JP3790882B2 - 縫い目のほつれ防止装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は二重環縫いミシン又は偏平縫いミシン等、ルーパ糸と針糸とによる縫製を行うミシンに装備され、縫い終わりの縫い目に発生するほつれを防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
針糸及びルーパ糸を使用して縫製する二重環縫いミシン又は偏平縫いミシンにおいては、縫製生地の裏面において針糸6a,6bのループとルーパ糸7とが他糸ルーピングの形態をなして絡み、図15(a)に示す縫い目が形成されるが、このような縫い目は、縫い終わり部分において切断されたルーパ糸7を引っ張ることにより、該ルーパ糸7が前記針糸6a,6bの最終のループ6c,6dから抜け出し、このような抜け出しが縫い始め側に向けて進行して、図示の如く形成された縫い目が縫い終わり側からほつれるという問題がある。
【0003】
このようなほつれの発生を防止するため、従来一般的には、縫い終わり前の数針分の縫製を、縫製布上の縫い目間の距離を短くして実行するか、針糸及びルーパ糸の張力を緩めた状態で実行して、縫い終わり近くの各縫い目間において針糸及びルーパ糸が絡まり易くする第1の方法、縫い終わり前に縫製布に連なる側のルーパ糸の張力を増大させて針糸を引き締める第2の方法等が用いられてきた。
【0004】
しかしながら第1の方法においては、縫い終わり近傍の縫い目が他部と異なる形態となり、また縫い目全体に締まりがなくなる等、縫製品の見栄えの悪化を招来する上、針糸及びルーパ糸に望ましい絡まりが生じるとは限らず、確実なほつれ止め効果が得られないという問題があり、また第2の方法においては、針糸の引き締めに伴い縫い終わり近傍の縫製生地に皺が発生して見栄えが悪化する上、十分なほつれ防止効果が得られないという問題があった。
【0005】
このような事情により本願出願人は、見栄えの悪化を伴うことなく確実なほつれ止め効果が得られるほつれ防止方法及び装置を、特許公報 2879399号に提案している。これは、ルーパの進出により針糸のループに通されたルーパ糸を前記ルーパの進出端側にて保持するルーパ糸掛け(ルーパ糸掛けフック)を設け、縫い終わり直前に前記ルーパを進出状態にして縫製を一旦止めた後、前記ルーパ糸掛けフックにルーパ糸を捉え、この状態で一針縫製し、針糸及びルーパ糸を切断するようにしたものである。
【0006】
この方法によれば、図15(b)に示す如く、前記ルーパ糸掛けフックに捉えられたルーパ糸7が、縫製を止める前に形成された針糸6a,6bの最終ループ6c,6dに他糸レーシングの形態をなして残り、このルーパ糸7は、その端部を引っ張ったとしても前記最終ループ6c,6dから抜け出すことがなく、縫い目のほつれを確実に防止することができる。また、このようにして得られる縫い終わり部分の縫い目は、図示の如く、他の部分と見た目に何らの変わりもなく、見栄えが悪くなることもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように前記特許公報 2879399号に提案されたほつれ防止方法及び装置は、二重環縫いミシン、偏平縫いミシン等、ルーパ糸と針糸とを用いて縫製を行うミシンにおいて、縫い終わり部分の縫い目に発生するほつれを確実に防止し得る優れたものであり、全く同様のほつれ防止方法及び装置は、特開平9-225163号、特開平11-57253号、特開平11-57268号、特開平11-70281号の各公報にも開示されている。
【0008】
さて、以上の如きほつれ防止方法を実施するための装置においては、ルーパ糸を捉えるルーパ糸掛けフックが、針落ち位置の右側から左側に向けて進出するルーパの進出端側、即ち、針落ち位置の左後側に配設してあり、該位置での進退動作又は鉛直軸回りの揺動動作を行って、ルーパの後側にてルーパ糸を捉える構成としてある。
【0009】
ところが、前記ルーパ糸掛けフックをこれの進退動作又は揺動動作のための駆動機構を含めて配設するには、針落ち位置の左側、即ち、ミシンベッドの先端側に大なるスペースが必要であり、特に、筒状縫製物を取り扱うべく細径筒形のベッドを備えるミシンにおいては、ルーパ糸掛けフックの配設スペースを確保するために前記ベッドの先端部が長大化し、縫製作業を妨げる虞れがあった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ルーパ糸掛けフック及びこれの駆動機構を、ルーパ糸及び針糸の切断機構を含めて針落ち位置の右側に配することにより、ミシンベッドの先端側に多大の配設スペースを要することなく前記特許公報 