JP3664807B2 - 海洋浮動体の操船制御装置及び方法 - Google Patents

海洋浮動体の操船制御装置及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば砂杭打作業船等の海洋浮動体の操船制御装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤を改良するための工法の1つとして、海中、陸上を問わず、砂杭を造成することが行なわれる。砂杭は定められた位置に精度良く造成していく必要があり、したがって、海中での砂杭工事は砂杭打作業船を精度良く移動させることが良好な砂杭を造成させることに繋がることになる。ここで、船を移動させる作業を転船と称する。
【0003】
砂杭打作業船は海洋浮動体(以下「バージ」と称する)を用いるが、このバージには、例えば4点にアンカ・ウインチを設けてあり、これらアンカ・ウインチによって水面(海上や湖面)に固定されている。バージの転船は、目標位置に向かってオペレータが各アンカ・ウインチのウインチワイヤを適宜巻込み、もしくは繰出すことにより行なわれる。
【0004】
ところで、バージの転船は、アンカ・ウインチを操作するオペレータの経験と勘に基づいて行なわれるものであり、熟練を要することから、一人前の優秀なオペレータを養成するのには長い年月が必要となる。
【0005】
すなわち、オペレータの質により砂杭の精度が左右されると共に、作業時間にも大きな差を生じるものである。また、昨今はオペレータの要員が不足気味であり、優秀なオペレータの養成は一朝一夕にはいかないことから、その補充は困難を極めたものとなっている。
【0006】
そこで、目標位置と現在位置を参照しながらアンカ・ウインチのウインチワイヤの巻込み、もしくは繰出しの操作を自動化するシステムの開発が種々試みられている。
【0007】
現在のバージの自動操船を行なう方法としては、アンカ・ウインチのウインチワイヤの張力と目標位置座標とから各ワイヤの操作量を求め、ワイヤ張力のバランスを保ちながらバージを現在位置から目標位置まで直線的に転船するようにしたものが一般的である。
【0008】
図8はこのような操船の自動化システムを説明するものである。図8(A)はアンカ位置の計算について示すもので、船体Bを図中のIの位置からIIの位置に強制的に移動させ、移動前の各ワイヤの長さL1〜L4と移動後の各ワイヤの長さl1〜l4とからアンカ位置を算定する。
【0009】
この際、船体Bの移動前の位置(X1,Y1)と移動後の位置(x1,y1)とを光波測距儀により自動測定するもので、移動前後の各ワイヤの長さからアンカ位置を決定する手順としては、平面幾何学的に求める方法と、カテナリ演算を用いてワイヤのたるみも考慮する方法の2つがある。
【0010】
しかるに、上記のようにしてアンカ位置を算出した後、所望の位置に転船するためのウインチワイヤの操作量を決定する。図8(B)はこれを説明するもので、所望の位置IIIでバランスする各ワイヤの張力を求め、カテナリ演算でその時のワイヤ長を算出する。
【0011】
この場合、まず船体Bの現在の位置IIでの各ワイヤの張力T1〜T4及び外力Fのバランスを算定し、そこから目標位置IIIにおいて船体Bが静止する各ワイヤの張力t1〜t4のバランスを推定する。そして、求めた各ワイヤの張力t1〜t4からカテナリ演算を用いて目標位置IIIにおけるワイヤ長を算定する。
【0012】
上記各ワイヤの張力及び外力のバランスを算定するにあたっては、演算
T1+T2+T3+T4+F=0
t1+t2+t3+t4+F=0
なる演算式を用いるもので、現在位置IIと目標位置IIIでの各ワイヤ長の差がワイヤ操作量となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した一般的なバージの自動操船を行なう方法では、そのバージを取巻く作業環境からの影響に関しては考慮しておらず、一定のバージの状態でのアンカ・ウインチのウインチワイヤの張力と目標位置座標とからのみ各ワイヤの操作量を求めている。
【0014】
したがって、例えばバージの進行方向側から強風が吹いている場合や潮流がある場合などには、ウインチワイヤを操作してもバージがまったく移動せずに該ワイヤの張力のみが異常に上昇し、またバージが回転してしまうなど、危険な状態に陥ってしまうことがある。すなわち、外力が大きい場合には、ウインチワイヤに過大な力がかかって操船が不能となることがある。
