JPH06286694A - 船舶の自動着岸・離岸方法 - Google Patents

船舶の自動着岸・離岸方法

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JPH06286694A
JPH06286694A JP7603193A JP7603193A JPH06286694A JP H06286694 A JPH06286694 A JP H06286694A JP 7603193 A JP7603193 A JP 7603193A JP 7603193 A JP7603193 A JP 7603193A JP H06286694 A JPH06286694 A JP H06286694A
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JP
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bow
hull
stern
ship
control
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JP7603193A
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Yukio Tomita
幸雄 冨田
Hiroyoshi Yamamoto
博敬 山本
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Japan Hamworthy and Co Ltd
Original Assignee
Japan Hamworthy and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 2枚の高揚力舵4a,4bの回転位置を適宜
組合せることにより船体1ないし船尾に任意方向のスラ
ストを与え、船首部1aに設けた船首スラスター2によ
り船首に左右方向のスラストを与えて船体運動を制御
し、船首部1aと船尾部1bのそれぞれに設けた横移動
速度センサー8a,8bおよび距離センサー9a,9
b、船体の任意の位置に設けた縦移動速度センサー10
と方向センサー11の各センサーの検出値を入力値とし
て演算制御装置14において船首スラスター2および舵
取機制御装置の制御量を算出して制御する。 【効果】 機器構成が簡略なものとなるので制御を単純
化でき、船のそのときどきの状態に応じて運動方程式の
係数を算出して高揚力舵および船首スラスターの最適な
制御量を算出するので、最短時間で、行きすぎもせず、
行き足りずもせず、目的の位置に適確に着けることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は船舶の自動着岸、離岸方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶を自動的に、着岸・離岸させ
るシステムの操船機器の構成は、船体を前後方向に直進
させるプロペラ推進器、船首部を左右に移動させる船首
スラスター、船尾部を左右に移動させる船尾スラスター
から成っている。この船尾スラスターを必要とする理由
は、プロペラ推進器と舵とでは船尾部を左右に移動する
機能を持たないからである。このことはそれだけ制御要
素が多くなり離着岸の制御を複雑にしている。
【0003】制御の方法としては、船体を目的位置へ移
行させる場合に、別途手段で船位測定や船から岸壁まで
の距離を測定し、測定値に基づいてプロペラ推進器や船
首スラスターあるいは船尾スラスターに適当な制御信号
を与えて船体を所定の位置に移行させている。
【0004】船を自動的に着岸させるためには、船(船
首部および船尾部)の現在位置から岸壁までの距離を、
操船機器(プロペラ推進器、船首スラスター、船尾スラ
スター)の能力に見合って、最短時間で、行きすぎもせ
ず、行き足りずもせず、目的の位置に適確に着けること
が大切である。行き過ぎは岸壁に衝突する危険があり、
行き不足は所用を果たさない。
【0005】従来、船の移動を自動的に制御するため
