JP3789170B2 - セラミックグリーンシート裁断積層方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一部に電極パターンを有するセラミックグリーンシートを積層して、積層セラミックコンデンサーや積層セラミックインダクター等の電子部品を製造するに当り、セラミックグリーンシートを裁断し、積層し、圧着する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層電子部品の最も代表的な例である積層セラミックコンデンサは、内部電極を有する誘電体セラミック層が多数積み重ねられ、内部電極が積層体の端面に交互に引き出されている。そして、これらの内部電極が引き出された積層体の端面に外部電極が形成されている。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサは、例えば、図11に示すような層構造を有する。すなわち、内部電極55、56を有する誘電体層51、51…が図11で示す順序に積層され、さらにその両側に内部電極が形成されてない誘電体層57、58が複数層積み重ねられる。そして、このような積層体の内部電極55、56が露出した端面に図示されてない外部電極が形成される。
【0004】
このような積層セラミック電子部品は、通常、図11に示すような部品1個単位が個々に製造される訳ではなく、実際は次に示すような製造方法がとられる。すなわち、まず微細化したセラミック粉末と有機バインダーとを混練してスラリーを作り、これをドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレートフィルム等からなるキャリアフィルム上に薄く展開し、乾燥し、セラミックグリーンシートを作る。次に、このセラミックグリーンシートを支持フィルムの上に載ったまま、その片面にスクリーン印刷法によって導電ペーストを印刷し、乾燥する。その後、カッティングヘッドで所望の大きさに切断すると共に、支持フィルムから剥離する。これにより、図12で示すように、縦横に複数組分の内部電極パターン2a、2bが配列されたセラミックグリーンシート1a、1bが得られる。
【0005】
次に、図12に示すように、前記内部電極パターン2a、2bを有する複数枚のセラミックグリーンシート1a、1bを積層し、さらに、内部電極パターン2a、2bを有しない何枚かのセラミックグリーンシート1、1を上下に積み重ね、さらにこれらを圧着し、積層体を作る。ここで、前記セラミックグリーンシート1a、1bは、内部電極パターン2a、2bが長手方向に半分の長さ分だけずれたもの1a、1bを交互に積み重ねる。その後、この積層体を所望のサイズに切断して、積層生チップを製作し、この生チップを焼成する。こうして得られたチップ状の積層体は、両端面に交互に露出した内部電極を有する立方体形のものである。
次に、この焼成済みの積層体の両端に導電ペーストを塗布し、焼付けることにより、両端に電極端子が形成され、積層セラミックコンデンサが完成する。
【0006】
ここで、前記のセラミックグリーンシート1を積層し、圧着する工程では、まずセラミックグリーンシート1を本圧着する前に、積層体の搬送時に生じるセラミックグリーンシート1のズレ等を防止し、セラミックグリーンシート1を精度よく積層するため、セラミックグリーンシート1を順次積み重ねながら加圧することで、それらを仮圧着する。例えば、積層ステージ上に加圧板を配置し、この加圧板を油圧等で昇降させて積み重ねたセラミックグリーンシート1を順次積み重ねながら加圧し、セラミックグリーンシート1を積み重ねるのと同時にそれらを仮圧着する。
【0007】
加圧板と積層ステージとには、各々ヒーターが備えられ、これによって、積層及び仮圧着時に、それらの板面が例えば70〜80℃程度の温度に加熱される。セラミックグリーンシートは加温されると可撓性が増し、粘着性も向上するため、積層されたセラミックグリーンシートが確実に密着する。
こうして積層されながら仮圧着された積層体は、圧着金型等でより高い圧力で本圧着される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の積層圧着方法と装置によりセラミックグリーンシートを積層し、仮圧着すると、下層のセラミックグリーンシート程、加温されたまま何度も繰り返し加圧される。このため、図9で示すような理想的な積層状態とはならず、図10で示すように、下層のセラミックグリーンシート1がその中央部と周辺部とで伸びる割合が大きく異なり、セラミックグリーンシート1に形成されたパターンがずれ、いわゆる積層ずれを生ずる。一般的には、理想的な図9のような積層体に対し、図10の積層体では、下層のセラミックグリーンシート1に印刷された外側の内部電極パターン2aが外側にずれる。
【0009】
このような積層ずれを生じた場合、外観からはこのずれを確認することが出来ない。そして、この積層体を定められた寸法で等間隔に切断すると、個々に切断されたチップ内の内部電極パターン1a、1bがチップの中央に位置することなく、最悪の場合は内部電極パターン1a、1bがチップの側面に露出することもある。また、内部電極パターン1a、1bがチップの側面に露出しないまでも、それらのチップの一方に偏り過ぎて、他方の側の外部電極と近くなるため、出来上がった積層セラミックコンデンサーの耐電圧や耐湿性が悪くなり、製品としての信頼性を損ねたりすると言う課題があった。
【0010】
さらに、このように下層のみが伸びて積層された積層体では、セラミックグリーンシート1の層間の接着力に差が生じ、積層した後にセラミックグリーンシート1が一部が剥がれたり、バリが発生しやすいという課題もある。