【0015】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、悪条件の中でも安定且つ高い精度で転船を行ない、転船の能率を向上させることが可能な海洋浮動体の操船制御装置及び方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、海洋浮動体の複数点にウインチを設け、これらウインチのワイヤ端部位置を当該海洋浮動体の移動範囲に置いて、各ウインチの巻込み、繰出し制御により各ウインチのワイヤの長さを可変することにより、当該海洋浮動体を目標位置に移動させる海洋浮動体の操船制御装置において、上記海洋浮動体の現在位置と移動先の目標位置とを測定する位置測定手段と、上記海洋浮動体にかかる外力の方向及び強さを計測する外力計測手段と、この外力計測手段で計測した結果と上記位置測定手段で測定した結果とによりカテナリ演算に基づく運動モデル式を用い、上記海洋浮動体の現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船経路と、上記海洋浮動体の現在位置及び移動先の目標位置を結ぶ線上から外れた、予め設定された安全な回転角度の範囲を考慮した第3の位置を経由する操船経路とのいずれか一方を上記カテナリ演算で求めた最大回転角度が、予め設定された安全な回転角度の範囲内にあるか否かにより選択判断する判断手段と、この判断手段で得た操船経路に従って上記ウインチを制御し、上記海洋浮動体の操船を行なう制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0017】
このような構成とすることにより、悪条件の中でもこれを考慮して安定且つ高い精度で転船を行なうことができることに加え、悪条件にない場合には現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船を行なう一方、外力の影響で現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船が困難である悪条件の中にあると判断した場合には、安全な第3の位置を経由して操船するようになるため、安全な操船を行ないながら転船の能率を向上させることができる。
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記外力計測手段は、上記海洋浮動体にかかる風の方向及び速度を計測する風向風速計測手段と、上記海洋浮動体にかかる潮流の方向及び速度を計測する流向流速計測手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることにより、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、特に海洋浮動体に与える影響の大きい外力である風及び潮流を考慮して安定且つ高い精度で転船を行なうことができる。
【0021】
請求項3記載の発明は、海洋浮動体の複数点にウインチを設け、これらウインチのワイヤ端部位置を当該海洋浮動体の移動範囲に置いて、各ウインチの巻込み、繰出し制御により各ウインチのワイヤの長さを可変させることにより、当該海洋浮動体を目標位置に移動させる海洋浮動体の操船制御方法において、上記海洋浮動体の現在位置と移動先の目標位置とを測定する測定処理と、上記海洋浮動体にかかる外力の方向及び強さを計測する外力計測処理と、この外力計測処理で計測した結果と上記位置測定処理で測定した結果とによりカテナリ演算に基づく運動モデル式を用い、上記海洋浮動体の現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船経路と、上記海洋浮動体の現在位置及び移動先の目標位置を結ぶ線上から外れた、予め設定された安全な回転角度の範囲を考慮した第3の位置を経由する操船経路とのいずれか一方を上記カテナリ演算で求めた最大回転角度が、予め設定された安全な回転角度の範囲内にあるか否かにより選択判断する判断処理と、この判断処理で得た操船経路に従って上記ウインチを制御させ、上記海洋浮動体の操船を行なわせる制御処理とを有することを特徴とする。
このような方法を採ることにより、悪条件の中でもこれを考慮して安定且つ高い精度で転船を行なわせることができることに加え、悪条件にない場合には現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船を行なわせる一方、外力の影響で現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船が困難である悪条件の中にあると判断した場合には、安全な第3の位置を経由して操船させるようになるため、安全な操船を行なわせながら転船の能率を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明をバージの転船制御を行なう装置に適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1はそのシステム構成を示すもので、1は汎用のパーソナルコンピュータ等を用いた各種演算を行なうコンピュータ本体である。