2879399号に開示されたほつれ防止方法を実現し、先端側の配設スペースが限定される筒形ベッドを備えるミシンにおいても適用可能な縫い目のほつれ防止装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る縫い目のほつれ防止装置は、針落ち位置に形成される針糸のループに、該針落ち位置の右側から左側に向けて進出するルーパを通し、該ルーパが保持するルーパ糸を前記針糸に絡ませて縫製を行うミシンに装備してあり、前記針落ち位置の右後側に進退可能に配され、その進出時に、前記ルーパの進出端近傍にて前記ルーパ糸を捉えるルーパ糸掛けフックと、前記針落ち位置の右側に進退動作可能に配され、その進出時に前記ルーパが通された前記針糸のループ内に挿入されて該針糸を捉える針糸切りフックと、該針糸切りフックの退入時にこれに摺接し、前記進出時に捉えられた針糸を切断する針糸メスと、前記針落ち位置の右側に進退動作可能に配され、その進出時に前記ルーパ糸掛けフックに捉えられたルーパ糸を捉えるルーパ糸切りフックと、該ルーパ糸切りフックの退入時にこれに摺接し、前記進出時に捉えられたルーパ糸を切断するルーパ糸メスと、縫い終わり直前に前記ルーパを進出状態にして縫製を一旦止めた後、前記ルーパ糸掛けフックを進退動作させて前記ルーパ糸を捉え、この状態で一針分の縫製を行わせた後、前記針糸切りフック及びルーパ糸切りフックを進退動作させて前記針糸及びルーパ糸を捉えて切断するほつれ止め動作を行わせる制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明においては、針落ち位置の右後側に配したルーパ糸掛けフックを左前方に進出動作させ、進出端にあるルーパの背面側にてルーパ糸を捉え、この状態で一針の縫製を行わせた後、針落ち位置の右側に配した針糸切りフック及びルーパ糸切りフックを進出動作させ、針糸切りフックをルーパが通された針糸ループ内に挿入して針糸を捉え、またルーパ糸切りフックによりルーパ糸掛けフックに保持されたルーパ糸を捉え、両フックの退入動作時に、これらと摺接する針糸メス及びルーパ糸メスに摺接させて切断してほつれ止め状態を実現する。
【0013】
また第2発明に係る縫い目のほつれ防止装置は、前記針糸切りフックの先端に連設され、該針糸切りフックの進出時に前記ルーパの進出端近傍のルーパ糸を捉え、前記進出の後の退入時に、捉えられたルーパ糸を前記針糸の最終のループから抜き出し、前記針糸メスとの間に保持するルーパ糸保持フックを備えることを特徴とする。
【0014】
この発明においては、針糸切りフックが進出し、針糸ループ内に挿入されて針糸を捉えるとき、この針糸切りフックの先端に連設されたルーパ糸保持フックがルーパの先端近傍、即ち、ルーパ糸切りフックにより切断位置よりもルーパ側にてルーパ糸を捉えて保持し、次回の縫製開始時におけるルーパ糸の始末を不要とする。
【0015】
また第3発明に係る縫い目のほつれ防止装置は、前記ルーパ糸保持フックに捉えたルーパ糸の長さを減じるべく、前記ルーパへの供給前のルーパ糸を引き戻す糸戻し手段を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、ルーパへの供給前のルーパ糸を引き戻し、ルーパ糸保持フックに保持されたルーパ糸の長さを減じて、次回の縫製に際し縫い始め部に長寸のルーパ糸が付随することを防止し、該ルーパ糸の始末を不要とする。
【0017】
更に第4発明に係る縫い目のほつれ防止装置は、前記糸戻し手段が、前記針糸切りフックの進退動作経路を横切るように前記ルーパへの供給前のルーパ糸を保持するルーパ糸道と、前記針糸切りフック又はその取付け台の一部に設けてあり、該針糸切りフックの退入動作時に前記ルーパ糸道に保持されたルーパ糸を引っ掛ける糸掛け部とを備えることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、ルーパ糸保持フックを一体に備える針糸切りフック又はこの針糸切りフックの取付け台の一部に糸掛け部を設け、針糸切断のための針糸切りフックの退入動作を利用して、この動作の間に退入経路を横切るようにルーパ糸道に保持されたルーパ糸を前記糸掛け部に引っ掛けて引き戻し、前記ルーパ糸保持フックに保持されたルーパ糸の長さを減じる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る縫い目のほつれ防止装置(以下本発明装置という)の構成を略示する平面図である。
【0020】
本発明装置は、図中にA,Aとして示す各別の針落ち位置に夫々降下する2本の針2,2(図4〜図7参照)と、これらの針落ち位置をその中途に含んで進退動作するルーパ1とにより、図中に白抜矢符にて示す如く、前後方向に送りを加えられる縫製生地(図示せず)を縫製するミシンに装備されている。
【0021】
前記ルーパ1は、図示しないミシン主軸からの伝動により、図中に実線により示す如く、その先端が針落ち位置A,Aを超えて進出する左進位置と、同じく破線により示す如く、その先端が針落ち位置A,Aの手前に退入する右退位置との間にて進退動作する構成としてある。
【0022】
以上の如きルーパ1の上部には、該ルーパ1と略同方向に進退動作可能に針糸切りフック3が配され、該針糸切りフック3の後側には、ルーパ糸切りフック4が、同じく前記ルーパ1と略同方向に進退動作可能に配してあり、該ルーパ糸切りフック4の後方には、斜め前方にその先端を向けたルーパ糸掛けフック5が、その長手方向への進退動作可能に配してある。
【0023】
針糸切りフック3の中途部には、針糸引っ掛け用の鉤形の針糸爪3aが、斜め後方に向けて突設され、この突設位置の先端側には鉤形のルーパ糸爪(ルーパ糸保持フック)3bが、同様に斜め後方に向けて突設されている。またルーパ糸切りフック4の先端部及びルーパ糸掛けフック5の先端部には、鉤形をなす各1つのルーパ糸爪4a,5aが斜め後方に向けて夫々突設されている。