また、前記従来のセラミックグリーンシートの裁断積層方法では、セラミックグリーンシートをカッティングヘッドで裁断する時に、セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上から一部剥がれ、変形してしまうことがある。そのため、裁断した後のセラミックグリーンシートに皺や部分的な延びが発生し、これが原因で前記と同様の積層ズレを発生させることがある。
そこで、本発明は、前記従来技術の課題に鑑み、セラミックグリーンシートを積層しながら圧着する時の下層側のセラミックグリーンシートの伸びを防止し、積層精度が高く、剥がれにくい積層セラミックグリーンシートの積層体が得られるセラミックグリーンシート裁断積層方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の課題を解消するため、下面にセラミックグリーンシート27を吸着する吸着面を有し、且つヒータ34を内蔵した吸着ヘッド13の両側にカッターブレード12、12を昇降自在に設けたカッティングヘッド11を用い、セラミックグリーンシート27を裁断する前に、まず前記吸着ヘッド13の吸着面でセラミックグリーンシート27を吸着し、保持し、セラミックグリーンシート27を固定し、その状態で前記カッターブレード12、12によりセラミックグリーンシート27を裁断することにした。これにより、セラミックグリーンシート27を裁断する時のセラミックグリーンシート27の変形等を防止し、正確に裁断できるようにした。
【0012】
さらに本発明では、前記のようなカッティングヘッド11を使用し、積層ステージ30上で裁断したセラミックグリーンシート21を積層する際、セラミックグリーンシート21を積み重ねる毎にできるだけ小さい圧力で加圧し、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後で、全体のセラミックグリーンシート21をより強い圧力で加圧し、仮圧着するようにした。これにより、下側の層のセラミックグリーンシート21と上側の層のセラミックグリーンシート21との延びのバラツキが抑えられ、積層されるセラミックグリーンシート21の延びが均一になる。
【0013】
すなわち、セラミックグリーンシートの裁断積層方法は、裁断ステージ28上に載ったセラミックグリーンシート27をカッティングヘッド11で所定の形状に裁断する工程と、裁断したセラミックグリーンシート21をカッティングヘッド11に吸着して保持しながら、積層ステージ30上に搬送する工程と、この積層ステージ30上でセラミックグリーンシート21を加圧する工程とを有し、これらの工程を複数回繰り返して複数のセラミックグリーンシート21を積層する。
【0014】
この場合において、下面にセラミックグリーンシート27を吸着する吸着面を有する吸着ヘッド13の両側にカッターブレード12、12を昇降自在に設けたカッティングヘッド11を使用し、前記吸着ヘッド13の吸着面でセラミックグリーンシート27を吸着・保持し、その後吸着・保持したまま前記カッターブレード12、12によりセラミックグリーンシート27を裁断する。
【0015】
これにより、セラミックグリーンシート27は、裁断する部分が吸着ヘッド13で予め固定された状態で裁断されるため、皺や変形が発生せず、正確に裁断することができる。
さらに、裁断されたセラミックグリーンシート27を前記吸着ヘッド13の吸着面に吸着・保持して積層ステージ30に搬送することにより、この積層ステージ30上でセラミックグリーンシート27を順次積層し、この積層工程において、前記吸着ヘッド13に内蔵したヒータ34で吸着ヘッド13の吸着面を加熱する。
ここで、セラミックグリーンシート27を吸着する手段としては、真空吸引が一般的であるが、セラミックグリーンシート27や内部電極パターンが磁性体であれば、磁力吸引を使用することもできる。
【0016】
さらに、前記のようなカッティングヘッド11を使用し、積層ステージ30上で積み重ねられるセラミックグリーンシート21を、前記吸着ヘッド13により加圧しながら積み重ね、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後、全てのセラミックグリーンシート21をより強い圧力で加圧し、それらを仮圧着する。これにより、下層のセラミックグリーンシート21に繰り返し加わる圧力が小さくなり、下層のセラミックグリーンシート21のみが伸びてしまうことが防止される。
【0017】
また、カッティングヘッド11の吸着ヘッド13はヒータ34を内蔵し、その吸着ヘッド13の吸着面をセラミックグリーンシート21のガラス転移点より低い温度とし、一方で積層ステージ30の積層面を前記ガラス転移点より高い温度としてセラミックグリーンシート21を仮圧着する。これにより、セラミックグリーンシート21の伸びが小さくなり、セラミックグリーンシート21の変形を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的且つ詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明の方法で用いるカッティングヘッド11が示されている。このカッティングヘッド11は、立方体形状の吸着ヘッド13と、同ヘッド13の側面と端面とに沿って、各々上下にスライド駆動するよう設けられたカッターブレード12、12とを備える。
吸着ヘッド13の下面である吸着面は、積層されるセラミックグリーンシート21の平面寸法に対応する寸法を有している。この吸着面には、図示してない真空源に接続された空気通路15が分散して開口され、この空気通路15を通して吸着面側から吸気することで、同吸着面が負圧とされ、そこにセラミックグリーンシート21、27を吸着、保持することができる。この吸着ヘッド13にはヒータ34が内蔵されており、これにより、吸着ヘッド13の吸着面が加熱される。