このコンピュータ本体1に対して、テンキイボードを含む数値や各種コマンド等を設定入力するためのキーボード2、動作制御状況及び入力データ等を表示するモニタディスプレイとしてのCRT3、例えば光測距儀を用いた船位置計測装置4、外力としての風の向きと大きさとを計測する風向風速計5、外力としての潮流の大きさと向きとを計測する流速流向計6、ジャイロコンパスを用いた当該船舶の角速度計7、及びそれぞれアンカと接続した4台のウインチ装置8が接続される。
【0023】
コンピュータ本体1は、図中では主としてその機能構成を示す如く、目標位置記憶部11、船舶のモデル演算器12、操船ルート設定器13、アンカ位置記憶器14、ワイヤ操作量演算器15、モデル適応制御系16、ワイヤ展張角演算器17、及びウインチ操作信号設定器18を有する。
【0024】
また、上記ウインチ装置8には、実際にワイヤの巻込み、繰出しを行なうウインチ21、このウインチ21の直接制御を行なう比例制御弁22aと電磁弁22bとを設けたウインチコントローラ22、例えばロータリエンコーダでなるワイヤ線長計23、及び差圧発振器でなるワイヤ張力計24を有する。
【0025】
上記コンピュータ本体1の目標位置記憶部11は、キーボード2で指示されたバージの目標位置を記憶し、その記憶内容をモデル演算器12及び操船ルート設定器13に読出す。
【0026】
このモデル演算器12にはまた、上記船位置計測装置4からの現在の船の位置のX,Y座標値、風向風速計5からの風向値θw及び風速値Sw、流速流向計6からの流速値Sb及び流向値θb、ワイヤ展張角演算器17からのワイヤ展張角θ1 〜θ4 、及びワイヤ張力計24からの各ワイヤ張力T1 〜T4 が入力されるもので、モデル演算器12はこれら入力を基に、後述するバージの運動モデル式に従った演算を実行し、演算結果を操船ルート設定器13及びモデル適応制御系16に出力する。
【0027】
この操船ルート設定器13にはまた、目標位置記憶部11からの目標位置とキーボード2からの設定数値とが入力されるもので、これらの入力に対応してバージを目標位置まで直線的に移動させるか、あるいは第3の地点を経由して迂回するかのルート設定を行ない、その設定結果を上記ワイヤ操作量演算器15へ送出する。
【0028】
アンカ位置記憶器14は、キーボード2より入力されたアンカ位置のX,Y座標値及び深さ値を記憶し、上記ワイヤ展張角演算器17へ出力する。ワイヤ展張角演算器17は、このアンカ位置記憶器14からの記憶内容と上記船位置計測装置4からの現在の船の位置のX,Y座標値とによって4本のワイヤの展張角θ1 〜θ4 を算出し、上述した如くモデル演算器12へ出力する。
【0029】
モデル適応制御系16は、モデル演算器12からの演算結果、角速度計7からのバージの角速度、及びワイヤ線長計23からのワイヤ線長に応じて、上記モデル演算器12で演算したモデルに適応させるための制御データを算出し、上記ワイヤ操作量演算器15に送出する。
【0030】
上記ワイヤ操作量演算器15では、操船ルート設定器13からの設定ルートとモデル適応制御系16からの制御データとにより実際のワイヤ操作量を演算してウインチ操作信号設定器18へ送出する。
【0031】
ウインチ操作信号設定器18は、このワイヤ操作量演算器15からのワイヤ操作量とワイヤ線長計23からのワイヤ線長とに応じてバージを目標値に移動させるためのウインチ操作信号を発生し、ウインチ装置8のウインチコントローラ22に適宜送出して、ウインチ21を操作させる。
【0032】
次いで、主としてコンピュータ本体1による処理手順について図2及び図3のフローチャートを用いて説明する。
図2は当該処理手順のメインルーチンであり、その当初にキーボード2により移動先の目標位置のX,Y座標を入力すると、その座標値を取込んで目標位置記憶部11に記憶させる(ステップM1)。
【0033】
次いで、船位置計測装置4から現在の当該バージの位置のX,Y座標値をモデル演算器12に取込む一方、ウインチ装置8のウインチコントローラ22の電磁弁22bを励磁してブレーキを解放させ、ウインチワイヤの張力をウインチ21の油圧モータに加えることで、該油圧モータの入り口/出口の圧力差としてのワイヤ張力を発生させ、これをワイヤ張力計24で計測してモデル演算器12に取込む(ステップM2)。
【0034】
この場合、モデル演算器12では、予め上記油圧モータの工場で計測されたキャリブレーションデータを有しており、このキャリブレーションデータを基に取込んだワイヤ張力に対する補正換算を実行する。
