JP2747765B2 - ミシンの糸切り方法及びその装置 - Google Patents

ミシンの糸切り方法及びその装置

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JP2747765B2 JP30944792A JP30944792A JP2747765B2 JP 2747765 B2 JP2747765 B2 JP 2747765B2 JP 30944792 A JP30944792 A JP 30944792A JP 30944792 A JP30944792 A JP 30944792A JP 2747765 B2 JP2747765 B2 JP 2747765B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筒形ベッドを有する複
数針偏平縫いミシンにおいて、縫製停止に連動して針糸
とルーパ糸とを糸切りする方法、及びこの方法の実施に
用いる糸切り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、複数針偏平縫いミシンにおける
縫いの構成過程を示す説明図である。複数針偏平縫いミ
シンは、図示しないベッド上の針板の表面側に一方向に
並設された複数本の針1,1…を、同じく裏面側にルー
パ2を夫々備えてなり、このミシンによる縫製は、前記
針板の表面上を針1,1…の並設方向と直交する向きに
送られる縫製生地Aに対して行われる。
【0003】針1,1…は、夫々の先端の針孔に図示の
如く挿通された針糸1a,1aと共に、縫製生地Aの送りに
連動して前記針板を表裏に貫通する所定の移動ストロー
ク間を上下動する。またルーパ2は、その末端から先端
にかけて図示の如くルーパ糸2aが挿通された作動杆2bを
備えてなり、このルーパ2の動作は、縫製生地Aの送り
方向に沿う水平軸回りに縫製生地Aの送りに連動して生
じる所定の角度範囲内での回転運動であり、このとき前
記作動杆2bは、前記回転軸を中心とする所定の円周に沿
って揺動し、針1,1…の並設線に沿う進退動作をな
す。
【0004】図1(a)は、針1,1…が移動ストロー
ク中の最下点(下死点)にある状態を、図1(c)は、
同じく最上点(上死点)にある状態を夫々示してあり、
また図1(b)は下死点から上死点への遷移状態、更に
図1(d)は上死点から下死点への遷移状態である。こ
れらに明らかな如くルーパ2の作動杆2bは、針1,1…
の上動の間に一回の進出動作を、下動の間に一回の退入
動作を夫々行い、また縫製生地Aの送りは、針1,1…
の上動中、即ち、図1(c)から図1(d)への移行の
都度、所定長さ毎に間欠的に行われる。
【0005】まず、図1(a)から(b)を経て(c)
に至るまでの間においては、複数の針1,1…の直下に
は、図1(b)に示す如く、夫々の上動に伴って各別の
針糸1a,1a…によるループが形成され、この間に進出動
作をなすルーパ2の作動杆2bは、これに挿通されたルー
パ糸2aと共に前記ループ内に挿入される。この結果、各
針1,1…が上死点に達した図1(c)においては、夫
々の針糸1a,1a…は、ルーパ2の作動杆2bにより一括的
に捕捉された状態となる。
【0006】一方、図1(c)から(d)を経て(a)
に復帰するまでの間においては、この間に生じる縫製生
地Aの送りにより、ルーパ2の作動杆2bにより捕捉され
た針糸1a,1a…と該作動杆2bに挿通されたルーパ糸2aと
は夫々、一回の送り量の相当長さだけ相対的に引き出さ
れ、このときルーパ糸2aは、針糸1a,1a…との先の絡み
合い部の末端から作動杆2bの先端に向けて斜めに引き出
されて、図1(d)に示す如き三角形状を呈する。そし
て、この間に縫製生地Aを貫通して下動する針1,1…
は、ルーパ糸2aが形成する三角形の頂点側部分、及び各
針糸1a,1a…とルーパ糸2aとが形成する矩形部分に順次
挿通され、図1(a)に示す如く、同時に退入動作する
ルーパ2の作動杆2bからルーパ糸2aを引出すと共に、こ
のルーパ糸2aを、各針糸1a,1a…が形成する前記ループ
に挿通せしめた状態で支える作用をなす。
【0007】而して以上の動作の繰り返しにより、縫製
生地Aの表面側には、針糸1a,1a…による平行な縫い目
が並び、同じく裏面側には、同側に突出する針糸1a,1a
…のループがこれらに挿通されたルーパ糸2aにより関連
付けられて両者が図示の如く絡み合った縫い目が構成さ
れる。なお図1には、縫製生地Aの表側にも飾り縫いを
施す場合の縫い構成が示してあり、表側の飾り縫いは、
縫製生地Aの表側に配され、針1,1…の上下動に図示
の如く連動する飾り糸ルーパ3の動作により形成され
る。
【0008】以上の如き縫いを構成する複数針偏平縫い
ミシンには、縫製作業の能率向上を図るべく、一工程の
縫製終了に連動して針糸1a,1a…とルーパ糸2aとを一括
的に切断する糸切り装置が広く装備されている。この糸
切り装置は、針糸1a,1a…の通過経路の一側に刃面を臨
ませ、針板の裏側に固設された固定メスと、この固定メ
スに摺接しつつ前記針糸1a,1a…の並び方向に往復動作
する可動メスとを備えてなる。
【0009】前記可動メスは、復動に際して固定メスの
刃面との間にて剪断作用をなす係止爪を、その先端及び
中途に備えており、縫製終了後に針1,1…を上死点近
傍にて停止せしめた状態で一回の往復動作を行う。上死