に、船の運動特性を求め、それに見合った制御定数を実
験的に求めて固定的に設定し、操船機器を制御してい
る。ところが、船は大きな慣性を持ちその慣性は船の積
荷の状態で変わり、また水によって受ける抵抗も積荷の
状態すなわち喫水の状態によって変わるので同一船と言
えども一定していない。
【0006】また、船の受ける力としては、船の推力機
器からだけでなく、潮流、風などの外乱の力もある。即
ち、船の運動特性は、そのときどきの船の状態によって
変わるものである。従って船のある状態のときに、制御
定数を最適に設定していたとしても、積荷などの状態が
変われば最適性を失いオーバシュートしたりクリーピン
グしたりすることになる。着岸時のオーバシュートは極
めて危険で、上述のように岸壁に衝突することが有り得
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
操船機器構成および制御論理によっては、機器構成の複
雑さからそれだけ制御要素が多くなり制御を複雑にする
ことや、船の積荷などの状態によって運動特性が異るた
めに一且制御定数を最適に設定しても、実際の使用時に
は不適切な設定になっていることが多い。このために船
の制御が目的どおりに行えず、着岸時に岸壁衝突するな
どの事故を起こす可能性がある。
【0008】本発明は上記した課題を解決するもので、
着岸・離岸時における操船制御をスムーズにかつ適確に
行わせる船舶の自動着岸・離岸方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の船舶の自動着岸・離岸方法は、1基の固定
ピッチプロペラからなるプロペラ推進器を作動させた状
態において、船尾部の前記プロペラの後方に配置した2
枚の高揚力舵の舵角を舵取機制御装置で操作し、2枚の
高揚力舵の回転位置を適宜組合せることにより船体ない
し船尾に任意方向のスラストを与え、船首部に設けた船
首スラスターにより船首に左右方向のスラストを与えて
船体運動を制御し、船首部と船尾部のそれぞれに設けた
横移動速度センサーおよび距離センサーにより船首部と
船尾部におけるそれぞれの横移動速度および岸壁からの
距離を検出し、船体の任意の位置に設けた縦移動速度セ
ンサーと方向センサーにより船体の船首尾方向の速度お
よび船体と岸壁との位置関係を検出し、前記各センサー
の検出値を入力値として演算制御装置において船首スラ
スターおよび舵取機制御装置の制御量を算出し、算出し
た制御量に基づいて船首スラスターおよび舵取機制御装
置を操作する構成としたものである。
【0010】また、演算制御装置における演算制御を容
易にするために、船体の横移動に関しては船首部および
船尾部のそれぞれに力の集中点を仮想するとともに、船
体の縦移動に関しては船体の一点に力の集中点を仮想し
て、船の運動特性を近似する集中定数的な仮想モデルを
想定し、船体の横移動に関しては船首部・船尾部ごとに
独立した運動方程式を仮定し、船体の縦移動に関して1
つの運動方程式を仮定し、前記運動方程式の係数がその
ときどきの船の状態における最適な値となるように各種
のセンサーの検出値に基づいて前記係数を算出し、算出
した係数を持つ運動方程式に基づいて船首スラスターお
よび舵取機制御装置の制御量を算出する構成としたもの
である。
【0011】
【作用】上記した構成により、制御要素が二枚の高揚力
舵と船首スラスターとなり、従来に較べて機器構成が簡
略なものとなるので制御を単純化できる。また、船の積
荷などの状態によって異なる運動特性を最適な運動方程
式として表すために、そのときどきの状態に応じて運動
方程式の係数を算出するので、二枚の高揚力舵および船
首スラスターの最適な制御量を算出することができ、最
短時間で、行きすぎもせず、行き足りずもせず、目的の
位置に適確に着けることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1〜図2において、船体1の船首部1aに
は、船首に左右方向のスラストを与える船首スラスター
2を設けている。船尾部1bには、1基の固定ピッチプ
ロペラからなるプロペラ推進器3を設けるとともに、プ
ロペラの後方に2枚の高揚力舵4a,4bを設けてい
