JP4017732B2 - ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製終了後に縫製用の糸を切断する糸切断装置を備えたミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の糸切断装置を備えたミシンとして、例えば、特開平3−143481号公報に開示された刺繍ミシンがある。図18〜図23に示すように、この刺繍ミシンの糸切断装置80は枢軸85を用いて針板91の下面側に枢着された一対のカッタ要素81,82を備え、該各カッタ要素はそれぞれ刃81a,81b及び刃82a,82bを有している。カッタ要素82にはその下側に下糸引出片86が一体に形成してある。カッタ要素80,81は、被動片96,97を介して駆動レバー84の係合穴84a,84bに係合されており、該駆動レバー84は駆動機構(図示略)によって軸83を中心に回動されるようになっている。また、糸切断装置80は、上糸94を上糸掛片87に巻き掛けて、上糸94を加工布Wに連なる側(以下、「加工布側」という。)の上糸94aと、針(図示略)に連なる側(以下、「針側」という。)の上糸94bとに振り分ける上糸振分機構を備えている。
【0003】
この糸切断装置80で上糸94を切断するときは、まず、上糸振分機構を作動させて上糸掛片87を釜88の中に進入させ、釜88の回動と針(図示略)の上下動とを一時的に行ない、図18及び図19に示すように上糸94が上糸掛片87に巻き掛かった状態にする。次に、同図の矢印方向にレバー84を回動させると、図20に示すように刃81b,82bが針孔90の下で合致し、両刃の移動経路内側(加工布側)の上糸94aを切断する。また、下糸95を切断するときは、図21及び図22に示す状態から同図の矢印方向にレバー84を回動させる。すると、下糸引出片86が下糸95を引っ掛けて一定長さを釜88から引き出してから、図23に示すように刃81b,82bが針孔90の下で合致して下糸95を切断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上糸94を上糸掛片87に巻き掛けるときに、下糸95が刃81a,82aの移動経路内側の上糸94aに絡むことがある。このとき、図24に示すように下糸95の絡む位置が上糸掛片87の近くになると、刃81a,82aの移動経路内に下糸95が入り、上糸94と同時に下糸95も切断されてしまう。
【0005】
また、加工布側の糸残量は、例えば、伸びやすい糸のときは縮みを考慮して少し長めに切断するなど、糸の性質に応じて調節する必要がある。ここで、針板91と釜88との間隔は狭く、糸の切断位置を垂直方向に移動させることが困難であるため、水平方向に移動させる必要がある。しかし、一対のカッタ要素81,82は枢軸85及び被動片96,97の3軸で回動されながら両カッタ要素81,82が移動するように構成されているため、カッタ要素81,82の合致位置(糸の切断位置)の調節は非常に困難である。仮にカッタ要素81,82の合致位置を水平方向に移動させたとしても、今度は一方のカッタ要素が先に糸と接触することになり、両カッタ要素81,82が合致する前に糸が切れ、加工布側の糸残量が短くなることがあるという問題が発生する。
【0006】
さらに、互いに離れた複数の小区域を縫製するときのように、小区域を縫製してすぐに糸を切断すると、縫い始め側の糸が加工布Wの裏面に縫い込まれずに、長く残る。この残った糸は、前記糸の切断時にカッタ要素81,82の移動経路内に偶然入って切断されることもあるが、多くは長く残ったままになり加工布Wの裏面側の仕上がりを低下させていた。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、上糸と下糸とを確実に切り分けられ、加工布側の糸残量を容易に調節でき、所望の切断位置で糸を確実に切断でき、さらに、長く残った縫い始め側の糸を短く切り揃えることができるミシンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のミシンは、針板の下側で略水平に相対移動する一対の刃の合致により糸を切断する糸切断装置を備えたミシンにおいて、往動時に上糸の切断しない部位及び下糸を前記各刃の移動軌跡外に案内する糸案内部を備えた糸案内部材を、一方の刃とともに往動及び復動するように構成し、前記糸案内部による上糸の切断しない部位及び下糸の案内がされた状態で、一対の刃が上糸の切断部位のみを切断するようにし、前記切断後、一方の刃及び糸案内部材は前記案内が外れるようにさらに往動し、その後復動するときに、下糸が切断されるようにすることを特徴とする。