点近傍における針糸1a,1a…及びルーパ糸2aの状態は、
前記図1(c)に示す如くであり、この状態での往動に
より前記可動メスは、ルーパ2の作動杆2bが挿入された
針糸1a,1a…のループ内に、該作動杆2bと同側から侵入
し、作動杆2bの先端近傍に達する先端の係止爪にルーパ
糸2aを係止すると共に、中途の係止爪に最奥側の針糸1a
を係止し、この後、往動経路を逆に辿って復動して、先
端の係止爪が固定メスの刃面と重なり合う初期位置に復
帰する。
【0010】而してこの復動の間に、複数の針糸1a,1a
…は可動メスの中途の係止爪により一括的に引き出さ
れ、またルーパ糸2aは先端の係止爪により引き出され
て、これらは共に固定メスの刃面との間での剪断により
切断されるが、この復動は前記初期位置への復帰により
終了するから、先端の係止爪により引き出されたルーパ
糸2aは、前記切断の後にも固定メスと可動メスとの間に
挾圧保持され、ルーパ2の作動杆2bから抜け出す虞がな
く、次なる縫製開始に際してルーパ2への再装着が不要
となる。
【0011】なお、針1,1…が上死点近傍にある場
合、針1,1…の動きに連動して図示しない糸緩め機構
が動作し、次なる縫製生地Aの送りに伴う前述した引き
出しを可能とすべく、針糸1a,1a…及びルーパ糸2aへの
張力付与が緩和された状態にあり、これらの切断のため
の前述した引き出しは問題なく行い得る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】さて、複数針偏平縫い
ミシンとしては、縫製対象物に応じて種々に異なるベッ
ド形状を有するものが製品化されており、例えば、小さ
いサイズのラグラン袖部を縫製対象とする場合、前記袖
部の挿通が可能な細径の筒形ベッドを備えたものが広く
用いられている。
【0013】ところがこのような筒形ベッドを備えた複
数針偏平縫いミシンにおいて前述した糸切り装置を構成
する場合、前記ルーパ2が動作する針板裏側のベッド内
に、前記可動メス及びこれの駆動機構を追加構成するた
めの十分な空間を確保し得ないことが多く、これに対処
するための工夫が必要となる。
【0014】この種のミシン、即ち、筒形のベッドを有
する複数針偏平縫いミシンへの適用を目的とした糸切り
装置として、実開昭63-139879 号公報に開示されたもの
が知られている。この糸切り装置は、鉤状に湾曲し先端
に1つの係止爪を有する可動メスを用い、これの基端部
近傍を針板裏面の針落ち位置よりも送り方向下流側に枢
支し、この枢支軸回りに針板と平行な面内にて揺動自在
となす一方、ベッドの筒軸方向に進退動作を行うエアシ
リンダ等のアクチュエータの動作端を前記枢支軸近傍に
係合し、該アクチュエータの動作により可動メスを揺動
せしめる構成となっている。
【0015】この糸切り装置の動作は、前述した一般的
な糸切り装置と同様に、針1,1…を上死点にて停止せ
しめた状態で行われ、まず、前記アクチュエータの進出
動作に伴って自身の湾曲線に沿って可動メスが進出し、
針落ち位置の下側に前記図1(c)に示す如く並ぶ針糸
1a,1a…のループ内に侵入する。このとき、可動メス先
端の係止爪は、最奥側の針糸1aを係止して、前記進出動
作に続く退入動作により他の針糸1a,1a…及びルーパ糸
2aを一括的に捕捉して引き出し、これらの針糸1a,1a…
及びルーパ糸2aは、前記可動メスと退入経路の末端にお
いて摺接する固定メスとにより切断され、両メス間に挾
圧保持される。
【0016】この糸切り装置は、ベッドの筒軸方向の延
長線上に適宜に配設可能なアクチュエータにより可動メ
スが駆動され、針板の裏側には、円弧状に湾曲した可動
メスが自身の湾曲線に沿って所定の角度範囲内にて揺動
可能な空間を必要とするのみであるから、細径の筒形ベ
ッドの内側に余裕をもって構成できるが、次に示す難点
を併せ持っている。
【0017】即ち、切断された針糸1a,1a…が共に可動
メスと固定メスとの間に挾圧保持された状態にあり、こ
れらの針糸1a,1a…は、縫製を終了した縫製生地Aの取
り外しにより挾圧部位から引き抜かれるが、このとき、
共に挾圧保持されているルーパ糸2aが抜け出し、次なる
縫製開始時にルーパ糸2aがルーパ2の作動杆2bから外れ
ることがある。この場合、縫い目の構成が不可能とな
り、縫製作業の休止を強いられるため、ルーパ糸2aのル
ーパ2からの抜け出しを防止するための適宜の処置を行
う必要が生じる。
【0018】また、細径の筒形ベッドを備えたミシンに
おいては、ルーパ2の動作範囲が制限され、図1に示す
如き大なる曲率を有する作動杆2bを採用することができ
ないため、該作動杆2bの先端は、針糸1a,1a…により形
成されるループよりも下方に位置する。従って、これら
のループに前述の如く挿通される可動メスの先端は、作
動杆2bの先端から延びるルーパ糸2aよりも上方に位置す
ることになり、中途の係止爪により針糸1a,1a…を係止
することはできるが、先端の係止爪によりルーパ糸2aを
係止することはできない。
【0019】特開昭63-214277 号公報及び特開昭63-262
182 号公報には、ルーパ2の作動杆2bと略等しい曲率を
有して厚さ方向に湾曲した円弧状の可動メスを、ルーパ
2の回転軸と同軸上での揺動自在に配し、またこの揺動
経路の中途に固定メスを配して、針1,1…を上死点に
停止せしめた状態で可動メスに一回の往復動作を行わ
せ、針糸1a,1a…及びルーパ糸2aを切断する構成とした