【0024】
また、前記針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4には、夫々の基部に上から摺接し、その先端に刃を有する針糸メス30とルーパ糸メス40とが夫々付設してある。針糸切りフック3は、針糸メス30に対し、図中に破線により示す如く、中途の針糸爪3aが針糸メス30の下部に重なり、先端のルーパ糸爪3bが針糸メス30先端の刃部からやや突出する退入位置から、図中に実線により示す如く、前記針糸爪3a及びルーパ糸爪3bが針糸メス30の先端の刃部から適長突出した進出位置までの間にて進退動作せしめられ、針糸切りフック3の進出端は、前記左進位置にあるルーパ1の先端近傍に達し、後述の如く、前記針糸爪3aが針落ち位置A,Aに形成される針糸のループを捉え、前記ルーパ糸爪3bがルーパ1の背面側にてルーパ糸を捉える構成としてある。
【0025】
またルーパ糸切りフック4は、前記ルーパ糸メス40に対し、図中に破線により示す如く、先端のルーパ糸爪4aがルーパ糸メス40の下部に重なる退入位置から、図中に実線により示す如く、前記ルーパ糸爪4aがルーパメス40の先端の刃部から所定長突出した進出位置までの間にて進退動作せしめられるようにしてあり、ルーパ糸切りフック4の進出端は、前記左進位置にあるルーパ1の後側に沿って該ルーパ1の先端近傍に達し、後述の如く、前記ルーパ糸掛けフック5に捉えられたルーパ糸を前記ルーパ糸爪4aにより捉える構成としてある。
【0026】
更にルーパ糸掛けフック5は、図中に実線により示す如く、針落ち位置A,Aの右後方に離反した退入位置から、同じく破線により示す如く、針落ち位置A,Aの後側を斜めに交叉して左前方に進出した進出位置に至るまでの間にて進退動作するよう構成してあり、ルーパ糸掛けフック5先端のルーパ糸爪5aは、前記進出位置において左進位置にあるルーパ1の背面に近接し、該位置、即ち、ルーパ1の進出端側にて後述の如くルーパ糸7を捉える構成としてある。
【0027】
本発明装置においては、以上の如く構成された針糸切りフック3、ルーパ糸切りフック4及びルーパ糸掛けフック5を後述の如く進退動作させ、前記ルーパ1及び針2,2の動作により図示しない縫製生地に形成される縫い目の縫い終わり部におけるほつれを防止する作用を行わせるが、前記針糸切りフック3、ルーパ糸切りフック4及びルーパ糸掛けフック5のいずれもが、図示の如く、針落ち位置A,Aの右側に配設されており、針落ち位置A,Aの左側、即ち、ミシンベッドB(図12参照)の先端側に、前記各フック3,4,5、及びこれらの駆動機構(エアシリンダ等)の配設スペースを確保する必要がなく、細径の筒形ベッドを備えるミシンにおいても適用することが可能である。
【0028】
図2は、以上の如き本発明装置を備えたミシンの制御系のブロック図である。マイクロプロセッサを用いてなる制御部8には、ペダルスイッチ21によって生成される踏み込み信号 21a及び踏み返し信号 21b、針が上死点近傍にあるときに得られる針位置信号22、並びに、後述の如く発せられる糸切り信号23及び針糸払い信号24が夫々入力されている。
【0029】
一方前記制御部8の出力は、本発明装置を構成する針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4を進退動作させるための糸切りシリンダ31と、ルーパ糸掛けフック5を進退動作させるためのルーパ糸保持シリンダ51とに夫々与えられ、針糸切りフック3、ルーパ糸切りフック4及びルーパ糸掛けフック5は、制御部8から各シリンダ31,51に与えられる動作指令に従って後述の如く進退動作するように構成されている。なお、図2においては、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4の進退動作を単一のシリンダ(糸切りシリンダ31)により一括して行わせる構成としてあるが、両フック3,4の進退動作を夫々のシリンダにより各別に行わせるようにしてもよい。
【0030】
更に制御部8の出力は、ミシン主軸の駆動源であるミシンモータ26、布押え用の押え金を昇降する布押えシリンダ27、及び後述の如く切断される針糸を跳ね上げるエアワイパ28に夫々与えられており、ミシンモータ26は、制御部8からの動作指令に従って駆動又は停止され、また布押えシリンダ27及びエアワイパ28は、制御部8からの動作指令に従って作動せしめられる構成としてある。
【0031】
図3は、図示しない縫製生地の縫い終わり部においてほつれの発生を防止すべく行われる制御部8の動作内容を示すタイムチャート、図4〜図7は、本発明装置の動作説明図であり、図3のタイムチャートに従う制御部8の動作の間の針糸切りフック3、ルーパ糸切りフック4及びルーパ糸掛けフック5の動作状態を示してある。
【0032】
制御部8は、図示しない縫製生地に対して所要の位置まで縫製が終了し、図3のS1 時点において、ミシン駆動のためのペダルが踏み込み状態から中立状態に戻されたとき、即ち、入力側に前記踏み込み信号 21a及び踏み返し信号 21bのいずれもが与えられない状態となったとき、入力側に与えられる針位置信号22を参照して出力側のミシンモータ26に停止指令を発し、針2,2が上死点近傍にあってルーパ1が左進した状態でミシンを一時停止させる。
