、ティルトレバー13の操作によりティルトシリンダ9が伸縮されるようになっている。
【0029】
図1に示すように、アウタマスト3aには揚高検出手段としての揚高センサ14が所定高さ位置に取付けられている。揚高センサ14は近接スイッチからなり、インナマスト3b側に固定された被検出部(図示せず)を検出することにより、フォーク6の揚高が設定値H0 以上でオンとなり、設定値H0 未満でオフとなるようになっている。この実施の形態では設定値H0 が最大揚高Hmax のほぼ2分の1の高さに設定されている。
【0030】
車体フレーム2にはマスト角度検出手段としての回転式のポテンショメータ15が設けられている。ポテンショメータ15はティルトシリンダ9の基端を回動可能に支持する支持部に設けられ、ティルトシリンダ9に突設されたピン16を挟持する回動片15aを備えている。そして、ピストンロッド9aの伸縮に伴ってティルトシリンダ9とともに回動片15aが回動して、マスト3が垂直となる基準位置からの傾動角度(ティルト角)に対応する検出信号をポテンショメータ15が出力するようになっている。
【0031】
リフトシリンダ4にはフォーク6の積載荷重を検出する積載荷重検出手段としての圧力センサ17が設けられている。圧力センサ17はリフトシリンダ4の内部の油圧を検出し、フォーク6の積載荷重に対応した検出信号を出力する。
【0032】
図3に示すように、ティルトレバー13の近傍にはティルト操作検知手段としての前傾検出スイッチ18及び後傾検出スイッチ19が設けられている。両検出スイッチ18,19はマイクロスイッチからなり、前傾検出スイッチ18はティルトレバー13が前傾位置にあるときはオンに、それ以外の位置にあるときはオフとなる。後傾検出スイッチ19はティルトレバー13が後傾位置にあるときはオンに、それ以外の位置にあるときはオフとなる。
【0033】
次にリフトシリンダ4及びティルトシリンダ9を駆動するための油圧回路を図4に従って説明する。図4に示すように、リフトシリンダ4のボトム室4bは管路20を介してリフト用制御弁21に接続されている。リフト用制御弁21には手動操作の7ポート3位置切換弁が使用され、フォーク6の昇降及び停止を指示するリフトレバー12の上昇、中立及び下降操作位置に対応して、a,b,cの3つの状態に切換可能となっている。手動操作の方向切換弁としてのティルト用制御弁22には6ポート3位置切換弁が使用され、フォーク6の傾動及び停止を指示するティルトレバー13の前傾、中立及び後傾操作位置に対応して、c,b,aの3つの状態に切換可能となっている。
【0034】
各シリンダ4,9にオイルタンク23内の作動油を供給する油圧ポンプ24はエンジンE(図2に図示)により駆動される。油圧ポンプ24は作動油供給用管路25を介してリフト用制御弁21のポートP1 に接続されている。作動油供給用管路25には油圧ポンプ24から供給される作動油を荷役装置側(リフトシリンダ4及びティルトシリンダ9)と、パワーステアリング用バルブ26側とに分流するフローデバイダ27が設けられている。作動油供給用管路25はフローデバイダ27より下流側において分岐された分岐管路25a,25bを介してポートP2 ,ポートP3 にそれぞれ接続されている。作動油供給用管路25はリリーフ弁28が設けられた管路29aを介して戻り管路30に接続されている。リフト用制御弁21はポートT1 において戻り管路30に、ポートA1 において管路20に、ポートA2 において管路29bに、ポートA3 において管路31にそれぞれ接続されている。管路29bは戻り管路30に接続されるとともに、途中にリリーフ弁32が設けられている。リリーフ弁32の設定圧力はリリーフ弁28の設定圧力より小さな値に設定されている。
【0035】
油圧ポンプ24は作動油供給用管路25から分岐した作動油供給用管路33を介してティルト用制御弁22のポートP11に接続されている。ティルト用制御弁22のポートP12には管路31が接続されている。ティルト用制御弁22はポートT11において戻り管路30aに、ポートT12において戻り管路30bにそれぞれ接続されている。ティルト用制御弁22はポートA11において管路34aに、ポートA12において管路34bにそれぞれ接続されている。管路34aはティルトシリンダ9のロッド室9bに、管路34bはボトム室9cにそれぞれ接続されている。
【0036】
管路34aの途中には制御弁35及びパイロット操作逆止弁36が設けられている。パイロット操作逆止弁36は制御弁35とロッド室9bとの間に、ロッド室9b側から制御弁35側への作動油の流れを規制する状態に、即ち順方向がロッド室9bに向かう側となるように設けられている。制御弁35は1方弁であって、管路34aを開閉する直動式のスプールを備えている。制御弁35は常時閉弁型の制御弁であって、パイロット油圧により作動する2ポート2位置の弁が使用され、バネ37のバネ力により管路34aを閉鎖するa位置と、管路34aを連通するb位置とに切換可能となっている。前記スプールにはb位置に配置されたときに、管路34aを連通させる通路38が形成され、同通路38はオリフィスを備えている。制御弁35及びパイロット操作逆止弁36へのパイロット圧は比例ソレノイド弁39により供給される。制御弁35及び比例ソレノイド弁39により、ティルトシリンダ9とティルト用制御弁22とを接続する管路34aの開閉を行う電磁弁が構成されている。
【0037】
前記パイロット操作逆止弁36及び比例ソレノイド弁39にパイロット圧を供給するパイロット圧供給手段は、作動油供給用管路25のフローデバイダ27より上流側において作動油供給用管路25から分岐されたパイロット圧供給用管路40により構成されている。パイロット圧供給用管路40の途中には減圧弁41及びフィルタ42が設けられている。
【0038】
比例ソレノイド弁39は、そのタンクポートT2が戻り管路30aに接続され、Aポートがパイロット圧供給用管路40に接続されている。また、比例ソレノイド弁39のBポートは制御弁35のスプールの一端に設けられた圧力室(図示しない)に連通されている。なお、前記制御弁35において、スプールの他端側の圧力室(図示しない)は、戻り管路30に連通されている。
【0039】
比例ソレノイド弁39は、常時閉鎖型のソレノイド弁であって、そのソレノイドが消磁されているときには、バネ43によりにBポートとタンクポートT2とが連通されている。また、比例ソレノイド弁39はスプールの作動量が、励磁のために供給される電流に比例するように構成されており、ソレノイドが励磁されたときにスプールが作動してAポートとBポートとが連通し、同スプールの作動位置にて設定されるパイロット圧を制御弁35のスプールに供給する。このパイロット圧により、制御弁35のスプールがバネ37のバネ力に抗して移動されるようになっている。即ち、制御弁35及び比例ソレノイド弁39により構成される電磁弁は、比例ソレノイド弁39に供給される電流量によって開度が調整され、管路34aを流れる作動油の流量を制御するようになっている。