糸切り装置が開示されている。
【0020】この構成においては、可動メスの動作経路
がルーパ2の作動杆2bに沿うことから、作動杆2bの先端
部におけるルーパ糸2aの確実な捕捉が可能であるが、前
述した難点、即ち、縫製生地Aの取り外しにより針糸1
a,1a…を引き抜く際に、共に挾圧保持されているルー
パ糸2aが抜け出し、次なる縫製作業に支障を来すという
問題は残る。
【0021】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、筒形ベッドを備えた偏平縫いミシンにおける針
糸及びルーパ糸の確実な切断を可能とし、また切断後の
ルーパ糸の保持が確実に行えると共に、筒形ベッドの細
径化を阻害しないミシンの糸切り方法及びその実施に用
いる糸切り装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明に係るミシンの糸
切り方法は、軸長方向への送りを与える筒形ベッド、該
ベッド上の針板を表裏に貫通して上下動する複数の針、
及び前記針板の裏側にて各針の上下動に応じて進退動作
するルーパを備え、各針と共に上下動する針糸と、前記
ルーパの動作により各針糸に絡み合うルーパ糸とを、前
記筒形ベッドの内側にて切断するミシンの糸切り方法に
おいて、前記各針を下死点近傍にて停止させて前記ルー
パ糸を切断し、その後前記各針を上死点近傍にて停止さ
せて前記針糸を一括して切断することを特徴とする。
【0023】また本発明に係るミシンの糸切り装置は、
退避状態にある前記ルーパの作動端にその刃面を臨ませ
た第1の固定メスと、前記各針の並設方向一側にその刃
面を臨ませた第2の固定メスと、前記各針の下死点近傍
での停止に応じて往復動作し、前記ルーパの作動端近傍
にてルーパ糸を捕捉して引き出し、第1の固定メスとの
間にて切断すると共に挾圧保持する第1の可動メスと、
前記各針の上死点近傍での停止に応じて往復動作し、往
動時に前記複数の針糸が形成するループ内に侵入し、こ
れに続く復動により、前記針糸を一括して捕捉して引き
出し、第2の固定メスとの間にて切断する第2の可動メ
スとを具備することを特徴とし、更には、前記第1の可
動メスの動作中に前記ルーパ糸の緊張を解除する手段を
具備することを特徴とする。
【0024】
【作用】本発明においては、ミシンの各針が下死点近傍
に停止し、ルーパの作動杆が退避状態にあるとき、この
作動杆の先端、即ちルーパの作動端から引き出されたル
ーパ糸を第1の可動メスにより捕捉して引き出し、第1
の固定メスとの間にて切断して挾圧保持し、次いでミシ
ンの各針が上死点近傍に停止し、ルーパの作動杆が各針
糸により形成されたループ内に挿入された状態にあると
き、第2の可動メスがこれらのループ内に侵入し、各針
糸を一括して捕捉して引き出し、第2の固定メスとの間
にて切断する。
【0025】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図2は、本発明に係るミシンの糸切り装置
(以下本発明装置という)を備えた複数針偏平縫いミシ
ンのベッド部分の平面図、図3は、図2の III−III 線
による側面図である。
【0026】本発明装置は、図示の如く、細径の筒形を
なすベッド4を備えた複数針偏平縫いミシンに適用され
る。ベッド4は、図中に2点鎖線にて示すミシン本体B
の後方に平行をなして延設された基台40から、これと筒
軸を直交せしめて前方に突設してあり、ミシン本体Bの
直下部に達するその先端には、上面を針板5により覆わ
れ、またその内部にルーパ2及び縫製生地の送り機構等
を備えた縫い部Cが構成されている。なお、図面の煩雑
化を防ぐため、図2においては、ルーパ2及び送り機構
の図示を省略し、図3においては、ルーパ2を箱体とし
て略示し、また送り機構の図示を省略している。
【0027】本発明装置は、前記縫い部Cに配された第
1,第2の可動メス11,12と、これら夫々と対をなす固
定メス13,14(図4参照)とを備えてなり、これらはい
ずれも、縫い部Cの上面を覆う針板5の裏面に取り付け
られている。図4は、針板5への各メスの取り付け態様
を示す分解斜視図である。
【0028】本図に示す如く針板5は、ベッド4先端の
平面形状に対応する平面形状を有する平板であり、これ
の中央部には、ミシン本体Bに備えられた針1,1…の
本数に対応する数の針落ち孔5a,5a…が一方向に並べて
形成され、また針落ち孔5a,5a…の両側には、これらの
並設方向と夫々直交する一対の長孔5b,5bが形成され、
更にまた周縁部には、2か所のボルト孔5c,5cが形成さ
れており、図2に示す如く、これらのボルト孔5c,5cの
夫々に挿通した図示しない固定ボルトの締め付けによ
り、ベッド4に、これの筒軸方向が針落ち孔5a,5a…の
並設方向と直交するように位置決め固定されている。
【0029】また前記長孔5b,5bは、ベッド4に内蔵し
た送り機構の送り歯6,6(図6参照)を針板5の上面
に露出させるために設けてあり、針板5上の縫製生地A
(図1参照)には、送り歯6,6の動作により長孔5b,
5bの長手方向に沿う向きの送りが加えられ、この送りの
間に縫製生地Aは、針板5上にて上下動して針落ち孔5
a,5a…の夫々に挿通される針1,1…(図1参照)
と、これらに同期してベッド4内にて生じるルーパ2の
動作とにより縫製され、図1に示す如き縫い目が構成さ
れる。
【0030】図示の如く第1の可動メス11は、互いに平