【0035】
この時点で、バージにはワイヤ張力のみならず、実際には風及び潮流による外力が作用しているもので、これら外力の合和とワイヤ張力のベクトル合力がゼロとなってバージが現在静止しているのであるから、外力の合和はワイヤ張力から演算することができる。
【0036】
したがって、取込んだワイヤの張力が妥当なものであるなら、その値を用いて現在のワイヤの張力と外力の釣合いの演算を行ない、力の釣合いとモーメントの釣合い、及び最適条件により外力の作用点と外力を算出することができる。
【0037】
その後、上記取込んだ目標位置と現在位置、及びワイヤ張力により、外力を除外した操船演算、すなわち現在位置から目標位置に直線的に移動する際の上記図8で説明したようなワイヤ操作量及びワイヤ操作速度をモデル演算器12でカテナリ演算式により算出する(ステップM3)。
【0038】
図4はこのカテナリ演算式を説明するためのものである。水中下でのワイヤは、図示する如くカテナリ曲線となることが知られており、船からアンカまでの水平距離、水深(垂直距離)、ワイヤの水中重量、及びワイヤ全長が既知であれば、ワイヤの絶対張力からその水平成分及び垂直成分をベクトル的に分解できるものである。
【0039】
次いで、モデル演算器12がバージにかかる外力の一要因である風の風向値θw及び風速値Swを風向風速計5から取込み(ステップM4)、続いて同じくバージにかかる外力の一要因である潮流の流速値Sb及び流向値θbを取込む(ステップM5)。
【0040】
そして、モデル演算器12により上記カテナリ演算式により求めたワイヤ操作量を正確に操作したときのバージの最大回転角度及び目標位置での誤差をバージの運動モデル式により求める(ステップM6)。
ここで、該運動モデル式は、
【0041】
【数1】
Figure 0003664807
【0042】
【数2】
Figure 0003664807
となる。
【0043】
図5はこの運動モデル式を説明するためのものである。
(但し、W:船体Bとアンカの間に接続されたワイヤ、
X,Y:絶対座標系、
(Xi,Yi):絶対座標系各座標値(i=1〜4)、
Ti:各ワイヤ張力、
x,y:バージ座標系、
(Xf ,Yf ):絶対座標系外力作用点座標値、
F:(合和)外力
θi:各ワイヤ張り角度、
θf:外力絶対角度、
θw:風向(絶対角度)、
φ:斜行角、
θb:潮流の絶対角度。)
なお、図中に示す各ワイヤWの展張角θ1 〜θ4 は、対応する各アンカの位置を既知とした場合に、船体Bの位置を船位置計測装置4から入力することにより、それらから演算して容易に求めることができる。
【0044】
なお、各アンカの位置は、船体Bを仮に移動させた場合のそれぞれのワイヤWの操作量から演算して求めることができ、これをキーボード2より入力してアンカ位置記憶器14に記憶させるものである。
【0045】
しかして、モデル演算器12で求めたバージの最大回転角度が安全な回転角度の範囲内にあるか否かにより、操船ルート設定器13が図6に示すように目標位置まで直線的に移動するルートR1をとるか、あるいは現在位置及び目標位置を結ぶ線上から外れた第3の位置を経由して迂回するルートR2をとるか判断する(ステップM7)。
【0046】
すなわち、この図6で示す第3の位置は、2段階の操船を行なうことで、迂回点である第3の位置(斜行角変更位置)にてバージの移動方向を切換えるものとする。この第3の位置は、現在位置からその第3の位置まで安定した操船を行なうことができ、且つ第3の位置から目標位置まで安定した操船を行なうことができるような位置を指定するものである。
【0047】
しかして、図7に示すようにバージの操船方向に対して真横からの外力には安定性を失う傾向にあり、比較的安定しているのは、図中にハッチングで示す操船方向に対して外力が左右45°以内であるか、あるいは左右165°〜180°の範囲であるときとなる。
【0048】
よって、上記ステップM7でモデル演算器12で求めたバージの最大回転角度が安全な回転角度の範囲内にあり、現在位置から目標位置まで直線的に移動しても支障ないと判断した場合には、操船ルート設定器13は図6に示す目標位置まで直線的に移動するルートR1を選択設定し、設定結果をワイヤ操作量演算器15に送出する。
【0049】
これを受けたワイヤ操作量演算器15では、その設定ルートとモデル適応制御系16からの制御データとにより、当該バージを直線的に目標位置まで操船すべく各ワイヤ操作量を演算し、演算結果をウインチ操作信号設定器18に送出して4台のウインチ装置8のウインチコントローラ22によりウインチ21を駆動制御させ、バージを自動操船させる(ステップM8)。