また、本発明のミシンは、針板の下側で略水平に相対移動する一対の刃の合致により糸を切断する糸切断装置を備えたミシンにおいて、往動時に上糸の切断しない部位及び下糸を前記各刃の移動軌跡外に案内する糸案内部を備えた糸案内部材を、一方の刃とともに往動及び復動するように構成し、前記糸案内部による上糸の切断しない部位及び下糸の案内がされた状態で、一対の刃が上糸の切断部位のみを切断するようにし、前記切断後、一方の刃及び糸案内部材は前記案内が外れない程度にさらに往動し、その後復動するときに、下糸が切断されないようにすることを特徴とする。
【0009】
また、上記各発明のミシンは、一対の刃のうち、一方の刃を回動自在に構成し、他方の刃を固定したものとすることができる。
【0010】
また、上記各発明のミシンは、前記針板の下面に該針板の針孔の周縁から下方へ突出する環状突部を設けることができる。
【0011】
前記環状突部の下端位置は、特に限定されないが、該環状突部の下端と、前記針孔の下側を通過する前記刃の上面との間に少なくとも糸が自由に通過可能な間隔を残し、該刃の上面になるべく近い方が好ましい。
【0012】
また、上記各発明のミシンは、加工布の裏面に縫い込まれずに残った縫い始め側の上糸を前記一方の刃の移動軌跡内に進入させる糸進入手段を備えたものとすることができる。
【0013】
また、上記各発明のミシンは、針板の下側に位置された一対の突部を有する上糸掛片に上糸を巻き掛け、前記針板の針孔及び前記一対の突部を頂点とする三角ループ状に上糸を張り、該三角ループ状の上糸の一方の斜辺部を下糸から遠ざけ、前記糸切断装置は一対の刃の合致により前記一方の斜辺部を切断するものとし、前記一方の斜辺部の垂直に対する傾斜角度が0°から17°になるように構成することができる。
【0014】
ここで、前記一方の斜辺部の垂直に対する傾斜角度を0°から17°としたのは、該傾斜角度がこの範囲にあれば前記一方の斜辺部に下糸が絡んだときに、絡む位置が前記針孔の近くになり易くなるため、該斜辺部に下糸が近寄って該斜辺部とともに下糸が切断されるという問題の発生を低減できるからである。さらに、前記傾斜角度が0°から11°であれば、下糸の絡む位置が前記針孔の近くによりなり易くなるため好ましく、該傾斜角度が0°に近い程より好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を刺繍ミシンに具体化した第一実施形態について、図1〜図16を参照して説明する。図1〜図6に示すように、刺繍ミシン1は本体フレーム(図示略)に設けられたアーム3を備え、アーム3には可動ヘッド4が垂直軸線の周りで回動可能に支持されている。可動ヘッド4には複数本の針棒5が上下動可能に配列され、各針棒5には針6及び布押え18が取付けられている。可動ヘッド4の下方にはベッド10が設けられ、ベッド10には針孔11を備えた針板12が設けられている。針板12の下側には釜13が設置されるとともに、釜13の近傍には糸切断装置14と上糸振分機構41とが設置されている。また、ベッド10の上方には加工布Wを張設した刺繍枠9が配置され、駆動枠(図示略)によって刺繍データに基づいて水平移動されるようになっている。
【0016】
アーム3には針棒5と平行な状態で案内棒20が取付けられ、案内棒20には昇降体21が上下動自在に装着されている。昇降体21には係合子22が水平回動自在に軸着されており、係合子22が針棒5の先端部5aに係合しているときに針棒5を上下に駆動するようになっている。針6の上方には天秤15が昇降可能に配設され、天秤15と針6との間にはエプロン16が設けられている。エプロン16には針棒5と同数の上糸挟持部材17が内装されており、上糸挟持部材17は後述する上糸引掛部材30が上糸7を引き寄せた後に、天秤15と針6との間で上糸7を挟持するようになっている。上糸7はボビンから糸道装置(いずれも図示略)を介し、糸ガイド23、天秤15、エプロン16、針6、布押え18、針孔11を通して釜13に供給され、この上糸7と釜13から繰り出された下糸8とを用いて加工布Wに刺繍縫目が形成される。
【0017】
また、アーム3には取付板27が前下がりの斜状に固定され、その後端にはステッピングモータ28が設置されている。取付板27の上面にはガイド29を介して上糸引掛部材30が前後に摺動可能に支持され、その先端にはフック31が形成されている。上糸引掛部材30は、ステッピングモータ28により摺動され、針6と釜13との間の上糸7を引掛けて針6の後方へ引き寄せるようになっている。そして、上糸7は可動ヘッド4に取り付けられた上糸把持具32により上糸引掛部材30から外されて保持されるようになっている。