【0033】
その後制御部8は、前記ペダルが踏み返し操作されるまで待機し、図3のS2 時点において踏み返し操作がなされ、入力側に踏み返し信号 21bが与えられたことをトリガとしてほつれ防止のための動作を開始し、まず、出力側のルーパ糸保持シリンダ51に動作指令を発して、前記ルーパ糸掛けフック5に所定ストロークの進退動作を行わせる。
【0034】
これによりルーパ糸掛けフック5は、前述の如く、進出時にルーパ1の背面に近接してルーパ糸7を捉え、捉えられたルーパ糸7は、続いて行われるルーパ糸掛けフック5の退入により、前述した退入位置にまで引き出されて保持される。図4には、進出したルーパ糸掛けフック5先端のルーパ糸爪5aによりルーパ糸7が捉えられた状態が示されている。
【0035】
以上の如くルーパ糸掛けフック5を進退動作させた後、前記制御部8は、図3のS3 時点において前記針位置信号22を参照しつつ出力側のミシンモータ26に動作指令を発し、図示しない縫製布を一針のみ縫製して、針2,2が上死点近傍にあり、ルーパ1が左進した状態でミシンを再停止させる。このとき、ミシンの最初の停止前に形成された針糸6a,6bの最終のループ6c,6dに挿通されたルーパ糸7が前記ルーパ糸掛けフック5に保持されたまま前記一針の縫製が行われることとなり、前記針糸6a,6b及びルーパ糸7は、図5に示す状態となる。
【0036】
次いで制御部8は、前記糸切り信号23が与えられるまで待機し、図3のS4 時点において糸切り信号23が与えられると、出力側の糸切りシリンダ31に動作指令を発し、これに所定ストロークの進退動作を行わせる。この進退動作により、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4は、前述の如く設定された夫々の進出位置に達し、その後、退入位置に戻る。
【0037】
図6は、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4が夫々の進出位置に達した状態を示している。進出した針糸切りフック3は、図示の如く、ルーパ1の上部に沿って前記一針の縫製により形成された針糸6a,6bのループ内に挿入され、中途部に突設された針糸爪3aが左側の針糸6aに対面し、また先端部に突設されたルーパ糸爪3bがルーパ1の先端部背面に斜め後方に延びるルーパ糸7に対面した状態となり、その後の針糸切りフック3の退入動作により、針糸6a,6bは針糸爪3aにより一括して捉えられ、またルーパ糸7は、前記ルーパ1の背面に近接した位置においてルーパ糸爪3bに捉えられる。
【0038】
またルーパ糸切りフック4は、図示の如く、前記一針の縫製により形成された針糸6a,6bのループと前記最終のループ6c,6dとの間に前記針糸切りフック3と略平行をなして進出し、このとき、先端部に突設されたルーパ糸爪4aが前記ルーパ糸掛けフック5に捉えられたルーパ糸7に対面した状態となり、その後のルーパ糸切りフック4の退入動作により、ルーパ糸7は、前記ルーパ糸爪3bによる捕捉位置よりもルーパ7から離れた側、即ち、縫製生地に近い側において前記ルーパ糸爪4aに捉えられる。
【0039】
以上の如く針糸切りフック3により捉えられた針糸6a,6b、並びに、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4により捉えられたルーパ糸7は、夫々のフック3,4の退入位置にまで引き出される。このとき針糸6a,6bは、針糸爪3aによる捕捉位置にて針糸メス30に摺接せしめられて切断され、またルーパ糸7は、ルーパ糸4aによる捕捉位置にてルーパ糸メス40に摺接せしめられて切断されると共に、前記退入位置において針糸メス30先端の刃部から突出した状態に止まるルーパ糸爪3bにより、前記切断位置よりもルーパ1側にて保持される。
【0040】
図7には、このときの状態が示されており、前述の如く切断されたルーパ糸7は、ミシンの最初の停止前に形成された針糸6a,6bの最終ループ6c,6d内に他糸レーシングの形態をなして残り、前記図15(b)に示す如き縫い終わりの縫い目が形成される。このように最終ループ6c,6dに挿通されたルーパ糸7は、その端部を引っ張ったとしても抜け出すことがなく、縫い目のほつれを確実に防止することができ、またこのように得られる縫い終わり部の縫い目は、他の部分と見た目に何らの変わりもなく、見栄えが悪くなることもない。
【0041】
このように切断動作を終えた後、制御部8は、前記針糸払い信号24が与えられるまで待機し、図3のS5 時点において針糸払い信号24が与えられると、出力側のエアワイパ28に動作指令を発し、該エアワイパ28を作動させて、針2,2側に残された針糸6a,6bをミシンベッド上に跳ね上げ、ほつれ防止のための一連の動作を終える。
【0042】
その後制御部8は、前記ペダルが再度踏み返し操作されるまで待機し、図3のS6 時点において踏み返し操作がなされ、入力側に踏み返し信号 21bが与えられたとき、出力側の布押えシリンダ27に操作指令を発し、該布押えシリンダ27を作動させて、布押え用の押え金を上昇させる。これにより縫製布をミシンから取り外し、また新たな縫製布をセットすることが可能となり、前記取り外しに伴って縫製布側に連続するルーパ糸7は、ルーパ糸掛けフック5から抜き出され、図7及び図15(b)に示す状態で縫製布側に残される。