行をなし長手方向に変位した一対の長孔である案内孔 1
1a,11aとこれらの縁取り部分とからなる薄肉平板状の支
持部と、一方の案内孔 11aの縁取り部分を他方の案内孔
11aとは逆向きに延長し、延長端に係止爪 11bを有する
メス部とを備えると共に、前記他方の案内孔 11bの縁取
り部分の末端、即ち前記メス部の延長方向と逆側の端部
に、短寸丸棒状をなす係合突起 11cを突設せしめた構成
となっている。
【0031】また第2の可動メス12は、円形断面を有す
る支承孔 12aの縁取り環を半径方向に延長してなる支持
部と、この延長端に同一平面内にて所定角度だけ屈曲し
て連なる腕部と、該腕部の先端に同一平面内にて連設さ
れて前記支承孔 12aを中心とする円弧を構成し、先端に
内向きに突出する係止爪 12bを有するメス部とを備える
と共に、支持部の一面の中途に、短寸丸棒状をなす係合
突起 12cを突設せしめた構成となっている。
【0032】針板5は、その後端、即ちベッド4の基端
側端部の一側に、裏面への加肉により他部よりも厚肉化
された厚肉部を備えており、この厚肉部には、前記長孔
5bの長手方向と平行な方向、即ち、縫製生地Aの送り方
向に適長離隔して一対のねじ孔50,50が貫通形成してあ
り、第1の可動メス11は、スペーサとしての作用をなす
各別のワッシャ52,52を介して前記案内孔 11a,11aの夫
々に固定ねじ51,51を挿通せしめ、これらを前記ねじ孔
50,50の夫々にねじ込み固定して取り付けてある。
【0033】この取り付けにより第1の可動メス11は、
案内孔 11a,11aの長手方向にこれらの長さ範囲内での摺
動が可能であり、これらの案内孔 11a,11aは、夫々の案
内作用をなす固定ねじ51,51の固定位置間を結ぶ直線、
即ち針板5における長孔5bの長手方向に対して傾斜した
状態にあるから、前記摺動により、第1の可動メス11先
端の係止爪 11bは、針板5の裏面に対して前記厚肉部へ
の加肉分だけ離隔した平面内において、長孔5bに対して
傾斜する直線経路に沿って、該長孔5bの一側に向けて進
出し、また同一経路に沿って退入する動作をなす。
【0034】このような可動メス11の動作経路は、図1
(a)に示す如く、複数の針1,1…が下死点近傍にあ
り、針糸1a,1a…により形成されたループから抜け出し
た状態にあるルーパ2の作動杆2bの先端、更に詳しく
は、この先端から引き出されているルーパ糸2aに臨ませ
てあり、このルーパ糸2aを進出状態にある可動メス11の
係止爪 11bにより係止し得るように設定してある。
【0035】また可動メス11の動作経路の中途には、こ
れと対をなす第1の固定メス13が取り付けてある。この
固定メス13は、互いに対応する平面形状を有し、図示の
如く、一側端縁に刃部を有するメス片 13aと、同側端部
を屈曲させてばね作用をなさしめるようにしたバネ片 1
3bとを備え、これらと押え片 13cとを、図示の如く所定
厚さのスペーサ片 13dを介して針板5の裏面の可動メス
11の取り付け側と同側の側縁に沿わせて重ね合わせ、針
板5の表面側からスペーサ片 13d、メス片 13a及びバネ
片 13bに挿通される固定ねじ53,53…を押え片 13cに形
成された各別のねじ孔にねじ込み固定した構成となって
いる。
【0036】このように固定されるメス片 13a先端の刃
面は、複数の針1,1…が下死点近傍にある状態でルー
パ2の作動杆2bの先端に臨むようにしてあり、また一方
スペーサ片 13dの下面は、メス片 13aと可動メス11との
間での後述する如く行われる針糸1a,1a…の切断を確実
化するため傾斜面としてある。第1の可動メス11の前述
した進退動作は、メス片 13aとバネ片 13bとの間に挾持
された状態で行われ、退入動作時に係止爪 11bに係止さ
れたルーパ糸2aは、メス片 13a先端の刃面との摺接部位
にて切断され、この切断端は、係止爪 11bの下面とバネ
片 13bとの間に挾圧保持される。
【0037】更に針板5は、第1の可動メス11の取り付
け側と同側の長孔5bの前部にこれに沿って形成された一
対のねじ孔54,54…と、他側の長孔5bの後方に形成され
たねじ孔55を備えており、前記第2の可動メス12は、ス
ペーサとしての作用をなすワッシャ57を介して前記支承
孔 12aに挿通された固定ねじ56を前記ねじ孔55にねじ込
み固定して取り付けてある。
【0038】この取り付けにより第2の可動メス12は、
固定ねじ56を枢軸として支承孔 12aを中心とする揺動動
作が可能となり、このとき先端の係止爪 12bは、前記針
落ち孔5a,5a…の直下部をこれらの並設方向に横切る動
作を行い、図1(c)に示す如く、針落ち孔5a,5a…の
下側において針糸1a,1a…が形成するループ内にルーパ
2の作動杆2bと共に侵入し、退入動作により針糸1a,1a
…を一括的に係止して引き出す。
【0039】また第2の可動メス12と対をなす第2の固
定メス14は、一側端部の側縁に刃部を有するメス片 14a
と、同側端部を屈曲させてばね作用をなさしめるように
したバネ片 14bとを備え、これらを平面視にて整合せし
めて重ね合わせ、下側から挿通された2本の固定ねじ5
8,58を前記ねじ孔54,54の夫々にねじ込み固定して取
り付けられている。なおこの第2の固定メス14の取り付
けは、前記メス片 14aの刃面を針1,1…の並設方向一
側に臨ませてなされ、該刃面が、前記第2の可動メス12