【0018】
針板12には、図6に示すように垂直方向に孔12aが設けられ、該孔12aには縫製時に布押え18とともに加工布Wを挾持する布保持部材35が取り付けられている。布保持部材35は、中央に針が貫通する針孔11が設けられた円板部と、該円板部の下面側において針孔11の周縁から下方に延設されたパイプ部36とを備えている。パイプ部36は針板12の上面側から孔12aに挿入され、その下端部は針板12の下方に突出し、後述する糸切断装置14の移動刃48の上面の近くまで延設されている。このパイプ部36の針板12の下面からの突出部分が、針板12の下面に該針板12の針孔11の周縁から下方へ突出する環状突部である。パイプ部36の下端と移動刃48の上面との間には、少なくとも上糸7及び下糸8が通過可能な間隔がおかれている。円板部37の上面側の周縁は加工布Wの表面を傷めないように面取りされている。
【0019】
糸切断装置14は、図2及び図3に示すように針板12の下側でベッド10に固定されたベース部50を備えている。ベース部50の水平板部と基台部とに貫設された穴50a,50cには、軸47が回動自在に支持されており、該軸47は駆動機構(図示略)により回動されるようになっている。軸47の上端部には糸案内部材としての糸案内プレート49と移動刃48とが略水平に一体回動可能に取り付けられている。移動刃48は刃48a,48bを備えている。穴50aの後方には段部50bが設けられており、その前壁は移動刃48及び糸案内プレート49の回動範囲を約90°に規制するようになっている。また、段部50bの上面かつ穴50aの両側方にはそれぞれ固定刃45,46が止めネジ51で固定されている。固定刃45,46は、それぞれ刃45a,46aを備えている。
【0020】
固定刃45,46は、それぞれ図8の線45b,46bの位置で下方に2°(例示であってこれに限定されない。)曲げられ、固定刃45,46の刃45a,46aが移動刃48の刃48a,48bに少し強めに当たり、上糸7及び下糸8を確実に挟み切りするようになっている。固定刃45の先端かつ固定刃46側の角は、釜13から抜けたループ状の上糸7がこの角に引っ掛からないように鈍角に形成されている。また、移動刃48の軸側上面の両側部には斜面部48cが設けられており、移動刃48が固定刃45,46の下側に入るときに同刃の刃先を上に上げ、固定刃45,46と移動刃48との接触を和らげるようになっている。また、移動刃48の先端側にも斜面部48dが設けられている。
【0021】
糸案内プレート49は略扇形状に形成されており、その円弧部の固定刃45側の端部には上糸引掛用の爪部49aが設けられている。爪部49aは、糸案内プレート49の回動時にその先端が針孔11の略中心を通過するように形成されており、後述する上糸振分機構41により振り分けられた加工布側の上糸7a(上糸7の切断部位)を刃48aの移動経路内に引き寄せるようになっている。糸案内プレート49の円弧部は、針側の上糸7b(上糸7の切断しない部位)及び下糸8を刃48aの移動経路外に案内する糸案内部49bとなっている。また、円弧部の固定刃46側の側部には下糸ガイド用の凹部49cが設けられ、該凹部49cは針孔11の下側を通過するときに下糸8を刃48bの移動経路内にガイドするようになっている。
【0022】
この糸切断装置14は、移動刃48が図8の状態から図12の状態に向けて往動されると、移動刃48が約33°回動した位置で移動刃48の刃48aと固定刃45の刃45aとが合致して上糸7を切断し、図12の状態から図8の状態に向けて復動されると、移動刃48が図8の位置から13°回動した位置で移動刃48の刃48bと固定刃46の刃46aとが合致して下糸8を切断する。即ち、針板12の下側で略水平に相対回動する一対の刃48a,45a又は刃48b,46aの合致により糸を切断するようになっている。このように、糸切断装置14は糸を切断するための一対の刃の一方が、ベース部50に固定された固定刃45,46に設けられているので、固定刃45の取り付け位置を調節することにより一対の刃48a,45a又は刃48b,46aの合致位置を容易に調節することができ、もって、糸の切断位置を容易に調節することができる。
【0023】
上糸振分機構41は、上糸7を加工布Wに連なる側(以下、「加工布側」という。)の上糸7aと、針に連なる側(以下、「針側」という。)の上糸7bとに振り分けるとともに、加工布側の上糸7aを下糸8から遠ざけるものである。該機構41は、ベッド10に取り付けられた取付枠55を備え、該取付枠55には駆動装置としてのロータリーソレノイド56が固定されている。ロータリーソレノイド56の駆動軸56aには上糸掛片57が固定されており、上糸掛片57の自由端側には一対の突部57aが設けられている。そして、ロータリーソレノイド56の駆動軸56aが往復回動されると、その回動方向に応じて上糸掛片57が釜13に出入りするようになっている。