【0019】
カッターブレード12、12は、エアシリンダーやスクリュー機構等のアクチュエーター33により、吸着ヘッド13の側面と端面とに沿って上下にスライドされるようになっている。そして、このカッターブレード12、12が下方へスライドしたとき、その先端の刃先が吸着ヘッド13の吸着面から所定の量だけ突出する。そして、上方へスライドしたとき、カッターブレード12、12の刃先が吸着ヘッド13の吸着面から引き込む。既に説明した通り、吸着ヘッド13の吸着面は、積層されるセラミックグリーンシート21の平面寸法、つまりセラミックグリーンシート27を裁断すべき寸法に対応する寸法を有しており、カッターブレード12、12の刃先は、この吸着面の縁に沿って配置してある。
【0020】
一方、図2に前記のようにして裁断されたセラミックグリーンシート21を積層する積層ステージ30が示されており、図示の積層ステージ30は、セラミックグリーンシート21を積層する領域が一段低い凹部となっている。この積層ステージ30は、ヒーター37を内蔵しており、これにより積層面を加熱することが出来る。
セラミックグリーンシート21を積層する領域の前記の凹部は、積層位置精度を保持するためのものであるが、このような凹部を設ける代わりに、積層ステージ30の積層領域に位置決めピンを立てて積層位置精度を担保する方法もある。この場合は、セラミックグリーンシート21を裁断する際に、前記位置決めピンに対応してそのセラミックグリーンシート21に位置決め孔を穿孔しておき、その位置決め孔を前記位置決めピンに差し込んで位置決めする。
【0021】
次に、前記カッティングヘッド11の吸着ヘッド13でセラミックグリーンシート21を吸着し、そのカッターブレード12でセラミックグリーンシート27を裁断し、裁断したセラミックグリーンシート21を前記の積層ステージ30上で積層する方法について説明する。
まず、図1に示すように、セラミックグリーンシート27は、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなるキャリアフィルム28上に保持された状態で、裁断ステージ26の上に供給される。このセラミックグリーンシート21の表面には、必要に応じて電極パターンが印刷されている。
【0022】
ここで、前記のカッティングヘッド11がこの裁断ステージ26の上に移動し、そこで同カッティングヘッド11が裁断ステージ26の上方から図1に示す位置まで下降し、その吸着面がセラミックグリーンシート21の上に当接する。ここで、空気通路15を通して空気が吸引され、吸着ヘッド13の吸着面が負圧とされ、そこにセラミックグリーンシート27の一部の表面が吸着される。
その後、アクチュエーター33、33により、カッターブレード12、12が下降し、その刃先がセラミックグリーンシート27へと切り込まれる。その後、カッティングヘッド11が上昇することで、カッターブレード12、12により裁断されたセラミックグリーンシート21が吸着ヘッド13の吸着面に吸着、保持された状態のまま、切り取られ、キャリアフィルム28から剥離されて上昇される。
【0023】
こうして、セラミックグリーンシート21を吸着、保持した、カッティングヘッド11が次の積層ステージ30側に移動し、同ステージ30の積層領域の真上に位置合わせされる。その後、カッティングヘッド11が下降され、その吸着ヘッド13の吸着面に保持されたセラミックグリーンシート21が積層ステージ30の積層領域の上に載せられ、加圧される。この状態では、空気通路15の空気の流れを停止するか或は僅かに逆流させる。これにより、セラミックグリーンシート21の吸着状態が解除され、或は吸着ヘッド13の吸着面が弱加圧状態となり、その気圧でセラミックグリーンシート21が押し離される。
また、カッターブレード12は、アクチュエーター33により上方にスライドされ、その刃先が積層ステージ30に当たらないように逃げる。
【0024】
この動作に際して、吸着ヘッド13からセラミックグリーンシート21に加える圧力はできるだけ小さくし、最初のセラミックグリーンシート21には殆ど圧力は加えない。
その後、カッティングヘッド11が上昇すると、セラミックグリーンシート21のみがセラミックグリーンシート31の上に積層されたまま残される。
以下、このサイクルを何度か繰り返すことにより、所望の数の裁断されたセラミックグリーンシート21が裁断され、積層される。この場合も、各セラミックグリーンシート21を積み重ねるときに吸着ヘッド13からセラミックグリーンシート21に加える圧力はできるだけ小さくする。そして、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後に、より強い圧力でセラミックグリーンシート21の積層体を加圧し、仮圧着する。
【0025】
なお、この積層工程において、吸着ヘッド13の吸着面がヒーター34により加熱されるが、その温度はセラミックグリーンシート21のガラス転移点より低い温度とする。他方、積層ステージ30の積層面がヒーター37により加熱されるが、その温度は前記ガラス転移点より高い温度とする。例えば、セラミックグリーンシート21に含まれる有機バインダーのガラス成分のガラス転移点が70℃の場合、吸着ヘッド13の吸着面を65℃とし、積層ステージ30の積層面を75℃とする。
これにより、セラミックグリーンシート21の伸びが小さくなり、セラミックグリーンシート21の変形を防止することができる。
【0026】