の動作経路上に位置するようにしてある。
【0040】即ち、第2の可動メス12の係止爪 12bは、
メス片 14aとバネ片 14bとの間に挾持された状態で前述
した進退動作を行い、係止爪 12bの退入動作時にこれに
係止されて引き出される針糸1a,1a…は、メス片 14a先
端の刃面との摺接部位にて切断される。
【0041】第1,第2の可動メス11,12の前述した動
作は、図2,図3に示す如く、ベッド4の後部に固設さ
れた各別のエアーシリンダ21,22の進退動作に応じて行
われる。これらのエアーシリンダ21,22は、夫々の出力
端をベッド4の先端に向け、該ベッド4の筒軸と平行を
なして固設してあり、これらの出力端 21a,22aは、各別
の連結杆23,24の基端部に夫々係合されている。
【0042】連結板23は、図2に示す如く、エアーシリ
ンダ21の出力端 21aからベッド4に近付き、更にベッド
4の側部に沿って前方に延びる細幅の平板であり、この
連結板23の先端には、ベッド4の筒軸に対して傾斜する
長孔 23aが形成してあり、この長孔 23aに第1の可動メ
ス11の後端に突設された係合突起 11cが嵌入せしめてあ
る。
【0043】また他方の連結板24は、図2に示す如く、
ベッド4の上面近傍の幅方向中央位置を先端に向けて延
設された直線状をなす細幅の平板に、エアーシリンダ22
の出力端 22aに向けて屈曲する基端部と、筒軸に対して
適宜の角度だけ傾斜する先端部とを連設した構成となっ
ており、前記先端部には、これの傾斜に沿って傾斜する
長孔 24aが形成してあり、該長孔 24aには、第2の可動
メス12に突設された前記係合突起 12cが嵌入されてい
る。
【0044】図2は、エアーシリンダ21,22が共に退入
位置にある状態を示しており、この状態からエアーシリ
ンダ21が一回の進退動作を行った場合、まず進出に応じ
て前記係合突起 11cの突設部位が連結板23を介して前方
に押されることになり、第1の可動メス11は、前記案内
孔 11a,11aと固定ねじ51,51との案内採用により、ベッ
ド4の筒軸に対して傾斜する直線に沿ってベッド4の中
央部に近寄る向きに進出動作し、次なるエアーシリンダ
21の退入動作に応じて、前記直線上を逆向きに退入動作
する。
【0045】また他方のエアーシリンダ22が一回の進退
動作を行った場合、まず進出に応じて前記係合突起 12c
の突設部位が連結杆24を介して前方に押されることにな
り、第2の可動メス12は、前記支承孔 12aに挿通された
固定ねじ56を枢軸として揺動し、先端の係止爪 12bが前
述した進出動作を行い、次なるエアーシリンダ22の退入
動作に応じて逆向きの退入動作を行う。
【0046】以上の如く動作するエアーシリンダ21,22
の固設位置の側方には、図3にその構成を示す糸繰りカ
ム装置7が、基台40の空洞部41内に構成されている。こ
の糸繰りカム装置7は、ルーパ糸2aの繰り出し量をルー
パ2の前述した動作に応じて調節する公知のものであ
り、空洞部41内に略水平に装架された架台70と、図示の
如き平面形状を有し、架台70の下部にて一軸回りに回転
駆動される糸繰りカム71とを備えてなる。架台70上に突
出する糸繰りカム71の表裏両側には、一対のカム糸道7
2,73が固設してあり、図3に示す如く前者は、糸繰り
カム71の軸心線上に1つの糸通し孔を備え、後者は、架
台70の上面に沿う長孔を有している。
【0047】前記空洞部41の両側には、糸道管42,43の
一端が夫々開口しており、図2にその一部を示す一方の
糸道管42は、ミシン本体Bに向けて延設され、他方の糸
道管43は、ベッド4の側面に沿って針板5下側のルーパ
2の配設位置まで延設されている。そして、糸繰りカム
装置7の架台70上には、ミシン本体Bからの糸道管42の
開口端に臨ませて糸かけ部74が固設してあり、またベッ
ド4に向かう糸道管43の開口端には、基台40の上面にそ
の基部を固定され、先端を空洞部内に垂下せしめた形状
をなす糸かけ部75が臨ませてある。
【0048】前記糸繰りカム装置7には、ミシン本体B
から糸道管42を経てルーパ糸2aが供給されており、この
ルーパ糸2aは、まず糸かけ部74及びカム糸道72にこの順
に挿通され、架台70の上部に突出する糸繰りカム71の上
縁に架け渡され、更にカム糸道73及び糸かけ部75にこの
順に挿通されて、糸道管43を経てルーパ2に供給されて
いる。糸繰りカム装置7の糸繰りカム71は、ルーパ2の
回転に同期して回転するようになしてあり、上縁に架け
渡されたルーパ糸2aは、前記回転に伴う凸部の通過時に
緊張し、逆に凹部の通過時に弛緩する結果、ルーパ2の
動作に応じた量のルーパ糸2aが過不足なく繰り出される
ことになる。
【0049】さて、このように動作する糸繰りカム装置
7の架台70は、図3に示す如く、空洞部41内側に相対向
して突出する突起44,45間に装架されているが、これら
に固定されてはおらず、一周縁に沿う水平軸回りでの揺
動自在に一方の突起44に枢支されており、他方の突起45
はこの揺動を拘束するストッパとして機能しているに過
ぎない。即ち架台70の揺動は、突起45側が上動する向き
へのみ可能であり、この揺動のための駆動源となるエア
ーシリンダ8は、基台41の背面側に、出力端8aの進出方
向を下向きとして固設してある。
【0050】また、空洞部41の内側には、L字形の平面
形状を有する揺動アーム80が、前記突起44よりもやや下