【0024】
一対の突部57aの間隔は、後述するように針孔11及び一対の突部57aを頂点とする三角ループ状に上糸7が張られたときに、移動刃48の刃48aの移動経路内側(加工布側)の上糸7aの垂直に対する傾斜角度が14°(例示であってこれに限定されない。)になるように構成されている。これは、上糸7を上糸掛片57に巻き掛けるときに下糸8が移動刃48の刃48aの移動経路内側(加工布側)の上糸7aに絡んでも、上糸7aがこの程度傾斜していれば、下糸8の絡む位置が針孔11の近くになり易く、針孔11の近くに絡んだときであれば、下糸8が移動刃48の刃48aの移動経路内に入らないからである。従って、上糸7の切断時に下糸8までが切断されてしまうという問題の発生を低減できる(上糸7と下糸8とを確実に切り分けることができる。)。また、一対の突部57aは、その先端が互いに近づくようにハ字状に形成されており、巻き掛けた上糸7が容易に外れるようにされている。
【0025】
次に、上記のように構成された刺繍ミシン1の糸切断動作を図16に示すタイムチャートに従って説明する。
【0026】
まず、刺繍加工をしているときは刺繍ミシン1は図1及び図2の状態にあり、特定の針6による刺繍加工が終了すると、刺繍ミシン1の制御装置(図示略)から糸切指令が出力される。すると、針6の上死点位置でロータリーソレノイド56が駆動され(図16A)、図4〜図8に示すように上糸振分機構41の上糸掛片57が回動され、その一対の突部57aが釜13の内側に配置される。
【0027】
次いで、針6が一往復した後、その針棒5の先端部5aから係合子22の係合が外され、針6が上死点位置で停止される(図16B)。なお、係合子22は、刺繍ミシンの主軸(図示略)が停止された後に針棒5の先端部5aに係合可能な状態に戻される(図16D)。
【0028】
このとき、図4〜図8に示すように上糸7が上糸掛片57の一対の突部57aに巻き掛かり、針孔11及び前記一対の突部57aを頂点とする三角ループ状に上糸7が張られる。この状態では加工布側の上糸7aのみが移動刃48の刃48aの移動経路内に入り、針側の上糸7b及び下糸8は移動経路外にある。
【0029】
次いで、糸切断装置14の駆動機構が作動され(図16C)、移動刃48及び糸案内プレート49が図8の状態から往動を始める。すると、まず、糸案内プレート49の上糸引掛用爪部49aが針孔11の下方において加工布側の上糸7aを引っ掛け(図9、図16E)、針孔11の下方から固定刃45方向に寄せるとともに、糸案内部49bが針側の上糸7b及び下糸8を刃48aの移動経路外に案内する。そして、上糸振分機構41の上糸掛片57が釜13から退出され(図16F)、一対の突部57aから上糸7が外される(図10、図16G)。このとき、図11に示すように移動刃48の先端側には斜面部48dが設けられているため、糸案内プレート49によって移動刃48の移動経路外に案内された針側の上糸7bと下糸8とが移動刃48の先端側によって傷つけられることはない。
【0030】
その後、移動刃48の刃48aと固定刃45の刃45aとの合致により、三角ループ状の上糸7の一方の斜辺部としての加工布側の上糸7aが切断される(図12、図16J)。このように、糸案内部49bが針側の上糸7b及び下糸8を刃48aの移動経路外に案内するようになっているので、上糸7の切断部位である加工布側の上糸7aのみを確実に切断できる(上糸7と下糸8とを確実に切り分けることができる。)。
【0031】
この後、すぐに上糸引掛部材30により針側の上糸7bが針6の後方へ引き寄せられて上糸把持具32に保持される(図16H〜I)。
【0032】
移動刃48及び糸案内プレート49は一旦図12及び図16Jの状態まで回動した後、復動を始める。すると、まず、糸案内プレート49の凹部49cが針孔11の下方において下糸8を引っ掛けて、針孔11の下方から固定刃46方向に引き寄せる(図13、図16K)。このとき、図14に示すように下糸8は布保持部材35のパイプ部36(環状突部)に移動刃48の上面の高さ位置近くまでガイドされているため、移動刃48の刃48bと固定刃46の刃46aとが合致するまでは、刃46aに強く接触せず、同合致前に下糸8が切れることはない。即ち、所望の切断位置で糸を確実に切断できる。
【0033】