所定の数のセラミックグリーンシート21を所定の順序で積層した後、その積層体を圧着金型へ送り、本圧着する。その後、積層体を1個の積層セラミックインダクタの単位のチップ状に裁断し、この積層チップを焼成し、その端面に導体ペーストを塗布し、焼き付け、外部電極を形成する。その後、必要な部分にメッキを施したり、絶縁塗装を施したりすることで、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ等の積層電子部品が作られる。
【0027】
次に、図3及び図4に示す例について説明すると、この例ではカッターブレード12を上下にスライドさせるアクチュエーター33に代えて、カッターブレード12を常に下方に押し下げるように弾力が付勢されたバネ等の弾性体35が使用されている。この例では、カッターブレード12を強制的に上下動させることは出来ないが、カッターブレード12の刃先に加わる反力に応じてそのカッターブレード12を上下にスライドさせることができる。そして、この弾性体35の弾力は、吸着ヘッド13の吸着面がセラミックグリーンシート27に接し、それを吸着した後に、同セラミックグリーンシート27に切り込まれるよう設定されている。
【0028】
次に、図5及び図6に示す例について説明すると、この例はセラミックグリーンシート21、27としてフェライト等の磁性体を含む磁性体シートを吸着し、裁断し、積層する例である。そして、ここではセラミックグリーンシート21、27を吸着ヘッド13の吸着面に吸着させる手段として磁力が使用される。すなわち、図5及び図6の例では、吸着ヘッド13に電磁石36が組み込まれ、これに電流を流し或は電流を遮断することにより、セラミックグリーンシート21、27の吸着及びその解除をする。
なお、この例でも、前述の図3及び図4に示された例と同様に、カッターブレード12に弾性体35を係装している。
【0029】
次に、図7及び図8に示す例について説明すると、この例もまた、セラミックグリーンシート21、27としてフェライト等の磁性体を含む磁性体シートを吸着し、裁断し、積層する例である。そして、ここではセラミックグリーンシート21、27を吸着ヘッド13の吸着面に吸着させる手段としてやはり磁力が使用されるが、図5及び図6の例のように電磁石36ではなく、吸着ヘッド13に永久磁石32が組み込まれている。そして、この永久磁石32は、ソレノイド等のアクチュエーター31により、吸着ヘッド13内で上下動させられる。従って、このアクチュエーター31により永久磁石32を上下動することにより、セラミックグリーンシート21、27の吸着及びその解除をする。
なお、この例でも、前述の図1及び図2に示された例と同様に、カッターブレード12をアクチュエーター33で上下にスライドさせる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、セラミックグリーンシートを積層しながら圧着する時の下層側のセラミックグリーンシートの伸びを防止し、積層精度が高く、剥がれにくい積層セラミックグリーンシートの積層体が得られるセラミックグリーンシート裁断積層方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図2】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図4】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図6】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図8】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図9】理想的なセラミックグリーンシート積層体の積層状態を示す模式図である。
【図10】下層の伸びが大きくなったセラミックグリーンシートの積層圧着装置の概略図である。
【図11】積層セラミックコンデンサの積層構造の例を示す分解斜視図である。
【図12】同積層セラミックコンデンサを製造するためのセラミックグリーンシートの積層順序の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 カッティングヘッド
12 カッティングヘッドのカッターブレード
13 カッティングヘッドの吸着ヘッド
21 セラミックグリーンシート
27 セラミックグリーンシート
28 裁断ステージ
30 積層ステージ
【発明の属する技術分野】
本発明は、一部に電極パターンを有するセラミックグリーンシートを積層して、積層セラミックコンデンサーや積層セラミックインダクター等の電子部品を製造するに当り、セラミックグリーンシートを裁断し、積層し、圧着する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層電子部品の最も代表的な例である積層セラミックコンデンサは、内部電極を有する誘電体セラミック層が多数積み重ねられ、内部電極が積層体の端面に交互に引き出されている。そして、これらの内部電極が引き出された積層体の端面に外部電極が形成されている。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサは、例えば、図11に示すような層構造を有する。すなわち、内部電極55、56を有する誘電体層51、51…が図11で示す順序に積層され、さらにその両側に内部電極が形成されてない誘電体層57、58が複数層積み重ねられる。そして、このような積層体の内部電極55、56が露出した端面に図示されてない外部電極が形成される。
【0004】