【0040】
なお、リフト用制御弁21、ティルト用制御弁22、パイロット操作逆止弁36、リリーフ弁28,32、制御弁35、比例ソレノイド弁39及び減圧弁41は1個のハウジング内に形成されて、全体として1個のコントロールバルブ44を構成している。
【0041】
次に、この油圧回路を制御する電気的構成を説明する。
図1に示すように、制御弁35の開度、即ち比例ソレノイド弁39の出力パイロット圧を制御する制御装置45は、マイクロコンピュータ46、アナログデジタル変換回路(A/D変換回路)47及びソレノイド駆動回路48を備えている。マイクロコンピュータ46は、演算手段としての中央処理装置(以下、CPUという)49と、読出し専用メモリ(ROM)50aと、記憶手段としてのEEPROM(電気的に書き替え可能なROM)50bと、読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)51と、入力インタフェース52と、出力インタフェース53とを備えている。CPU49は制御手段として機能する。
【0042】
ROM50aには各種制御プログラム及び制御プログラムを実行する際に必要なデータが記憶(格納)されている。EEPROM50bには前傾角度規制制御プログラムを実行するのに必要なデータとして、揚高及び積載荷重と規制前傾角度θL との関係を表すマップ又は関係式が記憶されている。マップは例えば、図5に示すように、高揚高の場合(実線)と低揚高の場合(破線)との2種類あり、積載荷重0の場合はいずれの場合もティルトシリンダ9の最大伸長状態に対応する最大前傾角度θmax (例えば6°)が規制前傾角度θL となる。一方、積荷がある場合は規制前傾角度θL が高揚高と低揚高とで異なる。高揚高の場合は積載荷重の増加とともに規制前傾角度θL が小さくなり、低揚高の場合はある荷重までは最大前傾角度θmax が規制前傾角度θL になるとともに、それを超えると積載荷重の増加とともに規制前傾角度θL が小さくなる。しかし、規制前傾角度θL は高揚高の場合より大きな値となる。低揚高及び高揚高時の規制前傾角度θL の最小値は、揚高センサ14の取付位置、即ち、高揚高か低揚高かの判断基準値により変化するが、最大荷重Mmax での高揚高時の規制前傾角度θL の最小値θmin は2°程度に設定されている。
【0043】
また、EEPROM50bには前傾動作時における比例ソレノイド弁39への指令電流値を設定するために、図6に示すようなマップが記憶されている。即ち、指令電流値はマスト角度が規制前傾角度θL に達するまでは第1の電流値I1 となり、規制前傾角度θL よりさらに前傾を続ける場合はそれより小さな第2の電流値I2 となる。
【0044】
CPU49はA/D変換回路47及び入力インタフェース52を介してポテンショメータ15及び圧力センサ17にそれぞれ接続されている。CPU49は入力インタフェース52を介して揚高センサ14、前傾検出スイッチ18及び後傾検出スイッチ19にそれぞれ接続されている。CPU49は出力インタフェース53を介してソレノイド駆動回路48に接続されている。CPU49は揚高センサ14、ポテンショメータ15、圧力センサ17及び各スイッチ18,19の出力信号を入力するとともに、ROM50aに記憶された各種制御プログラムに従って動作し、ティルトシリンダ9の作動時に、ソレノイド駆動回路48を介して比例ソレノイド弁39への制御指令信号を出力する。
【0045】
CPU49はマスト3の前傾動作時に、マスト3が規制前傾角度θL に達した後は、前傾速度を大幅に低下させるように、即ち制御弁35の開度を大幅に低下させるように比例ソレノイド弁39への指令電流値を制御する。大幅に低下させるとは、通常の前傾速度の1/5〜1/20程度に減速させることを意味する。例えば、通常のテイルト速度は最後傾位置(垂直位置に対して後側へ12°)から最前傾位置(垂直位置に対して前側へ6°)までの18°の角度を2〜3秒程度で移動するが、この実施の形態では規制前傾角度θL に達した後は、前傾角度2°〜6°までの4°の角度を5秒程度かかる速度に制御する。
【0046】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
エンジンEが作動されて油圧ポンプ24が駆動されると、オイルタンク23内の作動油が作動油供給用管路25へ吐出される。従って、パイロット圧を供給するパイロット圧供給用管路40は、油圧ポンプ24が駆動されるとすぐにパイロット圧を供給可能な状態となる。
【0047】
リフトレバー12を中立位置から上昇操作すると、リフト用制御弁21のスプールがa位置に配置されて分岐管路25aと管路20とが連通される。そして、油圧ポンプ24から吐出される作動油がリフトシリンダ4のボトム室4bに供給され、リフトシリンダ4が伸長してフォーク6が上昇する。リフトレバー12を下降操作すると、リフト用制御弁21のスプールがc位置に配置される。そして、管路20と戻り管路30、作動油供給用管路25と管路31、分岐管路25bと管路29bとがそれぞれ連通状態となり、ボトム室4bの作動油がオイルタンク23へと戻されて、リフトシリンダ4が収縮してフォーク6が下降する。
【0048】
ティルト用制御弁22はティルトレバー13が中立位置にあるときは図4のb位置に配置され、両管路34a,34bと作動油供給用管路33及び戻り管路30aとの連通を遮断して、ティルトシリンダ9内の作動油の移動を阻止する状態に保持される。従って、マスト3は所望の傾動角度の状態に保持される。
【0049】
ティルト用制御弁22はティルトレバー13の前傾操作に基づいてc位置に配置され、作動油供給用管路33と管路34bとを連通させるとともに、管路34aを戻り管路30aと連通させる状態になってティルトシリンダ9を伸長可能とする。ティルト用制御弁22は、ティルトレバー13の後傾操作に基づいてa位置に配置され、作動油供給用管路33と管路34aとを、戻り管路30aと管路34bとをそれぞれ連通させる状態となってティルトシリンダ4を収縮可能とする。
【0050】
また、ティルトレバー13が前傾操作されると、CPU49に前傾検出スイッチ18のオン信号が入力される。そして、CPU49からソレノイド駆動回路48を介して比例ソレノイド弁39に励磁指令信号が出力され、管路34aの制御弁35及びパイロット操作逆止弁36にパイロット圧が供給されて作動油が管路34aを流れることが可能な状態となる。その結果、作動油供給用管路25及び管路34bを介して作動油がボトム室9cに供給され、ロッド室9b内の作動油が管路34a及び戻り管路30aを介してオイルタンク23に排出されるため、ティルトシリンダ9が伸長され、マスト3が前側に向かって回動される。マスト3が垂直状態より前側へ回動(傾動)されればマスト3即ちフォーク6は前傾される。
【0051】