そして、移動刃48の刃48bと固定刃46の刃46aとが合致して下糸8が切断される(図15、図16L)。
【0034】
この糸切断装置14によれば、上糸7のみ切断することもできる。この場合は、移動刃48が図8の位置から60°回動した位置(図10に二点鎖線で示す位置)で、移動刃48及び糸案内プレート49の復動が開始される。すると、下糸8は糸案内部49bによって移動刃48の刃48bの移動経路外に置かれたまま、移動刃48及び糸案内プレート49がもとの位置に戻るため(図8)、下糸8は切断されない。
【0035】
次に、図17は本発明を刺繍ミシンに具体化した第二実施形態を示しており、この刺繍ミシンは長く残った縫い始め側の上糸7c及び下糸8aを移動刃48の刃48aの移動経路内に進入させる糸進入手段を備えている点においてのみ第一実施形態と異なる。このため、第一実施形態と同様の部分については重複説明を避ける。
【0036】
この刺繍ミシンは、小区域を縫製してすぐに糸を切断するときのように、縫い始め側の糸が加工布Wの裏面に縫い込まれずに長く残るときに、次のように動作する。
【0037】
まず、縫い始め位置が縫い終わり位置よりも反糸切断装置側になるように刺繍データを作成しておく。この刺繍データに基づいて刺繍加工をした後であって糸切断装置14を作動させるとき(図16C)よりも前に、刺繍枠9を針孔11の直径と同程度図17における右方向に移動させる。すると、長く残った縫い始め側の上糸7cと下糸8aが針孔11の反糸切断装置側の端縁に当たり、移動刃48の刃48aの移動経路内に進入する。このように刺繍枠9を移動させることが糸進入手段である。そして、第一実施形態と同様に移動刃48が往動されると、上糸7aと同時に縫い始め側の上糸7cと下糸8aが切断される。なお、仮に縫い始め側の糸が往動時に切断されずに残ったとしても、下糸切断時には下糸ガイド用の凹部49cによって移動刃48の移動経路内に引き寄せられて切断される。
【0038】
このように、本実施形態の刺繍ミシンによれば長く残った縫い始め側の糸7c,8aを短く切り揃えることができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)水平回動可能に支持されたガイド部材により糸7c,8aを側方に移動させて、同糸を移動刃48の移動経路内に進入させるように糸進入手段を変更すること。
【0040】
(2)布保持部材35を止めネジにより取替可能に取り付けることにより、針6や糸7,8の太さ等に応じて、針孔11の直径やパイプ部36の長さ等が異なるものに布保持部材35を交換可能にすること。
(3)布保持部材35を針板12の下面側から取り付けるように構成すること。
【0041】
(4)固定刃45,46の止めネジ51による固定穴を長穴にして、固定位置をずらし得るように構成し、固定刃45,46と移動刃48との刃の合致位置を調節可能にすること。
(5)刃の位置を異ならせた固定刃45,46又は移動刃48の替え刃を用意しておき、固定刃45,46又は移動刃48を付け替えることで、固定刃45,46と移動刃48との刃の合致位置を調節可能にすること。
【0042】
(6)上糸7を切断する糸切断装置と、下糸を切断する糸切断装置とを別々に設けること。
(7)刺繍ミシン以外の各種一般縫製ミシンに具体化すること。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1、2及び6の発明に係るミシンによれば、上糸の切断部位と、上糸の切断しない部位及び下糸とを確実に切り分けることができる。
【0044】
上記効果に加え、請求項の発明に係るミシンによれば、糸の切断位置を容易に調節することができる。
【0045】
上記効果に加え、請求項4の発明に係るミシンによれば、所望の切断位置で糸を確実に切断できる。
【0046】
上記効果に加え、請求項5の発明に係るミシンによれば、加工布の裏面に縫い込まれずに残った縫い始め側の糸を短く切り揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態の刺繍ミシンの要部を示す縦断面図である。
【図2】同刺繍ミシンのベッドに設けられた糸切断装置を示す一部破断斜視図である。
【図3】同糸切断装置の分解斜視図である。
【図4】同刺繍ミシンの糸切断動作を説明する縦断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4の部分拡大図である。
【図7】同刺繍ミシンの上糸振分機構の作用を示す縦断面図である。
【図8】同刺繍ミシンの糸切断動作における第一の状態を示す平面図である。
【図9】同糸切断動作における第二の状態を示す平面図である。