このような積層セラミック電子部品は、通常、図11に示すような部品1個単位が個々に製造される訳ではなく、実際は次に示すような製造方法がとられる。すなわち、まず微細化したセラミック粉末と有機バインダーとを混練してスラリーを作り、これをドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレートフィルム等からなるキャリアフィルム上に薄く展開し、乾燥し、セラミックグリーンシートを作る。次に、このセラミックグリーンシートを支持フィルムの上に載ったまま、その片面にスクリーン印刷法によって導電ペーストを印刷し、乾燥する。その後、カッティングヘッドで所望の大きさに切断すると共に、支持フィルムから剥離する。これにより、図12で示すように、縦横に複数組分の内部電極パターン2a、2bが配列されたセラミックグリーンシート1a、1bが得られる。
【0005】
次に、図12に示すように、前記内部電極パターン2a、2bを有する複数枚のセラミックグリーンシート1a、1bを積層し、さらに、内部電極パターン2a、2bを有しない何枚かのセラミックグリーンシート1、1を上下に積み重ね、さらにこれらを圧着し、積層体を作る。ここで、前記セラミックグリーンシート1a、1bは、内部電極パターン2a、2bが長手方向に半分の長さ分だけずれたもの1a、1bを交互に積み重ねる。その後、この積層体を所望のサイズに切断して、積層生チップを製作し、この生チップを焼成する。こうして得られたチップ状の積層体は、両端面に交互に露出した内部電極を有する立方体形のものである。
次に、この焼成済みの積層体の両端に導電ペーストを塗布し、焼付けることにより、両端に電極端子が形成され、積層セラミックコンデンサが完成する。
【0006】
ここで、前記のセラミックグリーンシート1を積層し、圧着する工程では、まずセラミックグリーンシート1を本圧着する前に、積層体の搬送時に生じるセラミックグリーンシート1のズレ等を防止し、セラミックグリーンシート1を精度よく積層するため、セラミックグリーンシート1を順次積み重ねながら加圧することで、それらを仮圧着する。例えば、積層ステージ上に加圧板を配置し、この加圧板を油圧等で昇降させて積み重ねたセラミックグリーンシート1を順次積み重ねながら加圧し、セラミックグリーンシート1を積み重ねるのと同時にそれらを仮圧着する。
【0007】
加圧板と積層ステージとには、各々ヒーターが備えられ、これによって、積層及び仮圧着時に、それらの板面が例えば70〜80℃程度の温度に加熱される。セラミックグリーンシートは加温されると可撓性が増し、粘着性も向上するため、積層されたセラミックグリーンシートが確実に密着する。
こうして積層されながら仮圧着された積層体は、圧着金型等でより高い圧力で本圧着される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の積層圧着方法と装置によりセラミックグリーンシートを積層し、仮圧着すると、下層のセラミックグリーンシート程、加温されたまま何度も繰り返し加圧される。このため、図9で示すような理想的な積層状態とはならず、図10で示すように、下層のセラミックグリーンシート1がその中央部と周辺部とで伸びる割合が大きく異なり、セラミックグリーンシート1に形成されたパターンがずれ、いわゆる積層ずれを生ずる。一般的には、理想的な図9のような積層体に対し、図10の積層体では、下層のセラミックグリーンシート1に印刷された外側の内部電極パターン2aが外側にずれる。
【0009】
このような積層ずれを生じた場合、外観からはこのずれを確認することが出来ない。そして、この積層体を定められた寸法で等間隔に切断すると、個々に切断されたチップ内の内部電極パターン1a、1bがチップの中央に位置することなく、最悪の場合は内部電極パターン1a、1bがチップの側面に露出することもある。また、内部電極パターン1a、1bがチップの側面に露出しないまでも、それらのチップの一方に偏り過ぎて、他方の側の外部電極と近くなるため、出来上がった積層セラミックコンデンサーの耐電圧や耐湿性が悪くなり、製品としての信頼性を損ねたりすると言う課題があった。
【0010】
さらに、このように下層のみが伸びて積層された積層体では、セラミックグリーンシート1の層間の接着力に差が生じ、積層した後にセラミックグリーンシート1が一部が剥がれたり、バリが発生しやすいという課題もある。
また、前記従来のセラミックグリーンシートの裁断積層方法では、セラミックグリーンシートをカッティングヘッドで裁断する時に、セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上から一部剥がれ、変形してしまうことがある。そのため、裁断した後のセラミックグリーンシートに皺や部分的な延びが発生し、これが原因で前記と同様の積層ズレを発生させることがある。
そこで、本発明は、前記従来技術の課題に鑑み、セラミックグリーンシートを積層しながら圧着する時の下層側のセラミックグリーンシートの伸びを防止し、積層精度が高く、剥がれにくい積層セラミックグリーンシートの積層体が得られるセラミックグリーンシート裁断積層方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の課題を解消するため、下面にセラミックグリーンシート27を吸着する吸着面を有し、且つヒータ34を内蔵した吸着ヘッド13の両側にカッターブレード12、12を昇降自在に設けたカッティングヘッド11を用い、セラミックグリーンシート27を裁断する前に、まず前記吸着ヘッド13の吸着面でセラミックグリーンシート27を吸着し、保持し、セラミックグリーンシート27を固定し、その状態で前記カッターブレード12、12によりセラミックグリーンシート27を裁断することにした。これにより、セラミックグリーンシート27を裁断する時のセラミックグリーンシート27の変形等を防止し、正確に裁断できるようにした。
【0012】