CPU49に前傾検出スイッチ18のオン信号が入力されると、CPU49は図7に示すフローチャートに従って前傾角度規制制御プログラムを実行する。この制御プログラムでは、CPU49はステップS1で圧力センサ17の出力信号に基づいてフォーク6の積載荷重を演算し、揚高センサ14の出力信号から揚高が高揚高か否かを判断し、その揚高及び積載荷重に対応する規制前傾角度θL をマップから演算する。また、CPU49はポテンショメータ15の出力信号に基づいてマスト角度(ティルト角度)θi を演算する。次にCPU49はステップS2において、マスト角度θi が規制前傾角度θL より大きいか否かを判断する。
【0052】
そして、マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さければ、ステップS3に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI1 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、比例ソレノイド弁39は制御弁35の開度が全開となるパイロット圧が出力される状態に保持され、ティルトシリンダ9が通常の作動速度で駆動されてマスト3は通常の前傾速度で前傾される。
【0053】
一方、ステップS2でマスト角度θi が規制前傾角度θL 以上であれば、CPU49はステップS4に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI2 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、比例ソレノイド弁39は制御弁35をティルトシリンダ9の移動速度が通常より大幅に低下した所定速度となる開度に保持するパイロット圧が出力される状態に保持される。そして、ティルトシリンダ9は通常より大幅に低下した所定速度で駆動されてマスト3は低速で前傾される。
【0054】
CPU49は前傾検出スイッチ18からオン信号が出力されている間、所定周期で前記制御プログラムを実行する。また、前傾検出センサ18からオン信号が出力されなくなると、CPU49は前記前傾角度規制制御プログラムの実行を終了する。即ち、CPU49は前傾検出センサ18からオン信号が出力されている間、逐次マスト3のマスト角度θi を演算し、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達するまではマスト3を通常の前傾速度で移動させ、規制前傾角度θL に達した後は通常より大幅に低下した前傾速度でマスト3を前傾させる。従って、マスト3の前傾角度が積載荷重に対応する規制前傾角度θL に達した時点でオペレータがティルトレバー13の前傾操作を中止しなくても前傾速度が大幅に低下するため、マスト3が規制前傾角度θL に達したことをオペレータが認識できる。そして、前傾操作を中止することにより積載荷重及び揚高に対応した所定の規制前傾角度θL の位置でマスト3が停止する。
【0055】
また、オペレータがマスト3を規制前傾角度θL より前傾させたい場合は、ティルトレバー13を前傾操作位置に保持することにより、マスト3はゆっくりと前傾移動される。
【0056】
前傾動作時の指定電流値I1 ,I2 は機種によって異なる。また、EEPROM50bに記憶された指定電流値I2 を0に設定すれば、規制前傾角度θL を超えて前傾動作を行うのを禁止することもできる。EEPROM50bに記憶された指定電流値I1 ,I2 の書き換えは、フォークリフト1の製造元、あるいはフォークリフトのディーラーで行い、ユーザーが勝手に変更することはできないようになっている。
【0057】
一方、ティルトレバー13が後傾操作されると、CPU49に後傾検出スイッチ19のオン信号が入力される。そして、CPU49からソレノイド駆動回路48を介して比例ソレノイド弁39に励磁指令信号が出力され、管路34aの制御弁35及びパイロット操作逆止弁36にパイロット圧が供給されて作動油が管路34aを流れることが可能な状態となる。その結果、作動油供給用管路25及び管路34aを介して作動油がロッド室9bに供給され、ボトム室9c内の作動油が管路34b及び戻り管路30aを介してオイルタンク23に排出されるため、ティルトシリンダ9が収縮され、マスト3が後側に向かって回動される。マスト3が垂直状態より後側へ回動(傾動)されればマスト3即ちフォーク6は後傾される。
【0058】
CPU49は後傾検出スイッチ19からオン信号を入力すると、積載荷重及び揚高に対応した適正な傾動速度を演算し、その速度に対応する開度となるパイロット圧を制御弁35に供給する励磁電流を比例ソレノイド弁39に出力するための指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。従って、マスト3が積載荷重及び揚高に対応した適正な傾動速度で後側に回動される。
【0059】
また、CPU49は両検出スイッチ18,19のいずれからもオン信号が出力されない場合は、比例ソレノイド弁39への励磁指令を行わない。従って、制御弁35及びパイロット操作逆止弁36にパイロット圧が供給されないため、ロッド室9b側からティルト用制御弁22側への作動油の流れが阻止された状態に保持される。
【0060】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(イ) フォーク6(荷役用アタッチメント)の揚高及び積載荷重に対応してマスト3の規制前傾角度θL を設定し、規制前傾角度θL より前傾させる場合は前傾速度が大幅に低下するようにティルトシリンダ9への作動油の供給を制御する制御手段を備えた。その結果、オペレータの意志に反して荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がりが発生する虞のある前傾角度までマスト3が高速で移動することが確実に防止される。従って、荷の積載状態において高揚高での前傾操作時に、オペレータに対する精神的な負担が少なくなるととともに、熟練者でなくても作業を容易に行うことができる。また、誤操作でティルトレバー13をいっきに最前傾位置に操作しても、荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がり(即ち車両の前後方向の不安定状態)が発生しない。
【0061】
また、規制前傾角度θL を超えてマスト3を前傾させたい場合は、ティルトレバー13を前傾操作位置に保持すれば、通常速度より大幅に低下した前傾速度で規制前傾角度θL を超えて前傾されるので目的の前傾角度まで前傾させることができる。この場合、前傾速度が非常に低速のため、荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がりが防止される。
【0062】
(ロ) マスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、さらにマスト3の前傾動作が可能なため、規制前傾角度θL を安全側に設定することが可能になる。