【0043】
このときルーパ1側に残されたルーパ糸7は、針糸切りフック3先端のルーパ糸爪(ルーパ糸保持フック)3bによりミシンベッド下にて保持されており、また針2,2側に残された針糸6a,6bは、ミシンベッド上に跳ね上げられた状態にある。従って、これらの針糸6a,6b及びルーパ糸7に対して何らの始末を要することなく次回の縫製を開始することが可能である。
【0044】
なお、以上の実施の形態においては、縫い終わり部における縫い目のほつれを防止するという主たる目的を達成することは可能であるが、前述の如く切断されたルーパ糸7は、図7に示す如く、針糸切りフック3先端のルーパ糸爪3bから長く垂れ下がった状態で残り、このルーパ糸7が、次回の縫製時の縫い始め部分に付随して見栄えが悪化するという不具合がある。
【0045】
図8〜図11は、このような不具合の解消を図った実施の形態を示す図であり、図8は、この実施の形態の装置を備えたミシンの制御系のブロック図、図9は、制御部の動作内容を示すタイムチャート、図10及び図11は、その動作説明図である。
【0046】
図8において、マイクロプロセッサを用いてなる制御部8には、図2に示す制御部8と同様に、ペダルスイッチ21によって生成される踏み込み信号 21a及び踏み返し信号 21b、針が上死点近傍にあるときに得られる針位置信号22、並びに、前記糸切り信号23及び針糸払い信号24が夫々入力されており、これらに加えて、糸戻しスイッチによって生成されるルーパ糸戻し信号25が入力されている。
【0047】
一方制御部8の出力は、図2に示す制御部8と同様に、糸切りシリンダ31、ルーパ糸保持シリンダ51、ミシンモータ26、布押えシリンダ27及びエアワイパ28に夫々与えられると共に、後述の如く構成されたルーパ糸戻し器9の動作用の糸戻しシリンダ90に与えられており、該糸戻しシリンダ90は、制御部8からの動作指令に従って作動するように構成されている。
【0048】
以上の如く構成された制御部8は、図示しない縫製生地に対して所要の位置まで縫製が終了し、図9のS1 時点において、ミシン駆動のためのペダルが踏み込み状態から中立状態に戻されたとき、入力側に与えられる針位置信号22を参照して出力側のミシンモータ26に停止指令を発し、針2,2が上死点近傍にあってルーパ1が左進した状態でミシンを一時停止させる。
【0049】
次いで制御部8は、図9のS2 時点において、前記ペダルが踏み返し操作されたことをトリガとしてほつれ防止のための動作を開始するが、この動作は、S2 時点でのルーパ糸7の保持(糸掛け)から、S3 時点での一針分のミシンの駆動を経て、S4 時点での糸切りまでは、前記図2に示す制御部8におけると全く同様に行われる。
【0050】
その後制御部8は、図9のS5 時点において、針糸払い動作と共に、出力側の糸戻しシリンダ90に動作指令を発し、該糸戻しシリンダ90を作動させて、以下の如き糸戻し動作を行う。なお、図9のタイムチャートにおいては、前述した針糸払いと同時に糸戻し動作を行わせる構成としてあるが、両動作を別個に行わせることも可能である。
【0051】
前記糸戻しシリンダ90を駆動源とするルーパ糸戻し器9は、図10及び図11に示す如く、コの字形の2辺の夫々にルーパ糸7の挿通孔を夫々有し、前記ルーパ1へのルーパ糸7の供給経路の中途に配された固定糸通し91と、ルーパ糸7の挿通孔を有し、前記固定糸通し91の2辺間にルーパ糸7と交叉する方向に移動可能に配された可動糸通し92とを備え、該可動糸通し92を前記糸戻しシリンダ90の出力ロッド93に取付け、糸戻しシリンダ90の作動により可動糸通し92を移動させ、固定糸通し91の2辺間にてルーパ糸7を押圧し、該ルーパ糸7を前記ルーパ1から引き戻す構成としてある。
【0052】
このような糸戻し動作は、前述の如く、ルーパ糸7を保持した状態でミシンを一針分駆動し、針糸6a,6b及びルーパ糸7を切断した後、図10に示す如く切断されたルーパ糸7が針糸切りフック3先端のルーパ糸爪3bに保持された状態で行われるから、可動糸通し92の動作による引き戻し力は、ルーパ1及びルーパ糸爪3bに保持されたルーパ糸7に伝わる。この結果、図10に示す如く、前記切断の後にルーパ糸爪3bから垂れ下がった状態で保持されているルーパ糸7が引き戻され、図11に示す如く、ルーパ糸爪3bによるルーパ糸7の保持長さが短くなり、次回の縫製時の縫い始め部分に長寸のルーパ糸7が付随して、見栄えの悪化を招来する虞れがなくなる。
【0053】
その後、図9のS6 時点において前記ペダルが再度踏み返し操作されると、前記制御部8は、踏み返し信号 21bの入力に応じて出力側の布押えシリンダ27に操作指令を発し、該布押えシリンダ27を作動させて、布押え用の押え金を上昇させる。これにより縫製布をミシンから取り外し、また新たな縫製布をセットすることが可能となる。
【0054】
ルーパ糸7を引き戻す糸戻し手段は、図10及び図11に示すルーパ糸戻し器9に限らず適宜の構成とすることができる。図12及び図13は、糸戻し手段の他の実施の形態を示す図であり、本図においては、針糸6a,6bの切断のために前述した如くに生じる針糸切りフック3の退入動作を利用してルーパ糸7の引き戻しを行わせるようにしている。
【0055】