さらに本発明では、前記のようなカッティングヘッド11を使用し、積層ステージ30上で裁断したセラミックグリーンシート21を積層する際、セラミックグリーンシート21を積み重ねる毎にできるだけ小さい圧力で加圧し、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後で、全体のセラミックグリーンシート21をより強い圧力で加圧し、仮圧着するようにした。これにより、下側の層のセラミックグリーンシート21と上側の層のセラミックグリーンシート21との延びのバラツキが抑えられ、積層されるセラミックグリーンシート21の延びが均一になる。
【0013】
すなわち、セラミックグリーンシートの裁断積層方法は、裁断ステージ28上に載ったセラミックグリーンシート27をカッティングヘッド11で所定の形状に裁断する工程と、裁断したセラミックグリーンシート21をカッティングヘッド11に吸着して保持しながら、積層ステージ30上に搬送する工程と、この積層ステージ30上でセラミックグリーンシート21を加圧する工程とを有し、これらの工程を複数回繰り返して複数のセラミックグリーンシート21を積層する。
【0014】
この場合において、下面にセラミックグリーンシート27を吸着する吸着面を有する吸着ヘッド13の両側にカッターブレード12、12を昇降自在に設けたカッティングヘッド11を使用し、前記吸着ヘッド13の吸着面でセラミックグリーンシート27を吸着・保持し、その後吸着・保持したまま前記カッターブレード12、12によりセラミックグリーンシート27を裁断する。
【0015】
これにより、セラミックグリーンシート27は、裁断する部分が吸着ヘッド13で予め固定された状態で裁断されるため、皺や変形が発生せず、正確に裁断することができる。
さらに、裁断されたセラミックグリーンシート27を前記吸着ヘッド13の吸着面に吸着・保持して積層ステージ30に搬送することにより、この積層ステージ30上でセラミックグリーンシート27を順次積層し、この積層工程において、前記吸着ヘッド13に内蔵したヒータ34で吸着ヘッド13の吸着面を加熱する。
ここで、セラミックグリーンシート27を吸着する手段としては、真空吸引が一般的であるが、セラミックグリーンシート27や内部電極パターンが磁性体であれば、磁力吸引を使用することもできる。
【0016】
さらに、前記のようなカッティングヘッド11を使用し、積層ステージ30上で積み重ねられるセラミックグリーンシート21を、前記吸着ヘッド13により加圧しながら積み重ね、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後、全てのセラミックグリーンシート21をより強い圧力で加圧し、それらを仮圧着する。これにより、下層のセラミックグリーンシート21に繰り返し加わる圧力が小さくなり、下層のセラミックグリーンシート21のみが伸びてしまうことが防止される。
【0017】
また、カッティングヘッド11の吸着ヘッド13はヒータ34を内蔵し、その吸着ヘッド13の吸着面をセラミックグリーンシート21のガラス転移点より低い温度とし、一方で積層ステージ30の積層面を前記ガラス転移点より高い温度としてセラミックグリーンシート21を仮圧着する。これにより、セラミックグリーンシート21の伸びが小さくなり、セラミックグリーンシート21の変形を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的且つ詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明の方法で用いるカッティングヘッド11が示されている。このカッティングヘッド11は、立方体形状の吸着ヘッド13と、同ヘッド13の側面と端面とに沿って、各々上下にスライド駆動するよう設けられたカッターブレード12、12とを備える。
吸着ヘッド13の下面である吸着面は、積層されるセラミックグリーンシート21の平面寸法に対応する寸法を有している。この吸着面には、図示してない真空源に接続された空気通路15が分散して開口され、この空気通路15を通して吸着面側から吸気することで、同吸着面が負圧とされ、そこにセラミックグリーンシート21、27を吸着、保持することができる。この吸着ヘッド13にはヒータ34が内蔵されており、これにより、吸着ヘッド13の吸着面が加熱される。
【0019】
カッターブレード12、12は、エアシリンダーやスクリュー機構等のアクチュエーター33により、吸着ヘッド13の側面と端面とに沿って上下にスライドされるようになっている。そして、このカッターブレード12、12が下方へスライドしたとき、その先端の刃先が吸着ヘッド13の吸着面から所定の量だけ突出する。そして、上方へスライドしたとき、カッターブレード12、12の刃先が吸着ヘッド13の吸着面から引き込む。既に説明した通り、吸着ヘッド13の吸着面は、積層されるセラミックグリーンシート21の平面寸法、つまりセラミックグリーンシート27を裁断すべき寸法に対応する寸法を有しており、カッターブレード12、12の刃先は、この吸着面の縁に沿って配置してある。
【0020】
一方、図2に前記のようにして裁断されたセラミックグリーンシート21を積層する積層ステージ30が示されており、図示の積層ステージ30は、セラミックグリーンシート21を積層する領域が一段低い凹部となっている。この積層ステージ30は、ヒーター37を内蔵しており、これにより積層面を加熱することが出来る。
セラミックグリーンシート21を積層する領域の前記の凹部は、積層位置精度を保持するためのものであるが、このような凹部を設ける代わりに、積層ステージ30の積層領域に位置決めピンを立てて積層位置精度を担保する方法もある。この場合は、セラミックグリーンシート21を裁断する際に、前記位置決めピンに対応してそのセラミックグリーンシート21に位置決め孔を穿孔しておき、その位置決め孔を前記位置決めピンに差し込んで位置決めする。
