JP3791682B2 - エンドエフェクタ用動力伝達方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットの作業端末を構成するエンドエフェクタに駆動の動力を伝達するエンドエフェクタ用動力伝達方法に係る技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ロボットアームを高速,円滑,正確に動作させる手段として、エンドエフェクタを駆動する動力を起生するエンドエフェクタ駆動装置をロボットベース側に設置し、ロボットアームの手先重量を構成しているエンドエフェクタを軽量化することが広く行われている。
【0003】
従来、エンドエフェクタ用動力伝達方法としては、例えば、前述の従来のエンドエフェクタ用動力伝達装置について、伝達経路の状況からエンドエフェクタ駆動装置をフィードバック制御するものが知られている。この従来のエンドエフェクタ用動力伝達方法は、ロボットの高性能化等に寄与している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来のエンドエフェクタ用動力伝達方法では、伝達経路にワイヤ,プーリの構成を含む場合、ロボットアームの駆動によってワイヤが伸縮する等して動力干渉を受けてしまうという問題点がある。
【0005】
なお、伝達経路にワイヤ,プーリの構成を採用することは、ロボットアームを軽量化し伝達経路の製造コストを低減することができるという利点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、ロボットアームの駆動によるエンドエフェクタへの動力干渉を解消するとともに、ロボットアームを軽量化し伝達経路の製造コストを低減することのできるエンドエフェクタ用動力伝達方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法は、次のような手段を採用する。
【0008】
即ち、請求項1のエンドエフェクタ用動力伝達方法は、ロボットベース側に設置されたエンドエフェクタ駆動装置とロボットベースに支持されたロボットアームの先端部に支持されたエンドエフェクタとを、ロボットアームのリンクに沿って配設したプーリとワイヤとでなる伝達経路を介して連結したエンドエフェクタ用動力伝達装置において、ロボットアームの関節角度をエンコーダで検出し、その値に基づいて伝達経路のワイヤの配設長を算出し、この配設長と張力センサから得られた張力値とを用いて伝達経路のワイヤの延び長を算出し、またエンドエフェクタ駆動装置のエンコーダ値によりエンドエフェクタ駆動装置から繰出された実際の繰出し長を算出し、この繰出し長から前記配設長を減算すると共に前記延び長を加算する演算を行い、制御の目標値から該演算結果を減算して得られた指令値をエンドエフェクタ駆動装置に指示して該エンドエフェクタ駆動装置をフィードバック制御することを特徴とする。
【0009】
この手段では、伝達経路をワイヤ,プーリのみで構成することで、ロボットアームを軽量化し伝達経路の製造コストを低減している。そして、動力干渉により生じたワイヤの変位とワイヤの張力とからエンドエフェクタ駆動装置をフィードバック制御する。
【0010】
また、請求項2に記載のように、請求項4のエンドエフェクタ用動力伝達方法において、エンドエフェクタ用動力伝達装置の伝達経路1ロボットアームの旋回関節付近に取付けられるプーリが旋回関節の回転軸の外側に同軸に配置される中空形であることを特徴とする。
【0011】
この手段では、ワイヤ,プーリからなる伝達経路が少なくとも旋回関節でロボットアームの外側に配設される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図6は、エンドエフェクタ用動力伝達装置を示すものである。
【0014】
図1に示すように、エンドエフェクタ1を駆動する動力を起生するエンドエフェクタ駆動装置2をロボットベース3に設置してある。そして、ロボットベース3に支持されたロボットアーム4の2本のリンク4a,4bに沿ってエンドエフェクタ1を駆動する動力を伝達するワイヤ5a,プーリ5bのみで構成される伝達経路5が配設されている。
【0015】
エンドエフェクタ1と伝達経路5との間には、コントローラ6に接続した回避機構7が連結されている。なお、コントローラ6は、ロボットアーム4の駆動装置(図示せず)に接続して、ロボットアーム4の駆動の有無を判断することができるようになっている。
【0016】
伝達経路5は、図2に示すように、ロボットアーム4の関節4cが伸転関節からなる場合、プーリ5bが関節4cの回転軸と同軸に取付けられる。また、図3,図4に示すように、ロボットアーム4の関節4cが旋回関節からなる場合、プーリ5bが中空形に形成されて関節4cの回転軸4dの外側に同軸に配置される。この中空形のプーリ5bは、中空形の軸受が一体的に組付けられてなるもので、軸受部分がロボットアーム4の一方のリンク4aに支持された軸受部材5dに回転可能に支持される。また、ロボットアーム4の両リンク4a,4bには、軸線が回転軸4dと直交する方向へ位置された補助プーリ5eがそれぞれ取付けられる。
【0017】
この伝達経路5の構造は、全配設ラインのロボットアーム4の外側への装備が可能となる。従って、既存の様々なマニピュレータへ容易に装備することができ、汎用性が高くなる。
【0018】
回避機構7は、図5,図6に詳細に示されるように、クラッチ7aとブレーキ7bとで構成されている。クラッチ7aは、1面がロボットアーム4の端末側のリンク4bに回転可能に支持された軸7cに固定され、対面する他の1面が前記軸7cに遊嵌されるとともに伝達経路5の最端末のプーリ5bに固定されている。最端末のプーリ5bは、前記軸7cに遊嵌されている。ブレーキ7bは、前記軸7cに拘束,開放可能な構造を内蔵して嵌装され軸7cの回転を阻止,許容する。なお、エンドエフェクタ1は、ハンド1aに同軸に支持された連結用プーリ1bと前記軸7cに固定された連結用プーリ1cとの間に張設された連結用ワイヤ1dによって回避機構7に連結されている。