る。高揚力舵4a,4bは固定幾何学的断面形状をな
し、各高揚力舵4a,4bを駆動するためにそれぞれ別
途に舵取機5a,5bを設けている。さらに、舵取機5
a,5bを制御するために舵取機制御装置6を設けてお
り、操船指令を与える操作器7からの指示信号に基づい
て舵取機制御装置6が舵取機5a,5bを制御して各高
揚力舵4a,4bに舵角を与えるように、操舵システム
を構成している。
【0013】この操舵システムは、プロペラ推進器3を
作動させた状態において、2枚の高揚力舵4a,4bの
回転位置を適宜組合せることにより、船体1を直前進方
向に移動させるスラスト、船体1を前進させつつ左右旋
回させるスラスト、船体1を直後進方向に移動させるス
ラスト、船体1を後進させつつ左右旋回させるスラス
ト、船体1をその場に静止させるスラスト、船尾をその
場で左右方向に移動させるスラストをそれぞれ発生させ
るもので、船体1の直前進、前進左旋回、前進右旋回、
直後進、後進左旋回、後進右旋回、その場静止および船
尾のその場での左右移動が自由に行える。
【0014】船首部1aには船首部横移動速度センサー
8aおよび船首部距離センサー9aを設けており、船尾
部1bには船尾部横移動速度センサー8bおよび船尾部
距離センサー9bを設けている。船首部横移動速度セン
サー8aおよび船尾部横移動速度センサー8bは、船首
部1aと船尾部1bにおけるそれぞれの横移動速度を検
出するものであり、船首部距離センサー9aおよび船尾
部距離センサー9bは、船首部1aと船尾部1bの岸壁
からの距離を検出する。
【0015】船体の任意の位置には縦移動速度センサー
10と方向センサー11を設けており、縦移動速度セン
サー10は船体1の船首尾方向の速度を検出し、方向セ
ンサー11は岸壁12に設けた目標物標13の方向を測
定して岸壁12と船体1との位置関係を検出する。ま
た、必要に応じて船首方向の計測装置(ジャイロコンパ
ス)を設け、岸壁までの距離センサーを船首部1aまた
は船尾部1bのどちらか一方に設けて、他方の岸壁12
までの距離を算出する構成とすることも可能である。
【0016】また、船首スラスター2および舵取機制御
装置6を操作するために演算制御装置14を設けてお
り、演算制御装置14は各センサー8a,8b,9a,
9b,10,11の検出値を入力値として船首スラスタ
ー2および舵取機制御装置6の制御量を算出する。
【0017】ところで、船は体積を持ち、従って質量は
分布し、また水、大気から受ける抵抗も分布している。
したがって、厳密にはこの分布した状態を運動特性とし
て表現するべきであるが、運動方程式の複雑化を招くこ
とになる。また、複雑な運動方程式を船のそのときどき
の状態に適合させて決定することは極めて困難であり、
着岸(離岸)制御をする目的のためには実用的でない。
【0018】このために本実施例においては、図3に示
すように、船の運動特性を近似する集中定数的な仮想モ
デルを考える。図3の(a)は、船体1の横(船幅方
向)移動に関する仮想モデルを示すものであり、船(船
体1および積荷)の質量、船体が受ける抵抗および横推
力が船首部1a・船尾部1bのそれぞれに集中している
と想定し、船首部1a・船尾部1bの運動特性を独立し
た運動方程式で表現し、船首部1a、船尾部1bの横移
動を独立に制御する。
【0019】即ち、船の横方向運動に対して船首部1a
については、仮想質量Mf,横方向仮想抵抗係数Rf,
船首部横方向に働く力Ff(船首スラスター2および潮
流、風など外乱から受ける力の合力)とし、同様に船尾
部1bについては、仮想質量Ma,横方向仮想抵抗係数
Ra,船尾部横方向に働く力Fa(推進器−舵の横方向
分力および潮流、風など外乱から受ける力の合力)とし
て運動方程式を設定する。
【0020】また、図3の(b)は、船体1の縦(船首
尾方向)移動に関する仮想モデルを示すものであり、船
(船体1および積荷)の質量、船体が受ける抵抗および
縦推力が船の1点に集中していると想定し、船の運動特
性を運動方程式で表現し、船体1の縦移動を制御する。
【0021】即ち、船の縦(船首尾)方向運動に対して