方にその屈曲部を枢支され、略鉛直面内での揺動自在に
取り付けてある。この揺動アーム80の一方の端部は、該
当位置にて基台40の背壁を貫通する貫通孔46から空洞部
41の外側に突出せしめてあり、この突出端は、前記エア
ーシリンダ8の出力端8aに係合してある。また揺動アー
ム80の他端部は、架台70の上面上に突出せしめてあり、
該当位置の上面に立設されたブラケット76に係合されて
いる。
【0051】以上の構成により、エアーシリンダ8が進
出した場合、揺動アーム80は、出力端8aとの係合側端部
を押し下げられて揺動し、この揺動によりブラケット76
との係合側端部は後方に向かう円弧運動をなすから、架
台70は、ブラケット76の立設位置を後方に引っ張られ、
突起45側を持ち上げる向きに揺動する。この結果、図5
に示す如く、架台70上への糸繰りカム71の突出高さが減
じられることになり、糸繰りカム71の回動位置の如何に
拘わらず、ルーパ糸2aは両側のカム糸道72,73間にて緊
張を解除されて弛み、この弛みの範囲内において、上流
側、即ちルーパ2側でのルーパ糸2aの引き出しが抵抗な
く行える状態となる。
【0052】図6〜図11は、以上の如く構成された本発
明装置による糸切り動作の説明図であり、図12及び図13
は、各部の動作タイミングを示すタイムチャートであ
る。なお図12は、図1に示す飾り糸ルーパ3による縫製
生地A上面の飾り縫いを実施しない場合を、図13は、飾
り縫いを実施する場合を夫々示しており、まず、図12に
示すタイムチャートに従って動作説明を行う。
【0053】縫製終了後の糸切りの指示は、例えば、図
示しない足踏みペダルの操作により行われる。まず、足
踏みペダルの踏み離しによりミシンの動作を停止させる
と、図12に示す如く、針1,1…を、現状位置から下死
点まで強制移動せしめる信号が発せられ、予め設定され
た待機時間T1 の経過を待ってルーパ糸切り指令が発せ
られる。
【0054】これにより図6に示す如く、針1,1…
は、針板5の夫々の針落ち孔5a,5a…に挿通され、また
ルーパ2の作動杆2bは、図1において説明した如く、針
糸1a,1a…により形成されたループから抜け出した状態
となり、このとき作動杆2bの先端から引き出されたルー
パ糸2aは、針板5の裏側に前述の如く構成された第1の
可動メス11及び第1の固定メス21の先端に対峙する。
【0055】前記待機時間T1 は、針1,1…が下死点
に到達するまでの時間及び到達後の停止の確認に要する
時間を見込んで設定してあり、この後に発せられるルー
パ糸切り指令に従って第1の可動メス11が動作してルー
パ糸2aを切断する。このルーパ糸切り指令は、具体的に
は、前記エアーシリンダ21に所定量の進出動作を指令す
ると共に、糸繰りカム装置7の架台70の揺動源となるエ
アーシリンダ8に進出動作を指令する信号である。
【0056】即ち、ルーパ糸切り指令に従うエアーシリ
ンダ21の進出に応じて第1の可動メス11は、前述した状
態にあるルーパ糸2aに向けて進出動作し、図7に示す如
く、先端の係止爪 11bがルーパ糸2aを通り越した位置に
て停止する。またこの間に行われるエアーシリンダ8の
進出に応じて糸繰りカム装置7の架台70は、図5に示す
傾斜状態となり、ルーパ糸2aの引き出しが可能となって
いる。
【0057】その後、ルーパ糸切り指令の停止に伴うエ
アーシリンダ21の退入に応じて第1の可動メス11は退入
動作し、このとき先端の係止爪 11bは、図8に示す如
く、退入経路中に存在するルーパ糸2aを捕捉し、これを
第1の固定メス13の刃面との摺接位置にまで引込み、該
位置にて切断する。なお切断されたルーパ糸2aの端部
は、前述した如く、固定メス13のバネ片 13bと可動メス
11の上面との間に挾圧保持される。なおこのように行わ
れるルーパ糸2aの切断は、ルーパ2の作動杆2bが針糸1
a,1a…により形成されたループから抜け出し、この作
動杆2bの先端から引き出されたルーパ糸2aが第1の可動
メス11及び第1の固定メス13の先端に対峙した状態にあ
る間は可能であり、このような状態は、針1,1…が厳
密な意味での下死点に一致している場合に限らず、この
下死点近傍において生じるから、ルーパ糸切り指令の発
生に先立つ針1,1…の強制移動は、下死点近傍への移
動を行わせるものであればよい。
【0058】以上の如く本発明装置においては、針1,
1…が下死点近傍にあり、ルーパ2の作動杆2bが針糸1
a,1a…のループから退入した状態にあるときルーパ糸2
aの切断を行うようにしており、この状態においては、
図1(a)に示す如く、ルーパ糸2aは針糸1a,1a…のル
ープから離れた位置にあり、係止爪 11bによるルーパ糸
2aの確実な捕捉及びこれに続く切断が可能となり、また
切断後のルーパ糸2aを単独にて保持することか可能とな
る。更に、通常縫製中のルーパ糸2aは、下死点近傍にお
いて緊張状態にあるが、ルーパ糸切り指令が発せられた
場合、第1の可動メス11の進出と共に生じる糸繰りカム
装置7の架台70の傾倒により弛緩されるから、前記切断
をより確実に行わせることができる。
【0059】前述したルーパ糸切り指令の停止後、予め
設定された待機時間T2 の経過を待って、針1,1…を
上死点まで強制移動せしめる信号が発せられ、更に予め
設定された待機時間T3 の経過を待って針糸切り指令が
発せられる。
【0060】前記待機時間T2 は、ルーパ糸切り指令の