【0050】
また、上記ステップM7でモデル演算器12で求めたバージの最大回転角度が安全な回転角度の範囲外にあり、現在位置から目標位置まで直線的に移動すると危険であると判断した場合には、操船ルート設定器13は図6に示す目標位置まで第3の位置を経由して迂回するルートR2を設定し、設定結果をワイヤ操作量演算器15に送出して、ウインチ操作信号設定器18により4台のウインチ装置8を駆動制御させ、バージを自動操船させる(ステップM9)。
【0051】
図3はこのステップM9の詳細な処理内容を示すサブルーチンであり、その処理当初には、操船ルート設定器13が第3の位置を経由して迂回する2段階のルートR2のいずれにあってもバージの最大回転角度が安全な回転角度の範囲内となるような第3の位置を求める斜行角変更位置演算を行ない、その演算結果をワイヤ操作量演算器15へ送出する(ステップS1)。
【0052】
ワイヤ操作量演算器15では、この斜行角変更位置(第3の位置)に至るまでの第1段階の各ウインチ装置8に対するワイヤ操作量とこの斜行角変更位置から目標位置に至るまでの第2段階の各ウインチ装置8に対するワイヤ操作量とをそれぞれカテナリ演算により演算する(ステップS2)。
【0053】
次いで、まず現在位置から斜行角変更位置(第3の位置)に至るまでの第1段階において、算出した各ウインチ装置8に対するワイヤ操作量に達しているか否か判断し(ステップS3)、達していなければそのウインチ装置8を操作し(ステップS5)、達していればそのウインチ装置8を停止しながら(ステップS4)、斜行角変更位置(第3の位置)に到達したか否か判断する(ステップS6)といった動作を斜行角変更位置(第3の位置)に到達したと判断するまで繰返し実行する。
【0054】
この場合、ワイヤ操作量が残り僅かになったと判断して時点で、バージの安定をよりよくするべくワイヤの操作速度を最適ウインチ速度から最小ウインチ速度に切換えるように制御を行なう。
【0055】
そして、斜行角変更位置(第3の位置)に到達したと判断した時点で、次にこの斜行角変更位置(第3の位置)から目標位置に至るまでの第2段階において、算出した各ウインチ装置8に対するワイヤ操作量に達しているか否か判断し(ステップS7)、達していなければそのウインチ装置8を操作し(ステップS9)、達していればそのウインチ装置8を停止しながら(ステップS8)、すべてのウインチ装置8の操作を終了したか否か、すなわち目標位置に到達したか否か判断する(ステップS10)といった動作を、実際に目標位置に到達するまで繰返し実行する。
【0056】
この場合にも、上記と同様にワイヤ操作量が残り僅かになったと判断して時点で、バージの安定をよりよくするべくワイヤの操作速度を最適ウインチ速度から最小ウインチ速度に切換えるように制御を行なう。
【0057】
そして、目標位置に到達したと判断した時点でこの図3のサブルーチンを終了し、上記図2のメインルーチンに戻る。
図2においては、ステップM8の直線的なルートR1における自動操船、あるいはステップM9の第3の位置に迂回したルートR2における自動操船を終了した後、現在のバージの位置を再度船位置計測装置4からの計測値により取得し(ステップM10)、バージが目標位置に到達していることをあらためて確認したした時点で(ステップM11)、この処理を終了する。
【0058】
また、ステップM11で現在のバージの位置からバージが未だ目標位置に到達していないと判断した場合には、再び上記ステップM2からの処理を再度繰返し行なう。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であり、例えば海洋浮動体は砂杭打作業船としてのバージを用いるものとしたが、これに限るものではなく、またバージに4点アンカワイヤを張る構成としたが、3あるいは5点以上でも実施可能である。
【0060】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、悪条件の中でもこれを考慮して安定且つ高い精度で転船を行なうことができることに加え、悪条件にない場合には現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船を行なう一方、外力の影響で現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船が困難である悪条件の中にあると判断した場合には、安全な第3の位置を経由して操船するようになるため、安全な操船を行ないながら転船の能率を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、特に海洋浮動体に与える影響の大きい外力である風及び潮流を考慮して安定且つ高い精度で転船を行なうことができる。