図12及び図13には、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4の進退動作機構の要部の構成が併せて示されている。図中Bはミシンベッドであり、該ミシンベッドBの先端側上部には針板10が架設され、該針板10の略中央部に前記針2,2の夫々に対応する針落ち位置A,Aが設定されている。ミシンベッドBの基端側には、その上面と平行をなして支持板11が固定されており、該支持板11の上部には、細幅の板状をなすフック台12及びメス台13が上下に重ねた状態で配してある。
【0056】
ミシンベッドBの先端側に延びるフック台12の先端部には、前記針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4が一体に固定されており、同側に延びるメス台13の延設端には、前記針糸メス30及びルーパ糸メス40が、前述の如く、針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4の夫々に対し、上側から摺接するように取り付けてある。
【0057】
針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4の取付け台となる前記フック台12の基部には、一対のガイド孔14,15が長手方向に並設され、これらの間に後側に開口を有してU字形の係合孔16が形成されており、この係合孔16には、糸切りレバー17の一端部が係合させてある。糸切りレバー17は、支持板11に打設された枢支ピン 17aによりその中途を枢支し後側に向けて延長され、この延長端を糸切りシリンダ31(図2及び図8参照)に連結して、該糸切りシリンダ31の伸縮に応じて前記支持板11の面内にて揺動するようになしてある。
【0058】
またフック台12に形成されたガイド孔14,15には、針糸メス30及びルーパ糸メス40の取付け台となる前記メス台13に打設された各別のガイドピン 14a,15aが挿通され、これらのガイドピン 14a,15aは、各別のガイドアーム18,19の一端部に連結されており、前方に延長された前記ガイドアーム18,19の他端部は、各別の枢支ピン 18a,19aにより支持板11の前部に枢支されている。また前記メス台13には、支持板11の前部に取付けられたつる巻きばね20が弾接せしめられ、該つる巻きばね20のばね力により先端側(図の左側)に向けて付勢されており、後縁の一部に突設されたストッパ片 13aをフック台12の後縁の一部に突設されたストッパ片 12aに押し付けた状態で一体化されている。更に前記メス台13の前縁の一部には、前記つる巻きばね20のばね受けを兼ねるストッパ片 13bが突設されており、メス台13の左方向への移動は、前記ストッパ片 13bが支持板11の該当位置に取付けたストッパ片 11bに当接する位置にて拘束されるようになしてある。
【0059】
図12は、糸切りレバー17の先端が右方に振られた状態が示されている。このときフック台12は、前記係合孔16への作用力により基端側に向けて押圧されて図示の位置にあり、前記ガイドピン 14a,15aは、各別のガイド孔14,15の先端側に押し付けられた状態にある。この状態において、先端側のガイドピン 14aに連結されたガイドアーム18は、前後方向に略平行な姿勢となるのに対し、基端側のガイドピン 15aに連結されたガイドアーム19は、前後方向に対し連結端を右側に傾けた姿勢となるようにしてあり、フック台12及びメス台13は、ガイドアーム18,19の前後長の相違により基端側を前方に傾けた状態となり、フック台12の先端の針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4、並びにメス台13の先端の針糸メス30及びルーパ糸メス40は、針落ち位置A,Aの右後方の待機位置にある。
【0060】
図13は、図12の状態から糸切りレバー17が時計回りに揺動した状態が示されている。このときフック台12は、前記係合孔16への作用力により先端側に向けて押圧されて図示の位置に移動する一方、メス台13は、つる巻きばね20のばね力により押圧されて追随移動する。このとき前記ガイドピン 14a,15aに連結されたガイドアーム18,19は、各別の枢支ピン 18a,19aを枢軸として反時計回りに揺動し、図示の如く、前後方向に対して互いに逆向きに略同角度に傾倒した状態となり、これらの前後長が略等しくなる結果、フック台12及びメス台13の移動は、これらの先端部の前方への振れを伴って生じ、フック台12先端の針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4は、メス台13先端の針糸メス30及びルーパ糸メス40と共に針落ち位置A,Aの右側に正対する。
【0061】
またこのとき、メス台13の前縁に突設されたストッパ片 13bが、支持板11に取付けたストッパ片 11bに当接し、該メス台13は、更なる左方への移動が拘束された状態となる。糸切りレバー17は、この状態から更に揺動し、この揺動により左方に押されるフック台12は、ガイドピン 14a,15aに係合するガイド孔14,15の案内作用により左方に移動し、該フック台12の先端に取付けた針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4が、図13中に2点鎖線により示す如く針糸メス30及びルーパ糸メス40の先端から突出し、針落ち位置A,Aを超えて進出して前記図6に示す状態となり、この後に生じる糸切りレバー17の逆向きの揺動により退入動作し、このとき捕捉した針糸6a,6b及びルーパ糸7が、図7に示す如く、針糸メス30及びルーパ糸メス40との間にて切断される。