停止後に生じるエアーシリンダ21の退入動作に要する時
間、換言すれば、第1の可動メス11の退入によりルーパ
糸2aの確実な切断が行われるまでの時間、及びこの動作
終了を確認するための時間を見込んで設定してあり、こ
の後、即ち、ルーパ糸2aが確実に切断された後に発せら
れる移動指令に従って、図9に示す如く、針1,1…は
上動し上死点に達して停止する。なお待機時間T2 が過
少に設定された場合、又は設定されていない場合、針
1,1…の上動に連動するルーパ2の作動杆2bと、この
動作経路を横切って退入動作する第1の可動メス11とが
衝突し、一方又は両方の破損の虞が生じるため、前記待
機時間T2 の適正な設定は重要である。
【0061】また前記待機時間T3 は、針1,1…が下
死点から上死点に到達するまでの所要時間、及び到達後
の停止の確認に要する時間を見込んで設定してあり、こ
の後に発せられる針糸切り指令に従って第2の可動メス
12が動作して針糸1a,1a…が切断される。この針糸切り
指令は、具体的には、第2の可動メス12の駆動源である
前記エアーシリンダ22に所定量の進出動作を指令する信
号である。
【0062】針1,1…が上死点にある場合、針板5の
下側においては、図1(c)に示す如く、針糸1a,1a…
により形成されたループにルーパ2の作動杆2bが挿通さ
れた状態にある。従って、前記針糸切り指令に従うエア
ーシリンダ22の進出により、第2の可動メス12に支承孔
12aを中心とした揺動動作を行わせた場合、該可動メス
12の円弧状に湾曲したメス部は、前述した状態にある針
糸1a,1a…のループ内に前記作動杆2bと同側から挿入さ
れて、図10に示す如く、先端の係止爪 12bが最奥側の針
糸1aを通り越した位置に停止する。
【0063】その後、針糸切り指令の停止に伴うエアー
シリンダ22の退入に応じて第2の可動メス12は逆向きの
揺動動作を行い、このとき先端の係止爪 12bは、図11に
示す如く、退入経路中に並ぶ針糸1a,1a…を順次捕捉
し、これを第2の固定メス14の刃面との摺接位置にまで
引込み、該位置にて切断する。なお切断された針糸1a,
1a…は、固定メス14と可動メス12との間に保持されるこ
となく放置される。なおこのように行われる針糸1a,1a
…の切断は、これらの針糸1a,1a…により形成されたル
ープにルーパ2の作動杆2bが挿通され、該作動杆2bと針
1,1…との間に針糸1a,1a…が張架された状態におい
て可能であり、このような状態は、針1,1…が厳密な
意味での上死点に一致している場合に限らず、この上死
点近傍において生じるから、針糸切り指令の発生に先立
つ針1,1…の強制移動は、上死点近傍への移動を行わ
せるものであればよい。
【0064】以上の如く本発明装置においては、針1,
1…が上死点近傍にあり、ルーパ2の作動杆2bが針糸1
a,1a…のループ中に侵入した状態にあるとき、針板5
の面内にて揺動する第2の可動メス12により確実な捕捉
が可能な針糸1a,1a…のみが切断される。
【0065】針糸切り指令の停止後、予め設定された待
機時間T4 の経過を待って、縫製生地Aの押え金を上動
せしめるための信号(押え揚げ指令)が、更に予め設定
された待機時間T5 の経過を待って切断された針糸1a,
1a…の針1.1…側の部分を針板5上に跳ね上げるべく
動作するワイパへの動作指令が夫々発せられ、一連の糸
切り動作が終了する。
【0066】なお前記待機時間T4 は、針糸切り指令の
停止後に生じるエアーシリンダ22の退入動作に要する時
間、換言すれば、第2の可動メス12の復帰揺動により針
糸1a,1a…の確実な切断が行われるまでの時間、及びこ
の動作終了を確認するための時間を見込んで設定してあ
り、また前記待機時間T5 は、押え金の上昇後にベッド
4から縫製生地Aを取り外すために要する時間を見込ん
で設定してある。これらの時間の適正な設定はいずれ
も、縫製生地Aの確実かつ安全な取外しを可能とするた
めに必要なものである。
【0067】縫製生地Aの取外しは、押え金が上昇した
後、ワイパが動作するまでの間に行われ、このとき、縫
製生地A側に残る針糸1a,1a…及びルーパ糸2aの切断端
は、前記取外しと共に針板5上に引き出され、更に針
1,1…側に残る針糸1a,1a…切断端の一部も引き出さ
れるが、ルーパ2側に残るルーパ糸2aの切断端は、第1
の可動メス11と前記バネ片 13bとの間での挾圧保持によ
り、ルーパ2の作動杆2bから離脱することなく針板5下
部に確実に残り、ルーパ糸2aの保持状態の確認、及び作
動杆2bへの再装着を強いられる虞がないため、次なる縫
製作業への速やかな移行が可能となり、作業能率の向上
に寄与できる。
【0068】最後に縫製生地A上面の飾り縫いを実施す
る場合を示す図13のタイムチャートにおける補足説明を
行う。この場合においても、ルーパ糸2a及び針糸1a,1a
…の切断までの動作は全く同様に行われ、その後の押え
上げ指令の前に上飾り糸の切断指令が追加される。
【0069】この切断指令は、針糸切り指令の停止後、
前記待機時間T4 の経過を待って発せられ、この指令に
従って図示を省略した上飾り糸カッタが動作し、上飾り
糸ルーパ3の動作により図1に示す如く繰られている上
飾り糸が切断される。なおこの切断は針板5の上部にお
いて行われ、前述した針糸1a,1a…の切断動作と干渉す
る虞がないため、針糸切りと同時に行うことも可能であ
る。