【0061】
請求項3記載の発明によれば、悪条件の中でもこれを考慮して安定且つ高い精度で転船を行なわせることができることに加え、悪条件にない場合には現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船を行なわせる一方、外力の影響で現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船が困難である悪条件の中にあると判断した場合には、安全な第3の位置を経由して操船させるようになるため、安全な操船を行なわせながら転船の能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係る自動転船処理のメインルーチンを示すフローチャート。
【図3】図2のステップM9の処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図4】カテナリ演算式を説明するための図。
【図5】バージの運動モデル式を説明するための図。
【図6】バージの操船ルートを説明するための図。
【図7】バージの操船方向と外力のかかる方向との関係を示す図。
【図8】操船の自動化システムを説明する図。
【符号の説明】
1…コンピュータ本体
2…キーボード
3…CRT
4…船位置計測装置
5…風向風速計
6…流速流向計
7…角速度計
8…ウインチ装置
11…目標位置記憶部
12…モデル演算器
13…操船ルート設定器
14…アンカ位置記憶器
15…ワイヤ操作量演算器
16…モデル適応制御系
17…ワイヤ展張角演算器
18…ウインチ操作信号設定器
21…ウインチ
22…ウインチコントローラ
22a…比例制御弁
22b…電磁弁
23…ワイヤ線長計
24…ワイヤ張力計

Claims (3)

  1. 海洋浮動体の複数点にウインチを設け、これらウインチのワイヤ端部位置を当該海洋浮動体の移動範囲に置いて、各ウインチの巻込み、繰出し制御により各ウインチのワイヤの長さを可変することにより、当該海洋浮動体を目標位置に移動させる海洋浮動体の操船制御装置において、
    上記海洋浮動体の現在位置と移動先の目標位置とを測定する位置測定手段と、
    上記海洋浮動体にかかる外力の方向及び強さを計測する外力計測手段と、
    この外力計測手段で計測した結果と上記位置測定手段で測定した結果とによりカテナリ演算に基づく運動モデル式を用い、上記海洋浮動体の現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船経路と、上記海洋浮動体の現在位置及び移動先の目標位置を結ぶ線上から外れた、予め設定された安全な回転角度の範囲を考慮した第3の位置を経由する操船経路とのいずれか一方を上記カテナリ演算で求めた最大回転角度が、予め設定された安全な回転角度の範囲内にあるか否かにより選択判断する判断手段と、
    この判断手段で得た操船経路に従って上記ウインチを制御し、上記海洋浮動体の操船を行なう制御手段と
    を具備したことを特徴とする海洋浮動体の操船制御装置。
  2. 上記外力計測手段は、
    上記海洋浮動体にかかる風の方向及び速度を計測する風向風速計測手段と、
    上記海洋浮動体にかかる潮流の方向及び速度を計測する流向流速計測手段と
    を含むことを特徴とする請求項1記載の海洋浮動体の操船制御装置。
  3. 海洋浮動体の複数点にウインチを設け、これらウインチのワイヤ端部位置を当該海洋浮動体の移動範囲に置いて、各ウインチの巻込み、繰出し制御により各ウインチのワイヤの長さを可変させることにより、当該海洋浮動体を目標位置に移動させる海洋浮動体の操船制御方法において、
    上記海洋浮動体の現在位置と移動先の目標位置とを測定する測定処理と、
    上記海洋浮動体にかかる外力の方向及び強さを計測する外力計測処理と、
    この外力計測処理で計測した結果と上記位置測定処理で測定した結果とによりカテナリ演算に基づく運動モデル式を用い、上記海洋浮動体の現在位置から移動先の目標位置に至る直線的な操船経路と、上記海洋浮動体の現在位置及び移動先の目標位置を結ぶ線上から外れた第3の位置を経由する操船経路とのいずれか一方を上記カテナリ演算で求めた最大回転角度が、予め設定された安全な回転角度の範囲内にあるか否かにより選択判断する判断処理と、
    この判断処理で得た操船経路に従って上記ウインチを制御させ、上記海洋浮動体の操船を行なわせる制御処理と
    を有することを特徴とする海洋浮動体の操船制御方法。
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