(ハ) ティルトシリンダへ9の作動油の供給の制御が、手動操作のティルト用制御弁22と、ティルト用制御弁22とティルトシリンダ9とを接続する管路34aの途中に設けられた電磁弁(制御弁35)により制御される。従って、オペレータが従来の手動操作弁と同様な操作でティルト動作を実施できる。
【0063】
(ニ) 揚高を高揚高か否かの2段階で判断して規制前傾角度θL を設定するため、CPU49の演算が容易になる。
(ホ) 制御弁35の開度が比例ソレノイド弁39を介して供給されるパイロット圧により制御可能なため、ティルト動作時の前傾速度や後傾速度の制御が容易になる。
【0064】
(ヘ) 揚高及び積載荷重と規制前傾角度θL との関係を表すマップ及び前傾速度を設定するマップがEEPROM50bに記憶されているため、機種によって異なるマップが必要な場合でも、EEPROM50bの記憶内容の一部を修正したり追加することにより、同じ制御装置で簡単に対応できる。
【0065】
(ト) スプール弁は大きな圧が加わった状態では摺動面から作動油が漏れるが、前傾停止状態ではティルト用制御弁22とロッド室9bとを接続する管路34aに設けられたパイロット操作逆止弁36が閉鎖状態となるため、ティルト用制御弁22に大きな圧が作用しない。従って、所定の前傾位置にマスト3を長時間保持する際に、ティルト用制御弁22や制御弁35からの作動油の漏れが防止され、確実に所定の前傾角度に保持される。
【0066】
(チ) パイロット操作逆止弁36及び比例ソレノイド弁39にパイロット圧を供給するパイロット圧供給手段を、リフトシリンダ4への作動油供給用管路25から分岐されたパイロット圧供給用管路40で構成したため、パイロット圧供給手段の構成が簡単になる。
【0067】
(リ) 油圧回路を構成するリフト用制御弁21、ティルト用制御弁22、パイロット操作逆止弁36、制御弁35、比例ソレノイド弁39等の各弁が1個のハウジング内に形成されて、全体として1個のコントロールバルブ44を構成しているため、装置がコンパクトになる。また、フォークリフト1に組み付ける際の工数が少なくなる。
【0068】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図8及び図9に従って説明する。この実施の形態ではマスト3の前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL に達すると、前傾動作が一時停止され、さらに前傾動作を行わせるにはティルトレバー13を一度中立位置に操作した後、所定時間以内に再度前傾位置に操作すると前傾動作が可能な点が前記実施の形態と異なっている。即ち、前傾制御のプログラムが異なるだけで、フォークリフト1の機械的構成、油圧回路及び制御装置45等のハードウェアは前記実施の形態と基本的に同じである。
【0069】
前傾検出スイッチ18のオン信号が入力されると、CPU49は図9に示すフローチャートに従って前傾角度規制制御プログラムを実行する。この制御プログラムでは、CPU49はステップS11で圧力センサ17の出力信号に基づいてフォーク6の積載荷重を演算し、揚高センサ14の出力信号から揚高が高揚高か否かを判断し、その揚高及び積載荷重に対応する規制前傾角度θL をマップから演算する。また、CPU49はポテンショメータ15の出力信号に基づいてマスト角度θi を演算する。次にCPU49はステップS12において、マスト角度θi が規制前傾角度θL より大きいか否かを判断する。
【0070】
そして、マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さければ、ステップS13に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI1 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、比例ソレノイド弁39は制御弁35の開度が全開となるパイロット圧が出力される状態に保持され、ティルトシリンダ9が通常の作動速度で駆動されてマスト3は通常の前傾速度で前傾される。
【0071】
ステップS12でマスト角度θi が規制前傾角度θL 以上であれば、CPU49はステップS14に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値を0にする指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。従って、前傾動作中であれば比例ソレノイド弁39への励磁指令が停止されて、制御弁35及びパイロット操作逆止弁36へのパイロット圧の供給が停止され、ロッド室9b側からティルト用制御弁22側への作動油の流れが阻止された状態となる。その結果、前傾検出スイッチ18からオン信号が出力された状態であっても、マスト3の前傾角度が積載荷重に対応する規制前傾角度θL に達した時点でオペレータがティルトレバー13の前傾操作を中止しなくても、確実に積載荷重に対応する規制前傾角度θL に保持される。
【0072】
また、前傾検出スイッチ18からのオン信号が、マスト角度θi が規制前傾角度θL 以上の状態で出力された場合、比例ソレノイド弁39は消磁状態に保持される。従って、マスト3が規制前傾角度θL より前傾状態で停止中にオペレータがティルトレバー13を前傾操作しても、マスト3が直ち前傾されることはない。
【0073】
CPU49はステップS15において、停止指令信号を出力してからの経過時間の計測をCPU49に内蔵されたタイマ(図示せず)で開始する(タイマリセット)。次にCPU49はステップS16に進んで所定時間ts内に前傾検出センサ18の出力信号がオフになった後、再度オンになったか否かの判断を行う。所定時間ts内に前傾検出スイッチ18が再度オンになると、CPU49はステップS17に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI3 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。図8に示すように、この指令電流値I3 は、制御弁35を全開させる開度に比例ソレノイド弁39を保持する指令電流値I1 より小さく、前記実施の形態の指令電流値I2 より大きな値に設定されている。ステップS16で所定時間ts内に前傾検出スイッチ18が再度オンにならなければ、CPU49はステップS11に進む。
【0074】
従って、前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL に達して前傾動作が停止された状態で、オペレータが所定時間ts内にティルトレバー13を中立位置に操作した後、再度前傾位置に操作するとマスト3は通常の前傾速度より遅い所定速度で再度前傾が開始される。また、最初の前傾検出スイッチ18からのオン信号が、マスト角度θi が規制前傾角度θL 以上の状態で出力された場合も、オペレータが所定時間ts内にティルトレバー13を中立位置に操作した後、再度前傾位置に操作するとマスト3は通常の前傾速度より遅い所定速度で再度前傾が開始される。