【0070】上飾り糸の切断指令の停止後、予め設定さ
れた待機時間T6 の経過を待って、縫製生地Aの押え金
を上動せしめるための信号(押え上げ指令)が発せら
れ、一連の糸切り動作が終了する。なお前記待機時間T
6 は、上飾り糸指令の停止後に生じる上飾り糸カッタの
退入に要する時間、及びこの動作終了を確認するための
時間を見込んで設定されたものである。
【0071】なお本実施例においては、第1,第2の可
動メス11,12の駆動手段としてエアーシリンダ21,22を
夫々用いたが、これらに換えて、ソレノイド等の他の駆
動手段を用いてもよい。また本発明装置の適用範囲は、
実施例中に示す如き構成の筒形ベッド4を有する複数針
偏平縫いミシンに限定されるものではなく、例えばミシ
ン本体Bに対して平行又は傾斜する筒軸を有する筒形ベ
ッド等、他の構成の筒形ベッドを備えた複数針偏平縫い
ミシンにおいても適用可能であることは言うまでもな
い。
【0072】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明においては、各
針を下死点近傍に停止させてルーパ糸を切断し、その後
各針を上死点近傍に停止させて針糸を一括して切断する
から、両糸の切断に際し、これらの捕捉及びこれに続く
切断が確実に行え、また切断後にルーパ糸のみを確実に
保持できることになり、縫製生地の取外しに伴ってルー
パからルーパ糸が抜け出す虞がなく、ルーパ糸を再装着
する必要がなくなり、作業能率の大幅な向上が達成され
る。また前記各糸の切断が、針板の裏側においてこれの
面内にて動作するメスにより行えるから、細径の筒形ベ
ッドを備えたミシンにも適用できる等、本発明は優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数針偏平縫いミシンにおける縫いの構成過程
を示す説明図である。
【図2】本発明装置を備えた複数針偏平縫いミシンのベ
ッド部分の平面図である。
【図3】図2の III−III 線による側面図である。
【図4】針糸及びルーパ糸切断用メスの取り付け態様を
示す分解斜視図である。
【図5】ルーパ糸の緊張解除手段の動作状態を示す側面
図である。
【図6】本発明装置によるルーパ糸切り動作の説明図で
ある。
【図7】本発明装置によるルーパ糸切り動作の説明図で
ある。
【図8】本発明装置によるルーパ糸切り動作の説明図で
ある。
【図9】本発明装置による針糸切り動作の説明図であ
る。
【図10】本発明装置による針糸切り動作の説明図であ
る。
【図11】本発明装置による針糸切り動作の説明図であ
る。
【図12】本発明装置の各部の動作タイミングを示すタ
イムチャートである。
【図13】本発明装置の各部の動作タイミングを示すタ
イムチャートである。
【符号の説明】
1 針 1a 針糸 2 ルーパ 2a ルーパ糸 4 ベッド 5 針板 5a 針落ち孔 7 糸繰りカム装置 8 エアーシリンダ 11 第1の可動メス 12 第2の可動メス 13 第1の固定メス 14 第2の固定メス 21 エアーシリンダ 22 エアーシリンダ 23 連結板 24 連結板 71 糸繰りカム

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸長方向への送りを与える筒形ベッド、
    該ベッド上の針板を表裏に貫通して上下動する複数の
    針、及び前記針板の裏側にて各針の上下動に応じて進退
    動作するルーパを備え、各針と共に上下動する針糸と、
    前記ルーパの動作により各針糸に絡み合うルーパ糸と
    を、前記筒形ベッドの内側にて切断するミシンの糸切り
    方法において、前記各針を下死点近傍にて停止させて前
    記ルーパ糸を切断し、その後前記各針を上死点近傍にて
    停止させて前記針糸を一括して切断することを特徴とす
    るミシンの糸切り方法。
  2. 【請求項2】 軸長方向への送りを与える筒形ベッド、
    該ベッド上の針板を表裏に貫通して上下動する複数の
    針、及び前記針板の裏側にて各針の上下動に応じて進退
    動作するルーパを備え、各針と共に上下動する針糸と、
    前記ルーパの動作により各針糸に絡み合うルーパ糸と
    を、前記筒形ベッドの内側にて切断するミシンの糸切り
    装置において、退避状態にある前記ルーパの作動端にそ
    の刃面を臨ませた第1の固定メスと、前記各針の並設方
    向一側にその刃面を臨ませた第2の固定メスと、前記各
    針の下死点近傍での停止に応じて往復動作し、前記ルー
    パの作動端近傍にてルーパ糸を捕捉して引き出し、第1
    の固定メスとの間にて切断すると共に挾圧保持する第1
    の可動メスと、前記各針の上死点近傍での停止に応じて
    往復動作し、往動時に前記複数の針糸が形成するループ
    内に侵入し、これに続く復動により、前記針糸を一括し
    て捕捉して引き出し、第2の固定メスとの間にて切断す
    る第2の可動メスとを具備することを特徴とするミシン
    の糸切り装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の可動メスの動作中に前記ルー
    パ糸の緊張を解除する手段を具備する請求項2記載のミ
    シンの糸切り装置。
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