は、仮想質量M,仮想抵抗係数R,縦方向に働く力(推
進器−舵の縦方向分力および潮流、風など外乱から受け
る力の合力)をFとして運動方程式を設定する。
【0022】したがって、船首部横方向、船尾部横方向
および縦方向の運動方程式は次式で表わすことができ
る。
【0023】
【数1】
【0024】ここで、vf は船首部の横方向移動速度、
a は船尾部の横移動速度、vは船の縦方向移動速度と
し、tは時間とする。式の取扱を簡単にするために、上
式で、
【0025】
【数2】
【0026】とおくと、(1.1),(1.2),
(1.3)式はそれぞれ、
【0027】
【数3】
【0028】と書き替えられる。(2.1)式につい
て、船首スラスター2を作動させる直前(t=0)の船
首部横移動速度をvfoとし、船首スラスター2の作動に
よって力Ffiが発生し、Vfi=Ffi/Rfi(=一定)と
なるとすると、時間t=tのときの船首部横移動速度は
【0029】
【数4】
【0030】となる。同様に船尾部横移動va および縦
方向(船首尾方向)の速度vは、
【0031】
【数5】
【0032】で与えられる。以下、上記構成における作
用を説明する。船首部横移動センサー8aと船尾部横移
動速度センサー8bにより船首部1aと船尾部1bにお
けるそれぞれの横移動速度を検出する。また、船首部距
離センサー9aと船尾部距離センサー9bにより船首部
1aと船尾部1bにおけるそれぞれの岸壁12からの距
離sf ,saを検出する。さらに、縦移動速度センサー
10と方向センサー11により船体1の船首尾方向の速
度および船体1と岸壁12との位置関係を検出する。
【0033】そして、センサーの検出値を演算制御装置
14に入力し、前述の運動方程式によって船首スラスタ
ー2および舵取機制御装置6の制御量を算出し、算出し
た制御量に基づいて船首スラスター2および舵取機制御
装置6を操作する。
【0034】このとき、着岸制御の方法は次のとおりで
ある。 (1) 岸壁12にほぼ平行に停船している船体1を岸
壁12との平行関係を保って着岸させる場合(ケース
1) 一般に船首スラスター2の推力の大きさに比べて、前述
の2枚の高揚力舵4a,4bを組合せることによって得
られる船尾の横方向推力は十分大きく、かつ推力の大き
さを自由に制御することができる。
【0035】従って、船首スラスター2によって制御さ
れる船首部横移動の速さにフォローするように、船尾横
移動の速さを制御するとスムーズな制御を行うことがで
きる。このために以下の演算と制御を演算制御装置14
によって行わせる。図4に着岸の様子を示す。図4は横
移動のみを示すが、縦方向移動についても同様である。
Aは停船状態を示し、このとき(3.1)式で初速を0
とする。即ち、
【0036】
【数6】
【0037】今、船首スラスター2を接岸する方向へ推
力を発生させるものとする。また、本実施例では計算式
の簡略化のために、その推力の大きさは一定(Ffi)と
し、距離siを移動するまで持続させるものとする。
(1−A)式で抵抗係数Rf が一定であるからVf が一
定となる。その大きさは下式に示すものとなる。
【0038】
【数7】
【0039】Bの位置、即ち距離si を移動するに要す
る時間をti とすると、
【0040】
【数8】
【0041】即ち、
【0042】
【数9】
【0043】(6)式から、ニュートン法等を適用して
演算制御装置14によりtiを求める。このとき(t=
i 時点)の船首横移動速度は
【0044】
【数10】
【0045】となる。上述したように、船尾横推力の発
生能力は十分大きいのでその大きさを加減することによ
って、船首部移動と同じに追従させることができ、t=
i 時には、横移動距離はsi となるように制御する。
すなわち船体1は岸壁12と平行を保ったまま横移動を
し、si まで移動した時点の船の横移動速度は船首、船
尾ともv fiである。
【0046】次に着岸位置Cまでの残行程sd は、横移
動速度を減速させて着岸位置Cで、即ち残行程sd を行
き切ったとき丁度横移動速度が0となるように制御する
ものとする。
【0047】
【数11】
【0048】とおき、またvfo=vfiとおくと(2.