【図10】同糸切断動作における第三の状態を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】同糸切断動作における第四の状態を示す平面図である。
【図13】同糸切断動作における第五の状態を示す平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線断面図である。
【図15】同糸切断動作における第六の状態を示す平面図である。
【図16】同糸切断動作を示すタイムチャートである。
【図17】本発明を具体化した第二実施形態の刺繍ミシンの糸切断動作を説明する縦断面図である。
【図18】従来の刺繍ミシンの糸切断装置の上糸切断動作を示す平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線断面図である。
【図20】同上糸切断動作の別の状態を示す拡大平面図である。
【図21】同糸切断装置の下糸切断動作を示す平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】同下糸切断動作の別の状態を示す拡大平面図である。
【図24】同刺繍ミシンの上糸振分機構の作用を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 刺繍ミシン
7 上糸
8 下糸
9 刺繍枠
11 針孔
12 針板
13 釜
14 糸切断装置
35 布保持部材
36 パイプ部
41 上糸振分機構
45 固定刃
45a 刃
46 固定刃
46a 刃
48 移動刃
48a 刃
48b 刃
49 糸案内プレート
49b 糸案内部
57 上糸掛片
57a 突部

Claims (6)

  1. 針板(12)の下側で略水平に相対移動する一対の刃(48a,45a)の合致により糸を切断する糸切断装置を備えたミシンにおいて、
    往動時に上糸の切断しない部位(7b)及び下糸(8)を前記各刃(48a)の移動軌跡外に案内する糸案内部(49b)を備えた糸案内部材(49)を、一方の刃(48a)とともに往動及び復動するように構成し、
    前記糸案内部(49b)による上糸の切断しない部位(7b)及び下糸(8)の案内がされた状態で、一対の刃(48a,45a)が上糸の切断部位(7a)のみを切断するようにし、
    前記切断後、一方の刃(48a)及び糸案内部材(49)は前記案内が外れるようにさらに往動し、その後復動するときに、下糸(8)が切断されるようにしたことを特徴とするミシン。
  2. 針板(12)の下側で略水平に相対移動する一対の刃(48a,45a)の合致により糸を切断する糸切断装置を備えたミシンにおいて、
    往動時に上糸の切断しない部位(7b)及び下糸(8)を前記各刃(48a)の移動軌跡外に案内する糸案内部(49b)を備えた糸案内部材(49)を、一方の刃(48a)とともに往動及び復動するように構成し、
    前記糸案内部(49b)による上糸の切断しない部位(7b)及び下糸(8)の案内がされた状態で、一対の刃(48a,45a)が上糸の切断部位(7a)のみを切断するようにし、
    前記切断後、一方の刃(48a)及び糸案内部材(49)は前記案内が外れない程度にさらに往動し、その後復動するときに、下糸(8)が切断されないようにしたことを特徴とするミシン。
  3. 一対の刃(48a,45a)のうち、一方の刃(48a)を回動自在に構成し、他方の刃(45a)を固定した請求項1又は2記載のミシン。
  4. 記針板(12)の下面に該針板の針孔(11)の周縁から下方へ突出する環状突部(36)を設けた請求項1〜3のいずれか一項に記載のミシン。
  5. 工布の裏面に縫い込まれずに残った縫い始め側の上糸(7c)を前記一方の刃(48a)の移動軌跡内に進入させる糸進入手段を備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載のミシン。
  6. 針板(12)の下側に位置された一対の突部(57a)を有する上糸掛片(57)に上糸(7)を巻き掛け、前記針板の針孔(11)及び前記一対の突部(57a)を頂点とする三角ループ状に上糸(7)を張り、該三角ループ状の上糸(7)の一方の斜辺部(7a)を下糸(8)から遠ざけ、前記糸切断装置は一対の刃(48a,45a)の合致により前記一方の斜辺部(7a)を切断するものとし、前記一方の斜辺部(7a)の垂直に対する傾斜角度が0°から17°になるようにした請求項1〜5のいずれか一項に記載のミシン。
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