【0062】
糸切りレバー17の逆向きの揺動は、図12に示す位置まで連続して行われ、前記切断を終えた針糸切りフック3及びルーパ糸切りフック4は、針糸メス30及びルーパ糸メス40と共に針落ち位置A,Aの右後方の待機位置に移動して次なる動作時まで待機する。なおこのとき、針糸切りフック3の先端のルーパ糸爪3bに保持されたルーパ糸7は、以下の如く構成された糸戻し手段の動作により、針糸切りフック3の進退動作を利用して引き戻されて、図11に示す如く、保持位置からわずかに突出した状態で保持されるようにしてある。
【0063】
前記糸戻し手段は、針糸切りフック3の取付け位置近傍に位置してメス台12の前縁から突設された糸掛け突起(糸掛け部)1aと、該針糸切りフック3の移動経路の上部に位置するように支持板11の左側前部に取付けられたルーパ糸道1bと、該ルーパ糸道1bの下方に位置してミシンベッドBの内部に設けられたルーパ糸道1c(図14参照)とを備えて構成されている。
【0064】
図12及び図13に示す如く糸掛け突起1aは、前記メス台12の前縁に対し、左側に緩やかな傾斜を有して連なり、右側に急な傾斜を有して連なる平板状の突起であり、前述の如く針糸切りフック3が進退動作するとき、図12に示す位置と、図13中に2点鎖線に示す位置との間にて移動するようにしてある。またルーパ糸道1bは、その先端に3か所の糸孔が形成された棒状の部材であり、これらの糸孔が前記糸掛け突起1aの移動経路上に位置するように、支持板11の左側前部に左右方向への位置調整可能に取付けられている。
【0065】
図14は、図12及び図13に示す糸戻し手段の動作説明図であり、糸掛け突起1a及びルーパ糸道1bの近傍を前方から見た斜視図として示してある。ルーパ糸道1bの下方には、前述の如くルーパ糸道1cが設けてあり、ルーパ糸7は、図14(a)に示す如く、上部のルーパ糸道1bの糸孔に挿通されて、糸掛け突起1aの移動経路を横切って下方に導かれ、下部のルーパ糸道1cの糸孔に挿通されて左方に導かれ、同側に位置する図示しないルーパにセットされており、この状態で縫製が行われる。このとき糸掛け突起1aは、ルーパ糸道1bの右方に離反した位置にあり、ルーパ糸道1c間のルーパ糸7に干渉することなく対向した状態にある。
【0066】
このような縫製の終了に際し、前述したほつれ防止動作が行われるが、このとき針糸切りフック3は、前述の如く、左方に進出して針糸6a,6b及びルーパ糸7を捉え、次いで右方に退入して針糸6a,6bを切断すると共にルーパ糸7を保持する動作を行う。図14(b)は、針糸切りフック3が左方に進出した状態を示しており、このとき前記糸掛け突起1aは、図示の如くルーパ糸道1b,1cよりも左に位置する。
【0067】
即ち糸掛け突起1aは、前述したほつれ防止動作が行われるとき、まず、針糸切りフック3の左進に伴って、図14(a)に示す位置から図14(b)に示す位置に移動し、この間、ルーパ糸道1b,1c間を通過し、これらの間に張架されたルーパ糸7に当たるが、このとき当接する糸掛け突起1aの左縁は、前述の如く緩やかな傾斜を有することから、前記ルーパ糸7は前記傾斜に沿って滑り、糸掛け突起1aを乗り越えて右縁の右側に落ち込み、図14(b)に示す状態となる。
【0068】
次いで糸掛け突起1aは、針糸切りフック3の右退に伴って図14(b)に示す位置から右方に移動し、このときルーパ糸7は、急な傾斜を有する糸掛け突起1aの右縁に捉えられ、糸掛け突起1aの移動に伴って右方に引かれ、図14(c)に示す状態となる。このときルーパ糸7は、針糸切りフック3と共に生じるルーパ糸切りフック4の動作によりルーパへの供給側において切断されており、糸掛け突起1aによるルーパ糸7の引き戻しは、図中に矢符により示す如く、ルーパ糸道1cからルーパに連なる側において生じる。
【0069】
この結果、図10に示す如く、ルーパ糸切りフック4による切断の後にルーパ糸爪3bから垂れ下がった状態で保持されているルーパ糸7が引き戻され、図11に示す如く、ルーパ糸爪3bによるルーパ糸7の保持長さが短くなり、次回の縫製時の縫い始め部分に長寸のルーパ糸7が付随して、見栄えの悪化を招来する虞れがなくなる。
【0070】
以上の如く構成された糸戻し手段においては、切断されたルーパ糸7の引き戻しが針糸切りフック3の進退動作を利用して行われるから、専用の糸戻し手段が不要となる。またルーパ糸7の戻し量は、上部のルーパ糸道1bの糸孔の変更、該ルーパ糸道1bの取付け位置の変更により自在に調整することが可能である。
【0071】