1)式から、
【0049】
【数12】
【0050】が得られる。(9)式において速度0とな
るまでの時間td は、vf =0として、
【0051】
【数13】
【0052】時間td の間に移動する距離sd は、
【0053】
【数14】
【0054】(11)式に(10)式を適用して、
【0055】
【数15】
【0056】(12)式を満足するVfdをニュートン法
等によって求め、(1−A)式に適用すると、船首スラ
スター2が発生すべき推力は、
【0057】
【数16】
【0058】即ち、位置Bから着岸するまでの間、船首
スラスター2は推力vfol を発生しつづけると着岸位置
で船首の横移動は0となるので、このとき船首スラスタ
ー2を中立にすると推力も0となり船首横移動は停止す
る。
【0059】船尾部1bは上述したように、横移動推力
は十分大きくすることができるので、船首の動きに追従
制御させることができる。即ち、船首が着岸したとき、
船尾も同時に着岸しかつ横移動速度が0となるように制
御する。このとき横推力を0となるように舵角を制御す
ることによって船尾横移動は停止する。
【0060】船体1の船首尾方向の運動は(1.3)
式,(2.3)式で表わされるので、本式により船首横
移動の制御で展開したと同様の方法によって必要な前進
又は後進推力を求め、2枚の高揚力舵4a,4bの回転
位置(舵角)の組合せを制御して推力を加減することに
よって、岸壁12の目的位置に船体1を誘導・停止させ
る。 (2) 岸壁に対し任意の角度および速度の状態から着
岸する場合(ケース2) 図5において、Aの状態からB,Cの状態を経て着岸
(Dの状態)へと導き停止させる場合について述べる。
【0061】Aの位置から着岸すべき着岸目標位置の近
傍位置Bまで操船者が操舵によって導き、船を岸壁12
の方向とほぼ平行にした状態で、本システムを作動させ
る。着岸目標位置と船体1との船首尾方向とのずれに対
しては、ケース(1)で述べたように2枚の高揚力舵4
a,4bの組合せを制御して推力を加減することによっ
て修正する。横方向移動については、船首スラスター2
の能力に応じて、着岸するまでに停止できるに十分な残
行程と速度になるように、船首スラスター2および2枚
の高揚力舵4a,4bの組合せを制御することによって
船首尾横方向速度を加減してC位置に導く。C位置から
は、ケース(1)で述べたと同様に、船首スラスター
2、高揚力舵4a,4bを制御して着岸位置で横移動速
度が0となるように制御する。以上は、着岸制御につい
て述べたが、離岸についても、全く同様な方法で制御す
ることができる。 (3)運動方程式係数の決定 上述した(1)、(2)においては、船首部、船尾部横
移動および船の縦移動に関する仮想質量、仮想抵抗、船
に働く力が既知のものとして述べたが、現実にはこれら
の値は船の状態によって変わるものである。従って船を
適確に制御するためには、これらの値を正しく同定しな
ければならない。以下にその方法を述べる。
【0062】(1.1),(1.2),(1.3)式に
(1−A)式を適用することによって得た(2.1),
(2.2),(2.3)式は、運動特性として(1.
1),(1.2),(1.3)式と同一のものを表現し
ているので、これらの式の各係数(Tf 、Ta 、T、V
f 、Va 、V)の同定を行うものとする。(2.1),
(2.2),(2.3)式は同じ形をした方程式である
ので、代表例として(2.3)式、即ちその解の(3.