【0019】
ロボットアーム4の駆動装置の駆動情報によりロボットアーム4が駆動されていると判断された場合、コントローラ6の指示で回避機構7のクラッチ7aが切断される。この結果、回避機構7の軸7cが回転せず、エンドエフェクタ1が駆動されず、ロボットアーム4からの動力干渉を回避することができる。なお、このとき、コントローラ6の指示で回避機構7のブレーキ7bが軸7cの回転を阻止しているため、エンドエフェクタ1の慣性,重力等による無用の動作が阻止される。
【0020】
また、ロボットアーム4の駆動装置の駆動情報によりロボットアーム4が停止されていると判断された場合、ロボットアーム4からの動力干渉を受けないため、コントローラ6の指示で回避機構7のクラッチ7aが接続される。この結果、回避機構7の軸7cが回転し、エンドエフェクタ1が駆動される。なお、このとき、コントローラ6の指示で回避機構7のブレーキ7bが軸7cの回転を許容する。
【0021】
図7,図8は、本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法の実施の形態を示すものである。
【0022】
この実施の形態は、図1に示すように、前述のエンドエフェクタ用動力伝達装置の回避機構7を除いてほぼ同様に構成されたものについて、伝達経路5のワイヤ5aの張力を検出する張力センサ8をコントローラ6に接続し、コントローラ6でエンドエフェクタ駆動装置2をフィードバック制御するように構成してある。
【0023】
さらに、この実施の形態では、ロボットアーム4の関節4cのエンコーダ9から得られたエンコーダ値により、ロボットアーム4のリンク4a,4bの角度からアームの順運動学計算処理,幾何計算処理10を行って、伝達経路5のワイヤ5aの配設長(経路長)aを算出する。また、この配設長aと張力センサ8から得られた張力値とから材力計算処理11を行って、伝達経路5のワイヤ5aの延び長bを算出する。また、エンドエフェクタ駆動装置2に接続されたエンコーダ12から得られたエンコーダ値により、エンドエフェクタ駆動装置2から伝達経路5のワイヤ5aが実際に繰出された繰出長cが算出される。
【0024】
これ等の配設長a,延び長b,繰出長cは、演算されて制御の目標値dとさらに演算される。この演算で得られた指令値eは、アンプ13で増幅されてエンドエフェクタ駆動装置2に指示される。
【0025】
この実施の形態によると、ロボットアーム4の動力干渉により生じた伝達経路5のワイヤ5aの変位からと、ワイヤ5aの張力からとのエンドエフェクタ駆動装置2のフィードバック制御が総合されることになる。従って、ロボットアーム4の動力干渉を排除して、エンドエフェクタ1に対して駆動の動力を正確に伝達することができる。
【0026】
また、特殊な機器等を設備する必要がないため、低コストでの設備が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法は、伝達経路をワイヤ,プーリのみで構成しているため、ロボットアームを軽量化し伝達経路の製造コストを低減することができる効果がある。
【0028】
さらに、本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法は、フィードバック制御の動力干渉に掛かる要素を含めることでエンドエフェクタに対して駆動の動力を正確に伝達することができるため、ロボットアームの駆動による動力干渉を解消することができる効果がある。
【0029】
さらに、請求項2として、ワイヤ,プーリからなる伝達経路が少なくとも旋回関節でロボットアームの外側に配設されるため、全配設ラインのロボットアームの外側への装備が可能となり、他のロボット等へも容易に装備することができて汎用性が高くなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンドエフェクタ用動力伝達装置を示す制御構成図である。
【図2】 図1の要部の拡大断面図である。
【図3】 図2の平面図である。
【図4】 図1の伸転関節付近の詳細図である。
【図5】 図1の旋回関節付近の詳細図である。
【図6】 図5の側面断面図である。
【図7】 本発明に係るエンドエフェクタ用動力伝達方法の実施の形態を示す制御構成図である。
【図8】 図7の制御のブロック線図である。
【符号の説明】
1 エンドエフェクタ
2 エンドエフェクタ駆動装置
3 ロボットベース
4 ロボットアーム
4a,4b リンク
4c 関節
5 伝達経路
5a ワイヤ
5b プーリ
6 コントローラ
7 回避機構

Claims (2)

  1. ロボットベース側に設置されたエンドエフェクタ駆動装置とロボットベースに支持されたロボットアームの先端部に支持されたエンドエフェクタとを、ロボットアームのリンクに沿って配設したプーリとワイヤとでなる伝達経路を介して連結したエンドエフェクタ用動力伝達装置において、
    ロボットアームの関節角度をエンコーダで検出し、その値に基づいて伝達経路のワイヤの配設長を算出し、
    この配設長と張力センサから得られた張力値とを用いて伝達経路のワイヤの延び長を算出し、
    またエンドエフェクタ駆動装置のエンコーダ値によりエンドエフェクタ駆動装置から繰出された実際の繰出し長を算出し、
    この繰出し長から前記配設長を減算すると共に前記延び長を加算する演算を行い、制御の目標値から該演算結果を減算して得られた指令値をエンドエフェクタ駆動装置に指示して該エンドエフェクタ駆動装置をフィードバック制御することを特徴とするエンドエフェクタ用動力伝達方法。
  2. 請求項1のエンドエフェクタ用動力伝達方法において、エンドエフェクタ用動力伝達装置の伝達経路のロボットアームの旋回関節付近に取付けられるプーリが旋回関節の回転軸の外側に同軸に配置される中空形であることを特徴とするエンドエフェクタ用動力伝達方法。
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