【0075】
この実施の形態では前記実施の形態の(ロ)〜(リ)の効果を発揮する他に、次の効果を有する。
(ヌ) オペレータがティルトレバー13を前傾操作位置に保持した状態であっても、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達すると、マスト3の前傾が必ず一旦停止される。従って、オペレータは規制前傾角度θL よりさらにマスト3を前傾させるには、ティルトレバー13を中立位置に戻した後、再度前傾位置に操作する必要があり、誤操作でマスト3が規制前傾角度θL を超えて前傾するのが防止される。
【0076】
(ル) マスト3が規制前傾角度θL で停止した状態からでも、ティルトレバー13を前傾位置から中立位置に戻して再度前傾位置に操作することにより、前傾が可能となる。即ち、規制前傾角度θL よりマスト3を前傾させる場合はオペレータの意志で行うため前傾操作が注意深く行われる。従って、前傾速度を通常速度より大幅に低下させなくても支障はなく、前傾速度を速めることができる。
【0077】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図10に従って説明する。この実施の形態ではマスト3の前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL を超えても一時停止せずに低速で前傾可能となり、その後、所定時間経過前にティルトレバー13を一度中立位置に操作した後に再び前傾操作すると通常速度での前傾が可能な点が第2の実施の形態と大きく異なっている。この実施の形態でも、前傾制御のプログラムが異なるだけで、フォークリフト1の機械的構成、油圧回路及び制御装置45等のハードウェアは前記両実施の形態と基本的に同じである。
【0078】
この実施の形態の制御プログラムでは、CPU49はステップS21でCPU49に内蔵されたタイマ(図示せず)をクリアした後、ステップS22に進み、前傾検出スイッチ18のオン信号が入力されるとステップS23に進む。そして、ステップS23で前記実施の形態と同様にして規制前傾角度θL 及びマスト角度θi を演算する。次にCPU49はステップS24において、マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さいか否かを判断する。マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さければ、ステップS25に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI1 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、比例ソレノイド弁39は制御弁35の開度が全開となるパイロット圧が出力される状態に保持され、ティルトシリンダ9が通常の作動速度で駆動されてマスト3は通常の前傾速度で前傾される。
【0079】
次にCPU49はステップS26に進み、前傾検出スイッチ18がオフになったか否かを判断し、前傾検出スイッチ18がオンであればステップS27へ進む。ステップS27で規制前傾角度θL 及びマスト角度θi を演算した後、ステップS28において、マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さいか否かを判断する。マスト角度θi が規制前傾角度θL より小さければステップS25に戻り通常速度での前傾が継続される。マスト角度θi が規制前傾角度θL 以上であれば、CPU49はステップ29に進み、タイマで計時を開始した後、ステップS30に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値がI3 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。この指令電流値I3 は、第2の実施の形態の指令電流値I3 と同じである。従って、前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL に達しても、前傾動作が停止されずに通常の前傾速度より低速の所定速度で前傾が継続される。
【0080】
次にCPU49はステップS31に進んで前傾検出センサ18の出力信号がオフになった後、再度オンになったか否かの判断、即ち前傾再操作が行われたか否かの判断を行う。前傾再操作が行わなければステップS32へ進んで、タイマによる計時時間が所定時間tsを経過したか否かを判断する。CPU49はステップS32で所定時間tsを経過していなければステップ30に戻り、所定時間tsを経過していればステップS33に進んで比例ソレノイド弁39への指令電流値を0にする指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、比例ソレノイド弁39への励磁指令が停止されて、前傾検出スイッチ18からオン信号が出力された状態であっても前傾動作が停止される。従って、前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、所定の低速で前傾動作が継続され、低速での前傾動作が所定時間tsを経過すると前傾動作が停止される。CPU49はステップ33の処理終了後、ステップS21に戻る。
【0081】
CPU49はステップ31で前傾再操作が行われたと判断するとステップS34に進み、比例ソレノイド弁39への指令電流値がI1 となる指令信号をソレノイド駆動回路48に出力する。その結果、再び通常の速度での前傾動作が行われる。次にCPU49はステップS35に進んで前傾検出スイッチ18がオフになったか否かを判断し、前傾検出スイッチ18がオンであればステップS34に戻る。前傾検出スイッチ18がオフになればステップS33へ進む。従って、前傾動作中にマスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、所定時間ts経過前にオペレータが前傾再操作を行うと、一旦停止せずに通常の速度での前傾が可能となる。
【0082】
ステップS24においてマスト角度θi が規制前傾角度θL 以上であれば、CPU49はステップ29に進む。従って、マスト3が規制前傾角度θL より前傾状態で停止中にオペレータがティルトレバー13を前傾操作した場合は、最初から低速で前傾動作が開始される。また、ステップS26で前傾検出スイッチ18がオフであれば、CPU49はステップS33に進み、前傾動作が停止される。
【0083】
この実施の形態では第1の実施の形態の(ハ)〜(リ)の効果を発揮する他に、次の効果を有する。
(ヲ) オペレータがティルトレバー13を前傾操作位置に保持した状態であっても、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達するとマスト3の前傾速度が低速になり、所定時間後に一旦停止される。従って、誤操作で規制前傾角度θL を超えて長時間前傾動作が継続する虞がない。