3)式にもとづいて、係数T、Vを求める方法を述べ
る。
【0063】v1 ,v0 は移動速度であり、tは時間で
あるので計測可能であり、上記係数同定のためにこの計
測値を用いる。v0 は推進器推力を変更する直前(t=
0)の速度で、tは推進器推力を変更してからの経過時
間である。経過時間t=t1 ,t=t2 における速度
は、次式となる。
【0064】
【数17】
【0065】(14),(15)式より次式を得る。
【0066】
【数18】
【0067】即ち、推進器推力を変更した時点(t=
0)における速度v0 およびt=0からの経過時間t1
およびt2 における速度v1 ,v2 を計測し、(1
6),(17)式に適用し、TおよびVを求めることが
できる。
【0068】これと全く同じ方法で、船首および船尾横
移動に関する運動方程式の係数Tf,Vf ,Ta ,Va
を求めることができる。外乱となる潮流、風は常時変化
しているものであるが、ある短時間をとれば、これらは
略々一定とみなすことができる。
【0069】上述の方法で求めた、V,Vf ,Va はこ
れら外乱の影響をも織り込んだものてある。即ち外乱の
影響を含めた制御を可能とするものである。尚、遂時こ
れらの係数を求め、適当回数の平均値をとることによっ
て、精度をあげることができる。
【0070】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、制御
要素が二枚の高揚力舵と船首スラスターとなり、従来に
較べて機器構成が簡略なものとなるので制御を単純化で
き、船の積荷などの状態によって異なる運動特性を最適
な運動方程式として表すために、そのときどきの状態に
応じて運動方程式の係数を算出するので、二枚の高揚力
舵および船首スラスターの最適な制御量を算出すること
ができ、最短時間で、行きすぎもせず、行き足りずもせ
ず、目的の位置に適確に着けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における自動着岸および離岸
装置の基本構成図である。
【図2】同実施例における操船機器のブロック図であ
る。
【図3】(a),(b)はそれぞれ船の横方向運動特性
仮想モデル、縦方向運動特性仮想モデルを示す模式図で
ある。
【図4】同実施例における着岸制御のタイムチャート図
である。
【図5】同実施例における他のケースの着岸制御のタイ
ムチャート図である。
【符号の説明】
1 船体 1a 船首部 1b 船尾部 2 船首スラスター 3 プロペラ推進器 4a,4b 高揚力舵 5a,5b 舵取機 6 舵取機制御装置 7 操作器 8a 船首部横移動速度センサー 8b 船尾部横移動速度センサー 9a 船首部距離センサー 9b 船尾部距離センサー 10 縦移動速度センサー 11 方向センサー 12 岸壁 13 目標物標 14 演算制御装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1基の固定ピッチプロペラからなるプロ
    ペラ推進器を作動させた状態において、船尾部の前記プ
    ロペラの後方に配置した2枚の高揚力舵の舵角を舵取機
    制御装置で操作し、2枚の高揚力舵の回転位置を適宜組
    合せることにより船体ないし船尾に任意方向のスラスト
    を与え、船首部に設けた船首スラスターにより船首に左
    右方向のスラストを与えて船体運動を制御し、船首部と
    船尾部のそれぞれに設けた横移動速度センサーおよび距
    離センサーにより船首部と船尾部におけるそれぞれの横
    移動速度および岸壁からの距離を検出し、船体の任意の
    位置に設けた縦移動速度センサーと方向センサーにより
    船体の船首尾方向の速度および船体と岸壁との位置関係
    を検出し、前記各センサーの検出値を入力値として演算
    制御装置において船首スラスターおよび舵取機制御装置
    の制御量を算出し、算出した制御量に基づいて船首スラ
    スターおよび舵取機制御装置を操作する船舶の自動着岸
    ・離岸方法。
  2. 【請求項2】 演算制御装置における演算制御を容易に
    するために、船体の横移動に関しては船首部および船尾
    部のそれぞれに力の集中点を仮想するとともに、船体の
    縦移動に関しては船体の一点に力の集中点を仮想して、
    船の運動特性を近似する集中定数的な仮想モデルを想定
    し、船体の横移動に関しては船首部・船尾部ごとに独立
    した運動方程式を仮定し、船体の縦移動に関して1つの
    運動方程式を仮定し、前記運動方程式の係数がそのとき
    どきの船の状態における最適な値となるように各種のセ
    ンサーの検出値に基づいて前記係数を算出し、算出した
    係数を持つ運動方程式に基づいて船首スラスターおよび
    舵取機制御装置の制御量を算出することを特徴とする請
    求項1記載の船舶の自動着岸・離岸方法。
JP7603193A 1993-04-02 1993-04-02 船舶の自動着岸・離岸方法 Pending JPH06286694A (ja)

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