【0021】
次に、前記カッティングヘッド11の吸着ヘッド13でセラミックグリーンシート21を吸着し、そのカッターブレード12でセラミックグリーンシート27を裁断し、裁断したセラミックグリーンシート21を前記の積層ステージ30上で積層する方法について説明する。
まず、図1に示すように、セラミックグリーンシート27は、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなるキャリアフィルム28上に保持された状態で、裁断ステージ26の上に供給される。このセラミックグリーンシート21の表面には、必要に応じて電極パターンが印刷されている。
【0022】
ここで、前記のカッティングヘッド11がこの裁断ステージ26の上に移動し、そこで同カッティングヘッド11が裁断ステージ26の上方から図1に示す位置まで下降し、その吸着面がセラミックグリーンシート21の上に当接する。ここで、空気通路15を通して空気が吸引され、吸着ヘッド13の吸着面が負圧とされ、そこにセラミックグリーンシート27の一部の表面が吸着される。
その後、アクチュエーター33、33により、カッターブレード12、12が下降し、その刃先がセラミックグリーンシート27へと切り込まれる。その後、カッティングヘッド11が上昇することで、カッターブレード12、12により裁断されたセラミックグリーンシート21が吸着ヘッド13の吸着面に吸着、保持された状態のまま、切り取られ、キャリアフィルム28から剥離されて上昇される。
【0023】
こうして、セラミックグリーンシート21を吸着、保持した、カッティングヘッド11が次の積層ステージ30側に移動し、同ステージ30の積層領域の真上に位置合わせされる。その後、カッティングヘッド11が下降され、その吸着ヘッド13の吸着面に保持されたセラミックグリーンシート21が積層ステージ30の積層領域の上に載せられ、加圧される。この状態では、空気通路15の空気の流れを停止するか或は僅かに逆流させる。これにより、セラミックグリーンシート21の吸着状態が解除され、或は吸着ヘッド13の吸着面が弱加圧状態となり、その気圧でセラミックグリーンシート21が押し離される。
また、カッターブレード12は、アクチュエーター33により上方にスライドされ、その刃先が積層ステージ30に当たらないように逃げる。
【0024】
この動作に際して、吸着ヘッド13からセラミックグリーンシート21に加える圧力はできるだけ小さくし、最初のセラミックグリーンシート21には殆ど圧力は加えない。
その後、カッティングヘッド11が上昇すると、セラミックグリーンシート21のみがセラミックグリーンシート31の上に積層されたまま残される。
以下、このサイクルを何度か繰り返すことにより、所望の数の裁断されたセラミックグリーンシート21が裁断され、積層される。この場合も、各セラミックグリーンシート21を積み重ねるときに吸着ヘッド13からセラミックグリーンシート21に加える圧力はできるだけ小さくする。そして、最後のセラミックグリーンシート21を積み重ねた後に、より強い圧力でセラミックグリーンシート21の積層体を加圧し、仮圧着する。
【0025】
なお、この積層工程において、吸着ヘッド13の吸着面がヒーター34により加熱されるが、その温度はセラミックグリーンシート21のガラス転移点より低い温度とする。他方、積層ステージ30の積層面がヒーター37により加熱されるが、その温度は前記ガラス転移点より高い温度とする。例えば、セラミックグリーンシート21に含まれる有機バインダーのガラス成分のガラス転移点が70℃の場合、吸着ヘッド13の吸着面を65℃とし、積層ステージ30の積層面を75℃とする。
これにより、セラミックグリーンシート21の伸びが小さくなり、セラミックグリーンシート21の変形を防止することができる。
【0026】
所定の数のセラミックグリーンシート21を所定の順序で積層した後、その積層体を圧着金型へ送り、本圧着する。その後、積層体を1個の積層セラミックインダクタの単位のチップ状に裁断し、この積層チップを焼成し、その端面に導体ペーストを塗布し、焼き付け、外部電極を形成する。その後、必要な部分にメッキを施したり、絶縁塗装を施したりすることで、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ等の積層電子部品が作られる。
【0027】
次に、図3及び図4に示す例について説明すると、この例ではカッターブレード12を上下にスライドさせるアクチュエーター33に代えて、カッターブレード12を常に下方に押し下げるように弾力が付勢されたバネ等の弾性体35が使用されている。この例では、カッターブレード12を強制的に上下動させることは出来ないが、カッターブレード12の刃先に加わる反力に応じてそのカッターブレード12を上下にスライドさせることができる。そして、この弾性体35の弾力は、吸着ヘッド13の吸着面がセラミックグリーンシート27に接し、それを吸着した後に、同セラミックグリーンシート27に切り込まれるよう設定されている。
【0028】
次に、図5及び図6に示す例について説明すると、この例はセラミックグリーンシート21、27としてフェライト等の磁性体を含む磁性体シートを吸着し、裁断し、積層する例である。そして、ここではセラミックグリーンシート21、27を吸着ヘッド13の吸着面に吸着させる手段として磁力が使用される。すなわち、図5及び図6の例では、吸着ヘッド13に電磁石36が組み込まれ、これに電流を流し或は電流を遮断することにより、セラミックグリーンシート21、27の吸着及びその解除をする。