【0084】
(ワ) また、前傾速度が低速に変更された後、所定時間ts経過前に、オペレータがティルトレバー13を中立位置に戻した後、再度前傾位置に操作することにより通常速度での前傾が可能となり、マスト3を所望の位置まで素早く前傾させることができる。
【0085】
なお、実施の形態は前記両実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第2の実施の形態において、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、さらに前傾動作を行う場合、比例ソレノイド弁39への指令電流値を直ちに指令電流値I3 とする指令を出力する代わりに、指令電流値を徐々に増加させて所定時間後に指令電流値I3 に達するようにする。例えば、図9のフローチャートのステップS17において、指令電流値が図8に二点鎖線で示すAのように変化して指令電流値I3 に達するように、ソレノイド駆動回路48に指令信号を出力する。この場合、再前傾開始時にオペレータがティルトレバー13の急操作をしても、ゆっくりと前傾が開始されショックが少なくなる。
【0086】
○ 第2の実施の形態や前記のように、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、さらに前傾動作を行う場合、ティルトレバー13が前傾位置に操作された後、ティルトレバー13が前傾位置に保持されていても、前傾操作から所定時間(例えば、0.5秒程度)後に指令電流値の値を徐々に減少させてゆっくりと停止させるようにする。例えば、図9のフローチャートにおいてステップS17に代えて、前記指令電流値となる指令信号を出力するとともに、指令信号の出力開始からの時間を計測し、所定時間後に図8に一点鎖線で示すBのように指令電流値が、指令電流値I3 から直線状に減少するように指令信号を出力する。停止後にティルトレバー13を中立位置に戻した後、再度前傾操作すると同様な動作が行われる。この場合、マスト3の前傾角度を大きくするには、オペレータが何度も前傾操作を繰り返す必要があり、オペレータにマスト角度θが規制前傾角度θL を超えている状態であることの注意を喚起する効果が大きくなる。
【0087】
○ 第2の実施の形態において、マスト角度θi が規制前傾角度θL に達した後、さらに前傾動作を行う場合、通常と同じ速度で再前傾を可能とする。例えば、図9のフローチャートのステップS17において、指令電流値をI3 に代えてI1 とする。この場合、オペレータのティルト操作の自由度が大きくなる。
【0088】
○ 後傾状態から前傾させる場合は、マスト角度θi が0°即ちマスト3が垂直になった状態で速度を落とすようにしてもよい。この場合、オペレータにマスト3が垂直になったことを認識させることができる。
【0089】
○ 第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、規制前傾角度θL を超えて再前傾させる場合に、前傾可能なマスト角度θi を最大前傾角度θmax (6°)まで前傾可能とせずに、それより手前(例えば4°)で止めるようにしてもよい。
【0090】
○ 前記各実施の形態において、低揚高の場合は前傾角度規制を行わずに、高揚高の場合のみ積載荷重に対応した前傾角度規制を行ってもよい。このとき、高揚高か否かの判断基準位置は、最大荷重を積載した状態で最大前傾角度θmax まで前傾しても車両の安定状態が保持される高さが設定される。この場合は、高揚高のときのみ前傾角度規制を行うので制御が簡単になる。
【0091】
○ 前記各実施の形態において、積載荷重のみに基づいて規制前傾角度を設定する。この場合、積載荷重の大きさのみで規制前傾角度が設定されるため、制御が容易となる。
【0092】
○ 前記各実施の形態において、揚高のみに基づいて規制前傾角度を設定する。この場合、揚高のみで規制前傾角度が設定されるため、制御が容易となる。
○ 揚高検出手段として揚高を連続的に検出可能なセンサを使用してもよい。
例えば、揚高を連続的に検出可能なセンサとして、従来使用されているリール式の揚高センサを使用する。リール式の揚高センサは、一端がフォーク6又はリフトブラケット5に接続されたワイヤと、そのワイヤが巻き掛けられるリールと、リールの回転量を検出するための回転検出器(ポテンショメータ)とを備えている。マップとしては揚高毎に図5に示したような積載荷重と規制前傾角度θL を示すマップを記憶手段(例えばEEPROM50b)に記憶させるか、揚高、積載荷重及び規制前傾角度θL の関係を示す三次元マップを記憶手段に記憶させる。この場合、揚高を連続的に検出できるため、規制前傾角度θL を積載荷重と揚高とに対応して細かく設定でき、ティルト作業時の作業性が向上する。また、揚高を連続的に検出するセンサとしてリール式の揚高センサ以外のものを使用してもよい。
【0093】
○ 揚高を連続的に検出しない場合でも、高揚高か否かの2段階ではなく、揚高センサ14を複数設けて揚高を3段階あるいは4段階以上の複数段階で検出可能とする。そして、それに対応して積載荷重と規制前傾角度θL との関係を示すマップの数を増やす。例えば3段階で検出する場合、マップを低揚高用、中揚高用及び高揚高用の3種設けるか、低揚高では前傾角度規制を行わず、中揚高用及び高揚高用の2種のマップを設けて中揚高及び高揚高で前傾角度規制を行うようにする。この場合、揚高を2段階で規制前傾角度θL を設定する場合に比較して規制前傾角度θL をより適正な値に設定できる。
【0094】
○ 規制前傾角度θL は必ずしも積載荷重に対して直線的に連続変化するように設定せずに、曲線的に連続変化するように設定したり、段階的に変化するようにしてもよい。
【0095】
○ 規制前傾角度θL を超えてからの前傾時の前傾速度を揚高又は荷の荷重に応じて、あるいは揚高及び荷の荷重の両者に応じて変化させてもよい。揚高に応じて変化させる場合、揚高センサとして例えばリール式のセンサを使用する。そして、図11に示すように所定の揚高以下では一定の低速となるように、指令電流値を設定し、その揚高以上では揚高に比例して前傾速度が低下するように指令電流値を変更する。
【0096】
また、荷重に応じて前傾速度を変化させる場合は、例えば図12に示すように荷の無い状態(NL)から最大積載荷重(FL)の状態まで揚高に比例して前傾速度が低下するように指令電流値を変更する。さらに、荷重及び揚高の両者に応じて前傾速度を変化させる場合は、揚高及び荷重と指令電流値との関係を示す三次元マップを記憶手段(例えばEEPROM50b)に記憶させておく。
【0097】
また、通常の前傾速度を揚高及び荷の荷重に応じて変化させ、規制前傾角度θL を超えてからの前傾速度を通常の前傾速度に所定の割合を掛けた値となるように設定してもよい。このように荷重あるいは揚高に応じて、前傾速度を変化させた場合は、前傾速度を荷崩れ等の支障が生じない範囲でできるだけ速くすることができる。