なお以上の実施の形態においては、糸掛け部としての糸掛け突起1aが、針糸切りフック3の取付け台としてのフック台12の前縁に設けてあるが、この糸掛け部は、針糸切りフック3又はフック台12の一部に適宜に設けることができ、また糸掛け部の形状は、図示の形状に限らず適宜の形状とすることが可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明装置においては、ほつれ止めを実現すべく縫い終わり直前にルーパ糸を一旦保持するルーパ糸掛けフックを、針糸切りフック及びルーパ糸切りフックと共に針落ち位置の右側に配したから、これらのフック及びこれらの駆動機構を針落ち位置の右側にまとめ、ミシンベッドの先端側に多大の配設スペースを要することなくほつれ防止を実現することができ、先端側の配設スペースが限定される筒形ベッドを備えるミシン等、ミシンの種類の如何に拘わらず適用が可能となり、簡単な操作でほつれを防止でき、また縫製布に皺を生ずることがなく、更に縫い目の異常による見栄えの悪さも生じない。
【0073】
また、針糸切りフックの先端にルーパ糸保持フックを連設したから、切断されたルーパ糸を確実に保持することができ、次回の縫製開始時におけるルーパ糸の始末が不要となる。
【0074】
また、ルーパへの供給前のルーパ糸を引き戻す糸戻し手段を備え、ルーパ糸保持フックに保持されたルーパ糸の長さを減じる構成としたから、次回の縫製に際して縫い始め部に長寸のルーパ糸が付随して見栄えの悪化を招来する虞れがなくなる。
【0075】
更に、針糸切りフックの進退動作経路を横切るようにルーパへの供給前のルーパ糸を保持するルーパ糸道と、針糸切りフックの一部に突設された糸掛け部とを備え、針糸切りフックの進退動作を利用して糸戻し手段を構成したから、ルーパ糸保持フックに保持されたルーパ糸の長さを専用の装置を用いることなく減じることができ、次回の縫い始め部に長寸のルーパ糸が付随し、見栄えの悪化を防止することを簡素な構成により実現することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の構成を略示する平面図である。
【図2】本発明装置を備えたミシンの制御系のブロック図である。
【図3】制御部の動作内容を示すタイムチャートである。
【図4】本発明装置の動作説明図である。
【図5】本発明装置の動作状態を示す斜視図である。
【図6】本発明装置の動作状態を示す斜視図である。
【図7】本発明装置の動作状態を示す斜視図である。
【図8】本発明装置を備えたミシンの制御系の他の実施の形態を示すブロック図である。
【図9】図8に示す制御部の動作内容を示すタイムチャートである。
【図10】図8に示す装置の動作説明図である。
【図11】図8に示す装置の動作説明図である。
【図12】糸戻し手段の他の実施の形態を示す図である。
【図13】糸戻し手段の他の実施の形態を示す図である。
【図14】図12及び図13に示す糸戻し手段の動作説明図である。
【図15】縫い終わり部分の縫い目を縫製布の裏面から見た図である。
【符号の説明】
1 ルーパ
1a 糸掛けフック(糸掛け部)
1b ルーパ糸道
1c ルーパ糸道
2 針
3 針糸切りフック
4 ルーパ糸切りフック
5 ルーパ糸掛けフック
6a,6b 針糸
7 ルーパ糸
8 制御部
9 ルーパ糸戻し器
12 フック台
13 メス台
30 針糸メス
40 ルーパ糸メス
Claims (4)
- 針落ち位置に形成される針糸のループに、該針落ち位置の右側から左側に向けて進出するルーパを通し、該ルーパが保持するルーパ糸を前記針糸に絡ませて縫製を行うミシンに装備してあり、
前記針落ち位置の右後側に進退可能に配され、その進出時に、前記ルーパの進出端近傍にて前記ルーパ糸を捉えるルーパ糸掛けフックと、
前記針落ち位置の右側に進退動作可能に配され、その進出時に前記ルーパが通された前記針糸のループ内に挿入されて該針糸を捉える針糸切りフックと、
該針糸切りフックの退入時にこれに摺接し、前記進出時に捉えられた針糸を切断する針糸メスと、
前記針落ち位置の右側に進退動作可能に配され、その進出時に前記ルーパ糸掛けフックに捉えられたルーパ糸を捉えるルーパ糸切りフックと、
該ルーパ糸切りフックの退入時にこれに摺接し、前記進出時に捉えられたルーパ糸を切断するルーパ糸メスと、
縫い終わり直前に前記ルーパを進出状態にして縫製を一旦止めた後、前記ルーパ糸掛けフックを進退動作させて前記ルーパ糸を捉え、この状態で一針分の縫製を行わせた後、前記針糸切りフック及びルーパ糸切りフックを進退動作させて前記針糸及びルーパ糸を捉えて切断するほつれ止め動作を行わせる制御手段と
を具備することを特徴とする縫い目のほつれ防止装置。 - 前記針糸切りフックの先端に連設され、該針糸切りフックの進出時に前記ルーパの進出端近傍のルーパ糸を捉え、前記進出の後の退入時に、捉えられたルーパ糸を前記針糸の最終のループから抜き出し、前記針糸メスとの間に保持するルーパ糸保持フックを備える請求項1記載の縫い目のほつれ防止装置。
- 前記ルーパ糸保持フックに捉えたルーパ糸の長さを減じるべく、前記ルーパへの供給前のルーパ糸を引き戻す糸戻し手段を備える請求項2記載の縫い目のほつれ防止装置。
- 前記糸戻し手段は、前記針糸切りフックの進退動作経路を横切るように前記ルーパへの供給前のルーパ糸を保持するルーパ糸道と、前記針糸切りフック又はその取付け台の一部に設けてあり、該針糸切りフックの退入動作時に前記ルーパ糸道に保持されたルーパ糸を引っ掛ける糸掛け部とを備える請求項3記載の縫い目のほつれ防止装置。
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