なお、この例でも、前述の図3及び図4に示された例と同様に、カッターブレード12に弾性体35を係装している。
【0029】
次に、図7及び図8に示す例について説明すると、この例もまた、セラミックグリーンシート21、27としてフェライト等の磁性体を含む磁性体シートを吸着し、裁断し、積層する例である。そして、ここではセラミックグリーンシート21、27を吸着ヘッド13の吸着面に吸着させる手段としてやはり磁力が使用されるが、図5及び図6の例のように電磁石36ではなく、吸着ヘッド13に永久磁石32が組み込まれている。そして、この永久磁石32は、ソレノイド等のアクチュエーター31により、吸着ヘッド13内で上下動させられる。従って、このアクチュエーター31により永久磁石32を上下動することにより、セラミックグリーンシート21、27の吸着及びその解除をする。
なお、この例でも、前述の図1及び図2に示された例と同様に、カッターブレード12をアクチュエーター33で上下にスライドさせる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、セラミックグリーンシートを積層しながら圧着する時の下層側のセラミックグリーンシートの伸びを防止し、積層精度が高く、剥がれにくい積層セラミックグリーンシートの積層体が得られるセラミックグリーンシート裁断積層方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図2】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図4】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図6】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明によるセラミックグリーンシートの裁断積層方法の他の例において、カッティングヘッドでセラミックグリーンシートを吸着し、保持する工程を示す概略断面図である。
【図8】同セラミックグリーンシートの裁断積層方法の例において、積層ステージでセラミックグリーンシートを積層する工程を示す概略断面図である。
【図9】理想的なセラミックグリーンシート積層体の積層状態を示す模式図である。
【図10】下層の伸びが大きくなったセラミックグリーンシートの積層圧着装置の概略図である。
【図11】積層セラミックコンデンサの積層構造の例を示す分解斜視図である。
【図12】同積層セラミックコンデンサを製造するためのセラミックグリーンシートの積層順序の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 カッティングヘッド
12 カッティングヘッドのカッターブレード
13 カッティングヘッドの吸着ヘッド
21 セラミックグリーンシート
27 セラミックグリーンシート
28 裁断ステージ
30 積層ステージ
Claims (5)
- 裁断ステージ(28)上に載ったセラミックグリーンシート(27)をカッティングヘッド(11)で所定の形状に裁断する工程と、裁断したセラミックグリーンシート(21)をカッティングヘッド(11)に吸着して保持しながら、積層ステージ(30)上に搬送する工程と、この積層ステージ(30)上でセラミックグリーンシート(21)を加圧する工程とを有し、これらの工程を複数回繰り返して複数のセラミックグリーンシート(21)を積層するセラミックグリーンシート裁断積層方法において、下面にセラミックグリーンシート(27)を吸着する吸着面を有し、且つヒータ(34)を内蔵した吸着ヘッド(13)の両側にカッターブレード(12)、(12)を昇降自在に設けたカッティングヘッド(11)を使用し、前記吸着ヘッド(13)の吸着面でセラミックグリーンシート(27)を吸着・保持し、その後吸着・保持したまま前記カッターブレード(12)、(12)によりセラミックグリーンシート(27)を裁断し、この裁断されたセラミックグリーンシート(27)を前記吸着ヘッド(13)の吸着面に吸着・保持して積層ステージ(30)に搬送することにより、この積層ステージ(30)上でセラミックグリーンシート(27)を順次積層し、この積層工程において、前記吸着ヘッド(13)に内蔵したヒータ(34)で吸着ヘッド(13)の吸着面を加熱することを特徴とするセラミックグリーンシート裁断積層方法。
- セラミックグリーンシート(27)を吸着する手段が真空吸引であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート裁断積層方法。
- セラミックグリーンシート(27)を吸着する手段が磁力吸引であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート裁断積層方法。
- 積層ステージ(30)上で積み重ねられるセラミックグリーンシート(21)を、前記吸着ヘッド(13)により加圧しながら積み重ね、最後のセラミックグリーンシート(21)を積み重ねた後、より強い圧力を全てのセラミックグリーンシート(21)に加えて、それらを仮圧着することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のセラミックグリーンシート裁断積層方法。
- カッティングヘッド(11)の吸着ヘッド(13)の吸着面をセラミックグリーンシート(21)のガラス転移点より低い温度とすると共に、積層ステージ(30)の積層面を前記ガラス転移点より高い温度としてセラミックグリーンシート(21)を仮圧着することを特徴とする請求項4に記載のセラミックグリーンシート裁断積層方法。
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