【0098】
○ マスト角度θi が規制前傾角度θL に達したことを報知する報知手段をフォークリフト1に設ける。そして、CPU49はマスト角度θi が規制前傾角度θL に達したことを確認した時点で報知手段に駆動信号を出力する構成とする。
例えば、図7及び図9に示すフローチャートにおけるステップS2及びステップS12でマスト角度θi が規制前傾角度θL 以上と判断したときに、報知手段に駆動信号を出力する構成とする。報知手段としては、ブザー、警告灯、ディスプレイ(表示装置)等、聴覚あるいは視覚に訴える手段がある。また、特殊な報知手段としてオペレータに振動を与える装置を設けてもよい。
【0099】
報知手段を作動させる場合、単純に連続して作動させる構成にかぎらず、マスト角度θi によって警報音の種類を変更(例えば、音を断続して発生させるとともにその断続時間を変更)したり、警告灯の点滅間隔を変更してもよい。この場合、オペレータに現在の作業が注意を要する状況で行われていることを喚起する効果が大きくなる。
【0100】
また、オペレータに振動を与える装置としては、例えば、手首の部分に振動を付与することができるバンドを設け、オペレータがそのバンドを手首に巻いて作業を行うようにする。バンドはティルトレバー13の部分から引き出されたリード線と接続され、CPU49からの駆動信号によって振動するように構成される。警告灯やブザー等、視覚あるいは聴覚に頼る報知手段の場合は、作業環境によってオペレータが気が付き難い場合がある。しかし、オペレータに振動を与える報知手段の場合は、視覚あるいは聴覚に頼る報知手段に比較して報知手段が作動状態にあることをオペレータが認識し易い。また、ティルトレバーそれ自体が振動するように構成しても、同様の効果を得ることができる。
【0101】
○ ティルトシリンダ9の制御を手動操作の方向切換弁(ティルト用制御弁22)と電磁弁との組み合わせで行う構成に代えて、方向切換弁と流量制御弁の機能を併せ持つ電磁比例制御弁で行う構成としてもよい。即ち、手動操作のティルト用制御弁22に代えて前記電磁比例制御弁を設ける。
【0102】
○ 揚高センサ14は被検知部が有るか否かを検知できるセンサであればよく、近接スイッチに代えてリミットスイッチや光スイッチを使用してもよい。
○ マスト角度検出手段はマスト3の基準位置からの傾動角度を検出可能なものであればよく、ティルトシリンダ9の回動角を検出する回転式のポテンショメータ15に限らず、例えば、ティルトシリンダ9の伸縮量、即ちピストンロッド9aの突出量を検出するリニアポテンショメータを使用してもよい。また、マスト3とともに回動する軸の回動角度をポテンショメータやロータリエンコーダで検出する構成としてもよい。
【0103】
○ パイロット圧供給手段を作動油供給用管路25から分岐されたパイロット圧供給用管路40で構成する代わりに、エンジンEで駆動される容量の小さな油圧ポンプを別に設け、その油圧ポンプからパイロット圧供給用管路40にパイロット圧用の作動油を供給する構成としてもよい。この場合、減圧弁41はなくてもよい。
【0104】
○ パイロット操作逆止弁36を省略してもよい。パイロット操作逆止弁36がない場合は、制御弁35をボトム室9cとティルト用制御弁22を接続する管路34bに設けてもよい。パイロット操作逆止弁36がない場合は、前傾状態での制御弁35及びティルト用制御弁22からの作動油の漏れが防止されないため、制御弁35を両管路34a,34bのいずれの側に設けても同じ作用となる。
【0105】
○ 前傾角度規制制御プログラムを実行するのに必要なデータとしての、揚高及び積載荷重と規制前傾角度θL との関係を表すマップ又は関係式をROM50aに記憶させ、EEPROM50bを省略してもよい。また、揚高及び積載荷重と規制前傾角度θL との関係を表すマップ又は関係式を、バックアップ用の電源を備えたRAMに記憶させてもよい。この場合は、マップ又は関係式の補正が容易になる。
【0106】
○ ティルト用制御弁22、制御弁35及び比例ソレノイド弁39等を一体に形成したが、各制御弁22,35,39を別体に形成してもよい。
○ 荷役用アタッチメントとしてフォーク6以外のアタッチメント、例えばロール紙の運搬に使用するロールクランプ、ブロックの運搬や高積み作業に使用するブロッククランプ、コイル状に巻かれたワイヤ及びケーブル等コイル状あるいは円筒状の荷の運搬に使用するラム等を装備した産業車両に適用してもよい。
【0107】
○ エンジンを駆動源とする産業車両に限らず、バッテリを駆動源とする産業車両に適用してもよい。
前記各実施の形態から把握できる技術思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
【0108】
(1) 前記揚高検出手段は揚高を連続的に検出可能なセンサである。この場合、揚高を高揚高か否かで規制前傾角度θL を設定するのに比較してより適正な値に設定できる。
【0109】
(2) 前記電磁弁はパイロット圧で切換操作されるとともに、パイロット圧が比例ソレノイド弁で制御される構成である。この場合、前傾速度の制御即ち電磁弁の開度の制御が容易になる。
【0110】
(3) 産業車両に報知手段を設け、マストが規制前傾角度以上前側に傾斜している状態では、報知手段(ブザー、警告灯等)への作動指令信号を出力する制御手段を備えた構成とする。この場合、オペレータが報知手段の作動を確認して、規制前傾角度を超えていることを認識し易くなる。
【0111】
(4) (3)の発明において、報知手段をオペレーターに振動を与えることが可能な振動付与手段とする。この場合、視覚あるいは聴覚に頼る報知手段に比較して報知手段が作動状態にあることをオペレータが認識し易い。
【0112】
(5) 異常状態の発生あるいは操作機器が予め設定された所定状態にあることをオペレータに報知する報知手段として、オペレータに振動を与えることが可能な振動付与手段を設けた産業車両。この場合、作業環境の騒音が大きくてもオペレータが報知手段の作動を確認し易くなる。
【0113】
(6) 規制前傾角度を超えてからの前傾速度を揚高又は荷の荷重に応じて、あるいは揚高及び荷の荷重の両者に応じて設定する。この場合、前傾速度を荷崩れ等の支障が生じない範囲でできるだけ速くすることができる。
【0114】
(7) 揚高検出手段を省略し、制御手段は積載荷重に基づいて規制前傾角度を設定する。この場合、積載荷重の大きさのみで規制前傾角度が設定されるため、制御が容易となる。
【0115】
(8) 荷重検出手段を省略し、制御手段は揚高のみに基づいて規制前傾角度を設定する。この場合、揚高のみで規制前傾角度が設定されるため、制御が容易となる。
【0116】
【発明の効果】
以上詳述したように各請求項に記載の発明によれば、高揚高で前傾のティルト動作を行う際に、熟練者でなくても作業を簡単に行うことができる。また、誤操作があっても荷崩れやフォークリフトの後輪の浮き上がり(即ち車両の前後方向の不安定状態)の発生を防止することができる。また、前傾規制角に達した後、前傾規制角を超えて目的の前傾角度まで前傾させることができる。
【0117】
また、規制前傾角度に達すると必ず、前傾動作が一旦停止されるため、誤操作でマストが規制前傾角度を超えて前傾するのが防止される。
【0118】
請求項1に記載の発明によれば、規制前傾角度を超えた状態でマストが急速に前傾するのが確実に防止される。
請求項2に記載の発明によれば、規制前傾角度を超えた状態でオペレータがティルト操作手段を急速に操作してもマストはゆっくり前傾するためショックが小さい。
【0119】
請求項3に記載の発明によれば、規制前傾角度を超えてからの前傾作業時にオペレータの操作の自由度が大きくなる。
請求項4に記載の発明によれば、オペレータにマスト角度が規制前傾角度を超えている状態であることの注意を喚起する効果が大きくなる。
【0120】
請求項5に記載の発明では、揚高に関しては2段階で判断基準が設けられるので、規制前傾角度の設定が簡単になる。
請求項6に記載の発明では、オペレータが従来の手動操作弁と同様な操作でティルト動作を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】 フォークリフトの側面図。
【図3】 ティルト操作レバーの側面図。
【図4】 油圧回路図。
【図5】 規制前傾角度を設定するためのマップを示す線図。
【図6】 前傾角度と電流指令値の関係を示す線図。
【図7】 前傾制御のフローチャート。
【図8】 指令電流値の時間変化を示す線図。
【図9】 第2の実施の形態の前傾制御のフローチャート。
【図10】 第3の実施の形態の前傾制御のフローチャート。
【図11】 別の実施の形態の指令電流値と揚高の関係を示す線図。
【図12】 別の実施の形態の指令電流値と荷重の関係を示す線図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフト、3…マスト、6…荷役用アタッチメントとしてのフォーク、9…ティルトシリンダ、13…ティルト用操作手段としてのティルトレバー、14…揚高検出手段としての揚高センサ、15…マスト角度検出手段としてのポテンショメータ、17…積載荷重検出手段としての圧力センサ、22…手動操作方向切換弁としてのティルト用制御弁、34a…管路、35…電磁弁を構成する制御弁、39…同じく比例ソレノイド弁、49…制御手段及び演算手段としてのCPU。
Claims (6)
- 荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、
前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、
前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、
前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、
前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、
前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、
前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度より遅い速度となるように前記電磁弁を制御する産業車両のティルトシリンダ制御装置。 - 荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、
前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、
前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、
前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、
前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、
前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、
前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度より遅い速度となるように、かつ徐々に当該速度に達するように前記電磁弁を制御する産業車両のティルトシリンダ制御装置。 - 荷役用アタッチメントを昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、ティルトシリンダの作動によりマストが傾動される産業車両において、
前記荷役用アタッチメントの揚高を検出する揚高検出手段と、
前記マストの基準位置からの傾動角度を検出するマスト角度検出手段と、
前記荷役用アタッチメントの積載荷重を検出する積載荷重検出手段と、
前記揚高検出手段により検出された揚高及び前記積載荷重検出手段により検出された積載荷重に基づいてマストの規制前傾角度を演算する演算手段と、
前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する電磁弁と、
前記マストの前傾動作時に、マストが前記規制前傾角度に達したときにティルトシリンダの作動を停止させ、その後はティルト用操作手段が中立位置に操作された後、再度前傾位置に操作されたときに再び前傾動作を開始するように前記電磁弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は再び前傾動作を開始するときに、通常の前傾速度と同じ速度でティルトシリンダを作動させるように前記電磁弁を制御する産業車両のティルトシリンダ制御装置。 - 前記制御手段は再び前傾動作を開始した後、所定時間経過後にティルトシリンダの作動を徐々に停止させるように前記電磁弁を制御する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の産業車両のティルトシリンダ制御装置。
- 前記揚高検出手段は揚高が所定の揚高以上か否かを検出可能なセンサである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の産業車両のティルトシリンダ制御装置。
- 前記ティルトシリンダへの作動油の供給を制御する油圧回路には、ティルトシリンダへの作動油の供給、排出を切換え制御する手動操作方向切換弁と、該手動操作方向切換弁とティルトシリンダとを接続する管路の途中に設けられた電磁弁とを備えている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の産業車両のティルトシリンダ制御装置。
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